JP6416189B2 - 誘電体基板上でのグラフェンの直接製造方法、及びそれに関連する物品/装置 - Google Patents

誘電体基板上でのグラフェンの直接製造方法、及びそれに関連する物品/装置 Download PDF

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Description

本出願は、2013年3月15日出願の米国特許出願番号第61/801、742号の利益を享受し、この内容を全て本明細書に参照として組み込む。
本出願は、2009年8月7日出願の米国特許出願番号第12/461、346号及び2009年12月15日出願の米国特許出願番号第12/654、269号の内容全てをそれぞれ参照として組み込む。
発明の特定の実施態様例は、グラフェンを含む薄膜に関する。特に、本発明の特定の実施態様例は、ガラス上への大規模なグラフェンの析出方法、及びそれに関連する物品/装置に関する。
インジウムスズ酸化物(ITO)膜及びフッ素ドープ酸化スズ(FTOまたはSnO:F)膜は、光電変換素子の窓電極として広く用いられている。この透明導電性酸化物(TCO)は様々な用途で非常に優れた成果をもたらしている。しかし、残念なことに、ITO及びFTOの使用は多くの理由で次第に問題となってきている。そのような問題の例としては、地球上で入手可能なインジウム元素の量が限られていること、酸若しくは塩基存在下でのTCOの不安定性、イオン伝導性層からのイオン拡散のし易さ、近赤外域(例えば、一部の光起電力素子に役立つ可能性のある強力なスペクトル)での透明性が限られていること、FTOの構造欠陥によって生じるFTO素子の高いリーク電流、などが挙げられる。ITOの脆性並びにその高い析出及び/又は加工温度がその用途を制限することもある。さらに、一部の用途では、SnO:Fの表面凹凸が、問題のあるアーク放電を引き起こす場合もある。
そのため、当該技術分野では、良好な安定性、高透明性及び優れた導電性を有する平坦でかつパターニング可能な電極材料が求められていることが分かるであろう。
良好な安定性、高透明性及び優れた導電性を有する新規電極材料について研究を行っている。この研究の一態様に、かかる従来のTCOに代わる有望なものを特定することが含まれている。この点において、本発明者は、炭素、より具体的にはグラフェンをベースとする有望な透明導電膜(TCC)を開発した。
グラフェンという語は、一般に、1層以上のグラファイト原子層を指し、例えば、単一グラフェン層又はSGLがn層のグラファイト層まで拡張可能である(例えば、nが、約10程度、好ましくは約5であってよい)。マンチェスター大学におけるグラフェンの最近の発見及び分離(結晶性グラファイトの割裂によるもの)は、電子工学の動きが回路素子の寸法をナノメートル規模へ縮小させる方向へ向いている時期とタイミングが合致した。この点において、グラフェンは、予想外にも、標準的な電子材料では遭遇しなかった特異的なオプトエレクトロニクス特性の新たな世界を引き起こした。これは、線形分散関係(E対k)から生まれ、これは、グラフェンに、静止質量がゼロでかつ相対論的粒子に似た挙動を示す電荷担体を生じさせる。炭素原子を周回する非局在化電子の相対理論に似た挙動は、グラフェンのハニカム格子の周期ポテンシャルとの相互作用に由来しており、低いエネルギー(E<1.2eV)では光の有効速度に関するディラックの(2+1)元方程式v≒c/300=10ms-1で正確に表される新たな擬粒子を生じさせる。そのため、十分に確立された量子電磁力学(QED)(光子を取り扱う)的技法がグラフェンの研究において実を結び、更に有利な態様によれば、このような影響がグラフェンでは300倍増幅される。例えば、一般的な結合定数αは、真空中の1/137に比較して、グラフェン中では約2である。さらに、グラフェンは電子バンドギャップを持たないことも分かっており、これにより、新規オプトエレクトロニクス用途への道を開くこともあり得る。
たった1原子の厚さ(最少で)にもかかわらず、グラフェンは化学的及び熱的に安定である(が、ときにはグラフェンは300℃で表面酸化が生じることもある)ことから、周囲の潜在的に厳しい条件に耐えるグラフェン系素子を上手く作製することができる。高品質グラフェンシートは最初、バルクグラファイトを微小機械劈開することによって作製された。同じ方法を微調整して、現在は最大100μmサイズの高品質グラフェン結晶が得られる。この寸法は、マイクロエレクトロニクス分野では大抵の研究目的に十分足りる。そのため、今までのところ主に大学で開発された大抵の技術は、顕微鏡サイズの試料に焦点を合わせており、また同様に、一般には規模を拡大することよりも素子の調製及び特性評価に着目している。
現行の多くの研究傾向とは異なり、利用可能なTCCとしてのグラフェンの最大の可能性を実現するためには、基板(例えば、シリコン、ガラス、又はプラスチック基板であって、これらからなる被覆を含む)上での高品質材料の大規模な析出が絶対不可欠である。これまで、一部では、化学気相堆積法(CVD)が、工業的に実行可能なグラフェンの大規模成長にとって最も有望な方法であると見なされていた。一般に認められている機構には3つの工程、すなわち、(i)炭素前駆体を多結晶金属触媒上に高温(例えば、850℃超)で解離させる工程と、(ii)前記触媒表面下へ炭素を溶解させる工程と、(iii)試料の冷却時に触媒の表面でグラフェンを析出させる工程と、が含まれている。
しかし、残念なことに、これらの技法はいくつか欠点がある。第一に、前記プロセスが少なくとも30分かかることを考慮すると、非晶質グラファイト状カーボン相が常に含まれていることから一般に低温ではグラフェンが低品質なので、前記技法は非常に高い温度を必要とする(例えば、850℃超、時には950℃超)。第二に、これらの技法は、現行では、対象とされる基板上へのグラフェンのリフトオフ及び転移のために触媒の化学エッチングを必要とする。本プロセスは、通常皺をよせるだけでなくグラフェン膜に汚染も生じさせるので、一般には大規模に実現不可能である。厚いNiの多結晶性及びその限定された表面粗さからも、様々な厚さの(例えば、単層グラフェンの整数値が様々な)非連続グラフェンドメインが生成される。この非等方性成長は、グラフェン系電界効果型素子を上手く転移して製造させるのに蓋然的な可能性がある。現行法のもう一つの特徴は、触媒膜がブランケット膜であることである。しかし、パターン化された薄膜をリフトオフすると、しばしば、グラフェンが浮いて、ねじれて、転移できなくなる。
そのため、規模と品質を考慮すると、改善されたグラフェン形成技法の提供が望ましいことが分かるであろう。
特定の実施態様例は、前記析出プロセスに代わる熱アニール処理に関する。そうすることで、非ドープグラフェンの析出は、対象とされるガラス基板上に予め被覆された薄いNi金属又はNi合金触媒膜を介して、低温において直接ガラス基板上で行われる。この技法はMSVD析出されたNi薄膜で有効に働くが、非常に平坦なa−Ni薄層によって更に高品質のグラフェンをもたらすことが(これまではラマンデータに基づいて)確認された。粒界を含まない非晶質Ni層は、有利なことに、グラフェンをより等方的な形で析出させる。多数の粒界が存在するc−Ni及びその他のNi形態もまた高品質グラフェンの形成に役立つことが確認された。これまでに、グラフェンは数十ミクロンの長さ及び幅にわたって非常に均一であることが確認されている。
以下でより詳細に説明するように、Ni膜のガス暴露面と支持面の両方で生じる炭素の非対称成長について、in situラマン分光法及び示差走査熱量測定法(DSC)で調査した。特定の実施態様例では、更に、プロセス条件を触媒界面のガス暴露面と支持面の両方でのグラフェン成長に関連付けられる可能性もある。表面熱力学の概念から、かかる成長のための1つの原動力は、ガス暴露面と支持面の間にある溶解炭素の濃度勾配であることが分かった。このことは、驚くべきことに、そして予想外にも、触媒全体に炭素拡散流束を生じさせる。
本発明の特定の実施態様例は、基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法に関する。金属含有触媒層(例えば、Niからなる、かつ/又はNiを含有するなど)を基板上に配置する。金属含有触媒層を上に有する基板を、前駆体ガス(例えば、アセチレン又はアセチレンを含む)及び歪み誘起ガス(例えば、He又はHeを含む)に900℃以下の温度(好ましくは800℃以下、更に好ましくは700℃以下であって、例えば700〜900℃)で暴露させる。歪み誘起ガスが、金属含有触媒層に歪みを引き起こす。被覆物品の作製時に、グラフェンを、金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間に形成する、かつ/又は形成させておく。金属含有触媒層とその上に形成されるグラフェンをともに、例えば、グラフェンが形成されるにつれて金属含有触媒層に導入された過度の歪みによって、(例えば、He含有ガス環境から)除去する。
本発明の特定の実施態様例は、基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法に関する。基板上に金属含有触媒層を配置する。金属含有触媒層を上に有する基板を、700〜900℃まで急速に(例えば、好ましくは1分以内に、より好ましくは30秒以内に、おそらくは約10秒以内に)加熱する。金属含有触媒層を上に有する基板をHeガス含有環境下でアニール処理し(例えば、好ましくは10分以内の間、より好ましくは7分以内の間、おそらくは約5分間)、Heガスを金属含有触媒層内に所望の応力を引き起こすように選択された圧力で供給する。金属含有触媒層を上に有する基板を、炭素含有前駆体ガスに暴露させる(例えば、好ましくは5分以内の間、より好ましくは3分以内の間、おそらくは約20秒〜約2分間)。被覆物品の作製時に、グラフェンを、金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間に形成する、かつ/又は形成させておく。Heガスは、グラフェン形成中に、基板と金属含有触媒層との間に少なくとも部分的な分離を生じさせるほど十分に歪みを金属含有触媒層内に引き起こす可能性があり、かつ/又はHeガスによってもたらされる過度の歪みによって、金属含有触媒層及びその上のグラフェンが剥離する可能性もある。
本発明の特定の実施態様例は、基板上にグラフェン含有膜を生成させることを含む、被覆物品の製造方法に関する。基板上に金属含有触媒層を配置する。金属含有触媒層を上に有する基板を、700〜900℃まで加熱する。金属含有触媒層を上に有する基板を炭素含有前駆体ガスに暴露させる。グラフェンは、金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間に形成する、かつ/又は形成させておく。被覆物品の作製時に、金属含有触媒層及び金属含有触媒層上のグラフェンを基板から機械的に剥離することで、(例えば、テープのような接着剤などを用いて)機械的な剥離後、基板上には、基板と金属含有触媒層の間に形成されたグラフェンが残存する。金属含有触媒層は、機械的な剥離を促進する応力を有するように(例えば、Heなどのガスを用いて、かつ/又は他の手段によって)処理する。
特定の実施態様例によれば、急速な加熱は、Ni表面及び/又は基板の表面において10秒以内に800〜900℃の成長温度に達するように行ってよいが、その他の温度範囲(一例として、例えば、Tgを上回る温度から、約600〜900℃)も利用可能である。急速な加熱は、大気圧で、一部の実施例では大気圧未満の圧力(例えば、不活性ガスの存在下、おそらくは0.5〜10Torr、より好ましくは1〜5Torr、場合により約2Torr)で行ってよい。このアニール処理は、特定の実施態様例では、例えば炭素が10分間未満、より好ましくは5分間未満、更に好ましくは約20秒〜2分間供給されるほど非常に急速に行ってよい。冷却もまた、一部の例では急速であってよく、例えば、基板が秒速5〜20℃、より好ましくは秒速10〜15℃、場合により秒速約13℃の速度で冷却される。
特定の実施態様例によれば、金属含有触媒層は、Ni金属、a−Ni、a−Ni:P、及び/又はc−Ni、などを含んでいてよい。
特定の実施態様例によれば、金属含有触媒層を上に有する基板は、少なくともヘリウム及び/又はアセチレンガスに複数の連続段階で暴露してもよい。例えば、第1段階は、少なくともヘリウムガスを第1流量で供給することを含んでよく、そして第2段階は、少なくともヘリウムガスを第2流量で、またアセチレンガスを第3流量で供給することを含んでもよく、第1段階と第2段階をその順に提供する。第1流量は第2流量及び第3流量よりも多くてもよく、また、第2流量は第3流量よりも少なくてもよい。一部の実施例では、第1段階ではアセチレンを全く又は事実上全く供給しなくてもよい。第2段階に続く任意の第3段階では、ヘリウム及び/又はアセチレンを全く又は事実上全く供給しない。場合によりガスは全く又は事実上全く供給しないとも言われているが、例えば通常の製造プロセスの結果として基板が連続ステージを進むときに、ガスがいくらか無意識に供給され得ることも分かるであろう。本方法では、酸素を導入しないのが好ましい。特定の実施態様例では、温度は、任意の第3段階の間に有意に低下し得る。
特定の実施態様例では、金属含有触媒層は、(例えば、フォトリソグラフィー、フォトレジストなどを用いたマスキング、レーザアブレーション/エッチング、及び/又はイオンビームミリングなどによって)所望のパターンにパターン化されてもよい。グラフェン含有膜は、被覆物品上に形成されると、(例えば、パターン化された金属含有触媒層と関連付けて(すなわち、パターン化された金属含有触媒層の上に及び/又は下に)形成されることにより、)一般には所望のパターンに対応し得る。別の場合では、グラフェン含有膜は、基板上に直接的に又は間接的にブランケット被覆されてもよい。
特定の実施態様例によれば、金属含有触媒層は、少なくとも下層基板と同程度の平滑性を有していてよい。場合により、金属含有触媒層は、ガラスに類似した平滑性を有していてもよい。
特定の実施態様例によれば、グラフェンは、例えば金属などの薄膜層上に直接的に又は間接的に形成されてもよい。場合により、この配置は、防食性、力学的耐久性などを提供する可能性もある。
本方法を用いて作成された物品及び当該物品を組み込んだ製品についても本明細書で検討する。窓、光起電力素子、ディスプレイなどは、本明細書に開示の技法が有効であり得る応用例である。一般に、本明細書に開示の技法は、TCCが望ましい場所ならどこにでも用いてよい。
本明細書に記載の特徴、態様、利点及び実施態様例を組み合わせて更に別の実施形態を実現してもよい。
これらの及び他の特徴及び利点は、以下の代表的な実施態様例の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することで更に上手くかつ十分に理解することができる。
本開示に開示されている発見を検証するのに用いられる構成の概略図である。 特定の実施態様例にしたがって、グラフェンの成長プロセスとNiの除去によりガラス、Si及び/又はその他の基板上にグラフェンを残すことを、被覆物品例と併せて模式的に表している。 特定の実施態様例にしたがって本質的にNiと置き換えてCを成長させる応力を生じさせる、「拡散ウェッジ」の形成方法に関する概略図である。 特定の実施態様例にしたがって、He及びCの流量とグラフェンが成長するSi基板の温度とを時系列で示すグラフである。 図3aのグラフの一部の拡大図である。 特定の実施態様例とあわせて利用可能な別のプロファイルにおける、H、He及びCに関する温度及び流量と時間との対比を表す。 特定の実施態様例とあわせて利用可能な別のプロファイルにおける、H、He及びCに関する温度及び流量と時間との対比を表す。 用いたアニールガスに応じたラマンスペクトルを表す。 用いたアニールガスに応じたラマンスペクトルを表す。 特定の実施態様例にしたがって、C中への粒界(GB)拡散により供給される、Ni(111)上でのグラフェンの島の界面成長を模式的に表す。 特定の実施態様例にしたがって、界面エネルギーとステップエッジエネルギーとの合計の最小化によって特定の成長温度における六角形の島の臨界寸法を決定する方法を表している。 時間の関数としてのin situラマンピークの発現を表しており、Id/IGが0に近づきかつI2G/IGが1に近づくとき、島が合体して連続グラフェンになることが認められる。 拡散データを表すグラフであり、濃度(%)対深さを表す。 拡散データを表すグラフであり、濃度(%)対深さを表す。 拡散データを表すグラフであり、面積(cps eV)対深さを表す。 拡散データを表すグラフであり、面積(cps eV)対深さを表す。 C原子1個当たりの析出エネルギーと、Ni中のC固溶体からのNiの解離エネルギーとの対比を表すグラフである。 クエンチ温度Tの逆数に対し、界面におけるa−Ni/c−Ni−C過飽和固溶体中のC原子の濃度に関するXPS実測値と理論値とをフィッティングさせたアレニウスプロットであって、クエンチ温度はキュリー点T以上である。 本明細書で説明する技法例にしたがって作成した試料に関する、650℃での熱処理後のSiウェハー上のNiのXRDデータを表している。 特定の実施態様例にしたがって作成した試料の、温度に対する2軸応力を表す。 様々なHe流量において700℃でアニール処理されたNiのXRD走査結果を表す画像である。 本開示の特定の原理を実証するのに役立つ顕微鏡写真を挙げる。 特定の実施態様例にしたがって形成されたNi/Ag/ZnOコーティング(左)及びグラフェン/Ni/Ag/ZnOコーティング(右)の表面顕微鏡写真を表す。 特定の実施態様例にしたがって作成した試料の、共焦点ラマン分光データを表す。 特定の実施態様例にしたがって成長させたグラフェンの転移に関するラマンスペクトルを表す。 特定の実施態様例にしたがってSiO上で成長したグラフェンのI2D/Iピークカウント数を表すヒストグラムである。 特定の実施態様例にしたがってSiO上で成長したグラフェンのI/Iピークカウント数を表すヒストグラムである。 特定の実施態様例にしたがって作成された最上層グラフェンと最下層グラフェンとを比較したラマンデータのグラフ(スペクトル及びピーク位置)である。 特定の実施態様例にしたがってグラフェンを成長した場合に従来のリソグラフィー法を用いてどれほど微細なパターニングを行えるかを表す画像である。 特定の実施態様例に関して応力機構を調べる際に用いたカンチレバー画像例を表す。
