JP2017201071A - タルク含有紙 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]タルクの含有量は、無機填料の全質量に対して30〜90質量%である[1]に記載の紙。
[3]タルクの全質量に対する石英の含有量が0.8質量%以下である[1]又は[2]に記載の紙。
[4]前記石英の平均粒径が30μm以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の紙。
[5]パルプはアカシア由来のパルプを含む[1]〜[6]のいずれかに記載の紙。
[6]アカシア由来のパルプの含有量はパルプの全質量に対して30質量%以上である[5]に記載の紙。
[7]ギャップフォーマー式抄紙機を用いて製造される[1]〜[6]のいずれかに記載の紙。
本発明は、パルプと無機填料を含有する紙に関する。本発明の紙中の無機填料の含有量は、パルプの全質量に対して2〜40質量%である。さらに、無機填料はタルクを含有し、タルクの含有量は、無機填料の全質量に対して10〜100質量%である。また、紙中のタルクの全質量に対する石英の含有量は1.2質量%以下である。本発明では、紙中のタルクに対する石英の含有量を一定値以下とすることにより、印刷時の版の摩耗を引き起こしにくい紙であって、印刷時の走行性が良好な紙を得ることができる。
本発明の紙は、無機填料を含有し、無機填料の含有量は、パルプの全質量に対して2〜40質量%であり、3〜25質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。また、無機填料はタルクを含有し、タルクの含有量は、無機填料の全質量に対して10〜100質量%であり、30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。このように、上記範囲内で無機填料としてタルクを含有することにより紙の静摩擦係数を好ましい範囲内とすることができ、印刷時の走行性を向上させることができる。つまり、印刷時の走行性を向上させるとは、重送を抑制し、かつ空送も防ぐことをいう。
ここで、タルクの平均粒径とは、レーザー回折法によるタルク粒子の粒度分布曲線の50体積%(D50)の粒子径である。石英の平均粒径は、JIS P8136にある学振式摩擦試験機(昭和重機製)を用いて、紙とPS(Pre−Sensitized)版を接触させた後、200gの荷重を負荷し、移動距離100mm、摩擦台を毎分30往復の走行スピードで、50回往復させた後に、版と擦った紙の表面を分析し、SiとOのみが検出された全ての粒子を電子顕微鏡で撮影し、その平均粒径を求めたものである。平均粒径は個々の粒子の長軸径と短軸径(何れも投影径)の平均値である。
電子顕微鏡としては、日立製作所製のS3600Nを用いることができる。ここでは、加速電圧を15kv、エミッション電流を44μA、低真空を30Paの条件とし、反射電子像は300又は2000倍とし、市販のカーボンテープ(日新EM製)にて採取し、無蒸着で観察することが好ましい。
また、図1(b)は、2000倍の倍率で観察したブランケット付着物を示す。付着物は一辺約40μmの三角形でSi、Oのみ検出したことから、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)に付随する石英(SiO2)の可能性が高いことがわかった。
X線回折装置としては、例えばリガク社製のRINT−UltimaIII (Cu管球、CuKa 1.541871Å)を用いることができる。ここでは、光学系は平衡ビーム光学系(CBO)、X線管電圧40kV、管電流40mAの条件にすることが好ましい。X線回折用試料は、前処理を行ったものを用いることが好ましい。前処理の条件は、例えば、混合は粉砕機を使用して10分間、成型は3点の平均、好ましくは5点の平均、さらに好ましくは10点の平均であることが好ましい。回転は1分間に120回転とすることができる。
この検量線を用いることにより、X線回折法でタルク中の微量石英を定量分析することができる。X線回折法による分析結果は、電子顕微鏡観察及び学振式摩擦試験機を用いた解析結果とも同じ傾向であった。このように、本発明では、石英が版磨耗の原因であることを突き止めただけではなく、X線回折法で填料中の石英定量分析することにより版磨耗評価を迅速に行うスクリーニング法も示すことにも成功した。
本発明の紙はパルプを含み、例えば、広葉樹由来のパルプ、針葉樹由来のパルプ、非木材由来のパルプを用いることができる。広葉樹クラフトパルプとしては、例えば、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。また、針葉樹クラフトパルプとしては、例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ等を挙げることができる。
