JP2000106044A - 透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法 - Google Patents
透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法Info
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- JP2000106044A JP2000106044A JP10277167A JP27716798A JP2000106044A JP 2000106044 A JP2000106044 A JP 2000106044A JP 10277167 A JP10277167 A JP 10277167A JP 27716798 A JP27716798 A JP 27716798A JP 2000106044 A JP2000106044 A JP 2000106044A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 プラズマディスプレイパネル(PDP)から
発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット機能を有
する特定の透明導電性フィルムの表面抵抗値を低下させ
る方法を提供する。 【解決手段】 透明フィルム基材の表面に金属酸化物膜
と銀系透明導電体膜を1単位としてn単位(3≦n≦1
0)が順次積層され、最外層に金属酸化物膜が形成され
ている積層体からなる透明導電性フィルムであって、積
層体を製膜後、積層体全体を150〜180℃の温度で
後加熱することを特徴とする透明導電性フィルムの表面
抵抗低下方法。
発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット機能を有
する特定の透明導電性フィルムの表面抵抗値を低下させ
る方法を提供する。 【解決手段】 透明フィルム基材の表面に金属酸化物膜
と銀系透明導電体膜を1単位としてn単位(3≦n≦1
0)が順次積層され、最外層に金属酸化物膜が形成され
ている積層体からなる透明導電性フィルムであって、積
層体を製膜後、積層体全体を150〜180℃の温度で
後加熱することを特徴とする透明導電性フィルムの表面
抵抗低下方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(以下、PDPと称す)の前面に配置し、P
DPから発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット
機能を有する透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法に
関する。
レイパネル(以下、PDPと称す)の前面に配置し、P
DPから発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット
機能を有する透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】PDPは、希ガス特にネオンを主体とす
るガスがパネル内に封入されている。PDPにおいて、
陰極から放出された電子が加速されてガス分子と衝突
し、励起したり電離したりして陽極へ進み、そこで生じ
た陽イオンも陰極と衝突して2次電子放出を起こし、放
電が開始される。この際、ネオン原子の遷移過程に伴い
電磁波および近赤外線が放出される。放出される近赤外
線は、波長が850〜1200nmである。一方、家電
製品、カラオケ、音響映像機器等のリモートコントロー
ラの受光感度は700〜1300nmであることから、
PDPから放出された近赤外線がリモートコントローラ
を誤作動させてしまうという問題が生じている。しか
し、近赤外線はPDPの原理上発生するものであり、P
DP自体では防止できない。
るガスがパネル内に封入されている。PDPにおいて、
陰極から放出された電子が加速されてガス分子と衝突
し、励起したり電離したりして陽極へ進み、そこで生じ
た陽イオンも陰極と衝突して2次電子放出を起こし、放
電が開始される。この際、ネオン原子の遷移過程に伴い
電磁波および近赤外線が放出される。放出される近赤外
線は、波長が850〜1200nmである。一方、家電
製品、カラオケ、音響映像機器等のリモートコントロー
ラの受光感度は700〜1300nmであることから、
PDPから放出された近赤外線がリモートコントローラ
を誤作動させてしまうという問題が生じている。しか
し、近赤外線はPDPの原理上発生するものであり、P
DP自体では防止できない。
【0003】そのため、PDPから発生する電磁波シー
ルドと近赤外線をカットするフィルターが検討されてお
り、従来たとえば、低抵抗値の金属メッシュまたはエッ
