JP2006156927A - プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板 - Google Patents

プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板 Download PDF

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Abstract

【課題】 導電膜の抵抗値が低く、透過・反射バンドが広いにもかかわらず内部応力増加が抑制され、光透過性の低下が防止され、かつ近赤外線遮蔽性に優れているプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムを提供する。
【解決手段】 本発明のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム10は、基体11と、基体11上に形成された導電膜12とを有するプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム10であって、導電膜12は、基体11側から酸化物層12aと金属層12bとが交互に積層され、金属層12bがn層、酸化物層12aがn+1層(nは6〜8である。)設けられた多層構造体であり、酸化物層12aが、アルミニウムドープ酸化亜鉛を主成分として含有し、金属層12bが、純銀または金および/またはビスマスを含む銀合金を主成分として含有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す。)本体を保護するためにPDPの観察者側に設置され、PDPから発生する電磁ノイズを遮蔽する電磁波遮蔽能を有するPDP用電磁波遮蔽フィルムおよびPDP用保護板に関する。
PDPの前面からは電磁波が放出されているため、その電磁波を遮蔽することを目的として、PDPの観察者側には、プラスチックフィルム等の基体上に導電膜が形成された電磁波遮蔽フィルムが配置されている。
たとえば、特許文献1には、電磁波遮蔽機能を備えた光学フィルタとして、金属薄膜層と、金属酸化物からなる高屈折率透明薄膜層とが交互に積層された導電膜を有するディスプレイ用フィルタが開示されている。そして、特許文献1にも記載されているように、金属薄膜層の成膜方法の中でも、スパッタリングは、膜厚制御、多層積層に適している。
電磁波遮蔽フィルムにおいては、(i)導電膜の抵抗値が低く、電磁波遮蔽能が高いこと、(ii)可視光領域全体にわたって透過率が高いことおよび可視光領域全体にわたって反射率が低いこと、すなわち透過・反射バンドが広いこと、(iii)近赤外線領域においては遮蔽性が高いことが求められる。
しかし、従来、スパッタリングにより導電膜を形成した場合には、画質は向上するものの、抵抗値が高く、電磁波遮蔽能が不足することがあった。また、透過・反射バンドが狭い上に、可視光反射率が高く、しかも透過・反射色角度依存性が強いという問題があった。抵抗値を低くし、透過・反射バンドを広げるためには、導電膜の積層数を増加させればよいが、その場合、電磁波遮蔽フィルムにおける内部応力が増加し、該フィルムがカールしたり、導電膜が破断して抵抗値が高くなったりするなどの問題が生じた。また、積層数が増えると可視光透過性が低下することがあった。
特許第3004222号公報
本発明は、導電膜の抵抗値が低く、透過・反射バンドが広いにもかかわらず内部応力増加が抑制され、可視光透過性の低下が防止され、かつ近赤外線遮蔽性に優れているPDP用電磁波遮蔽フィルムおよびPDP用保護板を提供することを目的とする。
本発明のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムは、基体と、基体上に形成された導電膜とを有するプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムであって、
導電膜は、基体側から酸化物層と金属層とが交互に積層され、金属層がn層、酸化物層がn+1層(nは6〜8である。)設けられた多層構造体であり、
酸化物層が、アルミニウムドープ酸化亜鉛を主成分として含有し、
金属層が、純銀、または金および/またはビスマスを含有する銀合金を主成分として含有することを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、支持基体と、該支持基体上に設けられた上述したプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムと、該プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムの導電膜に電気的に接している電極とを有することを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、導電性メッシュフィルムをさらに有していてもよい。
本発明の電磁波遮蔽フィルムは、導電膜の抵抗値が低く、電磁波遮蔽能に優れる。また、透過・反射バンドが広いにもかかわらず内部応力増加が抑制されているため、フィルムがカールしたり、導電膜が破断して抵抗値が高くなったりすることが防止されている。さらに、可視光透過性の低下が防止され、かつ近赤外線遮蔽性に優れている。
本発明の保護板は、電磁波遮蔽能に優れ、透過・反射バンドが広く、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ近赤外線遮蔽性に優れている。
「PDP用電磁波遮蔽フィルム」
本発明のPDP用電磁波遮蔽フィルム(以下、電磁波遮蔽フィルムと略す。)の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の電磁波遮蔽フィルム10を示す。この電磁波遮蔽フィルム10は、基体11と、導電膜12とを有するものである。
