JP2008221732A - 積層体 - Google Patents

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【課題】従来に比べて透明性が高く遮蔽係数の小さい透明熱反射積層体を提供する。
【解決手段】透明誘電体と金属の多層膜よりなる可視光に透明で低熱放射率の透明熱反射膜と、基板よりなる積層体で、該金属の少なくとも1つがネオジウムまたはイットリウムを含む銀合金、また好ましくは全ての金属がネオジウム及び銅を含む銀合金よりなる。本発明の積層体は、可視光透過率が高く、近赤外光の遮蔽性能が高い性能を持つことを見出した。
【選択図】図2

Description

本発明は、透明性が高く低熱放射率の透明熱反射膜で被覆した積層体に関するものである。
透明熱反射膜とは可視光に透明で、赤外線に高い反射率をもつ選択光透過膜である。熱ふく射に対し低い熱放射率をもち、窓などの透明開口部から、透明性を保持したまま、熱放散を防ぎ、断熱性能を示し、約30%の省エネルギー効果をもつ薄膜である。また近赤外光遮蔽性能の高い構成は、太陽光の近赤外光による熱の流入を防ぎ、不快なぎらぎら感を防ぐ効果をもつ。
透明熱反射膜は、透明導電性を持つ錫をドープした酸化インジウム(ITO,Indium Tin Oxide)などの200nm厚以上の単層膜で自由電子による赤外反射を使うタイプと、透明誘電体と銀などの金属を多層膜とし、光干渉効果で金属の可視光での反射防止と金属による赤外光の高い反射を利用するタイプがある。
単層膜は厚い膜が必要となることから生産性に劣る問題がある。多層膜構成は高い生産性と、構成の最適化により優れたスペクトル特性を実現できることから、近年良く利用されている。TiO/Ag/TiO、ITO/Ag/ITOなどの3層膜構成、またTiO/Ag/TiO/Ag/TiOなどの5層構成が、ガラスまたはプラスチックフィルム基板上に作成され、工業的に使用されている。
これらの膜は低熱放射性を実現するためには、膜面が放熱する空気層側に露出することが必要である。単層の建物用窓ガラス、自動車用ガラスなどでは、膜面は室内側を向く。また複層ガラスでは、対向ガラスのギャップ側の面に被覆される。銀膜は高温高湿下に曝された場合など酸化が起きやすく、また銀原子の凝集など環境に不安定な問題がある。また直接大気に露出すると、その個所を起点にして環境中のイオウ、塩素などの化学物質と反応し、劣化が進む問題がある。またスパッタリング時の特に酸素などのガス雰囲気による膜質の劣化などの問題をもつ。
透明熱反射膜において、かかる銀膜の環境に対する不安定性の問題は、銀に対し、銅、金などとの合金化により改善がはかられてきた。銀に数原子%の銅を添加したAgCu合金は、銀の不安定性を改善することから、透明熱反射膜に工業的に広く使われている。さらに金を添加したAgCuAu合金は、透明性を向上する効果があることが報告されている。しかしながら、金の添加はコストが高くなる問題から、工業的にはあまり使われていない。銀にこれらの金属を添加することにより、透明熱反射膜の耐候性は改善されるが、可視光に対し光吸収の増加がおき、透明性が低下する問題があった。また、近赤外より赤外光に対し反射率低下の問題がおき、改善が望まれていた。
近年、光デスクにおいて、特にブルーレーザー光の記録層の反射膜として、銀合金が提案されている。高密度記録に適する銀合金として、耐候性があり、光反射率と熱伝導率が高いことが必要である。銀に銅を添加したAgCu、さらにパラジウムを添加したAgPdCu等が提案されている。また銀にAu、Pd、Pt、Cu、Nd、Y、Ti、Znなどを添加した合金が提案されている。
米国特許第4166876号明細書 米国特許第4234654号明細書 特開昭57−186244号公報 米国特許第6815033号明細書 米国特許第6985429号明細書 特開2004−84065号公報 特開2005−36291号公報
解決しようとする問題点は、透明熱反射膜の透明性が高く、低熱放射率、また近赤外光遮蔽性能の高い構成の実現である。
本発明は、透明誘電体と金属の多層膜よりなる可視光に透明で低熱放射率の透明熱反射膜と基板よりなる積層体で、該金属の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることを特徴とする。
