JP2007320127A - 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板 - Google Patents

導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板 Download PDF

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Abstract

【課題】透過・反射バンドが広く、しかも導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性、および近赤外線遮蔽性に優れた導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板を提供する。
【解決手段】基体と、基体上に形成された導電膜とを有する導電性積層体であって、導電膜が、基体側から、無機化合物を含む高屈折率層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは1〜12の整数]積層された多層構造体であり、無機化合物の屈折率が1.5〜2.5であり、金属層が、銀を含有する層であり、全金属層の厚さの合計が25〜100nmであり、前記導電膜の比抵抗が2.5〜6.0μΩcmであることを特徴とする導電性積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性積層体、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す。)本体を保護するためにPDPの観察者側に設置され、PDPから発生する電磁ノイズを遮蔽する電磁波遮蔽能を有するプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板に関する。
透明性を有する導電性積層体は、液晶表示素子等の透明電極、自動車風防ガラス、ヒートミラー、電磁波遮蔽窓ガラス等として用いられている。たとえば、特許文献1には、透明基板上に酸化亜鉛からなる透明酸化物層と銀層とを交互に積層した合計(2n+1)層(n≧2)のコーティングが施された導電性積層体が開示されている。該導電性積層体は、充分な導電性(電磁波遮蔽性)および可視光透過性を有するとされている。しかし、導電性積層体の導電性(電磁波遮蔽性)をさらに向上させようと、積層数nを増やして銀層の数を増やす、各銀層の膜厚を厚くする等、全銀層の合計膜厚を増やした場合、可視光透過性が低下する問題がある。
また、導電性積層体は、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムとしても用いられている。PDPの前面からは電磁波が放出されているため、その電磁波を遮蔽することを目的として、PDPの観察者側には、プラスチックフィルム等の基体上に導電膜が形成された電磁波遮蔽フィルムが配置されている。
たとえば、特許文献2には、導電膜として、酸化物層と金属層とが交互に積層された積層体を有するプラズマディスプレイ用保護板が記載されている。
電磁波遮蔽フィルムにおいては、可視光領域全体にわたって透過率が高く、かつ反射率が低いこと、すなわち透過・反射バンドが広いこと、また、近赤外領域においては遮蔽性が高いことが求められる。透過・反射バンドを広くするためには、酸化物層と金属層との積層数を増やせばよい。しかし、積層数を増やすと、電磁波遮蔽フィルムにおける内部応力が増加し、該フィルムがカールしたり、導電膜が破断して抵抗値が高くなったりするなどの問題が生じた。また、さらなる導電性の向上のため、積層数を増やすなどして、全金属層の合計膜厚が増加すると可視光透過性が低下する問題があった。したがって、従来公知の導電膜における酸化物層と金属層との積層数や、金属層の膜厚増加には限界があった。透過・反射バンドが広く、しかも導電性(電磁波遮蔽性)および可視光透過性に優れた電磁波遮蔽フィルムは知られていなかった。
特公平8−32436号公報 国際公開第98/13850号パンフレット
本発明は、積層数を少なくしたり、全金属層の合計膜厚を少なくしても、透過・反射バンドが広く、しかも導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性、および近赤外線遮蔽性に優れた導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板を提供することを目的とする。
本発明は、基体と、基体上に形成された導電膜とを有する導電性積層体であって、導電膜が、基体側から、無機化合物を含む高屈折率層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは1〜12の整数]積層された多層構造体であり、無機化合物の屈折率が1.5〜2.7であり、金属層が、銀を含有する層であり、全金属層の厚さの合計が25〜100nmであり、前記導電膜の比抵抗が2.5〜6.0μΩcmであることを特徴とする導電性積層体を提供する。
本発明の導電性積層体は、全金属層の合計膜厚が小さく、かつ導電膜の比抵抗が小さいため、透過・反射バンドが広く、しかも導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性、および近赤外線遮蔽性に優れている。
本発明のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムは、全金属層の合計膜厚が小さくなったり、積層数が少なくなっても、透過・反射バンドが広く、しかも導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性、および近赤外線遮蔽性に優れている。
本発明のプラズマディスプレイ用保護板は、電磁波遮蔽能に優れ、透過・反射バンドが広く、可視光透過率が高く、近赤外線遮蔽性に優れている。
「導電性積層体」
本発明の導電性積層体の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の導電性積層体10を示す。この導電性積層体10は、基体11と、導電膜12とを有するものである。
<基体>
基体11の材料としては、ガラス板(風冷強化ガラス、化学強化ガラス等の強化ガラスを含む)、およびポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明プラスチック材料等が挙げられる。
<導電膜>
導電膜12は、基体11側から高屈折率層12aと金属層12bとが交互に計(2n+1)層[nは1〜12の整数]積層された多層構造体である。
導電膜12において、金属層が2〜8層設けられていることが好ましく、2〜6層設けられていることがより好ましい。金属層が2層以上であれば、抵抗値を充分に低くすることができ、12層以下であれば、導電性積層体10の内部応力増加をより抑制でき、8層以下であればより顕著に内部応力増加を抑制できる。
導電膜12は、電磁波遮蔽能を充分に確保するためには、比抵抗が2.5〜6.0μΩcmである必要がある。また、2.5〜5.5μΩcmであることが好ましく、2.5〜4.5μΩcmであることがより好ましい。導電膜12の比抵抗は6.0μΩcm以下とすることにより充分な電磁波遮蔽効果を奏することができる。
[高屈折率層]
導電膜12における高屈折率層12aは、無機化合物を含む。前記無機化合物の屈折率は、1.5〜2.7であり、1.7〜2.5であることが好ましく、2.0〜2.5であることがより好ましい。本発明において「屈折率」とは、波長550nmにおける屈折率をいう。高屈折率層中の前記無機化合物の含有割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
本発明における無機化合物としては、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等が好ましく挙げられる。