チングメッシュを埋め込んだアクリル板と近赤外線を吸
収する染料系の材料を混入させたアクリル板とを貼合わ
せたまたは熱融着させた板や、ガラス板に直接スパッタ
法で銀系薄膜等を形成したものに近赤外線吸収材入りフ
ィルムを貼合わせした板や、或いは、近赤外線を吸収す
る染料系の材料を混入させたアクリル板にスパッタ法で
銀系薄膜等を形成したフィルムを貼合わせた板を、PD
Pの前面に空気層を介してセッティングするという方法
が採用されている。一方、これらに使用されるフィルタ
ーには、導電部材の表面抵抗値と電磁波シールド効果と
の間に相関関係があり、表面抵抗値が小さい程、電磁波
シールド効果が大であることが判明しており、表面抵抗
値を小さくする検討もなされている。
ルドと近赤外線をカットするフィルターが検討されてお
り、従来たとえば、低抵抗値の金属メッシュまたはエッ
チングメッシュを埋め込んだアクリル板と近赤外線を吸
収する染料系の材料を混入させたアクリル板とを貼合わ
せたまたは熱融着させた板や、ガラス板に直接スパッタ
法で銀系薄膜等を形成したものに近赤外線吸収材入りフ
ィルムを貼合わせした板や、或いは、近赤外線を吸収す
る染料系の材料を混入させたアクリル板にスパッタ法で
銀系薄膜等を形成したフィルムを貼合わせた板を、PD
Pの前面に空気層を介してセッティングするという方法
が採用されている。一方、これらに使用されるフィルタ
ーには、導電部材の表面抵抗値と電磁波シールド効果と
の間に相関関係があり、表面抵抗値が小さい程、電磁波
シールド効果が大であることが判明しており、表面抵抗
値を小さくする検討もなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、PDPから
発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット機能を有
する特定の透明導電性フィルムの表面抵抗値を低下させ
る方法を提供することを課題とする。
発生する電磁波シールド機能と近赤外線カット機能を有
する特定の透明導電性フィルムの表面抵抗値を低下させ
る方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、透明フィ
ルム基材の表面に金属酸化物膜と銀系透明導電体膜を交
互に順次積層し、最外層に金属酸化物膜を形成してなる
積層体について、導電部材である銀系透明導電体膜の表
面抵抗値を低下させる方法を鋭意検討の結果、積層体を
製膜した後、積層体全体を後加熱することにより、表面
抵抗値を低下しうることを見出し、本発明に至ったもの
である。
ルム基材の表面に金属酸化物膜と銀系透明導電体膜を交
互に順次積層し、最外層に金属酸化物膜を形成してなる
積層体について、導電部材である銀系透明導電体膜の表
面抵抗値を低下させる方法を鋭意検討の結果、積層体を
製膜した後、積層体全体を後加熱することにより、表面
抵抗値を低下しうることを見出し、本発明に至ったもの
である。
【0006】即ち、本発明は、透明フィルム基材の表面
に金属酸化物膜と銀系透明導電体膜を1単位としてn単
位(3≦n≦10)が順次積層され、最外層に金属酸化
物膜が形成されている積層体からなる透明導電性フィル
ムであって、積層体を製膜後、積層体全体を150〜1
80℃の温度で後加熱することを特徴とする透明導電性
フィルムの表面抵抗低下方法に関するものである。ま
た、上記の金属酸化物膜は屈折率が1.5〜2.7の光
学的透明性を有する膜であり、銀系透明導電体膜は厚さ
5〜20nmの範囲内で略一定の値に設定されており、
且つ該基材表面の金属酸化物膜と最外層の金属酸化物膜
の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5/2(1±
0.15)倍であり、それ以外の中間に位置する金属酸
化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5(1±
0.15)倍となるように設計されていることが、上述
の光学特性を達成するのに好ましい。上記のn単位につ
いては、3≦n≦10が好適な範囲であり、n<3の場
合、銀系透明導電体膜の厚さを増すことで表面抵抗値は
下げられるが、光学特性を満足出来なくなる。また、n
>10の場合、構成自体が複雑になり、比較的簡単な構
成で光学特性を達成するには難点がある。
に金属酸化物膜と銀系透明導電体膜を1単位としてn単
位(3≦n≦10)が順次積層され、最外層に金属酸化
物膜が形成されている積層体からなる透明導電性フィル
ムであって、積層体を製膜後、積層体全体を150〜1
80℃の温度で後加熱することを特徴とする透明導電性
フィルムの表面抵抗低下方法に関するものである。ま
た、上記の金属酸化物膜は屈折率が1.5〜2.7の光
学的透明性を有する膜であり、銀系透明導電体膜は厚さ