本発明の積層体は、金属膜の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることから、合金の持つ高い耐候性と共に、驚くほど透明性が高い利点がある。また、赤外線反射能が高く、低い熱放射率を持つ。さらに、近赤外光の遮蔽能が高く、低い遮蔽係数を示す。
本発明の積層体は、選択光透過性を生む光干渉性を示し、さらに驚くべきことには、可視光透過率が約80%、遮蔽係数が0.5に至る構成を見出したことにある。なお、本発明における可視光透過率及び遮蔽係数とは、JIS A5759(建築窓ガラス用フィルム)に記載されている方法で、透過スペクトル及び反射スペクトルより算出されるものである。可視光透過率が高いほど視覚的に透明性が高く、また遮蔽係数が低いほど近赤外光の遮蔽率が高く、望ましい。
本発明における積層体は、透明誘電体と金属の多層膜よりなる可視光に透明で低熱放射率の透明熱反射膜と基板よりなる。
本発明における透明誘電体としては、可視光に透明で、屈折率の高い固体物質であれば特に限定しないが、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物などがあげられる。これらの金属化合物は、透明な電気絶縁体、及びまたは透明な半導体であっても良い。金属酸化物としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、インジウム、錫、カドミウム、シリコンよりなる群から選ばれた1種以上の金属の酸化物があげられる。金属窒化物としてはシリコン、アルミニウムなどの窒化物があげられる。金属硫化物としては亜鉛などの硫化物があげられる。金属炭化物としてはシリコンなどの炭化物があげられる。またダイヤモンドライクカーボン(DLC、Diamond Like Carbon)もあげられる。
これら酸化物、窒化物、硫化物及びまたは炭化物は、単独であっても混合体であっても良い。屈折率は金属膜の反射防止効果より1.6以上が好ましく、特に1.8以上が好ましい。これらの高屈折率の膜は、単独であっても、または積層構造でも良い。高屈折率膜とSiO、MgFなどの低屈折率膜の積層構造で、実質的に高屈折率膜となるものでも良い。
これらの透明誘電体膜の膜厚は干渉効果により選択光透過性を実現できるのであれば特に限定しないが、好ましくは10nm以上500nm以下、特に好ましくは30nm以上200nm以下である。
本発明における金属膜としては、該誘電体膜との積層により可視光に透明で、赤外光に高い反射率をもち低熱放射率の金属であれば特に限定しないが、銀、金、銅よりなる群から選ばれた1種以上の金属及びまたは金属合金があげられる。可視光波長域における光吸収が少ない銀及びまたは銀合金が好ましくもちいられる。耐環境性を改善するためにもちいられる銀合金としては、AgCu合金、AgAu合金、AgAuCu合金及びまたはこれらの合金にTiなどの金属を添加したものがあげられる。本発明においては、該金属の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることを特徴とする。
これらの金属膜の膜厚は干渉効果により選択光透過性を実現できるのであれば特に限定しないが、好ましくは5nm以上20nm以下、特に好ましくは8nm以上15nm以下である。
これらの金属と該誘電体膜との間に、金属の耐環境性の改善、誘電体作成の際の金属膜表面への成膜ダメージの低減、金属と誘電体膜界面の接着性改善などの目的で、Ti、ニクロムなどの極薄膜を積層することもある。
本発明における基板としては、透明で該透明熱反射膜を保持できるものであれば特に限定しないが、ガラスなどの無機材料、及びまたはプラスチックスなどの高分子成型物があげられる。
高分子成型物を構成する有機高分子化合物としては、耐熱性に優れた透明な有機高分子化合物であれば特に限定しないが、通常耐熱性として80℃以上、好ましくは100℃であって、例えば、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、脂環式ポリオレフィン樹脂をはじめとし、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレンジカルボキシレート、ポリジアリルフタレート、ポリカーボネートなど、及び芳香族ポリアミド、ポリアミド、ポリプロピレン、セルローストリアセテートなどがあげられる。これらはホモポリマー、コポリマーとして、また単独またはブレンドとしても使用しうる。