特定の実施態様例は、ガラス上への大規模なグラフェンの析出方法及びそれに関連する物品/装置に関する。特に、特定の実施態様例は、ガラス転移温度Tg未満の温度で析出することによる、Ni含有(例えば、金属Ni、a−Ni、a−Ni:P、c−Ni、ナノ結晶Niなど)薄膜とガラス基板との平滑な界面でのグラフェンの直接析出に関する。Niのガス面での気相誘発炭素溶解に続いてバルク膜中での拡散、そしてその後のニッケル膜の炭素過飽和状態の(carbon−over−saturated or carbon−super−saturated)支持面における平衡偏析までの一連について、DSC、電子エネルギー損失分光法(EELS)、in situラマン分光法及びX線光電子分光法(XPS)で調べた。例えば、前駆体ガス流量、暴露時間及び温度に応じて少なくとも3つの異なる平衡状態がNi/ガラス界面で発生する。つまり、
・A:ニッケル中の高温で希薄な炭素固液体相、
・B:温度による急激な転移によってAから分離された、凝縮グラファイト単分子層(MLG)及び数層のグラファイト層(FLG)の析出、及び
・C:多層ヘテロエピタキシャルグラファイトの析出。
希薄なNi−C固溶体からNi結晶によって析出するグラフェンのGibbs 自由エネルギーは、約−0.42eVであることが分かった。この値は、同一固溶体から得られるグラファイトのGibbs自由エネルギーよりも約0.08eV高い。そのため、状態Bは、グラファイトがニッケル結晶中へ溶解する場合に観測される平衡温度よりも約100K高い温度で平衡状態を保つ。この現象は、A→B→Cへの転移におけるエントロピーの低下(約0.05eV以内程度)に起因すると考えられる。観測された平衡状態AからBへの転移は、偏析を調べる際に検出された第1平衡状態の表面相転移であると考えられる。当然、Niバルクを通る他の経路もあり得ることが分かるであろう。例えば、Cは、粒界においてNiから基板へ向かって拡散する可能性があるが、エネルギーが少なくてよいことから、粒界中への拡散定数が低いときに、低い温度を、潜在的に高速プロセスで利用できることが見いだされている。
金属含有触媒膜は、約1〜10mTorr(好ましくは)のHeガスへの暴露によって(圧力をかけながら)プレストレスを与える。He原子は、暴露時の高温でNi中に拡散して(サブステーション並びに介在性)、触媒薄膜に膨潤又は歪みを生じさせる。
炭素析出によって生じた歪みの大きさに応じて、Niホストマトリックスの外側と基板界面とにグラフェン形成が生じる。グラフェン核シートが形成されてその格子がNiホストマトリックスから分離すると、歪みエネルギーはゼロに近づく。析出後、Ni中の固有の正味圧縮応力によって金属含有触媒膜が剥離されて、グラフェンが基板へ接着する。金属薄膜のパターニングにより、例えばガラス及びSi上にグラフェンが選択的に成長される。
本明細書に記載の技法例は、現行の触媒CVD成長に比べ、低温において急速な速度で生じ、かつ/又は拡散律速であるためクエンチングの代わりに正の温度上昇速度を伴って生じる点が異なる。グラフェン形成開始は、疑似平衡定数(又はゼロ析出しきい値)によってガス面のプロセス条件と関連しており、それを超えるとグラフェンが界面で形成される。ラングミュア等温線に基づく単純な反応速度論モデルにおいて、ニッケルへの炭素の溶解に関する活性化エネルギーと、1ミクロン程度の触媒厚さに対し数十秒又は数分程度のグラフェン析出開始に関する時間定数τと、の両方が実験データから引き出される。そのため、τは、従来のCVD技法にかかる成長時間スケールに比べて桁違いに小さい。析出時間スケ―ルτに関し、ニッケル中での炭素の拡散距離は基板へのNi及びドーパント(例えば、P)原子の拡散距離よりもかなり長い。
前記と同様に触媒からの炭素拡散流束に関して、ニッケルフィルム中での炭素濃度のこのような空間的勾配に影響を及ぼす要因は、以下であるか、又は以下を含むと考えられる:
・Ni膜の支持面に対する気相内の炭素の活性の勾配の存在。
Figure 0006416189
これは結果として、膜圧全体のCの化学ポテンシャルの勾配、例えば
Figure 0006416189
となる。プロセス条件に応じて、例えば、炭素の拡散は、ガス暴露面から支持面へ不可逆的に生じる可能性がある。
・ニッケル薄膜表面は、ニッケルを濃厚化することで意図的に非晶質化する。非晶質NiでのCの溶解又は溶解度は、結晶相でのCの溶解又は溶解度よりも大きい。このことにより、ガス暴露面からのCの吸収プロセスがc−Niよりも低い温度で実行可能となり、膜全体の濃度勾配が維持される。
・加熱及び冷却の両方のシーケンス中、金属含有触媒膜の支持面とガス面の間には温度勾配:温度T(z=0)>T(z=h)がある。この条件はまた界面応力の原因にもなり、合計するとNi支持面における特定のせん断歪みになる。支持面におけるNiでのCの溶解度には、Ni薄膜のガス面に比べて、歪みによって引き起こされる低下が存在し得ると考えられる。
このプロセスの初期段階は、触媒表面でのCの解離吸着である。この表面プロセス後に、バルク吸収プロセス、すなわちNiへのCの溶解が続く。前記プロセスの反応速度論は、炭素分子の吸着速度R(分子数m−2−1)で表される。これは、炭化水素類の接着確率Sと流束Fの積で表すことができる。Sは累積確率関数(0≦S≦1)であり、活性化エネルギーEads及びサイト関数f(θ)で表され、これにより空の表面サイトの割合が定量化される。Sはまた、結晶面にも依存しており、表面再構成の影響を受ける可能性もある。
Figure 0006416189
吸着されたCのうちあるわずかな部分は、表面に再配置されて非晶質炭素相a−Cとなる。この膜の減損には2つの機構が関与している。第一に、この反応は可逆性であり、水素を表面膜に接触させて供給し続けることによってa−CがH原子でエッチングされることがあり、上記式を計算することで可逆プロセスについての説明も可能である(ある意味では、化学吸着反応の典型である)。第二に、炭素はニッケルバルクの表面下に溶解する。与えられた条件(P、T)では、a−Cの平衡状態の厚さは長い時間をかけて発現し、解離定数kで表される。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
関与する温度では、ニッケル触媒の表面で解離吸着が生じる。非晶質炭素相の形成は、k≧1であるから、表面で優先される。非晶質炭素は、その結果、ニッケル中でCを溶解するための固形原材料を形成し、炭化ニッケルの代わりに空間的に勾配のある固溶体を形成するが、これは関与する温度では不安定である。Ni中のC固溶体は表面(z=0)の真下に形成し始めると考えられる。実験検証は高解像度XPS及びEELSで行った。
a−Cの真下でのNiへの炭素の可逆性溶解は、1モル当たりGsolの溶解に関する正の自由エネルギーと、方向性を決定する平衡定数ksolとで表されるエネルギーを必要とする可能性がある。解離吸着プロセスと溶解が連続して作用するため、Ni表面下でのCの平衡濃度に関する式は、a−CとNiの界面(例えば、z≧0)で得られる。炭化水素ガスの分圧と水素分圧との比が増大すると共に温度も上昇すると、表面での炭素析出が促進される。しかし、a−Cの正味の析出が表面で生じない場合、a−Cの形成が水素エッチング及びNiへ溶解の速度によってバランスが保たれているため、ガス分圧比条件に関する一連の平衡プロセス条件が存在する。この条件は、ゼロ析出しきい値kGPTと称されかつHとCの分圧比に等しい平衡定数で表される。このとき、炭素はニッケル膜の片面又は両面のどちらにも形成されない。kGPTは、炭化水素(C)とその解離生成物(水素及びa−C:H)との化学ポテンシャルの差の指数値に等しい。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
Figure 0006416189
Figure 0006416189
平衡定数値kは、気相成分の相対的な分圧とニッケルへの炭素の溶解に関するHenrian則定数とから求める。式(4)から、ニッケルへの炭素の溶解は気相の炭素形成に対する親和性に左右されることが分かる。例えば、炭素形成に対する親和性が高いほど(高いPC2H2/PH2比)、ニッケルへの炭素の溶解度が高い。ニッケルへの炭素の平衡溶解度ksolもまた温度と共に高くなる。これは、気相への炭素の親和性(Niにグラファイトを溶解したCの化学ポテンシャル)が解離生成物の親和性よりも高いことに起因する。
Ni膜のガス面及び断面において、C溶解度は非晶質炭素の熱力学特性から求められ、グラファイトの溶解度とは異なる。他の研究者らにより実行及び報告されたメタンと水素の混合物に接触しているニッケルへの炭素の溶解度測定値が、上記論拠を実証している。飽和時の炭素含量は平衡状態のグラファイトとの混合物よりも35%高いことが確認された。ニッケル膜のガス面でニッケルに溶解した炭素の濃度は、支持面での溶解度を上回る可能性があることから、ニッケル全体に濃度勾配が生じ、その結果、ニッケル膜中に炭素拡散するための原動力が生じる。
金属Ni中に炭素がバルク拡散するための原動力は、原則として、Niと接触している様々な形態の炭素の活量の勾配に関連している。気相前駆体(例えば、アセチレン)中での炭素の活量が、生成物であるa−C及びグラファイトよりも非常に高いため、ガス/金属界面での炭素溶解度と金属/炭素界面での炭素溶解度とには差がある。このことが、炭素がバルク中で支持面界面へ向かって拡散する傾向を説明するのに役立つ。支持面での炭素の濃度はその後、ある値に達し、冷却すると過飽和溶解液を生成してC析出を引き起こす。
歪みエネルギーの最小化法を利用すると、炭素は析出して他のどんな形状よりも平坦なディスク形状となるが、これは、シートの面は自由に膨張できるためであり、異方性材料では、シートが、析出格子が伸縮し易い平面に形成される場合にこのエネルギー低下が特に有効と考えられる。a−Ni中での(グラファイト対ニッケルのモル体積比を用いた)グラファイト析出の具体的事例において、歪みエネルギーの低下はおよそ半分未満である。そこで、歪みエネルギーは、炭素を析出させてマトリックス膜から分離させることにより、有効に解放できるものと考えられる。析出格子をマトリックスの格子と部分的に不連続にさせることによって、更なる析出成長が生じ得る。析出格子点と元来同一空間を占めているマトリックスの格子点とは1対1の関係でなくてもよい。炭素原子の管理は、原子の交換が拡散によってなお生じているとき、析出中の炭素の合計数が、マトリックスから失われた炭素数に等しいことを伴う場合がある。これは、せん断歪みが消滅して一様な2軸圧縮(潜在的にはそれのみ)が残存するように析出物が再結晶化することを意味する。ディスク状析出物の壁は、ますます多くの原子がその体積に埋もれるせいで外側へ向かって膨張する。次いで、この取り込みが再結晶を生じさせることで、原子は圧縮中心から除去されて周縁部付近の領域に送られる。最初に歪みが引き起こされた領域が再結晶化の原因として作用するときに放出される歪みエネルギーによって、このように低温で生じる炭素の結晶化が可能となる。
Ni/ガラス界面でのグラフェンの形成は必ずしも炭素拡散だけで説明できるものではない。ニッケルへの炭素原子の吸着及び拡散については、初期段階のグラフェンの成長機構を理解するために密度汎関数理論計算で調べた。表面での拡散と下層での拡散の結果を合わせると、低指数ニッケル表面間のエッジ周辺での拡散挙動からは、成長がニッケルナノ粒子のエッジ領域全域で拡散バリアだけでなく成長温度にも関連していることが分かる。この結果は、温度などに応じて反応速度論的に又は熱力学的に制御される反応機構を考慮すると説明することができる。
図1は、本開示に開示されている発見を検証するのに用いられる構成の概略図である。図1は、コールドウォール(cold−wall)CVD装置であり、局所的熱がチャンバ全体ではなく基板に接続されている。図1の例では、抵抗方式で(例えば、Niに電流が流れるように)加熱を行う。しかし、別の実施態様例に関してはその他の加熱アプローチを使用してもよいことが分かるであろう。例えば、特定の実施態様例では、タングステン若しくは他のハロゲンランプ、赤外線(例えば、短波長赤外線若しくはSWIR)素子、誘導加熱器、マイクロ波照射器、及び/又はレーザなどを使用してよい。熱集束(例えば、抵抗手段及び/又は他の手段による)は、効率の悪いチャンバ全体とは対照的に、Niへ直接エネルギーを供給する点で有利であり得る。ガスはチャンバ中を流れており、一つのチャンバが図示されているが、別の実施態様例では複数のチャンバ及び/又はマルチゾーンチャンバ若しくは多段式チャンバを使用してもよいことが分かるであろう(例えば、異なるガスを潜在的には別々のチャンバ、ゾーン及び/又は段階へ供給する)。ガス流は、所望の精度及びタイミングが得られるように、例えばガス流量調整器や複数のポートなどを用いて細かく制御してもよいことが分かるであろう。さらに、石英管が図示されているが、別の実施態様例ではその他のチャンバを使用してもよい。
図2Aは、特定の実施態様例にしたがって、グラフェンの成長プロセスと、Niを除去してガラス、Si及び/又はその他の基板の上にグラフェンを残すことと、を被覆物品例と併せて模式的に表している。図2Aに示すように、グラフェンはNi金属含有触媒層の上下に形成される。ここで、上方のグラフェンが先に形成される傾向がある。図2Aでは、左から右へ向かって、基板上でのニッケルの初期成長、次いで、ニッケル上及びニッケルと基板の間それぞれでの、上下にグラフェン層を有する中間生成物の形成、そして最終的に、層間剥離を制御することで下方のグラフェンのみが基板上に供給された最終被覆物品が示されている。図2Aの3つの概略図はその時間内のスナップショットであることが分かる。図2Bは、特定の実施態様例にしたがって本質的にNiと置き換えてCの成長を可能にする応力を生じさせる、「拡散ウェッジ」の形成方法に関する概略図である。この意味で、図2Bは、図2Aの左の画像と中央の画像の間で何が発生しているかを表している。図2Bの第1段階では、炭素が矢印位置でNiバルクの粒子間へ入り込む(そして、場合により、粒界よりも遅い速度で結晶粒自体の中にも入り込むが、そのことは明確にするため示していない)。He及び熱への暴露前及び/又は暴露中、Niには欠陥が生じやすくなって、転移が生じ、かつ/又は二つの対となる部位を形成する。炭素は、Ni中に拡散して第2段階のバツ印の位置に存在する。これは、Cが取る「好ましい経路」だと考えられる。しかし、炭素は必ずしもNiバルク中に(例えば、粒界に又は粒界中に)閉じ込められたままではない。すなわち、このプロセスが続くと炭素はNiの深さ方向に進んで、例えば第3段階に示すように、Niバルクと基板との間のガラス表面上を外側に向かって広がる。しかし、例えば、グラフェン層がNiより下部の基板表面上で完全に形成される前に加熱を停止した場合、中間生成物を提供するのが好ましいことがあり、当該中間生成物としてはNi最上部及びNiバルク内(例えば、粒界で又は粒界中で)のC上でのグラフェンの成長が例として挙げられることが分かった。この中間生成物は加工してくれそうな業者へ引き渡されて、そこで加熱を再開してグラフェン層を完全に形成することもある。このようにして、上層のグラフェン層及びNiは、今までに形成されたグラフェン下地層及び基板を本質的に保護することができ、下方のグラフェン層は、製造プロセス全体に適合し、かつ/又は別様にふさわしい、所望のときに前記加工業者によって形成される。
図3aは、特定の実施態様例にしたがって、He及びCの流量とグラフェンが成長するSi基板の温度とを時系列で示すグラフであり、図3bは、図3aの部分拡大図である。図3a及び図3bに示すグラフは、急速な高温プロセスに相当することが分かる。この点において、図3bは図3aの拡大図であり、初期の非常に急速な温度上昇を示している。図4a〜4bは、特定の実施態様例とあわせて利用可能な別のプロファイルにおける、H、He及びCに関する温度及び流量と時間との対比を表す。図4a〜4bもまた、急速な高温プロセスに相当する。
図5は、用いたアニールガスに応じたラマンスペクトルを表す。析出したグラフェンの品質は、本プロセスのアニール処理部の膜に引き起こされた応力の量に大きく左右される。低い方のDピークは、エッジモード欠陥が少ないことを表し、結果として、島がほとんど形成されないこと、すなわち言い換えれば、より連続的なグラフェン層が形成されることを示唆している。2D/G比は層の数をうまく表している。例えば、Heガス及びArは水素よりも高い2D/G比をもたらす。以下に(より詳細に検討される)図6Aは、ラマン信号においてDピークとして表される領域エッジ不規則モードを示しており、また、図6Bは、ニッケル上でのグラフェンの成長の仕方を表すエッジ部の平面図である。図6A〜6Bから分かるように、(111)ニッケルとグラフェン成長との間には密接な格子整合が存在する。図7は、時間の関数としてのin situのラマンピークの発現を示していることに留意する。

