JPH07325313A - 導電性積層体 - Google Patents

導電性積層体

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JPH07325313A
JPH07325313A JP6117815A JP11781594A JPH07325313A JP H07325313 A JPH07325313 A JP H07325313A JP 6117815 A JP6117815 A JP 6117815A JP 11781594 A JP11781594 A JP 11781594A JP H07325313 A JPH07325313 A JP H07325313A
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amorphous
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暁 海上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エッチング性および耐アルカリ性に優れた導
電性積層体およびこの導電性積層体を利用した導電性透
明基板を提供する。 【構成】 本発明の導電性積層体は、膜厚100〜10
00オングストロームの第1の非晶質複合酸化物層の上
に膜厚10〜50オングストロームの金属薄膜層と膜厚
100〜1000オングストロームの第2の非晶質複合
酸化物層とが順次積層されてなる層構成を有し、前記第
1の非晶質複合酸化物層および前記第2の非晶質複合酸
化物層が共にIn酸化物とSn,GaおよびZnからな
る群より選択された1種または複数種の金属の酸化物と
からなる複合酸化物であって、全金属元素に占めるIn
の割合が20〜80モル%であるものからなり、前記金
属薄膜層がAu,Ag,Cu,PtおよびAlからなる
群より選択された1種または複数種からなることを特徴
とする。また、本発明の導電性透明基板は、透明基板
と、この透明基板の所定面上に直接またはアンダーコー
ト層を介して設けられた前記の導電性積層体とを備えて
いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸化物と金属との積層体
からなる導電性積層体およびこの導電性積層体を利用し
た導電性基板に係り、特に複合酸化物と金属との積層体
からなる導電性積層体およびこの導電性積層体を利用し
た導電性透明基板に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は軽量化、薄型化が可能で
あり、駆動電圧も低いことから、パ−ソナルコンピュー
タやワードプロセッサ等のOA機器へ活発に導入されて
いる。そして、前述のような利点を有している液晶表示
装置は必然的に大面積化、多画素化、高精細化の方向に
向かっており、表示欠陥のない高品質の液晶表示素子が
求められている。液晶表示素子は、互いに対向して配置
された2つの透明電極により液晶を挟み込んだサンドイ
ッチ構造をなしており、透明電極は高品質の液晶表示素
子を得るうえでの重要な要素の一つである。この透明電
極は、例えば透明基板上に成膜した透明導電膜を酸性溶
液でエッチングして所定形状にパターニングすることで
作製されている。
【0003】透明電極材料としては、現在、ITO(イ
ンジウム・錫酸化物)膜が主として利用されている。し
かしながら、ITO膜には水素プラズマ等で還元されて
光透過率が低下する、Inが拡散しやすい、耐湿性や耐
候性に劣る等の難点があり、また、抵抗率も3×10-4
Ω・cm程度であることから、今後の大面積表示素子の
ニーズに応えることは困難である。
【0004】ITO膜よりも低電気抵抗の透明導電材料
としては、金属酸化物と金属との積層体が従来よりよく
知られている。代表例としては、TiOX とAgとの積
層体(米国特許第3,962,488号明細書参照)や
Bi2 3 とAuの積層体(British Journal of Appl
ied Physics,Vol.9,PP359-361 (1958)参照)がある。ま
た、特開平4−340522号公報には結晶性のITO
(成膜条件から結晶性であると認められる)とAgとの
積層体が開示されており、特公昭63−13823号
(特開昭58−36448号)公報には酸化チタン、酸
化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物とA
g−Cu合金との積層体や、酸化ケイ素−酸化チタン系
複合酸化物とAg−Cu合金との積層体が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】金属酸化物と金属とか
らなる上述の積層体や結晶性のITOとAgとからなる
上述の積層体は、導電性の点ではITO膜よりも向上し
たものであるが、これらの積層体は結晶化しやすい単独
酸化物と金属との積層体または結晶性酸化物と金属(合
金を含む)との積層体であるため、次のような難点があ
る。すなわち、結晶性酸化物や金属は耐酸性に優れるた
め、これらの積層体を酸性溶液でエッチングすることで
所定形状の透明電極を得ようとしても、そのエッチング
性が低いために所望パターンの透明電極を得ることが困
難であったりエッチングに長時間を要する。
【0006】また、酸化ケイ素−酸化チタン系複合酸化
物とAg−Cu合金とからなる上述の積層体は、複合酸
化物の結晶性が単独酸化物の結晶性よりも低いことから
エッチング性は良好であると考えられる。しかしなが
ら、酸化チタンは耐アルカリ性に劣るため、エッチング
時に使用したマスクをアルカリ性溶液で除去する際に積
層体表面が劣化する。また、酸化ケイ素の導電性は低
い。これらの結果、当該積層体をエッチング方により所