5〜20nmの範囲内で略一定の値に設定されており、
且つ該基材表面の金属酸化物膜と最外層の金属酸化物膜
の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5/2(1±
0.15)倍であり、それ以外の中間に位置する金属酸
化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5(1±
0.15)倍となるように設計されていることが、上述
の光学特性を達成するのに好ましい。上記のn単位につ
いては、3≦n≦10が好適な範囲であり、n<3の場
合、銀系透明導電体膜の厚さを増すことで表面抵抗値は
下げられるが、光学特性を満足出来なくなる。また、n
>10の場合、構成自体が複雑になり、比較的簡単な構
成で光学特性を達成するには難点がある。
【0007】屈折率が1.5〜2.7の光学的透明性を
有する金属酸化物膜としては、酸化インジウム、酸化
錫、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、
酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、五酸化ニ
オブ、硫化亜鉛よりなる群から選ばれる1又は2以上の
化合物からなる薄膜であるのが好ましい。また、銀系透
明導電体膜は、90重量%以上の銀と、金、銅、パラジ
ュウム、白金、マンガン、カドニウムから選択された1
つまたは2つ以上の元素により構成された薄膜であるの
が好ましい。
有する金属酸化物膜としては、酸化インジウム、酸化
錫、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、
酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、五酸化ニ
オブ、硫化亜鉛よりなる群から選ばれる1又は2以上の
化合物からなる薄膜であるのが好ましい。また、銀系透
明導電体膜は、90重量%以上の銀と、金、銅、パラジ
ュウム、白金、マンガン、カドニウムから選択された1
つまたは2つ以上の元素により構成された薄膜であるの
が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下において、図1を使用して本
発明のPDP用フィルターを具体的に説明する。図1
は、透明フィルム基材1の表面に、金属酸化物膜および
銀系透明導電体膜を1単位として、金属酸化物膜(2
A、2B、2C)および銀系透明導電体膜(3A、3
B、3C)が順次繰り返し積層され(図1は3単位の例
を示す)、その最外層に金属酸化物膜2Dが形成されて
いる積層体からなる透明導電性フィルムを示している。
この際、上記の金属酸化物膜は屈折率が1.5〜2.7
の光学的透明性を有する膜であり、銀系透明導電体膜は
厚さ5〜20nmの範囲内で略一定の値に設定されてお
り、且つ該基材表面の金属酸化物膜と最外層の金属酸化
物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5/2(1
±0.15)倍であり、それ以外の中間に位置する金属
酸化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5(1
±0.15)倍となるように設計されているのが、電磁
波シールド特性、近赤外線カット特性、可視光透過・低
反射特性等の諸特性を付与するのに好ましい。本発明の
方法は、上記の積層体をスパッタ法や蒸着法などで製膜
した後、積層体全体を150〜180℃の温度で3分〜
10時間、好ましくは10分〜2時間の後加熱処理する
ことにより、銀系透明導電体膜の表面抵抗値を低下させ
るものである。このように表面抵抗値が低下する理由に
ついては、明確ではないが次のように推測される。スパ
ッタ法などの物理蒸着法により、銀系透明導電体膜を極
めて薄い島状薄膜に形成した場合、膜の不連続性による
抵抗値の上昇の他に、膜内部に多数の格子欠陥が存在
し、これによっても抵抗値が上昇しているものと考えら
れる。積層体を製膜後、150〜180℃の温度で後加
熱してやると、銀系透明導電体膜は両面を金属酸化物膜
で覆われている構造にもかかわらず、その格子欠陥が解
消され抵抗値が低下するものと推測される。
発明のPDP用フィルターを具体的に説明する。図1
は、透明フィルム基材1の表面に、金属酸化物膜および
銀系透明導電体膜を1単位として、金属酸化物膜(2
A、2B、2C)および銀系透明導電体膜(3A、3
B、3C)が順次繰り返し積層され(図1は3単位の例
を示す)、その最外層に金属酸化物膜2Dが形成されて
いる積層体からなる透明導電性フィルムを示している。
この際、上記の金属酸化物膜は屈折率が1.5〜2.7
の光学的透明性を有する膜であり、銀系透明導電体膜は
厚さ5〜20nmの範囲内で略一定の値に設定されてお