かかる高分子成型物の形状は特に限定されるものではないが、通常シート状、フィルム状のものが好ましく、中でもフィルム上のものは巻き取り可能であり、また連続生産が可能であるため、特に好ましい。さらにフィルム状のものが使用される場合においては、フィルムの厚さは6μm以上500μm以下が好ましく、更には12μm以上125μm以下が好ましい。
本発明においては、該金属の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることを特徴とする。該銀合金中のネオジウム及びまたはイットリウムの組成は特に限定するものではないが、耐候性と共に、高い可視光透過率をもつためには、0.1原子%以上、また5原子%以下が好ましい。また、銀の環境による銀原子の移動などの不安定性を低減するためには、該銀合金が銅を含むことが好ましい。該銀合金中の銅の組成は特に限定するものではないが、耐候性と共に、高い可視光透過率をもつためには、0.1原子%以上、また10原子%以下が好ましく、さらに0.5原子%以上、5原子%以下が特に好ましい。本発明においては、該銀合金に、さらに金、パラジウムなどの添加、またチタンなどの元素が添加されていても良い。かかる膜中に含まれる微量の添加物はこれらに限定されるものではない。優れた性能と共に、コストを含め工業的に広く使われるためには、該銀合金として、AgCuNd合金が特に好ましい。
本発明の積層体においては、基板上に透明熱反射膜を形成する。これらの透明熱反射膜の構成は干渉効果により選択光透過性を実現できるのであれば特に限定しないが、基板側より誘電体/金属/誘電体の3層膜構成、誘電体/金属/誘電体/金属/誘電体の5層膜構成、誘電体/金属/誘電体/金属/誘電体/金属/誘電体の7層膜構成などがあげられる。3層膜構成は、構成が簡単で、製造が容易なこと、また5層膜構成は、選択光透過性が優れ、工業生産性も優れていることから好ましい。特に5層構成は、工業生産性と性能が優れていることから、より好ましい。該誘電体は、積層膜などで構成されていても良い。
基板と誘電体との間に、接着性などを増すなどのための下塗り層の付加、及びまたは最上層の誘電体上に、さらに保護性能などを増すための無機及びまたは有機物のコート層が付加されていても良いのはいうまでもない。
本発明においては、該金属の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることを特徴とする。該金属の内の該銀合金膜位置は、特に限定しないが、耐候性をあげる目的のためには、好ましくは、基板面より最も離れた該金属膜がネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなる構成が好ましい。さらに膜全体の耐環境性を向上するためには該金属の全てが、ネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金が特に好ましい。しかし目的により該銀合金膜位置を適宜に選択して良いのはいうまでもない。
本発明の積層体において、該透明熱反射膜は断熱性能を発揮するためには低熱放射率であることが必要である。該熱放射率の値としては、断熱性能を発揮する値であれば特に限定しないが、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.15以下があげられる。
本発明の積層体は、単層ガラス、または複層ガラスとして、また、プラスチックフィルム、該フィルムを単層ガラス、また複層ガラスに貼り合わせた形体などとして使用される。
本発明の透明熱反射膜は、各種の工業的製造方法により形成される。かかる製造方法は特に限定されるものではないが、該薄膜の生成方法は、湿式法、及びまたは真空を用いる真空蒸着法、スパッタ法などの物理的気相蒸着法(PVD、Physical Vapor Deposition)、及びまたは反応ガスをもちいる化学的気相蒸着法(CVD、Chemical Vapor Deposition)などがあげられる。工業生産性よりは、金属および誘電体膜が、一貫した連続成膜が可能な、高周波、及びまたは直流2極マグネトロンスパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、さらには高速成膜の点からは、直流マグネトロンスパッタ法が好ましい。用途によっては、イオンプレーティングまたはCVD法と、及びまたはコストを考え、湿式法との組み合わせなどを用いても良いことはいうまでもない。
