JP2001179868A - 透明積層体の製造方法 - Google Patents

透明積層体の製造方法

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JP2001179868A
JP2001179868A JP36935699A JP36935699A JP2001179868A JP 2001179868 A JP2001179868 A JP 2001179868A JP 36935699 A JP36935699 A JP 36935699A JP 36935699 A JP36935699 A JP 36935699A JP 2001179868 A JP2001179868 A JP 2001179868A
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transparent
film
thin film
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silver
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JP36935699A
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English (en)
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Toshitaka Nakamura
年孝 中村
Kazuaki Sasa
和明 佐々
Yoshihiro Hieda
嘉弘 稗田
Kazuhiko Miyauchi
和彦 宮内
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い電磁波シ―ルド性を発揮し、しかも可視
光線透過性や耐クラツク性にすぐれ、同時に近赤外線カ
ツト性や可視光線低反射性などの諸特性も満足する透明
積層体の製造方法を提供する。 【解決手段】 透明フイルム基体1の表面に、高屈折率
透明薄膜2Aと銀系透明導電体薄膜3Aを1単位として
n単位(2≦n≦4)が順次積層され、その面上に高屈
折率透明薄膜2Dが形成されてなる透明積層体におい
て、上記の各薄膜をスパツタリング法で成膜するにあた
り、透明フイルム基体1の温度を、高屈折率透明薄膜の
成膜時には260〜310Kに、銀系透明導電体薄膜の
成膜時には340〜420Kに、保つことを特徴とする
透明積層体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、プラズ
マデイスプレイパネル(以下、PDPという)用フイル
タとして有用な透明積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】社会の情報化が著しく進む今日、端末と
して画像を表示するデイスプレイに要求される性能もま
すます多様化してきている。その中でも、PDPは、大
型化、薄型化が容易であり、CRT、液晶に続く、新規
なデイスプレイとして最も注目されており、すでに市場
に出回つている。
【0003】PDPは、パネル内に封入された希ガス、
とくにネオンを主体としたガス中で放電を発生させ、そ
の際に発生する真空紫外線により、パネルのセルに塗ら
れたR、G、Bの蛍光体を発光させる。この発光過程に
おいて、PDPの表示には不必要な電磁波と近赤外線が
同時に放出される。電磁波は、周辺機器への誤動作を引
き起こしたり、人体へ悪影響を及ぼすため、カツトする
必要がある。近赤外線は、波長が850〜1,200n
mで、家電製品、カラオケ、音響映像機器などのリモ―
トコントロ―ラの受光感度が700〜1,300nmの
ため、このコントロ―ラを誤動作させる問題があり、や
はりカツトする必要がある。
【0004】金属薄膜を高屈折率透明薄膜で挟んだ構成
の透明積層体は、金属薄膜の有する導電性と赤外線反射
特性を利用でき、また高屈折率透明薄膜により金属表面
での可視光の反射を防止する機能を付与できるので、可
視光線は透過するが熱線は反射する太陽電池用の透明断
熱材、農業用のグリ―ンハウス、建築用の窓材、食品用
のシヨ―ケ―スなどに利用され、また透明かつ高い導電