り、且つ該基材表面の金属酸化物膜と最外層の金属酸化
物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5/2(1
±0.15)倍であり、それ以外の中間に位置する金属
酸化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5(1
±0.15)倍となるように設計されているのが、電磁
波シールド特性、近赤外線カット特性、可視光透過・低
反射特性等の諸特性を付与するのに好ましい。本発明の
方法は、上記の積層体をスパッタ法や蒸着法などで製膜
した後、積層体全体を150〜180℃の温度で3分〜
10時間、好ましくは10分〜2時間の後加熱処理する
ことにより、銀系透明導電体膜の表面抵抗値を低下させ
るものである。このように表面抵抗値が低下する理由に
ついては、明確ではないが次のように推測される。スパ
ッタ法などの物理蒸着法により、銀系透明導電体膜を極
めて薄い島状薄膜に形成した場合、膜の不連続性による
抵抗値の上昇の他に、膜内部に多数の格子欠陥が存在
し、これによっても抵抗値が上昇しているものと考えら
れる。積層体を製膜後、150〜180℃の温度で後加
熱してやると、銀系透明導電体膜は両面を金属酸化物膜
で覆われている構造にもかかわらず、その格子欠陥が解
消され抵抗値が低下するものと推測される。
【0009】本発明において使用する透明フィルム基材
としては、可視光領域における透明性を有するもので、
ある程度表面が平滑であれば使用できる。例えば、ポリ
エチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポ
リエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテル
ケトン等が好ましい。フィルム基材厚さは、ドライプロ
セスで熱ジワなどの問題が発生しなければ制限はない
が、通常厚さ10〜250μmのものが使用される。ま
た、可視光の色調整のための色素を、透明フィルム基材
中に混入させてもよく、透明フィルム基材に塗布しても
よい。
としては、可視光領域における透明性を有するもので、
ある程度表面が平滑であれば使用できる。例えば、ポリ
エチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポ
リエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテル
ケトン等が好ましい。フィルム基材厚さは、ドライプロ
セスで熱ジワなどの問題が発生しなければ制限はない
が、通常厚さ10〜250μmのものが使用される。ま
た、可視光の色調整のための色素を、透明フィルム基材
中に混入させてもよく、透明フィルム基材に塗布しても
よい。
【0010】金属酸化物膜の材料としては、高屈折率の
光学膜材料ならある程度使用できるが、薄膜の屈折率が
1.5〜2.7の範囲が好ましい。屈折率1.5以下の
場合、金属酸化物膜の厚さを厚くする必要があり、多層
にした場合クラックが入りやすくなる。また、屈折率
2.7を超えると、最外層の金属酸化物膜と空気との屈
折率差が大きくなりすぎ、可視光反射率を低くおさえる
ことが難しくなる。また、単一の金属酸化物でも複数の
金属酸化物を混合した材料を用いてもよい。さらに、銀
のマイグレーション防止効果や水、酸素のバリア効果が
ある材料ならさらに好ましい。好適な金属酸化物材料と
しては、酸化インジウムを主成分とし二酸化チタンや、
酸化錫、酸化セリウムを少量含有させたもの、二酸化チ
タン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化ビスマス、五
酸化ニオブ、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの薄膜
層は、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティン
グ等の真空ドライプロセスで設けることができる。金属
酸化物膜の膜厚は、18〜100nmが適当であり、そ
の屈折率、銀系透明導電体膜の厚さ、全層数などによ
り、光学特性を最適にする膜厚が決定される。
光学膜材料ならある程度使用できるが、薄膜の屈折率が
1.5〜2.7の範囲が好ましい。屈折率1.5以下の
場合、金属酸化物膜の厚さを厚くする必要があり、多層
にした場合クラックが入りやすくなる。また、屈折率
2.7を超えると、最外層の金属酸化物膜と空気との屈
折率差が大きくなりすぎ、可視光反射率を低くおさえる
ことが難しくなる。また、単一の金属酸化物でも複数の
金属酸化物を混合した材料を用いてもよい。さらに、銀
のマイグレーション防止効果や水、酸素のバリア効果が
ある材料ならさらに好ましい。好適な金属酸化物材料と