透明誘電体と金属の多層膜よりなる可視光に透明で低熱放射率の透明熱反射膜と基板よりなる積層体で、該金属の少なくとも1つがネオジウムまたはイットリウムを含む銀合金、また好ましくは全ての金属がネオジウム及び銅を含む銀合金とすることにより、耐候性と共に、優れた透明性と、近赤外光遮断性、また低い熱放射率をバランス良く実現した。
図1は、本発明積層体の1実施例の断面図を示す。直流2極マグネトロンスパッタリング装置を用い、スパッタ法で多層膜を作成した。基板1は、厚み1.2mmのガラス基板である。該基板を真空槽内に設置した後、真空槽を2.7×10−4Paに真空に引いた。その後、ガス導入口より窒素を30%混合したアルゴンガスを真空槽内に導入し、5.3×10−1Paとした。直径10.2cmのAl70Si30(原子%)のターゲットを用い、150Wのスパッタ電力でAlSiN膜2を作成した。次にターゲットを直径10.2cmのAg98.6Cu0.8Nd0.6(原子%)合金とし、アルゴンガス(純度99.999%)を導入し5.3×10−1Paのガス雰囲気で、50Wのスパッタ電力でAgCuNd合金膜3を作成した。次に、再び窒素を30%混合したアルゴンガスを真空槽内に導入し、5.3×10−1Paとした。直径10.2cmのAl70Si30(原子%)のターゲットを用い、150Wのスパッタ電力でAlSiN膜4を作成した。これらの操作を繰り返し、基板上にAlSiN(43)/AgCuNd(11)/AlSiN(86)/AgCuNd(11)/AlSiN(43)(ただし、括弧内は膜厚でnmの単位を示す)の多層膜を形成した。尚、作製したAgCuNd膜の組成をVG社ESCALAB200装置により分析した結果、Ag95.3Cu2.3Nd2.4(原子%)合金膜が形成されていることがわかった。該試料を実施例1Aと称す。
該積層体を、島津製作所UV−3150分光器で、膜面より光を入射し、220nmから2200nmの波長で透過率(%)と反射率(%)を測定した。透過率は、垂直入射、反射率は膜面垂直方向より6度斜め入射で測定した。この積層体の分光スペクトルは、選択光透過性を示し、波長500nmで、約83.6%の光透過を、また2200nmの近赤外光で90%の反射性能を示した。高い光透過性が確認された。
該積層体の透過及び反射スペクトルより、可視光透過率及び遮蔽係数を求めた。約80%の可視光透過率と0.50の遮蔽係数の、驚くべき性能バランスの優れた積層体を得た。
表1に可視光透過率及び遮蔽係数の結果を示す。なお、AlSiN膜は、基板に近い方から1層、2層、及び3層と記した。本実施例より明らかなように、本発明の積層体は、優れた透明熱反射体となる。
Figure 2008221732
実施例1AとAlSiN膜の膜厚が異なる他は、同じ条件で多層膜を作成した。用いた膜厚構成を表1に示す。該試料を実施例1B、及び実施例1Cと称す。可視光透過率が約80−82%、また遮蔽係数が0.53−0.57の良い性能を得た。
比較例1A、比較例1B、及び比較例1Cとして、実施例1とAg合金の種類とAlSiN膜の膜厚が異なる他は、同じ条件で多層膜を作成した。Ag合金は、Ag89.5AuCuTi0.5(原子%)合金ターゲットを用いAgAuCuTi膜を11nmの厚みで形成した。また用いたAlSiN層の膜厚構成を表1に示す。可視光透過率が76−79%、また遮蔽係数が0.49−0.55の性能を得た。
比較例2A、比較例2B、及び比較例2Cとして、実施例1とAg合金の種類とAlSiN膜の膜厚が異なる他は、同じ条件で多層膜を作成した。Ag合金は、Ag84Cu16(原子%)合金ターゲットを用いAgCu膜を11nmの厚みで形成した。また用いたAlSiN層の膜厚構成を表1に示す。可視光透過率が74−77%、また遮蔽係数が0.52−0.56の性能を得た。