代表的なゼロ析出概念の条件
Ni膜の支持面でのグラフェン析出方法に関する熱力学は、上記ゼロ析出概念の条件と併せて説明することができる。このプロセスでは、気相と最終生成物であるグラフェンとは直接接触していない。本プロセスの熱力学は、実験から、いくつかの温度において炭素析出もガス化もない条件を求めることにより得られる。この条件は通常、この可逆性表面反応における平衡という。本開示では、この条件をグラフェン析出しきい値(GPT)と称し、炭化水素解離反応中に金属表面で生じる通常の基本的な表面反応段階とは異なるグラフェン形成の全体的な機構に多くの段階(例えば、吸着、解離、溶解、及び析出)が必要とされるとき、特定の反応のためにそこへしきい値定数を代入する。これは非可逆性であるため、前記拡散工程は、通常の基本的な表面反応段階とは明らかに異なる挙動を示す。しきい値から外れた条件下では、ニッケルへの炭素の拡散は一方向、つまり、ニッケル膜触媒のガス面から支持面に向かって、またはその逆方向に生じる。しきい値では、連続して展開する表面反応、拡散及び析出の速度がいずれもゼルになる。触媒膜の支持面では、グラフェン炭素とニッケル中に溶解した炭素との間の平衡は次のように表される。
Figure 0006416189
ニッケル膜の支持面でニッケルに溶解した炭素の平衡濃度は、ニッケル溶解度中の非晶質炭素の溶解度であって、非晶質炭素の熱力学的特性から求められる。GPしきい値では拡散速度もゼロになるので、ニッケルに溶解した炭素の濃度及びその化学ポテンシャルは、ニッケル厚さ断面h全体にわたって均一であり、ニッケル中の非晶質炭素の溶解度と等しい。ここで、ニッケルは等方性で非晶質であると考えられる。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
平衡時には、a−Cの真下の、ニッケルに溶解した炭素と表面炭素の化学ポテンシャルは等しいため、以下の式が成り立つ。
Figure 0006416189
最終的に、Ni中でのCの固相溶解は気相と関係があり、表面炭素と平衡状態にある。アセチレン解離の場合は次の式が成り立つ。
Figure 0006416189
平衡状態ではすべての連続段階の炭素の化学ポテンシャルが等しくなければならないため、式(10)及び(11)から次の関係が当てはまる。
Figure 0006416189
こうして、次の式を導くことができる。
Figure 0006416189
したがって、しきい値定数Kgpの値及びグラフェンン析出しきい値における気相組成は、Ni表面と接触している非晶質炭素の熱力学特性から求められる。しきい値定数は、炭素形成速度がゼロのときのアセチレンと水素の分圧を測定することにより、実験的に求めることができる。ラマンは、このしきい値を研究するのに有用な手段である。例えば、アセチレンと水素の分圧比を増大させることで前記しきい値から外れると、グラフェンと非晶質炭素が共に2界面間で形成する。
700〜1000Kにおいて高分散ニッケルと非晶質炭素基板との相互作用を研究している他の研究者らによって原動力と同種の現象も確認されており、炭素原子がニッケルに溶解して、再度グラファイトとして析出することが確認された。言い換えると、非晶質炭素のグラファイト炭素への転化が生じた。この触媒作用による転化は、溶解−析出機構によって進行するものと考えられるが、原動力は、炭素の初期形態と最終形態との間のGibbs自由エンタルピーの差であると考えられる。この原因はおそらく溶解度差であり、結果として、炭素の転移につながる濃度勾配が生じる。しかし、前記研究者らは、析出が生じるときに歪みの影響を考慮していなかった。
本明細書で述べるように、化学ポテンシャルの勾配の効果と界面歪み(例えば、熱膨張又はCTEの係数の熱的不整合に関するもの)は共に、Ni薄膜全体での炭素の溶解度の勾配に対する原動力であると考えられる。触媒は膜として働き、また、グラフェン形成に対する全体的な原動力は気相とグラフェンとの間の化学ポテンシャルの差である。これは、ニッケルのガス面と支持面での異なるC溶解度、及び最終的に前記膜全体に炭素の拡散を引き起こす濃度勾配を生じる。GPT条件は、気相炭素の溶解度がニッケルへのグラフェンの溶解度と等しい条件と判断することができる。純粋な熱力学的論拠に基づいて、支持面でのグラフェン析出はガス面でのa−C相の形成と結び付く。ニッケルにより、a−Cがグラフェン及びグラファイトへ転化される。特定の実施では、ニッケル膜のガス面にa−Cが形成しなければ、界面でのグラフェン析出は生じない。そのため、熱力学及び反応速度論、ひいてはグラフェンの形成は、ガスの分圧、温度及び任意の不純物に影響され得ることが分かるであろう。一連のガス流量調整器などの精密制御を調整することでグラフェンの形成を制御することができる。

ニッケル/ガラス界面でのグラフェンの定常状態析出例
触媒のガス面での炭素形成につながる気相条件では、正味の炭素拡散速度は正の値である。連続段階の速度はそれぞれ定常状態では等しいため、ある特定の濃度勾配が生じ、これは、表面反応、解離及びニッケル膜中での炭素拡散のそれぞれの相対速度から求められる。したがって、炭素拡散は、厚さz=hの触媒スラブ上に平衡厚さδの非晶質炭素が析出することによって生じるものと考えられる。界面での炭素濃度は次のようになる。
Figure 0006416189
ここで、
Figure 0006416189
Figure 0006416189
a−C及びニッケル中での炭素の拡散率に応じて多数の考えられる事例が生じる。偏析挙動のために、ある特定の濃度勾配がa−C膜全体に存在する。a−C膜中での拡散は非常に迅速なため、表面炭素と縁の真下のニッケルに溶解した炭素との間に平衡が存在すると考えられる。式(16)からは、
Figure 0006416189
値が非常に低い場合、ニッケル中の炭素濃度はほぼ均一である。しかし、
Figure 0006416189
のより現実的な場合、濃度勾配は無視できないので、粒子のガス面での炭素濃度は支持面に比べて実質的に増加する。これは、ニッケルへの炭素の溶解度が粒子のガス面で高いために起こり得る。また、これは炭素の平衡表面被覆も増加させて、表面炭素のガス化速度を高めかつ炭素析出の正味速度を低下させる。拡散は明らかに単なる速度決定工程ではないが、炭素の表面被覆率にも左右されるので炭素形成速度にも影響を及ぼす。拡散性が更に低下するにつれて、粒子のガス面での濃度が気相炭素の溶解度と等しい場合、最終的に最大濃度勾配が生じるので、炭素拡散は、場合により、本プロセスの唯一の速度決定工程であると考えられる。ガス化に対して親和性がある場合、正味の炭素形成速度は負となり、濃度勾配は解消される。濃度プロファイルデータに関しては8A〜8Bを、そして領域解析に関しては図9A〜9Bを参照されたい。図8A〜8Bの変調又は局在ピーク(peaks/peaklets)はニッケル粒界における及び/又はその中のどこに炭素残留が存在しているかを示していることが分かった。図8A〜8Bは、そのため、基板から除去されたグラフェン/ニッケル/グラフェン積層体の最上部及び最下部からニッケルバルク内での炭素拡散プロファイル、並びにそこでの炭素の周期性を表している。図9A〜9Bは、該当する面積密度データを示している。触媒の支持面での濃度は、ニッケルへのグラファイトの溶解度である。ガス化条件及び拡散性に応じて、様々なプロファイルが得られる。触媒薄膜のガス面においてニッケルに溶解した炭素濃度がゼロに等しい場合、最大濃度勾配が生じる。これは、グラファイトの現行のCVD析出機構を説明している。GPTしきい値では、炭素形成とガス化とに対して親和性がある領域を分離するが、ニッケルに溶解した炭素の濃度は均一でありかつグラファイト炭素の溶解度と等しい。

グラフェンシートの核形成例
炭素形成に対して親和性を有する混合物が支持面に炭素を有しない触媒と接触した場合に引き起こされる事例がある。ニッケル中に存在する均一な炭素濃度は、ニッケルへの気相炭素の溶解度と等しく、グラフェンの飽和濃度よりも高い。過飽和が十分に高ければ、グラフェンの核形成が生じる可能性がある。核形成及び偏析挙動中のニッケル中の炭素濃度は非常に高いため、炭素の表面被覆率が非常に高く、その結果、正味の表面反応速度はゼロとなるが、混合物は炭素形成に対して親和性を示す。核形成後、膜の支持面での濃度はグラファイト炭素の飽和濃度まで低下する。アセチレンによって析出されるグラファイト炭素の核形成に関する情報は、ラマンI2D/I線の強度比対時間曲線を解析することと、様々な炭素形成条件を同様の触媒試料上に順次付与した実験と、から得られる。C解離に関する典型的な重量対時間曲線には、炭素形成速度が増加する領域と一定速度の領域の2つの領域がある。C分解では、CH(メタン):D分圧比(PCH:D)が1:5barでかつ水素の不存在下を除いて、触媒の段階的な失活による速度減少領域が確認されなかった。実際の誘導期間は、その間、速度がゼロであるが、炭素形成に対する親和性が非常に低い条件下でのみ確認された。速度増加期間は、グラフェン島の核形成時間に起因する。グラフェン島の核形成時間に大きな差がある可能性が高い。迅速に核形成して最終成長速度に達すると思われる島もあるが、その他のフィラメント部分は未だ核形成中である。このことは、温度が低くても、熱力学的な力によって、場合によりナノチューブを生じさせる、かつ/又はナノチューブの形成に好ましい条件を作り上げる可能性がある。新たな島を核形成する必要がなくなると、一定の炭素形成速度に達する。2つの異なる炭素形成条件を同一触媒試料に順次適用した後、同一条件下で水素によりガス化することで、有益な情報が得られる。高い親和性の条件(低いpH2)により、炭素形成に対する親和性の低い条件(高いpH2)が少しの間中断された。親和性の低い条件下での炭素形成速度は、試料を炭素形成に対して親和性の高い条件に短時間暴露した後、大幅に増加する。(用いた触媒上での)その後のガス化速度は、新たに調製した触媒試料へ親和性の低い条件のみを適用した場合に比べてはるかに高いが、新たに調製した触媒試料へ親和性の高い条件のみを適用した場合に認められるガス化速度と同等である。さらに、炭素形成に対して親和性の高い条件では炭素形成速度の新たな増加期間が認められ、これは、新たに調製した触媒試料で実験を開始した場合に観測される速度増加期間と非常に類似しているが、炭素形成に対して親和性の低い条件では既に一定の炭素形成速度に達していた。
適切な規模では、炭素形成速度の新たな増加期間はより長く、2つの条件間の親和性の差が大きい場合は遅い方の速度から開始することが分かる。この現象は、炭素形成に対して親和性の高い条件下で認められる成長中の島の数密度が大きいことで説明される。特定のグラファイトの核では、核形成するために高過飽和度が必要なため、炭素形成に対して親和性の低い条件下では少数のグラフェン島のみが核形成する可能性がある。炭素形成に対して親和性の高い条件で核形成した島の数が多いほど、後続の親和性の低い条件でも更に成長して炭素形成速度が高くなる可能性があるか又は後続のガス化中にガス化してガス化速度が高くなる可能性がある。これはまた、炭素形成に対する親和性の低い条件の後に親和性の高い条件が続く場合に新たな速度増加期間が確認されることでも説明される。炭素形成に対する親和性への成長中の島の数の依存については、炭素フィラメント形成の反応速度論モデリングを行う場合にも考慮しなければならない。この現象を理解していないと、実験結果及び反応速度論モデリングの偏りにつながる可能性がある。例えば、異なる金属表面積の触媒上で速度を測定して反応速度論モデリングの実験結果と結び付けることに匹敵する場合がある。

グラフェン島形成例に関するエネルギー論
固相間の界面は、一般に、整合性界面(完全な格子レジストリがある)、歪みのある整合性界面(不完全な格子整合に起因するものであって、この場合、歪みエネルギーは成長中の粒子の寸法と共に増加して、半整合性界面へ移行する)、半整合性界面(転位の導入が歪みエネルギーを減少させるが、それ自体が系のエネルギーの一因となる)、又は非整合性界面(界面に整合が全くない)に分類することができる。一般に、界面の自由エネルギーは、2つの層が整合するほど最小限に抑えられる。非整合性界面同士は、エネルギーが高く、また、原子の動きが非常に自由なために比較的動かし易い。
析出物が成長するときに親マトリックスに存在する応力は、析出物の形状に多大な影響を及ぼす。析出物を回転楕円面としてモデル化することによって、歪みエネルギーが形状にどのように関係しているかが分かった。円板又は平板として成長するのが好ましいことも明らかである。析出物粒子には、マトリックスと整合性のある界面と非整合性の界面とを有する可能性がある。非整合性界面の動きが大きいほど、この方向への急速な成長につながる。この異方性成長によって、平板及び円板形態が生じる。境界となる整合性界面同士は、マトリックス内の結晶面と平行である。
固溶体の析出/離溶には合金を過飽和状態(溶解溶質の量が、位相図から予想される平衡量よりも多い)までクエンチングする必要がある。その後、加熱スケジュールを付与して析出物の性質を制御してもよい。
核形成開始時に少数の炭素原子が触媒の炭素飽和支持面上に析出されると考えられる。これら炭素原子を組み合わせることで炭素原子が六角形に配置された小構造を形成する可能性があり、それをグラフェンシートに変換して、そのエッジを金属表面に接合する。この形状の層状核は、歪みを最小限に抑えて炭素クラスター内でのダングリングボンドを削減するので好ましい。核は、炭素原子が核のエッジへ追加析出するにつれて成長する。
核形成後、島は、次のいくつかのシナリオにしたがって成長し得る。第一のシナリオでは、核が成長し続けてグラファイトシートを形成し、それが金属/ガラス界面のかなりの部分を被覆する。この成長と生じたグラファイトのその後の剥離とによって、界面とある角度で又は平行に方向づけられた様々なグラファイトシートが生成される。第二のシナリオでは、最初の核の下に新たな核が形成される。この多層式の核の中心部は、堆積物の直径を決定する臨界寸法に達するとすぐに表面から分離し始める。第三のシナリオでは、同一金属粒子の表面に複数の核が析出し、それらの相互作用によって更に大きな島が形成される。核形成頻度が十分に高い場合、一つの島の寸法は、核の臨界半径に相当する最小値に近づく。
上述のように、図6Aは、C中への粒界(GB)拡散により供給されたNi(111)上でのグラフェン島の界面成長を模式的に表している。図6Bに示すように、界面とステップエッジエネルギーとの合計を最小限に抑えることで、ある特定の成長温度における六角形の島の臨界寸法が決定される。
この成長モデルシナリオは、in situラマンで検証可能なある予測を行う。このモデルでは、グラフェン成長にかかる所定の島の特定の臨界半径、並びに実験条件及び表面エネルギーの関数としてのそれらの数/密度も予測する。