<基体>
基体11の材料としては、ガラス板(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の強化ガラスを含む)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明プラスチック材料等が挙げられる。
<導電膜>
導電膜12は、基体11側から酸化物層12aと金属層12bとが交互に積層され、金属層12bがn層、酸化物層12aがn+1層設けられた多層構造体である。ここで、nは6〜8である(図示例はn=6である。)。nが6以上であることにより、導電膜12の抵抗値を低くでき、反射バンドを広げることができる。また、nが8以下であることにより、内部応力の増加および光透過性の低下を抑えることができる。
導電膜12は、電磁波遮蔽能を充分に確保するためには、抵抗値が0.4〜3.5Ωであることが好ましく、0.5〜2.5Ωであることがより好ましく、0.5〜1.5Ωであることが特に好ましい。
[酸化物層]
導電膜12における酸化物層12aは、アルミニウムドープ酸化亜鉛(以下、AZOという。)を主成分として含有する層である。酸化物層12aは、酸化物換算でAl23およびZnOを合計で90質量%以上含有することが好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、99質量%以上以上含有することが特に好ましい。AZOにおいては、ドープされたアルミニウムは、通常、アルミナとなっていると考えられる。AZOの屈折率は、酸化アルミニウムの含有量にもよるが、約1.93であり、酸化物層は高屈折率層としての役割を果たす。また、酸化物層12aをなすAZOは結晶性を有し、金属層12b中の銀を結晶化させやすいため、マイグレーションを防ぐことができ、導電性を高める。
酸化物層12aにおいて、アルミニウム量は、アルミニウムと亜鉛との総量に対して1〜10原子%であることが好ましい。1原子%以上であることにより、充分に酸化物層12aの内部応力を低減することができ、酸化物層12aと金属層12bとの密着性を維持することができる。その結果として耐湿性が良好となる。また、10原子%以下とすることで、耐湿性を保つことができる。これは、アルミニウムの割合をある程度以下にすることで、酸化亜鉛の結晶性を保ち、銀との相性を維持できるためと考えられる。安定して再現性よく低内部応力の酸化物層12aを得ること、および酸化亜鉛の結晶性を考慮すると、アルミニウムの含有割合は、2〜6原子%がより好ましい。
酸化物層12aにおいて、亜鉛およびアルミニウムは、酸化亜鉛および酸化アルミニウムとして、またはこれらの複合酸化物が混合した形で存在すると考えられる。
酸化物層12aの幾何学的膜厚(以下、単に膜厚という)は、基体11に最も近い酸化物層および基体11から最も遠い酸化物層は20〜60nm(特に30〜50nm)、それ以外の酸化物層は40〜120nm(特に40〜100nm)とすることが好ましい。
[金属層]
金属層12bは、導電膜12の抵抗値を低くする観点からは、純銀からなる層であることが好ましい。本発明における「純銀」は、金属層12b(100質量%)中に銀を99.9質量%以上含有することを意味する。
金属層12bは、銀の拡散を抑制し、結果として耐湿性を高くできる観点からは、金および/またはビスマスを含有する銀合金からなる層が好ましい。金およびビスマスの合計は、比抵抗を4.5μΩcm以下にするために、金属層12b(100質量%)中、0.2〜1.5質量%が好ましい。
すべての金属層12bの膜厚を合計した合計膜厚は、たとえば、得られる導電性積層体10の抵抗値の目標を1.5Ωとした場合、25〜60nmが好ましく、25〜50nmがより好ましく、抵抗値の目標を1Ωとした場合、35〜80nmが好ましく、35〜70nmがより好ましい。各金属層12bの膜厚は、合計膜厚を金属層12bの数で適宜配分する。なお、金属層12bの数が多くなると、各金属層12bの比抵抗が上がるため、抵抗値を下げるために合計膜厚は大きくなる傾向にある。
[導電膜の形成方法]
基体11上への導電膜12(酸化物層12a、金属層12b)の形成方法は限定されず、たとえば、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング化学的気相成長法などが利用できる。中でも、品質、特性の安定性が良好であることから、スパッタ法による方法が好適である。
スパッタリングによる導電膜12の形成は、たとえば、以下のようにして行うことができる。まず、基体11表面に、酸化物層12aのアルミニウムドープ酸化亜鉛ターゲットを用いて、酸素ガスを混合したアルゴンガスを導入し、パルススパッタを行い、酸化物層12aを形成する。アルミニウムドープ酸化亜鉛ターゲット中のアルミニウム量は、内部応力の低減と耐湿性の点から、アルミニウムと亜鉛との総量に対して1.5〜5.5原子%であることが好ましい。
ついで、純銀のターゲットまたは金をドープした銀合金のターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、パルススパッタを行い、金属層12bを形成する。この操作を繰り返し、最後に前記と同様の方法で酸化物層12aを形成することにより、多層構造体の導電膜12を形成する。
[保護膜]
本実施形態の導電膜12においては、最上の酸化物層12aの上に保護膜12cが設けられている。保護膜12cは、酸化物層12aおよび金属層12bを水分から保護し、表面の酸化物層12a上に任意の樹脂フィルム(防湿フィルム、飛散防止フィルム、反射防止フィルム、近赤外線遮蔽用等の保護フィルム、近赤外線吸収フィルム等の機能性フィルム等)を接着する際の接着剤(特にアルカリ性の接着剤)から酸化物層12aを保護できる。なお、この保護膜12cは、本発明において任意の構成要素であり、省略されていても構わないものである。
