本開示は、抵抗変化素子アレイ、およびアレイにおける抵抗変化素子の抵抗状態をプログラムしかつ読み取るための方法に関する。後に詳しく論じるように、本開示のプログラミングおよび読取り方法は、1−R抵抗変化素子セルのアレイにおける使用によく適合する。これらの1−R抵抗変化素子アレイ[1−R resistive change element array](図3、図5、図6Aおよび図6Bにその例を示し、かつこれらの図に関連して後に詳しく論じる)は、これらのセルが2端子抵抗変化素子のみで構成され、原位置選択回路または他の電流制限素子を含まないことを特徴とする。本開示のプログラミングおよび読取り方法は、抵抗変化素子アレイ内の所定のアレイラインを同時に荷電することと、次に、放電電流を選択されたセルのみを介して方向づけるために、特定のアレイラインを接地しながら他のアレイラインを「浮動」させることを含む。事例によっては、本開示の方法において、所定のアレイラインに対して電流制限素子が使用され、これらの電流制限素子は、プログラミング電流が所定のアレイセルを介して流れることを抑止するためにアレイセルの外部に位置づけられ、または、アプリケーションによっては、アレイ自体の外部に位置づけられる。この方法では、後に詳述するように、本開示の方法は、抵抗変化素子の抵抗状態を確実かつ迅速にプログラムし、即ち、第1の値から所望される第2の値へ調整し、かつアレイ内の1つまたは複数のセルにおける抵抗変化素子の抵抗状態を、多くの従来的なプログラミングおよび読取り方法に固有の所定の設計および配置を制約する必要なしに読み取る、即ち決定するために使用されることが可能である。
本開示の方法において記述される幾つかのプロセスステップは、所望される電圧レベルまで荷電された後に、1つまたは複数のアレイラインが「浮動」されることを必要とする。本開示の範囲内で、アレイラインを「浮動させる」ことは、アレイライン上のプリチャージされた電圧がラインキャパシタンスに起因して一時的に保持されるようにそのラインを駆動すること(または、単にラインを、ライン上へ所望される電圧を駆動するために使用される回路素子から切断すること)である点は留意されるべきである。後に詳述するように、この「浮動」技術は、本開示のプログラミングおよびREAD方法において、アレイセルにおける原位置選択回路を必要とすることなくアレイライン放電経路を選択されたセルを介して提供(しかつ選択されていないセルを介するこのような経路を防止)するために使用される。
後に詳述するように、本開示は、アレイ内の抵抗変化素子をプログラム(即ち、SETおよびRESETオペレーションを実行)し、かつこれにアクセス(即ち、READオペレーションを実行)するための方法を教示する。本開示の所定の実施形態において、抵抗変化素子のアレイは、各抵抗変化素子の第1の端子がワードラインへ電気的に結合され、かつ各抵抗変化素子の第2の端子がビットラインへ電気的に結合されるように配置される。この方法では、このような配置において、各抵抗変化素子は、ワードラインとビットラインとの特定の組合せを介して一意にアクセス可能である。(後に詳しく論じる)図3、図5、図6Aおよび図6Bは、このような抵抗変化素子アレイの例を提供している。本開示の一部の態様は、局所的な原位置選択回路または電流制限デバイスを必要とすることなく、このようなアレイ内の抵抗変化素子をプログラムしかつアクセスするための方法(これらについても、後に詳しく説明する)を提供する。
この目的に沿って、本開示は、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数のセルにREADオペレーションを実行するための方法を提供する。即ち、これは、1つまたは複数のアレイ素子内に記憶される抵抗状態を決定するために、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数の素子が、関連のワードラインおよびビットラインを介してアクセスされるオペレーションである。本開示の一部の態様において、このようなREAD方法は、メモリアレイ回路自体において生成されるか外部制御回路により提供される(例えば、図6Aに描かれているような)固定電圧参照を利用する。後にさらに詳述するように、このようなREADオペレーションにおいて、選択されたワードラインは、予め選択されたREAD電圧へ駆動され、次いで、1つまたは複数の選択されたアレイ素子を介して、1つまたは複数の選択されたアレイ素子に関連づけられる1つまたは複数のビットラインに応答する測定および記憶素子へ放電することが可能にされる。選択されたセルの各々を介して測定される放電電圧/電流は、次に、選択されたアレイセルの各々に記憶される抵抗状態を決定するために、固定電圧参照と比較される。後に論じるように、所定のアプリケーションにおいて、このような固定電圧参照のこうした使用は、より高速かつより低電圧のREADオペレーションを提供することができる。本開示の方法によるこのREAD方法については、後の図7A、図8A〜図8B、図10A〜図10Bおよび図14に関する論考において詳述する。
本開示の他の態様において、このようなREAD方法は、(例えば、図6Bに描かれているような)アレイ自体における抵抗参照素子を利用する。これらの参照素子は各々、参照ワードライン(試験電圧/電流を抵抗参照素子へ提供するために使用される専用アレイライン)へ電気的に結合される第1の端子と、各々ビットラインへ電気的に結合される第2の端子とを有する。後にさらに詳述するように、第1のオペレーション位相において、選択されたワードラインは、予め選択されたREAD電圧へ駆動され、次いで、1つまたは複数の選択されたアレイ素子を介して、1つまたは複数の選択されたアレイ素子に関連づけられる1つまたは複数のビットラインに応答する測定および記憶素子へ放電することが可能にされる。第2のオペレーション位相において、アレイの参照ワードラインは、同じ予め選択されたREAD電圧へ駆動され、かつ選択されたビットラインに関連づけられる各参照素子を介して、同じ測定および記憶素子へ放電することが可能にされる。第1のオペレーション位相および第2のオペレーション位相から測定される放電電圧/電流は、次に、選択された各アレイセルに記憶される抵抗状態を決定するために、選択されたアレイ素子毎に比較される。この方法において、選択された(1つまたは複数の)セルの電圧放電は、測定されてアレイ外部の何らかの期待値と比較されるのではなく、単に同一環境内の参照素子の電圧放電と比較されることが可能である。あるいは、参照素子は、第1のオペレーション位相において選択されてもよく、かつデータ素子は、第2のオペレーション位相において選択されてもよい。後に論じるように、所定のアプリケーションにおいて、参照素子のこうした使用は、より高速かつより低電圧のREADオペレーションを提供することができる。本開示の方法によるこのREAD方法については、後の図7B、図9A〜図9D、図11A〜図11Bおよび図15A〜図15Cに関する論考において詳述する。
さらに、本開示の一部の態様による(本明細書で規定するところのSETまたはRESETオペレーションである)プログラミングオペレーションは、抵抗変化素子アレイ内の選択されたワードラインに関連づけられる1つまたは複数の抵抗変化素子を設定(SET)またはリセット(RESET)するために使用されることが可能である。本開示の一部の態様において、このようなプログラミング方法は、まずアレイラインを全て接地(0V)に初期化することと、次に、アレイ内の全てのワードラインを浮動させることを含む。アレイ内のビットラインは、次に、選択された電流制限素子(電流源、プログラム可能電源および抵抗素子等、但しこれらに限定されない)を介して接地へ引き寄せられる。調整(即ち、プログラム)されるべきアレイ素子に関連づけられるビットラインは、比較的高い電流が選択された素子を介して流れることを許容する電流制限素子を介して引き寄せられ、かつ調整されるべきでないアレイ素子に関連づけられるビットラインは、低電流のみの流れを許容する電流制限素子を介して引き寄せられる。選択されたワードラインは、次に、要求されるプログラミング電圧(VP)へ駆動され、よってプログラミング電流は、選択された抵抗変化素子を介して流れることができるようになる(電流制限素子は、十分なプログラミング電流が選択されていないアレイ素子を介して流れることを防止する)。本開示の方法によるこのようなプログラミングオペレーションの極性は、代わりにアレイ内の全てのビットラインを、選択された電流制限素子を介して選択されたプログラミング電圧(VP)まで引き寄せ、次に、選択されたワードラインを接地することにより、逆転されることが可能である。この方法では、抵抗変化素子アレイのAC過渡挙動を用いて、プログラミング電流を、アレイ内の一群の選択された抵抗変化素子セルを介して、各アレイセル内の局所的な原位置選択回路を必要とすることなく、どちらの方向へも選択的に提供することができる。本開示によるこの選択される電流制限のプログラミング方法については、後の図16A〜図16B、図17A〜図17Bおよび図18A〜図18Bに関する論考においてさらに詳述する。
また、本開示は、抵抗変化素子アレイ内のワードラインおよびビットラインの選択されたバイアシングを用いて、十分なプログラミング電流をプログラムされるべき単一のアレイ素子を介して方向づけ、同時にこのような電流がアレイ内の他の素子を介して流れることを防止するプログラミング方法も提供する。このプログラミング方法では、まず、全てのアレイライン(即ち、全てのビットラインおよび全てのワードライン)が浮動される。選択されたアレイ素子に関連づけられるビットラインは、要求されるプログラミング電圧(VP)へ駆動され、次に、選択されたアレイ素子に関連づけられるワードラインは、接地(0V)へ駆動される。この方法において、プログラミング電流は、選択されたアレイ素子を介してビットラインからワードラインへ流れるように誘導される。このプログラミング電流の極性は、選択されたアレイ素子に関連づけられるワードラインをプログラミング電圧(VP)へ駆動し、かつ選択されたアレイ素子に関連づけられるビットラインを接地(0V)へ駆動することにより、逆転されることが可能である。アレイにおける選択されていない素子は、選択されたビットラインと選択されたワードラインとの間に「漏れ」電流経路を提供する場合がある。しかしながら、後に詳しく説明するように、これらの漏れ電流は、アレイ内の選択されていない素子の抵抗状態の変化を誘導するに足る大きさの電流を防止するように、(例えば、プログラミング電圧、抵抗変化素子内で使用される抵抗値またはアレイサイズを選択することにより)制限されることが可能である。この方法では、抵抗変化素子アレイのAC過渡挙動を用いて、プログラミング電流を、アレイ内の単一素子を介して、各アレイセル内の局所的な原位置選択回路を必要とすることなく、どちらの方向へも選択的に提供することができる。本開示によるこの配向される電流経路のプログラミング方法については、後の図19A〜図19Bおよび図20A〜図20Cに関する論考においてさらに詳述する。
本開示の方法による抵抗変化素子のプログラミングおよびアクセス方法に関するこれまでの論考は、概して、ワードラインからビットラインへ流れるプログラミングおよび読取り電流について述べているが、本開示の方法がこの点に限定されないことは留意されるべきである。実際に、後に詳述するように、プログラミングまたは読取り電流は、ビットラインからワードラインへ流れるプログラミングおよび読取り電流を提供するために、プリチャージされかつ、例えば選択された(1つまたは複数の)セルに関連づけられるビットライン上、および選択された接地されている(1つまたは複数の)セルに関連づけられる(1つまたは複数の)ワードライン上へ浮動されることも可能である。したがって、本開示の方法は、ユニポーラ(即ち、単一極性)およびバイポーラ(即ち、二重極性)抵抗変化素子オペレーションの双方に適合するプログラミングおよびアクセス方法を提供する。
抵抗変化セルは、セル内の抵抗変化素子を用いて情報を記憶する。電気刺激に反応して、この抵抗変化素子は、少なくとも2つの不揮発性抵抗状態間で調整されることが可能である。典型的には、2つの抵抗状態、即ち、低抵抗状態(典型的には、SET状態である論理「1」に相当する)および高抵抗状態(典型的には、RESET状態である論理「0」に相当する)が使用される。この方法において、抵抗変化素子セル内の抵抗変化素子の抵抗値は、1ビットの情報(例えば、1ビットのメモリ素子として機能する)を記憶するために使用されることが可能である。本開示の他の態様によれば、3つ以上の抵抗状態が使用され、単一セルは、1ビットより多い情報を記憶できるようになる。例えば、抵抗変化メモリセルは、その抵抗変化素子を4つの不揮発性抵抗状態間で調整する場合もあり、単一セルにおける2ビット情報の記憶が見込まれる。
本開示において、「プログラミング」という用語は、抵抗変化素子が最初の抵抗状態から所望される新しい抵抗状態へ調整されるオペレーションを記述するために使用される。このようなプログラミングオペレーションは、抵抗変化素子が比較的高い抵抗状態(例えば、約10MΩ)から比較的低い抵抗状態(例えば、約100kΩ)へ調整されるSETオペレーションを含むことが可能である。(本開示が規定する)このようなプログラミングオペレーションは、抵抗変化素子が比較的低い抵抗状態(例えば、約100kΩ)から比較的高い抵抗状態(例えば、約1MΩ)へ調整されるRESETオペレーションも含むことが可能である。さらに、本開示が規定するREADオペレーションは、抵抗変化素子の抵抗状態が、記憶される抵抗状態を大幅に変えることなく決定されるオペレーションを記述するために使用される。
抵抗変化素子は、例えば、2端子ナノチューブスイッチング素子、相変化メモリ、金属酸化物メモリセルまたは導電性ブリッジメモリ(CBRAM)ならびに他の物質および設計を用いることができる。
抵抗変化素子(およびそのアレイ)は、電子デバイス(携帯電話、デジタルカメラ、ソリッド・ステート・ハード・ドライブおよびコンピュータ等、但しこれらに限定されない)内に(抵抗状態としての論理値を記憶する)デジタルデータを記憶するための不揮発性メモリデバイスとしての使用に最適である。しかしながら、抵抗変化素子の用途は、メモリアプリケーションに限定されない。実際に、本開示の教示による抵抗変化素子のアレイならびに高度アーキテクチャは、論理デバイスにおいて、またはアナログ回路において使用される可能性もある。
典型的には、抵抗変化素子は、素子全体に電気刺激を加えることにより、異なる抵抗状態間で調整(プログラム)される。例えば、抵抗変化素子の電気抵抗を最初の抵抗値から所望される新しい抵抗値へ調整するために、抵抗変化素子全体に渡って(特定のアプリケーションによる必要に応じた)特定の電圧、電流およびパルス幅の1つまたは複数のプログラミングパルスを印加することができる。第2の(1つまたは複数の)プログラミングパルスを用いれば、抵抗変化素子を第1の初期抵抗状態へ戻すべく、または特定のアプリケーション次第では、第3の抵抗状態へと、調整することができる。
さらに、抵抗変化素子の状態は、例えば、抵抗変化素子全体にDC試験電圧を印加して抵抗変化素子を介する電流を測定することにより、決定されることが可能である。アプリケーションによっては、この電流は、電流フィードバック出力を有する電源、例えばプログラム可能電源またはセンス増幅器、を用いて測定されることが可能である。他のアプリケーションにおいて、この電流は、電流測定デバイスを抵抗変化素子と直列に挿入することにより測定されることが可能である。あるいは、抵抗変化素子の状態は、例えば、抵抗変化素子を介して固定DC電流を駆動し、かつ抵抗変化素子に渡って結果的に生じる電圧を測定することによって決定されることも可能である。何れの場合も、抵抗変化素子に加えられる電気刺激は、素子の抵抗状態を変えないように制限される。この方法では、READオペレーションが抵抗変化メモリ素子の状態を決定することができる。
抵抗変化素子は、金属酸化物、固体電解質、カルコゲナイドガラスのような相変化物質およびカーボンナノチューブ織物等の、但しこれらに限定されない複数の物質から製造されることが可能である。例えば、参照により本明細書に含まれるBertinらに付与された米国特許第7,781,862号の明細書は、第1および第2の導電端子と、ナノチューブ織物物品とを備える2端子ナノチューブ・スイッチングデバイスを開示している。Bertinは、ナノチューブ織物物品の抵抗性を複数の不揮発性抵抗状態間で調整するための方法を教示している。少なくとも1つの実施形態において、電気刺激は、前記ナノチューブ織物層を介して電流を通すように、第1および第2の導電素子のうちの少なくとも一方へ加えられる。(米国特許第7,781,862号明細書においてBertinが記述しているように)この電気刺激を一連の既定パラメータの範囲内で慎重に制御することにより、ナノチューブ物品の抵抗性は、比較的高い抵抗状態と比較的低い抵抗状態との間で繰返し切換られることが可能である。所定の実施形態において、これらの高い、および低い抵抗状態は、1ビット情報を記憶するために使用されることが可能である。
本開示に含まれる引例により記述されているように、本明細書において本開示に関して言及しているナノチューブ織物は、複数の相互接続されたカーボンナノチューブより成る一層を含む。本開示における、例えば不織カーボンナノチューブ(CNT)織物であるナノチューブの織物(または、ナノファブリック)は、例えば、互いに対して不規則に配置される複数の交絡したナノチューブより成る構造体を有してもよい。さらに、もしくは代替として、例えば、本開示のナノチューブ織物は、ナノチューブのある程度の位置規則性、例えば、その長手軸に沿ったある程度の並列性を有してもよい。このような位置規則性は、例えば、ナノチューブの平坦なアレイが、長さ約1ナノチューブおよび幅10〜20ナノチューブのラフトにおいてその長手軸沿いに相互に配列される、比較的小さいスケールで見出されることがある。他の例において、このような位置規則性は、規則正しいナノチューブの領域が、事例によっては織物層の略全体に渡って延びる、より大きいスケールで見出される場合もある。このような、より大きいスケールの位置規則性は、本開示にとって特に興味深い。
本開示における抵抗変化セルおよび素子の幾つかの例は、特にカーボンナノチューブ・ベースの抵抗変化セルおよび素子に言及しているが、本開示による方法は、これに限定されない。実際に、当業者には、本開示による方法が、あらゆるタイプの抵抗変化セルまたは素子(相変化および金属酸化物等、但しこれらに限定されない)に適用可能であることが明らかとなるであろう。
次に、図1を参照すると、抵抗変化素子アレイの例示的なアーキテクチャ100が簡略図で示されている。この例示的なアーキテクチャ100では、各抵抗変化素子セル内で、このセルに選択可能機能を提供するために電界効果トランジスタ(FET)が使用される。即ち、FETデバイス(Q00〜Qxy)は、選択されていない素子を絶縁しながら、所望される抵抗変化素子にアクセスする手段を提供する。
次に、図1を具体的に参照すると、アレイ100は、複数のセル(CELL00〜CELLxy)を備え、各セルは、1つの抵抗変化素子(SW00〜SWxy)と、1つの選択デバイス(Q00〜Qxy)とを含む。抵抗変化アレイ100内の個々のアレイセル(CELL00〜CELLxy)は、後述するように、ソースライン(SL[0]〜SL[x])、ワードライン(WL[0]〜WL[y])およびビットライン(BL[0]〜BL[x])のアレイを用いて、読取りおよびプログラミングオペレーション用に選択される。
ワードライン(WL[0]〜WL[y])へ加えられる制御信号に応答して、個々のアレイセル内の選択デバイス(Q00〜Qxy)は、抵抗変化素子(SW00〜SWxy)へのアクセスを許容するか、抵抗変化素子(SW00〜SWxy)を電気絶縁する。特定の個別セル(例えば、CELL00)は、所望されるセルの選択FET(CELL00のQ00)をオンにするに足る電気刺激により関連のワードライン(CELL00のWL[0])を駆動することによってアクセスされることが可能である。選択された抵抗変化素子(CELL00のSW00)をプログラミング(即ち、SETまたはRESET)またはREADするために必要とされる電気刺激は、次に、選択されたセルに関連づけられるビットライン(CELL[0]のBL[0])および選択ライン(CELL00のSL[0])に渡って加えられることが可能である。選択デバイス(本例ではQ00)が有効化されると、選択された抵抗変化素子を介してビットラインと選択ラインとの間に導電経路が提供され、かつ提供されたプログラミングまたは読取り刺激は、選択された抵抗変化素子(CELL00のSW00)のみに渡って駆動される。使用されているビットラインおよび選択ラインに関連づけられる他のセルは、別のワードライン上にあり、よって有効化されない。この方法において、図1の例示的な抵抗変化素子アレイアーキテクチャ100は、アレイ内の全てのセルに個々にアクセスしかつアドレスし、かつアレイ内の任意のセルをプログラミング(即ち、SETまたはRESET)またはREADするに足る加えられた電気刺激を方向づけるための手段を提供する。
先に述べたように、図1の抵抗変化素子アレイアーキテクチャ100は、各セルが3つの別々の制御ラインに応答することを必要とするアクセスおよびアドレススキームを提供する。さらに、これは、各セルが原位置FET選択デバイスを含むこと、かつさらに、このFET選択デバイスの電力定格が、アレイ内で使用されている抵抗変化素子に必要なプログラミング電圧に耐えるに足る高さであることを必要とする。その結果、所定のアプリケーションにおいて、FET選択デバイスは、使用されている抵抗変化素子の物理的サイズに比較して、または、アレイセルの所望される物理的サイズ限界に比較しても、十分に大きいものになる。抵抗変化素子アレイのスケールダウンおよびセル密度の増加に伴って、図1のアレイアーキテクチャ100のこれらの、および他の設計要件は、所定のアプリケーションにおいて、回路設計およびスケーリングの双方に関して大幅な制限を示す可能性がある。
次に、図2を参照すると、抵抗変化素子アレイの第2の例示的なアーキテクチャ200が簡略図で示されている。この例示的なアーキテクチャ200では、各抵抗変化素子セル内で、このセルに選択可能機能を提供するためにダイオードが使用される。即ち、ダイオードデバイス(D00〜Dxy)は、選択されていない素子を絶縁しながら、所望される抵抗変化素子にアクセスする手段を提供する。
次に、図2を具体的に参照すると、アレイ200は、複数のセル(CELL00〜CELLxy)を含み、各セルは、選択デバイス(D00〜Dxy)と直列する抵抗変化素子(SW00〜SWxy)を含む。抵抗変化素子アレイ200内の個々のアレイセル(CELL00〜CELLxy)は、後述するように、ワードライン(WL[0]〜WL[y])およびビットライン(BL[0]〜BL[x])のアレイを用いて、読取りおよびプログラミングオペレーション用に選択される。