ニッケル/ガラス界面上でのグラフェン形成機構例
純粋なNi及びNi合金膜で被覆したソーダ石灰シリカ系ガラス上でのグラフェン成長を、減圧アセチレン雰囲気中で調べた。興味深いことに、高速CVD装置と従来のチューブ型CVD装置の結果は相違した。チューブ型CVD装置では、加熱工程中にNi合金膜が高温でガラス中へ拡散する。その結果、この方法を用いたグラフェンの品質は一般に低い。高速CVD装置を用いると、合金膜の拡散が見られなかった。膜最上部のグラフェンの品質は低いままであった。しかし、ガラスと合金膜との間に高品質のグラフェンが形成した。合金膜をガラスからエッチング処理した後、数層のグラフェンが透明基板上に残留した。別法として、グラフェン成長後、最上層金属は、エッチングによって除去してもよく、又はガラス上でのその後の素子製造において機能し得る可能性もある。
炭素の表面被覆と最上層グラフェンの真下にあるニッケル中に侵入型溶解した炭素のバルク濃度との関係は、偏析等温線によって説明及び/又は公式化することも可能である。
いくつかのタイプが考えられるが、特定の実施態様例ではプロセス制御のためにラングミュア等温線を用いてもよい。ニッケル中に溶解した炭素の(100)表面への偏析は、ラングミュア等温線によって高い被覆率まで説明することができ、さらに、Ni上への炭素フィラメントの形成中、金属/ガス界面には(100)表面が最も多いこともTEM/SAEDにより示されている。この方法では、炭素原子は溶体から表面へ偏析するが、同一表面部位では気相原子と競合せざるを得ない。このことは、メタン分解により標準条件下において様々な水素分圧で堆積したフィラメント状炭素の水素によるガス化結果を選定することによって説明される。ガス化速度は水素分圧に応じて最大値が現れる。これは炭素の表面被覆率の減少が原因である。炭素がバルクから別の部位へ分離される場合、その被覆率は水素の存在には影響されないものと見込まれていた。一部では高濃度の炭素による保護膜が存在するとも考えられており、その保護膜は、350℃未満の低温では表面炭化物とも称される。ニッケル粒子中での炭素の拡散は、ニッケル中での侵入型溶解炭素の拡散によるものとみなされる。
不足当量比の中間体である炭化物を用いたモデルは、ニッケルには非現実的であると考えられる。というのも、炭化物は、350℃超で分解することが知られており、定常状態での炭素島形成中に明確に確認できないためである。この中間体炭化物は、一般に、炭素形成に対して親和性がない場合、すなわちフィラメント状炭素のガス化中には、存在し得ない。炭素フィラメントはニッケル粒子の支持面に析出する。それどころか、炭素フィラメントは、金属/炭素界面に対して垂直方向への炭素層の連続形成と炭素層の転位により形成されることが分かった。

界面歪みの下でのグラフェン析出例の熱力学
適切な条件下では、グラファイトでも炭化ニッケルでもなく、グラフェンが析出する。すなわち、十分高温(T≒Thyp)の低C(又は低Ni含量)領域のNi−C系が理想的な固溶体を形成する。この合理的な仮定下では、末端要素それぞれの活量は、そのモル画分と等しい。そのため、理想的な固溶体と離溶体との平衡条件は、次の部分的な質量作用の法則で表される。Ωi、s=χi、s(式中、χは末端要素のモル分率であり、Ωは末端要素それぞれに相当する純粋な相の飽和度である。)
この飽和度は末端要素の活性生成物(グラファイト及びNiを含む)の割合であり、固溶解から離溶体への解離反応の平衡定数でもある。そのため、飽和固溶体系とその析出物又は離溶体の末端要素との間の平衡は、複数の組成点からなる曲線で表すことができ、その座標は、ΔGC/ss及びΔGNi/ss(固溶体(ss)から離溶体の末端要素への(原子1個当たりの)解離に関する個々のGibbs自由エネルギー)である。図10を参照されたい。どの任意の点においても、曲線の接線が析出物と溶体の領域の境界を画定する。2元固溶体では、このGibbs自由エネルギー全体は次のように定義される。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
Figure 0006416189
前記論理の結果は、Ni−C固溶体(NiC)ss中のC(原子/単位体積)の濃度を表す式である。これは次のように表すことができる。
Figure 0006416189
様々な上記式を同等に組み合わせることで、飽和Ni−C固溶体系中での炭素の溶解度を表す式が得られる。
Figure 0006416189
例えば、飽和溶体からの析出点においてNiマトリックス中の炭素原子の濃度を[C]とし、そして単位面積当たりの横断する原子の流束をΓ[C](ここで、Γは比例定数であり、Ni中Cの有効な拡散定数によって決まる。)と仮定する。したがって、Γ[D(T)]は活性頻度因子である。析出物中の濃度(利用可能な格子点に充填される割合)は1である。Ni中のC(グラファイトに関するもの)の溶解熱がΔGであると仮定すると、溶体中、濃度は
Figure 0006416189
で表され、流動は
Figure 0006416189
である。NI−C/ガラス系を冷却すると、Niとガラスの間の膨張係数に生じた大きなずれが界面歪みを引き起こして、Ni中のCの溶解エンタルピーが増加する。その結果、固溶体が界面で過飽和状態となる。この現象が離溶体の形成を引き起こす。析出がC原子1個当たりの歪みエネルギーWsを必要とする場合、かかる表面から外向きの流束は
Figure 0006416189
で表される。したがって、支持面の界面(z=h)で流入する飽和溶液から析出されたC原子の正味の流束(Jin−Jout=Jp)Jは次のように表される。
Figure 0006416189
ここで、Ωi、sは、非拘束Ni−Cマトリックス中のC溶質の過飽和度である。上記式から、解離、拡散並びに析出が温度活性化プロセスであることが明らかとなる。剥離されたNi表面でのC濃度をクエンチング直前の温度Tqの関数として求めることにより、溶解熱を除去することができる。
分かりやすくするために、体積Vの円筒形島C析出物がC原子約NxR個を含むと仮定すると、形成にかかる総Gibbs自由エネルギーは、析出エネルギー−Gsolと歪みエネルギーWと表面エネルギーと境界面エネルギーの和で表される。液体マトリックスからの固相の析出は、熱力学的原動力と新たな固溶体表界面の形成に関するエネルギー損失とのバランスをとることで制御される。これにより、析出物の寸法及び形状が決定される。固体親相からの固相の析出も正に同様である。
Figure 0006416189
ここで、μはグラファイト析出物のずり弾性率であり、δは析出物とマトリックスとの間の格子不整合である。
上述から、ΔWは、R及びNの関数として表される。言い換えると、歪みエネルギーの量はそれぞれ、島の周囲の長さに沿った原子の析出対島の厚さに沿った原子の析出に関わる。前記の量を最少化する手順を用いることで、析出物の半径と厚さの関係が得られる。析出中はN/Rが非常に小さい層状構造が好ましいことが分かる。Gがエントロピー項を有するため、高温ではGibbs 自由エネルギーの−TS項は析出後に固溶体を更に安定化して、相転移を引き起こして島が成長するために更なるエネルギーを付与する。

Curie 温度超でのNi中のCの密度汎関数モデル例
CASTEP及びVASPにおける密度汎関数理論を用いて大きなNi(111)表面上でのグラフェン島成長開始を調査することで、ステップエッジエネルギー、そして最終的には島の臨界寸法を求めた。Ni(111)上のグラフェン層は表面に均等に広がっている。グラファイトのバルク格子定数は2.46Aであるので、Ni上に層を形成することにより、Ni(111)基板の格子定数2.48Aに適合させるためにわずかな膨張が必要とされる場合がある。拡張エネルギー損失微細構造分光法を用いて(グラフェン被覆層)/Ni(111)系上で実験構造を決定することで、三重の凹み部分に2種類の炭素、すなわち、fcc部分に1種、そしてhcp部分に1種を有するモデルを得た。本明細書では界面でも同様のモデルを用いる。最外Ni原子の最上部に炭素原子が1種、そしてfcc凹み部分にもう1種の炭素原子が配置された構造モデルが最も適している。図6Bを参照されたい。Ni(111)上でのグラフェンの安定化について前記2種のモデルを用いて計算した。Niと炭素原子からなる上層2層を十分に緩和させた、4層スラブを用いた。
島のグラフェンステップエッジのステップエッジエネルギーを評価するために、前記構造においてDFT計算を行った。構造の炭素原子のうち半分は、隣接する3個の炭素原子と無限グラフェン上層の等位構造を有しており、もう半分の炭素原子はジグザグ構造で不十分な等位エッジ原子であった。炭素被覆率は、側方の単位格子中では3個のNi原子(グラフェン上層では2C:1Ni)に対して原子4個(バルク様の原子2個、エッジ様の原子2個)であった。この計算では、2層の最上Ni層と十分に緩和した炭素原子とを有する4層スラブが選択された。ステップエッジエネルギーは次のようにして算出した。
Figure 0006416189
ここで、E(C、Ni)はグラフェンエッジ計算の合計エネルギーであり、E(Ni)は清浄なNi表面の合計エネルギーであり、Eグラフェンは、グラフェン被覆表面での計算から得られた炭素原子のエネルギーである。計算設定では、スーパーセル中に2個の炭素エッジ原子があり、C原子1個当たりのエッジエネルギーに関しては、Estep=1.8eV/C原子であることが分かった。
前記DFT研究から炭素ナノチューブのエッジエネルギーを計算して、ナノチューブの終端に応じて炭素エッジ原子1個当たり2.2eV及び2.99eVであることが分かった。ナノチューブに関するこの計算では、エッジ部の不対電子と基板との間には当然相互作用がない。これは、はるかに高いエッジエネルギーを引き起こす。グラフェン層がNi表面にある場合、エッジ炭素原子の不対電子対は下層の隣接するNiと結合しようと試みる。本計算では、炭素ストリングの緩和構造に関し、平面グラフェン六角形とのずれが示された。Cエッジ原子は、隣接する3個のCで囲まれたC原子よりも0.28A表面に近い。これによりエッジが安定化されて、グラフェン上層のC原子1個当たりのエッジエネルギーが炭素ナノチューブの値よりも低くなる。そのため、炭素の場合、最も安定な形態はNi(111)上のグラフェン層であって、これはステップに吸着された炭素原子やNi(111)上の最も不安定な炭素原子よりも0.33eV安定である。
Ni(111)/Si界面でのグラフェン島の安定性は、合計エネルギーへの2つの寄与因子、すなわち、ステップエッジエネルギーを生成するための消費と表面−バルクグラフェン中間層を形成するためのエネルギー利得から求めた。グラフェン島の形成を開始すると、Cエッジ原子の数は、グラフェン島のバルク中の原子の数に比べて高くなる。このことは、開始時にはクラスターが不安定であることを意味する。ある特定のクラスターの臨界寸法では、エッジ形成による損失は島の形成利得によってバランスが保たれており、クラスターの臨界寸法よりも大きなクラスターの場合、島の原子数と共に安定性が増大する。本明細書において、臨界半径は、かかる島の面積S(半径r)に関する自由表面エネルギーの差を最小限に抑えることで推定される。
Figure 0006416189
Landerの実験値とa=0.246nmを用いると、臨界半径は6nmであることが分かった。実際、D/Gピーク比に関するin situラマン実験(図7を参照)からは、かかる島の寸法は成長時間10秒で5.86nmと推定することができる。島は、「ニッケル/ガラス界面上でのグラフェン形成機構例」項に前述した成長条件において時間T=約1分のときに合体して連続フィルムを形成する。
以下のことも分かった。
・吸着エネルギーは、負であり、5〜6eV/原子距離である。炭素原子はそれぞれNi表面と強く相互作用する。
・炭素は隣接するNiの数を最大化する傾向がある。
・屈折点、ステップエッジ又は準正八面体(100)表面部分が最適だと考えられる。
・それらは、生成された基準位相図から分かるように、バルク炭化物の形成を引き起こすが、関連する温度(この場合は750℃)では安定ではない可能性がある。
・寸法効果は、バルクNi中でのCの溶解性を制限する。実際、モル体積は非常に類似している。
・正の溶解エネルギーは+0.5eV/原子であった。
・表面に近いほど、寸法効果が緩和される可能性がある。
・表面下のC濃度の方が大きい。
・sp炭素とNi表面との相互作用は弱い。
・Ni(111)上でのグラフェン層の吸着は極めてゼロに近い。

ニッケル中での炭素拡散に関する代表的な原動力
上述のように、原動力の中心では、ガス/金属と金属/ガラスとの界面において炭素の溶解度に差があると考えられる。そこで、この溶解度の差を熱力学的基礎で表すものとする。同じ推論が鉄又はニッケルと接触している異なる組成の複数のガス混合物にも当てはまり、それぞれグラフェン及びa−Cと平衡状態にあると考えられる。本明細書では、これにより、ニッケルと接触しているアセチレンと水素の混合物を説明する。
Figure 0006416189
系が平衡に達したときにこの量が最小となる場合のGibbsエネルギーの増加について以下に示す。ニッケル触媒のガス面でのこの反応にかかる平衡定数の式は次の通りである。
Figure 0006416189
平衡状態(dT、sP=0)において、ニッケルのガス面で化学反応に当てはめた場合、上記式を次のように書き直すことができる。
Figure 0006416189
希釈形態のニッケル中に溶解したCの化学ポテンシャルは次の通りである。
Figure 0006416189
上記式から、ニッケルに溶解した炭素を平衡状態でグラファイトへと変換する原動力を導き出すことができる。
Figure 0006416189
こうして、パーコレーション直前のグラフェン島の統計的分布を導き出すことができる。
図11は、クエンチ温度Tの逆数に対する界面でのa−Ni/c−Ni−C過飽和固溶体中のC原子の濃度のXPS実測値と理論値とをフィッティングさせたアレニウスプロットである。クエンチ温度はキュリー点T以上である。図12は、本明細書に記載の技法例にしたがって作成した試料に関し、650℃での熱処理後のSiウェハー上のNiのXRD実測値を表している。

グラフェン析出例の反応速度論
熱力学によってプロセス制御パラメータを理解することはできるが、反応は、反応速度論が特にNi触媒の存在下で急速に生じさせる方式で開始される。この方法を有効にするために、Ni中の炭素の拡散距離は基板中へのニッケルの拡散距離よりも大きくてよい。ZP点から遠いプロセス条件(Pc、PH、T)下では、a−C表面層がNi表面での炭化水素の解離吸着によって容易に形成される。ニッケル触媒表面上にはa−C炭素の薄層が形成される。炭化水素ガスは、関連する圧力及び温度においてこの層全体に浸透する。本プロセスは、ニッケル薄膜触媒と連携して、a−C中への炭化水素ガスの浸透としてモデル化することができる。浸透には2つの段階、すなわち溶解と拡散が含まれる。ガスは、先ず溶解し、次いで拡散する。この場合、2つの層、すなわちa−C層とNi層は連続している。Cガスは、Ni/ガラスの界面に達したときに、NiへのCの溶解によって過飽和になる(Cの最も安定な形態)ほど十分に温度が低ければ析出してグラフェン又はグラファイトを形成する。ヘンリーの溶解反応則に従った溶解現象が生じるものと考えられる。さらに、ガスは接触すると解離するとも考えられる。したがって、
Figure 0006416189
ここで、[C]は、濃度であり(膜バリア1m当たりのガスのモル数)、Pは表面と接触しているガスの分圧(Pa)であり、Sはその温度での正味の溶解度定数である。
溶解後、ガスは支持面に向かって金属膜内へ拡散する。Fickの法則を用いて正味の到達流束Γを見積もることができ、次の式で表される。
Figure 0006416189
正味の有効拡散定数Dは連続拡散定数であり、その積Dnet×Sは透過定数である。触媒膜厚はδで表される。長時間(例えば、Niが基板に拡散し始めるほど十分に長い)経過後、真の平衡に達することから、疑似平衡がz=0において界面を含む適切な境界条件下にあると考えられる一時的な事例が導かれる。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
上記式を組み合わせることで、炭素原子の流束(Γint)はNi/ガラスの界面で析出し、時間の関数として表される。
Figure 0006416189
これより、距離τが導き出され、これは時間定数であり、これには以下の場合に上記関係が当てはまる。
Figure 0006416189
時間の関数としてグラフェン層がそれぞれ析出するときにΓがin situラマン分析で追跡できれば、上記式からDを求めることができる。時間の関数としてラマン信号強度(例えば、2−Dピークの幅)をプロットすることにより、勾配から値Dとニッケル表面での炭素濃度の切片とを推定することができる。このことを様々な温度で行えば、Cの溶解度を推定して、Gsol値を導き出すことも可能である。

