JP4522320B2 - 透明断熱積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、その基本となる酸化チタン層/銀層/酸化チタン層の3層構成の透明断熱積層体が提案されている。
また、特許文献2には、銀層の前後にニッケル層を設けて銀層を薄くして透明層を高めた構成が開示されている。
さらに、特許文献3には、2層の銀層を誘電体の酸化インジウム層で挟んだ酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層/銀層/酸化インジウム層の5層構成の透明断熱積層体が開示されている。
建物の省エネルギーは近年喫緊の課題となっており、この現状の原因を調べた。その結果、その一因は、以下のように充分な断熱性能を有する窓用の市販品がない現状にあることがわかった。すなわち、透明断熱積層体では透明性と断熱性能は相反する特性であり、窓用の場合、必要な透明性換言すれば可視光透過率を確保する必要があり、例えば自動車窓にも使用できる可視光透過率で70%以上を確保すると現在の市販品では最高のものでも断熱性能を示す日射遮蔽係数(日差しを遮る効果をみる指標で、3mm厚の透明ガラスを1として、6mm厚透明ガラスにフィルムを貼付した場合の室内に入り込む日射量の割合)は0.7以上であり、断熱性能を重視し、日射遮蔽係数を0.6近くに高めた製品では可視光透過率が70%に達せず、必要な透明性が確保され、かつ所望の省エネルギー効果が得られる製品が存在しないのが現状である。
これに対して、本願発明で製造した本発明の透明断熱フィルムでは、同じく透過型電子顕微鏡で観察したところ、各層の界面は均一で凹凸はなく、また1年以上室内に放置したものでも界面の均一性は保持され、銀の凝集も観察されず、従って期待通りの性能が発現し、高性能で長期耐久性にも優れた透明断熱フィルムが実現された。なお、銀層の安定化には、銅、金を含む銀合金、銀層に接する両側のITZO膜の特性具体的には耐環境性等が寄与していると考えられる。
また、これにより本製造方法によれば下層の表面性、品質等を損なうことなく、その上に別の必要な層を積層でき、高品質の積層膜が製造できることが確認された。
図2は、本発明により透明断熱フィルムを製造するロールツロール方式の箱型対向ターゲット式スパッタ装置の構成を示す説明図である。
図3〜7は、図2の箱型対向ターゲット式スパッタ装置の箱型スパッタユニットの構成の説明図である。
本発明により製造される透明断熱積層体は、金属層特に好ましくは銀もしくは銀合金からなる銀層の両側にこの層と干渉する光補償層として金属酸化物からなる透明導電層を積層した構成を基本構成とする。図1は性能面及びコスト面から好ましい構成で、透明基板10上に透明導電層11/金属層12/透明導電層13/金属層14/透明導電層15の5層を順次積層した5層構成となっている。ここで、金属層、透明導電層の層数が増すほど透明性、断熱性能等の性能は向上するがコストも上昇するので、積層の層数は用途に応じて選択されるが、通常は3〜7層で選択される。
透明基板10としては、ガラス、プラスチックフィルム等透明なものであれば特に限定されないが、適用面、生産性面、コスト面等から透明なプラスチックフィルムが好ましく、具体的にはポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム等市販のものが適用できる。フィルムの厚みは、特に限定されず、取扱い性、強度等から使用目的により選択されるが、通常は30〜150μmが用いられる。
金属層12、14も、従来から使用されている金、銀等がそのまま適用できる。
中でも性能面、コスト面等から銀(Ag)及び銀合金が好ましく、中でも後述の成膜実施例で用いた金(Au)、銅(Cu)或いはネオジウム(Nd)の少なくとも2元素を含む3元の銀合金は耐環境性面、長期安定性面から好ましい。なお、金の含有量は0.4〜0.8at%、銅或いはNdの含有量は0.6〜2.0at%が好ましく用いられる。