望形状に成形して透明電極を得たとしても、その導電性
はITO電極に比べて向上しない。
【0007】本発明の目的は、エッチング性および耐ア
ルカリ性に優れた導電性積層体およびこの導電性積層体
を利用した導電性透明基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の導電性積層体は、膜厚100〜1000オングス
トロームの第1の非晶質複合酸化物層の上に膜厚10〜
50オングストロームの金属薄膜層と膜厚100〜10
00オングストロームの第2の非晶質複合酸化物層とが
順次積層されてなる層構成を有し、前記第1の非晶質複
合酸化物層および前記第2の非晶質複合酸化物層が共に
In酸化物とSn,GaおよびZnからなる群より選択
された1種または複数種の金属の酸化物とからなる複合
酸化物であって、全金属元素に占めるInの割合が55
〜80モル%であるものからなり、前記金属薄膜層がA
u,Ag,Cu,PtおよびAlからなる群より選択さ
れた1種または複数種からなることを特徴とするもので
ある。
【0009】また、上記の目的を達成する本発明の導電
性透明基板は、透明基板と、この透明基板の所定面上に
直接またはアンダーコート層を介して形成された導電性
積層体とを備え、前記導電性積層体が膜厚100〜10
00オングストロームの第1の非晶質複合酸化物層の上
に膜厚10〜50オングストロームの金属薄膜層と膜厚
100〜1000オングストロームの第2の非晶質複合
酸化物層とを順次積層してなる層構成を有するととも
に、前記第1の非晶質複合酸化物層および前記第2の非
晶質複合酸化物層が共にIn酸化物とSn,Gaおよび
Znからなる群より選択された1種または複数種の金属
の酸化物とからなる複合酸化物であって、全金属元素に
占めるInの割合が55〜80モル%であるものからな
り、前記金属薄膜層がAu,Ag,Cu,PtおよびA
lからなる群より選択された1種または複数種からなる
ことを特徴とするものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。まず本発
明の導電性積層体について説明すると、この導電性積層
体は上述したように第1の非晶質複合酸化物層の上に金
属薄膜層および第2の非晶質複合酸化物層が順次積層さ
れてなる層構成を有しており、第1の非晶質複合酸化物
層および第2の非晶質複合酸化物層は共にIn酸化物と
Sn,GaおよびZnからなる群より選択された1種ま
たは複数種の金属の酸化物とからなる複合酸化物であっ
て、全金属元素に占めるInの割合が55〜80モル%
であるものからなる。
【0011】Sn,GaおよびZnからなる群より選択
された1種または複数種の金属の酸化物(例えばSnO
2 ,Ga2 3 ,ZnO,SnO2 −ZnO,SnO2
−Ga2 3 ,Ga2 3 −ZnO)は、導電性および
耐アルカリ性に優れた複合酸化物を得るうえで有用であ
る。また、In酸化物(例えばIn2 3 ,In2 O)
は低電気抵抗の複合酸化物を得るうえで有用であるが、
複合酸化物中に占めるIn酸化物の割合が多すぎたり少
なすぎたりすると、成膜条件によっては当該複合酸化物
が結晶化しやすくなる。そして、結晶化した複合酸化物
はエッチング性に劣る。したがって、第1の非晶質複合
酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層は、全金属元
素(複合酸化物を構成する全ての金属元素)に占めるI
nの割合が55〜80モル%の範囲内であるものに限定
される。全金属元素に占めるInの割合は60〜80モ
ル%の範囲内であることが好ましく、特に65〜80モ
ル%の範囲内であることが好ましい。なお、第1の非晶
質複合酸化物層の組成および第2の非晶質複合酸化物層
の組成は共に上述した条件を満たすものであればよく、
これらの組成は同じであっても異なっていてもよい。
【0012】第1の非晶質複合酸化物層の膜厚および第
2の非晶質複合酸化物層の膜厚は、共に100〜100
0オングストロームの範囲内に限定される。膜厚が10
0オングストローム未満では金属薄膜層との密着性が低
下する結果、導電性積層体全体のエッチング性が低下す
る。また、膜厚が1000オングストロームを超えると
導電性積層体全体の光透過性や経済性が低下する。第1
の非晶質複合酸化物層の膜厚および第2の非晶質複合酸
化物層の膜厚はそれぞれ独立に前記の範囲内の所望値に
設定され、これらの膜厚は同じであっても異なっていて
もよい。好ましい膜厚は、第1の非晶質複合酸化物層お
よび第2の非晶質複合酸化物層の両者ともに150〜8
00オングストロームの範囲内であり、特に好ましい膜
厚は両者ともに200〜600オングストロームの範囲
内である。
【0013】本発明の導電性積層体では、その表層は上
述した第1の非晶質複合酸化物層および/または第2の
非晶質複合酸化物層によって形成される。第1の非晶質
複合酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層の膜厚の
下限は、上述したようにエッチング性の点から100オ
ングストロームに限定されるが、表層に位置する非晶質
複合酸化物層は金属薄膜層の保護層としても機能するの
で、保護層としての効果の点からもその膜厚の下限は1
00オングストロームに限定される。
【0014】また、表層に位置する非晶質複合酸化物層
は導電層としても機能するので、その抵抗率は1×10
2 Ω・cm以下であることが望まれる。この抵抗率が1
×102 Ω・cmを超えると導電性積層体の導電性が著
しく低下する。表層が前述した第1の非晶質複合酸化物
層および/または第2の非晶質複合酸化物層であれば、
その抵抗率は1×102 Ω・cm以下となる。これら第
1の非晶質複合酸化物層および第2の非晶質複合酸化物
