JP3549392B2 - ディスプレイの雑音抑制方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイの雑音抑制方法に関するものであり、さらに詳しくは、透明導電性薄膜付きフィルムが板状成形体に貼り合わされてなる光学フィルターを、表示面上に設置したディスプレイから発生する雑音を抑制する方法に関するものである。特に、ディスプレイがプラズマディスプレイパネルである場合に発生する雑音の音量が大きく、これを抑制するのに効果を発揮する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、社会が高度化するに従って、光エレクトロニクス関連部品、機器は著しく進歩している。その中で、画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン装置用に加えて、コンピューターモニター装置用等としてめざましく普及しつつある。その中でも、ディスプレイの大型化及び薄型化に対する市場要求は高まる一方である。最近、大型かつ薄型化を実現することが可能であるディスプレイとしてプラズマディスプレイパネル(PDP)が、注目されている。しかし、プラズマディスプレイパネルは、原理上、強度の電磁波を装置外に放出することが知られている。電磁波は、計器に障害を及ぼすことが知られており、最近では、電磁波が人体にも障害を及ぼす可能性もあるとの報告もされている。このため、電磁波放出に関しては、法的に規制される方向になっている。例えば、現在日本では、VCCI(Voluntarily Control Councilfor Interference by data processingequipment electronic office machine)による規制があり、米国では、FCC(Federal Communication Commission)による製品規制がある。
【0003】
また、プラズマディスプレイパネルは、強い近赤外線を放出する。この近赤外線は、コードレス電話や赤外線方式のリモートコントローラー等の誤動作を引き起こす。特に問題となる波長は、800〜1000nmである。 上記、電磁波及び近赤外線放出を抑えるために、最近、電磁波及び近赤外線遮断用光学フィルターに対する要請が高まっている。この光学フィルターは、フィルター全面に渡って導電性があり、しかも透明性に優れている必要がある。これらの要求を満たし、実用化された光学フィルターは、大きく2種類に分けることができる。一つは、金属メッシュタイプと呼ばれているものであり、基体全面に細く金属を格子状に配置させたものである。これは、導電性に優れ、優れた電磁波遮断能力を持つが、近赤外線反射能力及び透明性が優れず、モワレ像が生じることからディスプレイフィルター用途に対して、あまり好ましくない。もう一つは、透明膜タイプと呼ばれているものであり、透明導電性薄膜を基体全面に配置したものである。透明導電性薄膜タイプの光学フィルターは、金属メッシュタイプの光学フィルターに比較して、電磁波遮断能力に劣るが、近赤外線遮断能力及び透明性に優れ、モワレ像の発生がない。
【0004】
透明導電性薄膜タイプ光学フィルターは、高分子成形体基板やガラス基板に透明導電性薄膜フィルムを貼り合わせてある場合が多い。貼り合わせには、粘着材が用いられる。表示装置自体の軽量化や安全性の面から、基板としては、高分子成形体が、好適に用いられる場合が多い。また、反射率低減機能、防幻機能または調色機能を持った光学フィルムを透明導電性フィルムに組み合わせて貼り合わせることが多く、これらフィルムの貼り合わせにも粘着材が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
透明導電性薄膜付きフィルムが板状成形体に貼り合わされてなる光学フィルターを、プラズマディスプレイパネルの表示面上に設置して表示体を完成させこれを点灯すると、表示体から雑音が発生した。