そのワードライン(WL[0]〜WL[y])およびビットライン(BL[0]〜BL[x])のアレイを特定のバイアスで駆動することにより、図2の抵抗変化素子アレイアーキテクチャ200は、選択されたアレイセルを、そのセルの選択ダイオードを順バイアスし、同時に残りの選択されていないセルの選択ダイオードを逆バイアスするか単に同選択ダイオードに渡る電圧降下を行わないことによって、有効化することができる。例えば、CELL00にアクセスする場合、WL[0]に十分なREAD、SETまたはRESET電圧(または電流)が印加され、同時にBL[0]が接地(0V)へ駆動される。残りのワードライン(WL[1]〜WL[y])は、接地(0V)へ駆動され、かつ残りのビットライン(BL[1]〜BL[x])は、WL[0]に供給される同じ電圧で駆動される。この方法において、選択されたビットライン(BL[0])上の残りのセル、即ちCELL01〜CELL0y、における選択ダイオードは、バイアスされないままにされ、これらのセルは各々、その関連のワードラインおよび関連のビットライン上の双方で0Vに出合う。同様に、選択されたワードライン(WL[0])上の残りのセル、即ちCELL10〜CELLx0、における選択ダイオードも、バイアスされないままにされ、これらのセルは各々、その関連のワードラインおよび関連のビットライン上の双方で印加されたプログラミングまたはREAD電圧に出合う。かつ最後に、アレイ内の残りのセル、即ちCELL11〜CELLxy、における選択ダイオードは逆バイアスされ、これらのセルは各々、その関連のワードライン上で0Vに、かつその関連のビットライン上で印加されたプログラミング電圧またはREAD電圧に出合う。この方法では、D00のみが順バイアスされ、印加されるプログラミングまたはREAD電圧(または電流)は、選択された抵抗変化素子SW00上にのみ印加される。
先に述べたように、図2の抵抗変化素子アレイアーキテクチャ200は、各セルが、図1のアレイアーキテクチャ100により必要とされる3つの制御ラインに対し、2つの別々の制御ラインのみに応答することを必要とするアドレススキームを提供する。これは、アーキテクチャおよび配置において著しい簡易化を表すが、図2のアレイアーキテクチャ200は、依然として、各セルが原位置選択デバイス(この事例ではダイオード)を含むことを必要とする。図1のアレイアーキテクチャ100のFET選択デバイスの場合と同様に、この選択ダイオードは、アレイ内で使用されている抵抗変化素子が必要とするプログラミング電圧に耐えるに足る高い電力定格にされなければならず、これは、使用されている抵抗変化素子が必要とするプログラミング電圧および電流より大きい逆バイアス定格を含む。その結果、図1のFET選択デバイスの場合のように、所定のアプリケーションにおいて、ダイオード選択デバイスは、使用されている抵抗変化素子の物理的サイズに比較して、または、アレイセルの所望される物理的サイズ限界に比較しても、十分に大きいものになる。さらに、図2のアレイアーキテクチャ200は、抵抗変化素子のバイポーラオペレーションを許容しない。即ち、プログラミング(SETおよびRESET)電流およびREAD電流は、単に一方向にのみ、即ち選択ダイオードの順バイアス方向に関連づけられる極性にのみ印加されることが可能である。所定のアプリケーションでは、例えば、SETオペレーションが抵抗変化素子を介してビットラインからワードラインへ流れる電流によって実行され、かつRESETオペレーションがワードラインからビットラインへ流れる電流によって実行されるバイポーラオペレーションが、特定の抵抗変化素子技術または設定のためのプログラミングスキームにおいて望ましい。抵抗変化素子アレイのスケールダウンおよびセル密度の増加に伴って、図2のアレイアーキテクチャ200のこれらの、および他の設計要件は、所定のアプリケーションにおいて、回路設計およびスケーリングの双方に関して大幅な制限を示す可能性がある。
次に、図3を参照すると、抵抗変化素子アレイの第3の例示的なアーキテクチャ300が簡略図で示されている。例示的アーキテクチャ300では、抵抗変化素子セルにおいて選択デバイスも他の電流制限素子も使用されない。即ち、各セルは、2つの制御ライン(ワードラインおよびビットライン)を介してアクセスされる抵抗変化素子のみで構成される。
図2に詳述されているアレイアーキテクチャ200の場合と同様に、図3のアレイアーキテクチャ300は、アレイ内の個々の抵抗変化セルに、特定のバイアスを用いてワードラインおよびビットラインを駆動することによりアドレスすることができる。個々のアレイセル(CELL00〜CELLxy)における選択デバイスの不在により、アレイアーキテクチャ300へのアクセスオペレーションは、プログラミング(SETまたはRESET)またはREADオペレーションに必要とされるような十分な電気刺激を選択されたアレイセルへ提供し、かつ同時に、アレイ内の他のセルがその記憶している抵抗状態を変えるような電気刺激を経験しないように防止しなければならない。
例えば、図3のアレイアーキテクチャ300におけるCELL00にアクセスする場合、WL[0]に十分なREAD、SETまたはRESET電圧(または電流)が印加され、同時にBL[0]が接地(0V)へ駆動される。残りのワードライン(WL[1]〜WL[y])および残りのビットライン(BL[1]〜BL[x])は、WL[0]へ供給される電圧(または電流)の半分で駆動される。この方法では、印加されるプログラミングまたはREAD電圧(または電流)の半分だけが、選択されたビットライン(BL[0])上の残りのセル、即ちCELL01〜CELL0y、における、および選択されたワードライン(WL[0])上の残りのセル、即ちCELL10〜CELLx0、における抵抗変化素子へ印加される。即ち、CELL01〜CELL0yは各々、その関連のワードライン上で印加されたプログラミングまたはREAD電圧の半分に、かつその関連のビットライン上で0Vに出合い、かつCELL10〜CELLx0は、その関連のワードライン上でフルのプログラミングまたはREAD電圧に、但し、その関連のビットライン上ではプログラミングまたはREAD電圧の半分だけに出合う。アレイ内の残りのセル、即ちCELL11〜CELLxy、はバイアスされず、これらのセルは各々、その関連のワードライン上およびその関連のビットライン上の双方で印加されたプログラミングまたはREAD電圧(または電流)の半分に出合い、その結果、これらのセルにおける抵抗変化素子には電圧降下も電流降下も生じない。この方法において、印加されるプログラミングまたはREAD電圧は、選択された抵抗変化素子SW00上にのみ印加され、かつ、アレイ内の幾つかの選択されていないセルがアクセスおよびアドレスオペレーション中に部分的にバイアスされる間、これらのセルに印加される電気刺激は、これらのセルの抵抗状態を変えるほど、または選択されたセルに実行されているプログラミングまたはREADオペレーションを妨害するほど十分なものではない。
図4は、図3の1−R抵抗変化素子アレイに対して実行された(先に図3に関連して述べたような)従来の静的DCプログラミングまたはREADオペレーションの間の、選択されたセルおよび選択されたセルに隣接するセルをも介する電流を示す図400である。図400において、選択されたセル410は、WL1上へ十分なプログラミング(SETまたはRESET)またはREAD電圧(このような電圧要件は、使用されている抵抗変化素子の具体的なアプリケーションまたはタイプによる特有の必要性により決定される)を駆動し、かつBL1を接地(0V)へ引き下げることによってアクセスされる。印加されたこの電気刺激に応答して、プログラミングまたはREAD電流450が、選択された抵抗変化セル410を介してWL1からBL1へと生成される。さらに(図3に関連して先に詳述したように)、WL1へ印加される電圧レベルの半分の電圧が、選択されていないワードライン(WL0およびWL2)および選択されていないビットライン(BL0およびBL2)へ印加される。この方法において、選択されていないセル421、423、426および428は、バイアスされないままである(これらのセルは各々、その関連のビットライン上およびその関連のワードライン上の双方で、印加されたプログラミングまたはREAD電圧の半分に出合う)。そして、選択されていないセル422、424、425および427は、WL1へ印加された電圧の半分でバイアス状態になり、これらのセルを介して寄生電流460が発生される。先に述べたように、抵抗変化素子自体のプログラミング電圧、電流および設計パラメータを慎重に選択することにより、これらの寄生電流460は、選択されていないセル422、424、425および427の抵抗状態を変える、または選択されたセル410に対するプログラミングまたはREADオペレーションを妨害するには至らない量に留まる。
先に論じたように、図3に詳述されているアレイアーキテクチャ300は、図2のアレイアーキテクチャ200の場合と同様に、各セルが、図1のアレイアーキテクチャ100により必要とされる3つの制御ラインに対し、2つの別々の制御ラインのみに応答することを必要とする回路構造を提供する。さらに、図3に詳述されているようなアレイアーキテクチャ300は、各抵抗変化素子を伴う原位置選択デバイスを必要とせず、かつアレイアーキテクチャ300は、バイポーラオペレーションを見込んでいる(即ち、プログラミングまたはREAD電流は、特定のアプリケーションまたは特定の抵抗変化素子技術の必要性にふさわしく、ワードラインからビットラインへ、またはビットラインからワードラインへ流れることができる)。Bertinらによる、参照によりその全体が本明細書に含まれる米国特許出願第2014 0166959号明細書は、このようなアレイにおけるセルをプログラムしかつ読み取るための(先に論じたような)幾つかの方法について記述しながら、抵抗変化素子アレイのこのタイプのアーキテクチャを教示している。米国特許出願第2014 0166959号明細書において、Bertinは、アレイセルが2端子抵抗変化素子のみより成るこのタイプの抵抗変化素子セルを、1−Rセルと称している。
図3に詳述されている(かつ、Bertinへの13/716,453で論じられている)この1−Rセル・アレイアーキテクチャ300は、所定のアプリケーションで、回路のアーキテクチャおよび配置に関し、(図1および図2のアレイアーキテクチャ100および200よりも)さらに重大な改良および簡易化を表している。例えば、アレイアーキテクチャ300におけるセルサイズのスケーリングは、抵抗変化素子自体の物理的寸法要件によってのみ制限される。さらに、各アレイセルは、1つのデバイス(抵抗変化素子自体)と、2つの相互接続部(抵抗変化素子の第1の端子へ電気的に結合されるビットライン、および第2の端子へ電気的に結合されるワードライン)とを含むだけであることから、抵抗変化素子アレイの複雑さが大幅に低減され、所定のアプリケーションでは、製造の容易さ、コスト、スケーリング能力の向上および回路一体化に関して多くの利点が提供される。したがって、図3に詳述されているような単純化されたアレイアーキテクチャ300(または、例えば図5に示されているアレイ構造体等の類似の変形例)は、最新技術がより高密度の抵抗変化素子アレイを求め続けることから、かなり望ましい。
しかしながら、アレイアーキテクチャ300(および類似の変形例)は、所定のアプリケーションではかなり望ましいものの、先に述べた、かつ図3および図4に関して詳述されている従来の静的DCプログラミングおよび読取り方法(および、Bertinへの13/716,453において論じられている方法)は、所定のアプリケーションにおいて、抵抗変化素子アレイの配置および設計に対して制限を示す可能性がある。例えば、図4に関連して記述されているような静的DCプログラミングおよびREADオペレーションにおける固有の寄生電流460は、所定のアプリケーションにおいて、抵抗変化素子アレイ内に所定の設計制約を持ち込む。例えば、このようなプログラミング方法は、所定のアプリケーションにおいて、特定の抵抗変化素子内で使用される公称SETおよびRESET抵抗値が、他のアーキテクチャ(例えば、図1および図2における100および200)内で使用される抵抗変化素子とは大幅にかけ離れていることを必要とする可能性がある。公称抵抗値におけるこのような広範さは、例えば、アレイのセルを構成する抵抗変化素子と共に使用されるナノチューブ織物またはカルコゲナイドブロック内に物理的寸法要件を持ち込む可能性もある。
さらに、別の例において、抵抗変化素子アレイ内で使用されるビットラインおよびワードラインの長さは、所定のアプリケーションにおいて、図4に詳述されている寄生電流460に一部起因して制限される可能性がある。例えば、READに関して言えば、ビットライン当たりのセル(ビット)数が増大するにつれて、センス増幅器へのREAD信号は低減され、よって、センス増幅器に対する十分な信号電圧を保証するために、ビットライン当たりのセル(またはビット)数が制限される。また、かなり長いアレイラインに固有のキャパシタンスも、やはり所定のアプリケーションでは、ライン自体がその必要とされる電圧まで荷電する間に、これらの小電流を選択されていないセルを介して流させる可能性がある。これらの寄生電流値の大きさは、例えば必要とされるプログラミング電流に比べれば小さいものである場合もあるが、長期の電流の流れは、アレイ設計において十分に考慮されていなければ、選択されていないセルに記憶される抵抗値を変えるに足る、またはプログラミングまたはREADオペレーションを妨害するか、そうでなければ悪影響を与えるに足るものである可能性がある。このような制限は、所定のアプリケーションにおいて、セル数およびラインのキャパシタンスを減らすために、ビットラインおよびワードラインが所定の長さに制限されることを必要とする可能性がある。
別の例において、図4に詳述されているアクセスおよびアドレス方法は、所定のアプリケーションにおいて、他の抵抗変化素子アレイアーキテクチャ(例えば、図1および図2における100および200)よりも高いSET、RESETおよびREAD電流を必要とする可能性がある。例えば、図4に示されている寄生電流460の多くは、同じ駆動回路、即ち、WL1上のプログラミング電圧を駆動する外部回路によって駆動される。例えば、図2に示されているもの等のアレイアーキテクチャでは、選択されたセルのみがバイアスされて有効化され、供給電流は全て、選択された抵抗変化素子を介して流れる。しかしながら、図4に示されているように、従来の静的DCプログラミングまたはREAD方法を、(アレイセルが選択素子を含んでいない)図3に示されているもの等のアレイ構造体において用いれば、供給されるプログラミングまたはREAD電流は、選択されたセルだけでなく、選択されたビットラインおよび選択されたワードライン上の多くの選択されていないセルをも介して駆動される。したがって、選択されたセルを介する有効電流は、これらの所定のアプリケーションにおいて、他のアーキテクチャよりも著しく低減される可能性がある。即ち、例えば、所定のアプリケーションおよび図4に詳述されているアクセスおよびアドレス方法を用いる抵抗変化素子技術が必要とする十分なREAD電流を提供するためには、WL1上へ、アクセスおよびアドレス方法に固有の寄生電流を不能にするだけの極めて高いREAD電流(または電圧)が供給される必要があると思われる。所定のアプリケーションにおいて、このような増大された電力要件は、望ましくない可能性がある。
先に詳述したように、図3の1−R抵抗変化素子アレイアーキテクチャ300(および類似の変形例)は、設計および製造の容易さならびにコストおよびスケーリングといった考慮事項に関して多くの利点を提供するものの、他のタイプのアレイアーキテクチャ(各々図1および図2におけるアレイアーキテクチャ100および200等、但しこれらに限定されない)のために開発されている静的なDCプログラミング方法は、所定のアプリケーションにおいてこのようなアレイ構造体の効用を制限し得る望ましくない制限を持ち込む可能性がある。このため、本開示は、(例えば、図3に詳述されているように)アレイセル内で選択デバイス(または他の電流制限素子)が使用されない1−R抵抗変化素子アレイアーキテクチャでの使用によく適する改良されたアクセスおよびアドレス方法を提供する。この改良されたアクセスおよびアドレス方法は、このようなアーキテクチャにおいて、図4に関連して述べた方法に関する上述の制限を受けることなく、SET、RESETおよびREADオペレーションを実行するために使用されることが可能である。これらのアクセスおよびアドレス方法については、後に、残りの図に関する論考において詳述する。
図5は、3D抵抗変化素子アレイ500の斜視図である。抵抗変化素子アレイ500は、(x軸、y軸およびz軸に沿って)3次元的に配列される1−R抵抗変化セルから成る。第1のビットライン層(542a、544a、546aおよび548a)は、y軸に沿って配置され、かつ第1のワードライン層(532a、534a、536aおよび538a)は、x軸に沿って、かつビットラインによるこの第1の層の上に配置される。ビットライン(542a、544a、546aおよび548a)およびワードライン(532a、534a、536aおよび538a)による2つの第1の層の間には、抵抗変化素子510による第1の層が配置され、ワードラインとビットラインとの各交点に1つの抵抗変化素子が存在する。抵抗変化素子は各々、第1の導電素子512と第2の導電素子514との間に配置される抵抗変化物質516(ナノチューブ織物層または相変化物質のブロック等、但しこれらに限定されない)から成る。所定のアプリケーションでは、これらの第1および第2の導電素子(各々、512および514)を用いて、アレイライン(ワードラインまたはビットライン)と事実上の抵抗変化物質516との間の導電経路を提供することが望ましい。しかしながら、これらの導電素子(512および514)は、全てのアプリケーションで必要とされるわけではない。例えば、アレイラインに使用される物質、抵抗変化素子516として選択される具体的な物質および使用されている配置および製造方法に依存して、所定のアプリケーションでは、抵抗変化物質のブロックがアレイライン自体へ直に接続することがより好ましい可能性もある。したがって、第1および第2の導電素子(各々512および514)を包含することは、1−R抵抗変化素子アレイのアーキテクチャを限定するものと見なされるべきではない。
第2のビットライン層(542b、544b、546bおよび548b)は、y軸に沿って第1のワードライン層の上に配置される。この第2のビットライン層(542b、544b、546bおよび548b)と第1のワードライン層(532a、534a、536aおよび538a)との間には、抵抗変化素子510による第2の層が配置され、ワードラインとビットラインとの各交点に1つの抵抗変化素子が存在する。第2のワードライン層(532b、534b、536bおよび538b)は、x軸に沿って第2のビットライン層(542b、544b、546bおよび548b)の上に配置され、かつ抵抗変化素子510による第3の層が配置され、ワードラインとビットラインとの各交点に1つの抵抗変化素子が存在する。この方法では、従来の2Dアレイ構造体における僅か16個のアレイセルより成るアレイに使用される略同じ断面積に、48個の1−R抵抗変化素子セルより成るアレイが配列される。
図5に詳述されているような3Dアレイ構造体は、スケーリングおよびアレイセル密度の面でかなり望ましい。また、(図3および図4に関連して詳述されているような)1−Rセルアーキテクチャが比較的簡易であることも、このような3D構造体によく適合し、かつ多くの製造および機能上の利点を提供する。さらに、本開示のREADおよびプログラミング方法は、このような複雑なアレイ構造体に特によく適合する。後に詳しく論じるように、本開示による改良されたアクセスおよびアドレス方法は、静的DC方法に固有の設計上の制約(先に図4に関連して述べたもの等)の多くを排除する。したがって、所定のアプリケーションにおいて、本開示による方法は、図5に描かれているもの等の複雑なアレイ構造体への使用によく適合する。
次に、図6Aおよび図6Bを参照すると、図3に詳述されている1−Rアレイアーキテクチャ300の2つの変更バージョンが簡略図で示されている。変更されたこれらのアレイアーキテクチャ601および602は、図3に示されているアレイアーキテクチャ300に基づく変形例として提示され、かつ本開示による改良されたREAD方法での使用によく適合する。アレイアーキテクチャ601およびアレイアーキテクチャ602は共に、図3におけるアレイアーキテクチャ300の構造にほぼ等しい。1−Rアレイセル(CELL00〜CELLxy)は、単一の抵抗変化素子(SW00〜SWxy)のみで構成され、アレイセル内で原位置選択デバイスまたは他の電流制限デバイスは使用されない。セル(CELL00〜CELLxy)は各々、2つのライン、即ち、ワードライン(WL[0]〜WL[y])およびビットライン(BL[0]〜BL[x])のみに応答してアドレスされかつアクセスされる。
図6Aおよび図6Bの双方を参照すると、第1の変形は、アレイ(各々601および602)内の各ビットラインに応答する測定および記憶素子の追加である。これらの測定および記憶素子は、後に図7A〜図7B、図8A〜図8B、図9A〜図9B、図10A〜図10Bおよび図11A〜図11Bに関連して詳しく論じるように、本開示によるREAD方法における使用によく適合する。図6Aの例示的なアレイアーキテクチャ601において、これらの測定および記憶素子は各々、「データ」FET(QD0〜QDx)を備え、これは、制御ライン(RD_DATA0〜RD_DATAx)により有効化されると、関連する各ビットラインをコンパレータ素子(U1〜Ux)の第1の入力へ接続する。図6Aの例示的なアレイアーキテクチャでは、基準電圧発生器U100によって固定基準電圧が提供され、かつ測定および記憶素子内のコンパレータ素子(U0〜Ux)の第2の入力へ供給される。このような固定基準電圧は、アレイ回路自体における回路素子によって提供されること、または具体的なアプリケーションの必要性にふさわしくアレイ外部の回路によって提供されることが可能である。関連のビットラインおよび固定基準電圧に選択的に応答するコンパレータ素子(U0〜Ux)は各々、データ出力(D0〜Dx)を提供し、これらは、後に詳しく示すように、本開示による方法において、測定および記憶素子に関連づけられるビットライン上の選択された抵抗変化素子内に記憶されるデータ値を示すために使用されることが可能である。
図6Bを参照すると、(図3のアレイアーキテクチャ300と比較した場合の)アレイアーキテクチャの第2の変形は、参照抵抗素子(RREF0〜RREFx)および参照ワードライン(WL_REF)の追加である。これらの参照抵抗素子(RREF0〜RREFx)は各々、参照ワードライン(WL_REF)と電気連通する第1の端子と、ビットライン(BL[0]〜BL[x])のうちの1つと電気連通する第2の端子とを有する。この方法において、アレイ602内の各ビットラインは、1つの参照抵抗素子に関連づけられる。図6Bの例示的なアレイアーキテクチャ602において、測定および記憶素子は各々、さらに、「参照」FET(QREF0〜QREFx)を備え、これは、制御ライン(RD_REF0〜RD_REFx)により有効化されると、測定および記憶素子に関連づけられるビットラインから「参照」記憶キャパシタ(CREF0〜CREFx)への放電経路を提供する。さらに、各測定および記憶素子は、「データ」記憶キャパシタ(CDATA0〜CDATAx)も含み、これは、(図7Bの論考において詳述する)READオペレーションのデータ相の間に出合うビットライン電圧を保持するために使用される。この方法において、図6Bのコンパレータ素子(U0〜Ux)は各々、「データ」記憶キャパシタ(CDATA0〜CDATAx)および「参照」記憶キャパシタ(CREF0〜CREFx)の双方に応答してデータ出力(D0〜Dx)を提供し、データ出力(D0〜Dx)は、後に詳しく示すように、本開示による方法において、測定および記憶素子に関連づけられるビットライン上の選択された抵抗変化素子内に記憶されるデータ値を示すために使用されることが可能である。これらの参照抵抗素子は、本開示のREAD方法の少なくとも1つの態様において使用されるが、その機能については、後の図7B、図9A〜図9Dおよび図11A〜図11Bに関する論考において詳述する。