保護膜12cとして、具体的には、Sn、In、Ti、Siなどの金属の酸化物膜や窒化物膜等が挙げられ、特に、インジウム−スズ酸化物(ITO)膜が好ましい。
保護膜12cの膜厚は2〜30nmであることが好ましく、3〜20nmであることがより好ましい。
「保護板」
次に、上記電磁波遮蔽フィルムを有する保護板について説明する。
(第1の実施形態)
図2に、第1の実施形態の保護板を示す。この保護板1は、支持基体20と、支持基体20上に設けられた上記電磁波遮蔽フィルム10と、支持基体20における電磁波遮蔽フィルム10側の面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30と、支持基体20における電磁波遮蔽フィルム10側と反対側の面に貼り合わされた飛散防止フィルム40と、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12の周縁部にて電気的に接している電極50と、電磁波遮蔽フィルム10上に設けられた保護フィルム60とを有するものである。
電磁波遮蔽フィルム10と支持基体20、電磁波遮蔽フィルム10と保護フィルム60、支持基体20と飛散防止フィルム40は粘着剤層70を介して貼り合わされている。
また、この保護板1は、電磁波遮蔽フィルム10が、支持基体20のPDP側に設けられたものである。
<支持基体>
保護板1における支持基体20は、電磁波遮蔽フィルム10の基体11よりも剛性の高い、透明な基体である。支持基体20を設けることにより、電磁波遮蔽フィルム10の基体11の材料がPET等のプラスチックであっても、PDP側の表面と反対側で生じる温度差により反りが発生することがない。
支持基体20の材料としては、上述した電磁波遮蔽フィルム10の基体11の材料と同様の材料等が挙げられる。
<着色セラミックス層>
着色セラミックス層30は、電極50が観察者側から直接見えないように隠蔽するための層である。着色セラミックス層30は、例えば支持基体20上に印刷したり、着色テープを貼ることにより形成できる。
<飛散防止フィルム>
飛散防止フィルム40は、支持基体20の損傷時における支持基体20の破片の飛散を防止するためのフィルムである。飛散防止フィルム40としては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものを使用できる。特に、傷がついたとき自己修復する自己修復性を有するウレタン樹脂系のフィルムを用いると、飛散防止特性だけでなく自己修復性も発揮する。
飛散防止フィルム40には、反射防止機能を持たせてもよい。飛散防止機能と反射防止機能とを兼ね備えたフィルムとしては、旭硝子株式会社製のARCTOP(商品名)が挙げられる。ARCTOP(商品名)は、自己修復性と飛散防止特性とを有するポリウレタン系軟質樹脂フィルムの片面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率の反射防止層を形成して反射防止処理を施したものである。
<電極>
電極50は、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12の電磁波遮蔽効果が発揮されるように、導電膜12と電気的に接するように設けられる。
電極50は、導電膜12の周縁部の全体に設けられていることが、導電膜12の電磁波遮蔽効果を確保するために好ましい。
電極50の材質としては、抵抗が低い方が電磁波遮蔽能の点では優位となる。たとえば、銀(Ag)ペースト(Agとガラスフリットを含むペースト)や銅(Cu)ペースト(Cuとガラスフリットを含むペースト)を塗布、焼成したものが好適に用いられる。
<保護フィルム>
保護フィルム60は、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12を保護するフィルムである。具体的には、導電膜12を水分から保護する場合には、防湿フィルムが設けられる。防湿フィルムとしては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものを使用でき、たとえばPET、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック製のフィルムが挙げられる。
また、保護フィルム60として、上述した飛散防止フィルムを用いてもよい。
<粘着剤層>
粘着剤層70の粘着剤としては、市販されている粘着剤を使用することができ、好ましい具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、シリコーン樹脂等の粘着剤が挙げられる。特に、良好な耐湿性が得られることからアクリル系の粘着剤が好ましい。
また、この粘着剤層70には、紫外線吸収剤などの種々の機能を有する添加剤が配合されてもよい。
(第2の実施形態)
図3に、第2の実施形態の保護板を示す。この保護板2は、支持基体20と、支持基体20の片面に設けられた電磁波遮蔽フィルム10と、電磁波遮蔽フィルム10上に設けられた飛散防止フィルム40と、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12の周縁部に電気的に接している電極50と、支持基体20における電磁波遮蔽フィルム10側と反対側の面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30とを有するものである。また、飛散防止フィルム40は、電極50の内側に設けられている。
なお、本実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図2と同じ符号を付して説明を省略する。
