JP4052083B2 - 低米坪印刷用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は米坪が30g/m2以下の印刷用紙に関し、更に詳しくは低米坪でありながら印刷適性に優れ、高速で安定的に冊子を得るための製本適性を備えた低米坪印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報量増大に対応するため、CD、DVDなどのコンパクトな電子記録方法が印刷物の代替手段として使用されることも多々見られるようになったが、依然として印刷物のような汎用性のあるハードコピーを必要としている分野は多く、中でも米坪が30g/m2以下の低米坪印刷用紙の需要が増大している。
具体的に低米坪印刷用紙を必要としている分野としては、銀行、証券、保険などの約款書、携帯用辞書類、携帯電話をはじめとする電子機器の取扱説明書などが代表的である。
【0003】
特に複雑化し、情報量の増えた内容を確実にハードコピーとして契約者に提供することが義務付けられている約款書では、情報量の増えた分は冊子の増ページ、紙面の拡大などで対応されるが、冊子であれば増頁、重量増、容積増によるハンドリングの低下、輸送コストの増大が新たな問題となる。
そこで印刷用紙を軽量化、薄葉化し、情報量が増えても、冊子の増頁、重量増、容積増を極力抑えたいという要望が強い。
【0004】
このような問題の解決のため、印刷用紙の軽量化、薄葉化が種々提案されているが、単に低米坪化、薄葉化したのでは不透明度が低下して、紙の印刷画像が透けて見える透き通しや、印刷インキ中のビヒクルが印刷用紙中に浸透して用紙の裏面から見えるストライクスルー(裏抜け)、ピンホール、ケント不良など、印刷適性に不都合を生じ、また、紙の強度が不足して、印刷中、あるいは使用中の断紙などの問題が生じる。
【0005】
ストライクスルーやピンホールをなくすためには、セルロース繊維を微細化し、紙中へ有機、無機の白色隠蔽性顔料を多量に添加し、かつこれらを紙中に保持するために水溶性樹脂などでセルロース繊維に固着させることが行われるが、紙の機械的強度を発現するためのセルロース繊維の含有量が絶対的に減少するため、印刷工程で紙の伸び縮みによる印刷の位置精度不良、引っ張り強度不足による断紙などの問題が生じる。また、製本工程では紙の伸び縮みによる帳合不良などの問題が生じる。
【0006】
そこで紙の表面に吸水性のケイ酸層(特にベントナイト)を設けることにより、小さな坪量にもかかわらず、良好な印刷不透明度を有する薄様印刷用紙の技術(特許文献1参照)が提案されているが、この薄様印刷用紙はベントナイトの強い吸水性のため、特に30g/m2以下の低米坪印刷用紙では紙の剛度が低下し、製本適性が低下する。(コレーター時に伸びたり、しわが入ったりする。)
【0007】
また、バクテリアセルロースを使用することにより、低米坪でもピンホールが少なく、ストライクスルーがおこりにくい薄様印刷用紙の技術(特許文献2参照)が提案されているが、この薄様印刷用紙はバクテリアセルロースを使用することにより、透気度が400秒を超えて大となる恐れがあるうえ、繊維結合が増えるために紙の縮率が大きくなってしまう。
したがって、紙を薄様化した時の印刷適性の問題は、いまだ十分に解決されていない。さらに製本適性の問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特表平8−508070号公報
【特許文献2】
特開平11−61678号公報
【0009】
30g/m2以下の低米坪印刷用紙を銀行、証券、保険など約款書、携帯用辞書類、携帯電話をはじめとする電子機器の取扱説明書などの冊子にする場合、あらかじめ表面に印刷を施し、用紙の両端にパンチ孔(マージナルパンチともいう)をあけた巻取りを作成する。次に冊子に必要な数の同様な巻取りをコレーター(帳合機)にかける。その後パンチ孔をガイドとして多数枚の印刷用紙を重ね合わせ、所定の位置で断裁し多数枚の冊子状とする。その後、更に釘止め、折り、端部の糊付けなどの方法を用いて固定し、冊子が作成される。印刷時に両端部にあけたパンチ孔がガイドとなり、紙送りを正確にかつ位置精度を向上させている。
【0010】
しかしながら、印刷済印刷用紙を帳合機にかけた時に、パンチ孔間隔が同一でないと帳合不良となり、冊子が出来ないという問題が生じる。
