JP5660425B2 - グラフェン膜のエピタキシャル成長方法 - Google Patents

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Description

本発明はグラフェン膜の作製方法に関し、詳しくはムーアの法則後のエレクトロニクスから、超高感度センサ、アクチュエータ、更には透明電極に至るまでの広い用途が期待される、大サイズ、均一、高品質のグラフェン膜の合成に使用される方法に関する。
グラフェンとは、二次元(2D)のハニカム格子状に密にパックされた平坦な炭素原子の単層に与えられた名称であり、他の全ての次元のグラファイト材料の基本構成単位である。グラフェンは丸めて0Dのフラーレンとなることができ、巻くことで1Dのナノチューブと、あるいは積み上げて3Dのグラファイトとなることができる。
sp結合された2Dハニカム格子であるグラフェンは、量子ホール効果や準粒子結合における特異な挙動のような普通とは異なる特性を豊富に示した。室温における非常に高いキャリア移動度と長距離バリスティック伝導、ナノリボン中での量子閉じ込め、化学ドーピングの可能性、また単一分子ガス検出可能な高い感度を有することから、光電子工学からセンサ、電極に至るまでの広い範囲にわたる応用の可能性が見込まれる(非特許文献1を参照のこと)。
グラフェン膜を作成するためのいくつかの方法が提案されている。機械的剥離法(非特許文献2を参照のこと)によれば、個別の、高品質だがマイクロメートル程度の寸法の結晶しかできない。このことは、本方法の実用性に疑問を抱かせるものである。6H−及び4H−SiC上でのエピタキシャル成長法が活発に追求されているが(非特許文献3を参照のこと)、均一な厚さを持つ大きなグラフェン領域を得ることは依然として課題となっており(非特許文献3を参照のこと)、またSiC熱分解における出発材料として使用されるSiC単結晶材料は非常に高価である。グラファイト液相剥離法(非特許文献4を参照のこと)及びグラフェン酸化物還元法(非特許文献5を参照のこと)では高収率のグラフェンプレートを作成できる。しかしながら、これらの2つの解決方法では、高品質で、また層構成及びサイズがコントロールされたグラフェンシートを作成することはできない。
遷移金属箔あるいは膜上でのグラフェン膜合成が報告されている。化学気相堆積(CVD)プロセスは約1000℃という高い温度と気体状の炭素源を必要とする(非特許文献6を参照のこと)。CVD法では一般にSiO基板上へのNiまたはCu膜の触媒層の形成をともなうか、あるいは触媒層として厚いNiまたはCu円盤かホイルを使用する。ここで形成されるNiまたはCu膜は多結晶質であり、従って合成されたグラフェン膜は構造的な欠陥を有し、また多様な枚数のグラフェン層が混ざったものとなる(非特許文献7を参照のこと)。このことが、このようにしてCDV法で製造されたグラフェン膜が機械的剥離法によるグラフェン膜に比べて低い電荷キャリア移動度を示す主要な理由である。従来のCVD法を使って均一な厚さを持ち巨視的なサイズであって高い構造的品質を持ったグラフェンを作成するのは難題である。
従って、グラフェンの潜在的な応用を実現するためには、大規模で均一であり、高い構造的品質を有するグラフェンを作成するための新規な方法が求められている。
以下では、本発明のいくつかの側面の基本的な理解を与えるための本発明の簡略化した要約を提示する。この要約は本発明の包括的な概説ではなく、本発明の主要なつまり必須の要素を示すこともまた本発明の範囲を描写することも意図していない。むしろ、その主要な目的は、単に本発明の1つあるいは複数の概念を、後に与えるより詳しい説明の前置きとして簡略化した形態で提示することである。
本発明の少なくとも一つの側面によれば、単結晶基板を用意し、前記単結晶基板上に結晶質触媒層を設け、前記結晶質触媒層を設けた前記単結晶基板を処理し、前記結晶質触媒層の存在下でガス状炭素源を加熱して冷却することによってグラフェン膜を形成するステップを含む、グラフェン膜を生成する方法が与えられる。