性を示すために、液晶デイスプレイ用電極、電場発光体
用電極、電磁波シ―ルド膜、帯電防止膜などにも利用さ
れている。これらの透明積層体の構成は、特開昭55−
11804号公報、特開平9−176837号公報など
に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、PDPから放
出される電磁波はCRTなどに比べはるかに強いため、
PDP用フイルタには上記電磁波を遮蔽できる高い電磁
波シ―ルド性が望まれるが、上記の透明積層体によつて
は、可視光線透過性やその他の諸特性を低下させずに、
電磁波シ―ルド特性を満足させることができなかつた。
【0006】たとえば、上記の透明積層体において、高
い電磁波シ―ルド性を得るには、表面抵抗を2.5Ω/
□以下、とくに1.5Ω/□以下とすることが望まれ、
そのためには金属薄膜を厚くすればよいが、この場合、
可視光線透過率が低下する。積層回数を増やして、薄い
金属薄膜の数を増やすことで比較的高い可視光線透過率
を維持したまま、低い表面抵抗を得る試みもあるが、積
層回数の増加に伴い、可視光線透過率はやはり徐々に低
下する。また、高屈折率透明薄膜の材料によつては各薄
膜の合計厚みが厚くなると、可撓性のあるフイルム基体
に成膜すると、上記基体の変形によつて膜にクラツクが
発生する。さらに、積層回数の増加は、製造コストの増
大につながり、この点からも好ましくない。
【0007】本発明は、このような事情に照らし、高い
電磁波シ―ルド性を発揮し、しかも可視光線透過性や耐
クラツク性にすぐれ、同時に近赤外線カツト性や可視光
線低反射性などの諸特性も満足する透明積層体を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】透明積層体において、金
属薄膜および高屈折率透明薄膜は、各厚さを数nmの精
度で制御する必要があり、そのためには、両薄膜の成膜
方法として、膜厚の制御性にすぐれ、また大面積で均一
な薄膜にできるスパツタリング法を採用するのが最も適
している。また、金属薄膜としては、電磁波シ―ルド性
や赤外線反射特性などの点より、銀系透明導電体薄膜が
適している。本発明者らは、このような観点から、透明
フイルム基体上に銀系透明導電体薄膜を高屈折率透明薄
膜で挟み込んだ構成の積層膜をスパツタリング法で成膜
して、前記目的に適つた透明積層体を得るため、各薄膜
の成膜条件について、種々検討した。
【0009】銀系透明導電体薄膜をスパツタリング法で
成膜する際には、基体温度が高いほど薄膜の結晶性が良
くなり、格子欠陥による伝導電子の散乱が低減されるた
め、伝導電子の移動度が向上し、低抵抗なものが得られ
る。スパツタリング法では、被スパツタリング原子やス
パツタリングガスとして用いられるArやKrの反跳ガ
ス原子の基体への衝突により、基体温度が上昇すること
が知られており、スパツタリング電力を大きくすると、
成膜時の温度上昇により抵抗値がわずかに低下する効果
がある。しかし、銀系透明導電体薄膜では、可視光線透
過性を持たせるため、5〜20nm程度の薄い厚さとさ
れ、また金属酸化物などに比べてスパツタリング率が格
段に大きいので、スパツタリング電力は比較的小さく設
定され、温度上昇による抵抗の低減効果はあまり期待で
きない。
【0010】高屈折率透明薄膜をスパツタリング法で成
膜する際には、この薄膜が通常30〜80nm程度の厚
さとされ、またスパツタリング率の低い金属酸化物が用
いられるため、成膜速度を上げ生産性を上げるために
も、スパツタリング電力は通常大きく設定される。しか
し、この場合、透明フイルム基体の温度上昇が大きく、
その熱変形にて高屈折率透明薄膜に内部応力が発生し、
使用時の貼り合わせ工程などでの変形作業で膜にクラツ
クが発生するという問題があり、また透明フイルム基体
の上記熱変形で熱ジワが発生し、外観不良となる問題も
ある。
【0011】本発明者らは、このような考察に基づい
て、透明フイルム基体へのスパツタリング法による銀系
透明導電体薄膜の成膜時には、透明フイルム基体を加熱
することで可能な限り高温に保つて低抵抗化をはかり、
また同スパツタリング法による高屈折率透明薄膜の成膜
時には、透明フイルム基体を逆に冷却し可能な限り低温