金属酸化物としては、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル、インジウム、スズ、クロム、ハフニウム、ジルコニウムおよびマグネシウム等のそれぞれ単独の金属酸化物、ならびに前記金属の2種以上の複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
金属窒化物としては、ケイ素およびアルミニウム等のそれぞれ単独の金属窒化物、ならびに前記金属の2種以上の複合窒化物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
金属硫化物としては、亜鉛、鉛およびカドミウム等のそれぞれ単独の金属硫化物、ならびに前記金属の2種以上の複合硫化物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明における高屈折率層12aに含まれる無機化合物としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物であると、可視光線の透過率を高くできるため好ましい。
金属酸化物として特に2.3以上の高屈折率金属酸化物と酸化亜鉛とを主成分として含有する層(以下、酸化亜鉛含有層ともいう。)であることが好ましい。酸化亜鉛含有層は、屈折率2.3以上の高屈折率金属酸化物と酸化亜鉛とを合計で90質量%以上含有することが好ましく、95質量%以上含有することがより好ましく、99質量%以上含有することが特に好ましい。
屈折率2.3以上の高屈折率金属酸化物の中でも、反射バンドをより広くできることから、酸化チタン(屈折率2.5)および/または酸化ニオブ(屈折率2.4)が好ましい。
高屈折率金属酸化物の存在により酸化亜鉛含有層の屈折率を高くすることができ、導電膜12の透過・反射バンドを広くすることができる。酸化亜鉛含有層において、高屈折率金属酸化物の金属の、該金属と亜鉛の合計に対する割合は、1〜50原子%であることが好ましく、5〜20原子%であることが特に好ましい。この範囲内にすることで、透過・反射バンドを広く保つことができると同時に、耐湿性が良好な導電膜を得ることができる。この理由は必ずしも明確にはなっていないが、この範囲にすることにより、酸化亜鉛の良好な物性を保ったまま、高屈折率層12aと金属層12bとの応力を緩和することができるためと考えられる。
高屈折率層12aには、物性を損なわない範囲で、酸化亜鉛、酸化チタンおよび酸化ニオブ以外の金属酸化物が含まれていても構わない。例えば、導電性を付与する目的で、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズなどを混合しても構わない。
高屈折率層12aの幾何学的膜厚(以下、単に膜厚という)は、最も基体に近い高屈折率層および最も基体から遠い高屈折率層は20〜60nm(特に30〜50nm)、それ以外の高屈折率層は40〜120nm(特に40〜100nm)とすることが好ましい。高屈折率層12aは、それぞれ1つの均一な層からなっていてもよく、2以上の層が積層された多層からなる層でもよい。
[金属層]
金属層12bは、銀を含有する層である。銀を含有する金属層12bが形成されていることにより導電膜12の抵抗値を低くできる。金属層12b中の銀の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、94質量%以上であることがより好ましい。銀の含有量が90質量%以上であると、導電膜12の抵抗値を低くできるため好ましい。
金属層12bは、導電膜12の抵抗値を低くする観点からは、純銀からなる層であることが好ましい。本発明における「純銀」は、金属層12b(100質量%)中に銀を99.9質量%以上含有することを意味する。
金属層12bは、銀の拡散を抑制し、結果として耐湿性を高くできる観点からは、金、ビスマス、パラジウムから選ばれる1種以上をさらに含有する銀合金からなる層であることが好ましい。特に、金および/またはビスマスを含有する銀合金からなる層が好ましい。金およびビスマスの合計は、導電膜12の比抵抗を6.0μΩcm以下にするために、金属層12b(100質量%)中、0.2〜1.5質量%が好ましい。
金属層12bの合計膜厚は、25〜100nmである。前記合計膜厚は、25〜80nmであることが好ましく、25〜60nmであることがより好ましい。なお、金属層の数が多くなると各金属層の比抵抗が上がるので、抵抗を下げるために合計膜厚は大きくなる傾向にある。
導電膜12中の金属層の膜厚は、それぞれ5〜25nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましく、5〜17nmであることがさらに好ましく、10〜17nmであることが最も好ましい。導電膜12の各金属層の膜厚は、全て同じ膜厚であってもよく、それぞれ異なる膜厚であってもよい。
[導電膜の形成方法]
基体11上への導電膜12(高屈折率層12a、金属層12b)の形成方法は限定されず、たとえば、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学的気相成長法などが利用できる。中でも、品質、特性の安定性が良好であることから、スパッタ法が好適である。スパッタ法としては、パルススパッタ法、ACスパッタ法等が挙げられる。
スパッタ法による導電膜12の形成は、たとえば、以下のようにして行うことができる。まず、基体11表面に、酸化亜鉛と高屈折率金属酸化物とからなるターゲット(以下、ZnO混合ターゲットという。)を用いて、酸素ガスを混合したアルゴンガスを導入し、パルススパッタを行い、高屈折率層12aを形成する。
ついで、銀ターゲットまたは銀合金のターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、パルススパッタを行い、金属層12bを形成する。この操作を繰り返し、最後に前記と同様の方法で高屈折率層12aを形成することにより、多層構造体の導電膜12を形成する。
ZnO混合ターゲットは、それぞれの成分の高純度(通常99.9%)粉末を混合し、ホットプレス法またはHIP(ホットアイソスタティックプレス)法を用いて焼結することにより製造できる。ホットプレス法の場合、具体的には、高屈折率金属酸化物を含む酸化亜鉛粉末を真空または不活性ガス雰囲気中で最高温度1000〜1200℃でホットプレスすることによって製造される。該ZnO混合ターゲットは、気孔率が5.0%以下で、比抵抗が1Ωcm未満のものが好ましい。
[保護膜]
本実施形態の導電膜12においては、最上の高屈折率層12aの上に保護膜12dが設けられている。保護膜12dは、高屈折率層12aおよび金属層12bを水分から保護し、表面の高屈折率層12a上に任意の樹脂フィルム(防湿フィルム、飛散防止フィルム、反射防止フィルム、近赤外線遮蔽用等の保護フィルム、近赤外線吸収フィルム等の機能性フィルム等)を接着する際の接着剤(特にアルカリ性の接着剤)から高屈折率層12aを保護できる。なお、この保護膜12dは、本発明において任意の構成要素であり、省略されていても構わないものである。
保護膜12dとして、具体的には、Sn、In、Ti、Siなどの金属の酸化物膜や窒化物膜等が挙げられ、特に、インジウム−スズ酸化物(ITO)膜が好ましい。
保護膜12dの膜厚は2〜30nmであることが好ましく、3〜20nmであることがより好ましい。
[バリア層]
図2に示すように、導電膜12においては、高屈折率層12aと金属層12bが交互に積層した上で、金属層12b上にバリア層12cが設けられていても構わない。金属層12bの上にバリア層12cが設ければ、上述したように、高屈折率層12aを酸素雰囲気下で形成する場合に、金属層12bの酸化を防ぐことができる。バリア層12cとしては、酸素非存在下で形成できるものが挙げられ、材質として、たとえば、アルミニウムドープ酸化亜鉛、スズドープ酸化インジウム等を使用できる。