グラフェン成長例に関する動的界面応力
この項では、前記のC−拡散成長モデル例を、Ni/基板界面での膜成長時の応力発生を包含するように拡張する。実験データ及びフィッティングしたモデルデータを表すグラフである図11を参照されたい。Cの移動度がNiよりもかなり大きいという最初の仮定と一致すれば、C原子は、連続膜と合体する前にNi中に拡散して孤立グラフェン島を形成する。大きな移動度のC原子は、かかる島のアスペクト比が非常に小さいことを意味し、合体する前にFGL単独の島が形成されることもある。C原子の面内拡散定数もまた、2つの競合する成長プロセス、すなわち、(i)核形成、成長及び合体を経て2次元の階段状の島を作製することと、(ii)連続GL膜を一つにまとめるように拡散中のC原子をステップエッジで直接捕獲することと、を可能にするほど十分高い。特定の実施態様例では、C原子は最下層Ni/グラフェン島の界面から島の境界に向かってグラフェン/ガラス界面の至るところまで拡散するが、ガラス/Ni界面におけるNiは固定されているので、グラフェンの界面成長をモデルにすることができると考えられる。
島が形成されている間、引張応力成分σが存在しており、これは、平均寸法Rの島の特定の空間密度では一定であると考えられる。ステップエッジの成長が島の形成を上回って島の間隔を詰めるときの直前の事例をモデル化する。島を合体させる前に2つの圧縮応力の発生機構が実行される。一方は、グラフェン島それぞれに作用する表面応力によって引き起こされる圧縮応力に関する機構であり、他方は、相互作用する島同士の間の粒界にC原子が入り込むことによって引き起こされる圧縮応力に関する機構である。このモデルは、島の境界に沿った炭素の急速な拡散を前提としているので、圧縮応力は膜厚全体に均一に分布している。速度
Figure 0006416189
で成長中の厚さzの膜内での正味の二軸応力(σnet)をここでは次のように表すものとする。
Figure 0006416189
ここで、Lは階段状の島の平均寸法であり、σは別のC原子層を島エッジ内に(原子間距離aで)挿入するときに引き起こされる圧縮応力である。
Figure 0006416189
グラフェン島のエッジ間の溝へCが拡散するための原動力は、島の中心とエッジ境界との化学ポテンシャルの差であり、(上記式から)次のように表すことができる。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
この化学ポテンシャルの差の原因は、前項においてNi膜のガス面と支持面の間に導入された化学勾配に由来する可能性がある。σは、領域エッジ境界全体に存在する応力であり、Vmはグラファイトのモル体積である。島の表面から島の境界へ向かう原子の流度は、次の通りである。
Figure 0006416189
ここで、νは、島の界面から領域とエッジの境界までのC原子の移行速度であり、R及びTはそれぞれ、モル定数及び熱力学的温度としての一般的な意味のままである。
触媒膜の支持面でのC原子の所定の到達速度に相当する所定の密度nisでは、Nge又は境界領域に到達する原子数を計算することができ、これにより、膜内の応力を求めることができる。μがRTよりも非常に小さいという合理的な推測をして式(38)と(41)を連立方程式とすると、膜内の応力の変化速度は、2つの限定条件に解を有するODEで表すことができる。グラフェンが偏析するための活性化エネルギーを処理する前項から、δμの推定値にたどり着くと、応力を独立検証することができ、又は後者の応力が既知であれば、δμの推定が可能である。
Figure 0006416189
事例1:定常状態の膜応力
定常状態の応力は、式(43)の左項をゼロにすることで得られる。正味の膜応力は次のように表される。
Figure 0006416189
ここで、時間定数
Figure 0006416189
は、到達すべきこの状態のために定義され得る。定常応力値は、例えばフィルムの成長速度
Figure 0006416189
がa/τよりも非常に小さいかどうかに応じて上限張力又は下限圧縮値を取ることが分かった。ここで、σ→σであり、かつ
Figure 0006416189
はa/τよりも非常に小さく、σ→−σ=δμ/Vである。

事例2:ゼロ成長速度応力
成長速度がゼロに近づくとき、例えば、原料である前駆体ガスの供給を停止したとき又は温度を触媒膜のガス面での触媒分解に関するしきい値未満まで下げたとき、式(44)の解として次の式が得られる。
Figure 0006416189
すなわち、成長が中断されると、応力は時間定数τzg=(z/a)×τと共に値σfまで指数関数的に低下する。ここで、zは膜厚であって、ラマン2−Dピークから求めることができ、τは先に定義した通りである。
この条件下では、この反応のメインドライバΔμだけでなく、膜の成長速度
Figure 0006416189
もゼロに近づく。ある特定の温度でガスの供給を開始及び停止することにより、島が合体し始めるときにグラフェンの正味応力が上限張力から下限圧縮まで調節されることが分かった。このモデルの予測は、ラマンフォノンの緩和又は増大によってシフトするため、ラマン分光法により得ることができる。G又は2−Dピークのシフトをモニターする。
島が基板上を移動できるのであれば、島の成長中の格子定数の変化によって応力は生じない。初期段階の圧縮応力の基本前提は、特定の臨界寸法(Rcr)を超えたときに島が基板に強く接着していることである。そういう意味で、島の格子定数はそれよりも低い値に固定されており、更に成長しても変化しない。しかし、平衡格子定数は変化し続けて、成長中にバルク材料の格子定数へ近づいていく。そのため、平衡格子定数と実際の格子定数との差によって島に内部応力が生じ、その内部応力は、温度を例えば600℃に固定してラマンのG−ピーク又は2−Dピークのシフトをモニターすると同時にCの相対分圧を制御して好ましいグラフェン析出とNi膜触媒のガス面からのグラフェンエッチングを逐次生じさせることで推定され得る。

事例3:応力の外部供給源−格子不整合及びクリープ
上記のモデルでは、粒界の「包み込み(zipping up)」が即座に生じない。初期の合体後、粒界形成は、エネルギー的に起こり易いときに1層ずつ進行し得る。2層間の距離が遠すぎると、2つの層は、析出中、引力が引き合うほど十分に大きくなるまで横方向に成長する可能性がある。この機構で生じる引張応力は、従来の包み込みプロセスよりも小さく、過大評価されることが多い。

固定成長温度でのラマンモデルにおける応力由来の緩和及び強化の例
温度を上げるとラマンモードの緩和が生じることは周知である。図13を参照されたい。これは、特定の実施態様例にしたがって作成した試料の、温度に対する二軸応力を表している。本明細書において、温度が原因とされるグラフェン膜のレッドシフトは、反応器内で成長した標準膜のための基準値とする。この基準値を用いて、応力変化が原因とされるレッドシフト又はブルーシフトを追跡することができる。

連続界面応力モデル例
熱応力の発生:昇温
堆積直後のニッケル触媒膜内の引張応力は、過剰体積によって生じる可能性がある。電子データ及びXRDデータによれば、前記膜は100nm〜1ミクロンまでの厚さ範囲において非晶質である。膜と基板との強い接着力によって与えられた拘束は、膜/基板界面において滑りも相互拡散も起こり得ないことを意味する。Ni膜を熱でアニール処理すると、これら2つの主要な拘束によって二軸応力が発生する。第1成分は、Niと基板(Si又はガラス)との間の熱的不整合のせいで外部応力によって生じる。Niの膨張係数が基板よりも高いため、歪みが生じ、そして加熱時に圧縮応力が引き起こされる。この圧縮応力は元の引張応力に追加される。圧縮応力は冷却すると引張応力へ戻る可能性があることに留意する。室温〜500℃までの熱弾性データから、熱的な不整合応力が圧縮応力の大部分を占める。温度が上がると、温度に応じて膜応力の変化速度の程度が減少する。この減少は、TEMデータ及びXRDデータの両方で証明されるような非晶質からナノ結晶へと変化する膜内での相変化によるものである。第2の応力供給源を説明するために、主に(111)構造の膜の微細構造の熱による変化(非晶質からナノ結晶へ)を調べる。粒界自体の拡散の影響及び熱活性化による転位運動の影響を含むことで、粒径と膜厚の比に応じた分だけ平均膜応力が低下する。粒径が完全に緩和してそれ以上拡散が生じなければ、平均応力は次の式で表される勾配が減少する熱弾性直線にしたがう。
Figure 0006416189
ここで、
Figure 0006416189
図14は、様々なHe流量の下、700℃でアニール処理されたNiのXRD走査結果を表す画像である。図15の顕微鏡写真も参照されたい。
粒界の拡散の影響及び熱活性化による転位運動の影響を含むことで、平均膜応力は粒径と膜厚との比によって決まる。粒界が完全に緩和してそれ以上拡散が生じなければ、平均応力は、次に示す、勾配が減少する熱弾性直線にしたがう。
Figure 0006416189
アニール処理中、膜を(i)線形イオンビームによるHeイオン注入及び(ii)炭化水素ガスに順次暴露する。温度T/4を超えると、移動中のHe原子は金属膜内部に析出物又はクラスターとして捕捉される。ヘリウムは格子間原子として非常によく動くが、非常に不安定で、Ni構造内の空孔に捕捉される可能性がある。かかる空孔はHeをできる限り多く捕捉し得るが、その数が約5を超えると、Ni原子が、ヘリウム原子ではなく自己格子間原子として放出される可能性がある。
Figure 0006416189
膜応力へのHeの影響は、Heが金属格子から析出する冷却中に現れる。そのため、He格子間原子のNi膜への混入によって歪みの量が算出できる。格子間原子が凝集すると、Heナノスケールの混入気泡は、次の式で表されるようにS倍膨張する。
Figure 0006416189
その結果、Heの偏析によって格子膨張が生じ、一次までは次の式で表される。
Figure 0006416189
したがって、ヘリウムの混入によってNi膜中の引張成分が増加して加熱前の初期応力を超える傾向がある。最終的に、例えば膜を冷却すると、正味の引張応力が生じる。膜と基板間の界面はNiのガス面表面に比べて膨張する。ニッケルは加熱すると結晶化して粒径が増大するので、Heによる処理が金属膜内の転位密度全体を助長する。転位はその周囲の結晶格子を変形させる。結晶内での転位周辺の変形は膨張(平面間の距離が本来あるべき状態よりも大きい)であっても圧縮(平面間の距離が本来あるべき状態よりも小さい)であってもよい。かかる変形(歪み)は系のエネルギーを失わせる。

C拡散中の応力の発生
高いアニール処理温度(例えば、700℃超)では、ガス原料中のC原子はnc−Ni膜触媒全体に溶解してその中で非常に急速に拡散する。CはNi膜中で粒界と粒子の両方を通って(格子間原子部位だけでなく空孔も通って)拡散する。局所規模では、粒界はC原子のための吸込み(sinks)として働き、C/Ni比が増大すると、Ni−C固溶体が過飽和に達したときに偏析と析出が生じる。先ず、拡散中のCがnc−Ni構造に入ると、正味の正の体積変化が正味の圧縮応力に変換されて、外部熱応力に付加される。ただし、これらの応力は、グラフェン形成時間よりもかなり短い時間スケールにわたってアニール処理される。格子拡散と同様に、粒界拡散は、好ましい偏析部位間に活性化エネルギーEa(バルクNi中では1.62eV/Cに対し、GBでは0.77eV/C)を用いたArrhenius式によって表される。ただし、薄膜中の二軸応力は、拡散係数だけでなく、化学ポテンシャル勾配と関連した拡散原動力にも影響をおよぼす可能性がある。特定の実施態様例では、膜応力は拡散問題の界面条件を改善する。膜応力はまた、C格子間原子のための供給源と吸込み(例えば、粒界と界面)の両方の効率にも影響を及ぼす。溶解した格子間原子の濃度が膜の深さによって増大するとき、Ni膜へのCの混入による応力増加を説明するために上記式(48)を変更する。結局は、一部のしきい値では、膜の応力によって操作する必要がある。この機能の一つの成果がC析出開始であって(T=Tprecのとき)、これは、過飽和固溶体が粒界でのCの偏析と疑似平衡状態にあるときに生じると推測される。
Figure 0006416189
T=Tprecにおいて、応力−温度曲線の勾配はゼロに近づき、また、−ΔGsol=ΔGprec(C原子1個当たりの析出熱 及び正味の体積生成はグラファイトのモル体積であることから、応力−温度曲線から得られる析出熱は次の式で表される。
Figure 0006416189
実験値から、粒界での析出熱の値−0.2eV/原子が得られる。この値は、実験誤差範囲内であって、Ni中のCの溶解度研究から導き出される値と同程度の大きさである。偏析にかかる熱の大きな負の値は、結果として、境界領域での高い溶質濃縮をもたらす可能性があり、最終的にEを増大させて、粒界の「閉塞」によってCの拡散を減速する。粒界でC析出が開始すると、E値が、膜へのCの浸透速度を減速する程度まで増大する。さらに、拡散定数の応力への依存も存在し、次のように表される。
Figure 0006416189
への暴露前の、過剰体積のNi触媒膜の主な供給源は粒界及び空孔であると推定される。第2の応力供給源を説明するために、浸透中のC原子へ暴露したときの主に(111)構造を有する膜の微細構造の熱による変化(非晶質からナノ結晶へ)を調べる。他の研究者らの実験から、C格子間原子のNi粒界に沿った拡散は格子拡散よりも4倍程度速いことが分かっている。深さをプロファイリングするXPSと偏析されたCの炭素濃度に関する原子プローブ電界イオン顕微鏡法とを組み合わせて利用する。

Cの進入及び偏析によって引き起こされる応力
炭素混入中にNi膜中で発生する応力変化は理論上計算可能であり、それを実験測定値と比較する。CがNiの単相領域全体の格子間に溶解する場合、モル体積変化から生じる応力は体積歪み
Figure 0006416189
(単位体積当たりの体積変化)を考慮して理論的に算出した。応力
Figure 0006416189

Figure 0006416189
(ここで、Mはニッケル膜の、膜が端結晶であると仮定したときの二軸係数である)で表され、応力は膜全体に均一に分布されており、膜はエッジdx、dx=dy、dzを有する六方対称に基づいて等方性弾性を有している。
Figure 0006416189
ここで、ε、ε及びεはそれぞれx方向、y方向及びz方向の歪みである。歪みが小さい場合、歪みの積は負であって、結果として次の関係がもたらされる。
Figure 0006416189
弾性限界を下回ると、膜の二軸応力は、Hookesの法則から、C原子半径値(0.14nm)とNi原子半径値(0.248nm)及び0.352nmであるfcc Niの格子定数より、次のように計算することができる。
Figure 0006416189
χは所定の温度T=850℃におけるNiへの溶解平衡にあるCのモル分率であり、ε≒0.35で、応力−0.8GPa(圧縮)に相当する。
しかし、本明細書に示すように、C拡散はNi中でのCの堆積をもたらし、その結果、偏析が生じて、2相材料(主にNi(111)とナノグラファイト領域であって、膜中心での比は1:1程度であるがz方向には勾配がある)が得られる。応力は、2つの半整合相におけるこのような格子パラメータの不整合によって生じるものであり、不適応な歪みを考慮することで理論的に算出される。nC相の混入が(111)Ni相のマトリックス中で生じる場合、前記不適応な歪みは次のように表される。
Figure 0006416189
(i)平板状の混入がマトリックス中で生じること、(ii)弾性応力が膜に影響を及ぼすこと、(iii)膜が単結晶であること、(iv)応力が膜全体に均一に分布していること、(v)膜が等方性弾性を有していること、及び(vi)主要な不適応な歪み、すなわちx不適応、y不適応及びz不適応が不適応な全歪みにのみ影響を及ぼすことを前提とすると、単位体積当たりの平均応力は次のように表される。
Figure 0006416189
ここで、kは2つの相(ナノグラファイトとNi)の弾性率の比であり、Gは体積弾性率であり、平均歪みはεである。この応力は、xi=1のとき−3.13GPaであると算出される。χは膜中のCの濃度を表す。この圧縮応力は、Cの分布に勾配があるとき、Ni膜の深さに応じて変化することが分かった。そのため、表面の膜は、境界接着条件が保持されている2面間よりも比較的高い圧縮応力下にある。
それにもかかわらず、各領域での実測値と理論上の計算値とがわずかに食い違っていることが分かった。このわずかな食い違いに関する推定理由の一つは実験誤差であり、これは、歪み測定時の膜によるレーザビームの屈折から生じる。さらに、膜の多結晶性、膜内での不均一な応力分布、様々な形状の混入、2相間の非整合性ずれ、及び2相間での弾性定数の不均等性、理論上の計算で無視した影響などの前提もまた、理論値と実験値とに差をもたらし得る。上述はNi(111)相とCナノ領域との間の整合性を前提としているが、ずれは転位形成を引き起こし、それにより、Tの増加につれて経時的に応力を熱処理しようとする。
熱弾性域から塑性域まで
高温のニッケル薄膜全体へのC拡散は秒のオーダーであり、そして二相性の相分離はおよそ1分であるが、界面でのグラフェン形成は、さらに長時間を要する(例えば、数分)だけでなく、ΔGprepがかなり大きな負の数であるにもかかわらず、系への加熱が必要な場合もある。以下には、Ni/基板での考えられるグラフェン形成機構に関する反応速度論モデルを提案しているが、これはグラフェン形成に関する時間スケールを説明するのに役立つ場合もある。このモデルにより、実験検証可能な予測を立てる。Niマトリックスは、膜の面と垂直な、空間的に勾配のあるC分布であり、この分布の勾配は時間とともに減少する。表面付近の炭素が豊富な領域(NiへのCの過飽和溶解)では、相分離のための条件が整っており、スピノーダル分解によってナノグラファイト領域が形成される。膨張係数のずれは格子不整合(例えば、グラファイトとNi(111)の間で18%超)と共に転位を形成させる。ナノグラファイト炭素は格子間原子である炭素の供給源として働き、転位と強く相互作用する。n−Cは、10−6−1で周囲温度においてグラファイトと変わらない熱膨張係数を有すると考えるのが妥当である。Niの熱膨張係数はこれよりも少なくとも一桁大きい。成長温度では、Niホストマトリックスとn−C析出物の間の固有格子不整合が、膨張係数のずれによって著しく拡大される。C析出前のNIマトリックス内部の整合歪みがεcohであり、新たにn−Cが形成されれば、合計ミスフィットmの残り(例えば、少なくとも18)は転位によって補わなければならない。
Figure 0006416189
その結果、ナノグラファイトC島とNiとの界面で転位による斜方晶形の穿孔が生じ、マトリックスの硬化を引き起こす。
この硬化は、同様に、応力−温度曲線に観測塑性領域をも生じさせる。析出温度を超えた膜の塑性挙動は、熱活性化転位運動だけでなく粒界拡散クリープによってもモデル化できる。転位クリープ機構によって、Tprec超での圧縮応力の急速な低下が説明されるものと推測される。活性化された転位プロセスによって生じ、冷却サイクルにまで及ぶ引張応力の大きな流れが確認される。考えられる転位源は、平行転位を発生させることが確認されている粒界である。転位は、金属膜とSi又はガラス基板との界面で吸収される。界面での膜の拘束の結果として、Tprecでは、膜の深さを基にして炭素が豊富な領域での単純圧縮から界面における転位が優位な領域での張力にまで及ぶ応力の不均等性が生じる。現在行われているHRTEM研究からは、高温NI膜(供給源と推測される)内の粒界付近に転位活性の兆候が示され、そして金属膜及び基板(ガラスであってもSiであっても)が転位の吸込みとして働くことも分かった。本出願人の研究からも、転位が、金属膜中の111傾斜面に通じて、膜内を転位が通過するように行長が増加する転位セグメントを配置することが分かった。二軸熱応力をSchmidの法則を用いて滑らかに移動するのに必要なせん断応力に変換することで、界面と面平行を示す傾斜面(111)上での転位だけが滑らかに移動することができ、転位運動を引き起こすせん断応力がその応力変化の始点であることが判明する。