しては、酸化インジウムを主成分とし二酸化チタンや、
酸化錫、酸化セリウムを少量含有させたもの、二酸化チ
タン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化ビスマス、五
酸化ニオブ、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの薄膜
層は、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティン
グ等の真空ドライプロセスで設けることができる。金属
酸化物膜の膜厚は、18〜100nmが適当であり、そ
の屈折率、銀系透明導電体膜の厚さ、全層数などによ
り、光学特性を最適にする膜厚が決定される。
【0011】銀系透明導電体膜の材料としては、90重
量%以上の銀と、金、銅、パラジュウム、白金、マンガ
ン、カドニウムから選択された1つまたは2つ以上の元
素により構成されるが、90〜99重量%の銀と上記金
属1〜10重量%を固溶させた材料であるのが好まし
い。特に銀中に1〜10重量%の金を固溶させたもの
は、銀の劣化防止の観点から好ましい。金を10重量%
以上混入すると比抵抗が上昇し低抵抗値が得られ難く、
また1重量%以下では銀の劣化が起こりやすい。銀系透
明導電体膜を形成する手段としては、スパッタ法などの
真空ドライプロセスが用いられる。銀系透明導電体膜の
厚さは、5〜20nmが適当であるが、さらに好ましく
は、9〜17nmである。
量%以上の銀と、金、銅、パラジュウム、白金、マンガ
ン、カドニウムから選択された1つまたは2つ以上の元
素により構成されるが、90〜99重量%の銀と上記金
属1〜10重量%を固溶させた材料であるのが好まし
い。特に銀中に1〜10重量%の金を固溶させたもの
は、銀の劣化防止の観点から好ましい。金を10重量%
以上混入すると比抵抗が上昇し低抵抗値が得られ難く、
また1重量%以下では銀の劣化が起こりやすい。銀系透
明導電体膜を形成する手段としては、スパッタ法などの
真空ドライプロセスが用いられる。銀系透明導電体膜の
厚さは、5〜20nmが適当であるが、さらに好ましく
は、9〜17nmである。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定するものではな
い。 実施例1 厚さ125μmの透明ポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルムの表面に、厚さ5μmのUV硬化型ハー
ドコート樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名ユニ
デック17−813を主成分とする)を形成して耐擦傷
性を付与した透明フィルム基材を作製した。次に、この
透明フィルム基材のハードコート(HC)側に、DCマ
グネトロンスパッタ法で金属酸化物膜と銀系透明導電体
膜を1単位として、下記の厚さでn単位(n=3)が順
次積層され、最外層に金属酸化物膜が積層された積層体
を作製した。各膜の厚さ :32.5/12/65/12/65/12/32.5(nm) 次に、この積層体全体を170℃で30分間、後加熱し
て加熱前後の特性を測定して、その結果を表1に示し
た。なお、HC付き透明フィルム基材の可視光透過率at
550nm は、89%であった。金属酸化物膜を形成するタ
ーゲット材料には、In2 O3 ―12.6重量%TiO
2 を使用し、銀系透明導電体膜を形成するターゲット材
料には、Ag―5重量%Auを使用した。膜厚の測定
は、厚膜に付けた膜の表面粗さ計(DEKTAK3)に
よる製膜速度の検量線と透過型電子顕微鏡による精密測
定により行った。抵抗値の測定は、三菱油化製(Lor
esterSP)を用いた。また、光学特性は、日立製
作所製U−3410を用いて測定した。
るが、本発明はかかる実施例のみに限定するものではな
い。 実施例1 厚さ125μmの透明ポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルムの表面に、厚さ5μmのUV硬化型ハー
ドコート樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名ユニ
デック17−813を主成分とする)を形成して耐擦傷
性を付与した透明フィルム基材を作製した。次に、この
透明フィルム基材のハードコート(HC)側に、DCマ
グネトロンスパッタ法で金属酸化物膜と銀系透明導電体
膜を1単位として、下記の厚さでn単位(n=3)が順
次積層され、最外層に金属酸化物膜が積層された積層体
を作製した。各膜の厚さ :32.5/12/65/12/65/12/32.5(nm) 次に、この積層体全体を170℃で30分間、後加熱し
て加熱前後の特性を測定して、その結果を表1に示し
た。なお、HC付き透明フィルム基材の可視光透過率at