[その他の層]
本発明における導電層において、基体側を下とした場合、高屈折率層12aの上に金属層12bが接して積層されていれば、その他の層が金属層12b上またはバリア層12c上に挿入されていてもよい。その他の層に用いられる材料としては、有機化合物や、屈折率1.5未満または2.5超の無機化合物等が挙げられる。
本発明の導電性積層体は、視感透過率が55%以上のものが好ましく、60%以上のものがより好ましい。また、本発明の導電性積層体は、波長850nmでの透過率が5%以下のものが好ましく、2%以下のものが特に好ましい。
[用途]
本発明の導電性積層体は、導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性および近赤外線遮蔽性に優れ、しかもガラス等の支持基体に積層した場合、透過・反射バンドが広くなることから、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムとして有用である。
また、本発明の導電性積層体は、液晶表示素子等の透明電極として用いることができる。該透明電極は、表面抵抗が低いため応答性がよく、反射率がガラス並みに抑えられるため視認性がよい。
また、本発明の導電性積層体は、自動車風防ガラスとして用いることができる。該自動車風防ガラスは、導電膜に通電することにより、防曇または融氷の機能を発揮でき、かつ低抵抗であるので通電に要する電圧が低く済み、また、反射率がガラス並みに抑えられるためドライバーの視認性を損なうことがない。
また、本発明の導電性積層体は、赤外線領域での反射率が非常に高いため、建物の窓等に設けられるヒートミラーとして用いることができる。
また、本発明の導電性積層体は、電磁波遮蔽効果が高いため、電気・電子機器から放射される電磁波が室外に漏れることを防止し、かつ電気・電子機器に影響する電磁波が室外から室内へ侵入することを防止する電磁波遮蔽窓ガラスに用いることができる。
「プラズマディスプレイ用保護板」
以下、本発明の導電性積層体を、プラズマディスプレイ用保護板(以下、保護板と記す。)の電磁波遮蔽フィルムとして用いた例について説明する。
(第1の実施形態)
図3に、第1の実施形態の保護板を示す。この保護板1は、支持基体20と、支持基体20上に設けられた上記導電性積層体10と、支持基体20における導電性積層体10側の面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30と、支持基体20における導電性積層体10側と反対側の面に貼り合わされた飛散防止フィルム40と、導電性積層体10の導電膜12の周縁部にて電気的に接している電極50と、導電性積層体10上に設けられた保護フィルム60とを有するものである。
導電性積層体10と支持基体20との間、導電性積層体10と保護フィルム60の間、支持基体20と飛散防止フィルム40との間には粘着剤層70が設けられている。
また、この保護板1は、導電性積層体10が、支持基体20のPDP側に設けられたものである。
<支持基体>
保護板1における支持基体20は、導電性積層体10の基体11よりも剛性の高い、透明な基体である。支持基体20を設けることにより、導電性積層体10の基体11の材料がPET等のプラスチックであっても、PDP側の表面と反対側で生じる温度差により反りが発生することがない。
支持基体20の材料としては、上述した導電性積層体10の基体11の材料と同様の材料等が挙げられる。
<着色セラミックス層>
着色セラミックス層30は、電極50が観察者側から直接見えないように隠蔽するための層である。着色セラミックス層30は、例えば支持基体20上に印刷したり、着色テープを貼ることにより形成できる。
<飛散防止フィルム>
飛散防止フィルム40は、支持基体20の損傷時における支持基体20の破片の飛散を防止するためのフィルムである。飛散防止フィルム40としては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものを使用できる。
飛散防止フィルム40には、反射防止機能を持たせてもよい。飛散防止機能と反射防止機能を兼ね備えたフィルムはいろいろと知られており、かかるフィルムであればどのようなフィルムでも用いることができる。例えば、旭硝子社製のARCTOP(商品名)が挙げられる。ARCTOP(商品名)は、自己修復性と飛散防止特性とを有するポリウレタン系軟質樹脂フィルムの片面に、非結晶性の含フッ素重合体からなる低屈折率の反射防止層を形成して反射防止処理を施したものである。また、PET等のプラスチックからなるフィルム上に、低屈折率の反射防止層を湿式または乾式で形成したフィルムなども挙げられる。
<電極>
電極50は、導電性積層体10の導電膜12の電磁波遮蔽効果が発揮されるように、導電膜12と電気的に接するように設けられる。
電極50は、導電膜12の周縁部の全体に設けられていることが、導電膜12の電磁波遮蔽効果を確保するために好ましい。
電極50の材質としては、抵抗が低い方が電磁波遮蔽能の点では優位となる。たとえば、銀(Ag)ペースト(Agとガラスフリットを含むペースト)や銅(Cu)ペースト(Cuとガラスフリットを含むペースト)を塗布、焼成したものが好適に用いられる。
<保護フィルム>
保護フィルム60は、導電性積層体10の導電膜12を保護するフィルムである。具体的には、導電膜12を水分から保護する場合には、防湿フィルムが設けられる。防湿フィルムとしては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものを使用でき、たとえばPET、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック製のフィルムが挙げられる。
また、保護フィルム60として、上述した飛散防止フィルムを用いてもよい。
<粘着剤層>
粘着剤層70の粘着剤としては、市販されている粘着剤を使用することができ、好ましい具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、シリコーン樹脂等の粘着剤が挙げられる。特に、良好な耐湿性が得られることからアクリル系の粘着剤が好ましい。
また、この粘着剤層70には、紫外線吸収剤等の種々の機能を有する添加剤が配合されてもよい。
(第2の実施形態)
図4に、第2の実施形態の保護板を示す。この保護板2は、支持基体20と、支持基体20の片面に設けられた導電性積層体10と、導電性積層体10上に設けられた飛散防止フィルム40と、導電性積層体10の導電膜12に周縁部にて電気的に接している電極50と、支持基体20における導電性積層体10側と反対側の面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30とを有するものである。また、飛散防止フィルム40は、電極50の内側に設けられている。
なお、本実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図3と同じ符号を付して説明を省略する。
この第2の実施形態の保護板2は、導電性積層体10が、支持基体20の観察者側に設けられたものである。
(第3の実施形態)
