JP5110281B2 - 高白色新聞用紙 - Google Patents
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Description
一方、近年一般の新聞用紙とは別に、広告を主体としたカラー印刷の多い別刷り新聞も発行されている。この別刷り新聞はカラー印刷が多いため白色度が80%程度の高白色新聞用紙が使用されている。
この従来の高白色新聞用紙は、例えば、特許文献1では不透明度を維持したまま白色度を上げる技術として、蛍光増白剤と水溶性接着剤を含む表面処理剤を塗布し、特定の層に高い蛍光増白度を与える方法が提案されている。
ところが、高白色新聞用紙も前述した一般新聞用紙と同様にコールドセット型オフセット輪転機によりカラー印刷されるため、一般の新聞用紙と同様に引張りに耐える引張り強さとインキセットが良いことが要求されるのは勿論、1)高白色でカラー印刷が映える、2)不透明度が高く裏抜けがない、などの機能を併せて求められるが、従来の高白色新聞用紙は、白色度を維持するために高灰分とすることによって白色度を確保しているために、印刷時にパイリングを起こしたり、これに対応するために表面処理剤の塗布量を増やすとインキセットが悪くなる等の不具合を免れなかった。
(1)第一発明の高白色新聞用紙は、クラフトパルプを10〜60質量%含有する木材パルプを主原料とした原紙に、水溶性バインダーと蛍光増白剤を主成分とする表面処理剤(ただし、表面処理剤は顔料を含まない)を塗布した高白色新聞用紙であって、灰分が7.0〜15%に調整され、蛍光強度が3.0〜5.0%に調整され、引張り強さ(縦)が2.5kN/m以上、引張り強さの縦横比(縦/横)が3.0〜4.0とされていることを特徴とする白色度75〜85%、坪量45〜60g/m2の高白色新聞用紙。
(2)第二発明の高白色新聞用紙は、原紙に含まれる填料の主成分が軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする(1)に記載の高白色新聞用紙。である。
その他の填料としては、ホワイトカーボン、クレー、タルク、二酸化チタンなどを、特に制限なく使用できる。なお、灰分はJISP8251:2003に基づく、燃焼温度525℃の灰分である。本発明の高白色新聞用紙では、灰分を7.0〜15%として、白色度が75〜85%とされている。
本発明の高白色新聞用紙は、一般の新聞用紙より白色度が高いのでインクの裏抜けが目立ちやすく、地合いが良いことが求められる。よって、強度と地合いのバランスを考慮すると、広葉樹クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプでは、広葉樹クラフトパルプを主体に使用することが好ましい。例えば広葉樹クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプの配合割合を100:0〜50:50(絶乾質量比)の範囲とすることで、強度が高く地合いが良好な高白色新聞用紙を得ることができる。
クラフトパルプ以外のパルプとしては、古紙脱墨パルプ(DIP)、機械パルプなどが使用でき、DIPだと古紙利用率の向上という点で好ましく、機械パルプだと新聞用紙の不透明度を高くできるという点で好ましい。DIPを使用する場合は、DIPに含有するクラフトパルプを前述したクラフトパルプの含有割合に含めることができる。機械パルプとしては、ストーングランドパルプ、加圧ストーングランドパルプ、リファイナーグラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等が挙げられるが、ストーングランドパルプまたは加圧ストーングランドパルプ、リファイナーグラウンドパルプ、ケミメカニカルパルプなどの加熱処理を行わない機械パルプを使用するのが好ましい。これらの機械パルプは漂白処理により白色度を容易に調整することができる。
J/W比は、抄紙機のインレットから紙料を噴出する速度(J)と抄紙機のワイヤ−速度(W)の比率であり、通常地合いを均一にするために調整されている。本発明では、J/W比により引張り特性が調整されており、例えば繊維を縦並び傾向にすると、引張り強さ(縦)を上げることができるが、引張り強さ(横)は下がる傾向がある。
F:振動数〔回/分〕
A:振幅〔インチ〕
S:抄紙機スピード〔フィート/分〕
ただし、シェーキングは高速抄紙では効果が低く、ワイヤーパートに長網部を有する抄紙機でなければ適用できない。
ここで、印刷時の断紙とは、主に紙の縦方向の強度不足によるもので、印刷機のテンションに耐えられず、新聞用紙が断紙することを表す。また、破れとは、折部における三角板での裂けやニッピングローラーでの背破れの現象を表す。しわとは、紙の走行不良などにより発生するしわの現象を表す。