この第2の実施形態の保護板2は、電磁波遮蔽フィルム10が、支持基体20の観察者側に設けられたものである。
(第3の実施形態)
図4に、第3の実施形態の保護板を示す。保護板3は、支持基体20と、支持基体20表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた導電性積層体10と、導電性積層体10表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた飛散防止フィルム40と、導電性積層体10とは反対側の支持基体20表面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30と、導電性メッシュフィルム80の周縁部が着色セラミックス層30と重なるように、支持基体20表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた導電性メッシュフィルム80と、導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層(図示略)とを電気的に接続するように保護板3の周側部に設けられた導電体90とを有するものである。保護板3は、導電性積層体10が支持基体20の観察者側に設けられ、導電性メッシュフィルム80が支持基体20のPDP側に設けられている例である。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図2と同じ符号を付して説明を省略する。
導電性メッシュフィルム80は、透明フィルム上に銅からなる導電性メッシュ層を形成したものである。通常は、透明フィルム上に銅箔を貼り合わせた後、メッシュ状に加工することにより製造される。
銅箔は、圧延銅、電界銅のどちらでもよく、適宜必要に応じて公知のものを用いればよい。銅箔は、各種表面処理をされていてよい。表面処理としては、クロメート処理、粗面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理等が挙げられる。銅箔の厚さは、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、7〜10μmが特に好ましい。銅箔の厚さを30μm以下とすることにより、エッチング時間を短くすることができ、3μm以上とすることにより、電磁波遮蔽性が高くなる。
導電性メッシュ層の開口率は、60〜95%が好ましく、65〜90%がより好ましく、70〜85%が特に好ましい。
導電性メッシュ層の開口部の形状は、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形等である。開口部は、形状が揃っていて、かつ面内に並んでいることが好ましい。
開口部のサイズは、1辺または直径が5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。開口部の1辺または直径を200μm以下とすることにより、電磁波遮蔽性が向上し、5μm以上とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
開口部以外の金属部の幅は、5〜50μmが好ましい。すなわち、開口部の配列ピッチは、10〜250μmが好ましい。金属部の幅を5μm以上とすることにより、加工が容易となり、50μm以下とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
導電性メッシュ層の面抵抗を必要以上に低くすると、膜が厚くなり、開口部を充分確保できなくなる等、保護板3の光学性能等に悪影響を及ぼす。一方、導電性メッシュ層の面抵抗を必要以上に高くすると、充分な電磁波遮蔽性を得ることができなくなる。したがって、導電性メッシュ層の面抵抗は、0.01〜10Ω/□が好ましく、0.01〜2Ω/□がより好ましく、0.05〜1Ω/□が特に好ましい。
導電性メッシュ層の面抵抗は、開口部の1辺または直径よりも5倍以上大きな電極を用い、開口部の配列ピッチよりも5倍以上の電極間隔で、4端子法より測定すればよい。たとえば、開口部が1辺100μmの正方形で、金属部の幅20μmを介して規則的に並べられたものであれば、直径1mmの電極を1mm間隔で並べて測定すればよい。または、導電性メッシュフィルムを短冊状に加工し、その長手方向の両端に電極を設けて、その抵抗Rを測り、長手方向の長さa、短手方向の長さbから、下式から求めてもよい。
面抵抗=R×b/a
銅箔を透明フィルムにラミネートする際には、透明な接着剤を用いる。接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤等が挙げられる。接着剤のタイプとしては、2液型または熱硬化タイプが好ましい。また、接着剤としては、耐薬品性に優れたものが好ましい。
銅箔をメッシュ状に加工する方法としては、フォトレジスト法が挙げられる。印刷法では、スクリーン印刷によって開口部のパターン形成をする。フォトレジスト法では、ロールコーティング法、スピンコーティング法、全面印刷法、転写法等により、銅箔上にフォトレジスト材料を形成し、露光、現像、エッチングによって開口部のパターンを形成する。導電性メッシュ層を形成する他の方法としては、スクリーン印刷等の印刷法によって、開口部のパターンを形成する方法が挙げられる。
導電体90は、導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層とを電気的に接続するものである。導電体90としては、導電性テープ等が挙げられる。導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層とを電気的に接続することによって、全体の面抵抗値をさらに下げることができるため、電磁波遮蔽効果をさらに向上させることができる。