図5に、第3の実施形態の保護板を示す。保護板3は、支持基体20と、支持基体20表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた導電性積層体10と、導電性積層体10表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた飛散防止フィルム40と、導電性積層体10とは反対側の支持基体20表面の周縁部に設けられた着色セラミックス層30と、導電性メッシュフィルム80の周縁部が着色セラミックス層30と重なるように、支持基体20表面に粘着剤層70を介して貼り合わされた導電性メッシュフィルム80と、導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層(図示略)とを電気的に接続するように保護板3の周側部に設けられた電極90とを有するものである。保護板3は、導電性積層体10が支持基体20の観察者側に設けられ、導電性メッシュフィルム80が支持基体20のPDP側に設けられている例である。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については図3と同じ符号を付して説明を省略する。
導電性メッシュフィルム80は、透明フィルム上に銅からなる導電性メッシュ層を形成したものである。通常は、透明フィルム上に銅箔を貼り合わせた後、メッシュ状に加工することにより製造される。
銅箔は、圧延銅、電界銅のどちらでもよく、適宜必要に応じて公知のものを用いればよい。銅箔は、各種表面処理をされていてよい。表面処理としては、クロメート処理、粗面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理等が挙げられる。銅箔の厚さは、3〜30μmが好ましく、5〜20μmがより好ましく、7〜10μmが特に好ましい。銅箔の厚さを30μm以下とすることにより、エッチング時間を短くすることができ、3μm以上とすることにより、電磁波遮蔽性が高くなる。
導電性メッシュ層の開口率は、60〜95%が好ましく、65〜90%がより好ましく、70〜85%が特に好ましい。
導電性メッシュ層の開口部の形状は、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形等である。開口部は、形状が揃っていて、かつ面内に並んでいることが好ましい。
開口部のサイズは、1辺または直径が5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましい。開口部の1辺または直径を200μm以下とすることにより、電磁波遮蔽性が向上し、5μm以上とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
開口部以外の金属部の幅は、5〜50μmが好ましい。すなわち、開口部の配列ピッチは、10〜250μmが好ましい。金属部の幅を5μm以上とすることにより、加工が容易となり、50μm以下とすることにより、PDPの画像への影響が少ない。
導電性メッシュ層の面抵抗を必要以上に低くすると、膜が厚くなり、開口部を充分確保できなくなる等、保護板3の光学性能等に悪影響を及ぼす。一方、導電性メッシュ層の面抵抗を必要以上に高くすると、充分な電磁波遮蔽性を得ることができなくなる。したがって、導電性メッシュ層の面抵抗は、0.01〜10Ω/□が好ましく、0.01〜2Ω/□がより好ましく、0.05〜1Ω/□が特に好ましい。
導電性メッシュ層の面抵抗は、開口部の1辺または直径よりも5倍以上大きな電極を用い、開口部の配列ピッチよりも5倍以上の電極間隔で、4端子法より測定すればよい。たとえば、開口部が1辺100μmの正方形で、金属部の幅20μmを介して規則的に並べられたものであれば、直径1mmの電極を1mm間隔で並べて測定すればよい。または、導電性メッシュフィルムを短冊状に加工し、その長手方向の両端に電極を設けて、その抵抗Rを測り、長手方向の長さa、短手方向の長さbから、下式から求めてもよい。
面抵抗=R×b/a
銅箔を透明フィルムにラミネートする際には、透明な接着剤を用いる。接着剤としては、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤等が挙げられる。接着剤のタイプとしては、2液型または熱硬化タイプが好ましい。また、接着剤としては、耐薬品性に優れたものが好ましい。
銅箔をメッシュ状に加工する方法としては、フォトレジスト法が挙げられる。印刷法では、スクリーン印刷によって開口部のパターン形成をする。フォトレジスト法では、ロールコーティング法、スピンコーティング法、全面印刷法、転写法等により、銅箔上にフォトレジスト材料を形成し、露光、現像、エッチングによって開口部のパターンを形成する。導電性メッシュ層を形成する他の方法としては、スクリーン印刷等の印刷法によって、開口部のパターンを形成する方法が挙げられる。
電極90は、導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層とを電気的に接続するものである。電極90としては、導電性テープ等が挙げられる。導電性積層体10の導電膜12と導電性メッシュフィルム80の導電性メッシュ層とを電気的に接続することによって、全体の面抵抗値をさらに下げることができるため、電磁波遮蔽効果をさらに向上させることができる。
保護板1〜3は、PDPの前面に配置されるものであるため、PDPの画像が見にくくならないように、可視光透過率は40%以上であることが好ましい。また、可視光反射率は6%未満が好ましく、3%未満が特に好ましい。また、波長850nmでの透過率は、5%以下が好ましく、2%以下が特に好ましい。
以上説明した第1の実施形態および第2の実施形態の保護板1〜3は、支持基体20と、支持基体20上に設けられた導電性積層体10と、導電性積層体10の導電膜12に電気的に接している電極50または電極90とを有するものである。そして、上述したように、導電性積層体10の導電膜12は、基体11側から、高屈折率層12aと金属層12bとが交互に計(2n+1)層[nは1〜12の整数]積層された多層構造体であり、高屈折率層12aが、屈折率1.5〜2.5である無機化合物を含む層であり、金属層12bは、銀を含有する。このような導電性積層体10では、導電膜12の高屈折率層12aの屈折率が1.5〜2.5であるので、透過率・反射バンドの広い保護板を得ることができる。特に高屈折率層12aとして酸化亜鉛含有層である場合、高屈折率金属酸化物を含有するから、導電性積層体10は、透過・反射バンドを広くできる。
このような導電性積層体10では、導電膜12の高屈折率層12aが高屈折率金属酸化物を含有するから、透過・反射バンドを広くすることができる。したがって、積層数を増やさなくても、透過・反射バンドの広い保護板を得ることができる。そして、積層数を増やさないことにより、可視光透過性を高くすることができる。しかも、高屈折率層12aに含まれる酸化亜鉛は結晶性を有するため、高屈折率層12aの上に形成された金属層12b中の金属も結晶化しやすく、マイグレーションしにくい。その結果、保護板は、導電性が高く、電磁波遮蔽能が高い。
本発明における金属層中の金属(例えば、純銀または銀合金)の形状は、ある特定の粒径を有する粒子の集合であると考えられる。前記金属の粒子の粒径は、大きすぎると粒子同士の接触面積が小さくなり所望の導電性能が得られないと考えられる。また前記金属の粒子の粒径が小さすぎると、金属のマイグレーションが発生し結果として導電性能が低くなる。すなわち本発明においては、金属の粒子の粒径が適度な大きさであるため、粒子同士の接触面積を大きく出来ると同時に、金属のマイグレーションを抑制できるため導電膜の比抵抗が小さくなる。結果として得られる導電性積層体の導電性能に優れると考えられる。本発明における金属層中の金属の粒子粒径は、5〜35nmであることが好ましく、5〜30nmであることがより好ましく、10〜30nmであることがさらに好ましい。また、金属層において、全金属粒子のうちの70%以上の粒子が前記粒子径の範囲内に入ることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。前記粒子の粒径は、ばらつきが小さく均一である方が、粒子同士の接触面積を大きくできるため好ましい。また、前記金属の粒子は、それぞれ金属の単結晶からなることが好ましい。