この雑音は光学フィルターを取り外した時には発生せず、光学フィルターの設置が原因となっていることが確認され、雑音を抑制する対策が強く求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、プラズマディスプレイパネルの表示面に光学フィルターを設置して、点灯させた状態における雑音の発生は、プラズマディスプレイパネルから発生する高周波信号が、接地線を通して光学フィルターの透明導電性薄膜に侵入し、これが原因となって光学フィルターとプラズマディプレイパネル間から生じていることを発見し、透明導電性薄膜と表示面との間に誘電正接が0.0025以下の誘電体を介在させることによって上記課題を解決する事ができるとの知見を得、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)透明な板状成形体に、少なくとも、透明導電性薄膜付きフィルムを貼り合わせてなる光学フィルターを、表示面上に設置したディスプレイにおいて、透明導電性薄膜とディスプレイの表示面との間に、誘電正接が0.0025以下の高分子フィルムからなる誘電体を介在せしめることを特徴とするディスプレイの雑音抑制方法、(2)誘電正接が0.0025以下の誘電体が、光学フィルターの、ディスプレイの表示面と向かい合う面上に、付着せしめてあることを特徴とする(1)に記載のディスプレイの雑音抑制方法、()高分子フィルムの材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、もしくはポリメチルペンテンであることを特徴とする()に記載のディスプレイの雑音抑制方法、(4)ディスプレイがプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載のディスプレイの雑音抑制方法に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるディスプレイ雑音抑制方法は、透明導電性薄膜付き光学フィルターの透明導電性薄膜とディスプレイの表示面との間に、誘電正接は0.0025以下の誘電層を介在せしめることを特徴とするものである。この方法は、ディスプレイが、耳障りで大きな雑音を発生し易いプラズマディスプレイである場合に、特に有効なものである。
【0009】
本発明を添付図面でもって説明する。図1は、本発明の実施形態の一例を示すており、光学フィルターを設置する際の様子を断面から見た図である。図1において光学フィルター30は、透明な板状成形体10の一方の面上に、フィルム21の一方の面上に透明導電性薄膜22を形成した透明導電性薄膜付きフィルム20を、粘着剤15によって貼り合わせて構成されている。さらに、光学フィルターの周辺端部に接地用電極35を形成してある。これを、ディスプレイ50の表示面51上に誘電体40を間に介在させて、接地用電極35が接触するとように設置して固定する。図2は光学フィルターをディスプレイに設置した後の完成図である。
【0010】
本発明において最も重要な点は雑音抑制の手段として、誘電正接が0.0025以下の誘電体を、透明導電性薄膜とディスプレイの表示面との間に介在させることである。雑音は、ディスプレイを点灯した時に発生した高周波信号が接地電極を通して透明導電性薄膜に侵入し、これが原因となって光学フィルターとディスプレイの表示面との間で発生していると考えられる。これを抑制するには、接地電極を切り離し、ディスプレイと透明導電性薄膜とを電気的に遮断すればよいが、この方法を実施すると透明導電性薄膜による電磁波遮蔽の効果が得られなくなってしまい、透明導電性薄膜付き光学フィルターを設置する意味が無くなってしまう。誘電体を介在させる本発明は、接地電極を切り離す必要が無く、透明導電性薄膜に高周波信号が侵入してしまっても、雑音を発生させない方法であり、そのために使用する誘電体の誘電正接は0.0025以下でなければならないのである。さらに付け加えれば、誘電体の誘電正接は、雑音発生の原因となっている高周波信号の周波数領域において、0.0025とすることが必要とされる。この高周波信号の周波数はディスプレイの型式によって異なるが、500Hz〜10MHzであることが多いようである。
【0011】
誘電正接が0.0025以下の誘電体として本発明で使用できるものを例示すれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。誘電体は、透明導電性薄膜とディスプレイの表示面との間に介在されていればよく、光学フィルターをディスプレイの表示面上に設置する時に、上記誘電体の成型物を間に挟み込んでもよいし、光学フィルターまたはディスプレイにの表面上に直接誘電体を形成しておき、表示体を完成させた時に誘電体が透明導電性薄膜とディスプレイとの間に介在するようにしておいてもよい。なかでも、光学フィルターの表面上に誘電体材料を形成しておき、ディスプレイの表示面上にこの光学フィルターを設置した時に、自動的にその間に誘電体が介在されるようにしておくことが好ましい。その実施形態の様子を図3に示した。この図は、誘電体を予め光学フィルターの表面上に形成しておき、それをディスプレイの表示面上に設置する様子を断面から表している。ここではの透明導電性薄膜22の上に誘電体40を粘着剤15によって貼り合わせて一体化した光学フィルム31を使用している。