前記処理は熱処理、研磨処理及びエッチング処理からなる群から選択された処理であってよい。
前記所定時間加熱するステップ後の前記結晶質触媒薄膜の結晶粒の結晶方位のばらつきが±5度の範囲に収まり、かつ前記結晶粒の大きさが1μmよりも大きくてよい。
前記基板はマイカ、BN、Si、Ge、GeS、BaF、MgF、LaF、GaF、LiF、GaAs、GaP、GaN、InAs、InP、InSb、BaTiO、LiNbO、LaAlO、NdGaO、SrTiO、SrTiO、LaAlO、LiGaO、LiTaO、YAlO、YVO、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、NiO、MgO、TeO、SiC及びサファイアからなる群から選択された1つの単結晶または複数の単結晶の組み合わせを含む単結晶基板であってよい。
前記触媒層の触媒材料はNi、Pt、Co、Fe、Al、Cr、Cu、Mg、Mn、Rh、Ti、Pd、Ru、Ir及びReからなる群から選択された1つまたは複数の元素を含んでよい。
前記触媒層の厚さは約1nmから約2mmの範囲であってよい。
前記触媒層を設けるステップは堆積によって行われ、前記単結晶基板は堆積を行っている間0℃から600℃の範囲に維持されてよい。
前記処理は300℃から1600℃の温度で1秒から200時間継続する加熱処理であってよい。
前記処理は真空あるいは不活性雰囲気で行われる加熱処理であってよい。
前記ガス状炭素源は1個から6個の炭素原子を含む化合物であってよい。
前記ガス状炭素源は、エタン、エチレン、エタノール、メタノール、アセトン、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ペンタン及びヘキサンからなる群から選択された1または複数の化合物であってよい。
上述のまた関連する目的を達成するため、以下の説明及び添付図面は本発明のある説明的な側面及び実装を詳細に提示する。これらは本発明の一つまたは複数の側面を使用できる態様のうちのごく一部を示しているだけである。本発明の他の側面、長所及び新規な特徴は、以下にある本発明の詳細な説明を添付図面とともに考察することで明らかになる。
本発明によれば、高価な材料や複雑なプロセスを使用することなく、大規模、均一かつ高品質のグラフェン膜を作成することができる。
本発明の実施例によるグラフェン膜を作成してそれを転送する方法を概念的に示す図。 (a)は実験例1に従って合成されたグラフェン膜の二次電子像、(b)は(a)に対応するC KLLオージェ電子マップ、(c)は(a)中の白いサンプル領域と黒いサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトル。 (a)は実験例2に従って合成されたグラフェン膜の走査電子顕微鏡像、(b)は(a)中の白いサンプル領域と黒いサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトル。 (a)は実験例3に従って合成されたグラフェン膜の走査電子顕微鏡像、(b)は(a)中の白いサンプル領域と黒いサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトル。 実験例4に従ってSiO/Si基板上に転送されたグラフェン膜の光学顕微鏡像。 実験例4に従ってSiO/Si基板上に転送されたグラフェン膜の3箇所のサンプル領域から得られたラマンスペクトル。
ここでは多様な実施例が説明的な実施例の図面及び詳細な説明によってより十全に説明される。それにもかかわらず、本発明は多様な形態で実現でき、これら説明的な実施例の図面及び詳細な説明で説明されている特定の実施例に限定されるものではない。