本発明では、上述した無機填料以外の内添薬品を加えてもよい。内添薬品としては、例えば、硫酸バンド等の薬品定着剤、ロジン等のサイズ剤、ポリアクリルアマイド、澱粉等の紙力増強剤、ポリアマイド等の濾水度歩留り向上剤、ポリアミド、ポリアミン、エピクロルヒドリン等の耐水化剤、消泡剤、塩基性染料、酸性染料、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料等の公知の種々のものを挙げることができる。
<蒸解工程>
蒸解工程は、上述したパルプ原料をチップなどの形態にして蒸解し、未漂白パルプを得る工程である。蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、又はアルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができる。
漂白工程は、蒸解工程により得られた未漂白パルプに対して、粗選及び精選を適宜行ってから、漂白を行う工程である。漂白工程としては、アルカリ酸素漂白法、及び多段漂白などを順次実施する工程が挙げられる。これらの各漂白の間には洗浄を行い、最後の漂白の後には洗浄及び脱水を行うことが好ましい。
漂白工程により得られた漂白パルプは、叩解工程を経て抄紙工程へ送られることが好ましい。叩解工程では、パルプのフリーネスが350〜650mlCSFとなるように叩解することが好ましい。
抄紙方法としては、酸性抄紙法あるいは中性ないしアルカリ性抄紙法が任意に採用できる。抄紙機としては、ツインワイヤー式抄紙機、ギャップフォーマー式抄紙機、長網抄紙機、円網抄紙機、オントップ型抄紙機、又はヤンキー抄紙機等を用いることができる。中でも、抄紙工程では、ツインワイヤー式抄紙機又はギャップフォーマー式抄紙機を用いることが好ましく、ギャップフォーマー式抄紙機を用いることが特に好ましい。ツインワイヤー式抄紙機やギャップフォーマー式抄紙機は、原料を2枚のワイヤーに挟みながら走行させることにより、上下両方に脱水する型式の抄紙機である。このため、原料はその両側でほぼ均等に脱水され、脱水速度が高められる。すなわち、ツインワイヤー式抄紙機やギャップフォーマー式抄紙機はでは高速抄紙が可能となり、かつ得られた紙の裏表間の風合いの差が小さくなるという利点がある。
本発明の紙の製造工程では、表面強度を向上させたり、接着剤との接着性を高めるため、紙の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加圧可能なリール間で紙を加圧処理することにより実施することが好ましい。また、平滑化処理を施す際に、紙の表面に接するロールは平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールがあることが好ましい。
広葉樹晒クラフトパルプ(質量比として、アカシアアウリカリフォルミス:ユーカリカマルドレンシス:ユーカリグロブラス=40:40:20)からなるパルプスラリー100質量部に、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤(荒川化学工業社製、ファイブラン81K)0.04質量部(対パルプ、固形分換算)、硫酸アルミニウムを0.5質量部(対パルプ、固形分換算)、カチオン化澱粉(王子コーンスターチ社製、王子エースK)1.1質量部(対パルプ、固形分換算)、無機填料8質量部(対パルプの全質量、固形分換算)を添加して紙料を調整した。無機填料は、平均粒径9.5μmのタルクA(石英含有量:0.7質量%、平均粒径:9μm)70質量%と、軽質炭酸カルシウム(平均粒径:2μm)30質量%を併用したものを用いた。
この紙料を表1に示す抄紙速度でギャップフォーマー方式により紙層を形成し、ロールプレスで搾水後、ドライヤーで乾燥し、2ロールサイズプレス装置で表面サイズ処理を行った。表面サイズ処理では、酸化澱粉2質量部、スチレン−メタクリル酸共重合体系表面サイズ剤(荒川化学工業社製、ポリマロンNP−25)0.10質量部、及び芒硝0.3質量部よりなるサイズプレス液を固形分で0.5g/m2となるように塗布し、カレンダー処理して、水分4.5質量%、坪量64g/m2の紙を得た。
タルクAを平均粒径が7μmのタルクB(石英含有量:測定できる下限値以下)に変更した以外は実施例1と同様にして紙を抄造した。ここで、石英含有量測定下限は0.1質量%であった。
タルクAを平均粒径が7μmのタルクC(石英含有量:0.7質量%、平均粒径:8μm)に変更した以外は実施例1と同様にして紙を抄造した。
タルクAを平均粒径が7μmのタルクD(石英含有量:1.1質量%、平均粒径:8μm)に変更した以外は実施例1と同様にして紙を抄造した。
タルクAを、タルクBと平均粒径7μmのタルクE(石英含有量:2.2質量%、平均粒径:6μm)の混合品(混合比率は質量比として1:1、石英含有量:1.1質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして紙を抄造した。