金属層中の金属粒子の粒径を適度な大きさにするためには、例えば、金属層の下地層となる高屈折率層中の無機化合物の粒子の粒径を所望の金属の粒径とほぼ同等の粒径とし、その表面に金属をスパッタリング等の方法で積層することにより、金属の粒子の粒径は所望の粒径とされると考えられる。本発明における高屈折率層中の無機化合物の粒子の粒径は、5〜35nmであることが好ましく、5〜30nmであることがより好ましく、10〜30nmであることがさらに好ましい。また、高屈折率層において、全無機化合物粒子のうちの70%以上の粒子が前記範囲内に入ることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
具体的には例えば、高屈折率層として酸化亜鉛含有層を適用すると、該酸化亜鉛含有層中の粒子の粒径は非常に好ましい粒径にできるため、該酸化亜鉛含有層表面に積層した金属層中の金属の粒子の粒径も適度な値(例えば20nm)となる。そして全金属層の合計膜厚が薄くても、導電膜の比抵抗は小さくできる。したがって、可視光線透過率が高くかつ導電性、すなわち電磁波遮蔽性能に優れた導電性積層体を得ることができる。
なお、本発明の保護板は、上述した実施形態に限定されない。たとえば、上述した実施形態では、粘着剤層70を設けてフィルムを積層したが、粘着剤または接着剤を用いずに、熱による貼り合わせが可能な場合もある。
また、本発明の保護板においては、必要に応じて、反射防止フィルムまたは低屈折率薄膜である反射防止層を有してもよい。低屈折率薄膜の屈折率は、1.7以下であることが好ましく、1.3〜1.5であることがより好ましい。反射防止フィルムとしては、特に制限はなく、一般的に保護板に用いられているものが使用できる。特に、フッ素樹脂系のフィルムを用いると反射防止性がより優れる。
反射防止層は、得られる保護板の反射率が低くなり好ましい反射色が得られることから、その反射防止層自身について、可視域での反射率が最低となる波長が500〜600nm、特に530〜590nmであることが好ましい。
また、保護板に近赤外線遮蔽機能を持たせてもよい。近赤外線遮蔽機能を持たせる方法としては、近赤外線遮蔽フィルムを用いる方法、近赤外線吸収基体を用いる方法、近赤外線吸収剤を添加した粘着剤をフィルム積層時に使用する方法、反射防止樹脂フィルム等に近赤外線吸収剤を添加して近赤外線吸収機能を併せ持たせる方法、近赤外線反射機能を有する導電膜を用いる方法等が挙げられる。
(実施例1)
高純度の酸化亜鉛粉末および酸化チタン粉末を、酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)となるように、ボールミルで混合し、混合粉末を調製した。該混合粉末をカーボン製のホットプレス用型に充填し、アルゴンガス雰囲気中1100℃で1時間保持の条件で、ホットプレスを実施し、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲットを得た。ホットプレスの圧力は100kg/cm2 とした。
図2に示す導電性積層体を以下のように作製した。
まず、基体11である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まずアルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入した。イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体表面に、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)]を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ35nmの高屈折率層12aを形成した。ラザフォード後方散乱法により測定したところ、この高屈折率層12aにおいて、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は80原子%、チタンは20原子%であった。また、高屈折率層12aにおいて、全原子合計(100原子%)中、亜鉛は34.3原子%、チタンは8.0原子%、酸素は57.7原子%であった。これをZnOとTiO2 に換算すると、酸化物の合計は96.7質量%であった。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ10nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.45Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.7W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ5nmの酸化亜鉛膜(バリア層12c)を形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)]を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ65nmの酸化亜鉛・酸化チタン混合膜を形成した。このようにして得た酸化亜鉛膜と酸化亜鉛・酸化チタン混合膜とで高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.45Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.7W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ5nmの酸化亜鉛膜(バリア層12c)を形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)]を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ65nmの酸化亜鉛・酸化チタン混合膜を形成した。このようにして得た酸化亜鉛膜と酸化亜鉛・酸化チタン混合膜とで高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.45Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.7W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ5nmの酸化亜鉛膜(バリア層12c)を形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)]を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ65nmの酸化亜鉛・酸化チタン混合膜を形成した。このようにして得た酸化亜鉛膜と酸化亜鉛・酸化チタン混合膜とで高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ10nmの金属層12bを形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.45Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.7W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ5nmの酸化亜鉛膜(バリア層12c)12cを形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=80:20(質量比)]を用いてアルゴンガスに10体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ30nmの酸化亜鉛・酸化チタン混合膜を形成した。このようにして得た酸化亜鉛膜と酸化亜鉛・酸化チタン混合膜とで高屈折率層12aを形成した。