保護板1〜3は、PDPの前面に配置されるものであるため、PDPの画像が見にくくならないように、可視光透過率は35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。また、可視光反射率は6%未満が好ましく、3%未満が特に好ましい。また、波長850nmでの透過率は、5%以下が好ましく、2%以下が特に好ましい。
以上説明した保護板1〜3は、支持基体20と、支持基体20上に設けられた電磁波遮蔽フィルム10と、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12に電気的に接している電極50とを有するものである。そして、上述したように、電磁波遮蔽フィルム10の導電膜12は、酸化物層12aがAZOを主成分して含有し、金属層12bが銀を主成分として含有し、金属層12bがn層、酸化物層12aがn+1層(n=6〜8である。)設けられた多層構造体である。このような電磁波遮蔽フィルム10では、PDPから放出される電磁波を遮蔽する性能(高い導電性、すなわち低いシート抵抗値)が高く、透過・反射バンドが広く、可視光透過率が高く、可視光反射率が低く、かつ近赤外線遮蔽性に優れている。
なお、本発明の保護板は、上述した実施形態に限定されない。たとえば、上述した実施形態では、粘着剤層70を設けてフィルムを積層したが、粘着剤や接着剤を用いずに、熱による貼り合わせが可能な場合もある。
また、本発明の保護板においては、必要に応じて、反射防止フィルムまたは低屈折率薄膜である反射防止層を有してもよい。反射防止フィルムとしては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものが使用できる。特に、フッ素樹脂系のフィルムを用いると反射防止性がより優れる。
反射防止層は、得られる保護板の反射率が低くなり好ましい反射色が得られることから、その反射防止層自身について、可視域での反射率が最低となる波長が500〜600nm、特に530〜590nmであることが好ましい。
また、保護板に近赤外線遮蔽機能を持たせてもよい。近赤外線遮蔽機能を持たせる方法としては、近赤外線遮蔽フィルムを用いる方法、近赤外線吸収基体を用いる方法、近赤外線吸収剤を添加した粘着剤をフィルム積層時に使用する方法、反射防止樹脂フィルム等に近赤外線吸収剤を添加して近赤外線吸収機能を併せ持たせる方法、近赤外線反射機能を有する導電膜を用いる方法等が挙げられる。
(実施例1)
図1に示す電磁波遮蔽フィルム10を以下の手順で作製した。
まず、基体11である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まず、アルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入し、イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体11表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体11表面にアルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いてアルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ40nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度は0.6w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ9nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ11nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ11nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ9nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.2w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ35nmの酸化物層12aを形成した。
ついで、最上の酸化物層12a上に、ITOターゲット(インジウム:スズ=90:10)を用いて、アルゴンに5体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.3w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、保護膜12cである厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体11上に、AZOからなる酸化物層12aと、金を含有する銀合金からなる金属層12bとが交互に積層された電磁波遮蔽フィルム10であって、酸化物層が7層、金属層が6層のものを得た。
その後、この電磁波遮蔽フィルム10の基体11側表面には、粘着剤層を設けた。
このような電磁波遮蔽フィルム10を用いて図2に示す保護板1を以下のようにして作製した。
支持基体20であるガラス板を所定の大きさに切断、面取りし、洗浄した後、着色セラミックス層用のインクをガラス板周辺にスクリーン印刷し、充分に乾燥して着色セラミックス層30を形成した。次いで、ガラス強化処理として、このガラス板を660℃まで加熱し、その後風冷してガラス強化処理を施した。