に保つて耐クラツク性や熱ジワの問題を回避するべく、
上記両成膜時の温度条件に関して、広範囲の実験を行
い、さらに詳細に検討した。
【0012】その結果、銀系透明導電体薄膜と高屈折率
透明薄膜との成膜時の透明フイルム基体の温度をそれぞ
れ特定範囲に設定したときに、両薄膜を1単位とした積
層回数を2〜4回の比較的少ない数として、PDP用フ
イルタに要求される高い電磁波シ―ルド性を発揮する低
い表面抵抗値を得ることができ、この場合、可視光線透
過率の低下がほとんどみられず、しかも使用時の貼り合
わせ工程などでの変形作業で膜にクラツクが発生するこ
とのない、すぐれた耐クラツク性が得られ、また成膜時
の熱ジワの発生による外観不良の問題もなく、同時にP
DP用フイルタとして要求される近赤外線カツト性、可
視光線低反射性などの他の諸特性も十分に満足できるも
のとなることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0013】すなわち、本発明は、透明フイルム基体の
表面に、高屈折率透明薄膜と銀系透明導電体薄膜を1単
位としてn単位(2≦n≦4)が順次積層され、その面
上に高屈折率透明薄膜が形成されてなる透明積層体にお
いて、上記の各薄膜をスパツタリング法で成膜するにあ
たり、透明フイルム基体の温度を、高屈折率透明薄膜の
成膜時には260〜310Kに、銀系透明導電体薄膜の
成膜時には340〜420Kに、保つことを特徴とする
透明積層体の製造方法に係るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図1および図2を使用し
て、本発明の透明積層体の製造方法を具体的に説明する
ことにする。
【0015】図1は、本発明の方法により製造される透
明積層体の一例を示したものであり、透明フイルム基体
1の表面に、高屈折率透明薄膜と銀系透明導電体薄膜を
1単位として、高屈折率透明薄膜(2A,2B,2C)
および銀系透明導電体薄膜(3A,3B,3C)が順次
繰り返し積層され、その銀系透明導電体薄膜3Cの面上
に、最外層として高屈折率透明薄膜2Dが形成されてい
る。なお、ここでは、高屈折率透明薄膜と銀系透明導電
体薄膜との繰り返し単位nを3としているが、この繰り
返し単位nは2〜4の範囲で適宜設定することができ
る。
【0016】透明フイルム基体1は、可視光領域で透明
性を有して、表面がある程度平滑なものであれば使用で
きる。たとえば、ポリエチレンテレフタレ―ト、トリア
セチルセルロ―ス、ポリエチレンナフタレ―ト、ポリエ
―テルスルホン、ポリカ―ボネ―ト、ポリアクリレ―
ト、ポリエ―テルエ―テルケトンなどが用いられ、その
中でも、比較的熱変形温度が高くかつ安価であるポリエ
チレンテレフタレ―トが好ましく用いられる。厚さは、
とくに制限はないが、通常100〜250μmであるの
がよい。また、上記のような高分子フイルムそのものの
ほか、片面または両面にハ―ドコ―ト処理を行つたもの
でもよい。さらに、紫外線硬化タイプでも熱硬化タイプ
でもよく、厚さは1〜10μmが適当である。
【0017】高屈折率透明薄膜(2A,2B,2C,2
D)の厚さは、30〜100nmが好ましく、この範囲
内であれば、各薄膜の厚さが異なつていてもよい。通常
は、PDP用フイルタとして要求される可視光線透過
率、近赤外線カツト率、可視光線反射率を最適にするた
め、たとえば、光学設計ソフトなどを用いて計算して、
上記厚さを決定することができる。材料は、高屈折率の
光学膜材料ならある程度使用できるが、薄膜の屈折率が
1.9〜2.5の範囲のものが好ましい。単一の高屈折
率透明材料であつても、複数の高屈折率透明材料を焼結
したものであつてもよい。銀のマイグレ―シヨン防止効
果や水、酸素のバリア効果がある材料ならさらによい。
好適な材料としては、酸化インジウムを主成分として二
酸化チタンや酸化錫、酸化セリウムを少量含有させたも
の、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化
ビスマス、五酸化ニオブなどが挙げられる。
【0018】銀系透明導電体薄膜(3A,3B,3C)
の厚さは、5〜20nmが好ましく、この範囲内であれ
ば、各薄膜の厚さが異なつていてもよい。この厚さも、
通常は、PDP用フイルタとして要求される前記諸特性