これらの可視光透過率及び遮蔽係数の結果を、表1及び図2に示す。また、図2中に最小2乗法により求めた近似直線も示す。該図より明らかな通り、本発明の積層体は、従来工業的に用いられている可視光透過率が約75%、遮蔽係数が0.55程度のAgCu合金よりなる積層体と比較し、可視光透過率が約80%、遮蔽係数が約0.5の驚くべき性能を示す構成を実現した。遮蔽係数として車の窓ガラスなどに好ましく望まれる0.5の値で、AgCu合金よりなる積層体と比較し、可視光透過率が約7%向上した。また、コスト面で好ましくないAuを含むAgAuCu系合金と比べても、可視光透過率が約4%向上する、バランスの優れた積層体が得られた。
直流2極マグネトロンスパッタリング装置を用い、スパッタ法で多層膜を作成した。基板は、厚み50μmの2軸延伸したポリエチレンテレフタレート基板である。該基板を真空槽内に設置した後、真空槽を2.7×10−4Paに真空に引いた。その後、ガス導入口より酸素を1.8%混合したアルゴンガスを真空槽内に導入し、5.3×10−1Paとした。直径10.2cmのITO(SnO5.0重量%)のターゲットを用い、50Wのスパッタ電力でITO膜を作成した。次にターゲットを直径10.2cmのAg98.6Cu0.8Nd0.6(原子%)合金とし、アルゴンガス(純度99.999%)を導入し5.3×10−1Paのガス雰囲気で、50Wのスパッタ電力でAgCuNd合金膜を作成した。次に再び、ガス導入口より酸素を1.8%混合したアルゴンガスを真空槽内に導入し、5.3×10−1Paとした。直径10.2cmのITO(SnO5.0重量%)のターゲットを用い、50Wのスパッタ電力でITO膜を作成した。これらの操作を繰り返し、基板上にITO(60)/AgCuNd(11)/ITO(120)/AgCuNd(11)/ITO(60)(ただし、括弧内は膜厚でnmの単位を示す)の多層膜を形成した。
該積層体を、島津製作所UV−3150分光器で、膜面より光を入射し、220nmから2200nmの波長で透過率(%)と反射率(%)を測定した。透過率は、垂直入射、反射率は膜面垂直方向より6度斜め入射で測定した。この積層体の分光スペクトルより、可視光透過率と遮蔽係数を求めたところ、可視光透過率77%、遮蔽係数0.5の性能を得た。優れた性能が確認された。また表面抵抗30Ω/□程度の透明導電性も示す。
実施例1とAg合金の種類とAlSiN膜の膜厚が異なる他は、同じ条件で多層膜を作成した。Ag合金は、Ag98Cu(原子%)合金ターゲット上に3mm角よりなるイットリウムのチップをおき、Ag94Cu膜を11nmの厚みで形成した。構成は、AlSiN(45)/AgCuY(11)/AlSiN(90)/AgCuY(11)/AlSiN(45)である。該積層体の透過及び反射スペクトルより、可視光透過率及び遮蔽係数を求めた。約78%の可視光透過率と0.53の遮蔽係数の、積層体を得た。
本実施例より明らかなように、本発明の積層体は、高い可視光透過性と低い遮蔽係数を持つ性能の優れた透明熱反射体となる。尚、本発明は本実施例により制限されるものではない。
積層体の実施構成を示した実施例1の説明図である。 積層体の実施結果及び比較結果の可視光透過率と遮蔽係数を示した、実施例1Aから1C、比較例1Aから1C、及び比較例2Aから2Cの試料の性能を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 AlSiN膜
3 AgCuNd合金膜
4 AlSiN膜
5 AgCuNd合金膜
6 AlSiN膜

Claims (5)

  1. 透明誘電体と金属の多層膜よりなる可視光に透明で低熱放射率の透明熱反射膜と基板よりなる積層体で、該金属の少なくとも1つがネオジウム及びまたはイットリウムを含む銀合金よりなることを特徴とする積層体。
  2. 該銀合金が銅を含むことを特徴とする請求項1の積層体。
  3. 該金属が、銀銅ネオジウム合金よりなることを特徴とする請求項1の積層体。
  4. 該積層体が基板側より透明誘電体/金属/透明誘電体/金属/透明誘電体膜の構成よりなる請求項1から3の積層体。
  5. 該透明誘電体及び該金属膜の形成時、直流マグネトロンスパッタ法を用いて作られる請求項1から4の積層体。
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