【0012】
透明導電性薄膜とディスプレイとの間に誘電体を介在させる手法によらず、誘電体は面状であることが好ましい。また、誘電体は表示面側に設置されることになるので、少なくとも、表示体の表示性能を損なわない誘電体を使用する必要があり、無色透明なものが好ましい。これらの条件を満たすものとしては、上記に挙げた誘電体材料から成形されたフィルムまたはシートがある。ここに挙げたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルペンテン等を用いたフィルムまたはシートは無色透明であり、しかも大量に製造されているものである。これらの厚さは5μm〜400μm程度であり、本発明においては使い易い厚さのものを選択すればよい。
光学フィルターには、反射防止機能、防眩機能、透明導電性薄膜の保護機能、静電防止機能等を付与するために、それらの機能を有する塗膜を形成したり、それらの機能を有するフィルムを貼り合わせたりしても良い。
【0013】
本発明に用いられる板状成形体としては、透明性に優れ、十分な機械的強度持ち、できるだけ軽量であり、割れにくいものであることが好ましい。ここで、透明性に優れるとは、厚さ3mm程度の板にした時の波長400〜700nmの光に対する透過率が、50%以上であることを指す。
板状成形体に用いるのに好ましい材料を例示すれば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を始めとするアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂に特定されるわけではない。中でもPMMAは、その広い波長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適に使用することができる。高分子成形体の厚さに特に制限はなく、十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られれば良い。通常は、1〜10mm程度である。
【0014】
また、板状成形体には、表面の硬度または密着性を増す等の理由でハードコート層が設けられることが多い。ハードコート層材料としては、アクリレート樹脂またはメタクリレート樹脂が用いられる場合が多いが、特に限定されるわけではない。またハードコート層の形成方法は、紫外線硬化法または重合転写法が用いられる場合が多いが、特にこれに限定されるわけではない。重合転写法は、対象となる材料が、メタクリレート樹脂等セルキャスト重合ものに限定されるが、連続製版方式によって非常に生産性良く、ハードコート層を形成することができる。このため、重合転写法によるメタクリレート樹脂層形成は、最も好適に用いられるハードコート層形成手法である。
【0015】
透明導電性薄膜付きフィルムの基材として用いられる高分子フィルムの材料は、透明性があれば特に制限はない。具体的に例示すると、ポリイミド、ポリスルフォン(PSF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート(PET)及びトリアセチルセルロース(TAC)は、特に好適に用いられる。
【0016】
透明導電性薄膜は、透明高屈折率薄膜層と金属薄膜層との積層体である場合が多い。透明導電性薄膜単層でも電磁波遮断効果がある程度得られるが、充分でなく、通常透明高屈折率薄膜と金属薄膜とを、十分な透過率及び表面抵抗値が得られる膜厚組み合わせで積層して得られる。透明導電性薄膜層の好ましい透過率は、40%以上、99%以下、より好ましくは、50%以上、99%以下、さらに好ましくは、60%以上、99%以下である。また、好ましい表面抵抗値は、0.2(Ω/□)以上、100(Ω/□)以下、好ましくは、0.2(Ω/□)以上、10(Ω/□)以下、さらに好ましくは、0.2(Ω/□)以上、3(Ω/□)以下、さらにより好ましくは、0.2(Ω/□)以上、0.5(Ω/□)以下である。
【0017】