を満足できるように、たとえば、光学設計ソフトなどを
用いて計算して、決定することができる。材料には、9
0重量%以上の銀と、金、銅、パラジウム、白金、マン
ガン、カドニウムから選択された1つまたは2つ以上の
元素により構成されるが、90〜99重量%の銀と上記
金属1〜10重量%を固溶させた材料であるのが好まし
い。とくに銀中に1〜10重量%の金を固溶させたもの
は、銀の劣化防止の観点から好ましい。金を10重量%
を超えて混入すると、比抵抗が上昇し低抵抗値が得られ
がたく、また1重量%未満では銀の劣化が起こりやす
い。
【0019】本発明においては、上記の高屈折率透明薄
膜(2A,2B,2C,2D)と銀系透明導電体薄膜
(3A,3B,3C)を、スパツタリング法により成膜
する。その際、透明フイルム基体1の温度を、高屈折率
透明薄膜の成膜時には260〜310Kに、銀系透明導
電体薄膜の成膜時には340〜420Kに、保つことが
肝要である。このような温度設定は、たとえば、ロ―ル
・トウ・ロ―ル法では、内部に温媒または冷媒を流すな
どして調整したメインロ―ルに透明フイルム基体1をテ
ンシヨンをかけて密着させることにより、容易に行え
る。
【0020】上記のような温度条件で成膜することで、
PDP用フイルタに要求される高い電磁波シ―ルド性を
発揮する低い表面抵抗値とすぐれた耐クラツク性が得ら
れ、また成膜時の熱ジワの発生を回避でき、可視光線透
過性、近赤外線カツト性、可視光線低反射性などの諸特
性も満足させることができる。これに対し、高屈折率透
明薄膜の成膜時の基体温度が310Kを超えたり、銀系
透明導電体薄膜の成膜時の基体温度が420Kを超える
と、耐クラツク性や成膜時の熱ジワの問題があり、また
銀系透明導電体薄膜の成膜時の基体温度が340K未満
となつたり、高屈折率透明薄膜の成膜時の基体温度が2
60K未満となると、低い表面抵抗値が得られにくく、
後者の場合他の諸得性についても好結果を得にくい。
【0021】図2は、本発明の方法により製造される透
明積層体の他の例として、図1に示す透明積層体におい
て、透明フイルム基体1の表面に、つまり透明フイルム
基体1と高屈折率透明薄膜2Aとの間に、屈折率が1.
3〜1.6の低屈折率透明薄膜4Aが形成され、さらに
最外層の高屈折率透明薄膜4Dの面上に、上記同様の低
屈折率透明薄膜4Bが形成されてなる透明積層体を示し
たものであり、これ以外の構成については、図1と全く
同じである。
【0022】このような透明積層体にあつては、高屈折
率透明薄膜(2A,2B,2C,2D)と銀系透明導電
体薄膜(3A,3B,3C)の成膜については、前記同
様にスパツタリング法により前記温度条件で行われる
が、上記した低屈折率透明薄膜(4A,4B)の成膜に
ついては、スパツタリング法に限定されず、真空蒸着
法、イオンプレ―テイング法などの種々の真空ドライプ
ロセスで行うことができ、またグラビア塗工法、マイク
ログラビア塗工法、リバ―スコ―ト法、デイツプコ―ト
法などのウエツトプロセスで成膜してもよい。これら成
膜時の温度条件も、とくに限定はなく、室温で成膜して
もなんら問題のないものである。これらの厚さは、PD
P用フイルタとして要求される前記した諸特性を満足で
きるように、光学設計ソフトなどを用いて計算して、適
宜決定することができる。
【0023】本発明では、上記の図2に示す透明積層体
において、低屈折率透明薄膜4Aのみを形成して、低屈
折率透明薄膜4Bの形成を省くこともできる。また、低
屈折率透明薄膜4Bを形成する代わりに、最外層の高屈
折率透明薄膜4Dの面上に、透明粘着剤層を介して公知
の反射防止フイルム、映り込み防止フイルムまたは低反
射映り込み防止フイルムなどを貼り合わせることもでき
る。低屈折率透明薄膜4Bの形成や、上記の各フイルム
の貼り合わせにより、前記した光学的性能を損なうこと
なく、表面強度や耐擦傷性を改善することができる。
【0024】本発明においては、このようにして製造さ
れる各種の透明積層体を、通常は、その裏面側に、つま
り透明フイルム基体1の裏面側に透明粘着剤層を形成す
ることにより、前記した低い表面抵抗値に基づく高い電
磁波シ―ルド特性とともに、近赤外線カツト性などの諸
特性にもすぐれた、視認性が良く、軽量で薄型であるP