転位によるグラフェン形成の反応速度論
ここでは、Cを添加したNi触媒薄膜内での転位、双晶化などの欠陥につながる十分な証拠を示して、過飽和の固溶体中のC不純物原子がいかにして転位へ偏析して平衡条件を回復させるかについて検討する。炭化水素へ暴露する前に膜へ導入された格子間原子Heなどの点欠陥も転位へ移行し易い。偏析の反応速度論のモデル化を試みる。C不純物原子が拡散により移動することは明らかであるが、転位自体もまた界面へ向かって拡散し、それと同時に転位とCとの間に相互作用ポテンシャルが存在している、という事実によって問題は複雑となる。偏析の反応速度論は、この相互作用ポテンシャルの精密な性質、及びプロセス中に生じる濃度勾配などによって決まる。合理的には、転位密度、Cの過飽和度及び相互作用ポテンシャルが十分に特定されると、例えば物理的な音の境界条件を利用して界面での経時的なCの蓄積速度を推定するのであれば、問題は扱いやすいと推測され得る。
Cの転位への移行を拡散によって制御しかつ交換相互作用エネルギーΦ(r)の助けも借りる。交換相互作用エネルギーは、距離rに位置しかつ特定の転位への影響範囲rdisを有するC原子上での転位のために、関連する寄与因子すべての正味の影響力である。この相互作用は、C不純物と拡張された転位の積層欠陥との間で生じる化学的相互作用の合計として解釈される。
Figure 0006416189
Figure 0006416189
上記方程式が界面付近に適用される場合、及びC原子の濃度C(r、t)が前記放物型の二階の偏微分方程式を満たす場合について検討する。界面付近及び界面での実際の転位構造を表す図式は非常に複雑な場合があると認識されているが、転位密度関数をより幾何学的にかつ数学的に受け入れやすい形へ先ず理想化する必要があると考えることもできる。転位が、理想的な準静的転位密度ρを有する界面で移動して蓄積した時点をt=0と設定する。ここで、転位のBurger ベクトルは直線的でかつ界面と平行である。それぞれ、次の関係を満たす円柱半径rの中心に位置している。
Figure 0006416189
発生した転位密度は、n−C表面積に依存する。n−Cは、直径dが小さく、Griffith 傷の密度を低くするので有利である。転位密度の発生は更に高くなる可能性があり、その結果、強化が向上する。転位密度は次のように表すことができる。
Figure 0006416189
ここで、χはNi膜中に析出したn−C(平均粒径g)の体積分率であり、bはBurgerベクトルの大きさである。
物理的に現実的な特徴を導き出す形で式(62)を解く程度まで問題が軽減される。元の偏微分方程式は二階微分であるため、2つの空間境界条件を定義する必要がある。
(i)C(r=Γ/d(断面ごと)又はC(r→∞)=C
(ii)C(r=0)=0(転位部位での完全な吸込み)
上記問題文に対して2つの物理的に合理的な解決策が認められる。
事例1:純粋なドリフト
固溶体中の炭素原子は原料炭化水素ガスから一定供給することで補充されるので、隣接する転位間での溶質炭素の競合を無視してよいという合理的な前提を立てることができる。そのため、界面ではCが一定補充されると考えられる。濃度勾配による流量を無視しかつ相互作用ポテンシャルΦが次式で表される完全に放射状である場合、
Figure 0006416189
その結果、完全ドリフト溶解は次の一次方程式から求められる。
Figure 0006416189
上記式を解くことで時間tで転位位置に達する炭素原子と初期濃度との比が示され、次の式で表される。
Figure 0006416189
事例2:ドリフトと拡散
ここでは完全溶解を考える。この場合、固体溶解度が界面付近のどの点も超えない条件下のC不純物と転位とが平衡に達する。次に、Cの濃度が触媒表面にあるC(o)の濃度に達するまでの時間を計算する。Cの濃度が利用可能な格子部位の密度に比べて依然として低いと更に仮定すると、濃度はMB統計値から直接得られる。
Figure 0006416189
転位のF−D分布における成長の反応速度論
より多くのCが拡散してNi−Cの固溶体が形成されるとき、通常、異なる原子間には寸法差がある。そのため、固溶体の結晶格子には異なる成分による歪みも存在する。溶質/溶媒の周囲の歪み領域と固溶体の結晶中の転位とが相互作用することで、全体的なエネルギー低下が引き起こされる可能性がある。例えば、固溶体の結晶中での転位を仮定する。固溶体の大きな原子が転位の周囲の膨張領域にあり、そして小さな原子が圧縮領域付近にある場合、弾性応力が部分的に解放される可能性がある。原子の、結晶内の領域へのこの種の移動は、格子内の転位を最も大きく緩和して、転位周囲で原子が密集する可能性がある。界面エネルギーを最小限に抑えるためにグラフェンが形成される。このエネルギーは算出できる。
熱処理によって表面から拡散した転位は、グラフェンの析出が、長い時間をかけて、Niが格子間Cと相互作用の影響を受けられるようにC原子とfcc金属内部の転位との相互作用によって引き起こされるように作用する。転位は、規則正しく配置された格子間原子の領域を移動若しくは滑らかに移動させる又は形成するときに、格子間原子を引きずることがある。

層間剥離のためのヘリウムアニール処理経路例についての更なる研究
上述のように、現場では、対象基板(例えば、シリコンウェハ又はSiO誘電体基板)上へのグラフェンin situ乾燥転移は、CVD成長中に堆積されたNi含有薄膜の微細構造的な応力工学による選択的剥離と併せて行われることがある。さらに上述のように、Ni膜の剥離は、ヘリウム含有環境下でアニール処理している間に生じる応力によって促進されることもある。例えば、大気圧でアニール処理された高応力膜は、高温でグラフェンを形成するとin situ剥離及びin situ移転をこうむる可能性がある。低圧CVD条件は低応力膜を生成することが分かったが、一方、Ni含有薄膜のex situ剥離はScotch テープなどで単に引っ張ることによって行われる。
そのため、コールドウォール型急速CVD装置を用いてヘリウム含有雰囲気下でアニール処理されたニッケル含有膜は、最下層グラフェンをSiO−Ni界面に形成した後で絶縁支持体から剥離することができ、その場合、最下層グラフェンはNi含有膜の機械剥離後もSiO上に保持されている。材料間の接着力は弱いため、グラフェンがニッケル含有膜から分離し易い可能性もある。先に説明したように、ヘリウムトラップ及び粒界での堆積は膜の応力を増大させる可能性がある。最下層グラフェン膜は、剥離中に絶縁体表面とより強く相互作用すると考えられるので、それ以上処理せずに放置しておいてもよい。本項で報告した結果からは、単層から多層までの範囲の厚さに関して2Dラマンマッピング及びTEMで定量化したときに、グラフェンが高品質であり(ラマンI/I<0.2)、ミクロン規模にわたって被覆率90%超のミクロンサイズの結晶を構成することが分かった。
本項では、薄膜の応力及び層間接着力を操作して金属/誘電体層界面でのグラフェン材料の乾燥転移を達成し得る方法に影響を及ぼすと考えられる様々な原理について更に詳細に検討する。
以下に記載する試料における基板調製では、ニッケルを堆積する前に、標準的なリソグラフィープロセスを用いてパターニング試料を調製した。パターニングウェハ及び非パターニングウェハに電子ビーム蒸着装置(Cooke SJ−20蒸着装置)を用いてニッケルを堆積した。室圧を約20mTorrまで下げてから、ニッケル200nmを5A/秒で堆積した。ウェハは、スクライビング処理して割ることで1cm×1cm寸法のチップとした。フォトレジストの付いたチップを、先ずアセトンを入れたビーカーに入れて4分間、そして次にIPAを入れたビーカー内で2分間穏やかに撹拌した。
前記試料におけるグラフェン成長は、コールドウォール型CVD装置を用いて行った(図1に示すようなAbsolute Nano製の改良型SabreTube)。特注のコールドウォール型CVD装置には、電気炉、1.5インチ石英チューブ及び真空ロータリーポンプが収容されていた。基板を誘電性pドープSi基板上に配置して800〜900℃まで急速加熱した。プロセス中の圧力は、低圧実験の場合は2Torrで、それ以外は大気圧で測定した。グラフェン成長用炭素供給源としてメタン又はアセチレンを用いた。試料は、急速に加熱しヘリウム流の下で5分間アニール処理した。次いで、成長ガス(H:炭素供給源=2:1)を1〜2分導入した。その後、試料を不活性条件下で急冷した。室温に戻ったところで、低圧条件にさらした試料のNi膜をScotch テープで除去した。
本項で述べる試料を特性評価するときには、532nm装置(WiTEC製)を用いてラマン分光法を行った。グラフェンの微細構造は、原子間力顕微鏡法(Veeco製Dimension Icon)及び透過電子顕微鏡法(JEOL製2100及びJEOL製2010 FEG−TEM)で特性評価した。平面及び断面観察用TEM試験片は、従来の研磨の後、アルゴンイオンミリングすることによって調製した。別法としては、平面撮像のために、グラフェン層をレースカーボンTEMグリッドに転移した。NI膜は走査電子顕微鏡法(FEI Helios Nanolab製650 Dualbeam集束イオンビームワークステーション及びZeiss製Supra55VP FESEM)で解析した。
SiOへのグラフェンの直接形成及び転移は、膜堆積プロセスで生じた残留応力によって制御された工学応力に加えてCVDプロセス中に発生した発生をも有するNi薄膜を用いて行った。200nm厚のNi膜は、電子ビーム蒸着法により、300nm厚の熱成長SiOを有する4インチ(100)Siウェハ上に堆積させた。グラフェン成長は、コールドウォール型CVD装置を用いて行った。ここで、基板は、抵抗加熱式の高濃度ドープシリコン製懸架プラットホームであった。グラフェン成長基板は前記加熱式プラットホーム上に配置して、10秒でアニール及び成長温度800〜900℃に達した。実験は低圧(2Torr)及び大気圧の両方で行った。いずれの場合も、圧力はプロセス中、一定に保った。Ni膜を急速に加熱し、ヘリウム環境下において一定温度で5分間アニール処理した。グラフェン成長用炭素供給源としてメタン又はアセチレンを用い、暴露時間は20秒〜2分までの範囲であった。成長工程中に大気圧でNi膜を剥離したが、グラフェンはSiO表面上に残存していた。ヒーターの電源を落とし、基板を急冷させて(例えば、秒速約13℃の速度で)プロセスを終了した。
ラマン分光法で確認した通り、グラフェンは、前記条件下ではNi膜の最上部及び最下部の両方に形成された。しかし、Niと基板との接着力、並びに剥離後にNiの最下部におけるグラフェンの存在及び/又はSiO上に残存しているグラフェンの存在は、CVDパラメータによって決まることが確認された。以上の結果から、及び上述のように、界面グラフェン層(IGL)の直接転移は、高温での炭素暴露工程中のNiのin situ剥離又は基板を冷却し除去した後のNiの機械的な剥離のいずれかによって制御可能である。
脆弱化した膜における応力由来の剥離は、IGLを一定の高温で堆積させる大気圧下でのCVDプロセスによる成長段階中に生じることが多かった。アニール処理及び低圧での炭化水素前駆体ガス暴露処理された膜は、基板に接着したままであったが、冷却後にScotchテープだけを用いて容易にかつきれいに除去することができた。それとは対照的に、従来の水素アニール処理条件を用いた類似の実験では、Niの剥離もグラフェンの焼き付けも促進されなかった。
転移されたグラフェンのAFM特性評価からは、高さ約1nm及び周期性約50nmの特徴的な近接した皺が認められた。同様の近接した皺は、Ni/SiO/Si積層基板上に成長されたグラフェンのSEM画像でも確認された。この近接した皺構造はNi膜の微細構造に類似しており、皺がNi粒子周囲で形成されていることを示唆している。皺の周期構造もまた、グラフェンが、SiOに固定されたNi粒子から外側へ向かって成長していることを示唆している。アニール処理が局所的な剥離を引き起こし、そして粒界において外側へ向かう炭素流がSiO上でグラフェンを形成する、と考えられる。先の技法で形成されたグラフェンに通常認められる加熱皺は、SiO/Siの真上にあるグラフェンでは容易に観察されないが、剥離されたNi表面上で成長したグラフェン最上層では高密度の皺線が確認された。グラフェンの加熱皺及び/又は褶曲は、多くの場合、金属触媒、ポリマー、グラフェン自体などとのCTE不整合、リフトオフ及び転移に用いられる機械プロセス、化学分解などによって引き起こされる。特定の実施態様例は、驚くべきことに、そして予想外にも、Heを用いることで、Ni含有金属含有触媒層の除去後の最下部グラフェンでの加熱皺形成が予防される又は大いに軽減される。
グラフェンは負の熱膨張8X10−6−1を示して冷却中に膨張することが分かった。その一方で、Ni及びSiO/Siは正の熱膨張を示すので、成長温度からの冷却時に収縮する。ただし、Niの熱膨張係数はSiよりも少なくとも5倍大きく、Ni上で成長したグラフェンに高い圧縮応力を発生させるので、加熱皺につながる。SiO/Si上で成長した加熱皺のないグラフェンと当該グラフェンの熱不整合基板に対する感受性との観測は、CVD成長させたグラフェンの電子物性を歪みによって調節するという可能性を広げるものである。かかる結果は、化学エッチングとポリマー支持層による転移とを用いた従来の方法からの結果と容易に対比できる。従来の方法では、グラフェンに皺、断裂及びドーピングが導入される傾向があり、更には望ましくないポリマー残渣も残したままである。
転移されたグラフェンの被覆率及び品質は、共焦点ラマン分光法で求められる。図17の2Dラマンマッピングを参照されたい。図17からは、基板全体にわたる高品質グラフェンの高い被覆率が確認される。転移されたグラフェンは、Gバンド(約1590cm−1)、Dバンド(約1338cm−1)及び2−Dバンド(約2660cm−1)といった最も広く認められた特徴的ピークを有していた。これについては図18を参照されたい。IGLについての2−Dラマンを用いたマッピングからは、平均2−D/Gピーク積分強度比(I2D/I)が約0.57であり、平均D/Gピーク積分強度比(I/I)が約0.13であることが分かった。図19及び20をそれぞれ参照されたい。マップ領域の70%はI/I比が0.2未満であることを示し、IGLの高品質及び均一性を示唆している。Gピーク及び2−Dピークの半値全幅(FWHM)はそれぞれおよそ約26cm−1及び約40cm−1であることが分かった。高いI2D/Iを伴わない2−Dピークの狭いFWHMは、グラフェン層間の不整合配置を示唆している。観測されたGピークの分裂は、グラフェン膜に歪みがあることを示唆している。M(1750cm−1)及びiTOLA(1950cm−1)結合モード、G(2450cm−1)、G+D(2950cm−1)及び2−D’(3240cm−1)を含む更なる倍音及び結合モード特徴も確認された。
剥離されたNi膜の暴露面(ガス面)上に成長したグラフェンは対照と見なした。図21は、特定の実施態様例にしたがって作成されたグラフェン最上層及び最下層とを比較したラマンデータのグラフ(スペクトル及びピーク位置)である。Gピークの分裂は認められなかったことから、剥離後のグラフェン−Ni上での膜応力の緩和が示唆された。2−Dピーク位置の有意なブルーシフトとともに分裂Gピークのレッドシフトも確認された。グラフェンと基板との距離依存性相互作用はこれらの結果に関与している可能性がある。例えば、AFMで示されたような転移後のグラフェン上の小さな皺が、観測されたシフトにふさわしい説明を与えることもある。
Ni−SiO界面でのグラフェンの成長は断面TEM画像によって確認した。Si/SiO/Ni積層膜のTEM画像の明るい領域は、SiO(300nm)及びNi層(150nm)の厚さを表している。実際の厚さ値を求めるため及び界面グラフェン層を解像するために、試験片を断面構造におけるSiの[011]領域軸へ傾けた。SiO−グラフェン界面と垂直方向にライン走査分析を行うことで、グラフェン層間距離0.352nmを確認した。
結晶性グラフェンの薄い電子透かし特性は、TEM平面観察画像の明るい領域から明白であり、グラフェン層付近にレースカーボン構造があることが分かった。フレーク状グラフェンから得られた制限視野電子回折(SAED)パターンからは[0001]領域軸を有する典型的に6倍のスポットパターンが示され、それが単結晶質グラフェンであることが確認された。重なった二重層又は数層グラフェンは、平面観察TEM画像の暗い領域で表されるモアレ縞が高頻度に確認されたことから明白である。グラフェンの横寸法はNiの粒径よりもかなり大きいことから、Ni粒界でグラフェンの成長が妨げられなかったことが分かる。
断面観察TEMを用いてNi−SiO界面でのグラフェンの成長を確認した。Si/SiO/Ni積層膜のTEM画像の明るい領域は、SiO(300nm)及びNi層(150nm)の厚さを表している。堆積したNi膜の平均膜厚は、200nmから150nmへ減少した。これは、堆積後のアニール処理/成長における薄膜緻密化を示唆している。実際の厚さ値を得るためと、界面グラフェン層を分解するために、試験片の断面形状をSiの[011]領域軸へ傾けた。SiO−グラフェン界面と垂直方向に行ったライン走査分析から、グラフェン層間距離0.352nmを確認した。
標準的なリソグラフィー技法を用いてミクロンサイズのNi特徴を同様に剥離した後で、パターニングIGLの転移を行った。図22を参照されたい。高い品質及び被覆率の正確に配置されたIGL配列を2Dラマン分光法で確認した。所望の基板上で拡張可能でかつカスタマイズ可能なグラフェン特徴を作製し易いことは、例えば以下に更に詳細に説明するように、さまざまなタイプの装置及び応用の利用可能性が考えられる。特定の実施態様例では、例えばグラフェンの「転移を含まないパターニング」が可能となるように、素子及び/又はその他の層を直接パターニングする必要があり得ることが分かるであろう。また、特定の実施態様例では、例えば化学エッチング(これは潜在的に重要な材料を分解することがある)及び/又は高温蒸着法(これは一部の基板を破壊する可能性がある)を用いずに、素子及び/又はその他の層の直接パターニングを含んでいてよいことも分かるであろう。
ニッケル膜内での応力増大及び接着力の低下により、剥離現象が進行してSiO−Ni界面にグラフェンが転移されると仮定する。多数の応力誘起経路がこの結果を達成するのに有用であり得るが、本研究からは、SiO上にグラフェン堆積し得ると考えられる応力の発生には、通常使用される水素環境よりもヘリウム含有アニール処理工程が重要であることが示唆された。剥離は、様々な炭素含有成長ガス(アセチレン又はメタン)で生じ、また、驚くべきことに、そして予想外にも、広い成長時間帯及びガス流量で生じると考えられる。
Niの成長時及びその応力発生時のアニール処理条件の効果を理解するために、Ni薄膜の微細構造を評価した。Ni膜の微細構造はグラフェンの成長を理解するのに適切であるが、関連する応力工学もまた、誘電体基板上でのグラフェンの直接成長を可能にするNi膜の選択的剥離を促進するのに重要であると考えられる。様々なガス圧を用いて875℃でアニール処理した前後の200nm厚のNi薄膜のSEM画像を取得した。未処理のNi膜は、30nmサイズのほぼ等軸の粒子であって、Hガス含有環境下において圧力2Torrでアニール処理した後に粒径がわずかに(約45nmまで)増加することが分かった。一方、Heアニール処理は、Ni薄膜の微細構造に大きく影響を及ぼすことが分かった。Ni膜をHe含有環境下において圧力2Torrでアニール処理すると大きな孤立粒子を生成するが、Ni膜を大気圧においてHe中でアニール処理すると大幅な粒子成長と緻密化とが確認された。Ni膜の平均粒径は約350nmであり、粒界から分離した大きなNi粒子を含む緻密な微細構造であることが分かった。さらに、Ni粒子のSEM画像からは、多孔質構造であることも分かった。これは、捕捉されたHe原子の析出と大気圧でのアニール処理に形成した気泡とに起因するものと考えられる。
Ni膜内の応力が剥離を引き起こして、Ni−SiO表面でのグラフェン形成に応じて修正可能な条件を作り出すという仮説を検証するために、成長温度875℃において様々な時間でアニール処理実験を行った。様々な段階でのニッケル膜内での応力の発生は非常に複雑であるが、次の5つの分類に分けられる。SiO上へのニッケルの電子ビーム蒸着に起因する応力、Niと基板との間の熱膨張不整合に起因する応力、アニール処理中のヘリウム暴露及び堆積によって生じる応力、堆積後のアニール処理に由来する粒子成長のせいで増大する微細構造応力、そして炭素拡散プロセス中にNi格子内に炭素原子が存在することに起因する応力。Ni膜への炭素拡散は、界面接着エネルギーを変化させて(例えば、グラフェンがNi−SiO界面に浸透するように)Ni−基材間の接着力に影響を及ぼす可能性があることも分かった。この機構の多くに関する詳細については前述の考察を参照されたい。
剥離が生じるためには、Ni−SiO界面での接着エネルギーよりも系のエネルギー放出速度が大きくなければならない。SiOに対するNiの界面接着エネルギーは、グラフェンに対するNiの界面接着エネルギーの約2倍である。高い応力下で転移プロセスに用いられるNi膜は、グラフェン形成時のエネルギー放出速度を妨げて、剥離を有利にすると仮定する。誘電体SiO基板へのIGLの直接転移を理解するために、様々な応力発生機構及びNi膜の剥離を詳細に評価した。
核形成中、粒子成長中、構造展開中、及び薄膜内での塑性流動中の応力の発現は、膜の微細構造及び力学的挙動に重大な影響を及ぼすことから大いに注目されていた。成長中の薄膜の応力については概ね理解されている。例えば、Volmer−Weber反応機構に従って島により成長した薄膜は、様々な成長段階で圧縮応力支配と引張応力支配が交互に生じて非線形応力が発現することが分かっている。多くの場合、凝集前の核形成の初期段階では圧縮応力が発現し、粒界が形成されると応力は引張応力となる。連続薄膜へ更に成長すると、引張応力が緩和されるか、又は圧縮応力の発生が助長される。同様に、堆積後の粒子成長及びアニール処理中の微細構造の再配向によっても応力が連続的に発現する。
本明細書において、成長直後のNi薄膜の残留応力は、カンチレバー変位測定法を用いて測定したところ、2GPa超の引張応力値を示した。Si/SiOウェハ上へNiの電子ビーム蒸着により、堆積した膜内に引張応力が生じた。電子ビーム蒸着に起因する平均膜応力は、約1μm厚のSiNカンチレバーに200nm厚のニッケル膜をコーティングして測定した。コーティング後、カンチレバービームは上向きに湾曲するが、その曲率半径と正確な厚さとを用いて膜内の残留引張応力値を見積もった。図23のカンチレバーに関する画像例を参照されたい。カンチレバー変位測定法により観測される高引張応力(2.08GPa)は、平均粒径30nmのNi粒子の凝集と推定される引張応力と一致する。典型的に、高融点を有する面心立方(fcc)金属膜(タイプI)は、例えば自由表面を粒界と置き換えることで、凝集中に数GPa程度の引張応力を発生させる。これは、通常、Ni膜が電子ビーム蒸着で堆積される場合である。しかし、加熱中の熱膨張不整合に基づく熱応力の推定からは、電子ビーム蒸着法で作製されたNi膜内での初期引張応力が加熱プロセス中に大幅に緩和されて、成長温度875℃で高圧縮応力を発生させることが分かった。
転移したグラフェンのGピークの分裂及び前記寸法のNi粒子の近接した断続的な皺の観測により、応力を原動力とする転移についての更なる証拠も示された。このことは、グラフェン膜が応力によって成長し転移することと、膜の凝集時に低下したグラフェン−Ni間の接着力のせいでSiOへのグラフェンの転移が優位になることと、を示唆している。
ヘリウム流をHe/O=95:5の流と置き換える(例えば、系の水分を増大させる)と、層間剥離及び転移の改善が認められることが分かった。このことは、グラフェン及びNi界面における水インター化レーションがSiOへのグラフェンの転移に役立ち得ることを示唆している可能性がある。大気条件下に含まれている水分量は、一貫性のある連続in situ層間剥離に寄与する可能性がある。
場合により、例えばパラメータ空間をより大きくすることで、グラフェンの品質及び/又は一様性を改善することも可能である。粒径をより大きくする処理、層間剥離工程を成長工程から分断すること、成長温度の上昇、炭素析出の管理などといった改善点により、例えば、グラフェン構造全体で堆積層の数をよりうまく制御できる機能が付与される可能性もある。