上記、透明高屈折率薄膜層(b)と金属薄膜層(c)との積層体を透明高分子成形体基体(a)上に積層する事によって得られる、透明導電性薄膜フィルムの積層構造を具体的に示すと、a/b/c/b、a/b/c/b/c/b、a/b/c/b/c/b/c/b、a/b/c/b/c/b/c/b/c/b、a/b/c/b/c/b/c/b/c/b/c/b等である。
【0018】
透明高屈折率薄膜層(b)に用いられる材料としては、できるだけ透明性に優れたものであることが好ましい。ここで透明性に優れるとは、膜厚100nm程度の薄膜を形成したときに、その薄膜の波長400〜700nmの光に対する透過率が60%以上であることを指す。また、高屈折率材料とは、550nmの光に対する屈折率が、1.4以上の材料である。これらには、用途に応じて不純物を混入させても良い。
【0019】
透明高屈折率薄膜層用に好適に用いることができる材料例示すると、インジウムとスズとの酸化物(ITO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化マグネシウム(Mg0)、酸化トリウム(Th0)、酸化スズ(SnO)、酸化ランタン(LaO)、酸化シリコン(SiO)、酸化インジウム(In)、酸化ニオブ(NbO3)、酸化アンチモン(Sb)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セシウム(CeO)、酸化チタン(TiO)、酸化ビスマス(BiO)等である。
また、透明高屈折率硫化物を用いても良い。具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb)等があげられる。
透明高屈折率材料としては、中でも、ITO、TiO、ZnOが特に好ましい。ITO及びZnOは、導電性を持つ上に、可視領域における屈折率が、2.0程度と高くさらに可視領域にほとんど吸収を持たない。TiOは、絶縁物であり、可視領域にわずかな吸収を持つが、可視光に対する屈折率が2.3程度と大きい。
【0020】
本発明において用いられる、金属薄膜層(c)の材料としては、できるだけ電気伝導性の良い材料が好ましく、銀、銅、金、白金、パラジウムまたはそれらの合金が用いられる。中でも銀は、比抵抗が、1.59×10−6(Ω・cm)であり、あらゆる材料の中で最も電気伝導性に優れる上に、薄膜の可視光線透過率が優れるため、最も好適に用いられる。但し、銀は、薄膜とした時に安定性を欠き、硫化や塩素化を受け易いという問題を持っている。この為、安定性を増すために、銀の替わりに銀と金の合金または、銀と銅の合金または銀とパラジウムの合金または銀と白金の合金等を用いてもよい。銅は、薄膜の可視光透過性が、銀に比較して劣るが、比抵抗が、1.67×10−6(Ω・cm)であり、銀に次いで電気伝導性に非常に優れているため、本発明における金属薄膜に好適に利用することができる。金も銅と同じように薄膜の可視光線透過率が銀に劣るが、比抵抗が、2.35×10−6(Ω・cm)と銀、銅に次いで電気伝導性に優れるため、本発明における金属薄膜として好適に利用することができる。
高屈折率薄膜層及び金属薄膜層の形成には、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の従来公知の手法によればよい。
【0021】
金属薄膜層の形成には、真空蒸着法またはスパッタリング法が、好適に用いられる。真空蒸着法では、所望の金属を蒸着源として使用し、抵抗加熱、電子ビーム加熱等により、加熱蒸着させることで、簡便に金属薄膜を形成することができる。また、スパッタリング法を用いる場合は、ターゲットに所望の金属材料を用いて、スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを使用し、直流スパッタリング法や高周波スパッタリング法を用いて金属薄膜を形成することができる。成膜速度を上昇させるために、直流マグネトロンスパッタリング法や高周波マグネトロンスパッタリング法が用いられることも多い。
【0022】
透明導電性薄膜層の形成には、イオンプレーディング法または反応性スパッタリング法が好適に用いられる。イオンプレーティング法では、反応ガスプラズマ中で所望の金属または焼結体を抵抗加熱、電子ビーム加熱等により真空蒸着を行う。反応性スパッタリング法では、ターゲットに所望の金属または焼結体を使用し、反応性スパッタリングガスにアルゴン、ネオン等の不活性ガスを用いてスパッタリングを行う。例えば、ITO薄膜を形成する場合には、スパッタリングターゲットにインジウムとスズとの酸化物を用いて、酸素ガス中で直流マグネトロンスパッタリングを行う。