ここで開示するのは大規模、均一かつ高品質のグラフェン膜を作成する方法である。本方法を使用して作成されるグラフェン膜は、基板の形状、大きさ、厚さについての制限無しで、多様な用途についての多様な分野に適用することができる。このような基板は単結晶である。単結晶であることは、高秩序の結晶質触媒薄膜を形成するため、ひいては構造上の品質が高くまた高性能のグラフェン膜を作成するために重要である。本願において、結晶質触媒薄膜は、その結晶粒の結晶方位のばらつきが±5度の範囲に収まり(より好ましくは、全結晶粒の結晶方位のばらつきが±5度の範囲に収まるとともに、その99%のばらつきが±2度の範囲に収まる)、また結晶粒の大きさが1μmよりも大きければ、高秩序であると考えられる。単結晶基板を使用することは、本発明の最も重要な点の一つである。触媒の結晶格子定数が選択された基板の格子定数に整合していることが好ましい。また、選択された触媒の結晶格子定数がグラフェンの結晶格子定数と整合しているのも好ましい。好ましくは、触媒薄膜のエピタキシャル成長が単結晶基板上で起こり、この触媒層上でグラフェン膜のエピタキシャル形成が起こる。
本明細書で使用する「グラフェン膜」なる用語は、その中で複数の炭素原子が互いに共有結合している多環式芳香族分子の炭素骨格で構成される膜の形態のグラフェンあるいはグラフェン状物質の膜を示す。理論に拘束される意図はないが、共有結合された炭素原子は繰り返し単位として六員環を形成するが、四員環、七員環及び/または八員環も形成できる。従って、グラフェン膜中では、共有結合された炭素原子(通常はsp結合炭素)は単一の層を形成すると考えられる。グラフェン膜は多様な構造をとることができ、その構造は四員環、五員環、六員環、七員環及び/または八員環の量によって変わる。グラフェン膜は単一層のグラフェンからなることもできるし、二層のグラフェンでも、数層(3〜10層)のグラフェンでも、あるいは200層までの多層のグラフェンでもあり得る。
グラフェン膜は図1に説明されている方法に従って形成してよい。ここで開示された方法では、グラフェン膜102は、触媒層101を単結晶基板100上に室温であるいは基板温度を昇温させて作成し、この触媒層を処理して高秩序結晶を形成し、ガス状の炭素源の存在の下で結晶質基板上のこの結晶質触媒層を加熱し冷却することによってグラフェン膜を形成する、という手順で形成される。これらのプロセスはチャンバー内でなされ、また温度、時間、雰囲気及び圧力を制御して実行される。
単結晶基板はマイカ、BN、Si、Ge、GeS、BaF、MgF、LaF、GaF、LiF、GaAs、GaP、GaN、InAs、InP、InSb、BaTiO、LiNbO、LaAlO、NdGaO、SrTiO、SrTiO、LaAlO、LiGaO、LiTaO、YAlO、YVO4、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、NiO、MgO、TeO2、SiC及びサファイアからなる群から選択された少なくとも1つを含んでよい。これらの要素の組み合わせもまた使用できる。基本的な目的は、高秩序の触媒薄膜を基板上にエピタキシャル形成することである。単結晶基板は商業的に入手可能である。
触媒はNi、Cu、Pt、Co、Fe、Cr、Mn、Rh、Ti、Pd、Ru、Ir、Al、Mg及びReから成る群から選択された少なくとも1つの要素を含んでよい。これらの要素の組み合わせもまた使用できる。触媒層は薄膜の形態でもあるいは厚膜の形態でもよい。選択の基本原理は、単結晶基板と結晶質触媒の間で格子定数の整合を追及することである。
グラフェン膜を触媒表面上に生成するための炭素源は含有ガス状炭素化合物に由来するようにしてよい。ガス状炭素源は炭素を含む任意の化合物であってよく、特に6個以下の炭素原子を含む化合物、またもっとも特定的には2個以下の炭素原子を含む分子であってよい。ガス状炭素源の例には、エタン、エチレン、エタノール、メタノール、アセトン、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ペンタン及びヘキサンからなる群から選ばれた少なくとも1つが含まれる。