また、各層の厚さは、積層体全体の透明性換言すれば可視光透過率と断熱性換言すれば赤外線反射率の両性能面から選択される。銀層の厚さは、実質的に透明で赤外線を効果的に反射する範囲であり、具体的には通常3〜30nmの範囲であり、複数層の場合の合計膜厚では、5〜50nmの範囲である。また、透明導電層の厚さは、光干渉の面から銀層の厚さ及び層の屈折率とも関連するが、通常10〜100nmの範囲である。ファブリ・ペロー干渉計の原理を発現させる面からは、金属層を挟む透明導電層の膜厚は、積層構成の両側の最外層の膜厚と金属層間の中間層の膜厚の比が1:2になるように選定することが好ましい。
この透明断熱積層体の中でも、透明基板に透明プラスチックフィルムを用いた透明断熱フィルムがコスト面、既設建物の窓への適用面等の面から好ましい。
図から明らかのように、本装置は、基板の長尺のフィルム10をロールツロールで搬送しつつ連続的に成膜する構成となっている。真空槽20は両端部のロール室20a、20bとその中間に位置するスパッタ室20cからなり、スパッタガス等を供給するガス供給系30と槽内を排気する排気系40が接続されている。排気系40は両ロール室20a,20bに接続して、排気時間の短縮を計っている。なお、図示省略したが、ロール室20a,20bとスパッタ室20cの間に仕切り弁を設け、各室間を遮断できるようになっている。これによりロール交換時にもスパッタ室20cが真空に保持できるので、ターゲット表面の酸化等が防止され、生産性、品質面、保全性等の面で大きな効果がある。
スパッタ室20cには、本例では、3層以上の積層膜からなる透明断熱フィルムの製造を生産性よく製造できるように3個の箱型スパッタユニット50が設けられている。従って真中の箱型スパッタユニット50に銀層の銀ターゲットを、両端の箱型スパッタユニット50に透明導電層用の金属酸化物ターゲットをセットすることにより、1パスで透明導電層/銀層/透明導電層のファブリ・ペローの干渉フィルター構成が製造できる。また、一往復することにより図1に示す5層構成の透明断熱フィルムを製造できる。なお、この箱型スパッタユニット50の個数は、生産性、設備費等に関係し、目的に応じて選択する。
ターゲット部100a、100bの対向する面側には、図4、図5に示すように基板のフィルム10の幅方向に並べてそれぞれ2枚のターゲット100a1、100a2;100b1、100b2(100b2は図示なし)が取り付けられている。また、ターゲット部100a、100bにはターゲット面に垂直な対向方向の対向モードの磁界とターゲット面に平行なマグネトロンモードの磁界をターゲット周縁部に形成するための永久磁石130a、130bと、このマグネトロンモードの磁界を調整するための永久磁石180a、180bとが装着されている。永久磁石130a、130bと180a、180bとは、固定板132a、132bと182a、182bを用いてそれぞれ収納部内に固定されている。ターゲット部100a、100bの背面には、永久磁石132a、132bと永久磁石182a、182bとを磁気的に結合するためのポール板191a、191bが設置されている。ポール板191a、191bには、冷却水の供給管と排水管を通すための開口193a(図示なし)、193bが開設されている。
ターゲット部100a、100bの前方(本明細書においては、前方とは対向するターゲットの対向面側の内側方向を意味し、後方とはその反対面の外側方向を意味する)には、それぞれ電子を吸収するための後述の管状電極(図3では本体部は図示省略)が設置されており、この管状電極の脚部201b、201c(201cは図示なし)は遮蔽板52eから引き出されている。
本実施の形態の対向したターゲット部100a、100bは、枠体51に一体的に取付・取外し可能なユニット構成になっている。