応用例、拡張例など
特定の実施態様例は高温及び急速加熱プロセスと関連付けて説明してきたが、別の実施態様ではその他の方法を使用してもよい。例えば、時間を延長するのであれば、温度を大幅に下げてもよい。特に、驚くべきことに、そして予想外にも、アニール処理時間を延長するのであれば、350℃程度の低温を用いてグラフェン含有層を形成してもよいことが分かった。温度の例は、好ましくはTg未満(すなわち、約580℃未満)、好ましくは少なくとも350℃であり、場合により潜在的には約400℃〜500℃である。アニール処理温度は時間に反比例し、アニール処理時間例は、選択した温度に応じて数十分〜数百分までの時間で変化する可能性がある(が、潜在的には数時間、例えば1〜3時間であってもよい)。プロファイル例には、例えばニッケル中への炭素の導入に応じて、400℃で約2時間のアニール処理が含まれる。ガラス基板を用いるときに下層としてナトリウム遮断剤などを供給する場合、温度を、潜在的にはTg超に拡張してもよいことが分かった。この温度範囲では、有利なことに、基板としてガラス(例えば、ソーダ石灰シリカガラス、ホウケイ酸ガラスなど)並びにプラスチックなどの他の材料を利用できる場合がある。
特定の実施態様例では、ラマンスペクトル解析を用いてグラフェンの形成の進捗を正確に計測してもよい。特に、特定の実施態様例では、基板が透明であれば、ラマンスペクトル解析を用いて基板を本質的に「調べて」、グラフェンの形成終点を検出してもよい(例えば、グラフェン特有のGピーク、Dピーク及び/又は2Dピークに基づいて)。
前述を考慮すると、特定の実施態様例は、例えばパターニングされた膜として被覆又は適用され得る形で、グラフェンをガラス上に直接成長し得ることが分かるであろう。Niをパターニングすることでパターン化成長を行ってもよい。グラフェンの忠実なパターンがガラス上に均一に堆積される。本明細書で説明する急速熱アニール方式のCVD法は、少なくとも、加熱技術が触媒表面を抵抗加熱、誘導加温及び/又はレーザ加熱することにより行えるという点で拡張可能であると考えられる。
本明細書に記載の技術例は、例えばガラス基板、シリコンウェハなどを含むあらゆる好適な基板に利用可能であることが分かるであろう。場合により、グラフェン含有膜を半導体層などの表面に直接形成することで、例えば、電界効果素子を組み立てることも可能である。このようにして、グラフェンを含む光起電力素子が提供され得る。シート抵抗が十分低い場合、グラフェンは光起電力素子、ディスプレイ装置及び/又はタッチパネル装置などの透明導電性コーティング(TCC)として利用できる。
同様に、グラフェン含有膜は窓用途(例えば、市販の一枚ガラス、合せガラス、断熱ガラス(IG)、真空断熱ガラス(VIG)及び/又はその他のユニット)にも使用可能である。例えば、特定の実施態様例では、グラフェン含有膜を機能性赤外線(IR)反射層及び/又はその他の層に供給することも可能である。例えば低反射(低E)コーティングとしては、一般に、誘電体層間に挟持されたIR反射層(例えば、Agからなる又はAgを含有するなど)が挙げられ、グラフェン含有薄膜はIR反射層を保護するのに役立つ場合がある。保護は機械的な保護、防食などであってよい。
この後者の点において、グラフェンは金属保護特性を有することもあることが分かった。例えば、グラフェンは、例えば多湿領域において、水分浸食などを保護するのに役立つので、耐食性を付与することもある。したがって、例えば低放射性コーティング又はその他のコーティングなどのように、グラフェンを金属又は金属性コーティング上に直接成長させるのが望ましい場合がある。実際、グラフェンはNi/Ag/ZnOを含む積層体上に直接成長させることができる。グラフェンは表面だけでなく界面でも成長するが、一部の例では4層以下であることが分かった。低Eコーティングの例は、米国特許第7、998、320号、同第7、771、830号、同第7、198、851号、同第7、189、458号、同第7、056、588号及び同第6、887、575号並びに/又は米国特許出願公開(U.S. Publication Nos)第2012/0219821号、同第2012/0164420号及び同第2009/0115922号に記載されており、これらの内容はすべて参照として本明細書に組み込まれる。特定の実施態様例では、NiCr層又はNiCr含有層をグラフェンと少なくとも一部置き換えてもよい。例えば、Niを含む層を析出し、その上に及び/又はその下に本明細書に記載した技術例を用いてグラフェン層又はグラフェン含有層を形成してもよい。前記の層は、例えば、Agを含む層などのIR反射層の片面又は両面に供給してよく、防食及び低Eコーティングの寿命延長に有用な可能性がある。有利なことに、グラフェン系層の組み込みは、グラフェン層が非常に薄いため、積層膜の光学的性質に影響を及ぼしたとしても大して影響しない。図16は、特定の実施態様例にしたがって形成されたNi/Ag/ZnOコーティング(左)及びグラフェン/Ni/Ag/ZnOコーティング(右)の表面顕微鏡写真を表す。グラフェン含有試料では、高湿度シミュレータ(例えば、潜在的には85℃において、相対湿度85%)に10日間暴露した後であっても実質的には全く腐食が現れないことが分かる。
上述のように、グラフェン層がNiより下部の基板表面上に完全に形成される前に加熱を停止する場合は、例えばNiの最上部に成長したグラフェン及びNiバルク内の(例えば、粒界における又は粒界中の)Cを含む中間生成物を提供するのが好ましい場合がある。この方法の変形体は、例えば高出力で操作される線形イオンビームを用いてNiにCを埋め込む工程を含んでいてもよい。例えば、5、000〜20、000eV、より好ましくは10、000〜20、000eVで操作されるイオンビームを埋め込み目的で用いてもよい。イオン源の例は、例えば、米国特許第7、872、422号、同第7、488、951号、同第7、030、390号、同第6、988、463号、同第6、987、364号、同第6、815、690号、同第6、812、648号及び同第6、359、388号、並びに米国再発行特許第38、358号に開示されており、これらの開示内容は全て参照として本明細書に組み込まれる。上述のように、この中間体生成物を可能性のある加工業者へ送り、加工業者により、急速又は低速アニール処理を開始することでNiと下層基板との間にグラフェン層が完全に形成されてもよい。
特定の実施態様例はアセチレンに関連して説明してきたが、別の実施態様例ではアセチレンと共に又はアセチレンの代わりにそれ以外の炭化水素ガスを使用してもよいことが分かるであろう。本明細書に開示した技術例は、場合により更に拡張され得るので、例えば単にガス前駆体を変えることで複数の材料層を成長させ得ることも分かるであろう。例えば、ガス前駆体をシラン類(又はゲルマン類)へ変えることで、グラフェン上にシリセン層を成長することができる。前記手順は、例えばグラフェン−シリセン−グラフェン−シリセンからなる又はそれを含む交互の層を成長させるなどのように、所望の(潜在的には新規の)特性を持った新たな材料を設計するように規則正しく行うことがある。
特定の実施態様例では、応力を導入して金属触媒層の除去を促進する機構としてHeを用いるとしたが、別の実施態様例ではその他の応力/歪みを引き起こす機構を利用してもよいことが分かるであろう。例えば、Heガスの代わりに又はHeガスに加えて別のガスを用いてもよい。また一方、HeガスとNi金属触媒層との組み合わせがこの点で非常にうまく機能することが分かったことに留意する。特定の実施態様例では、水蒸気の存在が剥離を促進するのに役立つ可能性があることも分かった。
特定の実施態様例では、本明細書に記載の基板は熱処理(例えば、熱強化及び/又は熱による焼き戻し)されていてもよく、かつ/又は化学的に焼き戻し処理されていてもよい。「熱処理」及び「熱処理する」という用語は、本明細書で使用するとき、ガラスを含む物品を熱による焼き戻し及び/又は熱強化するのに十分な温度まで当該物品を加熱することを意味する。この定義としては、例えば、被覆物品をオーブン又は加熱炉において少なくとも約550℃、より好ましくは少なくとも約580℃、更に好ましくは少なくとも約600℃、一層好ましくは少なくとも約620℃、最も好ましくは少なくとも約650℃の温度において焼き戻し及び/又は熱強化するのに十分な時間加熱することが挙げられる。特定の実施態様例では、これは少なくとも約2分間又は最高約10分間であってよい。
素子、層、層構造、コーティングなどは基板、層、層構造又はコーティングなど「の上にある」か又はそれ「によって支持されている」と考えてよいが、それらの間に別の層及び/又は材料が供給されてもよい。
特定の実施態様例では、基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法が提供される。基板上に金属含有触媒層を配置する。金属含有触媒層を上に有する基板は、900℃以下の温度で前駆体ガス及び歪み誘起ガスに暴露させると、歪み誘起ガスが金属含有触媒層に歪みを誘起させる。被覆物品の作製時に、グラフェンは、金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間に形成する、かつ/又は形成させておく。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、金属含有触媒層は、その上に形成されるグラフェンと共に除去してもよい。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、前記除去工程は、グラフェン形成に伴って金属含有触媒層に導入された過度の歪みによって行われてもよい。
前記3つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、温度は800℃未満及び/又は700℃未満であってよい。
前記4つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、前駆体ガスはアセチレンを含んでいてもよい。
前記5つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の実施態様例では、金属含有触媒層を上に有する基板を、少なくともヘリウム及び/又はアセチレンガスに複数の連続段階で暴露させてよい。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、第1段階は、少なくともヘリウムガスを第1流量で供給することを含んでよく、そして第2段階は、少なくともヘリウムガスを第2流量で、またアセチレンガスを第3流量で供給することを含んでもよく、第1段階と第2段階をその順に提供する。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、第3段階は第2段階の後で行われてよく、その場合、第3段階ではヘリウム及び/又はアセチレンが本質的に全く供給されない。
前記8つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の実施態様例では、金属含有触媒層を上に有する基板を、少なくとも歪み誘起ガス及び/又は炭素供給源ガスに1段階以上で暴露させてよい。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、第1段階は、金属含有触媒層に歪みが誘起されるように少なくとも歪み誘起ガスを供給する工程を含んでよく、そして第2段階は、少なくとも歪み誘起ガスを第2流量で供給しかつ炭素供給源ガスを第3流量で供給する工程を含んでいてもよく、第1段階と第2段階をその順に提供する。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、第1流量は第2流量及び第3流量より多くてもよく、また、第2流量は第3流量より少なくてもよい。
前記11の段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、基板はガラス基板又はシリコンウェハであってよい。
前記12の段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、金属含有触媒層を所望のパターンにパターニングしてもよく、被覆物品に形成された後のグラフェン含有膜は、一般に、前記所望のパターンに対応し得る。
前段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、パターニング工程は暴露工程の前に行ってよい。
前記14の段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、暴露工程は、700〜900℃の温度で行われてよく、2分以内に700〜900℃の温度に達する。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、700〜900℃の温度を数十分以内の間保持してよい。
特定の実施態様例では、前記16の段落のいずれか一つに記載の方法にしたがって被覆物品が提供される。同様に、特定の実施態様例では、前記16の段落のいずれか一つに記載の方法にしたがって電子デバイスが提供される。
電子デバイスの製造方法は、例えば、前記段落にしたがって作製された被覆物品を提供する工程と、被覆物品を電子デバイスに組み込む工程と、を含んでいてよい。
特定の実施態様例では、基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法が提供される。基板上に金属含有触媒層を配置する。金属含有触媒増を上に有する基板を700〜900℃まで急速に加熱する。金属含有触媒増を上に有する基板をHeガス含有環境下でアニール処理し、その場合、Heガスは、金属含有触媒層中に所望の応力を引き起こすように選択された圧力で供給される。金属含有触媒層を上に有する基板を炭素含有前駆体ガスに暴露する。被覆物品の作製時に、金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間にグラフェンを形成する、かつ/又は形成させておく。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、Heガスは、グラフェン形成中に基板と金属含有触媒層の間に少なくとも一部の分離を引き起こすほど十分に金属含有触媒層内に歪みを誘起する可能性がある。
前記2つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、Heガスにより生じた過度の歪みによって、金属含有触媒層およびその上のグラフェンを剥離してよい。
前記3つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、急速加熱工程は1分以内で行ってよく、アニール処理工程は10分以内の間行われてよく、また、炭素含有前駆体ガスへの暴露工程は5分以内の間行われてよい。
前記4つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、急速加熱工程は30秒以内で行ってよく、アニール処理工程は3〜7分間行われてよく、また、炭素含有前駆体ガスへの暴露工程は3分以内の間行われてよい。
前記5つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、基板はシリコンウェハであってよい。
前記6つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、金属含有触媒層およびその上のグラフェンを基板から機械的に剥離してよい。
前記段落に記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、機械的な剥離は、金属含有触媒層内に誘起された過度の歪みによって自動的に、かつ/又は湿式化学プロセスを用いずにex situで行われてよい。
前記8つの段落のいずれか一つに記載の特徴に加えて、特定の実施態様例では、処理された金属含有触媒層内の所望の応力は、正味の圧縮応力であってよい。
特定の実施態様例では、基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法が提供される。基板上に金属含有触媒層を配置する。金属含有触媒層を上に有する基板を、700〜900℃まで加熱する。金属含有触媒層を上に有する基板を炭素含有前駆体ガスに暴露させる。金属含有触媒層の上でそれと接触させて、基板と金属含有触媒層との間にグラフェンを形成する、かつ/又は形成させておく。被覆物品の作製時に、金属含有触媒層及び当該金属含有触媒層上のグラフェンを基板から機械的に剥離することで、機械的な剥離後、基板上には、基板と金属含有触媒層の間に形成されたグラフェンが残存する。金属含有触媒層は、機械的剥離を促進する応力を有するように処理する。
本発明は現在最も実用的でかつ好ましい実施態様であると考えられるものに関して説明してきたが、本発明は、開示された実施態様に限定されるものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に含まれる様々な変更及び同等の配置を網羅するものと解されるべきである。
〔実施の態様〕
(1) 基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法であって、前記方法が、
前記基板上に金属含有触媒層を配置する工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、900℃以下の温度で前駆体ガス及び歪み誘起ガスに暴露させる工程であって、前記歪み誘起ガスが前記金属含有触媒層に歪みを誘起する、工程と、
当該被覆物品の作製時に、前記金属含有触媒層の上でそれと接触させて、前記基板と前記金属含有触媒層との間にグラフェンを形成する、かつ/又は形成させておく工程と、を含む、前記方法。
(2) 前記金属含有触媒層をその上に形成されたグラフェン層と共に除去する工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記除去工程が、グラフェン形成に伴って前記金属含有触媒層に導入された過度の歪みによって行われる、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記温度が800℃未満である、実施態様1〜3のいずれか一つに記載の方法。
(5) 前記温度が700℃未満である、実施態様1〜4のいずれか一つに記載の方法。
(6) 前記前駆体ガスがアセチレンを含む、実施態様1〜5のいずれか一つに記載の方法。
(7) 前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、少なくともヘリウム及び/又はアセチレンガスに複数の連続段階で暴露させる、実施態様1〜6のいずれか一つに記載の方法。
(8) 第1段階が、少なくとも前記ヘリウムガスを第1流量で供給する工程を含み、そして第2段階が、少なくとも前記ヘリウムガスを第2流量で、また前記アセチレンガスを第3流量で供給する工程を含み、前記第1段階と前記第2段階をその順に提供する、実施態様7に記載の方法。
(9) 第3段階が前記第2段階の後で行われて、前記第3段階がヘリウム及び/又はアセチレンを本質的に全く供給しない、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、少なくとも前記歪み誘起ガス及び/又は炭素供給源ガスに1段階以上で暴露させる、実施態様1に記載の方法。
(11) 第1段階が、前記金属含有触媒層に歪みが誘起されるように少なくとも前記歪み誘起ガスを供給する工程を含み、そして第2段階が、前記少なくとも前記歪み誘起ガスを第2流量で供給しかつ前記炭素供給源ガスを第3流量で供給する工程を含み、前記第1段階と前記第2段階をその順に提供する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記第1流量は前記第2流量及び前記第3流量より多く、また、前記第2流量は前記第3流量より少ない、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記基板がガラス基板又はシリコンウェハである、実施態様1〜12のいずれか一つに記載の方法。
(14) 前記金属含有触媒層を所望のパターンにパターニングする工程をさらに含み、当該被覆物品に形成された後の前記グラフェン含有膜が、一般に、前記所望のパターンに対応する、実施態様1〜13のいずれか一つに記載の方法。
(15) 前記パターニング工程が暴露工程の前に行われる、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記暴露工程が700〜900℃の温度で行われ、2分以内に700〜900℃の温度に達する、実施態様1〜15のいずれか一つに記載の方法。
(17) 700〜900℃の前記温度を数十分以内の間維持する、実施態様16に記載の方法。
(18) 実施態様1〜17のいずれか一つに記載の方法で作製される被覆物品。
(19) 電子デバイスの製造方法であって、前記方法が、
実施態様1〜18のいずれか一つに記載の方法で作製された被覆物品を提供する工程と、
前記被覆物品を電子デバイスに組み込む工程と、を含む、前記方法。
(20) 実施態様19に記載の方法で作製される電子デバイス。
(21) 基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法であって、前記方法が、
前記基板上に金属含有触媒層を配置する工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を700〜900℃まで急速に加熱する工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板をHeガス含有環境下でアニール処理する工程であって、前記Heガスが、前記金属含有触媒層内に所望の応力を引き起こすように選択された圧力で供給される、工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を炭素含有前駆体ガスに暴露する工程と、
当該被覆物品の作製時に、前記金属含有触媒層の上でそれと接触させて、前記基板と前記金属含有触媒層との間にグラフェンを形成する、かつ/又は形成させておく工程と、を含む、前記方法。
(22) 前記Heガスが、前記グラフェン形成中に前記基板と前記金属含有触媒層との間に少なくとも一部の分離を引き起こすほど十分に前記金属含有触媒層内に歪みを誘起する、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記Heガスにより生じた過度の歪みによって、前記金属含有触媒層及びその上の前記グラフェンを剥離する工程を更に含む、実施態様21〜22のいずれか一つに記載の方法。
(24) 前記急速加熱工程が1分以内に達成され、前記アニール処理工程が10分以内の間行われ、そして前記炭素含有前駆体ガスへの前記暴露工程が5分以内の間行われる、実施態様21〜23のいずれか一つに記載の方法。
(25) 前記急速加熱工程が30秒以内に達成され、前記アニール処理工程が3〜7分間行われ、そして前記炭素含有前駆体ガスへの前記暴露工程が3分以内の間行われる、実施態様24に記載の方法。
(26) 前記基板がシリコンウェハである、実施態様21〜25のいずれか一つに記載の方法。
(27) 前記金属含有触媒層及びその上の前記グラフェンを前記基板から機械的に剥離する工程を更に含む、実施態様21〜26のいずれか一つに記載の方法。
(28) 前記機械的な剥離工程が、前記金属含有触媒層内に誘起された過度の歪みによって自動的に行われる、実施態様27に記載の方法。
(29) 前記機械的な剥離工程が、湿式化学プロセスを用いずにex situで行われる、実施態様27に記載の方法。
(30) 処理された前記金属含有触媒層内の前記所望の応力が、正味の圧縮応力である、実施態様21〜29のいずれか一つに記載の方法。
(31) 基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法であって、前記方法が、
前記基板上に金属含有触媒層を配置する工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を700〜900℃まで加熱する工程と、
前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を炭素含有前駆体ガスに暴露する工程と、
前記金属含有触媒層の上でそれと接触させて、前記基板と前記金属含有触媒層との間にグラフェンを形成する、かつ/又は形成させておく工程と、
被覆物品の作製時に、前記金属含有触媒層及び当該金属含有触媒層上の前記グラフェンを前記基板から機械的に剥離する工程であって、そうすることで、機械的な剥離後、前記基板上には、前記基板と前記金属含有触媒層の間に形成された前記グラフェンが残存する、工程と、を含み、
前記金属含有触媒層が、前記機械的な剥離を促進する応力を有するように処理される、前記方法。