このガラス板の着色セラミックス層30側に、粘着剤層70を介して、上記電磁波遮蔽フィルム10を貼り付けた。ついで、電磁波遮蔽フィルム10を保護する目的で、電磁波遮蔽フィルム10上に保護フィルム60(旭硝子株式会社製、商品名:ARCTOP CP21、厚さ100μm)を、粘着剤層70を介して貼り合わせた。ただし、電極取り出しの目的から、周縁部には保護フィルムを貼り合わせない部分(電極形成部)を残しておいた。
そして、電極形成部に、銀ペースト(太陽インキ製造株式会社製、AF4810)をナイロンメッシュ#180、乳剤厚み20μmにてスクリーン印刷し、熱風循環炉で85℃、35分間乾燥させて電極50を形成した。
ついで、ガラス板の裏面(電磁波遮蔽フィルム10を貼り合わせた側の反対側の面)に、飛散防止フィルム40であるポリウレタン系軟質樹脂フィルム(旭硝子株式会社製、商品名:ARCTOP URP2199、厚さ300μm)に粘着剤層70を介して貼り合わせた。このポリウレタン系軟質樹脂フィルムは反射防止機能も有する。なお、通常、このポリウレタン系軟質樹脂フィルムに着色剤を添加して、色調補正、Neカットをして色再現性の向上を図るが、本実施例では色調補正、Neカットを評価しないため無着色とした。
このようにして作製した保護板1について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は60.3%、視感反射率は1.98%であった。反射スペクトルを図5に、透過スペクトルを図6に示す。また、近赤外線領域の透過率を表1に示す。
また、Nagy社製渦電流型抵抗測定器SRM12により測定したシート抵抗(表面抵抗)は0.93Ωであった。
(実施例2)
実施例1により得られた電磁波遮蔽フィルム10を用いて図4に示す保護板3を以下のようにして作製した。
支持基体20であるガラス板を所定の大きさに切断、面取りし、洗浄した後、着色セラミックス層用のインクをガラス板周辺にスクリーン印刷し、充分に乾燥して着色セラミックス層30を形成した。次いで、ガラス強化処理として、このガラス板を660℃まで加熱し、その後風冷してガラス強化処理を施した。
このガラス板の着色セラミックス層30側の反対側に、粘着剤層70を介して、上記電磁波遮蔽フィルム10を貼り付けた。ついで、電磁波遮蔽フィルム10を保護する目的で、電磁波遮蔽フィルム10上に保護フィルム60であるポリウレタン系軟質樹脂フィルム(旭硝子株式会社製、商品名:ARCTOP URP2199、厚さ300μm)を、粘着剤層70を介して貼り合わせた。ただし、電極取り出しの目的から、周縁部には保護フィルムを貼り合わせない部分(電極形成部)を残しておいた。このポリウレタン系軟質樹脂フィルムは反射防止機能も有する。なお、通常、このポリウレタン系軟質樹脂フィルムに着色剤を添加して、色調補正、Neカットをして色再現性の向上を図るが、本実施例では色調補正、Neカットを評価しないため無着色とした。
保護板1のガラス板の裏面(電磁波遮蔽フィルム10を貼り合わせた側の反対側の面)に、導電性メッシュフィルム80(日立化成工業株式会社製、ES−1543UAシリーズ、厚さ193μm)を粘着剤層70を介して貼り合わせた。該メッシュフィルムの開口部以外の金属幅は12μm、開口部の配列ピッチは300μm、バイアス角度は25.7度であった。また、該メッシュフィルムの視感透過率は82.0%であり、シート抵抗は0.15Ω/□以下であった。電磁波遮蔽フィルム10と導電性メッシュフィルム80とを導電性テープ(導電体90)により短絡し、図4に示す保護板3を作製した。
このようにして作製した保護板3について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は55.1%であった。透過スペクトルを図7に示す。また、近赤外領域の透過率を表1に示す。
(比較例1)
金属層12b形成の際に、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットの代わりに、パラジウムを1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いたこと以外は実施例1と同様にして保護板を得た。
このようにして作製した保護板を東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は50.6%、視感反射率は1.59%であった。この保護板における反射スペクトルを図5に、透過スペクトルを図6に示す。また、近赤外線領域の透過率を表1に示す。
また、Nagy社製渦電流型抵抗測定器SRM12により測定したシート抵抗(表面抵抗)は1.05Ωであった。
(比較例2)
電磁波遮蔽フィルムを以下のように作製したこと以外は実施例1と同様にして保護板を得た。
まず、基体であるPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まずアルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入した。イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体表面にアルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いてアルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度は5.7w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ40nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度は0.6w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ16nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ16nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6w/cm2 、反転パルス幅5μ秒のパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.2w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、厚さ35nmの酸化物層を形成した。