DP用フイルタとして使用することができる。このPD
P用フイルタは、使用に際し、PDPの前面表示ガラス
部に、透明粘着剤層を介して直接貼り合わせて、直貼り
タイプのPDP表示装置とすることができる。また、こ
れとは別に、PDPの前面側に空気層を介して設置され
る透明成形体のPDPとは逆の面に、PDP用フイルタ
を透明粘着剤層を介して貼り合わせて、PDP用前面板
とすることができる。この際、透明積層体が耐クラツク
性にすぐれたものであるため、貼り合わせ作業時に屈曲
変形しても、膜にクラツクを生じることがなく、PDP
用フイルタとしての上記性能を十分に発揮させることが
できる。
【0025】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により、さらに具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定され
るものではない。
【0026】実施例1 厚さ175μm、幅800mmの透明ポリエチレンテレフ
タレ―ト(以下、PETという)フイルムの片面に、ロ
―ル・トウ・ロ―ル式のDCマグネトロンスパツタ装置
を用いて、高屈折率透明薄膜および銀系透明導電体薄膜
を1単位として3単位を順次形成し、その面上にさらに
高屈折率透明薄膜を形成する手法にて、透明積層体を作
製した。ここで、高屈折率透明薄膜を形成するタ―ゲツ
ト材料には1n2 3 −12.6重量%TiO2 (以
下、ITと略記)を使用し、銀系透明導電体薄膜を形成
するタ―ゲツト材料にはAg−5重量%Au(以下、A
gと略記)を使用した。また、ITタ―ゲツトには3W
/cm2 、Agタ―ゲツトには0.55W/cm2 のDC電
力をスパツタ電力として投入した。
【0027】各薄膜の厚さは、光学特性と表面抵抗値が
PDP用フイルタとして適した特性となるように設計
し、決定した。ロ―ル温度は内部に循環する媒体の温度
を調整することで制御し、IT成膜時には280Kの冷
媒を循環させることでPETフイルムを冷却し、Ag成
膜時には400Kの温媒を循環させることでPETフイ
ルムを加熱した。すなわち、両薄膜の成膜時のPETフ
イルムの温度を、下記のとおりに設定して、サンプル
(1)の透明積層体を作製した。各薄膜の厚さは、下記
の( )内に示されるとおり(数値の単位はnm)であ
つた。 サンプル(1):PET/IT(32.5)/Ag(13)/IT
(65)/Ag(13)/IT(65)/Ag(13)/IT(32.5) <IT成膜時:280K、Ag成膜時:400K>
【0028】比較例1 両薄膜の成膜時のPETフイルムの温度を、下記のとお
りに設定した以外は、実施例1と同様の方法にて、IT
薄膜およびAg薄膜を1単位として3単位を順次形成
し、その面上にさらにIT薄膜を形成して、サンプル
(2),(3)の2種の透明積層体を作製した。各薄膜
の厚さは、下記の( )内に示されるとおり(数値の単
位はnm)であつた。 サンプル(2):PET/IT(32.5)/Ag(13)/IT
(65)/Ag(13)/IT(65)/Ag(13)/IT(32.5) <IT成膜時:280K、Ag成膜時:280K> サンプル(3):PET/IT(32.5)/Ag(13)/IT
(65)/Ag(13)/IT(65)/Ag(13)/IT(32.5) <IT成膜時:400K、Ag成膜時:400K>
【0029】上記の実施例1および比較例1のサンプル
(1)〜(3)の透明積層体について、PDP用フイル
タとしての特性を調べ、表1に示した。表中、表面抵抗
値は、三菱油化製(LoresterSP)によりJI
S K−7194にしたがい測定した。膜の耐クラツク
性は、半径の異なる円柱状のバ―を数多く準備して、こ
のバ―の表面に沿つて成膜面を内側にして180度曲げ
る屈曲試験を行い、目視でクラツクが発生したときのバ
―の半径(mm)を調べ、その大小で評価した。この半径
が小さいほど、耐クラツク性が良好であることを示して
いる。平均視感度透過率と平均視感度反射率は、日立製
作所製の「U−3410分光光度計」を用いて得られた
可視光域の透過および反射スペクトルより、JIS R
−3016にしたがい、算出した。近赤外線カツト率
は、上記分光光度計により測定した波長850nmの透