【0023】
本発明において板状成形体と透明導電性薄膜付きフィルムとを貼り合わせるのに用いられる粘着材は、できるだけ透明なものが好ましい。使用可能な粘着剤を例示すると、アクリル系粘着材、シリコン系粘着材、ウレタン系粘着材、ポリビニルブチラール粘着材(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系粘着材(EVA)等である。中でもアクリル系粘着材は、透明性及び耐熱性に優れるために特に好適に用いられる。また、フィルムまたはシート状の誘電体を光学フィルターに貼り合わせる場合にも同じ粘着剤を使用することができる。
【0024】
粘着材の形態は、大きく分けてシート状のものと液状のものに分けられる。シート状粘着材は、通常、感圧型であり、貼り付け後に各部材をラミネートする事によって貼り合わせを行う。液状粘着材は、塗布貼り合わせ後に室温放置または加熱により硬化させるものであり、粘着材の塗布方法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールコート法等が挙げられ、粘着材の種類、粘度、塗布量等から考慮選定される。粘着材層の厚みに特に制限はないが、0.5〜50μm、好ましくは、1〜30μmである。粘着材を用いて貼り合わせを行った後は、貼り合わせた時に入り込んだ気泡を脱法させたり、粘着材に固溶させ、さらには部材間の密着力を向上させるために、加圧、加温条件下にて養生を行うことが好ましい。この時、加圧条件としては、一般的に数気圧〜20気圧程度であり、加温条件としては、各部材の耐熱性にも依るが、一般的には室温以上、80℃以下である。
【0025】
本発明において粘着剤を使用した貼り合わせ方法に特に制限はない。通常は、高分子フィルムに粘着材を貼り付け、その上を離型フィルムで覆ったものをロール状態であらかじめ用意しておき、ロールから高分子成形フィルムを繰り出しながら、離型フィルムをはがしていき、高分子成形体基板上へ貼り付け、ロールで押さえつけながら貼り付けていく。貼り合わせられたフィルム上に重ねて貼り合わせる場合も同様である。
【0026】
上記の方法により作製した、光学フィルターの層構成及び各層の状態は、断面の光学顕微鏡測定、走査型電子顕微鏡(SEM)測定、透過型電子顕微鏡測定(TEM)を用いて調べることができる。
また誘電体の誘電正接は、JIS−K−6911に準拠した方法で測定できる。より精度よく測定する手法としては相互誘導ブリッジ法(変性器ブリッジ法)、より簡便に測定する手法としては電圧上昇比率法(Qメータ)法がある。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
透明高分子フィルム(a)としてポリエチレンテレフタレートフィルム[ 厚さ75μm]を使用し、その一方の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用いて、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層(b)、銀薄膜層(c)をa/b[厚さ40nm]/c[厚さ10nm]/b[厚さ80nm]/c[厚さ15nm]/b[厚さ80nm]/c[厚さ10nm]/b[厚さ40nm]なる順に積層し、透明導電性薄膜付きフィルム(B)を作製した。インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層は、透明高屈折率薄膜層を構成し、銀薄膜層は、金属薄膜層を構成する。インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の形成には、ターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体[In:SnO=90:10(重量比)]、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いた。また、銀薄膜層の形成には、ターゲットとして銀を用い、スパッタガスにはアルゴンガス(全圧266mPa)を用いた。