550nm は、89%であった。金属酸化物膜を形成するタ
ーゲット材料には、In2 O3 ―12.6重量%TiO
2 を使用し、銀系透明導電体膜を形成するターゲット材
料には、Ag―5重量%Auを使用した。膜厚の測定
は、厚膜に付けた膜の表面粗さ計(DEKTAK3)に
よる製膜速度の検量線と透過型電子顕微鏡による精密測
定により行った。抵抗値の測定は、三菱油化製(Lor
esterSP)を用いた。また、光学特性は、日立製
作所製U−3410を用いて測定した。
【0013】
【表1】
【0014】実施例2 実施例1と同様の透明フィルム基材のハードコート(H
C)側に、DCマグネトロンスパッタ法で金属酸化物膜
と銀系透明導電体膜を1単位として、下記の厚さでn単
位(n=5)が順次積層され、最外層に金属酸化物膜が
積層された積層体を作製した。各膜の厚さ :35/14/70/14/70/14/70/14/70/14/35(nm) なお、金属酸化物膜を形成するターゲット材料には、I
n2 O3 ―12.6重量%TiO2 を使用し、銀系透明
導電体膜を形成するターゲット材料には、Ag―3重量
%Auを使用した。次に、この積層体全体を180℃で
15分間、後加熱して加熱前後の特性を実施例1と同様
にして測定し、その結果を表2に示した。
C)側に、DCマグネトロンスパッタ法で金属酸化物膜
と銀系透明導電体膜を1単位として、下記の厚さでn単
位(n=5)が順次積層され、最外層に金属酸化物膜が
積層された積層体を作製した。各膜の厚さ :35/14/70/14/70/14/70/14/70/14/35(nm) なお、金属酸化物膜を形成するターゲット材料には、I
n2 O3 ―12.6重量%TiO2 を使用し、銀系透明
導電体膜を形成するターゲット材料には、Ag―3重量
%Auを使用した。次に、この積層体全体を180℃で
15分間、後加熱して加熱前後の特性を実施例1と同様
にして測定し、その結果を表2に示した。
【0015】
【表2】
【0016】このフィルターの表面硬度、耐擦傷性、耐
摩耗性、防汚染性はハードコート層、反射防止層、防汚
染層の特性により決まり、擦傷試験、摩耗試験後も電磁
波シールド特性は安定しており、従って銀系導電体膜が
保護されていることが確認された。上記の表2に示した
ように、PDP用フィルターに要求される特性を満足す
るフィルターが得ることが出来た。さらに、透明粘着剤
層を介してPDPの前面表示ガラス部に、このフィルタ
ーを貼り合わせることによって、PDPの画質を損なう
ことなく、電磁波シールド効果、近赤外線カット効果を
発揮でき、耐摩耗性、耐擦傷性、耐汚染性を持ち合わせ
たプラズマディスプレイパネルが得られることが確認で
きた。
摩耗性、防汚染性はハードコート層、反射防止層、防汚
染層の特性により決まり、擦傷試験、摩耗試験後も電磁
波シールド特性は安定しており、従って銀系導電体膜が
保護されていることが確認された。上記の表2に示した
ように、PDP用フィルターに要求される特性を満足す
るフィルターが得ることが出来た。さらに、透明粘着剤
層を介してPDPの前面表示ガラス部に、このフィルタ
ーを貼り合わせることによって、PDPの画質を損なう
ことなく、電磁波シールド効果、近赤外線カット効果を
発揮でき、耐摩耗性、耐擦傷性、耐汚染性を持ち合わせ
たプラズマディスプレイパネルが得られることが確認で
きた。
【0017】
【発明の効果】本発明の方法は、特定の積層体からなる
透明導電性フィルムであって、積層体を製膜後、積層体
全体を150〜180℃の温度で後加熱することによ
り、透明導電性フィルムを構成する銀系透明導電体膜の
表面抵抗値を低下させ、電磁波シールド効果を増大せし
める効果を有する。
透明導電性フィルムであって、積層体を製膜後、積層体
全体を150〜180℃の温度で後加熱することによ
り、透明導電性フィルムを構成する銀系透明導電体膜の
表面抵抗値を低下させ、電磁波シールド効果を増大せし
める効果を有する。
【0018】
【図1】図1は、本発明に使用される後加熱前の透明導
電性フィルムの一実施態様の概略を示す断面図である。
電性フィルムの一実施態様の概略を示す断面図である。
1:透明フィルム基材 2A,2B,2C,2D:金属酸化物膜 3A,3B,3C:銀系透明導電体膜
Claims (4)
- 【請求項1】 透明フィルム基材の表面に、金属酸化物
膜と銀系透明導電体膜を1単位としてn単位(3≦n≦
10)が順次積層され、最外層に金属酸化物膜が形成さ
れている積層体からなる透明導電性フィルムであって、
積層体を製膜後、積層体全体を150〜180℃の温度
で後加熱することを特徴とする透明導電性フィルムの表
面抵抗低下方法。 - 【請求項2】 上記の金属酸化物膜は屈折率が1.5〜
2.7の光学的透明性を有する膜であり、銀系透明導電
体膜は厚さ5〜20nmの範囲内で略一定の値に設定さ
