JP4135235B2 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
積層体およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4135235B2 JP4135235B2 JP32698198A JP32698198A JP4135235B2 JP 4135235 B2 JP4135235 B2 JP 4135235B2 JP 32698198 A JP32698198 A JP 32698198A JP 32698198 A JP32698198 A JP 32698198A JP 4135235 B2 JP4135235 B2 JP 4135235B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- laminate
- layer
- silver
- thin film
- visible light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は積層体およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、主に窓ガラスなどに使用される積層体であって、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光をカットすると共に、耐久性に優れた積層体およびそのような積層体を効率よく製造するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窓ガラスに熱線カット機能を付与する技術は従来から知られており、例えば、窓ガラス上に金属薄膜を薄く形成するものなどがある。しかし、この技術では可視光の透明性が不十分なため、銀系層を酸化物層で挟持した構成の3層薄膜を窓ガラス上に形成して、可視光の透明性を向上させたものが考えられた(特公昭47−6315号公報)
しかし、上記の積層体では、約1200nm以上の赤外線に対してはカット能力が高いが、可視光に直近の近赤外線(特に800〜1200nm程度)はカット能力が低く、上記の積層体は耐久性が劣るという問題があった。太陽光線のエネルギー分布を考慮すると、この近赤外線を効率よくカットすることが求められることがあると共に、積層体の外観劣化を低減させるなど耐久性を向上させることが強く要求されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光を効率よくカットすると共に、耐久性に優れた積層体を提供することであり、本発明の第2の目的は、そのような積層体を効率よく製造するための方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を克服するため鋭意研究を重ねた結果、膜厚が特定の範囲にある銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体が、高可視光透過率を有しつつ、近赤外光を効率よくカットすると共に、耐久性に優れることを見い出し、また、この積層体と、従来の積層体(銀系層を酸化物層で挟持した構成の3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体)をそれぞれの3層薄膜が特定の配置になるようにして積層した積層体は前記と同様の効果を奏するとともに波長780nm程度からさらに高波長の赤外線まで、幅広くカットできることを見いだし、本発明を完成するに至った。このような優れた特性を有する積層体の例は、従来の技術では、見受けられない。
【0005】
本発明の請求項1の発明は、最外層上に保護層を設けず、銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体において、銀系層の厚さが、30〜80Åであり、
可視光域における光線透過率の極大値が、400〜600nmにひとつ存在し、かつその値が60%以上であるとともに、900nmにおける光線透過率が45%以下であることを特徴とする積層体である。
【0007】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の積層体において、光線透過スペクトルの色度座標(10度視野・C光源)が、 0.2≦x≦0.315 かつ 0.2≦y≦0.5
の領域にあることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の積層体において、透明基板がプラスチックフィルムであり、その厚さが、12〜200μmであることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4の発明は、銀系層の厚さが、30〜80Åである請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体Aの3層薄膜aと、
銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の厚さが、80〜150Åである積層体Bの3層薄膜bとを
空間および/または可視光に対して透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上離し、平行状態で配置したことを特徴とする積層体である。
【0010】
本発明の請求項5の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、銀系層の形成にスパッタリング方法を用い、アルゴンガスをスパッタリングガスとし、その成膜時の圧力が1〜5×10-2Torrにて形成することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体の金属酸化物層は、いかなる種類の金属酸化物であっても良いが、光学的な観点から、屈折率が1〜2.5程度のものが望ましい。また、複合金属酸化物であっても良い。