Claims (26)

  1. 基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法であって、前記方法が、
    前記基板上に金属含有触媒層を配置することと
    前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、900℃以下の温度で前駆体ガス及び歪み誘起ガスに暴露させることであって、前記歪み誘起ガスがヘリウムを含み、前記金属含有触媒層に歪みを誘起することと
    当該被覆物品の作製に際して、前記金属含有触媒層の上で前記金属含有触媒層と接触するグラフェンと、前記基板と前記金属含有触媒層との間のグラフェン両方形成する、かつ/又は形成させておくことと、を含み、
    前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、少なくとも前記歪み誘起ガス及び/又は炭素供給源ガスに1段階以上で暴露させ、
    第1段階が、前記金属含有触媒層に歪みが誘起されるように少なくとも前記歪み誘起ガスを第1流量で供給することを含み、第2段階が、少なくとも前記歪み誘起ガスを第2流量で供給し、前記炭素供給源ガスを第3流量で供給することを含み、前記第1段階と前記第2段階をその順に提供する、前記方法。
  2. 前記金属含有触媒層をその上に形成されたグラフェン層と共に除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記除去することが、グラフェン形成に伴って前記金属含有触媒層に導入された過度の歪みによって行われる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記温度が800℃未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記温度が700℃未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記前駆体ガスがアセチレンを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を、少なくともヘリウム及び/又はアセチレンガスに複数の連続段階で暴露させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 第1段階が、少なくとも前記ヘリウムガスを第1流量で供給することを含み、2段階が、少なくとも前記ヘリウムガスを第2流量で供給し記アセチレンガスを第3流量で供給することを含み、前記第1段階と前記第2段階をその順に提供する、請求項7に記載の方法。
  9. 第3段階が前記第2段階の後で行われて、前記第3段階がヘリウム及び/又はアセチレンを本質的に全く供給しない、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第1流量は前記第2流量及び前記第3流量より多く、記第2流量は前記第3流量より少ない、請求項1に記載の方法。
  11. 前記基板がガラス基板又はシリコンウェハである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記金属含有触媒層を所望のパターンにパターニングすることをさらに含み、当該被覆物品に形成された後の前記グラフェン含有膜が、記所望のパターンに対応する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記パターニングすることが前記暴露前に行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記暴露することが700〜900℃の温度で行われ、2分以内に700〜900℃の温度に達する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 700〜900℃の前記温度を10分以内の間維持する、請求項14に記載の方法。
  16. 電子デバイスの製造方法であって、前記方法が、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法で作製された被覆物品を提供することと
    前記被覆物品を電子デバイスに組み込むことと、を含む、法。
  17. 基板上にグラフェン含有膜を備える被覆物品の製造方法であって、前記方法が、
    前記基板上に金属含有触媒層を配置することと
    前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を700〜900℃まで急速に加熱することと
    前記金属含有触媒層を上に有する前記基板をHeガス含有環境下でアニール処理することであって、前記Heガスが、前記金属含有触媒層内に所望の応力を引き起こすように選択された圧力で供給されることと
    処理された前記金属含有触媒層を上に有する前記基板を炭素含有前駆体ガスに暴露することと
    当該被覆物品の作製に際して、前記金属含有触媒層の上で前記金属含有触媒層と接触するグラフェンと、前記基板と前記金属含有触媒層との間のグラフェン両方形成する、かつ/又は形成させておくことと、を含む、法。
  18. 前記Heガスが、前記グラフェン形成中に前記基板と前記金属含有触媒層との間に少なくとも一部の分離を引き起こすほど十分に前記金属含有触媒層内に歪みを誘起する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記Heガスにより生じた過度の歪みによって、前記金属含有触媒層及びその上の前記グラフェンを剥離することを更に含む、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記急速加熱することが1分以内に達成され、前記アニール処理することが10分以内の間行われ、記炭素含有前駆体ガスへの前記暴露5分以内の間行われる、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記急速加熱することが30秒以内に達成され、前記アニール処理することが3〜7分間行われ、記炭素含有前駆体ガスへの前記暴露3分以内の間行われる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記基板がシリコンウェハである、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記金属含有触媒層及びその上の前記グラフェンを前記基板から機械的に剥離することを更に含む、請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記機械的な剥離、前記金属含有触媒層内に誘起された過度の歪みによって自動的に行われる、請求項23に記載の方法。
  25. 前記機械的な剥離、湿式化学プロセスを用いずにex situで行われる、請求項23に記載の方法。
  26. 処理された前記金属含有触媒層内の前記所望の応力が、正味の圧縮応力である、請求項17〜25のいずれか一項に記載の方法。
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