後に、図7Aおよび図7Bに関する論考においてさらに詳しく述べるように、例示的な測定および記憶素子は、第1のオペレーションにおける選択されたセルを介して駆動された放電電流から結果的に生じる電圧を測定しかつ記憶するために使用されることが可能である。所定のオペレーションでは、次にこの記憶された電圧を(図6Aに示され、かつ図7AのREAD方法において記述されるような)固定基準電圧と比較し、選択された1つまたは複数のセルの抵抗状態を決定することができる。あるいは、他のオペレーションでは、抵抗参照素子を介して駆動された放電電流から結果的に生じる電圧を測定しかつ記憶するために、第2のプロセスステップを用いることができる。次には、記憶された2つの電圧を比較して、(図6Bに示され、かつ図7Bの方法において記述されるような)1つまたは複数の選択されたセルの抵抗状態を決定することができる。さらに、各ビットラインに応答する別々の測定および記憶素子により、例示的なアレイアーキテクチャ601および602は、選択されたワードライン上の全てのアレイセルを同時に読み取るために使用されることが可能である。このような機能は、高速のデータREADオペレーションまたはページモードのREADオペレーションが必要とされる所定のアプリケーションにおいて、極めて望ましいものである可能性がある。
例示的なアレイアーキテクチャ601および602は、所定の回路素子で構成されかつあらゆるビットラインが専用の測定および記憶素子に応答する例示的な測定および記憶素子を描いているが、本開示による方法がこうした点に限定されないことは留意されるべきである。実際に、後にさらに詳しく述べるように、本開示による方法は、単に、印加された読取り電圧から結果的に生じる放電電流または電圧が観察され、かつその値またはレベルがREADオペレーションの間に一時的に記憶または記録されることを要求する。図6Aおよび図6Bに描かれている例示的な測定および記憶素子の目的は、この機能を実行できる電気回路の非限定的な例を示すことにある。放電電圧および/または電流(または単に、これらの電圧および電流の値)の観察、測定および記憶は、多数の類似回路素子およびアーキテクチャによって達成される可能性もある。さらに、所定のアプリケーションにおいて、このような測定は、アレイ自体の外部で(例えば、外部測定素子を介して、またはREAD電圧自体を駆動する電源素子内部で)実行される可能性もある。さらにまた、本開示の方法による測定および記憶素子は、必要な測定および記憶素子の数の低減等のために、アレイ内の1つまたは複数のビットラインに応答するように多重化される可能性もある。
図7Aおよび図7Bは、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数のセルにREADオペレーションを実行するための本開示による方法を詳述するフローチャートである。具体的には、図7Aは、READ電圧(VRD)が1つまたは複数の選択されたセルへ、これらの選択されたセルを介してREAD電流を提供するために印加される、READ方法を詳述している。この電流/電圧は、コンパレータ素子の一方の端子上に発現し、もう一方の端子に印加される固定電圧参照と比較されて、1ステップREADオペレーションにおいて1つまたは複数の選択されたセルに記憶される抵抗状態が決定される。図7Bは、第1のオペレーション(「データ」READ相)において、READ電圧(VRD)が1つまたは複数のセルへ印加されて、これらのセルを介するREAD電流が提供され、かつ次に、第2のオペレーション(「参照」READ相)において、同等のREAD電圧(VRD)が1つまたは複数の参照抵抗素子へ印加されて、これらの素子を介する電流が提供されるREAD方法を詳述している。(2ステップREADオペレーションにおいて達成される)これらの位相の双方から結果的に生じる電流/電圧は、一時的に記憶され、1つまたは複数の選択されたセルの抵抗状態を決定するために比較される。
図7Aに記述されているような本開示によるREAD方法を例示するために、図8Aは、図7Aに記述されているように実行される例示的なREADオペレーション方法の間に、図6Aに示されている抵抗変化素子アレイアーキテクチャ601へ印加される電圧を描いた簡略図を提供している。さらに、図8Bは、図8Aに描かれているREADオペレーションの間のBL[1]に沿ったアレイ素子を詳述する縮小略図である。さらに、図10Aおよび図10Bは、図7Aに詳述されているような本開示による2つの例示的なREADオペレーションを示す一連の波形図を提供している。特に、図10Aは、セルが論理「1」として読み取られる(図6Aおよび図8Aに示されているような)CELL11上のREADオペレーションを描き、かつ図10Bは、セルが論理「0」として読み取られる同一セル上のREADオペレーションを描いている。
さらに、図7B(プロセスステップ704bまで)に記述されているような本開示によるREAD方法を例示するために、図9Aは、図7Bに記述されているREADオペレーション方法の第1の位相(「データ」READ相)の間に、図6Bに示されている抵抗変化素子アレイアーキテクチャへ印加される電圧を描いた簡略図を提供している。さらに、図9Bは、図9Aに描かれているプロセスステップの間のBL[1]に沿ったアレイ素子を詳述する縮小略図である。同様に、図9Cは、図7B(プロセスステップ707bまで)に記述されているREADオペレーションの第2の位相(「参照」READ相)の間に、図6Bに示されている抵抗変化素子アレイアーキテクチャへ印加される電圧を描いた簡略図である。さらに、図9Dは、図9Cに描かれているプロセスステップの間のBL[1]に沿ったアレイ素子を詳述する縮小略図である。図9Bおよび図9Dは、図7Bに記述されている方法に従って実行されるREADオペレーションの各位相中に実現されるビットライン電圧(VBL1)を例示するために配置されている。これらのビットライン電圧(VBL1)は、(各々、CDATA1およびCREF1内に)一時的に記憶され、かつ例示的なREADオペレーションにおいて、読み取られているセルの状態を決定するためにコンパレータ素子(U1)へ提供される。これらのビットライン電圧(VBL1)は、テブナン電圧(VTH)として図12Bにおいても示され、かつ計算される。さらに、図11Aおよび図11Bは、図7Bに詳述されているような本開示による2つの例示的なREADオペレーションを示す一連の波形図を提供している。特に、図11Aは、セルが論理「1」として読み取られる(図6Bおよび図9Aに示されているような)CELL11上のREADオペレーションを描き、かつ図11Bは、セルが論理「0」として読み取られる同一セル上のREADオペレーションを描いている。
次に、図7Aおよび図7Bの双方を参照すると、第1のプロセスステップ701a/701bにおいて、抵抗変化素子アレイ内の全てのビットラインおよびワードライン(参照ワードラインを含む)は、接地(0V)に初期化される。次のプロセスステップ702a/702bでは、アレイ内のビットラインが全て浮動され、かつ読み取られるべきセルに関連づけられるアレイ内のビットラインが各々測定および記憶素子へ接続される。次のプロセスステップ703a/703bでは、選択されたワードライン、即ち、読み取られるべき1つまたは複数のセルに関連づけられるワードライン、が必要なREAD電圧(VRD)へと駆動され、その間、選択されていないワードラインは全て、接地(0V)に保たれる。この方法において、1つまたは複数のREAD電流(IRD)は、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数の選択されたセルを介して選択されたワードラインから1つまたは複数の選択されたセルに関連づけられる1つまたは複数のビットラインへ、かつ関連の1つまたは複数のビットライン上の選択されていないセルの並列結合を介して接地へ、流れることを許容される。この電流経路については、図8Bおよび図9Bにおいてより明確に示されていて、これらの図面に関する論考においてさらに詳しく述べる。
次のプロセスステップ704a/704bでは、1つまたは複数の選択されたビットラインへ接続される1つまたは複数の測定および記憶素子を用いて、1つまたは複数の選択されたアレイセルの各々を介して結果的に生じるREAD電流(IRD)の値(または、この電流から結果的に生じる電圧レベル)を観察し、かつ図7Bの事例では、これを一時的に記憶する。例えば、図6Bに詳述されている例示的なアレイ構造体では、測定および記憶素子内の記憶キャパシタを用いて、ビットライン上の選択されたアレイ素子内に記憶された抵抗値と、同じビットライン上の選択されていないアレイセルの結合された並列抵抗との間の抵抗分割を介して流れるREAD電流(IRD)から結果的に生じる電圧が一時的に記憶される。結果的に生じるこの電圧値は、READ電流(IRD)の値を指し、延いては、選択されたアレイセル内の抵抗変化素子に記憶される抵抗値を指す。
具体的に、図7Aを参照すると、プロセスステップ710aにおいて、この観察された電圧が固定電圧参照と比較され、1つまたは複数の選択されたアレイセル内に記憶される抵抗状態が決定される。先に述べたように、この固定電圧参照は、アレイ内の回路(例えば、アレイセルと同じダイ上に位置決めされるバンドギャップ電圧発生器回路)を介して、または、具体的なアプリケーションの必要性に最もふさわしく外部回路(例えば、較正電圧供給回路)から提供されることが可能である。
具体的に、図7Bを参照すると、プロセスステップ705bにおいて、全てのビットラインおよびワードライン(参照ワードラインを含む)は、接地(0V)に再初期化される。これにより、READオペレーションの第1の位相(「データ」READ相)が完了し、第2の位相(「参照」READ相)が始まる。次のプロセスステップ706bでは、アレイ内のビットラインが全て再度浮動され、かつ読み取られるべきセルに関連づけられるアレイ内のビットラインが各々測定および記憶素子へ再度接続される。次のプロセスステップ707bでは、参照ワードライン、即ち、アレイ内の参照抵抗素子に関連づけられるワードライン、が必要なREAD電圧(VRD)へと駆動され、その間、他のワードラインは全て、接地(0V)に保たれる。この方法において、1つまたは複数のREAD電流(IRD)は、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数の抵抗参照素子を介して参照ワードラインから1つまたは複数の選択されたセルに関連づけられる1つまたは複数のビットラインへ、かつ関連の1つまたは複数のビットライン上のアレイセルの並列結合を介して接地へ、流れることを許容される。
次のプロセスステップ708bでは、1つまたは複数の選択されたビットラインへ接続される1つまたは複数の測定および記憶素子を用いて、1つまたは複数の参照抵抗素子の各々を介して結果的に生じるREAD電流(IRD)の値を観察し、かつこれを記憶する。次のプロセスステップ710bでは、(プロセスステップ704bにおいて)1つまたは複数の選択されたアレイセルを介して測定されかつ記憶されたREAD電流が、(プロセスステップ708bにおいて)1つまたは複数の参照抵抗素子を介して測定されかつ記憶されたREAD電流と比較され、1つまたは複数の選択されたアレイセル内に記憶される抵抗状態が決定される。
本開示による方法において、アレイ内の参照抵抗素子は、SET状態の公称抵抗値と、RESET状態の公称抵抗値との間の抵抗値を有するように選択される。したがって、選択されたアレイセルを介するREAD電流(または、印加READ電流から結果的に生じる電圧)であって、その測定値が、同じビットライン上の参照抵抗素子を介するREAD電流(または印加READ電流から結果的に生じる電圧)より高いものは、選択されたアレイセルが第1の論理値(例えば、論理「1」またはSET状態)でプログラムされていることを示すことになる。また、選択されたアレイセルを介するREAD電流(または、印加READ電流から結果的に生じる電圧)であって、その測定値が、同じビットライン上の参照抵抗素子を介するREAD電流(または印加READ電流から結果的に生じる電圧)より低いものは、選択されたアレイセルが第2の論理値(例えば、論理「0」またはRESET状態)でプログラムされていることを示すことになる。(選択されたアレイセルおよび参照抵抗素子の双方を介する)これらのREAD電流は、READオペレーションの2位相中に実現される異なるREAD電流レベルを示す、延いては、選択されたセルおよび参照抵抗素子の異なる抵抗値を示すビットライン電圧(VBL、図9Bおよび図9Dに関して詳しく論じる)を実現する。結果的に生じるこれらのビットライン電圧は、次に、選択されたセルの状態を決定するために比較されることが可能である。しかしながら、所定のアプリケーションでは、電流検出コンパレータ(または他のタイプの測定素子)が使用される可能性もあることは留意されるべきである。このような事例では、結果的に生じるビットライン電圧ではなく、READ電流が直に比較される可能性もある。
先に述べたように、本開示の所定の態様によれば、選択されたセルの抵抗状態は、選択されたアレイセルの電気応答を、選択されたセルと同じビットライン上の参照抵抗素子のそれと比較することによって決定される。したがって、選択されたセル内の抵抗変化素子および参照抵抗素子は共に、基本的に同じ回路状態(アレイラインのキャパシタンスおよびインピーダンス、選択されていないセルの電気抵抗、アレイ内の漏れ経路、他)の下にあり、よって、電気応答の差は、主として、READされる抵抗変化素子と参照抵抗素子との電気抵抗の差に起因する。この方法では、電流または電圧の僅差を、アレイセル内に原位置回路素子を追加する必要なしに確実かつ迅速に検出することができる。所定のアプリケーションにおいて、この精密さは、(例えば、図1および図2に関して論じているもの等、従来の静的DCアクセスおよびアドレス方法と比較して)著しく低いREAD電圧および電流ならびに超高速なREADタイミングの使用を許容することができる。
図6Aおよび図6Bに関する論考において先に論じたように、例示的なアレイアーキテクチャ601および602内に描かれている例示的な測定および記憶素子は、本開示のこの態様によく適合するが、本開示による方法がこれに限定されるものでないことは留意されるべきである。実際に、本開示のREAD方法は、結果的に生じるREAD電流(IRD)または電圧分割値がREAD電圧(VRD)の選択されたワードラインへの印加中に測定されかつ記憶されることのみを必要とする。図6Aおよび図6Bは、記憶キャパシタおよびコンパレータ素子を備える測定および記憶素子の特定の実装を描いているが、本開示による方法がこれに限定されないことは留意されるべきである。先に述べたように、図7Aおよび図7Bに詳述されているREAD方法が必要とするようなREAD電圧および/または電流(または単に、これらの電圧および電流の値)の観察、測定および記憶は、幾つかの類似する回路素子およびアーキテクチャによって達成される可能性もある。さらに、所定のアプリケーションにおいて、このような測定は、アレイ自体の外部で(例えば、外部測定素子を介して、またはREAD電圧自体を駆動する電源素子内部で)実行される可能性もある。したがって、図7Aおよび図7BのREAD方法に関連して先に述べた特定の測定および記憶素子の使用は、単に本開示による方法を例示するための非限定的な例として意図されている。
また、先に述べたように、図7Aおよび図7Bのフローチャートに詳述されているREAD方法が、アレイ内の単一セルにアクセスしかつその抵抗状態を決定するために使用可能であること、または、アレイ内の複数のセルの抵抗状態を同時に決定するために使用可能であることも留意されるべきである。さらに、図7Aおよび図7Bに詳述されているようなこのREAD方法は、選択されたワードラインを必要なREAD電圧へと駆動すること、選択されていないワードラインを接地すること、およびビットラインを浮動させる(よって、選択されたワードライン上の1つまたは複数のアレイセルを読み取ることができる)ことについて記述しているが、本開示による方法は、これらに限定されるものではない。実際に、本開示によるREAD方法は、アレイ内の全てのワードラインを浮動させること、選択されたビットラインを必要なREAD電圧へと駆動すること、および選択されていないビットラインを接地することによって使用される可能性もある。このようなオペレーションでは、測定および記憶素子がビットラインではなくワードラインに応答し、かつ選択されたビットライン上の1つまたは複数のセルが読み取られることになる。
次に、図8Aを参照すると、図6Aの簡略図601が修正されて略図801が実現されている。略図801は、図7Aに従って実行された例示的なREADオペレーションの間に、即ち、選択されたワードライン上の1つまたは複数のセルを介してREAD電流(IRD)を誘導すべく選択されたワードラインをバイアスする間に、例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激を示している。具体的には、図8Aでは、WL[1]が選択されて必要なREAD電圧(VRD)へと駆動されていて、同時に残りのワードライン(WL[0]およびWL[2]〜WL[y])は、接地(0V)に保持されている。アレイ内のビットライン(BL[0]〜BL[x])は全て、浮動される。この方法において、READ電流(IRD)は、WL[1]上の各抵抗変化素子(即ち、SW01〜SWx1)を介して駆動される。
図8Bを参照すると、図8Aの略図801がさらに縮小されて略図802が実現されている。略図802は、この例示的なREADオペレーションの間にBL[1]上の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。図8Bから分かるように、BL[1]上の電圧(VBL1)は、BL[1]上の選択されていないアレイセル(即ち、SW10およびSW1y)内の抵抗変化素子と、BL[1]上の選択されたセル(即ち、SW11)内の抵抗変化素子の抵抗RSELとの並列結合間の電圧分割によって決定される。図8Bの略図には、BL[1]上に固有のキャパシタンスを表すために、CBL1が包含されていて、これが、ビットラインの荷電可能な速度、延いてはCELL11(または、BL[1]上の任意のセル)に対して実行可能なREADオペレーションの速度を制限する。しかしながら、CBL1が一旦荷電するに足る時間を有したとすれば、VBL1は、基本的に次式によって決定される。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RSEL + RUNSEL) [式1]
そして、RSELは、基本的に、選択されたアレイセル内に記憶される抵抗(RSW11)であることから、これは、次式のようになる。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RSW11 + RUNSEL) [式2]
さらに、RUNSELは、基本的に、選択されていないアレイセル内に記憶された抵抗(RSW10〜RSW1y)の並列結合であって、基本的には、次式が成り立つ。
RUNSEL = REQ / (n − 1) [式3]
ここで、REQは、選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗であり、nは、選択されたビットライン上のセル数である。この有効抵抗値(REQ)については、図14に関する論考においてさらに詳しく述べる。 式3を式2へ代入すると、次式が得られる。
VBL1 = VRD * (REQ / n −1) / (RSW11 + (REQ / (n − 1)) [式4]
上記の式4に詳述されているように、READオペレーションにおけるこの時点でのVBL1上の電圧レベルは、選択された抵抗変化素子に記憶される抵抗状態(RSW11)を示している。RD_DATA1を有効化することにより、ビットラインBL[1]は、QD1を介してコンパレータ素子U1の第1の入力(図8BにおけるノードVDATA1)へ接続される。次に、この電圧(VDATA1)を、コンパレータ素子U1の第2の入力へ接続された固定電圧参照(図8BにおいてVREFで表されている)と比較すれば、選択されたセル(本例ではSW11)内に記憶される抵抗状態(延いては、論理値)を決定することができる。即ち、(コンパレータ素子U1の第1の入力へ印加される)ノードVDATA1上の電圧レベルが、(コンパレータ素子U1の第2の入力へ印加される)VREFより高ければ、CELL11内に記憶される抵抗状態は、第1の論理値(例えば、論理「1」またはSET状態)となることが決定される。逆に、ノードVDATA1上に記憶された電圧レベルが、VREFより低ければ、CELL11内に記憶される抵抗状態は、第2の論理値(例えば、論理「0」またはRESET状態)となることが決定される。
次に、図9Aを参照すると、図6Bの簡略図602が修正されて略図901が実現されている。略図901は、図7Bのプロセスステップ704bの間に、即ち、選択されたワードライン上の1つまたは複数のセルを介してREAD電流(IRD)を誘導すべく選択されたワードラインをバイアスする間に、例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激を示している。具体的には、図9Aでは、WL[1]が選択されて必要なREAD電圧(VRD)へと駆動されていて、同時に残りのワードライン(WL[0]およびWL[2]〜WL[y])は、接地(0V)に保持されている。アレイ内のビットライン(BL[0]〜BL[x])は全て、浮動される。この方法において、READ電流(IRD)は、WL[1]上の各抵抗変化素子(即ち、SW01〜SWx1)を介して駆動される。
図9Bを参照すると、図9Aの略図901がさらに縮小されて略図902が実現されている。略図902は、この位相のREADオペレーションの間にBL[1]上の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。図9Bから分かるように、BL[1]上の電圧(VBL1)は、BL[1]上の選択されていないアレイセル(即ち、SW10およびSW12〜SW1y)内の抵抗変化素子RUNSELおよびBL[1]上の参照抵抗素子(RREF1)と、BL[1]上の選択されたセル(即ち、SW11)内の抵抗変化素子の抵抗RSELとの並列結合間の電圧分割によって決定される。図9Bの略図には、BL[1]上に固有のキャパシタンスを表すために、CBL1が包含されていて、これが、ビットラインの荷電可能な速度、延いてはCELL11(または、BL[1]上の任意のセル)に対して実行可能なREADオペレーションの速度を制限する。しかしながら、CBL1が一旦荷電するに足る時間を有したとすれば、VBL1は、基本的に次式によって決定される。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RSEL + RUNSEL) [式5]
そして、RSELは、基本的に、選択されたアレイセル内に記憶される抵抗(RSW11)であることから、これは、次式のようになる。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RSW11 + RUNSEL) [式6]
上記の式6に詳述されているように、READオペレーションにおけるこの時点でのVBL1上の電圧レベルは、選択された抵抗変化素子に記憶される抵抗状態(RSW11)を示している。RD_DATA1を有効化することにより、記憶キャパシタCDATA1は、QD1を介してBL1へ接続され、かつこの電圧(VBL1)は、残りのREADオペレーションの間にCDATA1に記憶される。
次に、図9Cを参照すると、図6Bの簡略図602が再び修正されて略図903が実現されている。略図903は、図7Bのプロセスステップ707bの間に、即ち、アレイ内の参照抵抗素子を介してREAD電流(IRD)を誘導すべく参照ワードラインをバイアスする間に、例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激を示している。具体的には、図9Cでは、WL_REFが必要なREAD電圧(VRD)へと駆動され、同時に残りのワードライン(WL[0]〜WL[y])が接地(0V)に保持されている。アレイ内のビットライン(BL[0]〜BL[x])は全て、浮動される。この方法において、READ電流(IRD)は、アレイ内の各参照抵抗素子(即ち、RREF0〜RREFx)を介して駆動される。