図4に示されるように、ターゲット部100aは、支持体部150aのフランジ155aにより枠体51に着脱可能に取り付けられる構成となっている。そして、本実施の形態においては、ターゲット部100aは、以下のように支持体モジュールと2つのターゲットモジュールとのモジュール構成になっており、支持体モジュールの支持体部150aにはターゲットモジュール200a1、200a2が取り付けられている。ターゲットモジュール200a1、200a2は、バッキング部113a1、113a2とその表面上に固着されたターゲット110a1、110a2とから構成される。バッキング部113a1、113a2の内部には、冷却溝161a1、161a2を形成する隔壁162a1、162a2が設けられており、ここに冷却ジャケット160a1、160a2が構成されている。冷却溝161a1、161a2は、その両端部が冷却水の供給・排水の行われる接続口163a1、163a2に接続されている。また、冷却溝161a1、161a2は、可能な限り広くターゲット110a1、110a2の裏面をカバーできるように形成されている。
冷却ジャケット160a1、160a2は、バッキング部113a1、113a2の厚い板状体からなるバッキング本体114a1、114a2の後部に隔壁162a1、162a2を備えた段付凹部を形成し、この段部に接続口163a1、163a2を形成したバッキング蓋体115a1、115a2を溶接して段付凹部を密閉することにより形成されている。なお、バッキング部113a1、113a2、隔壁162a1、162a2は熱良導材、具体的には本例では銅により形成されている。また、図示省略したが、接続口163a1、163a2には接続具を介して合成樹脂のチュ−ブが貫通孔154aを通して配管され、冷却ジャケット160a1、160a2に冷却水を通すことができるようになっている。
そして、このバッキング部113a1、113a2の前面にターゲット110a1、110a2を熱良導性の接着材(たとえばインジウム)で接着して、ターゲットモジュール200a1、200a2とする。このターゲットモジュール200a1、200a2は、真空シール用のOリング116aにより冷却ジャケット160a1、160a2が真空側(対向空間120側)から遮断されるようにして、下記に詳述する支持体モジュールの支持本体部151aの前面の凹部152aに該凹部152aの表面にバッキング部113aの後面が直接接するように取着される。
なお、本実施の形態では、各ターゲット部毎に2枚ずつのターゲットを並置しているが、一つのターゲット部に配置されるターゲット数は成膜の行われるフィルムの幅によって任意に決定されるものであり、1枚であってもよくまた3枚以上とすることもできる。
支持体モジュールは、熱良導材、本例ではアルミニウムのブロックから切削加工により図示のように成形された一体物の支持体部150aからなる。そして、その取付部のフランジ155aにおいて電気絶縁材、本例では耐熱性樹脂からなるパッキン156a及び真空シール用のOリング117a、118aを介して枠体51に一定間隔のボルト112aにより電気絶縁されて気密に取り付けられている。
支持体部150aは、図4に示すように、外形は直方体の支持本体部151aの図で下面の後面側に枠体51への取り付け用の所定幅のフランジ155aを突設した構成となっている。そして、図5に示すように、支持本体部151aの前面(図で上面)には、ターゲットモジュール200a1、200a2を取り付ける凹部152aが形成され、凹部152aを囲む周壁部153aには磁界発生手段の永久磁石130aを収納する収納部131aが大気側の後面側(図で下面)から穿設されている。
本実施の形態では、周壁部153aの前方(図5での上方)側端面をターゲットモジュール200a1、200a2のバッキング部113a1、113a2の庇部とターゲット110a1、110a2の端部が覆っている。この構成においては、この庇部とその上のターゲット端部が電子反射手段として作用をするが、後述の電子反射板を支持部材を介してバッキング部113a1、113a2に取り付ける従来の構成に較べ、このターゲット端部が直接バッキング部113a1、113a2の庇部に接着されるので一層良く冷却され、大きな電力が投入できるので全体として生産性が向上する効果が得られる。さらにターゲット周囲の構成が非常に簡素となり、保全面、コスト面でも大きな利点がある。