触媒層は薄膜の形態でもまた厚膜の形態でもよく、5nmから2mmという広い範囲、より特定的には約10nmから700nmの範囲の厚さであってよい。触媒層は電子ビーム堆積、電子銃堆積、スパッタリング、熱真空堆積などの当該技術分野で既知の多様な技法によって作成できる。高秩序の結晶質触媒層を形成するためには、基板は昇温状態に維持しておくことが好ましい。単結晶基板上への触媒層の堆積の後、高品質の結晶層を形成するためにこの触媒層に対する処理が必要になることもある。これは高品質グラフェン膜を作製するに当たって重要である。触媒層の処理の例は、これに限定されるものではないが、熱処理、研磨及びエッチングが挙げられる。
結晶質基板上の触媒層の加熱処理を、アルゴン、ヘリウムあるいは水素雰囲気中で、あるいは超高真空(約10−12torr)までの真空中で行ってよい。この熱処理は約300℃から1600℃で1秒から200時間までの間のある期間行ってよい。加熱は約0.1℃/分から約500℃/分までの間のレートで行ってよい。この加熱処理は抵抗加熱、放射加熱、誘導加熱、レーザー、赤外放射、マイクロ波、プラズマ、紫外放射、表面プラズマ加熱、あるいは当該技術分野で周知の同様な方法で実行してよい。
ガス状炭素源を300℃から1600℃で1秒から200時間の間のある期間加熱することによって、グラフェン膜のCVD成長を達成することができる。加熱は約0.1℃/分から約500℃/分の間のレートで行ってよい。アルゴン、ヘリウム、あるいは水素のようなキャリアガスを、ガス状炭素源とともにそのフローレートを制御しながら使用してよい。
アルゴンなどの不活性雰囲気中、あるいは超高真空(約10−12torr)までの真空中で、室温までの冷却プロセスを行ってよい。この冷却は約0.1℃/分から約500℃/分の間のレートで、あるいは電源を切ることによって自然冷却プロセスによって、行ってよい。
グラフェン形成度は加熱及び冷却プロセスの温度及び時間を調節することによって制御できる。更に、大規模、均一かつ高品質のグラフェン膜の成否は、大きなサイズのテラス部分を持つとともに段差の数の少ない、平滑な結晶質触媒表面にかかっているが、この条件は単結晶基板とこの基板上の結晶質触媒薄膜、更に加熱、冷却処理及びまたは圧力に依存する。単結晶基板は高品質結晶質触媒表面のエピタキシャル成長のためのテンプレートとして機能する。
グラフェンの形成は、ガス状炭素化合物が触媒表面で分解して単層の島状部を形成して更にこれらが触媒の全表面を覆う完全な単層グラフェンに融合することによるものである。二層、数層、及び200層までの多層グラフェンは、温度、成長時間及び雰囲気を制御することによって形成できる。これに加えて、このプロセスは、アルゴン、ヘリウムあるいは水素をガス状炭素化合物とともに供給することを含んでよい。
更には、触媒表面に形成されるグラフェン膜を、溶剤処理のような適切な方法を使用して触媒層から分離し、その所望の用途に従って任意の他の基板へ転送して多様なやり方で処理することができる。触媒表面からのグラフェン膜分離は、基板と合成されたグラフェン膜との間に介在する触媒層を除去することによって達成できる。この分離は一般には触媒を適切な溶剤を使用してエッチングすることでなされる。
以下の実験例を参照して、更に詳細な開示を行う。以下の実験例は単に例示目的であって、本発明の範囲を限定する意図でなされるものではない。
[実験例1]
Ni/マイカ基板上でのグラフェン膜合成
1.クリーンルーム中でマイカの新鮮な表面を用意した。
2.電子銃堆積により、5.0×10−8torrのベース圧力の下、0.1nm/秒の堆積レートで100nm厚のNi膜を1cm×1cmのマイカ基板上に堆積させた。
3.Ni/マイカのサンプルを石英管炉中に装填して、このチャンバーを約1.0×10−7torrのベース圧力まで真空引きした。
4.Ni/マイカを水素雰囲気の下で650℃、15時間、約5Paの圧力で処理した。
5.水素の供給を停止した。
6.Cガス状炭素源を流通させながら、温度を650℃で10分間保ち、また雰囲気を約1.0×10−5torrに維持した。
7.ガス状炭素化合物の供給を停止して、電源を切ることによって室温まで冷却した。
8.Ni/マイカ基板上のグラフェン膜を得た。