このようなパンチ孔の位置不良は、印刷前後の紙の伸縮差が大きい場合に生じ、米坪が30g/m2以下、特に28g/m2以下に低下すると伸縮差が顕著になり、上記のような問題を生じている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、印刷適性、及び製本適性に優れた米坪30g/m2以下、特に18〜28g/m2の低米坪印刷用紙を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、上記課題は紙の透気度、不透明度、WAXピック表面強度、引っ張り強度、紙の表面―表面、表面―裏面、裏面―裏面の各々の静摩擦係数、縮率を一定の範囲にすることにより、解決可能であることを見出した。
【0013】
本発明は、以下の(1)〜(12)に規定する条件を満たす、米坪が30g/m2以下の低米坪印刷用紙である。
(1)透気度(JIS P 8117)50〜400秒
(2)不透明度(JIS P 8138)70%以上
(3)WAXピック表面強度(JIS P 8129)5A以上
(4)引っ張り強度(JIS P 8113)2.5kN/m以上
(5)紙の表面−表面、表面−裏面、裏面−裏面の各々の静摩擦係数(JIS P 8147に準ずる)が0.60以下
(6)縮率が0.1%以下(ここで縮率とは、23℃、50%RHの雰囲気で紙の流れ方向に沿って横100mm、縦1mの紙片を用意し、長辺の端部に均一に2kg/100mmの荷重をかけて牽引し、その状態を1週間保持した後荷重を解き、1時間後に求めた縮率をいう。)
【0014】
(7)針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合比が20/80〜80/20
(8)パルプのカナダ標準ろ水度が50〜150m1(CSF)
(9)内添の填料は、吸油量(JIS K 5101に基づく)30m1/100g以上の白色顔料である
(10)紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量〔=(白色顔料の吸油量÷100)×(紙1g当たりに含まれる白色顔料量)〕が0.03〜0.10m1である
(11)灰分(JIS P 8128に準ずる)は30%以下である。
【0015】
本発明は、更に以下の態様を包含する。
前記低米坪印刷用紙を小巻巻取りにした場合、小巻巻取りは、スイス・プロセク社製シュミット・ペーパーロールテストハンマーLR型で測定した巻き硬さがシュミットハンマー値で20〜50、そのバラツキが8以内(5点以上測定した時の値)であり、かつ、常温で1週間エージングしたものである低米坪印刷用紙。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の低米坪印刷用紙は、米坪が30g/m2以下、特に18〜28g/m2の低米坪印刷用紙であり、透気度(JIS P 8117)が50〜400秒である。透気度が下限に満たないと、印刷時にインキ成分の一部が浸透して裏まで抜けるストライクスルーを起こすため好ましくない。また、上限を超えると空気の抜けが悪いため、特に低米坪であるが故、製本時しわ発生の原因となり、いずれの場合も本発明の目的を達成することができない。
【0017】
また、本発明の低米坪印刷用紙は、不透明度(JIS P 8138)70%以上である。不透明度が下限に満たないと印刷が裏面から透けて見え、印刷物が読みにくくなるため好ましくない。
【0018】
また、本発明の低米坪印刷用紙は、WAXピック表面強度(JIS P 8129)5A以上である。WAXピック表面強度が下限に満たないと、紙むけや白抜けを起こすため好ましくない。
【0019】
また、本発明の低米坪印刷用紙は、引っ張り強度(JIS P 8113)2.5kN/m以上である。引っ張り強度が下限に満たないと、印刷時の紙切れや、製本時にコレーター(帳合機)にかけたときに紙切れを起こすため、好ましくない。
【0020】
また、本発明の低米坪印刷用紙は、製本時の折れしわ対策として、紙の表面―表面、表面―裏面、裏面―裏面の各々の静摩擦係数(JIS−P−8147に準ずる)が0.60以下であることが必要である。各々の静摩擦係数が0.60を超えると、しわが入りやすい。
【0021】
また、本発明の低米坪印刷用紙は、前記した縮率が0.1%以下である。縮率が0.1%を超えて大きい場合には、印刷後、パンチ孔の位置がずれて帳合い(コレータ)不良をおこすため、好ましくない。
【0022】
本発明者らは、更に上記した条件の低米坪印刷用紙をつくる方法について研究した。