【0012】
金属酸化物の例としては例えば、ITO、In2 O3 、SnO2 、ZnO2 、TiO2 、SiOX 、ZrO2 、Ga2 O3 など、またはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0013】
金属酸化物層の厚さは特に限定されないが、通常100〜1000Å、好ましくは300〜600Åである。金属酸化物層の厚さが100Å未満の場合や、1000Åを越えるといずれの場合も光学特性が悪くなり好ましくない。
【0014】
本発明において、銀系層という表現は、銀だけでできている(常識的な範囲の不純物は除く)銀薄膜層もしくは添加成分が添加してあるいわゆる銀合金薄膜層の何れをも指すものである。前記添加成分としては、金、銅、または白金のいずれか、またはそれらの2以上の組み合わせであり、それぞれの添加元素が0.1〜15原子%加えられたものであることが望ましい。
本発明の積層体の銀系層の厚さは、30〜80Å、好ましくは40〜70Å、さらに好ましくは50〜60Åである。30Å未満の厚さの銀層を形成するのは困難であり、また30Å未満では目的の光学特性を達成できない。80Åを越えると高温や高湿度における保存に対する耐久性が劣り、目的の光学特性を達成できない。
【0015】
本発明の積層体おいて、可視光域における光線透過率の極大値が、400〜600nmにひとつ存在し、かつその値が60%以上、好ましくは65以上、更に好ましくは75以上であるとともに、900nmにおける光線透過率が45%以下、好ましくは40以下、更に好ましくは35以下である積層体は望ましい。400〜600nmにおける光線透過率の極大値が60%未満では、高可視光透過率を維持できず、900nmにおける光線透過率が45%を越えると太陽光等の近赤外光を効率よくカットできない。
【0016】
光線透過スペクトルの色度座標は、透過光の色味を表すものである。光線透過スペクトルの色度座標については光源や視野角度を変化させれば、色度座標も変化することは当然であるので、たとえC光源以外の他の光源を用いたり、10度視野以外の視野角度で測定した色度座標が0.2≦x≦0.315、0.2≦y≦0.5の範囲外であっても、10度視野・C光源で測定された値が0.2≦x≦0.315かつ、0.2≦y≦0.5の範囲に入っていれば、本発明の範疇に入るものとする。また、表示方式はJIS−Z−8701に基づいた。
【0017】
本発明において用いる透明な基板とは、可視光に対する透過性を有する基板と定義されるものであり、その特性を持っていれば、例えば有機系基板、無機系基板あるいはこれらを組み合わせた基板でも用いることができ、いかなるものであっても本質的に本発明の発揮する効果は変わらない。
【0018】
ただし、本発明の積層体にフレキシビリティーが要求される場合には、プラスチックフィルム基板が好ましく用いられる。プラスチックフィルム基板としてはその厚さが12μm以上でかつ200μm、好ましくは25μm以上でかつ150μm以下、更に好ましくは50μm以上でかつ100μm以下の時に、ハンドリング性が良いことがわかった。12μm未満ではシワになるなどハンドリング性が悪く、200μmを越えると腰が強すぎる。
【0019】
銀系層の厚さが、30〜80Åである請求項1から請求項4に記載の本発明の積層体Aは、単独の使用で、高可視光透過率を有しつつ、近赤外光を効率よくカットすると共に、耐久性に優れている。
そして、銀系層の厚さが、30〜80Åである請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層体Aの3層薄膜aと、銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の厚さが、80〜150Å、好ましくは90〜130Å、さらに好ましくは100〜120Åである積層体Bの3層薄膜bとを、空間および/または可視光に対して透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上、好ましくは10μm以上、更に好ましくは100μm以上離し、平行状態で配置した本発明の他の積層体Cは、本発明の積層体Aと同様に高可視光透過率を有しつつ、近赤外光を効率よくカットでき、耐久性に優れている上、可視光直近の800nm程度から、さらに高波長の赤外線を効率良くカットできる。両者の間隔を1μm以上としたのは光の波長(400〜900nm程度)に対して十分に長くして干渉が生じないようにするためである。両者の間隔の上限は施工箇所(場所)により決まると考えられ、例えば合わせガラスのような場合は最大でも10cm程度であると思われる。
【0020】
積層体Bの銀系層の厚さが、80Å未満では積層体Aでカットできなかった約1200〜3000nmの赤外線をカットできなくなり、150Åを超えると可視光透過率が低下するので好ましくない。
3層薄膜aと3層薄膜bの間は、上記のように、それが空間などであっても、または透明な基板などであっても、これらの組み合わせであってよい。また、平行状態というのは数学的に厳密な表現によるものではなく、常識の範囲で施工上平行といえる範囲を言う。
【0021】
3層薄膜aと3層薄膜bとを組み合わせた本発明の他の積層体Cの具体例は多数あるが、具体的には、例えば、1枚の透明な基材の表裏にそれぞれ3層薄膜aと3層薄膜bを形成した積層体や、2枚のガラスの間に空間を設けた建築用の合わせガラス[例えば、(外気/ガラス/空間/ガラス/室内)の構成を有する合わせガラス)に適用した例として、(外気/ガラス/空間/積層体B/ガラス/積層体A/プラスティックフィルム/室内)、あるいは(外気/ガラス/空間/積層体A/ガラス/積層体B/プラスティックフィルム/室内)の構成の積層体などを挙げることができる。積層体Aの方が耐性が大きいので(外気/ガラス/空間/積層体B/ガラス/積層体A/プラスティックフィルム/室内)の構成の方が好ましい。