ついで、最上の酸化物層上に、ITOターゲット(インジウム:スズ=90:10)を用いて、アルゴンに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0w/cm2 、反転パルス幅1μ秒のパルススパッタを行い、保護膜である厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体上に、AZOからなる酸化物層と、金を含有する銀合金からなる金属層とが交互に積層された電磁波遮蔽フィルムであって、酸化物層が5層、金属層が4層のものを得た。
このようにして作製した保護板を東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は61.8%、視感反射率は4.22%であった。この保護板における反射スペクトルを図5に、透過スペクトルを図6に示す。また、近赤外線領域の透過率を表1に示す。
また、Nagy社製渦電流型抵抗測定器SRM12により測定したシート抵抗(表面抵抗)は0.98Ωであった。
(比較例3)
実施例2において作製された保護板3から、電磁波遮蔽フィルム10を除き、導電性メッシュフィルム80上に近赤外カットフィルム100(NIR109:リンテック社製)を粘着剤層70を介して貼り合わせ、図8に示す保護板4を作製した。
このようにして作製した保護板4について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は62.9%であった。この保護板4における透過スペクトルを図7に示す。また、近赤外線領域の透過率を表1に示す。
Figure 2006156927
導電膜の酸化物層がAZOからなり、金属層が金−銀合金からなり、酸化物層が7層、金属層が6層設けられた実施例1の保護板は、表面抵抗が小さいため、電磁波遮蔽能に優れると予測される。また、実施例1の保護板は、図5に示すように、反射率が低く、反射バンドが広かった。また、図6に示すように、光透過率が高かった。さらに、実施例1の保護板における電磁波遮蔽フィルムは、内部応力が抑制されている。このような保護板はPDP用としてとりわけ適している。
導電膜の金属層がパラジウム−銀合金であった比較例1の保護板は、表面抵抗が高いため、電磁波遮蔽能が低いと推測される。また、比較例1の保護板は光透過率が低かった。
導電膜の酸化物層がAZOからなり、金属層が金−銀合金からなり、酸化物層が5層、金属層が4層設けられた比較例2の保護板は反射バンドが狭かった。
本発明のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板は、最近の高性能化の要求に応え得るものであり、たいへん有用である。
本発明に係る電磁波遮蔽フィルムの一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第1の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第2の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第3の実施形態を示す断面図である。 実施例1、比較例1,2の保護板における反射スペクトルを示すグラフである。 実施例1、比較例1,2の保護板における透過スペクトルを示すグラフである。 実施例2、比較例3の保護板における透過スペクトルを示すグラフである。 比較例3の保護板の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 保護板(プラズマディスプレイ用保護板)
2 保護板(プラズマディスプレイ用保護板)
3 保護板(プラズマディスプレイ用保護板)
10 電磁波遮蔽フィルム
11 基体
12 導電膜
12a 酸化物層
12b 金属層
20 支持基体
50 電極
80 導電性メッシュフィルム

Claims (3)

  1. 基体と、基体上に形成された導電膜とを有するプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムであって、
    導電膜は、基体側から酸化物層と金属層とが交互に積層され、金属層がn層、酸化物層がn+1層(nは6〜8である。)設けられた多層構造体であり、
    酸化物層が、アルミニウムドープ酸化亜鉛を主成分として含有し、
    金属層が、純銀、または金および/またはビスマスを含有する銀合金を主成分として含有することを特徴とするプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム。
  2. 支持基体と、
    該支持基体上に設けられた請求項1に記載のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムと、
    該プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムの導電膜に電気的に接している電極とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ用保護板。
  3. 導電性メッシュフィルムをさらに有する、請求項2に記載のプラズマディスプレイ用保護板。
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