層の抵抗率は、組成や成膜時の基板温度を適宜変更する
ことにより1×102 Ω・cm以下の範囲内で種々制御
することができる。表層に位置する非晶質複合酸化物層
の好ましい抵抗率は10Ω・cm以下であり、特に1Ω
・cm以下であることが好ましい。なお、本発明の導電
性積層体は、通常、所定の基板上に第1の非晶質複合酸
化物層、金属薄膜層および第2の非晶質複合酸化物層を
順次積層することで形成され、この場合の導電性積層体
の表層は第2の非晶質複合酸化物層によって形成され
る。
【0015】一方、上述した第1の非晶質複合酸化物層
と第2の非晶質複合酸化物層との間に設けられる金属薄
膜層は、Au,Ag,Cu,PtおよびAlからなる群
より選択された1種または複数種からなる。金属薄膜層
を前記の群から選択された1種の金属により形成する場
合は、光透過性の点からAuまたはAgにより形成する
ことが好ましく、特にAgにより形成することが好まし
い。また、前記の群から選択された複数種の金属により
形成する場合は、AgにAuまたはCuを1〜50wt
%添加したものにより形成することが好ましく、特に1
0〜40wt%添加したものにより形成することが好ま
しい。
【0016】いずれの場合においても、金属薄膜層の膜
厚は10〜50オングストロームの範囲内に限定され
る。膜厚が10オングストローム未満では十分な導電性
を有する導電性積層体を得ることが困難である。また、
膜厚が50オングストロームを超えると導電性積層体全
体のエッチング性や光透過性が低下する。金属薄膜層の
好ましい膜厚は20〜50オングストロームの範囲内で
あり、特に好ましい膜厚は30〜50オングストローム
の範囲内である。
【0017】以上説明した第1の非晶質複合酸化物層、
金属薄膜層および第2の非晶質複合酸化物層からなる本
発明の導電性積層体の全体の膜厚は、その用途に等に応
じて適宜変更可能であるが、いずれの場合でも各層の膜
厚は前述したそれぞれの範囲内で適宜選択される。各層
の膜厚が前述したそれぞれの範囲内であれば、各層の膜
厚がどのような値であっても導電性透明材料として利用
可能な光透過性(可視光の透過率で概ね70〜90%、
あるいは波長550nmの光の透過率で概ね80〜90
%)を有する導電性積層体を得ることができる。
【0018】本発明の導電性積層体では、第1の非晶質
複合酸化物層と金属薄膜層との密着性および第2の非晶
質複合酸化物層と金属薄膜層との密着性が共に良好であ
ることから、エッチング時には第1の非晶質複合酸化物
層および第2の非晶質複合酸化物層が金属薄膜層を取り
込みながらエッチングされる。また、第1の非晶質複合
酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層は共に非晶質
複合酸化物からなるため、これらのエッチング性は良好
である。これらの結果、本発明の導電性積層体は優れた
エッチング性を示す。
【0019】また、第1の非晶質複合酸化物層および第
2の非晶質複合酸化物層は、Sn,GaおよびZnから
なる群より選択された1種または複数種の金属の酸化物
をその成分として含有しており、前記金属の酸化物は耐
アルカリ性に優れている。したがって、エッチング時に
使用したマスクをアルカリ性溶液で除去する場合でも当
該アルカリ性溶液により積層体表面が劣化することが抑
制されるので、本発明の導電性積層体をエッチング法に
より所望形状に成形した場合でも導電性の高い成形物が
得られる。
【0020】このような特性を有する本発明の導電性積
層体は、液晶表示素子用等の透明電極材料や太陽電池用
の電極材料として好適である他、透明静電遮蔽体、熱線
反射フィルム、透明面発熱体、発光素子、エレクトロク
ロミック表示素子、自動車用ガラスアンテナ等の材料と
しも利用することができる。
【0021】本発明の導電性積層体は、所定の金属薄膜
の片面に第1の非晶質複合酸化物層を成膜した後に残り
の片面に第2の非晶質複合酸化物層を成膜することで形
成することも可能であるが、実用上は、所定の基板上に
直接またはアンダーコート層を介して第1の非晶質複合
酸化物層、金属薄膜層および第2の非晶質複合酸化物層
を順次積層することで形成することが好ましい。上記の
基板としては透明基板を用いてもよし非透明基板を用い
てもよいが、いずれの場合でも電気絶縁性のものを用い
ることが好ましい。また、基板表面にアンダーコート層
を設ける場合、このアンダーコート層の材料としてはエ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウ
レタン樹脂、エポキシウレタン樹脂等の有機物やSiO
2 、TiO2 等の無機物からなる膜厚100〜1000
0オングストロームのものを用いることができる。
【0022】有機物系のアンダーコート層は、例えば、
上記の有機物を水または有機溶剤に溶かしてなるコーテ
ィング溶液を用いての印刷法、塗布乾燥法等により形成
することができる。また、無機物系のアンダーコート層
は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的
蒸着法、CVD法、シランカップリング剤やチタンカッ
プリング剤等を用いた塗布乾燥法等により形成すること
ができる。なお、これらのアンダーコート層に対して熱
処理や紫外線照射処理等を行うこともある。
【0023】基板として透明基板を用い、この透明基板
の所定面上に直接またはアンダーコート層を介して前述
の導電性積層体を形成した場合には、本発明の導電性透
明基板が得られる。このときの透明基板としては透明ガ
ラス、石英、透明プラスチック、透明セラミックス等か
らなる板状物やフィルム状物を用いることができる。前
記透明ガラスの具体例としてはソーダ石灰ガラス、鉛硅
酸塩ガラス、硼硅酸塩ガラス、硅酸塩ガラス、高硅酸ガ
ラス、無アルカリガラス、燐酸塩ガラス、アルカリ硅酸
塩ガラス、石英ガラス、アルミノ硼硅酸ガラス、バリウ
ム硼硅酸ガラス、ナトリウム硼硅酸ガラス等が挙げられ
る。また、前記透明プラスチックの具体例としてはポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリス
チレン、ポリエーテルスルホン系樹脂、アモルファスポ
リオレフィン、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリホスフ
ァゼン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポ
リアセタール系樹脂等が挙げられる。そして、前記透明
セラミックスの具体例としてはサファイア、PLZT、
CaF2 、MgF2 、ZnS等が挙げられる。
【0024】透明基板の材質や厚さ等は、目的とする導
電性透明基板の用途や当該導電性透明基板に要求される
透明性等に応じて適宜選択される。この導電性透明基板
は液晶パネル等の材料として利用することができる。
【0025】第1の非晶質複合酸化物層および第2の非
晶質複合酸化物層の形成は、RFマグネトロンスパッタ
リング法、DCマグネトロンスパッタリング法等のスパ
ッタリング法(反応性スパッタリング法を含む)や、イ
オンプレーティング法(反応性イオンプレーティング法
を含む)等の物理蒸着法により行うことができる。この
とき、得られる複合酸化物層の結晶性は複合酸化物の組
成や成膜時の基板温度を変えることにより制御すること
ができ、成膜時の基板温度を50℃以下とした場合には
非晶質複合酸化物層を容易に形成することができる。
【0026】なお、成膜条件は成膜方法や目的とする非
晶質複合酸化物層の組成等に応じて適宜設定される。例
えば複合酸化物からなるターゲット材料を用いた一元の
RFマグネトロンスパッタリング法により第1の非晶質
複合酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層を形成す
る場合の成膜条件の一例としては、次の条件が挙げられ
る。すなわち、スパッタリング時の真空度は5×10-2
〜1×10-4Torr程度、より好ましくは1×10-2〜5
×10-4Torr、更に好ましくは5×10-3〜1×10-3
Torrとし、雰囲気ガスはアルゴンガス等の不活性ガスと
酸素ガスとの混合ガスが好ましく、酸素分圧は雰囲気ガ
ス圧の0.1〜10%の範囲内とする。RF出力は10
0〜500Wが好ましく、基板温度は基板の耐熱性に応
じて当該基材が熱により変形や変質を起こさない温度の
範囲内で適宜選択されるが、できるだけ低温とする。
【0027】一方、金属薄膜層も真空蒸着法、RFマグ
ネトロンスパッタリング法やDCマグネトロンスパッタ
リング法等のスパッタリング法、イオンプレーティング
法等の物理蒸着法により成膜することができる。この場
合の成膜条件も成膜方法や目的とする金属薄膜層(合金
薄膜層を含む)の組成等に応じて適宜設定される。例え
ば金属または合金からなるターゲット材料を用いた一元
のRFマグネトロンスパッタリング法により金属薄膜層
(合金薄膜層を含む)を形成する場合の成膜条件の一例
としては、次の条件が挙げられる。すなわち、スパッタ
リング時の真空度は5×10-2〜1×10-4Torr程度、
より好ましくは1×10-2〜5×10-4Torr、更に好ま
しくは5×10-3〜1×10-3Torrとし、雰囲気ガスは
アルゴンガス等の不活性ガスとする。RF出力は10〜
100Wが好ましく、基板温度は基板の耐熱性に応じて
当該基材が熱により変形や変質を起こさない温度の範囲
内で適宜選択されるが、できるだけ低温とする。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 まず、透明基板としてコーニング社製のガラス基板(#
7059)を用意し、このガラス基板の一主表面にIn
2 3 −ZnO系複合酸化物からなる第1の複合酸化物
層をRFマグネトロンスパッタリング法により形成し
た。このとき、スパッタリングターゲットとしてはIn
2 3 とZnOとからなる焼結体(InとZnのモル比
はIn/Zn=2)を用い、スパッタリング時の真空度
は1×10-3Torr、雰囲気ガスはアルゴンガスと酸素ガ
スとの混合ガス(酸素濃度は0.28%)、RF出力は
100W、基板温度は20℃、スパッタリング時間は
7.5分とした。次に、スパッタリングターゲットとし
てAuを用い、スパッタリング時の真空度1×10-3To
rr、雰囲気ガス=アルゴンガス(酸素濃度は0%)、R
F出力50W、基板温度20℃、スパッタリング時間1
分の条件でRFマグネトロンスパッタリングを行い、上
記第1の複合酸化物層上にAu薄膜層を形成した。最後
に、上記第1の複合酸化物層の形成と同条件でRFマグ
ネトロンスパッタリングを行い、上記のAu薄膜層上に
In2 3 −ZnO系複合酸化物からなる第2の複合酸
化物層を形成した。
【0029】上述のようにしてガラス基板の一主表面上
に第1の複合酸化物層、Au薄膜層および第2の複合酸
化物層を順次積層することで目的とする積層体が得ら
れ、同時に目的とする透明基板が得られた。このように
して得られた積層体では、XRD(X線回折)測定を行
った結果、Auのピークしか認められず、第1の複合酸
化物層および第2の複合酸化物層は共にIn2 3 とZ
nOとからなる非晶質複合酸化物であることがわかっ
た。また、積層体のICP分析(誘導結合プラズマ発光
分光分析)結果より、いずれの非晶質複合酸化物層にお
いても全金属元素に占めるInの割合は66.7モル%
であった。さらに、積層体のAES(オージェ電子分光
分析)デプスプロファイルによる測定結果から、第1の
非晶質複合酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層の
膜厚は共に300オングストローム、Au薄膜層の膜厚
は50オングストロームであることが確認された。
【0030】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は10Ω/□であった。また、第1の非晶質複合酸
化物層の成膜後に表面抵抗を測定したところ190Ω/
□であり、その膜厚300オングストロームから計算し
た抵抗率が5.7×10-4Ω・cmであることより、導
電性積層体の表層である第2の非晶質複合酸化物層の抵
抗率も5.7×10-4Ω・cmであると予想された。こ
の導電性積層体の光透過率(波長550nmの光の透過
率)は80%であった。
【0031】得られた導電性積層体を王水系エッチング
液(HCl:HNO3 :H2 O=1:0.08:1(モ
ル比))に一定時間浸漬し、取出した後に水洗、乾燥し
てから4端子法で当該積層体の電気抵抗値を測定し、電
気抵抗値が2MΩ以上になる(導通がなくなる)のに要
する浸漬時間を測定することで、そのエッチング性を評
価した。この結果、導通がなくなるのに要した浸漬時間
は1分であり、このことから当該導電性積層体のエッチ
ング性は良好であることが確認された。また、導電性透
明基板をNaOH5wt%溶液(液温40℃)に5分間
浸漬し、浸漬後における導電性積層体の表面抵抗の変化
から当該導電性積層体の耐アルカリ性を調べた。この結
果、浸漬後の表面抵抗は浸漬前の値(10Ω/□)から
0.1Ω/□増えただけの10.1Ω/□であり、この
ことから当該導電性積層体の耐アルカリ性は良好である
ことが確認された。
【0032】実施例2 金属薄膜層としてAg薄膜層を形成した以外は実施例1
と同様にして、ガラス基板(コーニング社製のガラス基
板(#7059))の一主表面上に第1の複合酸化物
層、金属薄膜層(Ag薄膜層)および第2の複合酸化物
層を順次積層し、これにより目的とする積層体を得、同
時に目的とする透明基板を得た。なお、第1の複合酸化
物層および第2の複合酸化物層は共に実施例1と同条件
で形成し、Ag薄膜層はスパッタリングターゲットとし
てAgを用い、スパッタリング時の真空度1×10-3To
rr、雰囲気ガス=アルゴンガス(酸素濃度は0%)、R
F出力50W、基板温度20℃、スパッタリング時間1
分の条件でRFマグネトロンスパッタリングを行うこと
で形成した。
【0033】このようにして得られた積層体では、XR
D測定結果よりAgのピークしか認められず、実施例1
で得た導電性積層体と同様に、第1の複合酸化物層およ
び第2の複合酸化物層は共にIn2 3 とZnOとから
なる非晶質複合酸化物によって形成されていることがわ
かった。また、積層体のICP測定結果より、いずれの
非晶質複合酸化物層においても全金属元素に占めるIn
の割合は66.7モル%であった。さらに、AESデプ
スプロファイルによる測定結果から、第1の非晶質複合
酸化物層および第2の非晶質複合酸化物層の膜厚は共に
300オングストローム、Ag薄膜層の膜厚は50オン
グストロームであることが確認された。
【0034】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は5Ω/□であった。また、実施例1と同様、表層
である第2の非晶質複合酸化物層の抵抗率は5.7×1
-4Ω・cmであると予想された。この導電性積層体の
光透過率(波長550nmの光の透過率)は89%であ
った。得られた導電性積層体のエッチング性を実施例1
と同様にして調べたところ、導通がなくなるのに要した
浸漬時間は1分であり、このことから当該導電性積層体
のエッチング性は良好であることが確認された。また、
この導電性積層体の耐アルカリ性を実施例1と同様にし
て調べたところ、NaOH5wt%溶液(液温40℃)
に浸漬した後の表面抵抗は浸漬前の値(5Ω/□)から
0.2Ω/□増えただけの5.2Ω/□であり、このこ
とから当該導電性積層体の耐アルカリ性は良好であるこ
とが確認された。
【0035】実施例3 まず、透明基板としてコーニング社製のガラス基板(#
7059)を用意し、このガラス基板の一主表面にIn
2 3 −Ga2 3 系複合酸化物からなる第1の複合酸
化物層をRFマグネトロンスパッタリング法により形成
した。このとき、スパッタリングターゲットとしてはI
2 3 とGa2 3 とからなる焼結体(InとGaの
モル比はIn/Ga=2)を用い、スパッタリング時の
真空度は1×10-3Torr、雰囲気ガスはアルゴンガスと
酸素ガスとの混合ガス(酸素濃度は0.28%)、RF
出力は100W、基板温度は20℃、スパッタリング時
間は7.5分とした。次に、スパッタリングターゲット
としてAgを用い、スパッタリング時の真空度1×10
-3Torr、雰囲気ガス=アルゴンガス(酸素濃度は0
%)、RF出力50W、基板温度20℃、スパッタリン
グ時間1分の条件でRFマグネトロンスパッタリングを
行い、上記第1の複合酸化物層上にAg薄膜層を形成し
た。最後に、上記第1の複合酸化物層の形成と同条件で
RFマグネトロンスパッタリングを行い、上記のAg薄
膜層上にIn2 3 −Ga2 3 系複合酸化物からなる
第2の複合酸化物層を形成した。
【0036】上述のようにしてガラス基板の一主表面上
に第1の複合酸化物層、Ag薄膜層および第2の複合酸
化物層を順次積層することで目的とする積層体が得ら
れ、同時に目的とする透明基板が得られた。このように
して得られた積層体では、XRD測定結果よりAgのピ
ークしか認められず、第1の複合酸化物層および第2の
質複合酸化物層は共にIn2 3 とGa2 3 とからな
る非晶質複合酸化物によって形成されていることがわか
った。また、積層膜のICP測定結果より、いずれの非
晶質複合酸化物層においても全金属元素に占めるInの
割合は66.7モル%であった。さらに、AESデプス
プロファイルによる測定結果から、第1の非晶質複合酸
化物層および第2の非晶質複合酸化物層の膜厚は共に3
00オングストローム、Ag薄膜層の膜厚は50オング
ストロームであることが確認された。
【0037】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は6Ω/□であった。また、第1の非晶質複合酸化
物層の成膜後にその表面抵抗を測定したところ390Ω
/□であり、その膜厚300オングストロームから計算
した抵抗率が1.2×10-3Ω・cmであることより、
導電性積層体の表層である第2の非晶質複合酸化物層の
抵抗率も1.2×10-3Ω・cmであると予想された。
この導電性積層体の光透過率(波長550nmの光の透
過率)は88%であった。得られた導電性積層体のエッ
チング性を実施例1と同様にして調べたところ、導通が
なくなるのに要した浸漬時間は1分であり、このことか
ら当該導電性積層体のエッチング性は良好であることが
確認された。また、この導電性積層体の耐アルカリ性を
実施例1と同様にして調べたところ、NaOH5wt%
溶液(液温40℃)に浸漬した後の表面抵抗は浸漬前の
値(6Ω/□)から0.2Ω/□増えただけの6.2Ω
/□であり、このことから当該導電性積層体の耐アルカ
リ性は良好であることが確認された。
【0038】実施例4 まず、透明基板としてコーニング社製のガラス基板(#
7059)を用意し、このガラス基板の一主表面にIn
2 3 −SnO2 系複合酸化物からなる第1の複合酸化
物層をRFマグネトロンスパッタリング法により形成し
た。このとき、スパッタリングターゲットとしてはIn
2 3 とSnO2 とからなる焼結体(InとSnのモル
比はIn/Sn=2)を用い、スパッタリング時の真空
度は1×10-3Torr、雰囲気ガスはアルゴンガスと酸素
ガスとの混合ガス(酸素濃度は0.28%)、RF出力
は100W、基板温度は20℃、スパッタリング時間は
7.5分とした。次に、スパッタリングターゲットとし
てAgを用い、スパッタリング時の真空度1×10-3To
rr、雰囲気ガス=アルゴンガス(酸素濃度は0%)、R
F出力50W、基板温度20℃、スパッタリング時間1
分の条件でRFマグネトロンスパッタリングを行い、上
記第1の複合酸化物層上にAg薄膜層を形成した。最後
に、上記第1の複合酸化物層の形成と同条件でRFマグ
ネトロンスパッタリングを行い、上記のAg薄膜層上に
In2 3 −SnO2 系複合酸化物からなる第2の複合
酸化物層を形成した。
【0039】上述のようにしてガラス基板の一主表面上
に第1の複合酸化物層、Ag薄膜層および第2の複合酸
化物層を順次積層することで目的とする積層体が得ら
れ、同時に目的とする透明基板が得られた。このように
して得られた積層体では、XRD測定結果よりAgのピ
ークしか認められず、第1の複合酸化物層および第2の
複合酸化物層は共にIn2 3 とSnO2 とからなる非
晶質複合酸化物によって形成されていることがわかっ
た。また、積層膜のICP測定結果より、いずれの非晶
質複合酸化物層においても全金属元素に占めるInの割
合は66.7モル%であった。さらに、AESデプスプ
ロファイルによる測定結果から、第1の非晶質複合酸化
物層および第2の非晶質複合酸化物層の膜厚は共に30
0オングストローム、Ag薄膜層の膜厚は50オングス
トロームであることが確認された。
【0040】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は6.2Ω/□であった。また、第1の非晶質複合
酸化物層の成膜後にその表面抵抗を測定したところ18
0Ω/□であり、その膜厚300オングストロームから
計算した抵抗率が5.4×10-4Ω・cmであることよ
り、導電性積層体の表層である第2の非晶質複合酸化物
層の抵抗率も5.4×10-4Ω・cmであると予想され
た。この導電性積層体の光透過率(波長550nmの光
の透過率)は89%であった。得られた導電性積層体の
エッチング性を実施例1と同様にして調べたところ、導
通がなくなるのに要した浸漬時間は1分であり、このこ
とから当該導電性積層体のエッチング性は良好であるこ
とが確認された。また、この導電性積層体の耐アルカリ
性を実施例1と同様にして調べたところ、NaOH5w
t%溶液(液温40℃)に浸漬した後の表面抵抗は浸漬
前の値(6.2Ω/□)から0.1Ω/□変化しただけ
の6.1Ω/□であり、このことから当該導電性積層体
の耐アルカリ性は良好であることが確認された。
【0041】実施例5 透明基板としてポリカーボネートフィルム(厚さ100
μm)を用いた以外は実施例2と同様にして目的とする
積層体を得、同時に目的とする透明基板を得た。なお、
第1の複合酸化物層、金属薄膜層(Ag薄膜層)および
第2の複合酸化物層はいずれも実施例2と同条件で形成
した。このようにして得られた積層体では、実施例2で
得た導電性積層体と同様に、XRD測定結果より第1の
複合酸化物層および第2の複合酸化物層は共にIn2
3 とZnOとからなる非晶質複合酸化物によって形成さ
れていることがわかった。また、積層膜のICP測定結
果より、いずれの非晶質複合酸化物層においても全金属
元素に占めるInの割合は66.7モル%であった。さ
らに、AESデプスプロファイルによる測定結果から、
第1の非晶質複合酸化物層および第2の非晶質複合酸化
物層の膜厚は共に300オングストローム、Ag薄膜層
の膜厚は50オングストロームであることが確認され
た。
【0042】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は5.3Ω/□であった。また、表層である第2の
非晶質複合酸化物層の抵抗率は、実施例2と同様に5.
7×10-4Ω・cmであると予想された。この導電性積
層体の光透過率(波長550nmの光の透過率)は87
%であった。得られた導電性積層体のエッチング性を実
施例1と同様にして調べたところ、導通がなくなるのに
要した浸漬時間は1分であり、このことから当該導電性
積層体のエッチング性は良好であることが確認された。
また、この導電性積層体の耐アルカリ性を実施例1と同
様にして調べたところ、NaOH5wt%溶液(液温4
0℃)に浸漬した後の表面抵抗は浸漬前の値(5.3Ω
/□)から0.1Ω/□変化しただけの5.2Ω/□で
あり、このことから当該導電性積層体の耐アルカリ性は
良好であることが確認された。
【0043】実施例6 金属薄膜層としてAgとAuとからなる合金薄膜層(以
下、Ag−Au合金薄膜層と表記する)を形成した以外
は実施例2と同様にして、ガラス基板(コーニング社製
のガラス基板(#7059))の一主表面上に第1の複
合酸化物層、金属薄膜層(Ag−Au合金薄膜層)およ
び第2の複合酸化物層を順次積層し、これにより目的と
する積層体を得、同時に目的とする透明基板を得た。な
お、第1の複合酸化物層および第2の複合酸化物層は共
に実施例2と同条件で形成し、Ag−Au薄膜層はスパ
ッタリングターゲットとしてAgとAuとからなる合金
(Agの含有量=70wt%)を用い、スパッタリング
時の真空度1×10-3Torr、雰囲気ガス=アルゴンガス
(酸素濃度は0%)、RF出力50W、基板温度20
℃、スパッタリング時間1分の条件でRFマグネトロン
スパッタリングを行うことで形成した。
【0044】このようにして得られた積層体では、実施
例2で得た導電性積層体と同様に、XRD測定結果より
第1の複合酸化物層および第2の複合酸化物層は共にI
23 とZnOとからなる非晶質複合酸化物によって
形成されていることがわかった。また、積層膜のICP
測定結果より、いずれの非晶質複合酸化物層においても
全金属元素に占めるInの割合は66.7モル%であっ
た。さらに、AESデプスプロファイルによる測定結果
から、第1の非晶質複合酸化物層および第2の非晶質複
合酸化物層の膜厚は共に300オングストローム、Ag
−Au薄膜層の膜厚は50オングストロームであること
が確認された。
【0045】この積層体の4端子法により測定した表面
抵抗は5.3Ω/□であった。また、表層である第2の
非晶質複合酸化物層の抵抗率は、実施例2と同様に5.
7×10-4Ω・cmであると予想された。この導電性積
層体の光透過率(波長550nmの光の透過率)は87
%であった。得られた導電性積層体のエッチング性を実
施例1と同様にして調べたところ、導通がなくなるのに
要した浸漬時間は1分であり、このことから当該導電性
積層体のエッチング性は良好であることが確認された。
また、この導電性積層体の耐アルカリ性を実施例1と同
様にして調べたところ、NaOH5wt%溶液(液温4
0℃)に浸漬した後の表面抵抗は浸漬前の値(5.3Ω
/□)から0.1Ω/□変化しただけの5.2Ω/□で
あり、このことから当該導電性積層体の耐アルカリ性は
良好であることが確認された。
【0046】比較例1 透明基板としてコーニング社製のガラス基板(#705
9)を用意し、このガラス基板の一主表面に第1のTi
2 層、Ag薄膜層および第2のTiO2 層を順次積層
することで積層体を得た。なお、第1のTiO2 層およ
び第2のTiO2 層はスパッタリングターゲットとして
TiO2 を用い、スパッタリング時の真空度1×10-3
Torr、雰囲気ガス=アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガ
ス(酸素濃度は0.28%)、RF出力100W、基板
温度20℃、スパッタリング時間5分の条件のRFマグ
ネトロンスパッタリング法により形成し、これらの層の
膜厚は共に300オングストロームであった。また、A
g薄膜層はスパッタリングターゲットとしてAgを用
い、スパッタリング時の真空度1×10-3Torr、雰囲気
ガス=アルゴンガス(酸素濃度は0%)、RF出力50
W、基板温度20℃、スパッタリング時間1分の条件の
RFマグネトロンスパッタリング法により形成し、その
膜厚は50オングストロームであった。
【0047】このようにして得られた積層体についてX
RD測定を行った結果、Agのピークの他にTiO2
ピークが認められた。このことから、第1のTiO2
および第2のTiO2 層は結晶質であることが確認され
た。この積層体の表面抵抗を4端子法により測定したと
ころ、11Ω/□であった。また、この導電性積層体の
光透過率(波長550nmの光の透過率)は73%であ
った。得られた導電性積層体のエッチング性を実施例1
と同様にして調べたところ、導通がなくなるのに要した
浸漬時間は5分であり、このことから当該導電性積層体
のエッチング性は実施例1〜実施例6で得られた各導電
性積層体よりも大幅に劣ることが確認された。また、こ
の導電性積層体の耐アルカリ性を実施例1と同様にして
調べたところ、NaOH5wt%溶液(液温40℃)に
浸漬した後の表面抵抗は浸漬前の値(11Ω/□)から
5.9Ω/□も増えた16.9Ω/□であり、このこと
から当該導電性積層体の耐アルカリ性は実施例1〜実施
例6で得られた各導電性積層体よりも大幅に劣ることが
確認された。
【0048】比較例2 第1の複合酸化物層および第2の複合酸化物層として、
組成が本発明の限定範囲外の複合酸化物であるTiO2
−SnO2 系複合酸化物の層を形成した以外は実施例2
と同様にして、ガラス基板(コーニング社製のガラス基
板(#7059))の一主表面上に第1の複合酸化物
層、Ag薄膜層および第2の複合酸化物層を順次積層
し、これにより積層体を得た。なお、第1の複合酸化物
層および第2の複合酸化物層はスパッタリングターゲッ
トとしてTiO2 とSnO2 とからなる焼結体(Tiと
Snのモル比はTi/Sn=2)を用い、スパッタリン
グ時の真空度1×10-3Torr、雰囲気ガス=アルゴンガ
スと酸素ガスとの混合ガス(酸素濃度は0.28%)、
RF出力100W、基板温度20℃、スパッタリング時
間7.5分の条件のRFマグネトロンスパッタリング法
により形成し、これらの層の膜厚はAES測定結果より
共に300オングストロームであった。また、Ag薄膜
層は実施例2と同条件で形成し、その膜厚は50オング
ストロームである。このようにして得られた積層体の表
面抵抗を4端子法により測定したところ、2MΩ/□以
上と極めて高かった。なお、この積層体の光透過率(波
長550nmの光の透過率)は80%であった。
【0049】比較例3 透明基板としてコーニング社製のガラス基板(#705
9)を用意し、このガラス基板の一主表面に第1のIT
O層(全金属元素に占めるInの割合は、積層膜のIC
P測定結果より、本発明の限定範囲外である95モル
%)、Ag薄膜層および第2のITO層(全金属元素に
占めるInの割合は、第1のITO層同様、本発明の限
定範囲外である95モル%)を順次積層することで積層
体を得た。なお、第1のITO層および第2のITO層
はスパッタリングターゲットとしてITO(SnO2
5wt%,全金属元素に占めるInの割合=95モル
%)を用い、スパッタリング時の真空度1×10-3Tor
r、雰囲気ガス=アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス
(酸素濃度は0.28%)、RF出力100W、基板温
度20℃、スパッタリング時間5分の条件のRFマグネ
トロンスパッタリング法により形成し、これらの層の膜
厚は積層体のAES測定結果より共に300オングスト
ロームであった。また、Ag薄膜層はスパッタリングタ
ーゲットとしてAgを用い、スパッタリング時の真空度
1×10-3Torr、雰囲気ガス=アルゴンガス(酸素濃度
は0%)、RF出力50W、基板温度20℃、スパッタ
リング時間1分の条件のRFマグネトロンスパッタリン
グ法により形成し、その膜厚は積層体のAES測定結果
より50オングストロームであった。
【0050】このようにして得られた積層体についてX
RD測定を行った結果、Agのピークの他にITOのピ
ークが認められた。このことから、第1のITO層およ
び第2のITO層は結晶質であることが確認された。こ
の積層体の表面抵抗を4端子法により測定したところ、
12Ω/□であった。また、この導電性積層体の光透過
率(波長550nmの光の透過率)は75%であった。
得られた導電性積層体のエッチング性を実施例1と同様
にして調べたところ、導通がなくなるのに要した浸漬時
間は5分であり、このことから当該導電性積層体のエッ
チング性は実施例1〜実施例6で得られた各導電性積層
体よりも大幅に劣ることが確認された。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導電性積
層体はエッチング性および耐アルカリ性に優れている。
したがって、本発明によればエッチング法により精細な
パターンに成形することが容易で、かつエッチングの前
後で導電性の変化が小さい導電性積層体およびこの導電
性積層体を利用した導電性透明基板が提供される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚100〜1000オングストローム
    の第1の非晶質複合酸化物層の上に膜厚10〜50オン
    グストロームの金属薄膜層と膜厚100〜1000オン
    グストロームの第2の非晶質複合酸化物層とが順次積層
    されてなる層構成を有し、前記第1の非晶質複合酸化物
    層および前記第2の非晶質複合酸化物層が共にIn酸化
    物とSn,GaおよびZnからなる群より選択された1
    種または複数種の金属の酸化物とからなる複合酸化物で
    あって、全金属元素に占めるInの割合が55〜80モ
    ル%であるものからなり、前記金属薄膜層がAu,A
    g,Cu,PtおよびAlからなる群より選択された1
    種または複数種からなることを特徴とする導電性積層
    体。
  2. 【請求項2】 金属薄膜層がAg薄膜層またはAgとA
    uとの合金薄膜層である、請求項1に記載の導電性積層
    体。
  3. 【請求項3】 表層の非晶質複合酸化物層の抵抗率が1
    ×102 Ω・cm以下である、請求項1または請求項2
    に記載の導電性積層体。
  4. 【請求項4】 波長550nmの光の透過率が80〜9
    0%である、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導
    電性積層体。
  5. 【請求項5】 透明基板と、この透明基板の所定面上に
    直接またはアンダーコート層を介して形成された導電性
    積層体とを備え、前記導電性積層体が膜厚100〜10
    00オングストロームの第1の非晶質複合酸化物層の上
    に膜厚10〜50オングストロームの金属薄膜層と膜厚
    100〜1000オングストロームの第2の非晶質複合
    酸化物層とを順次積層してなる層構成を有するととも
    に、前記第1の非晶質複合酸化物層および前記第2の非
    晶質複合酸化物層が共にIn酸化物とSn,Gaおよび
    Znからなる群より選択された1種または複数種の金属
    の酸化物とからなる複合酸化物であって、全金属元素に
    占めるInの割合が55〜80モル%であるものからな
    り、前記金属薄膜層がAu,Ag,Cu,PtおよびA
    lからなる群より選択された1種または複数種からなる
    ことを特徴とする導電性透明基板。
  6. 【請求項6】 金属薄膜層がAg薄膜層またはAgとA
    uとの合金薄膜層である、請求項5に記載の導電性透明
    基板。
  7. 【請求項7】 導電性積層体における表層の抵抗率が1
    ×102 Ω・cm以下である、請求項5または請求項6
    に記載の導電性透明基板。
  8. 【請求項8】 導電性積層体における波長550nmの
    光の透過率が80〜90%である、請求項5〜請求項7
    のいずれかに記載の導電性透明基板。
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