図2は実験例1によって得られたグラフェンの測定結果を示す。図2(a)はこのグラフェンのオージェ電子分光を使って得られた二次電子像である。図2(b)は図2(a)に対応するC KLLオージェ電子マップであり、図2(c)は図2(a)中の白と黒のサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトルを示す。これらの結果はグラフェン膜が均一であることを示している。
[実験例2]
Ni/マイカ基板上でのグラフェン膜合成
1.クリーンルーム中でマイカの新鮮な表面を用意した。
2.電子銃堆積により、5.0×10−8torrのベース圧力の下、0.1nm/秒の堆積レートで100nm厚のNi膜を2cm×2cmのマイカ基板上に堆積させた。
3.Ni/マイカのサンプルを石英管炉中に装填して、このチャンバーを約1.0×10−7torrのベース圧力まで真空引きした。
4.Ni/マイカを水素雰囲気の下で750℃、15時間、約5Paの圧力で処理した。
5.水素の供給を停止して、温度を650℃まで下げた。
6.Cガス状炭素化合物を流通させながら、温度を650℃で10分間保ち、また雰囲気を約1.0×10−5torrに維持した。
7.ガス状炭素化合物の供給を停止して、電源を切ることによって室温まで冷却した。
図3は実験例2によって得られたグラフェンの測定結果を示す。図3(a)はこのグラフェンのオージェ電子分光を使って得られた二次電子像である。図3(b)は図3(a)中の白と黒のサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトルを示す。これらの結果はこのグラフェン膜が均一であることを示している。
[実験例3]
Ni/マイカ基板上でのグラフェン膜合成
1.クリーンルーム中でスコッチテープを使用してマイカの新鮮な表面を用意した。
2.電子銃堆積により、5.0×10−8torrのベース圧力の下、0.1nm/秒の堆積レートで100nm厚のNi膜を1cm×1cmのマイカ基板上に堆積させた。
3.Ni/マイカのサンプルを石英管炉中に装填して、このチャンバーを約1.0×10−7torrのベース圧力まで真空引きした。
4.Ni/マイカを950℃で10時間処理した。
5.温度を600度まで下げてCガス状炭素化合物を流通させながら10分間保ち、また雰囲気を約1.0×10−5torrに維持した。
6.ガス状炭素化合物の供給を停止して、電源を切ることによって室温まで冷却した。
図4は実験例3によって得られたグラフェンの測定結果を示す。図4(a)はこのグラフェンのオージェ電子分光を使って得られた二次電子像である。図4(b)は図4(a)中の白と黒のサンプル領域で得られた2つのオージェ電子スペクトルを示す。これらの結果はこのグラフェン膜が均一であることを示している。
[実験例4]
Ni/マイカ基板上で合成されたグラフェン膜の他の基板への転送
1.実験例1に従ってNi/マイカ上に合成されたグラフェンフィルムの上にポリ(メチルメタクリレート)(PMMAの2%アニソール溶液)を300nm厚にスピンコートした。
2.PMMAコーティングされたグラフェンサンプルを空気中において180℃で5分間ベーキングした。
3.FeCl(1M)を使って、グラフェン膜とマイカ基板の間に介在するNi層をエッチングした。すなわち、PMMA膜で覆われたグラフェンサンプルを1MのFeCl溶液中に浸漬した。数分後、Ni膜が除去されることによって、PMMA+グラフェン膜がマイカから分離してエッチング溶液表面に浮かんだ。
4.PMMA+グラフェンを300nm厚SiOコーティングを施したSi基板(以下、300nm厚SiO/Si基板と称する)上へ手作業で転送した。
5.目的の300nm厚SiO/Si上にPMMA+グラフェンを載せた後、PMMA膜をアセトンによって溶解・除去した。
6.300nm厚SiO/Si上に載ったグラフェン膜を得た。