低米坪印刷用紙では、印刷時のインキの裏移り、ストライクスルーの問題を解決するため、一般には無機又は有機白色顔料を紙層中に内添することが行わているが、内添の填料量を増加すれば印刷時のインキの裏移り、ストライクスルーなどの問題は解決されるが、繊維同士の結合点が減少し、引っ張り強度、引き裂き強度などの紙力低下を招く。また、添加する無機又は有機白色顔料の吸油量が大きいほど紙のインク吸収能力が大きいため、印刷時のインキの裏移り、ストライクスルーなどの問題は解決されるが、吸油量の大きい顔料は見掛けの比重が小さく、繊維同士の結合点を減少させるため、同様に紙力低下を招く。
そこで本発明者らは、米坪30g/m2以下の低米坪印刷用紙について、原料パルプ、内添填料等の研究を行い、その印刷適性及び紙力との関係を仔細に見当した結果、本発明に到達したものである。
【0023】
上記した本発明の低米坪印刷用紙は、下記の条件を満たすことによって作ることが出来る。
▲1▼針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合比が20/80〜80/20
▲2▼パルプのカナダ標準ろ水度が50〜150ml(CSF)
▲3▼内添の填料は、吸油量(JIS K 5101に基づく)30ml/100g以上の白色顔料である
▲4▼紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量〔=(白色顔料の吸油量÷100)×(紙1g当たりに含まれる白色顔料量)〕が0.03〜0.10mlである
▲5▼灰分(JIS P 8128に準ずる)は30%以下である
【0024】
本発明で用いるパルプは、一般に使用される木材パルプやケナフ、竹、バガス、麻などの非木材パルプをいう。特に針葉樹パルプは強度発現には有効であるが、添加量が増すに連れて地合が悪化するため、印刷適性及び外観が悪化し、また地合が悪化して部分的にパルプの少ない部分ができるため、その部分で強度が低下して破壊が生じ、引っ張り、引き裂き強度が低下する。
【0025】
それを補うために、本発明においては他のパルプを併用する。すなわち、本発明においては針葉樹パルプ(以下Nパルプと略す)と広葉樹パルプ(以下Lパルプと略す)を混合してし使用し、混合割合としてはN/Lパルプ20/80〜80/20が強度、地合の面で好ましい範囲である。
Nパルプの割合が下限に満たないと、強度が低下し、上限を超えると地合が悪化するため、印刷適性及び外観が悪化し、また部分的にパルプの少ない部分ができるため、その部分で強度が低下する場合がある。
Lパルプの割合が下限に満たないと、地合いを良くするための効果が充分でなく、上限を超えると強度が低下する。
なお、本発明の低米坪印刷用紙には、本発明の目的を損なわない範囲で、高歩留パルプや、各種の回収古紙パルプも使用できる。
【0026】
また、パルプのカナダ標準ろ水度は50〜150ml(CSF)が好ましい。
米坪が30g/m2以下、特に28g/m2になると、インクのストライクスルーが問題になってくるため、透気度は50〜400秒が好ましく、そのためにパルプのカナダ標準ろ水度は50〜150mlCSFに調整することが好ましい。パルプのカナダ標準ろ水度が下限に満たないと、透気度が400秒を超えて高くなり、縮率が大きくなるため好ましくない。また、上限を超えると透気度が50秒を割るだけでなく、強度も低くなるため好ましくない。
【0027】
また、内添の填料は、吸油量(JIS K 5101に基づく)30ml/100g以上の白色顔料が好ましい。内添填料の吸油量が30ml/100gに満たない場合には、印刷時のインキの油成分の吸収が悪くなり、ストライクスルーを起こすため、好ましくない。
本発明に用いられる代表的な製紙用内添填料の種類と吸油量(ml/100g)は下記のとおりであるが、製法、粒子径、結晶形などによりかなり幅がある。
例えば、炭酸カルシウム(30〜60)、シリカ(70〜300)、酸化亜鉛(10〜40)、酸化チタン(20〜40)、水酸化アルミニウム(20〜45)、クレー(30〜40)、タルク(20〜30)、焼成カオリン(60〜90)、化学結合された構造化カオリン(50〜100)、合成ゼオライト(10〜40)等があげられる。
【0028】
紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量〔=(白色顔料の吸油量÷100)×(紙1g当たりに含まれる白色顔料量)〕は0.03〜0.10mlが好ましい。吸油量が下限に満たないと印刷時のインキの油成分の吸収が悪くなり、ストライクスルーを起こすため、好ましくない。また、上限を超えた場合は紙力が低下するため好ましくない。