タルクAを平均粒径11μmのタルクF(石英含有量:0.7質量%、平均粒径:14μm)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAを平均粒径11μmのタルクG(石英含有量:0.3質量%、平均粒径:12μm)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAを平均粒径18μmのタルクH(石英含有量:0.7質量%、平均粒径:25μm)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAを平均粒径18μmのタルクI(石英含有量:測定できる下限値以下)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
無機填料は、タルクA50質量%と、軽質炭酸カルシウム(平均粒径:2μm)50質量%を併用したものを用いた。それ以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
無機填料は、タルクA25質量%と、軽質炭酸カルシウム(平均粒径:2μm)75質量%を併用したものを用いた。それ以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
広葉樹晒クラフトパルプの原料をアカシアアウリカリフォルミスのみにし、抄紙速度を変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
広葉樹晒クラフトパルプの原料をユーカリカマルドレンシスのみにし、抄紙速度を変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
パルプスラリーを針葉樹晒クラフトパルプ(質量比として、ダグラスファー:ラジアータパイン:カリビアンパイン=1:1:1)30質量部と広葉樹晒クラフトパルプ(質量比として、アカシアアウリカリフォルミス:ユーカリカマルドレンシス:ユーカリグロブラス=40:40:20)70質量部からなるパルプスラリーに変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAを平均粒径7μmのタルクJ(石英含有量:1.4質量%、平均粒径:8μm)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAを平均粒径11μmのタルクK(石英含有量:1.4質量%、平均粒径:15μm)に変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
タルクAをタルクEに変更した以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
無機填料を軽質炭酸カルシウム(平均粒径:2μm)のみにした以外は実施例1と同様に紙を抄造した。
一定条件で摩擦試験を行う装置として、JIS P8136にある学振式摩擦試験機(昭和重機製)を使用した。この試験機は紙とPS(Pre−Sensitized)版を接触させた後、200gの荷重を負荷し、移動距離100mm、摩擦台を毎分30往復の走行スピードで、50回往復させる条件で行った。PS版の傷判定は5段階の目視評価で行い、数値が小さい程、版磨耗が大きい指標なる。
5:磨耗が見られない。
4:僅かに磨耗があった。
3:少し磨耗が見られたが、実用上問題ないレベル。
2:摩耗が多く見られ、実用上問題のあるレベル。
1:磨耗がかなりひどい。
走行性評価は、セイコーエプソン(株)製のモノクロレーザープリンタLP8600を用い、23℃、相対湿度50%の環境下で実施した。給紙サンプルは、包装開封後、直ちに複写機の手差しトレイに置き、1000枚走行させ、その時の走行不良(空送、紙詰まり及び重送)の発生枚数の合計を走行トラブル数としてカウントした。走行不良の発生枚数を下記の基準で判定し、表1に記載する。
A:0〜3枚
B:4〜6枚
C:7〜10枚
D:11枚以上
一方、比較例1〜3では、版の摩耗が多く見られ、実用上問題のあるレベルであった。また、比較例4では。走行不良が多く発生しており、実用上問題のあるレベルであった。
Claims (7)
- パルプと無機填料を含有する紙であって、
前記無機填料の含有量は、前記パルプの全質量に対して2〜40質量%であり、
前記無機填料はタルクを含有し、前記タルクの含有量は、前記無機填料の全質量に対して10〜100質量%であり、
前記タルクの全質量に対する石英の含有量が1.2質量%以下であることを特徴とする紙。 - 前記タルクの含有量は、前記無機填料の全質量に対して30〜90質量%である請求項1に記載の紙。
- 前記タルクの全質量に対する石英の含有量が0.8質量%以下である請求項1又は2に記載の紙。
- 前記石英の平均粒径が30μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の紙。
- 前記パルプはアカシア由来のパルプを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の紙。
- 前記アカシア由来のパルプの含有量は前記パルプの全質量に対して30質量%以上である請求項5に記載の紙。
- ギャップフォーマー式抄紙機を用いて製造される請求項1〜6のいずれか1項に記載の紙。
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