ついで、最上の高屈折率層12a上に、ITOターゲット[インジウム:スズ=90:10(質量比)]を用いて、アルゴンに5体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.3W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、保護膜12dである厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体11上に、酸化チタンと酸化亜鉛とを主成分として含有する高屈折率層12aと、金−銀合金からなる金属層12bとが交互に積層された導電性積層体10であって、高屈折率層12aが5層、金属層12bが4層のものを得た。
実施例1の導電性積層体について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は71.40%、視感反射率は6.50%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.96%であった。
また、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタ−EPにより、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠して測定した結果(印加電流:10mA)、抵抗値(R)=0.942Ωであった。試験片厚さ(t)=48nm(金属層の合計膜厚)とし、「比抵抗」=R×tの式より比抵抗の値を得た。すなわち、比抵抗は、4.5μΩcmであった。結果を表1に示す。
金属層12bのSEM写真(倍率:50000倍)の金属粒子の粒子径を実測すると、80%以上の粒子が粒子径10〜30nmの範囲内に入ることが確認される。
その後、この導電性積層体10の基体11側表面には、粘着剤層を設けた。
この導電性積層体10を用いて図3に示す保護板1を以下のようにして作製した。
支持基体20であるガラス板を所定の大きさに切断、面取りし、洗浄した後、着色セラミックス層用のインクをガラス板周辺にスクリーン印刷し、充分に乾燥して着色セラミックス層30を形成した。次いで、ガラス強化処理として、このガラス板を660℃まで加熱し、その後風冷してガラス強化処理を施した。
このガラス板の着色セラミックス層30側に、粘着剤層70を介して、上記導電性積層体10を貼り付けた。ついで、導電性積層体10を保護する目的で、導電性積層体10上に保護フィルム60(旭硝子社製、商品名:ARCTOP CP21)を、粘着剤層70を介して貼り合わせた。ただし、電極取り出しの目的から、周縁部には保護フィルムを貼り合わせない部分(電極形成部)を残しておいた。
そして、電極形成部に、銀ペースト(太陽インキ製造社製、AF4810)をナイロンメッシュ#180、乳剤厚み20μmにてスクリーン印刷し、熱風循環炉で85℃、35分間乾燥させて電極50を形成した。
ついで、ガラス板の裏面(導電性積層体10を貼り合わせた側の反対側の面)に、飛散防止フィルム40であるポリウレタン系軟質樹脂フィルム(旭硝子社製、商品名:ARCTOP URP2199)に粘着剤層70を介して貼り合わせた。このポリウレタン系軟質樹脂フィルムは反射防止機能も有する。なお、通常、このポリウレタン系軟質樹脂フィルムに着色剤を添加して、色調補正、Neカットをして色再現性の向上を図るが、本実施例では色調補正、Neカットを評価しないため無着色とした。
実施例1の保護板について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は71.5%、視感反射率は1.92%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.76%であった。結果を表2に示す。この保護板における反射スペクトルを図6に、透過スペクトルを図7に示す。
(実施例2)
酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲットとして、いずれも、酸化亜鉛:酸化チタン=50:50(質量比)のものを用いた以外は実施例1と同様にして導電性積層体および保護板を作製した。実施例2の高屈折率層12aにおいて、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は50原子%、チタンは50原子%であった。また、高屈折率層12aにおいて、全原子合計(100原子%)中、亜鉛は23.6原子%、チタンは16.7原子%、酸素は59.7原子%であった。これをZnOとTiO2 に換算すると、酸化物の合計は97.7質量%であった。
実施例2の導電性積層体について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は62.94%、視感反射率は4.96%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.69%であった。
また、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタ−EPにより、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠(印加電流:10mA)して測定した抵抗値Rは、0.965であり、実施例1と同様にして得た比抵抗は、4.6μΩcmであった。結果を表1に示す。
金属層12bのSEM写真(倍率:50000倍)の金属粒子の粒子径を実測すると、80%以上の粒子が粒子径10〜30nmの範囲内に入ることが確認される。
実施例2の保護板について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は62.6%、視感反射率は1.92%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.51%であった。結果を表2に示す。この保護板における反射スペクトルを図6に、透過スペクトルを図7に示す。
(比較例1)
導電性積層体を以下のように作製したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体および保護板を得た。
まず、基体である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まず、アルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入し、イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体表面にアルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いてアルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ40nmの高屈折率層aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ9nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ11nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ13nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ11nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.8W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ9nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.2W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ35nmの酸化物層を形成した。