引張り強さ(縦)が2.5kN/m以上となるようにすることで、印刷時の断紙を防止することができる。また、引張り強さの縦横比が3.0〜4.0とすることで、破れやしわを防止することができる。引張り強さの縦横比が3.0より低いと引張り強さ(縦)を2.5kN/m以上とすることが難しくなり、印刷時の断紙を防止することが難しくなる。また、横方向の引裂き強さが低くなり、破れが発生しやすくなる。
引張り強さの縦横比が4.0より高いと、パルプ繊維の縦並びの傾向が強く、紙の横方向の強度が不足して、走行不良によるしわが発生しやすくなる。
以上のような理由により、引張り強さ(縦)が2.5kN/m以上、引張り強さの縦横比(縦/横)が3.0〜4.0とするのが好ましく、3.0〜3.5とするのがさらに好ましい。
更に、表面サイズ剤、染料、防滑剤、滑剤などの表面処理剤が使用できる。表面サイズ剤としては、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体などの樹脂が使用できる。
本発明では、表面処理剤に蛍光増白剤を含有させる。この際、蛍光強度が3.0〜5.0%の範囲となるようにすると視覚白さの向上効果が高くなる。このような蛍光強度を得るために必要な蛍光増白剤の塗布量は、片面あたり0.05〜0.5g/m2(有姿)程度である。
本発明の新聞用紙では蛍光強度は、3.0〜5.0%の範囲にあることが望ましく、3.0%より低いと視覚白さが弱く、5.0%より高くしても、蛍光増白剤の添加率の増加に対する蛍光強度の上昇が飽和してしまい、コスト的に不利になる。
本発明の新聞用紙の製造に際しては、表面処理剤の塗布後に、カレンダー装置により平滑化処理されるが、かかるカレンダー装置としては、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、シューカレンダーなどの一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。
本発明の新聞用紙の坪量は40〜60g/m2である。新聞用紙のその他の物性としては、オフセット印刷機で印刷可能である必要があり、通常の新聞用紙と同様の、引裂き強さ、平滑度、耐折度、剛度、サイズ度、摩擦係数などの物性を有するものであればよい。
(実施例1)
パルプ原料としてLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ、白色度85%、カナダ標準ろ水度320mlCSF)25質量%、RGP(リファイナーグラウンドパルプ、白色度78%、カナダ標準ろ水度55mlCSF)40質量%、TMP(サーモメカニカルパルプ、白色度70%、カナダ標準ろ水度90mlCSF)35質量%を配合し、パルプ原料に対し、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー株式会社製 商品名CATO304)0.3質量%、硫酸バンド(アルミナ換算濃度8%品:有姿)1.5質量%、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製 商品名タマパールTP−221BM)を14質量%添加した紙料を調整した。この紙料を抄紙し、表面処理剤として、酸化澱粉(日本コーンスターチ株式会社製 商品名:SK−150)90質量%と蛍光増白剤(日本化薬株式会社製 商品名:カヤホールPASQLiquid)10質量%(有姿)を混合し、澱粉濃度が10質量%となるように希釈したものを、オンマシンゲートロールコーターを用いて、澱粉塗布量が片面0.8g/m2(両面同じ塗布量)となるように塗布して、坪量55.0g/m2の高白色新聞用紙を製造した。
(実施例3)パルプ配合をLBKP60質量%、RGP10質量%、TMP30質量%としたこと、填料として軽質炭酸カルシウムを28質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更したこと、表面処理剤の塗布量を澱粉塗布量が片面2.0g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(実施例4)パルプ配合をLBKP10質量%、RGP40質量%、TMP50質量%とし、填料として軽質炭酸カルシウムを13質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更した以外は実施例1と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(実施例5)パルプ配合をLBKP20質量%、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ、白色度83%、カナダ標準ろ水度500mlCSF)20質量%、RGP30質量%、TMP30質量%としたこと、填料として軽質炭酸カルシウムを18質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更した以外は実施例1と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(実施例6)パルプ配合をLBKP50質量%、NBKP10質量%、RGP10質量%、TMP30質量%としたこと、填料として軽質炭酸カルシウムを10質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更したこと、坪量を45.0g/m2とした以外は実施例3と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(比較例2)パルプ配合をLBKP65質量%、RGP20質量%、TMP15質量%としたこと、填料として軽質炭酸カルシウムを30質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更したこと、表面処理剤の塗布量を澱粉塗布量が片面0.5g/m2となるようにしたこと以外は実施例1と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(比較例3)表面処理剤の塗布量を澱粉塗布量が片面0.2g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に、高白色新聞用紙を製造した。
(比較例4)表面処理剤の塗布量を澱粉塗布量が片面2.4g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に、高白色新聞用紙を製造した。
(比較例5)パルプ配合をLBKP10質量%、RGP40質量%、TMP50質量%としたこと、表面処理剤の塗布量を澱粉塗布量が片面0.5g/m2となるようにしたこと、填料として軽質炭酸カルシウムを30質量%添加したこと、J/W比を変更して引張り強さの縦横比を変更したこと以外は実施例3と同様に高白色新聞用紙を製造した。
(比較例6)填料として軽質炭酸カルシウムを30質量%添加したこと以外は実施例6と同様に高白色新聞用紙を製造した。
[灰分]JISP8251:2003に基づく、燃焼温度525℃の灰分を測定した。
[白色度]JISP8148:2001に準じて測定した。
[蛍光強度]日本電色工業株式会社製の分光式白色差計PF−10用い、パルスキセノンランプを光源として使用し、JIS P8148(2001年)に従って測定する白色度において、光路に420nmカットオフフィルターを挿入しない場合から同フィルターを挿入した場合の白色度を引いた値を蛍光強度とした。
[引張り強さ]JISP8113:2006に基づき、引張り強さ(縦)と(横)を測定した。
[印刷見映え、破れ、しわ評価方法]東芝オフセット輪転機を用い、印刷速度700rpmで4色印刷を行い、印刷の見映えを4段階(良◎>○>△>×悪)で相対評価した。また破れ評価は18万部印刷する間の破れの発生回数とした。しわ評価は、印刷時のしわの発生有無により、しわが発生しなかった場合を○、しわが発生した場合を×で評価した。
一方、表2に示した比較例1は、灰分が4.5%と実施例1の8.0%と比べて低いので、白色度が76.3%と実施例1の79.0%より低くなっており、印刷見映え評価が悪くなっている。また、LBKPの配合率が5質量%と実施例1の25質量%と比べて低いので、引張り強さ縦は実施例1の2.68kN/mに対し2.45kN/mと低くなっており、破れ評価が悪くなっている。
比較例2は、灰分が15.5%と高いので、白色度が79.0%と高くなっているが、LBKPの配合率が65質量%と高いので印刷見映え評価が悪くなっている。また、引張り強さ縦は実施例1の2.68kN/mに対し2.93kN/mと高くなっており、破れ評価は良いが、引張り強さの縦横比が4.04と高いのでしわ評価が悪くなっている。
比較例3は、蛍光強度が1.5%と低いので、印刷見映え評価が悪くなっている。
比較例4は、蛍光増白剤塗布量が0.24g/m2と実施例6の0.20g/m2より多いが、蛍光強度は5.0%と実施例6の4.8%とほとんど変わらず、蛍光が飽和していることがわかる。
比較例5は、引張り強さ縦が2.48kN/mと低く、しかも引張り強さの縦横比が2.95と低いので、破れ評価が悪くなっている。
比較例6は、引張り強さの縦横比が4.02と高いので、破れ評価は良いが、しわ評価が悪くなっている。
Claims (2)
- クラフトパルプを10〜60質量%含有する木材パルプを主原料とした原紙に、水溶性バインダーと蛍光増白剤を主成分とする表面処理剤(ただし、表面処理剤は顔料を含まない)を塗布した高白色新聞用紙であって、灰分が7.0〜15%に調整され、蛍光強度が3.0〜5.0%に調整され、引張り強さ(縦)が2.5kN/m以上、引張り強さの縦横比(縦/横)が3.0〜4.0とされていることを特徴とする白色度75〜85%、坪量45〜60g/m2の高白色新聞用紙。
- 原紙に含まれる填料の主成分が軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の高白色新聞用紙。
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