【0029】
灰分(JIS P 8128に準ずる)は3〜30質量%以下が好ましい。
灰分が3質量%に満たないと、内添填料の吸油量が少なすぎてストライクスルーを起こすことがある。また、30質量%を超えた場合は紙力が低下するため、好ましくない。
【0030】
このような内添填料を使用することにより、紙力を低下させることなく、不透明度70%以上、透気度50〜400秒、WAXピック表面強度5A以上の印刷用紙を得ることができ、印刷適性を向上させることが可能になった。
【0031】
紙の表面―表面、表面―裏面、裏面―裏面の各々の静摩擦係数(JIS−P−8147に準ずる)を0.60以下にする方法としては、ポリエチレンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などに代表される脂肪酸金属塩、鉱物ワックス類、飽和、不飽和脂肪酸アルキルケテンダイマー等の滑り性を発現することが出来る薬品を内添するか、サイズプレスやゲートロールコーターなどの一般的な方法により付与することが出来る。
また、印刷工程において印刷インキ内に上記のような滑り性発現剤を添加させたり、部分的に滑り性を改良させる目的で印刷しても良い。
【0032】
原紙の抄紙方法については、特に限定されるものではなく、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙のいずれであってもよい。また、紙力増強剤、填料、顔料、着色染料、歩留向上剤、硫酸バンド、消泡剤等の抄紙用補助薬品が必要に応じてパルプスラリーに添加され、フォードリニア、ツインワイヤー、オントップワイヤー等の公知の抄紙機で抄造されるが、中でもオントップワイヤー方式が望ましい。さらに、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドゥエルコーター等によって、塗布層を塗工してもよい。
【0033】
本発明の低米坪印刷用紙の製造では、スーパーカレンダー、オンマシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、グロスカレンダー等、一般的なカレンダー処理のすべてが適用でき、紙の表面―表面、表面―裏面、裏面―裏面の各々の静摩擦係数(JIS−P−8147に準ずる)を0.60以下の範囲にするものであればいずれでも良い。
【0034】
本発明の低米坪印刷用紙の印刷方法には平版及び巻取り印刷があるが、本発明で課題としている30g/m2以下の低米坪印刷用紙の印刷は、平版印刷では紙のハンドリングなどの点(くわえしわ、反転じわ、折れなど)で多大な問題があるため、巻取りで印刷されることが多い。
そこで本発明の低米坪印刷用紙は、巻取りで印刷される場合、抄紙後の巻取りを更にワインダーで印刷機のサイズに小巻巻取りにして使用するが、その場合仕上げた時の巻き硬さ(又は巻き上げ時の張力。硬さを調整する為には巻き張力が重要となるが、各巻上げ機のロール配置やパス長さなどにより張力は異なるので、巻き硬さとして管理することが重要である。)をある値の範囲に保持し、かつ1週間以上エージング処理することが好ましい。それにより、紙の繊維の固定化がなされ、紙の縮みが抑制される。
【0035】
小巻巻取りの巻き硬さは、シュミットハンマー値20〜50、そのバラツキが8以内(5点以上測定した時の値)に巻き上げることが好ましい。シュミットハンマー値が下限に満たないと巻取りが軟巻きとなり、輸送中の当て傷が生じやすい。また、上限を超えると巻取り外観がぼこつき、外観不良になるばかりでなく、縮み量が大きくなり、コレーター時に孔が揃わなくなる。
なお、本発明における縮率は、定義にあるように2kgの過重をかけるが、これはシュミットハンマー値を20〜50に入れるための張力を想定している。したがって、50以上であれば、当然縮み量は増える。
また、シュミットハンマー値のバラツキが8を超えると片弛みを生じ、好ましくない。
【0036】
シュミットハンマー値とは、スイス・プロセク社製シュミット・ペーパーロールテストハンマーLR型で巻取りに対して垂直に計器を当て、巻取りの硬さを測定した値である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるのもではない。なお、以下において%、部とあるものはそれぞれ質量%、質量部を示す。
【0038】
実施例1