過率を100%から差し引いた値である。
【0030】
【0031】上記の表1の結果から明らかなように、実
施例1のサンプル(1)の透明積層体は、表面抵抗値が
1.5Ω/□と低く、良好な電磁波シ―ルド性を発揮す
るとともに、PDP用フイルタとして要求される可視光
線透過性、近赤外線カツト性および可視光線低反射性な
どの光学特性を満足するものであつた。しかも、上記の
屈曲試験においてクラツクが発生したバ―の半径は13
mmであり、通常のハンドリングやPDP用フイルタとし
てロ―ルラミネ―タで貼り合わせる作業などにおいてと
くに問題のない、すぐれた耐クラツク性を示した。
【0032】これに対し、IT薄膜とAg薄膜の成膜時
にともにPETフイルムを冷却して作製したサンプル
(2)の透明積層体は、光学特性や耐クラツク性は良好
であるが、表面抵抗値が2.0Ω/□と大きくなり、電
磁波シ―ルド性の面で問題があつた。また、IT薄膜と
Ag薄膜の成膜時にともにPETフイルムを加熱して作
製したサンプル(3)の透明積層体は、表面抵抗値が
1.4Ω/□と低く、良好な電磁波シ―ルド性を示す
が、クラツクの発生するバ―の半径が30mmであり、軽
く撓めたり、透明粘着剤を介してロ―ルラミネ―タでガ
ラス板などに貼り合わせる際に、膜にクラツクが発生
し、電磁波シ―ルド性が著しく低下した。また、ロ―ル
加熱によるPETフイルムの温度上昇とIT成膜時の温
度上昇が重なり、成膜時でのフイルムの熱ジワが激し
く、外観不良を引きおこした。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明では、銀系透明導
電体薄膜と高屈折率透明薄膜をスパツタリング法で成膜
する際に、透明フイルム基体の温度を上記両薄膜の成膜
ごとに特定範囲に設定したことにより、可視光線透過率
や耐クラツク性などを損なうことなく表面抵抗値を低下
でき、これにより高い電磁波シ―ルド性を発揮し、かつ
可視光線透過性や耐クラツク性にすぐれ、同時に近赤外
線カツト性や可視光線低反射性などの諸特性も満足する
透明積層体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により製造される透明積層体の一
例を示す断面図である。
【図2】本発明の方法により製造される透明積層体の他
の例を示す断面図である。
【符号の説明】 1 透明フイルム基体 2A,2B,2C,2D 高屈折率透明薄膜 3A,3B,3C 銀系透明導電体薄膜 4A,4B 低屈折率透明薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稗田 嘉弘 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 宮内 和彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA33 AB24C AB24E AB25 AK42 AR00A AR00B AR00C AR00D AR00E BA03 BA05 BA07 BA08 BA10A BA10E BA13 EH662 GB90 JD08 JG01C JG01E JK14 JM02B JM02D JM02E JN01A JN01B JN01C JN01D JN01E JN06 JN08 JN18B JN18D JN18E 5G307 FA02 FB01 FB02 FC08 FC09 FC10 5G323 BA01 BA02 BB05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明フイルム基体の表面に、高屈折率透
    明薄膜と銀系透明導電体薄膜を1単位としてn単位(2
    ≦n≦4)が順次積層され、その面上に高屈折率透明薄
    膜が形成されてなる透明積層体において、上記の各薄膜
    をスパツタリング法で成膜するにあたり、透明フイルム
    基体の温度を、高屈折率透明薄膜の成膜時には260〜
    310Kに、銀系透明導電体薄膜の成膜時には340〜
    420Kに、保つことを特徴とする透明積層体の製造方
    法。
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