ただし、このターゲット端部で電子反射機能を持たせる構成は、磁性材のターゲットの場合にはマグネトロンモードの磁界の形成が難しい。かかる場合も含めて、ターゲット110a1、110a2の周縁部の前面近傍にマグネトロンモードの磁界をより確実に形成できるようにする必要がある場合には、周壁部153aとの重なり部のバッキング部113a1、113a2の庇部とターゲット110a1、110a2の端部を削除し、かつ、周壁部153aすなわち永久磁石130aの磁極端を高くしてその前方に電子反射板を設けた構成として、永久磁石130aの前方側の磁極端面が実質的に槽内側にターゲット110a1、110a2前面より少し突き出すようにすることが好ましい。
また、永久磁石130aは、前述の図3に示す通り、上記の配置構成により、プラズマを閉じ込める磁界として、対向するターゲット部100bの永久磁石130bと共同して対向空間(対向する4枚のターゲットによってその間に形成される空間)120を囲繞するターゲットに垂直な方向の対向モードの磁界を形成する。また、永久磁石130aにより、あるいは場合により永久磁石180a及びポール板191aと共同して、永久磁石130a上のターゲット110a1、110a2とによって構成される複合ターゲット(110a1+110a2)の周縁部からその中央部寄りの表面に向かう円弧状のマグネトロンモードの磁界を複合ターゲット(110a1+110a2)の周辺に沿って生ずる。そして、前者の対向モードの磁界で複合ターゲットの中心部のスパッタが、後者のマグネトロンモードの磁界ではその周辺部のスパッタが主として支配され、全体として複合ターゲットの全表面に渡ってほぼ均一なスパッタが実現される。
なお、補助電極201の配置、形状は図示された例に限定されない。要は熱的電子の滞留し易い個所付近に電極が配置されていればよい。この補助電極201を設けると、電子の滞留に伴う発光が非常に減少することが確認され、基板の成膜中の温度上昇も抑制されることが確認された。
すなわち、この箱型ユニット50は、直方体状の構造材(本例ではアルミニウム)からなる枠体51の側面51a、51bに前記のターゲット部100a、100bを上述のように枠体51と電気絶縁して気密に取着し、基板のフィルム10に対面する下面の開口部となる側面51fを除いてその他の側面51c〜51eに遮蔽板52c〜52eをOリング(図示省略)を介してボルト(図示省略)により気密に取着して閉鎖した構成となっている(側面51c及び遮蔽板52cは図示なし)。なお、遮蔽板52c〜52eは耐熱性があり、真空遮断できれば良く、その材は特に限定されず、通常の構造材が適用でき、本例では枠体51と同じアルミニウムを用いた。なお、遮蔽板52c〜52eは、必要に応じて、その外側に冷却管等を設けて冷却する。
そして、この箱型ユニット50は、その開口部が真空槽20に臨むように枠体51の図で下側の開口側面51fで真空槽20の槽壁20dに気密に取り付けられる。従って、真空槽20と枠体51とは取り付けボルトにより電気的に接続されている。
以上の構成においても、箱型ユニット50内ではターゲット110a1と110b1、110a2と110b2(110b2は図示なし)が所定間隔で対向し、かつプラズマの拘束磁界の構成も特開平10−330936号公報、特開平10−8246号公報等で公知のターゲットに垂直方向の対向モードの磁界がターゲット全域に形成され、これに加えてそのターゲット面の周辺部近傍にはターゲット面に平行方向のマグネトロンモードの磁界がターゲット周辺に沿って形成される構成である。よって真空槽20にガス導入系30からアルゴン等の所定のスパッタガスを導入して、スパッタ電源を真空槽20の槽壁20dを陽極として、ターゲット部100a、100bを陰極としてそれらの適所に接続してスパッタ電力を供給することにより従来例と同様にスパッタ成膜が行われる。