NBKP(カナダ標準ろ水度100mlCSF、以下、かっこ内に数字でカナダ標準ろ水度を示す。)60%、LBKP(100mlCSF)40%、填料として軽質炭酸カルシウム(PC700:白石工業社製、吸油量40ml/100g)を乾紙質量当たり15%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合し、また内添薬品として対風乾パルプ当たり、AKDサイズ剤(SPK287:荒川化学社製)を有効成分で1.2%添加し、米坪25g/m2の塗料未塗工の原紙を、ツインワイヤー抄紙機にて得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(40÷100)×(0.15)=0.06mlとなる。
【0039】
静摩擦係数調整層の塗料として、ポリエチレンワックス(クリーテックスPN−40:日新化学社製、固形分濃度57.5%)10部、酸化澱粉(王子エースA:王子コンスターチ社製)20部及びアクリル共重合エマルジョン(モビニール735:ヘキスト合成社製)20部からなる濃度約15%の塗料を調製した。
片面0.3g/m2、両面0.6g/m2になるようサイズプレスコーターで塗布し、更にカレンダー処理し、裏表の平滑度が250秒の実施例1の印刷用紙を得た。
【0040】
実施例2
填料として軽質炭酸カルシウム(PC700:白石工業社製、吸油量40ml/100g)の代わりに合成珪酸アルミニウム(Sipernat820A:デグサ社製、吸油量200ml/100g)を乾紙質量当たり4%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合した以外は、実施例1と同様にして実施例2の印刷用紙を得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(200÷100)×(0.04)=0.08mlとなる。
【0041】
実施例3
填料として軽質炭酸カルシウム(PC700、白石工業社製、吸油量40ml/100g)の代わりに合成シリカ(サイリシア770:富士デビソン社製、吸油量95ml/100g)を乾紙質量当たり7%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合した以外は、実施例1と同様にして実施例3の印刷用紙を得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(95÷100)×(0.07)=0.067mlとなる。
【0042】
比較例1
填料として軽質炭酸カルシウム(PC700:白石工業社製、吸油量40ml/100g)を乾紙質量当たり30%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合し、静摩擦係数調整層の塗料の塗布量を片面0.15g/m2、両面0.3g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして比較例1の印刷用紙を得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(40÷100)×(0.30)=0.12mlとなる。
【0043】
比較例2
填料として軽質炭酸カルシウム(PC700:白石工業社製、吸油量40ml/100g)を乾紙質量当たり5%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合し、静摩擦係数調整層の塗料の塗布量を両面とも0g/m2とした以外は、実施例1と同様にして比較例2の印刷用紙を得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(40÷100)×(0.05)=0.02mlとなる。
【0044】
比較例3
合成シリカ(カープレックスCS−701:シオノギ製薬社製、吸油量200ml/100g)を乾紙質量当たり10%(灰分と内添填料量は同値と取り扱う。)となるように添加配合した以外は、比較例1と同様にして比較例3の印刷用紙を得た。
この時の紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量は(200÷100)×(0.10)=0.20mlとなる。
【0045】
実施例、比較例で得られた低米坪印刷用紙について、下記項目の測定を行った。測定方法も下記に記す。
▲1▼透気度(JIS P 8117)
▲2▼不透明度(JIS P 8138)
▲3▼WAXピック表面強度(JIS P 8129)
▲4▼引っ張り強度(JIS P 8113)