【0022】
本発明における薄膜形成方法は、真空成膜法が望ましいが、他のいかなる方法であっても良い。真空成膜の方法には、蒸着、スパッタリング、およびCVDなどがある。
【0023】
アルゴンガスをスパッタリングガスとしてスパッタリング方法により銀系層を形成する際、スパッタリング成膜時の圧力は、通常1〜10×10-3Torrにて行われることが多く、本発明の場合においてもこの通常の成膜圧力にて成膜しても必要性能が充分発揮される。しかし、スパッタリング成膜時の圧力を1〜5×10-2Torrで成膜することにより、より安定した性能が発現することを見いだした。1×10-2Torr未満では比較的に耐久性が悪くなり、5×10-2Torrを超えると安定な放電および安定な排気の維持が困難となるので好ましくない。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示したように、可視光に対して透明な基板1aとして厚さ50μmのPETフィルムを用い、このPETフィルム1a上に、下記の成膜条件でバッチ式スパッタリング法により、金属酸化物層2aとしてITO、銀系層3aとしてAg−Au合金、金属酸化物層4aとしてITOの順に3層薄膜aを形成し、本発明の積層体Aを製造した。
【0025】
(成膜条件)
真空チャンバー内を5×10-6Torrまで真空引きした。基板1aとターゲットの間隔は70mmとした。また、ターゲットは直径4インチのものを使用した。ITOは酸化インジウムと酸化錫との混合酸化物であり、酸化錫の割合が10重量%のものを使用した。また、Ag−Auターゲットは金の添加率が1原子%となるようにした。
各ITO層2a、4aは、同一条件で成膜し、ArガスとO2 ガスを100:1の割合で成膜時の圧力が3〜3.5×10-3Torrとなるようにした。
Ag−Au層3aは、Arガスのみをスパッタリングガスとして用いた。真空チャンバーの排気コンダクタンスを調整しながら、成膜時の圧力が1〜5×10-2Torrとなるようにした。
【0026】
本発明の積層体Aの3層薄膜aの断面を透過電子顕微鏡で観察した(倍率;20万倍)結果、形成した薄膜の各層の形状膜厚が、ITO層2a、4aがそれぞれ560Å、Ag−Au層3aが60Åであった。薄膜の膜厚は、特に200Å以下の様に薄い場合には、他の方法では誤差が出やすいことが多いので、上記の様に、断面観察によって形状膜厚を測定するのが、現在の技術水準では、最も正確な方法の一つである。
【0027】
図2は、本発明の積層体Aの波長190nm〜3200nmまでの光線透過率スペクトルである。光線透過率は、島津製作所製UV3100により測定した。可視光域における光線透過率の極大値が、約500nmにひとつ存在し、かつその値が約74%であるとともに、900nmにおける光線透過率が約40%以下であった。
【0028】
このような、光線透過率スペクトル特性は、各層の正確な成膜制御と、特性把握、および設計により実現した本発明特有のものであり、従来の積層体には決して見られないものである。本発明の積層体Aは、可視光は透過しつつも、太陽光線による熱線、つまり近赤外光をカットするという本発明独特の性質を持つことが判った。
また、色度座標については、日立製作所製U4000のデータをもとに測定した結果、(x=0.301,y=0.322)であった。
表面の電気抵抗値は、三菱油化製4端子抵抗測定器で測定した。その結果、約55Ω/□であった。
【0029】
本発明の積層体Aの保存試験を、40℃−90%RHにて、1ヶ月行った後、表面を光学顕微鏡によって観察したが、外観劣化はなかった。銀系層を金属酸化物からなる透明導電層で挟持した3層からなる薄膜構成をプラスティックフィルム上に形成した従来の積層体においては、特殊な積層体の設置、もしくは特殊な保護層を形成しない限り、外観劣化(主として銀系層に因る)が避けにくいが、本実施例1の方法により形成された本発明の積層体Aは外観劣化の極めて少ない耐久性の優れた積層体である。
【0030】
(比較例1)
比較のために同様にして下記の成膜条件で、厚さ50μmのPETフィルム1b上にバッチ式スパッタリング法により、ITO層2b、Ag−Au合金層3b、ITO層4bの順に3層薄膜bを形成し、積層体Bを製造した。
【0031】
(成膜条件)
真空チャンバー内を5×10-6Torrまで真空引きした。基板1bとターゲットの間隔は70mmとした。また、ターゲットは直径4インチのものを使用した。ITOは酸化インジウムと酸化錫との混合酸化物であり、酸化錫の割合が10重量%のものを使用した。また、Ag−Auターゲットは金の添加率が1原子%となるようにした。
各ITO層2b、4bは、同一条件で成膜し、ArガスとO2 ガスを100:1の割合で成膜時の圧力が3〜3.5×10-3Torrとなるようにした。放電形式はRFとし、放電電力50Wとした。
【0032】
Ag−Au層3bは、Arガスのみをスパッタリングガスとして用いた。成膜時の圧力は4×10-3Torrとなるようにした。放電形式はDCとし、放電電流は150mA、放電電圧は480Vとした。
【0033】
得られた積層体Bの3層薄膜bの断面を透過電子顕微鏡(倍率;10万倍)で観察した結果、形成した薄膜の各層の形状膜厚が、ITO層2b、4b;それぞれ500Å、Ag−Au層3b;100Åであった。
【0034】
図3は、積層体Bの波長190nm〜3200nmまでの光線透過率スペクトルである。これは、島津製作所製UV3100により測定した。このように、光線透過率が約620nmをピークとしていることが判った。銀系層を金属酸化物からなる透明導電層で挟持した3層からなる薄膜構成をプラスティックフィルム上に形成した積層体においては、この比較例1のような銀系層3bの厚さが80Åを越える場合には、可視光の透明性は優れているものの、ピークの長波長側のたち下がりがなだらかであるので、太陽光線の熱線である近赤外光、特に780nm〜1200nmの波長をカットする能力は、実施例1に比べると劣ることがわかった。