図5は実験例4によってNi/マイカから300nm厚SiO/Si基板上へ転送されたグラフェン膜の光学顕微鏡像であり、大規模で均一な単層グラフェン(左下隅及び右上隅以外の「Graphene film」と表記した領域)を、PMMAの残渣(右上隅の「Resist residue」と表記した領域)、更には裸のSiO表面(左下隅の「SiO」と表記した領域)とともに示している。
特定の実現形態だけについて本発明を説明してきたが、本明細書及び例示実施例を読んで理解した当業者であれば、同等な変更や修正を思いつくであろう。本発明はそのような修正や変更を全て包含するものであり、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。更に、本発明の特定の特徴あるいは側面をいくつかの実現形態のうちのひとつだけに関して開示してきたかもしれないが、そのような特徴あるいは側面は、任意の所与のあるいは特定の用途のために望むならばあるいはそのために好都合なら、他の実現形態のひとつまたは複数のほかの特徴や側面と組み合わせてもよい。
ここに開示した事項は、大規模、均一、高品質かつ転送可能なグラフェン膜の作製方法である。当業者であれば、このようなグラフェン膜を光電子工学デバイス、センサ、電極、また水素貯蔵媒体のような多様な用途に効率良く適用できることを理解するであろう。
100 単結晶基板
101 触媒層
102 グラフェン膜
A.K. Geim, and K. S. Novoselov, Nature Materials 6, 183−191 (2007) K. S. Novoselov, et al. Science 305, 666, (2004) K. V. Emtsev, et al., Nature Materials 8, 203−207 (2009) A. K. Geim, Science 324, 1530, (2009) Y. Hernandez, et al., Nature Nanotechnology 3, 563−568, (2008) X. L. Li, et al., National Nanotechnology 3, 538, (2008) X. S. Li, et al., Science 324, 1312−1314 (2009) X. S. Li, et al., Nano Lett. 9, 4268 (2009)

Claims (7)

  1. 以下のステップを含むグラフェン膜作製方法。
    (a)マイカからなる単結晶基板を用意する。
    (b)前記単結晶基板上にNiからなる結晶質触媒膜を設ける。
    (c)前記結晶質触媒膜を設けた前記単結晶基板を650℃〜950℃で10時間〜15時間熱処理する。
    (d)前記結晶質触媒膜の存在下でガス状炭素源を加熱して冷却することによって前記単結晶質触媒膜上で面状に延在したグラフェン膜を形成する。
  2. 前記処理後の前記結晶質触媒膜の結晶粒の結晶方位のばらつきが±5度の範囲に収まり、かつ前記結晶粒の大きさが1μmよりも大きい、請求項に記載の方法。
  3. 前記結晶質触媒膜の厚さは1nmから2mmの範囲である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記結晶質触媒膜を設けるステップは堆積によって行われ、前記単結晶基板は堆積を行っている間0℃から600℃の範囲に維持される、請求項1から請求項の何れかに記載の方法。
  5. 前記処理は真空あるいは不活性雰囲気で行う、請求項1から請求項の何れかに記載の方法。
  6. 前記ガス状炭素源は1個から6個の炭素原子を含む化合物である、請求項1から請求項の何れかに記載の方法。
  7. 前記ガス状炭素源は、エタン、エチレン、エタノール、メタノール、アセトン、アセチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ペンタン及びヘキサンからなる群から選択された1または複数の化合物である、請求項に記載の方法。
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