この透明導電性薄膜付きフィルム(B)の透明導電性薄膜形成面とは反対側の面をと、厚さ3mmのアクリル板とを、アクリル系粘着剤を使用して貼り付け面圧0.3MPaにて貼り付けた。さらに、この周囲幅10mmを電極用スペースとして開けておき、透明導電性薄膜形成面の残りの箇所に、誘電体フィルムとしてポリエチレンフィルム(厚さ:25μm、可視光透過率:88%)を、アクリル系粘着剤を使用して、貼り付け面圧0.3MPaにて貼り付けた。なお、誘電体フィルムの誘電正接は予め変成器ブリッジ法による誘電体損測定器(安藤電気(株)製、TR−10 C型)を用いて、室温25℃、相対湿度65%の環境下において周波数10kHzにおける値を測定しておいた。
そして、これを室温で5時間放置し粘着を養生させた後に、透明導電性薄膜形成面の電極用スペース上に銀ペーストをスクリーン印刷法により塗布し、誘電体が一体となった光学フィルター(C)を完成させた。
上記により作製した光学フィルター(C)を、プラズマディスプレイパネルの表示面上に設置し、静寂な室内においてこれを点灯させ、表示面から30cm離れた位置において雑音発生の状況を調査した。
【0028】
(実施例2〜実施例5)
誘電体を、
実施例2−ポリプロピレンフィルム(厚さ:50μm、可視光透過率:88%)
実施例3−ポリカーボネートフィルム(厚さ:50μm、可視光透過率:90%)
実施例4−ポリスチレンフィルム(厚さ:50μm、可視光透過率:88%)
実施例5−ポリメチルペンテンフィルム(厚さ:25μm、可視光透過率:89%)
に変更した以外は実施例1と同じ手法により光学フィルター作製し、実施例1と同じ手法により雑音の発生状況を調査した。
【0029】
(比較例1)
誘電体を用いなかった以外は実施例1と同じ手法により光学フィルターを作製し、実施例1と同じ手法により雑音の発生状況を調査した。
【0030】
(比較例2〜比較例4)
誘電体を、
比較例2−ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:25μm、可視光透過率:89%)
比較例3−ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ:50μm、可視光透過率:86%)
比較例4−ポリエーテルサルフォンフィルム(厚さ:50μm、可視光透過率:87%)
に変更した以外は実施例1と同じ手法により雑音の発生状況を調査した。
以上の結果を表1に掲げる。
【0031】
【表1】
Figure 0003549392
表1から、本発明の方法による実施例1〜実施例5において、プラズマディスプレイパネル点灯時の雑音発生が抑制されていることが分かる。
【0032】
【発明の効果】
透明導電性薄膜が形成された光学フィルターを、表示面に設置したディスプレイにおいて、ディスプレイを点灯させた時に発生する雑音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面図である。
【図2】本発明の光学フィルターを設置した状態の一例の断面図である。
【図3】本発明の光学フィルターに誘電体を貼り合わせて本発明を実施した状態の一例の断面図である。
【符号の説明】
10 板状成形体
15 粘着剤
20 透明導電性薄膜付きフィルム
21 フィルム
22 透明導電性薄膜
30 光学フィルター
35 接地用電極
40 誘電体
50 ディスプレイ
51 ディスプレイの表示面

Claims (4)

  1. 透明な板状成形体に、少なくとも、透明導電性薄膜付きフィルムを貼り合わせてなる光学フィルターを、表示面上に設置したディスプレイにおいて、透明導電性薄膜とディスプレイの表示面との間に、誘電正接が0.0025以下の高分子フィルムからなる誘電体を介在せしめることを特徴とするディスプレイの雑音抑制方法。
  2. 誘電正接が0.0025以下の高分子フィルムからなる誘電体が、光学フィルターの、ディスプレイの表示面と向かい合う面上に、付着せしめてあることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイの雑音抑制方法。
  3. 高分子フィルムの材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、もしくはポリメチルペンテンであることを特徴とする請求項に記載のディスプレイの雑音抑制方法。
  4. ディスプレイがプラズマディスプレイパネルであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のディスプレイの雑音抑制方法。
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