また、色度座標は(x=0.322,y=0.336) であった。
表面の電気抵抗値は、三菱油化製4端子抵抗測定器で測定した。その結果、約8.1Ω/□であり、抵抗値が低いことがわかった。実施例1との差は銀系層の厚さによるものである。銀系層の膜厚の違いに対して抵抗値の違いが大きいのは、極めて薄い薄膜の厚さに起因していて、膜厚と抵抗値が直線的な相関関係ではない領域であることがわかる。
【0035】
比較例1で得られた積層体Bの保存試験を、40℃−90%RHにて、1ヶ月行った後、表面を光学顕微鏡によって観察した結果、著しい外観劣化が認められた。このように、銀系層を金属酸化物からなる透明導電層で挟持した3層からなる薄膜構成をプラスティックフィルム上に形成した積層体において、銀系層3bが80Åを越える場合には、特殊な積層体の設置等の工夫をしない限り、外観劣化(主として銀系層に因る)が避けにくいことがわかった。
【0036】
(実施例2)
図4に示したように、実施例1で作製した積層体Aと比較例1で作製した積層体Bとを、基板1bを介して3層薄膜aと3層薄膜bの間隔を1μm以上離し、平行状態で配置し、張り合わせて本発明の積層体Cを作った。実施例1と同様にして本発明の積層体Cの光線透過率スペクトルを観察した結果を図5に示す。図5には、実施例1で作製した積層体Aと比較例1で作製した積層体Bの光線透過率スペクトルを合わせて示す。この結果から明らかなように、本発明の積層体Cは、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光を効率よくカットし、耐久性に優れている上、波長780nm程度からさらに高波長の赤外線まで、幅広くカットしていながらも、可視光域は透過率が高い。このような光学特性は、従来の技術には見受けられない。
【0037】
【発明の効果】
本発明の積層体は、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光を効率よくカットすると共に、高温や高湿度における保存に対する耐久性が飛躍的に優れている。
【0038】
銀系層の厚さが、30〜80Åである本発明の積層体Aの3層薄膜aと、銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の厚さが、80〜150Åである積層体Bの3層薄膜bとを空間および/または可視光に対して透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上離し、平行状態で配置した本発明の積層体Cは、高可視光透過率を維持しつつ、太陽光等の近赤外光を効率よくカットし、耐久性に優れている上、波長780nm程度からさらに高波長の赤外線まで、幅広くカットできる。
【0039】
本発明の製造方法により本発明の積層体を効率よく製造できる上、スパッタリング成膜時の圧力を1〜5×10-2Torrで成膜することにより、より安定した性能が発現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の積層体の断面を説明する断面図である。
【図2】 図1に示した本発明の積層体の光線透過率を示すグラフである。
【図3】 比較例1の積層体の光線透過率を示すグラフである。
【図4】 本発明の実施例2の積層体の断面を説明する断面図である。
【図5】 図4に示した本発明の積層体の光線透過率を示すグラフである。
【符号の説明】
A、B、C 積層体
1a、1b 透明な基板
2a、2b 金属酸化物層
3a、3b 銀系層
4a、4b 金属酸化物層
a、b 3層薄膜
Claims (5)
- 最外層上に保護層を設けず、銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜を、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体において、銀系層の厚さが、30〜80Åであり、
可視光域における光線透過率の極大値が、400〜600nmにひとつ存在し、かつその値が60%以上であるとともに、900nmにおける光線透過率が45%以下であることを特徴とする積層体。 - 光線透過スペクトルの色度座標(10度視野・C光源)が、
0.2≦x≦0.315 かつ 0.2≦y≦0.5
の領域にあることを特徴とする請求項1記載の積層体。 - 透明基板がプラスチックフィルムであり、その厚さが、12〜200μmであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の積層体。
- 銀系層の厚さが、30〜80Åである請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体Aの3層薄膜aと、
銀系層を金属酸化物層で挟持した構成からなる3層薄膜bを、可視光に対して透明な基板上に形成した積層体であって、銀系層の厚さが、80〜150Åである積層体Bの3層薄膜bとを
空間および/または可視光に対して透明な基板を介して両者の間隔を1μm以上離し、平行状態で配置したことを特徴とする積層体。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体を製造する方法であって、銀系層の形成にスパッタリング方法を用い、アルゴンガスをスパッタリングガスとし、その成膜時の圧力が1〜5×10-2Torrにて形成することを特徴とする積層体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32698198A JP4135235B2 (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 積層体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32698198A JP4135235B2 (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 積層体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000141532A JP2000141532A (ja) | 2000-05-23 |