ついで、最上の酸化物層上に、ITOターゲット(インジウム:スズ=90:10、質量比)を用いて、アルゴンに5体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.5W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、保護膜である厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体上に、AZOからなる酸化物層と、金−銀合金からなる金属層とが交互に積層された導電性積層体であって、酸化物層が7層、金属層が6層のものを得た。
比較例1の導電性積層体について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は59.75%、視感反射率は5.79%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.5%であった。
また、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタ−EPにより、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠(印加電流:10mA)して測定した抵抗値Rは、0.957であり、実施例1と同様にして得た比抵抗は、6.3μΩcmであった。結果を表1に示す。
金属層のSEM写真(倍率:50000倍)の金属粒子の粒子径を実測すると、粒子が粒子径は30〜60nmの間で大きくばらつくことが確認される。
比較例1の保護板について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は60.3%、視感反射率は1.98%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.28%であった。結果を表2に示す。反射スペクトルを図6に、透過スペクトルを図7に示す。
(比較例2)
導電性積層体を以下のように作製したこと以外は実施例1と同様にして導電性積層体および保護板を得た。
まず、基体であるPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まずアルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入した。イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体表面にアルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いてアルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.7W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ40nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.9W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ17nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ17nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度4.7W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの酸化物層を形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いて、アルゴンガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、電力密度0.6W/cm2 、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層を形成した。
ついで、アルミナを5質量%ドープした酸化亜鉛ターゲットを用いて、アルゴンに3%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度5.2W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、厚さ35nmの酸化物層を形成した。
ついで、最上の酸化物層上に、ITOターゲット(インジウム:スズ=90:10)を用いて、アルゴンに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.0W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、保護膜である厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体上に、AZOからなる酸化物層と、金−銀合金からなる金属層とが交互に積層された導電性積層体であって、酸化物層が5層、金属層が4層のものを得た。
比較例2の導電性積層体について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は60.9%、視感反射率は6.85%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.40%であった。
また、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタ−EPにより、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠(印加電流:10mA)して測定した抵抗値Rは、0.981であり、実施例1と同様にして得た比抵抗は、6.1μΩcmであった。結果を表1に示す。
金属層のSEM写真(倍率:50000倍)の金属粒子の粒子径を実測すると、粒子が粒子径は30〜60nmの間で大きくばらつくことが確認される。
比較例2の保護板について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は61.8%、視感反射率は4.22%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.27%であった。結果を表2に示す。この保護板における反射スペクトルを図6に、透過スペクトルを図7に示す。
酸化物層が酸化亜鉛と酸化チタンとを主成分として含有し、金属層が銀合金を主成分として含有する実施例1の保護板は、金属層の数が4層であるにもかかわらず、透過・反射バンドが広く、しかも導電性および可視光透過性に優れていた。
これに対し、酸化物層がAZOを主成分として含有し、金属層の数が6層の比較例1の保護板は、可視光透過率が低かった。
酸化物層がAZOを主成分として含有し、金属層の数が4層の比較例2の保護板は、透過・反射バンドが狭かった。
(実施例3)
図1に示す導電性積層体を以下のように作製した。
まず、基体11である厚さ100μmのPETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームによる乾式洗浄を以下のようにして行った。まずアルゴンガスに約30%の酸素を混合して、100Wの電力を投入した。イオンビームソースによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基体表面に照射した。