図9Dを参照すると、図9Cの略図903がさらに縮小されて略図904が実現されている。略図904は(図9Bの場合のように)、この位相のREADオペレーションの間にBL[1]上の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。図9Dから分かるように、BL[1]上の電圧(VBL1)は、BL[1]上の全てのアレイセル(選択されたセルを含む)(即ち、SW10〜SW1y)内の抵抗変化素子RUNSELと、BL[1]上の参照抵抗素子(RREF1)RSELとの並列結合間の電圧分割によって決定される。また、図9Bの場合と同様に、図9Dの略図には、BL[1]上に固有のキャパシタンスを表すためにCBL1が包含されていて、これが、ビットラインの荷電可能な速度、延いてはCELL11(または、BL[1]上の任意のセル)に対して実行可能なREADオペレーションの速度を制限する。しかしながら、CBL1が一旦荷電するに足る時間を有したとすれば、VBL1は、やはり基本的に次式によって決定される。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RSEL + RUNSEL) [式7]
また、RSELは、基本的に、この位相のREADオペレーションにおけるBL[1]上の参照抵抗素子の抵抗(RREF1)であることから、これは、次式のようになる。
VBL1 = VRD * RUNSEL / (RREF1 + RUNSEL) [式8]
上記の式8に詳述されているように、READオペレーションにおけるこの時点でのVBL1上の電圧レベルは、RREF1の抵抗値を示していて、これは、(先に本開示において記述したように)公称SET抵抗値と公称RESET抵抗値との間となるように選択されている。RD_REF1を有効化することにより、記憶キャパシタCREF1は、QREF1を介してBL1へ接続され、かつこの電圧(VBL1)は、残りのREADオペレーションの間にCREF1に記憶される。
先に論じたREADオペレーションの双方の位相(即ち、図9Aおよび図9Bに詳述されている「データ」相および図9Cおよび図9Dに詳述されている「参照」相)において、RUNSELは、基本的に一定のままである。BL[1]上の選択されていないセル内の抵抗変化素子の抵抗は、これらの位相の双方を通じて不変のままであり、延いてはまた、これらの抵抗素子の並列結合も不変のままである。READオペレーションの第1の位相(図9Aおよび図9B)では、並列抵抗結合RUNSELがRREF1を含み、かつ第2の位相(図9Cおよび図9D)では、RUNSELがRSW11を含んでいるが、(例えば、ビットライン数が32、64、128、256、512、1024またはこれ以上ですらある)大型のビットラインアレイを有する実用的なアプリケーションでは、この差は容認できる。したがって、RUNSELの値は、式6および式8の双方で定数と捉えることができる。また、READオペレーションの各位相において測定されかつ記憶されるBL[1]電圧(VBL1)の差分は、選択されたアレイセル(CELL11)内に記憶される抵抗状態(延いては、論理値)を決定するために使用されることが可能である。即ち、CDATA1に記憶された電圧レベルが、CREF1に記憶された電圧レベルより高ければ、CELL11内に記憶される抵抗状態は、第1の論理値(例えば、論理「1」またはSET状態)となることが決定される。逆に、CDATA1に記憶された電圧レベルが、CREF1に記憶された電圧レベルより低ければ、CELL11内に記憶される抵抗状態は、第2の論理値(例えば、論理「0」またはRESET状態)となることが決定される。
選択されたアレイセルの電気応答を、固定電圧参照、または同じアレイ(または回路)内に位置決めされかつ同じ状態下にある参照素子の電気応答の何れかと比較することにより、選択されたセル内に記憶される値は、所定のアプリケーションにおいて、選択されたアレイセル内の電気応答と何らかの既定値または期待値との比較を必要とするREAD方法よりも低い電圧および電流READ刺激を用いて、より高速かつ正確に決定(即ち、READ)されることが可能である。この参照比較ステップ(図7Aおよび図7Bにおけるプロセスステップ710a/710b)については、図10A〜図10Bおよび図11A〜図11Bの波形図においてさらに示し、かつ後にさらに詳しく説明する。
次に、図10Aを参照すると、一連の波形図が、図7Aに記述されているような本開示の方法による図6AのCELL11に対する例示的なREADオペレーション1001を詳述している。図10Aの例示的なREADオペレーション1001において、SW11は、論理「1」またはSET状態に対応して、予め比較的低い抵抗状態にプログラムされていることが想定されている。
時間指数t0において、アレイライン(即ち、全てのビットラインおよびワードライン)は、接地(0V)に初期化される。これは、図7Aにおけるプロセスステップ701aに対応する。したがって、WL[1]およびVBL1の波形は、共に、0Vであることが示されている。また、RD_DATA1も、t0において低値に保持され、QD1(図6A、図8Aおよび図8Bに示されている)が無効化されている。VDATA1の波形も、接地(0V)に存在する。VREFの波形は、定電圧で示され、かつこれが、READオペレーション全体に渡って続く。先に論じたように、VREFの電圧レベルは、公称SET状態および公称RESET状態に関して予期されるVBL電圧の間となるように選択される。最後に、D1波形は、高インピーダンス状態を示し、コンパレータ素子(図6A、図8Aおよび図8BにおけるU1)が無効化されていることを示している。これは、図10Aの例示的なREADオペレーションにおいて、READオペレーションが、図7Aにおけるプロセスステップ710aに対応する時間指数t3まで有効なデータ結果を生み出さないことを強化するために行われる。
時間指数t1(図7Aにおけるプロセスステップ702aおよび703aに対応する)において、アレイ内のビットラインは、高インピーダンスへと駆動されて測定および記憶素子へ接続される。同じく時間指数t1において、この例示的なREADオペレーションの選択されたワードラインであるWL[1]は、必要なREAD電圧(図8Aおよび図8BにおけるVRD)へと駆動される。明確さのために図10Aには表示されていない、アレイ内の選択されていないワードラインは、接地(0V)に保持されたままである。これに対応して、図10Aの波形図では、時間指数t1においてWL[1]が駆動READ電圧まで荷電を開始し、かつVBL1も(WL[1]を追って)、(図8Bに関連して先に詳しく論じたように)SW11内に記憶された抵抗値を示す電圧へと荷電する。同じく時間指数t1において、RD_DATA1は、高値へと駆動され、(図6A、図8Aおよび図8Bに示されているように)QD1が有効化されて、ノードVDATA1がVBL1電圧と共に追跡できるようにされる。そしてD1は、U1が(図6A、図8Aおよび図8Bに示されているように)依然として無効化された状態で、高インピーダンス状態に留まる。
時間指数t2(図7Aにおけるプロセスステップ704aに対応する)までに、VBL1は、十分な時間を経てSW11に記憶された抵抗値を示す電圧レベルまで完全に荷電し、この電圧が、(図8Bに示されているように、QD1を介してBL[1]へ電気接続されている)ノードVDATA1を介して(同じく図8Bに示されているような)コンパレータ素子U1の第1の入力へ提供される。(図8Bに示されているような)コンパレータ素子U1は、時間指数t2において有効化されることが推測され、よって、VDATA1(コンパレータ素子U1の第1の入力へ印加される電圧)がVREF(コンパレータ素子U1の第2の入力へ印加される電圧)より高い状態で、D1は、移行して高い電圧レベル(論理「1」)を示す。時間指数t3(図7Aにおけるプロセスステップ710aに対応する)までに、この結果は、このアレイから外部制御回路(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはFGPA等、但しこれらに限定されない)へと出力される準備が整う。時間指数t4までに、ワードラインおよびビットラインは接地(0V)へ戻され、RD_DATA1が再び低値へと駆動され、コンパレータ素子U1が無効化されてREADオペレーションが完了する。(図7Aに記述されているような)本開示によるこのREAD方法の所定のアプリケーションでは、QD1および対応するRD_DATA1信号が必要でない場合もあることは留意されるべきである。実際に、このようなアプリケーションでは、コンパレータ素子U1の第1の入力がBL[1]へ直に接続される可能性もあり、かつビットラインBL[1]と略同時にVREFへ遷移される基準電圧は、結果的に生じるVBL電圧まで荷電する。
先に論じたように、BL[1]のラインキャパシタンス(図8BにおいてCBL1で表されている)は、所定のアプリケーションにおいて、VBL1がその全電圧までどの程度迅速に荷電できるかを制限してもよい。また、所定のアプリケーションにおいて、WL[1]上のラインキャパシタンスがこの荷電時間における1つの要素でもあり得ることにも留意されるべきである。また、使用される測定および記憶素子のタイプおよび実装に依存して、VBL1がその全電圧に達するとVBL1上の電圧を測定しかつ/または記憶するための追加時間が必要とされてもよい。図10Aの波形は、本開示の方法をよりよく例示するための(時間指数t1およびt2間のWL[1]、VBL1およびVDATA1上のランプアップ曲線により示されるような)可能なタイミング要件を示すものとされている。しかしながら、これらの例示的なRCタイミング遅延および過渡AC特性は、本開示による方法を限定するものと捉えられるべきではない。さらに、抵抗変化素子アレイの設計およびアーキテクチャは、所定のアプリケーションにおいて、本開示による方法をよりよく実行するために、これらのタイミング要件に関与する電気特性を制限する、または別段で制御するように選択されてもよい。
次に、図10Bを参照すると、一連の波形図が、図7Aに記述されているような本開示の方法による図6AのCELL11に対する別の例示的なREADオペレーション1002を詳述している。図10Bの例示的なREADオペレーション1002において、SW11は、論理「0」またはRESET状態に対応して、予め比較的高い抵抗状態にプログラムされていることが想定されている。この第2の例示的なREADオペレーション1002は、図10Aに詳述されている第1のREADオペレーション1001と略同一であるが、論理「1」ではなく、論理「0」を読み出す点が異なる。
先の図10Aに関する論考においてより詳しく説明されているように、図10Bに詳述されている第2の例示的なREADオペレーション1002では、時間指数t0(図7Aにおけるプロセスステップ701aに対応する)において、全てのアレイラインが接地(0V)に初期化される。時間指数t1(図7Aにおけるプロセスステップ702aおよび703aに対応する)では、アレイ内の全てのビットラインが浮動されて測定および記憶素子へ接続され、選択されたワードライン(WL[1])は、READ電圧へと駆動され、かつRD_DATA1は、有効化される(図8Bに示されているように、QD1が有効化され、かつノードVDATA1がBL[1]へ接続される)。時間指数t2(図7Aにおけるプロセスステップ704aに対応する)までに、VBL1上の電圧レベル(SW11に記憶された抵抗状態を示す)は、十分に荷電する時間を保有し、よってコンパレータ素子U1は、有効化されることが可能である。図10Aに関連してより詳しく述べたように、VDATA1上の電圧がVREFより低いことから、D1は低値に駆動され、SW11がRESET状態にある(または、論理「0」でプログラムされている)ことが示される。
時間指数t3(図7Aにおけるプロセスステップ710aに対応する)において、このデータ出力(D1の波形上に示される論理「0」値)は、このアレイから外部制御回路(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはFGPA等、但しこれらに限定されない)へと出力される準備が整う。時間指数t4までに、ワードラインおよびビットラインは接地(0V)へ戻され、RD_DATA1が再び低値へと駆動され、コンパレータ素子U1が無効化されてREADオペレーションが完了する。
次に、図11Aを参照すると、一連の波形図が、図7Bに記述されているような本開示の方法による図6BのCELL11に対する例示的なREADオペレーション1101を詳述している。図11Aの例示的なREADオペレーション1101において、SW11は、論理「1」またはSET状態に対応して、予め比較的低い抵抗状態にプログラムされていることが想定されている。
時間指数t0において、アレイライン(即ち、ビットラインおよび参照ワードラインを含むワードラインの全て)は、接地(0V)に初期化される。これは、図7Bにおけるプロセスステップ701bに対応する。したがって、WL[1]、WL_REFおよびVBL1の波形は、全て0Vであることが示されている。RD_DATA1およびRD_REF1も、t0において低値に保たれ、QD1およびQREF1(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されている)が無効化される。CDATA1およびCREF1の波形も接地(0V)にあり、これらの記憶キャパシタがREADオペレーションの開始より前に放電されていることを示している。最後に、D1波形は、高インピーダンス状態を示し、コンパレータ素子(図6Bおよび図9A〜図9DにおけるU1)が無効化されていることを示している。これは、図11Aの例示的なREADオペレーションにおいて、READオペレーションが、図7Bにおけるプロセスステップ710bに対応する時間指数t6まで有効なデータ結果を生み出さないことを強化するために行われる。
時間指数t1(図7Bにおけるプロセスステップ702bおよび703bに対応する)において、アレイ内のビットラインは、高インピーダンスへと駆動されて測定および記憶素子へ接続される。同じく時間指数t1において、この例示的なREADオペレーションの選択されたワードラインであるWL[1]は、必要なREAD電圧(図9A〜図9DにおけるVRD)へと駆動される。WL_REF(ならびに、明確さのために図11Aに表示されていない、アレイ内の他の選択されていないワードライン)は、接地(0V)に保たれたままである。これに対応して、図11Aの波形図では、時間指数t1においてWL[1]が駆動READ電圧まで荷電を開始し、かつVBL1も(WL[1]を追って)、(図9Bに関連して先に詳しく論じたように)SW11内に記憶された抵抗値を示す電圧へと荷電する。WL_REFは、接地(0V)に留まる。RD_DATA1は、高値へと駆動され、(図6B、図9A〜図9Dに示されているように)QD1が有効化されて、CDATA1がVBL1電圧まで荷電できるようにされる。RD_REF1は、低値に保持されたままであり、(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)QREF1が無効化されて保たれ、かつCREF1がVBL1から電気絶縁される。したがって、CREF1の波形は、0Vに留まる。そしてD1は、U1が(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)依然として無効化された状態で、高インピーダンス状態に留まる。
時間指数t2(図7Bにおけるプロセスステップ704bに対応する)までに、VBL1およびCDATA1は、十分な時間を経てSW11に記憶された抵抗値を示す電圧レベルまで完全に荷電し、かつRD_DATA1は再び低値へと駆動され、(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)CDATA1がBL[1]から電気絶縁される。図11Aの波形図に示されているように、READオペレーションにおけるこの時点(時間指数t2)でのVBL1の電圧レベルは、残りのREADオペレーションでCDATA1上に保持される。先に論じたように、BL[1]のラインキャパシタンス(図9Bおよび図9DにおいてCBL1で表されている)は、所定のアプリケーションにおいて、VBL1がその全電圧までどの程度迅速に荷電できるかを制限してもよい。また、所定のアプリケーションにおいて、WL[1]上のラインキャパシタンスがこの荷電時間における1つの要素でもあり得ることにも留意されるべきである。また、使用される測定および記憶素子のタイプおよび実装に依存して、VBL1がその全電圧に達するとVBL1上の電圧を測定しかつ/または記憶するための追加時間が必要とされてもよい。
例えば、図6Bの例示的なアレイ構造体に示されている(かつ続いて、図9A〜図9Dに示されている)例示的な測定および記憶素子を用いて、記憶キャパシタCDATA1は、追加時間をかけて全VBL1電圧まで荷電されてもよい。図11Aの波形は、本開示の方法をよりよく例示するための(時間指数t1およびt2間のWL1、VBL1およびCDATA1上のランプアップ曲線により示されるような)可能なタイミング要件を示すものとされている。しかしながら、これらの例示的なRCタイミング遅延および過渡AC特性は、本開示による方法を限定するものと捉えられるべきではない。さらに、抵抗変化素子アレイの設計およびアーキテクチャは、所定のアプリケーションにおいて、本開示による方法をよりよく実行するために、これらのタイミング要件に関与する電気特性を制限する、または別段で制御するように選択されてもよい。
時間指数t3(図7Bにおけるプロセスステップ705bに対応する)において、アレイ内のビットラインおよびワードライン(参照ワードラインを含む)は、接地(0V)に再初期化される。したがって、WL[1]、WL_REFおよびVBL1の波形は、全て0Vに戻ることが示されている。時間指数t4(図7Bにおけるプロセスステップ706bおよび707bに対応する)において、アレイ内のビットラインは、再び高インピーダンスへと駆動されて測定および記憶素子へ接続される。同じく時間指数t4において、参照ワードラインであるWL_REFは、必要なREAD電圧(図6Bおよび図9A〜図9DにおけるVRD)へと駆動される。WL[1](ならびに、明確さのために図11Aに表示されていない、アレイ内の他の全てのワードライン)は、接地(0V)に保たれたままである。これに対応して、図11Aの波形図における時間指数t4では、WL_REFが駆動READ電圧までの荷電を開始し、かつVBL1も(WL_REFを追って)、(図9Dに関連して先に詳しく論じたように)参照抵抗素子RREF1の抵抗値を示す電圧へと荷電する。WL[1]は、接地(0V)に留まる。RD_REF1は、高値へと駆動され、(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)QREF1が有効化されて、CREF1がVBL1電圧まで荷電できるようにされる。RD_DATA1は、低値に保持されたままであり、(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)QDATA1が無効化されて保たれ、かつCDATA1がVBL1から電気絶縁される。したがって、CDATA1は、妨害されないまま、時間指数t2において測定された電圧を保持し続ける(これは、時間指数t6において、選択されたセルCELL11に記憶される抵抗状態を決定するために使用される)。そしてD1は、U1が(図6B、図9A〜図9Dに示されているように)依然として無効化された状態で、高インピーダンス状態に留まる。
時間指数t5(図7Bにおけるプロセスステップ708bに対応する)までに、VBL1およびCREF1は、十分な時間を経てRREF1の抵抗値を示す電圧レベルまで完全に荷電し、かつRD_REF1は再び低値へと駆動され、(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように)CREF1がBL[1]から電気絶縁される。図11Aの波形図に示されているように、READオペレーションにおけるこの時点(時間指数t5)でのVBL1の電圧レベルは、残りのREADオペレーションでCREF1上に保持される。この場合もやはり、時間指数t2に関連して論じたように、READオペレーションにおいて使用されるアレイラインキャパシタンス、アレイの過渡AC特性および測定ならびに記憶素子の特徴は、BL[1]およびCREF1を完全に荷電するために必要な時間に影響することがある。したがって、図11Aの波形は、本開示の方法をよりよく例示するための(時間指数t4およびt5間のWL_REF、VBL1およびCREF1上のランプアップ曲線により指示されるような)アレイにおける可能なタイミング要件を示すものとされている。先と同様に、これらの例示的なRCタイミング遅延および過渡AC特性は、本開示による方法を限定するものと捉えられるべきではない。
時間指数t6(図7Bにおけるプロセスステップ710bに対応する)では、SW11内に記憶される抵抗状態を決定してREADオペレーションを完了するために、CDATA1およびCREF1に記憶された電圧が比較される。図11Aの波形により詳述される例示的なオペレーションでは、コンパレータ素子(図6Bおよび図9A〜図9DにおけるU1)が有効化される。CDATA1上の電圧は、CREF1上に記憶された電圧より高いことから、D1は、高値へと駆動され、SW11がSET状態にある(または、論理「1」でプログラムされている)ことを示す。時間指数t7において、このデータ出力は、このアレイから外部制御回路(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはFGPA等、但しこれらに限定されない)へと出力される準備が整い、READオペレーションが完了する。
次に、図11Bを参照すると、一連の波形図が、図7Bに記述されているような本開示の方法による図6BのCELL11に対する別の例示的なREADオペレーション1102を詳述している。図11Bの例示的なREADオペレーション1102において、SW11は、論理「0」またはRESET状態に対応して、予め比較的高い抵抗状態にプログラムされていることが想定されている。この例示的なREADオペレーション1102は、図11Aに詳述されているREADオペレーション1101と略同一であるが、論理「1」ではなく、論理「0」を読み出す点が異なる。
先の図11Aに関する論考においてより詳しく説明されているように、図10Bに詳述されている第2の例示的なREADオペレーション1102では、時間指数t0(図7Bにおけるプロセスステップ701bに対応する)において、全てのアレイラインが接地(0V)に初期化される。時間指数t1(図7Bにおけるプロセスステップ702bおよび703bに対応する)では、アレイ内の全てのビットラインが浮動されて測定および記憶素子へ接続され、選択されたワードライン(WL[1])がREAD電圧へと駆動される。時間指数t2(図7Bにおけるプロセスステップ704bに対応する)では、RD_DATA1が有効化され、VBL1上の電圧レベル(SW11に記憶された抵抗状態を示す)がCDATA1上に記憶される。時間指数t3(図7Bにおけるプロセスステップ705bに対応する)において、全てのアレイラインは、接地(0V)へ再初期化される。時間指数t4(図7Bにおけるプロセスステップ706bおよび707bに対応する)において、アレイ内の全てのビットラインは、再び浮動され、アレイ内の全てのワードラインは、接地(0V)へと引き寄せられ、かつ参照ワードライン(WL_REF)は、READ電圧へと駆動される。時間指数t5(図7Bにおけるプロセスステップ708bに対応する)では、RD_REF1が有効化され、VBL1上の電圧レベル(RREF1の抵抗値を指示する)がCREF1上に記憶される。
時間指数t6(図7Bにおけるプロセスステップ710に対応する)では、SW11内に記憶される抵抗状態を決定してREADオペレーションを完了するために、CDATA1およびCREF1に記憶された電圧が比較される。図11Bの波形により詳述される例示的なREADオペレーションでは、コンパレータ素子(図6A、図6B、図8A、図8B、図9Aおよび図9BにおけるU1)が有効化される。CDATA1上の電圧は、CREF1上に記憶された電圧より低いことから、D1は、低値へと駆動され、SW11がRESET状態にある(または、論理「0」でプログラムされている)ことを示す。時間指数t7において、このデータ出力は、このアレイから外部制御回路(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラまたはFGPA等、但しこれらに限定されない)へと出力される準備が整い、READオペレーションが完了する。
図10A〜図10Bおよび図11A〜図10Bは、抵抗変化素子アレイにおける単一ビットライン上の単一アレイセルに対して例示的なREADオペレーションを実行する一連の波形を描いているが、本開示による方法がこれに限定されないことは留意されるべきである。実際に、図10A〜図10Bおよび図11A〜図11Bの波形は、多セルREADオペレーションの間の例示的な単一ビットライン上の電気応答を例示するためのものである。所定のアプリケーションにおいて、アレイ内のあらゆるビットラインは、同時に読み取られる可能性もあり、各ビットラインは、図10A〜図10Bおよび図11A〜図11Bに示されているものに類似する一連の波形に応答する。このようにして、本開示のREAD方法は、抵抗変化素子アレイから大量のデータを迅速かつ効率的に出力するために使用されることが可能である。図7Aおよび図7Bに詳述され、かつ図8A〜図8B、図9A〜図9B、図10A〜図10Bおよび図11A〜図11Bに関連して論考されかつ実証されている本開示によるREAD方法は、READオペレーションを、特定のアプリケーションの要件にふさわしくアレイ内の単一セルに対して、アレイ内のセルによる部分集合に対して同時に、または選択されたワードライン上の全てのセルに対して同時に実行することによく適合する。
図12Aおよび図12Bは、図8B(図12A)および図9Bおよび図9D(図12B)の縮小略図のテブナン等価回路(各々、1201および1202)である。これらのテブナン等価回路については、図14および図15A〜図15Cにおいて詳述する例示的な1−R抵抗変化素子アレイの構造およびREADオペレーション例の論考において言及する。これらのアレイ構成およびREADオペレーション例は、図7Aおよび図7Bに詳述されているような本開示による方法に従って実行されるREADオペレーションの電圧およびタイミング要件を例示するために提示される。図8B、図9Bおよび図9Dに関連して先に論じたように、図12Aおよび図12Bの双方において、VTHは、次式によって与えられる。
VTH = VBL1 = VRD * (RUNSEL) / (RSEL + RUNSEL) [式9]
また、RTHは、次式によって与えられる。
1/RTH = 1/RSEL + 1/RUNSEL
RTH = (RSEL * RUNSEL) / (RSEL + RUNSEL) 式10]
具体的に、図12Aを参照し、かつ図8Bの略図802を再度参照すると、RUNSELは、選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗の並列結合(基本的には、先に述べたようにREQ/(n−1))であり、かつRSELは、選択されたセルの抵抗である。図12Bに関して、図9Bの略図を表すために使用される場合、RUNSELは、選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗の並列結合(この場合も、基本的には、先に論じたように、REQ/(n−1))、さらなる結合では、選択されたビットライン上の参照抵抗素子の並列結合であり、かつRSELは、選択されたセルの抵抗である。また、図9Dの略図を表すために使用される場合、RUNSELは、選択されたビットライン上の全てのセル(選択されていないセルおよび選択されたセルの双方)の有効抵抗の並列結合であり、かつRSELは、参照抵抗素子の抵抗である。これらの式および計算は、後の図14および図15A〜図15Cに関する論考において使用し、かつさらに詳しく説明する。
図14および図15A〜図15Cは、特定の例示的な抵抗変化素子アレイの構成に対して実行された幾つかの例示的なREADオペレーションから結果的に得られた最小READ電圧を詳述する表である。特に、図14および図15A〜図15CのVBL電圧を生成するために使用された抵抗変化素子アレイは、Bertinらに付与された米国特許第7,781,862号明細書(参照によりその全体が本明細書に含まれる)に記述されているような2端子ナノチューブ・スイッチングデバイスを用いる。クロスポイントアレイ構造の2端子ナノチューブ・スイッチングデバイスは、Bertinらに付与された米国特許第7,835,170号明細書(参照によりその全体が本明細書に含まれる)に示されている。これらの2端子ナノチューブ・スイッチングデバイスは、垂直の方向性を有する。2端子ナノチューブ・スイッチングデバイスならびにこのようなデバイスの1−Rアレイは、さらに、Bertinらの米国特許公開第20140166959号明細書(参照によりその全体が本明細書に含まれる)に記述されている。米国特許公開第20140166959号明細書は、非線形抵抗応答を示す2端子ナノチューブスイッチング素子の例についても記述している。所定のアプリケーションにおいて、抵抗変化素子の1−Rアレイにおける非線形および線形抵抗変化素子の選択的使用は、(図6Aおよび図6Bに記述されているような)本開示によるREAD方法のアプリケーションに関する主要な設計パラメータである可能性がある。これを例示するために、図14および図15A〜図15Cに詳述されている例示的な抵抗変化素子構成は、線形抵抗変化素子、非線形変化素子および「2X」非線形変化素子(即ち、「非線形性」が先に論じたデバイスの2倍である抵抗変化素子)を含む。抵抗変化素子の非線形性については、図13に関連してさらに説明する。
図13は、例示的な非線形抵抗変化素子のI−V掃引の片対数プロット1300である。プロット1300に示されているように、0.5Vの印加電圧に応答して、例示的な非線形抵抗変化素子は、約5MΩの有効抵抗に相当する約100nAの電流を許容する。しかしながら、1.0Vの電圧において、例示的な非線形抵抗変化素子は、約1MΩの有効抵抗に相当する約1μAの電流を許容する。同様に、−0.5Vの印加電圧に応答して、例示的な非線形抵抗変化素子は、約16MΩの有効抵抗に相当する約30nAの電流を許容する。また、−1.0Vの電圧において、例示的な非線形抵抗変化素子は、約5MΩの有効抵抗に相当する約200nAの電流を許容する。即ち、非線形抵抗変化素子(図14および図15A〜図15Cに詳述されている例示的なREADオペレーションに使用されるもの等)の場合、素子に渡って駆動される電圧が低減されるにつれて、その素子の有効抵抗は増大される。例えば、I−Vプロット1300から分かるように、非線形抵抗変化素子に渡る電圧が1.0Vから0.5Vへ下がると、素子の有効抵抗は5倍増加する。また、同じ非線形抵抗変化素子に渡る電圧が−1.0Vから−0.5Vへ下がると、素子の有効抵抗は3倍増加する。クロスポイントアレイのREADパフォーマンスに与えるCNTスイッチ抵抗非線形性の効果を計算するために、図13に示されているプロット1300が示すCNTスイッチ非線形性測定値は、CNTスイッチの第1の例として使用される。1VのREAD電圧(VRD)および3倍のCNTスイッチ抵抗非線形性は、プロット1300を基礎として使用される。コンパレータ素子入力へのビットライン電圧(VBL)信号は、後に詳述するようにして計算される。また、CNTスイッチ抵抗非線形性の第2の例として、第1の例における想定より2倍の大きさのCNTスイッチ抵抗非線形性を想定して、1VのVRDを有するREAD電圧および6倍の非線形性が、後に詳述するようにコンパレータ素子入力へのビットライン電圧VBLを計算するために使用される。図14および図15A〜図15Cに関連する論考において示されるように、抵抗変化素子におけるこのような非線形抵抗応答は、所定のアプリケーションにおいて、(図7Aおよび図7Bに記述されているような)本開示によるREAD方法により効果的に使用されることが可能である。
図14は、図7Aおよび図7Bに記述されているような本開示によるREAD方法を適用する場合に、幾つかの例示的な1−R抵抗変化素子アレイ構成に対して可能な最小READ信号を纏めた表1400である。後に詳述するように、これらの最小READ信号値は各々、ビットライン当たり所定数のセル(表の各列)を有する所定のアレイ構成(表の各行)について、(図6Aおよび図6Bに関連して記述されているような)測定および記憶素子が出合う(SETまたはRESET状態双方の)最小信号に対応する。ビットライン当たりのセル数の増大に伴うこれらの最小READ電圧値を調べることにより、異なる例示的なアレイ構成に対する(図7Aおよび図7Bに示されているような)本開示によるREAD方法の有効性を調べることができる。
図14に要約されている例示的なREADオペレーションは、線形抵抗変化素子および非線形抵抗変化素子の1−Rアレイに実行される(図7Aに記述されているような)固定基準電圧のREAD方法、および(図7Bに記述されているような)参照抵抗素子のREAD方法の双方を例示するためのものである。この目的に沿って、第1の行1401は、(図6Aに示されているような)線形抵抗変化素子を有しかつ固定電圧参照を用いるアレイ構成を詳述し、かつ第2の行1402は、(図6Bに示されているような)線形抵抗変化素子を有しかつ抵抗参照素子を伴うアレイ参照ラインを用いるアレイ構成を詳述している。第3の行1403は、(図6Aに示されているような)非線形抵抗変化素子を有しかつ固定電圧参照を用いるアレイ構成を詳述し、かつ第4の行1404は、(図6Bに示されているような)非線形抵抗変化素子を有し抵抗参照素子を伴うアレイ参照ラインを用いるアレイ構成を詳述している。また、第5の行1405は、(図6Bに示されているような)2倍の非線形抵抗変化素子を有し抵抗参照素子を伴うアレイ参照ラインを用いるアレイ構成を詳述している。
図13に関連して先に説明したように、行1403および行1404の例示的なアレイ構成における抵抗変化素子の非線形性は、比較的小さい電圧下で、抵抗変化素子の有効抵抗を3倍に増加させることが推測されている。同様に、行1405のアレイ構成による抵抗変化素子の非線形性も、比較的小さい電圧下で、抵抗変化素子の有効抵抗を6倍に増加させることが推測されている。行1401および行1402の例示的なアレイ構成の線形抵抗変化素子は、印加される電圧レベルに関わらず、同じ有効抵抗を示すことが推測されている。
図14の例示的なアレイ構成において、例示的な1−Rアレイは、2つの不揮発性抵抗状態、即ち、公称高抵抗値RH=20MΩを有するRESET状態と、公称低抵抗値RL=1MΩを有するSET状態と、の間で調整されることが可能な抵抗変化素子で構成されることが推測されている。印加されるREAD電圧(図7A、図7B、図8A、図8Bおよび図9A〜図9DにおけるVRD)は、1Vであることが推測されている。行1402、行1404および行1404の例示的なアレイ構成(図6Bおよび図9A〜図9Dに示されているように、アレイ参照ラインおよび参照抵抗素子を用いる)の場合、抵抗参照素子は、RREF=2MΩであることが推測されている。図15Aに関連して後にさらに詳しく論じるように、行1403の例示的なアレイ構成(図6Aおよび図8A〜図8Bに示されているように、固定アレイ基準電圧を用いる)の場合、基準電圧の値(VREF)は、具体的な構成のニーズを基礎として選択される。図14の各列には、幾つかのビットライン構成(ビットライン当たり16セルから、ビットライン当たり1024セルまで)に関して、例示的なアレイ構成(1401〜1405)毎の可能な最小READ信号値が示されている。
図14に示されている例示的なアレイ構成1405について、公称RESET高抵抗状態RH=2MΩ、公称低抵抗状態RL=100kΩおよび参照抵抗値RREF=200kΩである場合、表1400の例示的なアレイ構成1405に示されているように、基本的に、同じ最小READ信号値が計算されていることは留意されるべきである。したがって、同じ非線形性において割合RH/RL=20およびRREF/RL=2を維持することは、結果的に、RH、RLおよびRREF抵抗値が10分の1に低減されたとしても、同じ最小READ電圧をもたらすものと思われる。この結果は、非線形性および抵抗比が維持されれば、アレイ素子は、広範な抵抗値に渡って選択されることが可能であって、1−Rアレイの設計に柔軟性がもたらされることを示している。例えば、後に詳述するように、SET電圧が2Vである低抵抗SET状態をプログラムする場合、低抵抗状態値RL=1MΩは、結果的に、最大SET電流2uAをもたらす。しかしながら、低抵抗状態値がRL=100kΩであれば、最大SET電流は、10倍の値である20uAになる。
この具体的な1−Rアレイ構成およびこれらのアレイにおいて使用される抵抗変化素子が、単に非限定的な例として意図されている点は留意されるべきである。先に論じたように、本開示によるREAD方法は、抵抗変化素子の複数の1−Rアレイ構成およびタイプおよび実装への使用によく適合する。したがって、本開示によるREAD方法は、図14および図15A〜図15Cに詳述されている例に限定されるべきではない。
図14(ならびに、後にさらに論じる図15A〜図15C)において、例示的な各アレイ構成の最小READ信号値は、先に述べたように、図8Bの簡略図と式4(行1401および行1403の場合)、および図9Bおよび図9Dの簡略図と式6および式8(行1402、行1404および行1405の例示的なアレイの場合)を用いて計算される。
図14の行1401を参照すると、固定電圧参照(ならびに先に述べたパラメータ)を用いて線形抵抗変化素子のアレイに対して実行された本開示の方法によるREADオペレーションの結果として生じた最小READ信号が記載されている。先に述べたように、これらの値は、先に図8Bに関連して述べたような式4を用いて計算される。行1401の例示的なアレイ構成において、抵抗変化素子は、線形的であることが推測され、即ち、選択されていない抵抗変化素子の有効抵抗は、印加される電圧に関わらず一定のままであることが想定されている。したがって、REQ(選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗)の可能な最高値は、(基本的には、あたかも、選択されたビットライン上の選択されていないセルが全てRESET状態RHにあるかのように)公称RESET抵抗である。また、REQの可能な最低値は、(基本的には、あたかも選択されたビットライン上の選択されていないセルが全てRESET状態RLにあるかのように)公称SET抵抗である。したがって、何れのREADオペレーションの実際のREQ値も、これらの2つの限度内に存在する。そして、(先に論じたような)式4への代入により、可能なVBLの範囲限界は、ビットライン上のセル数「n」の関数として求められることが可能である。
したがって、選択されたセルがRESET状態にある(即ち、RSEL=20MΩ)場合の、行1401のアレイ構成の最大VBL値は、REQ=20MΩ(公称RESET値)を想定することによって与えられる。
VBL = (20MΩ /(n −1)) / (20MΩ + (20MΩ /(n−1)) [式11]
また、選択されたセルがRESET状態にある(即ち、RSEL=20MΩ)場合の、行1401のアレイ構成の最小VBL値は、REQ=1MΩ(公称SET値)を想定することによって与えられる。
VBL = (1MΩ /(n −1)) / (20MΩ + (1MΩ /(n−1)) [式12]
同様に、選択されたセルがSET状態にある(即ち、RSEL=1MΩ)場合の、行1401のアレイ構成の最大VBL値は、REQ=20MΩ(公称RESET値)を想定することによって与えられる。
VBL = (20MΩ /(n −1)) / (1MΩ + (20MΩ /(n−1)) [式13]
また、選択されたセルがSET状態にある(即ち、RSEL=1MΩ)場合の、行1401のアレイ構成の最小VBL値は、REQ=1MΩ(公称SET値)を想定することによって与えられる。
VBL = (1MΩ /(n −1)) / (1MΩ + (1MΩ /(n−1)) [式14]
式14と式11とを比較すれば、SETおよびRESET読取りオペレーション間のマージン、即ち、SET状態(式14)において選択されたセルを読み取る場合の可能な最低VBL値とRESET状態(式11)において選択されたセルを読み取る場合の可能な最高VBL値との差、を計算することができる。式11および式14は、nが如何なる値であっても同じVBL値になることから、この構成(固定電圧参照および図7Aに記述されているようなREAD方法を用いる線形アレイセル)にとってのマージンは、nが如何なる値であっても0Vである。したがって、行1401の構成の最小READ信号は、±0Vである。基本的に、この結果は、(先に規定した例示的パラメータにおける)線形素子アレイに対して(図7Aに記述されているような)本開示による固定電圧参照READ方法を用いることが、おそらくは結果的に、先に概説した極端な事例において、SET状態にあるセルと、RESET状態にあるセル(即ち、RESETまたはSETを問わず、全ての選択されていないセル)とを区別できなくする可能性もある、ということを示している。行1403の例示的なアレイ構成に関する論考において示すように、この制限は、非線形抵抗素子の使用によって改善されることが可能である。さらに、行1402の例示的なアレイ構成に関する論考において示すように、(図7Bに詳述されているような)本開示による参照抵抗素子READ方法は、線形抵抗変化素子にREADオペレーションを実行するために類似の1−Rアレイ構成において使用され得ることが示される。
図14の行1403を参照すると、固定電圧参照(ならびに先に述べたパラメータ)を用いて非線形抵抗変化素子のアレイに対して実行された本開示の方法によるREADオペレーションの結果として生じた最小READ信号が記載されている。先に述べたように、これらの値は、先に図8Bに関連して述べたような式4を用いて計算されている。行1403の例示的なアレイ構成において、抵抗変化素子は、非線形的であることが推測され、よって、選択されていない抵抗変化素子の有効抵抗は、(図13に示されているように)比較的小さい電圧では3倍増加することが想定されている。即ち、全てのREADオペレーションで、VBLは、VRDより遙かに低いことが予期されることから、選択されていない抵抗素子に渡る電圧降下は、選択された抵抗変化素子に渡る電圧降下より遙かに少ないものと想定されることが可能である。
したがって、REQ(選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗)の可能な最低値は、図14の行1401の例示的な構成に関連して述べた線形抵抗変化素子アレイの場合に比べて遙かに高いものと想定することができる。即ち、選択されていないセルに渡る比較的低いVBL電圧は、(この場合もやはり、図13に関連して先に論じたように)これらのセルに対して遙かに高い有効抵抗値をもたらす。したがって、行1403の例示的な1−Rアレイ構成では、REQの可能な最低値が、公称SET抵抗値の3倍の3MΩであることが想定される。そして、REQの可能な最高値は、公称RESET抵抗値である20MΩのままである。行1401の論考において記述したように、行1403のアレイ構成を用いて実行されたあらゆるREADオペレーションのREQの実際値は、これらの2つの限界間に存在する。そして、この場合も、(先に論じたような)式4への代入により、可能なVBLの範囲限界は、ビットライン上のセル数「n」の関数として求めることができる。
したがって、選択されたセルがRESET状態にある場合(即ち、RSEL=20MΩ)の、行1403のアレイ構成の最小VBL値は、REQ=3MΩ(公称SET値の3倍)を想定することによって与えられる。
VBL = (3MΩ /(n −1)) / (20MΩ + (3MΩ /(n−1)) [式15]
また、選択されたセルがSET状態にある場合(即ち、RSEL=1MΩ)の、行1403のアレイ構成の最小VBL値は、REQ=3MΩ(この場合もやはり、公称SET値の3倍)を想定することによって与えられる。
VBL = (3MΩ /(n −1)) / (3MΩ + (1MΩ /(n−1)) [式16]
そして、選択されたセルがRESETまたはSET状態にある場合の、行1403のアレイ構成の最大VBL値は、(双方の事例で、REQが依然として20MΩに設定されている状態で)行1401の状態から不変のままであり、かつこれらの値は、やはり各々式11および式13によって与えられる。式16と式11とを比較すれば、SETおよびRESET読取りオペレーション間のマージン、即ち、SET状態(式16)において選択されたセルを読み取る場合の可能な最低VBL値とRESET状態(式11)において選択されたセルを読み取る場合の可能な最高VBL値との差、を計算することができる。この方法において、SET状態とRESET状態との間の最小マージン(または最小デルタ電圧)は、例えば、READオペレーションにおいて使用される固定電圧参照(図6A、図8Aおよび図8BにおけるVREF)の値、ならびに(例えば、図6Aおよび図8Aに示されているような)測定および記憶素子の分解能および感度を選択するために決定されかつ使用されることが可能である。
次に、図15Aを参照すると、図14の行1403のアレイ構成に関するこれらの値を記載した表1501が示されている。例えば、ビットライン当たり32のセルを用いる例示的な構成の場合、SETおよびRESET読取りオペレーション間の最小マージンの計算値は57mVであり、SET状態における可能な最低VBLは88mV、およびRESET状態における可能な最高VBLは31mVである。このようなパラメータでは、例えば、固定基準電圧(VREF)は、(表1501に示されているように)60mVで供給されることも可能であり、結果的に、RESETセルの最小READ信号は−29mV、およびSETセルの最小READ信号は+28mVになる。したがって、±20mVの有効解像度を有する測定および記憶素子は、図14の行1403に関して規定される例示的なアレイ構成での本開示の固定電圧参照READ方法における使用によく適合するものと思われる。類似の解析を用いると、ビットライン当たり64セルの場合、固定基準電圧(VREF)は、30mVで供給され、かつ±15mVの分解能を有する測定および記憶素子に使用されることも可能である。図14の行1403に記載されている最小READ信号値に対応する、表1501における他の事例についても同様である。
図14の行1402、行1404および行1405を参照すると、(図7Bに詳述されているような)本開示による参照抵抗素子方法を用いて(先に述べたような)例示的なアレイ構成に対して行ったREADオペレーションの結果として生じた最小READ信号が記載されている。先に述べたように、これらの値は、(図7Bに詳述されているような)本開示による参照抵抗素子READ方法の「データ」相および「参照」相の双方の間の(固定値REQの)予期されるVBL値を決定するために、図9Bおよび図9Dに関連して先に述べたような式6および式8を用いて計算される。これらのアレイパラメータを(図9Bに関連して先に論じたような)式6に適用することにより、RESET状態における選択されたセルに対するREADオペレーションの「データ」相の間の予期されるVBL値は、次式によって与えられる。
VBL = RUNSEL / (20MΩ + RUNSEL) [式17]
そして、SET状態における選択されたセルに対するREADオペレーションの「データ」相の間の予期されるVBL値は、次式によって与えられる。
VBL = RUNSEL / (1MΩ + RUNSEL) [式18]
図9Bに関連して先に論じたように、式17および式18の双方で、RUNSELは、次式によって与えられる。
RUNSEL = (1/(2MΩ) + (n−1)/REQ)−1 [式19]
同様に、先に論じた例示的なアレイパラメータを(図9Dに関連して先に論じたような)式8に適用することにより、RESETおよびSET状態の双方における選択されたセルに対するREADオペレーションの「参照」相の間の予期されるVBL値は、次式によって与えられる。
VBL = RUNSEL / (2MΩ + RUNSEL) [式20]
さらに、図9Dに関連して先に論じたように、RESET状態における選択されたセルに対するREADオペレーションの「参照」相の間、RUNSELは、次式によって与えられる。
RUNSEL = (1/(20MΩ) + (n−1)/REQ)−1 [式21]
選択されたセルの抵抗(RSW−SEL)は、これでRUNSELの決定における1つのファクタとなることから、(例えば、行1404および行1405の構成における)選択されたセルの可能な非線形抵抗応答の説明がなされなければならない。したがって、SET状態における選択されたセルに対するREADオペレーションの「参照」相の間、RUNSELは、次式によって与えられる。
RUNSEL = (1/(RSW−SEL) + (n−1)/REQ)−1 [式22]
但し、RSW−SELは、(図13に関連して述べたように)線形デバイスで1MΩ、非線形デバイスで3MΩおよび2倍の非線形デバイスで6MΩになると思われる。
ここで、表1400の行1402を再度参照すると、この行における例示的なアレイ構成は、線形抵抗変化素子で構成される。即ち、抵抗変化素子の有効抵抗は、印加される電圧に関わらず、一定のままであることが想定されている。したがって、REQ(選択されたビットライン上の選択されていないセルの有効抵抗)の可能な最高値は、(基本的には、あたかも、選択されたビットライン上の選択されていないセルが全てRESET状態にあるかのように)公称RESET抵抗である。また、REQの可能な最低値は、(基本的には、あたかも選択されたビットライン上の選択されていないセルが全てRESET状態にあるかのように)公称SET抵抗である。したがって、何れのREADオペレーションの実際のREQ値も、これらの2つの限度内に存在する。
したがって、行1402の例示的なアレイ構成の場合、RESET状態を読み取るための最小READ信号は、式17および式19をREQ=1MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式21をREQ=1MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1402の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)RESET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり16セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1402に示されているように、RESET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、−29mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり32セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、RESET状態で)最小READ信号は、−14mVという結果になる。
同様に、行1402の例示的なアレイ構成の場合、SET状態を読み取るための最小READ信号は、式18および式19をREQ=1MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式22をREQ=1MΩおよびRSW−SEL=1MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1402の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)SET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり16セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1402に示されているように、SET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、30mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり32セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、SET状態で)最小READ信号は、15mVという結果になる。
これらの計算から分かるように、(図7Bに詳述されているような)本開示によるREAD方法は、線形セルの1−Rアレイへの使用によく適合する。図14に示されているように、このようなアレイは、ビットライン当たり16セルの構成および±20mVの測定および記憶素子分解能によって、かつビットライン当たり32セルの構成および±10mVの測定および記憶素子分解能によって確実に読み取られる可能性もある。
次に、図15Bを参照すると、表1502には、(データ相および参照相の双方で)図14の行1404(アレイ参照ライン構成を用いる非線形セルアレイ)の最小READ信号値を計算するために使用されるVBL値が記載されている。行1402に関連して先に論じた計算と同様に、行1404の例示的なアレイ構成によるRESET状態を読み取るための最小READ信号は、式17および式19をREQ=3MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式21をREQ=3MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。この構成における抵抗変化素子の非線形性は、(図13に関連して先に述べたように)結果的に、有効抵抗を増大させる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1404の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)RESET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり64セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1404に示されているように、RESET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、−21mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり128セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、RESET状態で)最小READ信号は、−10mVという結果になる。(図15Bに記載されているような)最も大きい(最大)READ信号値は、RESET READ状態の場合、先に論じたものと同じ式セットを用いて、但しREQ=20MΩを用いて計算されることが可能である。
同様に、行1404の例示的なアレイ構成の場合、SET状態を読み取るための最小READ信号は、式18および式19をREQ=3MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式22をREQ=3MΩおよびRSW−SEL=3MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。この場合もやはり、この構成における抵抗変化素子の非線形性は、(図13に関連して先に述べたように)結果的に、有効抵抗を増大させる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1404の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)SET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり64セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1404に示されているように、SET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、21mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり128セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、SET状態で)最小READ信号は、11mVという結果になる。(図15Bに記載されているような)最も大きい(最大)READ信号値は、SET READ状態の場合、先に論じたものと同じ式セットを用いて、但しREQ=20MΩおよびRSW−SEL=3MΩを用いて計算されることが可能である。
これらの計算から分かるように、(図7Bに詳述されているような)本開示によるREAD方法は、非線形セルの1−Rアレイへの使用にもよく適合する。図14に示されているように、このようなアレイは、ビットライン当たり64セルの構成および±20mVの測定および記憶素子分解能によって、かつビットライン当たり128セルの構成および±10mVの測定および記憶素子分解能によって確実に読み取られる可能性もある。
次に、図15Cを参照すると、表1503には、(データ相および参照相の双方で)図14の行1405(アレイ参照ライン構成を用いる2倍非線形セルのアレイ)の最小READ信号値を計算するために使用されるVBL値が記載されている。行1402および行1404に関連して先に論じた計算と同様に、行1405の例示的なアレイ構成によるRESET状態を読み取るための最小READ信号は、式17および式19をREQ=6MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式21をREQ=6MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。この構成における抵抗変化素子の非線形性は、(図13に関連して先に述べたように)結果的に、有効抵抗を増大させる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1405の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)RESET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり128セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1405に示されているように、RESET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、−21mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり256セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、RESET状態で)最小READ信号は、−10mVという結果になる。(図15Cに記載されているような)最も大きい(最大)READ信号値は、RESET READ状態の場合、先に論じたものと同じ式セットを用いて、但しREQ=20MΩを用いて計算されることが可能である。
同様に、行1405の例示的なアレイ構成の場合、SET状態を読み取るための最小READ信号は、式18および式19をREQ=6MΩで用いてデータ相の間のVBLを決定し、次に式20および式22をREQ=6MΩおよびRSW−SEL=6MΩで用いて参照相の間のVBLを決定することにより計算されることになる。この場合もやはり、この構成における抵抗変化素子の非線形性は、(図13に関連して先に述べたように)結果的に、有効抵抗を増大させる。これらの2値を減算すれば、(図14の行1405の例示的なアレイ構成のパラメータにおいて)SET状態にあるセルに対してREADオペレーションを実行する際の可能な最小READ電圧が与えられる。例えば、ビットライン当たり128セルのビットライン構成を用いてこれらの値を代入すると、図14の行1405に示されているように、SET状態にあるセルを読み出す場合、最小READ信号は、21mVという結果になる。同様に、ビットライン当たり256セルの構成にこれらの値を用いると、(同じく、SET状態で)最小READ信号は、11mVという結果になる。(図15Cに記載されているような)最も大きい(最大)READ信号値は、SET READ状態の場合、先に論じたものと同じ式セットを用いて、但しREQ=20MΩおよびRSW−SEL=6MΩを用いて計算されることが可能である。
これらの計算から分かるように、(図7Bに詳述されているような)本開示によるREAD方法は、2倍の非線形セルの1−Rアレイへの使用にもよく適合する。図14に示されているように、このようなアレイは、ビットライン当たり128セルの構成および±20mVの測定および記憶素子分解能によって、かつビットライン当たり256セルの構成および±10mVの測定および記憶素子分解能によって確実に読み取られる可能性がある。
図16Aおよび図16Bは、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数のアレイセルにプログラミングを行う(即ち、本開示において規定されているようなSETまたはRESETオペレーションを実行する)ための第1の方法を記述するフローチャート(各々、1601および1602)である。この第1のプログラミング方法は、選択可能な電流制限素子を用いて、プログラミング電流が各々選択されたセルおよび選択されていないセルを介して流れることを選択的に許容または抑止する。
図16Aは、プログラミング電流が選択されたアレイ素子を介してワードラインからビットラインへ流れるように誘導される、この第1のプログラミング方法を記述したフローチャートである。また、図16Bは、プログラミング電流がビットラインからワードラインへ流れるように誘導される、このプログラミング方法を記述したフローチャートである。この方法において(および、これらの図に関する後続の詳細な論考において示されるように)、本開示のこの第1のプログラミング方法は、図3、図5、図6Aおよび図6Bに描かれているもの等の1−R抵抗変化素子セルのアレイ、ならびにこれらのアレイ構造体に類似する変形例に対するバイポーラ・プログラミング・オペレーションによく適合する。図17Aおよび図18Aは、図16Aのフローチャートに記述されているようなプログラミングオペレーションの間に(図3に描かれているような)抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激を例示する簡略図である。そして、図17Bおよび図18Bは、図16Bのフローチャートに記述されているようなプログラミングオペレーションの間に(図3に描かれているような)抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激を例示する略図である。本開示によるこの電流制限プログラミング方法については、これらの図面に関する後の論考において詳述する。
次に、図16Aおよび図16Bを参照すると、第1のプロセスステップ(各々、1610aおよび1610b)において、アレイ内の全てのワードラインおよびビットラインが接地(0V)に初期化される。次のプロセスステップ(各々、1620aおよび1620b)では、抵抗変化素子アレイ内の選択されていないワードラインが浮動される。次のプロセスステップ(各々、1630aおよび1630b)において、アレイ内のビットラインは、選択可能な電流制限素子を介して、接地へと引き下げられる(図16Aによるワードラインからビットラインへのプログラミング電流の流れの場合)か、プログラミング電圧VPまで引き上げられる(図16Bによるビットラインからワードラインへのプログラミング電流の流れの場合)。これらの選択可能な電流制限素子(例えば、図17A、図17B、図18Aおよび図18Bに描かれている電流源素子)は、プログラミング電流が選択されたワードライン上のアレイセルを介して流れることを抑止または許容するための何れかで使用されることが可能である。
プログラミングオペレーションの間にビットラインを介する電流の流れを選択的に制限することにより、選択されていないセルを介する電流の流れは抑止され、かつ選択されたセルを介する流れは許容されることが可能である。即ち、選択されていないセルを介する電流の流れは、これらの選択されていないセルの抵抗状態を調整できるほど大きくならないように制限されることが可能であり、一方で同時に、選択されたセルの抵抗状態を調整するに足る高い電流は、アレイ内の選択されたセルを介して流れることが可能である。この方法において、印加されるプログラミング電流は、選択されたワードライン上の単一セルをプログラムするように、または選択されたワードライン上の複数のセルを同時にプログラムするように導かれることが可能である。これらの選択されていないビットライン上の電流制限は、例えば、電流源、プログラム可能電源および抵抗素子の使用によって実行されることが可能である。
次のプロセスステップ(各々、1640aおよび1640b)において、抵抗変化素子アレイ内の選択されたワードラインは、必要なプログラミング電圧VPへ駆動されて引かれる(図16Aによるワードラインからビットラインへのプログラミング電流の流れの場合)か、接地へと引かれる(図16Bによるビットラインからワードラインへのプログラミング電流の流れの場合)。この方法において、プログラミング電流は、アレイ内の選択されたセルのみを介して流れることが許容される。
図16Aに記述されているプロセスにおいて、選択されたワードライン上のプログラミング電圧VPは、比較的「高い」電流を可能にすべく選択される(または、プログラムまたは有効化される、等)選択可能な電流制限素子を介して接地へ引き下げられる選択されたワードライン上のアレイセルのみを介して十分なプログラミング電流を提供する。このプログラミング電流は、これらの選択されたセルの抵抗状態を最初の抵抗状態から所望される第2の状態(例えば、SET状態またはRESET状態の何れか)へ調整する。比較的「高い」電流を抑止するために選択された(または、プログラムまたは有効化された、等)選択可能な電流制限素子を介して接地へ引き下げられたセルは、十分なプログラミング電流に出合うことはなく、基本的には、同じ抵抗状態のままになる。
同様に、図16Bに記述されているプロセスにおいて、ビットラインに印加されるプログラミング電圧VPは、比較的「高い」電流を可能にすべく選択される(または、プログラムまたは有効化される、等)選択可能な電流制限素子を介してこのプログラミング電圧(VP)へ引き上げられるアレイセルのみを介して十分なプログラミング電流を提供する。このプログラミング電流は、これらの選択されたセルの抵抗状態を最初の抵抗状態から所望される第2の状態(例えば、SET状態またはRESET状態の何れか)へ調整する。比較的「高い」電流を抑止するために選択された(または、プログラムまたは有効化された、等)選択可能な電流制限素子を介してVPまで引き上げられたセルは、十分なプログラミング電流を経験することはなく、基本的には、同じ抵抗状態のままになる。
本開示のこの第1のプログラミング方法において、このプログラミング電圧VPは、アレイ内で使用される抵抗変化素子の電気抵抗を第1の抵抗状態から第2の抵抗状態へ調整するに足るプログラミング電流を提供するように(具体的なアプリケーションのニーズおよびアレイ内で使用される抵抗変化素子のタイプによって決定される通りに)選択される。即ち、この選択されるプログラミング電圧は、選択されたアレイセルを設定する(抵抗変化素子を比較的高い抵抗状態から比較的低い抵抗状態へ調整する)、またはリセットする(抵抗変化素子を比較的低い抵抗状態から比較的高い抵抗状態へ調整する)に足るものである。
抵抗変化素子アレイの所定のアプリケーションでは、1組のプログラミング条件が抵抗変化素子をSET状態へ駆動するために使用され、かつ異なる第2の組のプログラミング条件が抵抗変化素子をRESET状態へ駆動するために使用されることは留意されるべきである。即ち、例えば、このようなアプリケーションにおいて、第1の組のプログラミング条件(例えば、電圧、電流、パルス幅、極性、等)は、当初SET状態にある抵抗変化素子をRESET状態へ調整する。しかしながら、この同じ組のプログラミング条件が、既にRESET状態にある抵抗変化素子へ適用されると、この素子は、単に、印加されたプログラミング条件に応答してRESET状態に留まる(即ち、この素子の抵抗状態は、略不変のままになる)。したがって、これらの所定のアプリケーションにおいて、(図16Aおよび図16Bに関連して記述されているような)本開示による第1のプログラミングオペレーションは、(例えば、選択されたワードライン上のセルの上の)セルグループ全体が同じ状態にあることを保証するために使用されることが可能である。例えば、このようなアプリケーションにおいて、本開示の方法による第1のプログラミングオペレーションは、選択されたワードラインに対してグローバルなRESETオペレーションを実行するために使用される可能性もある。このようなオペレーションにおいて、選択されたワードライン上の当初SET状態にあるセルは、RESET状態へ調整され、かつ選択されたワードライン上の当初RESET状態にあるセルは、基本的にプログラミングオペレーションによって影響されないままであって、RESET状態に留まる。この方法では、プログラミングオペレーションの終わりにおいて、選択されたワードライン上のセルは全て、RESET状態にある。
次に、図17Aを参照すると、図3の簡略図300が修正されて略図1701となり、図16Aに詳述されかつ先に記述された方法による例示的なプログラミングオペレーションの間に例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激が示されている。具体的には、図17Aでは、WL[1]が選択されて必要なプログラミング電圧(VP)へと駆動されていて、同時に残りのワードライン(WL[0]およびWL[y])は、浮動される。また、アレイ内のビットライン(BL[0]〜BL[x])は各々、選択可能な電流制限デバイスを介して接地へと引かれている。これらの選択可能な電流制限デバイスは、図17Aにおいて電流源として表されているが、先に論じたように、本開示によるこの第1のプログラミングオペレーションは、これに限定されない。実際に、アレイ内のビットライン上の電流を選択的に制限するためには、プログラム可能電源および抵抗素子等の、但しこれらに限定されない幾つかの素子が使用される可能性もある。
図17Aに描かれている例示的なプログラミングオペレーションでは、CELL01、CELL21およびCELLx1がプログラミングオペレーション用に選択されているものとして指定され、かつCELL11が、選択されていないものとして指定されている。したがって、BL[0]、BL[2]およびBL[x]上の選択可能な電流制限素子は、比較的「高い」電流を許容するように構成されていて、かつこの構成は、結果的に、選択されたセル内の抵抗変化素子(各々、SW01、SW21およびSWx1)を当初の抵抗状態から所望される第2の状態へ調整するに足る、ワードラインからビットラインへ流れるプログラミング電流(各々、IBL0、IBL2およびIBLX)をもたらす。しかしながら、BL[1]上の選択可能な電流制限素子は、比較的「低い」電流のみを許容する(または、所定のアプリケーションでは、基本的に電流を許容しない)ように構成され、かつこの構成は、結果的に、SW11の抵抗状態をプログラミングオペレーションの間に略不変のままにするに足る低さのCELL11を介するプログラミング電流(IBL1)をもたらす。
次に、図18Aを参照すると、図17Aの略図1701がさらに縮小されて略図1801が実現されている。略図1801は、図17Aに描かれている例示的なプログラミングオペレーションの間にWL[1](選択されたワードライン)上の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。
図18Aにおいて分かるように、WL[1]上の電圧(VP)は、このワードライン(SW01〜SWx1)上の各抵抗変化素子の第1の端子へ提供される。抵抗変化素子SW01、SW21およびSWx1の第2の端子は、各々、(各々、ビットラインBL[0]、BL[2]およびBL[x]を介して)比較的「高い」電流を許容するように構成される選択可能な電流制限素子を介して接地へと別々に引かれる。したがって、プログラミング電流IBL0、IBL2およびIBLxは、これらの抵抗変化素子の抵抗状態を調整(即ち、プログラム)するに足る高さである。しかしながら、抵抗変化素子SW11の第2の端子は、(ビットラインBL[1]を介して)比較的「低い」電流のみを許容するように構成される(または、所定のオペレーションでは、電流の流れを略抑止するように構成される)選択可能な電流制限素子を介して接地へと引かれる。したがって、プログラミング電流IBL1は、基本的に、例示的なプログラミングオペレーションの間にSW11の抵抗状態が影響を受けないままであるような十分な低さである(あるいは、抑止される)。
この方法では、WL[1]上の選択された各アレイセル(即ち、CELL01、CELL12およびCELLx1)を介して、これらのセル内の抵抗変化素子(即ち、SW01、SW12およびSWx1)の抵抗状態を調整する、または別段で変更する、に足るプログラミング電流(IBL0、IBL2およびIBLx)が駆動され、かつこのようなプログラミング電流は、WL[1]上の選択されていないアレイセル(即ち、CELL11)を流れることを抑止され、プログラミングオペレーションの間のこれらのセル内の抵抗変化素子(即ち、SW11)へのあらゆる調整が防止される。図17Aに示されているように、アレイ内の他のワードライン上のアレイセル(即ち、CELL00〜CELL0xおよびCELL0y〜CELLxy)は、プログラミングオペレーションによる影響を受けないままである。
次に、図17Bを参照すると、図3の簡略図300が修正されて略図1702となり、図16Bに詳述されかつ先に記述された方法による例示的なプログラミングオペレーションの間に例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激が示されている。具体的には、図17Bでは、WL[1]が選択されて接地(0V)へと引き下げられていて、同時に残りのワードライン(WL[0]およびWL[y])は、浮動される。また、アレイ内の各ビットライン(BL[0]〜BL[x])は、選択可能な電流制限デバイスを介して必要なプログラミング電圧(VP)へ引き上げられている。これらの選択可能な電流制限デバイスは、図17Bにおいて電流源として表されているが、先に論じたように、本開示によるこの第1のプログラミングオペレーションは、これに限定されない。実際に、アレイ内のビットライン上の電流を選択的に制限するためには、プログラム可能電源および抵抗素子等の、但しこれらに限定されない幾つかの素子が使用される可能性もある。
図17Aに描かれているプログラミングオペレーションにおけるように、図17Bに描かれている例示的なプログラミングオペレーションでは、CELL01、CELL21およびCELLx1がプログラミングオペレーション用に選択されているものとして指定され、かつCELL11が、選択されていないものとして指定されている。したがって、BL[0]、BL[2]およびBL[x]上の選択可能な電流制限素子は、比較的「高い」電流を許容するように構成されていて、かつこの構成は、結果的に、選択されたセル内の抵抗変化素子(各々、SW01、SW21およびSWx1)を当初の抵抗状態から所望される第2の状態へ調整するに足る、ビットラインからワードラインへ流れるプログラミング電流(各々、IBL0、IBL2およびIBLX)をもたらす。しかしながら、BL[1]上の選択可能な電流制限素子は、比較的「低い」電流のみを許容する(または、所定のアプリケーションでは、基本的に電流を許容しない)ように構成され、かつこの構成は、結果的に、SW11の抵抗状態をプログラミングオペレーションの間に略不変のままにするに足る低さのCELL11を介するプログラミング電流(IBL1)をもたらす。
次に、図18Bを参照すると、図17Bの略図1702がさらに縮小されて略図1802が実現されている。略図1802は、図17Bに描かれている例示的なプログラミングオペレーションの間にWL[1](選択されたワードライン)上の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。
図18Bにおいて分かるように、WL[1]上の各抵抗変化素子(SW01〜SWx1)の第1の端子は、接地(0V)へ引き下げられる。抵抗変化素子SW01、SW21およびSWx1の第2の端子は、(各々、ビットラインBL[0]、BL[2]およびBL[x]を介して)比較的「高い」電流を許容するように構成される選択可能な電流制限素子を介してプログラミング電圧(VP)へ各々別々に引き上げられる。したがって、プログラミング電流IBL0、IBL2およびIBLxは、これらの抵抗変化素子の抵抗状態を調整(即ち、プログラム)するに足る高さである。しかしながら、抵抗変化素子SW11の第2の端子は、(ビットラインBL[1]を介して)比較的「低い」電流のみを許容するように構成される(または、所定のオペレーションでは、電流の流れを略抑止するように構成される)選択可能な電流制限素子を介してプログラミング電圧(VP)へ引き上げられる。したがって、プログラミング電流IBL1は、基本的に、例示的なプログラミングオペレーションの間にSW11の抵抗状態が影響を受けないままであるような十分な低さである(あるいは、抑止される)。
この方法では、WL[1]上の選択された各アレイセル(即ち、CELL01、CELL12およびCELLx1)を介して、これらのセル内の抵抗変化素子(即ち、SW01、SW12およびSWx1)の抵抗状態を調整する、または別段で変更する、に足るプログラミング電流(IBL0、IBL2およびIBLx)が駆動され、かつこのようなプログラミング電流は、WL[1]上の選択されていないアレイセル(即ち、CELL11)を流れることを抑止され、プログラミングオペレーションの間のこれらのセル内の抵抗変化素子(即ち、SW11)へのあらゆる調整が防止される。図17Bに示されているように、アレイ内の他のワードライン上のアレイセル(即ち、CELL00〜CELL0xおよびCELL0y〜CELLxy)は、プログラミングオペレーションによる影響を受けないままである。
図19Aおよび図19Bは各々、プログラムするための第2の方法を記述したフローチャート1900および1950を示している。フローチャート1900は、抵抗変化素子アレイ内の1つまたは複数の選択されたアレイセルに対して本開示において規定しているようなRESETオペレーションを実行する第2の方法を示し、かつフローチャート1950は、同じくSETオペレーションを実行する第2の方法を示している。この第2のプログラミング方法は、図8Aに示されている略図801および図9Aに示されている略図901に例示されているメモリアレイへ適用されてもよい。略図901は、先に詳述したように、READオペレーションの間に使用される参照ワードラインを含む。しかしながら、参照ワードラインに沿ったアレイセルは、固定された参照抵抗値を有し、よって、データ・ワードラインのみがプログラムされる。この第2のプログラミング方法は、フローチャート1900に記述されているように、選択されたアレイ(または、サブアレイ)内の選択された(データ)ワードライン沿いの選択されたアレイセルにおけるCNTスイッチ(ビット)をリセットする。低抵抗SET状態RLにあるCNTスイッチは、高抵抗RESET状態RHへ遷移(切換)し、かつ高抵抗RESET状態にあるCNTスイッチは、高抵抗RESET状態RHのままである。本開示によるこの指向性電流経路プログラミング方法は、抵抗変化素子アレイ内の単一のワードラインにおけるアレイ素子に、アレイ内の他の素子を妨害する、あるいはこれらに影響を与えることなくアクセスしてリセットし、続いて、選択されたワードライン内のアレイ素子に対してプログラミングオペレーションを実行するための1つまたは幾つかのビットラインを選択することによく適合する。この指向性電流方法は、本開示の第1のプログラミング方法において使用されるような選択可能電流制限素子を必要としないことから、所定のアプリケーションの所定の態様において望ましいものである可能性があり、よってやはり、抵抗変化素子の1−Rアレイをプログラムすることによく適合する。しかしながら、プログラミングオペレーションの間、プログラミング電流は、選択されたセルへ流れ、かつ選択されていないセルへも漏れ電流の形で流れる。フローチャート1950は、選択されていないビットを妨害することなく選択されたビットをプログラムする手法を記述している。
次に、図19Aに示されている方法1900を参照すると、第1のプロセスステップ1910において、アレイ内の全てのワードラインおよびビットラインは、ゼロボルト(接地)へと駆動される。次に、プロセスステップ1920において、選択されたワードラインは、RESET電圧VRESETへと駆動される。RESET電流は、ワードラインからビットラインへ流れる。RESET電圧VRESETは、典型的には、例えば、2ボルトから3.0ボルトまでの範囲内である。選択されるのは、データ・ワードラインのみである。参照ワードラインは、固定された参照抵抗値を有し、よって、プログラミングオペレーションの間は絶対に選択されない。全てのビットラインは、ゼロボルトで接地されていることから、隣接するワードライン内のアレイセルが妨害されることはなく、かつコンパレータ(検出)素子にRESET電圧は出現しない。選択された単一のワードラインについて言及しているが、例えば、ページモードのプログラミングオペレーションを実行する場合に有益であり得るように、複数のワードラインが同時にリセットされてもよい。
次に、図19Bを参照すると、第1のプロセスステップ1955において、アレイ内の全てのワードラインおよびビットラインは、浮動される。次に、プロセスステップ1960において、1つまたは複数のビットラインは、プログラミング電圧VPの半分(VP/2)までプリチャージされる。次のプロセスステップ1970では、プログラミング電圧(VP)が1つまたは幾つかの選択されたビットライン(即ち、プログラムされるべきアレイセルに関連づけられるアレイ内のビットライン)へ印加される。次のプロセスステップ1980において、選択されたワードライン(即ち、プログラムされるべきアレイセルに関連づけられるアレイ内のデータ・ワードライン)は、接地(0V)へと引かれる。その結果、プログラミング電流(IP)は、選択されたセルを介してビットラインから選択されたワードラインへ流れる。このプログラミング電流の極性が、選択されたアレイ素子に関連づけられるワードラインをプログラミング電圧(VP)へ駆動し、かつ選択されたアレイ素子に関連づけられるビットラインを接地(0V)へ駆動することによって逆転され得る点は留意されるべきである。この方法において、本開示のこの第2のプログラミング方法は、バイポーラ・プログラミングオペレーションによく適合する。しかしながら、この第2のプログラミング方法は、所望されれば、ユニポーラ・プログラミングオペレーションに使用されてもよい。
全てのビットラインが接地された状態で、選択されたワードラインに沿った全てのセルにRESET電圧を印加することによりRESETオペレーションを実行する第2のプログラミング方法1900の場合、選択されたワードラインに沿った全てのアレイセルは、第2のプログラミング方法1900が完了する時点で、論理「0」に対応するRESET状態にある。第2のプログラミング方法サイクルにおけるこの時点では、選択されたワードライン内の全てのアレイセルはRESET(高抵抗RH状態)にあることから、第2のプログラミング方法1950は、SETパルスを、後に図23において示すメモリデータI/Oバッファ/ドライバへ入力されるデータに従って、アレイセルへ選択的に印加してもよい。したがって、例えば約2ボルトであるプログラミング電圧VP=VSETは、アレイセルがRESET状態(RH)からSET状態(RL)へ遷移させられる選択されたビットラインのみに印加される。但し、SET状態は、論理「1」に相当する。RESET状態に留まるためのアレイセルは、パルスを受信しない。この機能を実行するために使用される対応する回路および方法については、図23および図24に関連して後に詳述する。
アレイ内の選択されていないセルによって形成される、浮動される選択されていないワードラインおよびビットラインを介して互いに相互接続される複雑な抵抗ネットワークに起因して、(図19Bに記述されているような)本開示によるこの第2の方法を用いるプログラミングオペレーションの間、アレイ内には、多くの漏れ電流(ILEAK)が存在する。しかしながら、後に図20A、図20B、図20Cおよび図20Dの論考においてさらに詳しく論じるように、アレイ内の所定のパラメータを制御することによって、これらの漏れ電流は、アレイ内の選択されていない素子の抵抗状態の変化を誘導するに足る大きさの選択されていないビットラインの電圧および対応する漏れ電流を防止すべく(例えば、プログラミング電圧、抵抗変化素子内で使用される抵抗値またはアレイサイズを選択することにより)制限されることが可能である。抵抗変化素子アレイは、プログラミング電流と共に、アレイ内の単一素子を介して、各アレイセル内の局所的な原位置選択回路を必要とすることなく、どちらの方向へも使用されることが可能である。
次に、図20Aを参照すると、図3の簡略図300が修正されて略図2001となり、図19Aおよび図19Bに詳述されかつ先に記述された方法による例示的なプログラミングオペレーションの間に例示的な抵抗変化素子アレイへ印加される電気刺激が示されている。 具体的には、図20Aでは、CELL11が選択されたセルとして指定されている。 したがって、BL[1]が選択されて必要なプログラミング電圧(VP)へ駆動され、かつWL[1]が選択されて接地(0V)へ駆動されている。アレイ内の選択されていないワードライン(WL[0]、WL[2]〜WL[y])ならびに選択されていないビットライン(BL[0]、BL[2]〜BL[x])は、浮動される。例示のために、単一のビットラインBL[1]を用いているが、後に詳述するように、複数のビットラインが選択されてもよい。その結果、プログラミング電流(IP)は、選択されたセル内の抵抗変化素子(SW11)を介して流れるように、かつ多くの漏れ電流(ILEAK)は、アレイ内の選択されていないセルの抵抗ネットワークを介して選択されたビットラインBL[1]から選択されたワードラインWL[1]へ流れるように誘導される。また、プログラミング電流IPは、ビットライン・キャパシタンスCBL1も荷電し、かつ抵抗ネットワークを介して流れる漏れ電流ILEAKは、略図2001に示されているキャパシタンスCBL0、CBL2〜CBLxも荷電する。
次に、図20Bを参照すると、図20Aの略図2001がさらに縮小されて略図2002が実現されている。略図2002は、図20Aに描かれている例示的なプログラミングオペレーションの間にアレイ内の素子へ印加される電気刺激を分かりやすく示している。
図20Bから分かるように、図19Aおよび図19Bに詳述されているプログラミング方法により、結果的に、略2つの電流は、選択されたビットラインと選択されたワードライン(図20Aおよび図20Bに描かれている例示的なプログラミングオペレーションにおけるBL[1]およびWL[1])との間で並列に接続される2つの抵抗ネットワークを介して流れる。第1の抵抗ネットワークRSは、基本的に、選択されたセルの抵抗変化素子および対応するビットライン・キャパシタンスCBL1であり、この抵抗ネットワークは、プログラミング電流IPに応答する。第2の抵抗ネットワークRUは、アレイ内の選択されていない抵抗変化素子による複素的な直列および並列抵抗結合である。この第2の抵抗ネットワークは、漏れ電流ILEAKに応答する。先に述べたように、抵抗変化素子アレイのパラメータ(例えば、プログラミング電圧、抵抗変化素子において使用される抵抗値またはアレイサイズ)は、プログラミング電圧VPおよび電流IPが選択された抵抗変化素子の抵抗状態を当初の抵抗状態から所望される第2の状態へ調整するに足るものであるように、かつ、選択されていないビットライン電圧および対応する漏れ電流(ILEAK)がアレイ内の何れの選択されていない素子も妨害しない(即ち、抵抗状態を略変更しない)だけの低さであるように選択される。容量素子CBL0、CBL1、CBL2〜CBLxは、これらのビットライン・キャパシタンスがプログラミングオペレーションの間に荷電されかつ放電されてビットライン電圧を荷電できる速度、延いてはCELL11(または、BL[1]上の任意のセル)に対してプログラミングオペレーションを実行できる速度、を制限しなければならない、という理由で包含されている。
図20Cは、図20Bに描かれている比較的複雑な回路の等価回路モデルを提供する簡略図2003である。電圧源VPおよび直列抵抗器RSUPPLYは、選択されたビットライン(図20BにおけるBL[1])へ印加されるプログラミング電圧を表すためのものである。CBLは、選択されたビットラインのもの(図20BにおけるCBL1)を含むアレイ内の各ビットラインのキャパシタンスを表すためのものであり、かつCBL(#BLs−1)は、選択されていないアレイラインのネットワークからの等価結合キャパシタンスを表すためのものである。RSは、選択されたアレイ素子(図20AにおけるSW11)の抵抗を表すためのものであり、かつRUは、選択されていないアレイ素子の抵抗を表すためのものである。漏れ電流ILEAKは、CBL(#BLs−1)およびRU/(#BLs−1)の並列結合と直列しているRU/(#WLs−1)へ印加される電圧によって決定される。
図20Dは、図20Bに描かれている比較的複雑な回路の等価回路モデルを提供する簡略図2004である。略図2003と比較すると、略図2004は、4つのビットラインが同時にプログラムされる等価回路を提供している。この例において、合計プログラミング電流IPは、選択された4つのビットが別々の4つのビットライン上に並列してプログラムされることから、略図2003におけるプログラミング電流IPの4倍である。単一ビットラインのプログラミングと複数ビットラインのプログラミングのオペレーションのさらに詳細な比較については、後にさらに詳しく述べる。
次に、図20Cを参照すると、RUという用語は、アレイ内の選択されていない素子の抵抗値であることが意図されている。アレイにおける選択されたワードラインは1つであったことから、抵抗素子RU/(#WLs−1)は、この推定される抵抗値(RU)をアレイ内のワードライン数から1を引いた数で除したもの(基本的に、各ワードライン上の選択されていない素子の並列抵抗結合)を表すためのものである。また、SETオペレーションを実行するのは1つのビットラインであることから、抵抗素子RU/#BLs−1は、この推定される抵抗値(RU)をアレイ内のビットライン数から1を引いた数で除したもの(基本的に、各ビットライン上の選択されていない素子の並列抵抗結合)を表すためのものである。後に詳述する図24の例において、データI/Oバッファドライバは、4ビットを一度に送受信する。図20Cでは、プログラミング電圧を受信しているビットラインが1つのみであったことから、データI/Oバッファ/ドライバへ入力されるデータは、3つの論理「0」および1つの論理「1」から成っていた。
次に、図20Dを参照すると、選択されたワードラインは1つであったことから、図20Cに示されている抵抗素子RU/(#WLs−1)は、不変のままである。しかしながら、選択されたビットラインは4つであったことから、抵抗素子RU/(#BLs−4)は、この推定される抵抗値(RU)をアレイ内のビットライン数から4を引いた数で除したもの(基本的に、各ビットライン上の選択されていない素子の並列抵抗結合)を表すためのものである。後に詳述する図24の例において、データI/Oバッファドライバは、4ビットを一度に送受信する。図20Dでは、4つのビットラインがプログラミング電圧を受信していたことから、データI/Oバッファ/ドライバへ入力されるデータは、4つの論理「1」から成っていた。
RU、RS、CBL−SELおよびCBL−UNSELの値は、使用されている抵抗変化素子のタイプおよび特性(例えば、物理的寸法、公称SETおよびRESET値、製造方法であるが、これらに限定されない)、アレイ自体のサイズおよびアーキテクチャ、およびアレイ内の抵抗変化素子をプログラム(即ち、設定またはリセット)するために必要な電圧および電流レベル、によって決定される。これらの値、ならびに各々図20Cおよび図20Dの等価回路モデル2003および2004内の素子のパラメータを慎重に選択しかつ調製することにより、(図19Bに記述されているような)本開示による指向性の電流プログラミング方法におけるプログラミングパラメータは、IP1(図20C)またはIP2(図20D)等のプログラミング電流が選択された抵抗変化素子の抵抗を当初の抵抗状態から所望される第2の状態へ調整し、かつ同時に、ILEAK1(図20C)またはILEAK2(図20D)等のアレイ内の漏れ電流がアレイ内の選択されていない素子を妨害、または別段で調整しないように防止するに足るものであるように、選択されることが可能である。この方法において、本開示による指向性電流方法は、抵抗変化素子アレイ内の選択されたセルの抵抗状態を調整(即ち、プログラム)するために使用されることが可能である。
本明細書のこの時点で、図19Aおよび図19Bに記述されているプログラミング(WRITE)オペレーションから結果的に生じるアレイ電圧および電流を計算する。これらの計算は、図14および図15A〜図15Cに纏められているREAD電圧を計算する方法を、図21Aに関連して後に詳述するようなプログラミング(WRITE)アレイ電圧および電流を計算するように適合化するものであり、結果が図22に纏められている。各々図8Aおよび図9Aに適用された方法801および方法902に類似する略図簡易化方法を、図20Aに示されているプログラミング(WRITE)オペレーションの略図2001へ適用し、結果的に、各々図20B、図20Cおよび図20Dに示されているさらに単純化された略図2002、2003および2004を得た。次に、各々図12Aおよび図12Bに関連して先に詳しく示したテブナン等価回路1201および1202に関して述べたテブナン等価回路方法を用いるさらなる単純化を、図21A〜図21Dに関連して述べるようなプログラミング(WRITE)オペレーション用に適合させた。先に詳述した式1〜式10に類似する対応する式を用いて、図22に纏められている電圧および電流を計算した。