JP4135235B2 true JP4135235B2 (ja) | 2008-08-20 |
Family
ID=18193975
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32698198A Expired - Fee Related JP4135235B2 (ja) | 1998-11-17 | 1998-11-17 | 積層体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4135235B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7310943B2 (ja) | 2020-02-12 | 2023-07-19 | 日本電信電話株式会社 | プログラム生成装置、プログラム生成方法及びプログラム |
-
1998
- 1998-11-17 JP JP32698198A patent/JP4135235B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7310943B2 (ja) | 2020-02-12 | 2023-07-19 | 日本電信電話株式会社 | プログラム生成装置、プログラム生成方法及びプログラム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000141532A (ja) | 2000-05-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0332717B1 (en) | Transparent laminated product | |
JP4824150B2 (ja) | 薄膜の積層体を具備した透明基材 | |
JP5798040B2 (ja) | 熱特性を有する多層コーティングと吸収層とを備えた基材 | |
JP5549216B2 (ja) | 透明導電性積層体およびその製造方法ならびにタッチパネル | |
JP4310872B2 (ja) | ガラス積層体、機能性透明物品およびその製造方法 | |
JPH10133014A (ja) | 光透過性積層物、その使用及びその製造方法 | |
CZ29194A3 (en) | Transparent substrate, particularly glass substrate being provided with a set of thin layers | |
JP2000233947A5 (ja) | ||
KR19990083219A (ko) | 플라즈마 표시 패널용 전자기파 필터 | |
KR101797426B1 (ko) | 코팅유리 및 그 제조방법 | |
KR101499288B1 (ko) | 저방사 코팅막 및 이를 포함하는 건축 자재 | |
KR20190032570A (ko) | 지르코늄이 강화된 규소-지르코늄 질화물을 포함하는 층을 적어도 하나 포함하는, 열적 특성을 갖는 스택을 구비한 기판, 그 용도 및 그 제조 | |
JP2003034828A (ja) | 電磁波シールド用のAg合金膜、電磁波シールド用Ag合金膜形成体及び電磁波シールド用Ag合金スパッタリングターゲット | |
JP4013329B2 (ja) | 積層体および窓用ガラス積層体 | |
JP2020510591A (ja) | ドープされた銀ir反射層を有するlow−eコーティングを有するコーティングされた物品 | |
JP2022176332A (ja) | エレクトロクロミック調光部材、光透過性導電ガラスフィルムおよびエレクトロクロミック調光素子 | |
JP3725908B2 (ja) | 導電性積層体 | |
JP4168689B2 (ja) | 薄膜積層体 | |
JP4172049B2 (ja) | 透明導電膜 | |
JP4135235B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
JPH07249316A (ja) | 透明導電膜および該透明導電膜を用いた透明基体 | |
CN115140949B (zh) | 一种低反射率低透过率low-e镀膜玻璃及制作方法 | |
JP3924849B2 (ja) | 透明導電フィルムおよびそれを用いた電磁波シールドフィルター | |
JP2001179868A (ja) | 透明積層体の製造方法 | |
WO2010098200A1 (ja) | 積層体物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050916 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080304 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080411 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080513 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080526 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |