JP6864080B2 - 積層体、建材、窓材及び放射冷却装置 - Google Patents

積層体、建材、窓材及び放射冷却装置 Download PDF

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Description

本開示は、積層体、建材、窓材及び放射冷却装置に関する。
現在、省エネルギーの観点から、建材、窓材等に対し、断熱機能がより求められるようになっている。例えば住宅において、特に大きな熱の流出入源として、窓ガラスが考えられる。
断熱機能が高い断熱材としては、真空断熱材(0.002W/(m・K))、グラスウール(0.03W/(m・K))等が知られている。しかし、これら真空断熱材及びグラスウールは、いずれも光学的には不透明な材料であるため、窓材としては利用しにくい。
また、窓材として、互いに距離を隔てて配置された2枚の窓ガラスを備え、2枚の窓ガラスによって挟まれた空間を真空にした構造の真空ガラスが利用されている。
しかし、真空ガラスには、窓ガラスを2枚にすることにより重量が増加するという問題や、真空を維持する構造が必要であるためコストが高いという問題がある。
上述した背景の下、光学的性質又は断熱性を備えた各種の積層体が検討されている。
例えば、特開2006−334787号公報には、可視光透過性が高くかつ赤外光の遮断性の高い透明断熱積層体として、透明基板上に熱線を反射する金属層と透明な光補償層を交互に複数層積層して、可視光を透過し、熱線を反射するようにした透明断熱積層体において、該光補償層が導電性の金属酸化物からなる透明導電層であり、波長510nmでの光透過率T(510)が74%以上で、波長700nmの光透過率T(700)と波長900nmでの光透過率T(900)との比T(900)/T(700)が0.3以下である透明断熱積層体が開示されている。
また、特開2013−256104号公報には、優れた熱線反射性、可視光透過率および電波透過性を有する熱反射構造体として、基材と、基材上に位置し、金属層および誘電体層が交互に積層されてなり、かつ、両最外層が誘電体層である交互積層体と、を有し、誘電体層は金属酸化物の結晶領域およびアモルファス領域から構成される、熱反射構造体が開示されている。
また、特開平10−182192号公報には、耐湿性を大巾に向上した断熱ガラスとして、ガラス基板の表面上に、少なくとも透明酸化物膜層、貴金属膜層、Al−Zn膜層を組み合わせ順次積層した積層膜であって、貴金属膜層を少なくともAl−Zn膜層で保護するように、Al−Zn膜層を存在させた断熱ガラスが開示されている。
しかし、特開2006−334787号公報、特開2013−256104号公報、及び特開平10−182192号公報に記載の技術に対し、熱伝導率をより低減し、断熱機能をより向上させることが求められている。
従って、本開示の課題は、熱伝導率が低減された積層体、並びに、上記積層体を備える、建材、窓材及び放射冷却装置を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 基材と、
基材上に配置され、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造と、
を備え、
積層構造を構成する層の数が10以上であり、
積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、
積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が0.05以上である積層体。
<2> 積層構造を構成する層の数が、100以上である<1>に記載の積層体。
<3> 積層構造が、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなる<1>又は<2>に記載の積層体。
<4> 2種以上の金属化合物における金属元素が、Si、Al、Nb、Mg、Zr、Ge、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素である<3>に記載の積層体。
<5> 固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層は、2種以上の金属酸化物層又は2種以上の金属窒化物層を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の積層体。
<6> 固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層は、Al層とSiO層との組み合わせ、Nb層とSiO層との組み合わせ、又は、AlN層とSiN層との組み合わせを含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の積層体。
<7> 更に、層厚が8nm超である光干渉層を備える<1>〜<6>のいずれか1つに記載の積層体。
<8> 400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率が、10%以上である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<9> 6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率が、10%以上である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<10> <1>〜<9>のいずれか1つに記載の積層体を備える建材。
<11> <8>又は<9>に記載の積層体を備える窓材。
<12> <9>に記載の積層体を備える放射冷却装置。
本開示によれば、熱伝導率が低減された積層体、並びに、上記積層体を備える、建材、窓材及び放射冷却装置が提供される。
実施例2の積層体の400nm〜800nmの波長領域での反射スペクトルである。 実施例2の積層体の400nm〜800nmの波長領域での透過スペクトルである。 実施例101の積層体の400nm〜800nmの波長領域での反射スペクトルである。 実施例101の積層体の400nm〜800nmの波長領域での透過スペクトルである。 実施例201の積層体の4μm〜15μmの波長領域での反射スペクトルであり 実施例201の積層体の4μm〜15μmの波長領域での透過スペクトルである。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書にいう「金属」の概念には、半金属(例えば、Si、Ge等)も含まれる。
本明細書にいう「光」は、電磁波全般を意味し、可視光には限定されない。
本明細書にいう「層厚」とは、1層の厚みを意味する。
〔積層体〕
本開示の積層体は、基材と、基材上に配置され、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造と、を備え、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が0.05以上である。
本開示の積層体は、基材及び積層構造以外の要素(例えば、後述の光干渉層)を備えていてもよい。
本開示の積層体は、熱伝導率が低減された積層体である。このため、本開示の積層体は、優れた断熱機能を有する。
かかる効果が奏される理由は、以下のように推測されるが、本開示の積層体は以下の理由によって限定されることはない。
本開示の積層体では、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造を備え、積層構造を構成する層の数が10以上である。
異なる2種の物質の界面には界面熱抵抗が存在する。
本開示の積層体では、積層構造を構成する層の数が10以上であることにより、この界面熱抵抗を有する界面の数が9以上であるため、熱伝導率が低減されると考えられる。
また、本開示の積層体は、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下である。
ここで、積層構造を構成する層の最大層厚とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の中での最大値を意味する。
固有音響インピーダンスは、物質の密度と音速との積である。固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造ではフォノンの界面反射が生じる。
本開示の積層体では、
固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造において、フォノンの界面反射が生じること、及び、
積層構造を構成する層の層厚(最大層厚として8nm以下)が、フォノンの平均自由行程とされている10数nmよりも小さいこと
の両方を満足することにより、フォノンの干渉が生じると考えられる。
このフォノンの干渉により、積層構造における熱伝導率が効果的に低減されると考えられる。
更に、本開示における積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が0.05以上である。
ここで、平均層厚とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の算術平均値を意味する。
また、層厚の標準偏差とは、積層構造を構成する全ての層の各々の厚さからなる母集団の標準偏差を意味する。
積層構造のCV値が0.05以上であることは、概略的に言えば、積層構造を構成する層の層厚に、ある程度のバラつき(詳細には層間でのバラつき)が存在することを意味している。
積層構造のCV値が0.05以上であることにより、熱伝導率が効果的に低減される。この理由は、積層構造を構成する層の層厚にある程度のバラつきが存在すること、及び、前述したフォノンの干渉が生じることにより、フォノンのアンダーソン局在が発生し、これにより、フォノンの平均透過率が減少し、その結果、積層構造における熱伝導率が効果的に低減されるためと考えられる。
本開示の積層体では、以上の理由により、熱伝導率が効果的に低減されていると考えられる。
次に、本開示の積層体の各要素について説明する。
<基材>
基材としては特に制限はなく、あらゆる基材を用いることができる。
基材の材質としては、例えば、ガラス、金属、金属化合物、プラスチック、セラミックス等が挙げられる。
ガラスとしては、例えば、天然石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダガラス、ランタンガラスなどが挙げられる。
金属としては、例えば、Si、Ge等が挙げられる。
金属化合物としては、例えば、ZnSe、ZnS、TlBrとTlIとの混合物、TlBrとTlClとの混合物、等が挙げられる。
基材の形状には特に制限はないが、様々な用途に適用できる点で、板形状が好ましい。
<積層構造>
本開示の積層体は、基材上に配置され、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造を備える。
(材質)
積層構造を構成する層は、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の材質の各々からなる層であることが好ましい。
積層構造を構成する、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の材質は、2種以上の有機物であってもよいし、2種以上の無機物であってもよいし、1種以上の有機物と1種以上の無機物との組み合わせであってもよい。
物質の固有音響インピーダンスの具体的な値(単位:N・s/m)については、機械音響学(安田仁彦、2004年 コロナ社)を参照できる。
積層構造は、積層構造を構成する最小の固有音響インピーダンスに対する比が1.1以上(より好ましくは1.5以上)の異なる2種以上の層からなることが好ましい。
積層構造は、成膜の容易性から、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなることが好ましい。
積層構造を構成する層は、上記2種以上の金属化合物の各々からなる2種以上の層であることが好ましい。
積層構造の具体的態様としては、例えば、
金属酸化物からなる層(以下、「金属酸化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属窒化物からなる層(以下、「金属窒化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属酸窒化物からなる層(以下、「金属酸窒化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
金属硫化物からなる層(以下、「金属硫化物層」ともいう)を2種以上含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属酸窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
1種以上の金属窒化物層と1種以上の金属酸窒化物層とを含む態様、
1種以上の金属窒化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
1種以上の金属酸窒化物層と1種以上の金属硫化物層とを含む態様、
等が挙げられる。
積層構造の好ましい態様は、
1種目の層(以下、「X層」ともいう)と2種目の層(以下、「Y層」ともいう)とを、X層/Y層/X層/Y層/X層・・・のように、交互に配置した構造、又は、
上記交互に配置した構造の任意の層間に、X層及びY層以外のその他の層の少なくとも1種を挿入した構造である。
上記その他の層の少なくとも1種を挿入した構造としては、例えば、X層/Y層/Z層/X層/Y層/W層/X層・・・の構造がある。ここで、Z層は、3種目の層であり、W層は、4種目の層である。
金属化合物における金属元素は、Si、Al、Nb、Mg、Zr、Ge、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種(より好ましくは2種以上)の元素であることが好ましい。
金属化合物における金属元素は、Si、Al、及びNbからなる群から選択される少なくとも1種(より好ましくは2種以上)を含むことが好ましく、Si及びAlからなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましく、Siを含むことが特に好ましい。
金属酸化物としては、Al、SiO、Nb、MgO、GeO、ZnO、ZrO等が挙げられる。
金属窒化物としては、AlN、SiN等が挙げられる。
金属酸窒化物としては、AlON、SiON、等が挙げられる。
金属硫化物としては、ZnS等が挙げられる。
固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層は、熱伝導率低減の効果がより効果的に得られる点から、2種以上の金属酸化物層又は2種以上の金属窒化物層を含むことが好ましく、Al層とSiO層との組み合わせ、Nb層とSiO層との組み合わせ、又は、AlN層とSiN層との組み合わせを含むことが特に好ましい。
(層の数)
積層構造を構成する層の数は、前述のとおり10以上である。
積層構造を構成する層の数は、積層体の熱伝導率をより低減させる観点から、好ましくは20以上であり、より好ましくは50以上であり、更に好ましくは100以上である。
積層構造を構成する層の数の上限には特に制限はない。積層体の製造適性の観点から、積層構造を構成する層の数の上限は、例えば1000万であり、好ましくは300万であり、特に好ましくは100万である。
(最大層厚、平均層厚)
積層構造を構成する層の最大層厚は、8nm以下である。これにより、前述のとおり、積層体の熱伝導率が低減される。
積層構造を構成する層の最大層厚は、積層体の熱伝導率をより低減させる観点から、好ましくは5nm以下であり、より好ましくは4nm以下である。
積層構造を構成する層の最大層厚の下限には特に制限はない。層形成(成膜)の適性の観点から、積層構造を構成する層の最大層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
積層構造を構成する層の平均層厚の上限は、好ましくは7nm、より好ましくは4nm、特に好ましくは3nmである。
積層構造を構成する層の平均層厚の下限は、好ましくは1nm、より好ましくは2nmである。
(CV値)
積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が、0.05以上である。
熱伝導率をより低減する観点から、積層構造を構成する層の層厚のCV値は、好ましくは0.10以上である。
積層構造を構成する層の層厚のCV値の上限には特に制限はないが、上限は、例えば0.60である。
<光干渉層>
本開示の積層体は、層厚が8nm超である光干渉層を少なくとも1層備えることが好ましい。これにより、積層体の光学的機能をより向上させることができる。
上述したとおり、本開示における積層構造を構成する各層の層厚(最大層厚でも、8nm以下)は、可視光(400nm〜800nm)の波長に対し著しく小さい。このため、可視光は、積層構造の中の例えばX層とY層とを区別することはできない。従って、可視光からみると、積層構造は、平均的な屈折率を持つ1層の混合材料膜として捉えられる。可視光よりも長波長側の電磁波からみても、同様のことが言える。
従って、積層構造から見て、基材側及び/又は基材とは反対側に、光干渉層を配置することにより、積層体の光学的機能をより向上させることができる。例えば、積層構造に、特定の波長に対する反射防止効果を持たせたり、特定の波長に対する増反射効果を持たせることができる。
光干渉層の層厚は、8nm超であればよく、特に制限されないが、好ましくは8.3nm以上であり、より好ましくは9nm以上であり、特に好ましくは10nm以上である。
光干渉層の層厚の上限は、光干渉層の製造適性の観点から、好ましくは1000nmであり、より好ましくは200nmであり、特に好ましくは100nmである。
光干渉層の材質としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、Si(単体)、又はGe(単体)が好ましい。
光干渉層の材質としての上記金属化合物における金属元素としては、Si、Al、Nb、Mg、Zr、La、Ti、Y、Ca、Ba、Li、及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
本開示の積層体において、着目する波長範囲としては、400nm〜800nmの波長範囲(即ち、可視領域)、6μm〜12μmの波長範囲(即ち、赤外領域の一部)、等が挙げられる。
<態様A>
本開示の積層体の好ましい態様として、積層体の400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である態様Aが挙げられる。
態様Aに係る積層体は、熱伝導率が低減されたことにより優れた断熱機能を有し、かつ、波長400nm〜800nmの可視光線を透過させる機能を有する。
態様Aの積層体は、窓材(例えば、建築用の窓材、車両用の窓材、航空機用の窓材、船舶用の窓材等)の一部又は全部として好適である。
態様Aは、
基材の材質がガラスであり、
積層構造の材質が、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物であり、
金属化合物の金属元素が、Si、Al、Nb、Mg、Zr、及びZnからなる群から選択される1種以上(より好ましくは2種以上)である場合に、より実現し易い。
(最低透過率)
態様Aに係る積層体は、400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
本明細書において、400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率とは、400nm〜800nmの波長範囲における透過率の最低値を意味する。
400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上である。
400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率の上限には特に制限はないが、積層体の製造適性の観点から、好ましい上限は99%である。
(最高反射率)
態様Aに係る積層体は、反射防止機能の観点から、400nm〜800nmの波長範囲における最高反射率が10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましく、4%以下であることが更に好ましい。
本明細書において、400nm〜800nmの波長範囲における最高反射率とは、400nm〜800nmの波長範囲における反射率の最高値を意味する。
400nm〜800nmの波長範囲における最高反射率は、0%であってもよいし、0%超であってもよい。
400nm〜800nmの波長範囲における最高反射率の低減は、態様Aに係る積層体が上述した光干渉層を備える場合に、より達成し易い。
態様Aに係る積層体が備え得る光干渉層の材質としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物が好ましい。上記金属化合物における金属元素としては、Si、Al、Nb、Mg、Zr、La、Ti、Y、Ca、Ba、Li、及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
<態様B>
本開示の積層体の好ましい態様として、積層体の6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である態様Bが挙げられる。
態様Bに係る積層体は、熱伝導率が低減されたことにより優れた断熱機能を有し、かつ、波長6μm〜12μmの赤外線を透過させる機能を有する。
態様Aの積層体は、放射冷却機能を有する窓材(例えば、放射冷却装置用の窓材)の一部又は全部として好適である。
態様Bは、
基材の材質が、Si、Ge、ZnSe、ZnS、TlBrとTlIとの混合物、又は、TlBrとTlClとの混合物であり、
積層構造の材質が、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物であり、
金属化合物の金属元素が、Si、Al、Nb、Mg、Zr、及びZnからなる群から選択される1種以上(より好ましくは2種以上)である場合に、より実現し易い。
(最低透過率)
態様Bに係る積層体は、6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率が10%以上である。
本明細書において、6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率とは、6μm〜12μmの波長範囲における透過率の最低値を意味する。
6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。
6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率の上限には特に制限はないが、積層体の製造適性の観点から、好ましい上限は99%であり、より好ましく上限は90%であり、更に好ましい上限は80%である。
(最高反射率)
態様Bに係る積層体は、反射防止機能の観点から、6μm〜12μmの波長範囲における最高反射率が、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。
本明細書において、6μm〜12μmの波長範囲における最高反射率とは、6μm〜12μmの波長範囲における反射率の最高値を意味する。
6μm〜12μmの波長範囲における最高反射率は、0%であってもよいし、0%超であってもよい。
6μm〜12μmの波長範囲における最高反射率の低減は、態様Bに係る積層体が上述した光干渉層を備える場合に、より達成し易い。
態様Bに係る積層体が備え得る光干渉層の材質としては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属フッ化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物、Si(単体)、又はGe(単体)が好ましい。上記金属化合物における金属元素としては、Si、Al、Nb、Mg、Zr、La、Ti、Y、Ca、Ba、Li、及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
〔建材〕
本開示の建材は、上述した本開示の積層体を備える。
本開示の建材は、熱伝導率が低減された本開示の積層体を備えるので、優れた断熱機能を有する。
建材としては、壁材、床材、窓材、等が挙げられる。
本開示の建材は、上述した本開示の積層体自体であってもよいし、上述した本開示の積層体と他の部材との複合部材であってもよい。
他の部材としては、建材の分野において公知のあらゆる部材を用いることができ、特に制限はない。
〔窓材〕
本開示の窓材は、上述した態様A又は態様Bに係る積層体を備える。
本開示の窓材は、熱伝導率が低減された本開示の積層体を備えるので、優れた断熱機能を有する。更に、態様A又は態様Bにおける光学的機能を有する。
窓材としては、建築用の窓材、車両用の窓材、航空機用の窓材、船舶用の窓材、放射冷却装置用の窓材、等が挙げられる。
本開示の窓材は、態様A又は態様Bに係る積層体自体であってもよいし、態様A又は態様Bに係る積層体と他の部材との複合部材であってもよい。
他の部材としては、建築、車両、航空機、船舶、放射冷却装置、等の各種技術分野において公知のあらゆる部材を用いることができ、特に制限はない。
態様Aに係る積層体を備える窓材は、建築用の窓材、車両用の窓材、航空機用の窓材、船舶用の窓材等として好適である。
態様Aに係る積層体を備える窓材は、建築用の窓材、車両用の窓材、航空機用の窓材、船舶用の窓材等の機能として求められる、波長400nm〜800nmの可視光線を透過させる機能を有し、かつ、優れた断熱機能を有する。
態様Bに係る積層体を備える窓材は、放射冷却装置用の窓材として好適である。
態様Bに係る積層体を備える窓材は、放射冷却装置用の窓材の機能として求められる、波長6μm〜12μmの赤外線を透過させる機能を有し、かつ、優れた断熱機能を有する。
ここで、放射冷却装置の一例について説明する。
本一例に係る放射冷却装置は、装置内部に収容された冷却対象物を放射冷却現象を利用して冷却する装置である。即ち、本一例に係る放射冷却装置は、冷却対象物を収容する内部空間を有する。本一例に係る放射冷却装置用の窓材は、上記内部空間を確定するための隔壁の一部を構成し、内部空間からみて天空側に配置される。
上記放射冷却装置による冷却対象物の冷却(放射冷却)は、内部空間から天空に向けて、波長6μm〜12μmの赤外線を放射することによって行う。従って、放射冷却装置用の窓材には、第1の機能として、波長6μm〜12μmの赤外線を透過させる機能が求められる。更に、放射冷却装置用の窓材には、第2の機能として、装置外部からの熱流入を抑制する機能(即ち、断熱機能)も求められる。
態様Bに係る積層体を備える窓材は、第1の機能及び第2の機能を有する、放射冷却装置用の窓材として好適である。
〔放射冷却装置〕
本開示の放射冷却装置は、態様Bに係る積層体を含む。
態様Bに係る積層体は、波長6μm〜12μmの赤外線を透過させる機能と、優れた断熱機能と、を有する。
従って、態様Bに係る積層体を備える本開示の放射冷却装置によれば、放射冷却効果と外部からの熱流入抑制効果とが両立されるので、冷却対象物を効果的に冷却することができる。
放射冷却装置の一例については上述したとおりである。
放射冷却装置としては、より具体的には、例えば、A. P. Ramanら著”Passive radiative cooling below ambient air temperature under direct sunlight” Nature, Vol. 515, 540, 2014.に記載された放射冷却装置が挙げられる。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<積層体の作製>
基材としてのSi基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、1種目の層(層X)としてのAl層と、2種目の層(層Y)としてのSiO層と、を交互に(即ち、基材/層X/層Y/層X/層Y・・・となる配置で。以下同様。)、それぞれ50層ずつ成膜することにより、層の数が100である積層構造を形成した。
この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
以上により、実施例1の積層体を得た。
ここで、Al及びSiOの固有音響インピーダンスは、それぞれ、2.5×10N・s/m及び1.3×10N・s/mであり、両者は異なる。
<層厚測定>
上記積層体における積層構造の断面を、FIB(Focused Ion Beam)加工によって形成し、得られた断面について、倍率16万倍、加速電圧300kVのSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像を取得した。STEMとしては、FEI社製のTitan80−300を用いた。
取得したSTEM像に基づき、100層それぞれの層厚を測定した。
得られた100層それぞれの層厚を母集団として、平均層厚(即ち、層厚の算術平均値)、最大層厚、及びCV値(=層厚の標準偏差/平均層厚)をそれぞれ求めた。
結果を表1に示す。
<熱伝導率の評価>
実施例1の積層体の上記積層構造のサーモリフレクタンス信号を取得するために、上記積層構造の最上層の表面に、RF(radio frequency)スパッタリング法により、Al薄膜20nmを成膜した。このAl薄膜の成膜後、周期80MHzのレーザ光を用い、表面加熱/表面検出方式のサーモリフレクタンス法により、実施例1の積層体の上記積層構造のサーモリフレクタンス信号を取得した。
同様にして、後述する比較例1の膜(SiO単層、層厚300nm)のサーモリフレクタンス信号を取得した。
上記で取得した実施例1及び比較例1のサーモリフレクタンス信号を、それぞれ、有限要素法による熱伝導シミュレーションによって再現し、各々のサーモリフレクタンス信号を導出した。ここで、熱伝導シミュレーションは、周期80MHzの加熱を開始してから定常状態になるまでの時間を模擬するために、2000psの間について行った。
導出したサーモリフレクタンス信号において、最後に加熱するパルスに対し200ps前の値に基づき、実施例1の積層構造の熱伝導率を算出した。熱伝導率の算出条件は、比較例1の膜の熱伝導率とSiOの熱伝導率の文献値1.38W/(m・K)とが一致する条件とした。
表1に、実施例1の熱伝導率(シミュレーションによる算出結果)を、比較例1の膜(SiO単層、層厚300nm)の熱伝導率を100とした場合の相対値として示す。
〔実施例2〕
基材を合成石英ガラス基板(以下、単に「石英ガラス」ともいう)に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
基材としてのSi基板上に、ラジカルアシステッドスパッタ装置による気相成膜により、Nb層(層X)とSiO層(層Y)とを交互に、それぞれ50層ずつ成膜することにより、層の数が100である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
ここで、Nb及びSiOの固有音響インピーダンスは、それぞれ、3.2×10N・s/m及び1.3×10N・s/mであり、両者は異なる。
得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
基材としてのSi基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、1層のSiO層を形成した
得られたSiO層について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例2〕
基材としてのSi基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、Al層(層X)とSiO層(層Y)とを交互に成膜することにより、層の数が7(詳細には、Al層4層及びSiO層3層)である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例3〕
基材としての石英ガラス基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、Al層(層X)とSiO層(層Y)とを交互に、それぞれ50層ずつ成膜することにより、層の数が100である積層構造を形成した。この際、50層のAl層の成膜時間を全て同一とし、かつ、50層のSiO層の成膜時間を全て同一とすることにより、100層全てのそれぞれの層厚が3.0nmとなるようにした。
得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例4〕
基材としてのSi基板上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、Al層(層X)とSiO層(層Y)とを交互に成膜することにより、層の数が25(詳細には、Al層13層及びSiO層12層)である積層構造を形成した。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。
得られた積層構造について、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
結果を表1に示す。
Figure 0006864080

表1より、積層構造を構成する層の数が10以上であり、積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、積層構造のCV値が0.05以上である実施例1〜3の積層構造は、比較例1の膜及び比較例2〜4の積層構造と比較して、熱伝導率が低いことがわかる。
〔実施例101〕
<積層体の形成>
基材としての石英ガラス上に、表2に示す材質の光干渉層1〜8を、RF(Radio Frequency)スパッタリング装置によってこの順に形成した。次に、光干渉層8上に、実施例2で形成した積層構造(100層)を形成した。形成された積層構造上に、表2に示す光干渉層9及び10をこの順に形成した。
以上により、表2に示す層構成を有する実施例101の積層体を得た。
表2に示す屈折率は、ファイブラボ社製分光エリプソメータMASSを用いて測定された、測定波長540nmにおける屈折率である(後述の表3も同様である)。
表2に示す厚さは、実施例1における層厚測定と同様の方法(但し、測定倍率は、測定対象の厚さに合わせ適宜選択した)によって測定された値である(後述の表3も同様である)。
Figure 0006864080

<400nm〜800nmの波長領域での分光特性>
実施例101の積層体について、日立製作所社製分光光度計U−4000を用い、400nm〜800nmの波長領域での分光特性(反射スペクトル及び透過スペクトル)を測定した。
同様に、実施例2の積層体についても、400nm〜800nmの波長領域での分光特性(反射スペクトル及び透過スペクトル)を測定した。
図1は、実施例2の積層体の400nm〜800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図2は、実施例2の積層体の400nm〜800nmの波長領域での透過スペクトルであり、図3は、実施例101の積層体の400nm〜800nmの波長領域での反射スペクトルであり、図4は、実施例101の積層体の400nm〜800nmの波長領域での透過スペクトルである。
図2及び図4より、実施例2及び101の積層体は、いずれも、400nm〜800nmの波長領域での透過率(Transmittance)が60%超であることがわかる。従って、いずれの積層体も、窓材(例えば、建築用の窓材、車両用の窓材、航空機用の窓材、船舶用の窓材等)として利用できることがわかる。
また、図1と図3との対比より、光干渉層1〜10を備える実施例101の積層体は、光干渉層1〜10を備えない実施例2の積層体と比較して、400nm〜750nmの波長領域での反射率(Reflectance)を選択的に低減できることがわかる。
〔実施例201〕
<積層体の形成>
基材としてのGe基板上に、光干渉層としてZnS層を、電子ビーム蒸着によって形成した。この光干渉層上に、電子サイクロトロンスパッタ装置による気相成膜により、SiN層とAlN層とをそれぞれ50層ずつ交互に成膜することにより、積層構造を形成した(層数は100)。この際、1層ごとに成膜時間を変化させることにより、1層毎の層厚にバラつきが生じるようにした。また、光干渉層に接する層は、SiN層とした。以上により、実施例201の積層体を得た。
ここで、SiN及びAlNの固有音響インピーダンスは、それぞれ、3.6×10N・s/m及び3.3×10N・s/mであり、両者は異なる。
<層厚の測定、熱伝導率の評価>
実施例201の積層体を用い、実施例1と同様の測定及び評価を実施した。
その結果、積層構造を構成する層の平均層厚は3.1nmであり、最大層厚は3.5nmであり、CV値は0.13であった。
また、比較例1の熱伝導率を100とした場合の実施例201の熱伝導率は、70であった。
表3に、実施例201の積層体の層構造を示す。
Figure 0006864080

<4μm〜15μmの波長領域での分光特性>
実施例201の積層体について、日本分光社製FTIR VIR−200を用い、4μm〜15μmの波長領域での分光特性(反射スペクトル及び透過スペクトル)を測定した。
図5は、実施例201の積層体の4μm〜15μmの波長領域での反射スペクトルであり、図6は、実施例201の積層体の4μm〜15μmの波長領域での透過スペクトルである。
図6より、実施例201の積層体は、6μm〜12μmの波長領域での透過率(Transmittance)が40%超であることがわかる。この結果から、実施例201の積層体は、放射冷却装置用の窓材として利用できることがわかる。
図5より、実施例201の積層体は、7μm〜10μmの波長領域での反射率(Reflectance)を選択的に低減できることがわかる。この結果から、実施例201の積層体は、7μm〜10μmの波長領域での反射率を抑制しながら、この波長範囲の赤外線を透過させることができることがわかる。従って、放射冷却装置用の窓材として利用した場合に、効果的な放射冷却の効果が得られることがわかる。
2017年3月30日に出願された日本国特許出願2017−069169号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 基材と、
    前記基材上に配置され、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造と、
    を備え、
    400nm〜800nmの波長範囲における最低透過率が、10%以上であり、
    400nm〜800nmの波長範囲における最高反射率が、10%以下であり、
    前記積層構造を構成する層の数が10以上であり、
    前記積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、
    前記積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が0.05以上であり、
    前記積層構造は、金属酸化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなり、
    前記固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層は、Al 層とSiO 層との組み合わせ、又は、Nb 層とSiO 層との組み合わせを含む積層体。
  2. 前記積層構造を構成する層の数が、100以上である請求項1に記載の積層体。
  3. 更に、層厚が8nm超である光干渉層を備える請求項1又は請求項に記載の積層体。
  4. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の積層体を備える建材。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の積層体を備える窓材。
  6. 基材と、
    前記基材上に配置され、固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層からなる積層構造と、
    を備え、
    8μm〜9μmの波長範囲における最低透過率が、80%超であり、
    6μm〜12μmの波長範囲における最高反射率が、40%以下であり、
    前記積層構造を構成する層の数が10以上であり、
    前記積層構造を構成する層の最大層厚が8nm以下であり、
    前記積層構造は、層厚の標準偏差/平均層厚で定義されるCV値が0.05以上であり、
    前記積層構造は、金属窒化物、金属酸窒化物、及び金属硫化物からなる群から選択される2種以上の金属化合物からなり、
    前記固有音響インピーダンスが異なる2種以上の層は、AlN層とSiN層との組み合わせを含む積層体。
  7. 前記積層構造を構成する層の数が、100以上である請求項に記載の積層体。
  8. 更に、層厚が8nm超である光干渉層を備える請求項6又は請求項に記載の積層体。
  9. 6μm〜12μmの波長範囲における最低透過率が、10%以上である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 請求項〜請求項のいずれか1項に記載の積層体を備える建材。
  11. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の積層体を備える窓材。
  12. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の積層体を備える放射冷却装置。
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