この際、磁界発生手段130a、130bを備えたターゲット部100a,100bの対向する複合ターゲット(110a1+110a2)と(110b1+110b2)(110b2は図示なし)間の対向空間120には従来の対向ターゲット式スパッタ装置と同様に結果、高密度プラズマがターゲットの全面に渡って形成される。
従って、開口側面を除いた5側面を遮蔽した箱型ユニット50を備えた箱型対向ターゲット式スパッタ装置ではスパッタされた粒子は、開口部を通って排気系40により高真空に排気される真空槽20に飛来し、そこにこの開口部に面して配置される基板のフィルム10上に堆積し、薄膜を形成する。
第1の左側の箱型スパッタユニット50は、透明導電層の成膜用であり、ターゲットの一方に錫の含有量が10wt%のITOターゲット、他方にZnOターゲットをセットし、ITZO膜を形成できるようにした。そして、第2の真中の箱型スパッタユニット50には銅を1.35at%、金を0.65at%含む銀合金のターゲットをセットし、銀膜を形成できるようにした。なお、両箱型スパッタユニット50のターゲットは、30cm×10cmのターゲットを2個並置してフィルム幅方向の長さを60cmの複合ターゲットとし、ターゲットの対向間隔は15cmとした。また、スパッタ室20cの両端のフリーロール25にエキスパンダーロールを用いた。そして、スパッタ電源には、ITZO膜、銀膜共に正バイアスパルスが加えられたパルス化直流電源を用いた。
そして、基板のフィルム10には、厚さが50μmで幅が50cm、長さが300mのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのロール10aを用い、このロール10aを図で左側のロール軸21にセットした。ついで、フィルム10をこれから巻き出してスパッタ室20cを通してロール軸22にセットした巻芯(図示省略)に巻き付け、所定長巻取り、ロール10bを形成し、フィルム10を移送できるようにした。
積層は以下のようにして行った。なお、各層の成膜条件は後述する。まず、ロール10aからロール10bにフィルム10を所定速度で移送しつつ、両方の箱型スパッタユニット50を動作させて、第1層11と第2層12のITZO膜と銀層を同時堆積させて、所定時間換言すれば一定長のフィルム10上に成膜した。なお、この2層の同時成膜は、各成膜実施例において、全く問題なく安定して成膜できた。次いでロール10bからロール10aに所定速度で巻戻しつつ、第1の箱型スパッタユニット50を動作させて、第3層13のITZO膜を前記所定時間成膜した。次いで再度ロール10aからロール10bにフィルム10を所定速度で移送しつつ、第2の箱型スパッタユニット50を動作させて、第4層14の銀層を前記所定時間成膜した。次いで再度ロール10bからロール10aにフィルム10を所定速度で移送しつつ、第1の箱型スパッタユニット50を動作させて、第5層15のITZO膜を前記所定時間成膜し、一定長の図1の5層構成の透明断熱フィルムを得た。
なお、成膜条件は以下の通りである。スパッタガスにはArを用い、スパッタ圧力0.15Paで全層を形成した。そして、スパッタ電力換言すれば膜厚を替えた積層体を形成してその特性を評価した。スパッタ電力とフィルム10の成膜時の搬送速度は下表の通りである。なお、括弧内に各層の膜厚を示す。この膜厚は、成膜実施例1のものは透過型電子顕微鏡(TEM)による側断面の写真から測定した測定値で、その他のものは該測定値からの換算膜厚である。
また、成膜実施例1は40℃×95%の耐湿試験でも1ケ月で問題なく、40〜80℃のヒートサイクル試験においても1ケ月で問題なく、良好な耐環境性を有することを確認した。
また、成膜実施例1〜3の分光特性を測定し、コンピュータシミュレーションにより可視光透過率、遮蔽係数、日照透過率、日照反射率を求め、評価した。その結果、これら成膜実施例1〜3は、可視光透過率は71.5〜72.5%、遮蔽係数は0.452〜0.461、日照透過率は39〜39.7%、日照反射率43.7〜46.1%の範囲であった。
これら成膜実施例は良好な透明断熱特性、具体的には70%以上の可視光透過率と0.5以下の日射遮蔽係数を達成することが確認された。そして、光透過率(510)が75%以上で、T(900)/T(700)が0.3以下であれば、良好な透明断熱特性が得られることが確認された。なお、これらの成膜実施例から積層体の表面抵抗は10Ω/□以下が断熱面から好ましいことが分かる。
また、成膜実施例1について、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率50万倍でその側断面の観察測定を行った。その測定写真から、積層された5層の境界はほぼ平行線で非常に良好な界面になっており、均一な膜厚の膜が形成されていることが確認された。この測定写真から求めた第1層〜第5層の膜厚は、上表に記載の通りで、所期通りの膜形成が出来ていることが確認された。
また、成膜実施例3は、成膜実施例2の2.5倍の生産速度であり、生産性を上げても、品質的に問題ないことが確認された。
更に、フィルム10の幅方向の膜厚分布も、全幅において±5%の範囲にあり、特性的にも実質的に問題ないものであった。
11、13、15 金属酸化物層
12、14 銀層
20 真空槽
30 ガス導入系
40 排気系
50 箱型スパッタユニット
51 枠体
51a、51b、51e、51f 側面
52d、52e 遮蔽板
100a、100b ターゲット部
110a1、110a2、110b1 ターゲット
120 対向空間
130a、130b 永久磁石(磁界発生手段)
150a 支持体部
160a1、160a2 冷却ジャケット
180a 永久磁石(磁界調整手段)
191a、191b ポール板
200a1、200a2 ターゲットモジュール
201 補助電極
Claims (5)
- 透明なプラスチックフィルム上に導電性金属酸化物層からなる透明導電性層と金属層とを交互に積層した透明断熱積層体を製造するに際し、スパッタ装置により長尺の透明なプラスチックフィルムをロールから巻き出して一定速度で搬送しつつ、該透明なプラスチックフィルム上に導電性金属酸化物層及び金属層を連続的に膜形成しつつロールに巻き上げる透明断熱積層体の製造方法において、該スパッタ装置が所定間隔隔てて対向配置した一対のターゲットの対向方向に磁界を印加してターゲット間の対向空間にプラズマを拘束するスパッタユニットをプラスチックフィルムの搬送方向に複数個備え、この対向空間に対面するようにその側方に配した基板上に成膜する対向ターゲット式スパッタ装置で、該スパッタユニットが該透明なプラスチックフィルムが搬送される真空槽に取り付ける開口部の側面を除いた全側面が密閉され、開口部を囲む4側面の内の対向する2側面に共通の支持体に個々に冷却できるようにした複数の所定長のターゲットをプラスチックフィルムの幅方向に連接して設けた複合ターゲットが設けられた箱型スパッタユニットである箱型対向ターゲット式スパッタ装置であり、その開口部に所定間隔を隔てて対面するように該透明なプラスチックフィルムを所定張力で空中を搬送しつつ、金属酸化物層と金属層を同時に成膜することを特徴とする透明断熱積層体の製造方法。
- 同一真空槽に金属層を形成する箱型スパッタユニットのプラスチックフィルムの搬送方向の前後に導電性金属酸化物層を形成する箱型スパッタユニットを配置し、透明導電層/金属層/透明導電層の3層構成を連続的に製造する請求項1記載の透明断熱積層体の製造方法。
- 導電性金属酸化物層をターゲットに金属酸化物を用い、酸素濃度3%以下のスパッタガス下で成膜する請求項1または2記載の透明断熱積層体の製造方法。
- 金属層が銀または銀合金からなる銀層であり、金属酸化物がインジウム、錫及び亜鉛の複合酸化物である請求項1〜3記載のいずれかの透明断熱積層体の製造方法。
- 金属酸化物層がインジウム、錫及び亜鉛の複合酸化物からなり、該金属酸化物層をターゲットの一方にインジウムと錫の複合酸化物からなるターゲットを、他方に亜鉛酸化物からなるターゲットを用いた箱型スパッタユニットにより成膜する請求項1〜4記載のいずれかの透明断熱積層体の製造方法。
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