ついで、乾式洗浄処理が施された基体表面に、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用いてアルゴンガスに15体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ40nmの高屈折率層12aを形成した。ラザフォード後方散乱法により測定したところ、この高屈折率層12aにおいて、亜鉛とチタンとの合計(100原子%)中、亜鉛は85原子%、チタンは15原子%であった。また、高屈折率層12aにおいて、全原子合計(100原子%)中、亜鉛は37.0原子%、チタンは6.2原子%、酸素は56.8原子%であった。これをZnOとTiO2 に換算すると、酸化物の合計は96.7質量%であった。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ10nmの金属層12bを形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用いてアルゴンガスに15体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層12bを形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用いてアルゴンガスに15体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ14nmの金属層12bを形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用いてアルゴンガスに15体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ80nmの高屈折率層12aを形成した。
ついで、金を1.0質量%ドープした銀合金ターゲットを用いてアルゴンガスを導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度2.3W/cm2 、反転パルス幅10μsecのパルススパッタを行い、厚さ10nmの金属層12bを形成した。
ついで、酸化亜鉛および酸化チタン混合ターゲット[酸化亜鉛:酸化チタン=85:15(質量比)]を用いてアルゴンガスに15体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.73Paの圧力で周波数50kHz、電力密度4.5W/cm2 、反転パルス幅2μsecのパルススパッタを行い、厚さ35nmの高屈折率層12aを形成した。
ついで、最上の高屈折率層12a上に、ITOターゲット[インジウム:スズ=90:10(質量比)]を用いて、アルゴンに5体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、電力密度1.3W/cm2 、反転パルス幅1μsecのパルススパッタを行い、保護膜12dである厚さ5nmのITO膜を形成した。
このようにして、基体11上に、酸化チタンと酸化亜鉛とを主成分として含有する高屈折率層12aと、金―銀合金からなる金属層12bとが交互に積層された導電性積層体であって、高屈折率層が5層、金属層が4層のものを得た。
実施例3の導電性積層体について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は67.7%、視感反射率は5.88%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.78%であった。
また、ダイアインスツルメンツ社製ロレスタ−EPにより、JIS K 7194の「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠(印加電流:10mA)して測定した抵抗値Rは、0.968であり、実施例1と同様にして得た比抵抗は、4.7μΩcmであった。結果を表1に示す。
金属層12bのSEM写真(倍率:50000倍)の金属粒子の粒子径を実測すると、80%以上の粒子が粒子径10〜30nmの範囲内に入ることが確認される。
この導電性積層体10を用いて、実施例1と同様にして図3に示す保護板1を作製した。
実施例3の保護板について、東京電色社製カラーアナライザーTC1800により測定した視感透過率(JIS Z 8701において規定されている刺激値Y)は68.0%、視感反射率は2.52%であった。また、波長850nmでの透過率は、0.68%であった。結果を表2に示す。
Figure 2007320127
Figure 2007320127
本発明の導電性積層体は、導電性(電磁波遮蔽性)、可視光透過性および近赤外線遮蔽性に優れ、しかも支持基体に積層した場合、透過・反射バンドが広くなることから、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム、保護板として有用である。また、本発明の導電性積層体は、液晶表示素子等の透明電極、自動車風防ガラス、ヒートミラー、電磁波遮蔽窓ガラスとして用いることができる。
本発明に係る導電性積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る導電性積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第1の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第2の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る保護板の第3の実施形態を示す断面図である。 実施例1,2、比較例1,2の保護板における反射スペクトルを示すグラフである。 実施例1,2、比較例1,2の保護板における透過スペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1,2,3:保護板(プラズマディスプレイ用保護板)、
10:導電性積層体、
11:基体、
12:導電膜、
12a:高屈折率層、
12b:金属層、
12c:バリア層、
12d:保護膜、
20:支持基体、
30:着色セラミックス層、
40:飛散防止フィルム、
70:粘着剤層、
50:電極、
80:導電性メッシュフィルム、
90:電極。

Claims (7)

  1. 基体と、基体上に形成された導電膜とを有する導電性積層体であって、
    導電膜が、基体側から、無機化合物を含む高屈折率層と金属層とが交互に計(2n+1)層[nは1〜12の整数]積層された多層構造体であり、
    無機化合物の屈折率が1.5〜2.7であり、
    金属層が、銀を含有する層であり、
    全金属層の厚さの合計が25〜100nmであり、
    前記導電膜の比抵抗が2.5〜6.0μΩcmであることを特徴とする導電性積層体。
  2. 前記無機化合物が、金属酸化物である請求項1に記載の導電性積層体。
  3. 金属酸化物が、亜鉛、チタン、ニオブ、タンタル、インジウム、スズ、クロム、ハフニウム、ジルコニウムおよびマグネシウムそれぞれ単独の金属酸化物、ならびに前記金属の2種以上の複合酸化物からなる群から選ばれる1種以上である請求項2に記載の導電性積層体。
  4. 前記金属層中、銀の含有量が90質量%以上である請求項1、2または3に記載の導電性積層体。
  5. 金属層が2〜8層設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性積層体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性積層体からなる、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルム。
  7. 支持基体と、
    該支持基体上に設けられた請求項6に記載のプラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムと、
    該プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムの導電膜に電気的に接している電極とを有することを特徴とするプラズマディスプレイ用保護板。
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