▲5▼静摩擦係数(JIS−P−8147に準ずる)
▲6▼縮率(23℃、50%RHの雰囲気で紙の流れ方向に沿って横100mm、縦1mの紙片を用意し、長辺の端部に均一に2kg/100mmの荷重をかけて牽引し、その状態を1週間保持した後荷重を解き、1時間後に縮率を求め、%で表示した。)
【0046】
実施例、比較例で得た低米坪印刷用紙を小巻仕上げし、印刷テスト、製本テストを行って印刷適性、製本適性を評価した。結果を表1に示す。
小巻巻取りは下記のようにして作成した。
印刷用紙を300mm×6000mに1軸スリッター(小森機械製)で巻き硬さをシュミットハンマー値で30〜40(この時の5点測定した時のバラツキRを7以内にした。)に仕上げ、小巻巻取りをつくった。
この小巻巻取りを吸放湿のないようにポリエチレンフィルムで梱包し、20℃の室内に1週間静置し、エージングした。
【0047】
<印刷適性>
上記小巻巻取りを使用し、太陽機械社製ビジネスフォーム印刷機にて印刷(オフセット輪転印刷方式)を行い、さらにJIS X 6195に定めるパンチ孔を両端にあけ、コレーター前の巻取りを得た。
速度 120m/min
印刷インキ 大阪印刷インキ社製 SP軽オフ用TOインキ(黒)
枚数 6000m印刷後評価
印刷適性評価基準は下記の通りである。
○:印刷良好。
△:紙むけが生じ、印刷面に白抜けがやや生じる。
×:紙むけが生じ、印刷面に白抜けが著しい。
【0048】
<製本適性>
前記コレーター前の巻取り5本を太陽機械製コレーターにかけ、中央部で釘打ち、折り返して製本した。製本適性評価基準は下記の通りである。
○:支障なく製本でき、出来た製品もよい。
△:製本は可能であるが、断紙、しわ、折不良が発生を起こす可能性があり、速度能率が低下する。
×:製本工程で断紙、しわ、折不良が発生する。また、コレート時に孔ずれが生じ、揃えができない。
【0049】
【表1】
【0050】
表1から明らかなように、本発明の低米坪印刷用紙は、低米坪でありながら印刷適性及び製本適性に優れたものであることが明らかである。
一方、比較例1は表面強度と引っ張り強度が低いために印刷適性が悪い。また、静摩擦係数も大きすぎて紙のすべりが悪く、製本時に折れじわがあった。
比較例2は静摩擦係数が大きすぎて紙のすべりが悪く、製本工程でしわが入った。また、紙の縮率が大きく、コレート時に孔ずれが大きく、機械の調製範囲外で製本できなかった。
比較例3は表面強度が低いために印刷時、印刷板に紙面より紙粉が取られ、印刷物に白抜けが発生した。更に引っ張り強度が弱いため、印刷工程及びコレーター工程で断紙が発生し、製品にならなかった。また、静摩擦係数も大きすぎて紙のすべりが悪く、折れじわが生じた。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、30g/m2以下の低米坪印刷用紙でありながら印刷適性に優れ、高速で安定的に冊子を得るための製本適性を備えた低米坪印刷用紙を得ることができる。
Claims (1)
- 下記の(1)〜(11)に規定する条件を満たす、米坪が30g/m2以下の低米坪印刷用紙。
(1)透気度(JIS P 8117)50〜400秒
(2)不透明度(JIS P 8138)70%以上
(3)WAXピック表面強度(JIS P 8129)5A以上
(4)引っ張り強度(JIS P 8113)2.5kN/m以上
(5)紙の表面−表面、表面−裏面、裏面−裏面の各々の静摩擦係数(JIS P 8147に準ずる)が0.60以下
(6)縮率が0.1%以下(ここで縮率とは、23℃、50%RHの雰囲気で紙の流れ方向に沿って横100mm、縦1mの紙片を用意し、長辺の端部に均一に2kg/100mmの荷重をかけて牽引し、その状態を1週間保持した後荷重を解き、1時間後に求めた縮率をいう。)
(7)針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合比が20/80〜80/20
(8)パルプのカナダ標準ろ水度が50〜150m1(CSF)
(9)内添の填料は、吸油量(JIS K 5101に基づく)30mm 1 /100g以上の白色顔料である
(10)紙1g当たりに含まれる内添填料が持つ吸油量〔=(白色顔料の吸油量÷100)×(紙1g当たりに含まれる白色顔料量)〕が0.03〜0.10m 1 である
(11)灰分(JIS P 8128に準ずる)は30%以下である。
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