れており、且つ該基材表面の金属酸化物膜と最外層の金
属酸化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの5/
2(1±0.15)倍であり、それ以外の中間に位置す
る金属酸化物膜の各厚さが、銀系透明導電体膜の厚さの
5(1±0.15)倍となるように設計されている請求
項1記載の透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法。 - 【請求項3】 金属酸化物膜が、酸化インジウム、酸化
錫、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、
酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、五酸化ニ
オブ、硫化亜鉛よりなる群から選ばれる1又は2以上の
化合物からなる薄膜である請求項1記載の透明導電性フ
ィルムの表面抵抗低下方法。 - 【請求項4】 銀系透明導電体膜が、90重量%以上の
銀と、金、銅、パラジュウム、白金、マンガン、カドニ
ウムから選択された1つまたは2つ以上の元素により構
成された薄膜である請求項1記載の透明導電性フィルム
の表面抵抗低下方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10277167A JP2000106044A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10277167A JP2000106044A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000106044A true JP2000106044A (ja) | 2000-04-11 |
Family
ID=17579746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10277167A Pending JP2000106044A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 透明導電性フィルムの表面抵抗低下方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000106044A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008078422A1 (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-03 | Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co., Ltd. | 透明導電膜形成用組成物、透明導電膜及びディスプレイ |
WO2015025525A1 (ja) * | 2013-08-23 | 2015-02-26 | コニカミノルタ株式会社 | 透明導電体 |
WO2015087895A1 (ja) * | 2013-12-11 | 2015-06-18 | コニカミノルタ株式会社 | 透明導電体 |
WO2015166850A1 (ja) * | 2014-05-02 | 2015-11-05 | コニカミノルタ株式会社 | 透明導電性フィルム |
WO2015194320A1 (ja) * | 2014-06-17 | 2015-12-23 | コニカミノルタ株式会社 | 透明導電体及びタッチパネル |
-
1998
- 1998-09-30 JP JP10277167A patent/JP2000106044A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008078422A1 (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-03 | Mitsubishi Materials Electronic Chemicals Co., Ltd. | 透明導電膜形成用組成物、透明導電膜及びディスプレイ |
JP2008165984A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-17 | Jiemuko:Kk | 透明導電膜形成用組成物、透明導電膜及びディスプレイ |
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JPWO2015194320A1 (ja) * | 2014-06-17 | 2017-04-20 | コニカミノルタ株式会社 | 透明導電体及びタッチパネル |
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