次に、図19Aに示されているフローチャート1900におけるプロセスステップ1920を参照すると、選択されたワードライン内の全てのセルが、高い抵抗状態RS=RHへリセットされている。また、図19Bに示されているフローチャート1950におけるプロセスステップ1960を参照すると、全てのビットラインがプログラミング電圧の半分VP/2へプリチャージされている。任意に割り当てられる規約により、データI/Oバッファ/ドライバ(図23)へ入力された論理「0」は、高抵抗RESET状態に対応し、かつ論理「1」は、低抵抗SET状態に対応する。図24に関連して後に詳述するメモリ回路の設計により、論理「0」の入力信号は、選択されたワードライン上の全てのセルがRESET状態にあるという理由で、結果的に、プログラミング電圧を対応するビットラインへ印加させない。しかしながら、論理「1」の入力信号は、対応するアレイセルの選択されたセルロケーション(論理「1」入力が2つ以上である場合には、複数のセルロケーション)が低抵抗SET状態へ遷移することを必要とする。設計により、プログラミング電圧VPは、選択された(1つまたは複数の)ビットラインへ印加される。しかしながら、全てのビットはプログラミング(WRITE)オペレーションに先行してリセットされることから、選択されるプログラミング電圧はSET電圧であり、よって、図21Aにおける略図2100に示されているように、VP=VSETとなる。したがって、プリチャージ電圧は、VP/2=VSET/2である。1つまたは複数のビットラインへVSETが印加されると、選択されたワードラインはフローチャート1950におけるプロセスステップ1980に従ってゼロ(接地)電圧へ駆動されていることから、選択されたセルは、高抵抗RESET値から低抵抗SET値へ切り換わる(RH→RL)。
次に、図21Aに例示されている略図2100を参照すると、選択されたビットラインは、プログラミング電圧VP=VSETを選択されたビットラインへ直列抵抗器rを介して印加する。合計電流ITOTは、2つの経路、即ち、電流ISETを有する選択されたセルを介して選択されたビットラインから接地されている選択されたワードラインへ至る第1のSET電流経路、および選択されていないセルを介して流れかつ直列/並列結合の選択されていないビットラインを荷電する電流ILEAKを有する、同じく選択されたビットラインから接地されている選択されたワードラインへ至る第2の漏れ電流経路、へ分岐する。直列/並列経路のこの結合は、略図2100において、第1の抵抗器Ru/(#WLs−1)が選択されたビットラインへ接続されかつノードAで第2の抵抗器端子Ru/(#BLs−1)へ接続され、第2の抵抗器端子Ru/(#BLs−1)がノードBで接地されている選択されたワードラインへ接続されることによって表されている。選択されたビットラインを除く全てのビットラインの結合キャパシタンスは、選択されていないビットライン・キャパシタCBL−T=(#BLs−1)x10 fFを形成する。但し、本例における各アレイ・ビットライン・キャパシタンスCBL=10 fFは、プロセスステップ1960によってVAB=VSET/2へプリチャージされている。選択されたセルがVSETへ荷電され、かつISET電流が選択されたセルを介して流れるにつれて、ILEAKは、アレイの選択されていない部分を介して流れ、よって、幾分かの追加電荷が選択されていないビットライン・キャパシタCBL−Tへ流れ、これにより、選択されたスイッチ抵抗Rsによる高抵抗RESET状態RHから低抵抗SET状態RLへの遷移、およびSET電圧のゼロへの回帰に伴って、電圧VABが増加する。SETオペレーションは、メモリアレイの選択されていない部分に渡る電圧VABの増加を最小限に抑えながら完了させることが重要である。
選択されたビットラインに渡る電圧は、VSETへ遷移する。SETオペレーションの間に、VABの増加に繋がる、VSET/2を超えるCBL−T上の電圧増加を計算することは、重要である。図21Bおよび図21Cに示されている略図2110および略図2120により例示されているように、さらなる単純化を用いて、端子A〜Bに渡るテブナン等価電圧VTH[式23]および対応するテブナン等価抵抗RTH[式24]が計算される。次に、式23、式24および式25を用いて選択されていないビットライン・キャパシタンスCBL−Tに渡るVABの増加を計算するために、図21Dに例示されているテブナン等価回路2130が使用されてもよい。SETパルスの持続時間が時定数RTHCBL−Tの3倍以上であれば、電圧VABの最大増加は、テブナン電圧VTHに等しい。しかしながら、SETパルスの持続時間が時定数RTHCBL−Tの3倍未満であれば、VABの増加ΔVABは、[式25]を用いて計算され得るように、VTHを下回ることになる。図22に示されている表2200には、様々な値のアレイパラメータに関する、式23、式24および式25を用いた計算結果が纏められている。SET時間は、VAB電圧の最大変化がΔVAB=VTHとなるように、時定数RTHCBL−Tの3倍より長いことが想定されている。
VTH = [VSET/2] x [(Ru/(BLs−1))/(Ru/(#WLs−1) + Ru/(#BLs−1) + r)] [式23]
RTH = [(Ru/(#BLs−1)) x (Ru/(#WLs−1) + r)]/[Ru/(#WLs−1) + Ru/(#WBLs−1) + r] [式24]
ΔVAB = VTH (1−e−t/RTHCBL−T) [式25]
次に、図22に示されている表2200を参照すると、4つの事例が示されている。事例1Aおよび事例1Bにおいて、低抵抗SET状態の値は、RL=1MΩであり、かつ高抵抗RESET状態の値は、RH=20MΩである。これらの例において、SET電圧は、VSET=2Vである。RL=1MΩのとき、選択されたセルの最大ISET電流は、2uAである。存在するビットラインは256、データ・ワードラインは128である。SET WRITEオペレーションでは、選択されたビットはRHからRLへ遷移する。最大アレイ電流の事例は、全ての選択されていないセルが低抵抗SET状態RLにあることを想定している。最小アレイ電流の事例は、全ての選択されていないセルが高抵抗RESET状態RHにあることを想定している。
事例1Aは、1入力が論理「1」でありかつ3入力が論理「0」である、図20Cに示されている1ビットデータバスに関するものである。事例1Bは、4入力が全て論理「1」である、図20Dに示されている4ビットデータバスに関するものである。
事例2Aおよび事例2Bにおいて、低抵抗SET状態の値は、RL=100kΩであり、かつ高抵抗RESET状態の値は、RH=2MΩである。これらの例において、SET電圧は、VSET=2Vである。RL=100kΩのとき、選択されたセルの最大ISET電流は、20uAである。存在するビットラインは256、データ・ワードラインは128である。SET WRITEオペレーションでは、選択されたビットはRHからRLへ遷移する。最大アレイ電流の事例は、全ての選択されていないセルが低抵抗SET状態RLにあることを想定している。最小アレイ電流の事例は、全ての選択されていないセルが高抵抗RESET状態RHにあることを想定している。
事例2Aは、1入力が論理「1」でありかつ3入力が論理「0」である、図20Cに示されている1ビットデータバスに関するものである。事例1Bは、4入力が全て論理「1」である、図20Dに示されている4ビットデータバスに関するものである。
事例2Aおよび事例2Bにおいて、SET電流ISETは、事例1Aおよび事例1Bの場合の10倍である。漏れ電流は、幾分高い。しかしながら、何れの事例においても、合計アレイ漏れ電流は、最悪の場合で1mA未満である。ある典型的なメモリオペレーションにおいて、合計アレイ漏れ電流は、存在するとしても、アレイ電流の最大値、最小値の何れにもほとんど接近せず、よって、平均電流は、最大事例より遙かに低くなる。
次に、図23を参照すると、本開示による(図7Aおよび図7Bに詳述されているような)READオペレーション、(図16Aおよび図16Bに詳述されているような)第1のプログラミングオペレーションおよび(図19Aおよび図19Bに詳述されているような)第2のプログラミングオペレーションを適用することによく適合する、例示的なアクセスおよびアドレスシステム2300内の抵抗変化素子アレイを例示するシステムレベルのブロック図が示されている。
アクセスおよびアドレスシステム2300の中心部には、アーキテクチャが図3、図5、図6Aおよび図6Bに示されているアレイに類似する1−R抵抗変化素子アレイ2340が存在する。プロセッサ制御素子2310は、アドレス制御ラインのアレイをビットライン・ドライバ/バッファ回路2320へ、かつワードライン・ドライバ/バッファ回路2330へ提供する。ビットライン・ドライバ/バッファ回路2320は、次に、ビットライン・デコーダ素子2325を介してビットラインを選択し、かつこれらのビットラインを、対応するセンス増幅器/ラッチ2360を介して抵抗変化素子アレイ2340へ接続する。同様に、ワードライン・ドライバ/バッファ回路2330もワードライン・デコーダ素子2335へ接続され、かつ抵抗変化素子アレイ2340へのワードラインを選択する。この方法において、先の図16A、図16および図19A、図19Bの論考で詳述されているような本開示によるプログラミング方法は、プロセッサ制御素子2310が提供する電気刺激を介して実行されることが可能である。
1−R抵抗変化素子アレイ2340は、アレイ絶縁デバイス2350を介して、センス増幅器/ラッチ2360等の測定および記憶素子アレイへ結合される。アレイ絶縁デバイスは、図24に例示されているメモリデータパス回路略図2400に関連して後に詳述するようなWRITEオペレーションの間に、センス増幅器/ラッチ2360の端子がより高いアレイ電圧に暴露されることを防止する。センス増幅器/ラッチ2360等の測定および記憶素子については、図7Aおよび図7Bに記述されている本開示のREAD方法に関連して論考し、かつメモリデータパス回路略図2400に関連して後により詳しく説明する。READオペレーションの間、ビットライン、ワードライン、(例えば、図6Bに示されているような)参照ワードライン、センス増幅器/ラッチ2360、ビットライン・ドライバ2355、I/Oゲート2370、データバス2375およびデータI/Oバッファドライバ2380は、プロセッサ制御素子2310からの制御信号に応答して様々に相互作用する。データI/Oバッファ/ドライバ2380およびセンス増幅器/ラッチ2360は、プロセッサ制御素子2310からの制御信号に応答して、抵抗変化素子アレイから読み取られる論理値を一時的にラッチして記憶するために使用される。アレイから読み取られる論理値は、データバス2375を介してデータ・バッファ・ドライバ素子2380へ接続されるI/Oゲート素子2370に応答して、プロセッサ制御素子2310へ提供し返される。この方法において、先の図7Aおよび図7Bの論考で詳述されているような本開示によるREAD方法は、プロセッサ制御素子2310が提供する電気刺激を介して実行されることが可能である。同様に、データは、プロセスコントローラ2310からデータI/Oバッファ/ドライバ2380へI/OバスラインI/O0、I/O1、I/O2およびI/O3を介して提供されてもよい。例示的な本例には、4ビットの外部I/Oバスが示されているが、I/Oバスの幅は、1ビットから例えば多くのビット幅(32、64、128、他)まで変わってもよい。データI/Oバッファ/ドライバ2380に一時的に記憶されるデータは、図16Aおよび図16Bに記述されている第1のプログラミング(WRITE)オペレーションを用いて不揮発性メモリアレイ2340に記憶されてもよい。あるいは、データI/Oバッファ/ドライバ2380に一時的に記憶されるデータは、図19Aおよび図19Bに記述されている第2のプログラミング(WRITE)オペレーションを用いて不揮発性メモリ2340に記憶されてもよい。READおよびプログラミング(WRITE)オペレーションについては、図24に例示されているメモリデータパス回路略図2400に関連して後にさらに詳しく述べる。
図23の例示的なアクセスおよびアドレスシステムにおけるプロセッサ制御素子2310は、異なる電圧および他の条件を、本開示の方法により必要とされかつ図7A、図7B、図16A、図16B、図19Aおよび図19Bに関連して先に論じたような抵抗変化素子アレイにおけるビットラインおよびワードラインのアレイへ適用するために使用されることが可能なプログラミングオペレーション回路(またはこれに類似するもの)を表すために使用される。本開示のプログラミング(WRITE)およびREADオペレーションが必要とする電気刺激は、特定のアプリケーションのニーズに最もよく適合する様々な構造を介して実装されることが可能である。例えば、FPGA、PLD、マイクロコントローラ、論理回路またはコンピュータ上で実行されるソフトウェアプログラムは全て、先に論じたように、図7A、図7B、図16A、図16B、図19Aおよび図19Bに詳述されているようなプログラミングオペレーションおよびREADオペレーションを実行するために使用される可能性もある。
本開示によるプログラミングおよびREAD方法の例示に使用されている1−R抵抗変化素子アレイのアーキテクチャは、図3、図6Aおよび図6Bにおける例示的な略図を用いて提示されているが、本開示による方法が、描かれているこれらの特定の電気回路に限定されるものでないことは留意されるべきである。実際に、当業者には、図3、図6Aおよび図6Bに描かれている電気回路が複数の方法で変更されることが可能であり、しかもなお本開示によるプログラミングおよびREADオペレーションによく適合するアレイアーキテクチャを実現可能であることが明らかとなるであろう。よって、本開示による方法に関連するものとしての抵抗変化素子アレイアーキテクチャに関するこれまでの説明は、これらの変形例を表しかつこれらを包含するものであり、かつ別段で、詳述される特定の例示的パラメータに限定されるものではないことが好ましい。
次に、図24を参照すると、図7Bに詳述されているようなREADオペレーションの実装、および図19Aおよび図19Bに詳述されているプログラミングオペレーションを例示するために、メモリデータパス回路略図2400が使用されてもよい。本明細書において、プログラミングおよびWRITEという用語は、交換可能に使用されることに留意されたい。略図2400は、CNTスイッチで形成されかつ図23に例示されているメモリアレイ2340に対応するセルアレイ2410と、行(WL)アドレスドライバ/バッファ2330に対応する典型的なワードライン(WL)ドライバ2415と、アレイ絶縁デバイス2350に対応するアレイREADデバイス2430と、センス増幅器/ラッチ2360に対応するセンス増幅器/ラッチ2435と、I/Oゲート2370に対応するI/Oゲート2440と、データバス2375に対応するデータバス2445と、ビットライン・ドライバ2355に対応する電圧シフタ&BLドライバ2450、プログラム電圧セレクタ2455およびプログラム制御デバイス2060と、を含み、BLカップリングデバイス2420およびBL荷電/放電回路2425は、アレイ2410の全てのビットラインを同時にプリチャージしかつ放電するために使用される。例示的な略図2400は、選択されたワードラインWL1および選択されたビットラインBL1に対する、図7Bに詳述されているREADオペレーションおよび図19Aおよび図19Bに詳述されているプログラミングオペレーションを実装するために使用され得るデバイスおよび回路の詳細を示している。略図2400におけるデータパス回路は、共に図24に示されているセンス増幅器/ラッチ2435、双方向データバス2445、および図23に示されている双方向データI/Oバッファ/ドライバ2380が全て、READオペレーションおよびWRITEオペレーションの双方においてチップ電圧VDDで作動するように設計されかつ作動される。これは、セルアレイ2440へVDDを超える比較的高いVPプログラミング電圧が印加される場合でも、アレイREADデバイス2430はプログラミングの間にアレイ絶縁デバイスとして働き、かつVPがセンス増幅器/ラッチ2435の端子に渡って出現しないように防止することに起因する。また、これは、後に詳述するようにセンス増幅器/ラッチ2435へ接続される電圧シフタ&BLドライバ2450が、接地(ゼロ)レベルおよびVDDレベル間で切り換わるセンス増幅器の出力信号からプログラミング電圧VPを生成することにも起因する。
セルアレイ2410およびアレイREADデバイス2430のオペレーションについては、RESETオペレーションに関して図7Bのフローチャート702によって、かつ各々図9Aおよび図9Cに示されている対応する略図901および略図903において先に詳述されている。セルアレイ2410、ビットライン・カップリング・デバイス2420およびビットライン荷電/放電回路2425のオペレーションについては、プログラミングオペレーションに関して各々図19Aおよび図19Bにおけるフローチャート1900および1950により、かつ図20Aに示されている対応する略図2001において先に詳しく説明されている。
センス増幅器/ラッチ2435は、READオペレーションの間にセルアレイ2410からのデータを一時的に記憶し、かつプログラミングオペレーションの間にデータバス2045からのデータを一時的に記憶するために使用される。センス増幅器/ラッチ2435は、次のように形成される。PFETデバイスTSA1およびTSA2のソース端子が互いに接続されてPFETデバイスTSA5へ接続され、PFETデバイスTSA5のソースがチップ電圧VDDへ、かつそのゲートがPSET制御へ接続される。NFETデバイスTSA3およびTSA4のソース端子が互いに接続されてNFETデバイスTSA6へ接続され、NFETデバイスTSA6のソースが接地へ、かつそのゲートがNSET制御へ接続される。TSA1およびTSA3のドレインは、互いに接続され、かつノードX1における出力へ接続される。TSA1およびTSA3のゲートは、互いに接続され、かつ一対のアレイ読取りデバイス2430のうちの一方および一対の双方向I/Oゲート2440のうちの一方へ接続される。TSA2およびTSA4のドレインは、互いに接続され、かつノードX2における出力へ接続される。TSA2およびTSA4のゲートは、互いに接続され、かつ一対のアレイREADデバイス2430のうちのもう一方および一対の双方向I/Oゲート2440のうちのもう一方へ接続される。ノードX1は、TSA2およびTSA4の各ゲートへ接続され、かつノードX2は、TSA1およびTSA3の各ゲートへ接続され、これにより、センス増幅器/ラッチ2435が形成される。センス増幅器/ラッチ2435は、プルアップデバイスTSA5およびプルダウンデバイスTSA6が起動される場合にのみ動作可能である。図14および図15A〜図15Cに示されている例で使用されているREAD電圧VREADは、1ボルトに等しい。
一対の双方向I/Oゲート2440は、真の(T/C)および補足(C/T)双方向データバス2435へも接続され、これは次に、図23に例示されている双方向データI/Oバッファ/ドライバ2380へ接続される(双方向データバス2445は、データバス2375に対応する)。
電圧シフタ&BLドライバ2450は、各々図19Aおよび図19Bに示されているフローチャート1900および1950に関連して記述しかつ対応する図21A〜図21Dおよび図22に関連して先に論じたようなプログラミングオペレーションの間でのみ起動される。電圧シフタ&BLドライバ2450の回路は、次のように形成される。PFETデバイスTVS1およびTVS2の各ソースが互いに接続され、かつプログラム電圧セレクタ2455へ接続される。TVS1のドレインは、NFETデバイスTVS4のドレインへ接続され、かつノードOVSでTVS2のゲートへ接続される。TVS2のドレインは、NFET TVS3のドレインおよびTVS1のゲートへ接続される。TVS3のソースは、TVS4のゲートへ、かつセンス増幅器/ラッチ2435の端子X1へ接続される。TVS4のソースは、TVS3のゲートへ、かつセンス増幅器/ラッチ2435の端子X2へ接続される。電圧シフタ&BLドライバ2450の出力ノードOVSは、PFETデバイスであるプログラム電圧制御デバイス2460のソースへ接続され、プログラム電圧制御デバイス2460は、ゲートへ接続される信号VWR−ΔSETによって制御される。本例において、プログラム電圧制御デバイス2460のドレインは、セルアレイ2410のビットラインBL1へ接続されている。電圧シフタ&BLドライバ2450は、プログラム電圧セレクタ2455が電圧VSETへ接続されると起動され、かつ0ボルトへ接続されると停止される。本例では、VSET=2V、およびVSET/2=1Vである。
図19Bに例示されているフローチャート1950に関連して述べたように、プロセスステップ1960は、セルアレイ2410における全てのビットラインをプリチャージし、一方でワードラインを浮動させる。したがって、ビットライン・カップリング・デバイス2420が起動され、かつビットラインがビットライン荷電/放電回路2425によってプログラミング電圧の半分VP/2までプリチャージされ、次に、BL1のプログラミングに先行してビットライン・カップリング・デバイス2420がオフにされる。先に詳しく説明したように、セルアレイ2410における全てのセルは高抵抗RESET状態にあることから、VP=VSETである。入力データが論理「0」であり、かつノードOVSがゼロボルトにあれば、プログラム制御電圧デバイス2460はオフであって、ビットラインBL1を電圧シフタ&BLドライバ2450から絶縁し、かつビットラインBL1がVSET/2へプリチャージされたままになるように、信号VWR_ΔSETは、VSET/2にある。しかしながら、入力データが論理「1」であれば、ノードOVSは、0からSET電圧VSETへ遷移する。ノードOVSがVSET/2を超過すると、プログラム電圧制御デバイス2460はオンになり、図19Bに示されているプロセスステップ1970によって記述されているようにビットラインBL1をVSETへ駆動する。この時点で、選択されたワードラインWL1は、図19Bにおけるプロセスステップ1980に記述されているようにWLドライバ2415によって接地へ駆動され、かつ、本例ではセルアレイ2410内に示されているCELL11であるセルは、高抵抗RH RESET状態から低抵抗RL SET状態へ切り換わる。図22の表2200における例に言及すると、選択されていないビットラインの電圧は、SETオペレーションの後、1.0Vのプリチャージ値から1.3Vまで増加する。プログラム電圧制御デバイス2460を参照すると、場合により、電圧VWR_ΔSETは、電圧シフタ&BLドライバ2450によるVSETへの遷移に先行して、1Vから例えば0.85Vへ降下されてもよく、これにより、選択されていないビットの電圧は約1.3Vから約1.15Vへ下がり、よって、1Vであるプリチャージ値により近づく。
次に、図25に言及すると、プログラミング(WRITE)オペレーション2500は、メモリデータパス回路略図2400の電気的パフォーマンスの計算から結果的に生じる様々な動作波形を示している。本例において、図23に示されているアクセスおよびアドレスシステム2300のブロック図におけるREAD/WRITE制御信号プロセスコントローラ2310は、READ/WRITE制御信号を介してWRITEオペレーションを開始し、かつクロスポイント型メモリシステムにより復号されるワードアドレスおよび列アドレスを提供する。図25の波形は、図24に例示された略図2400に示されているデータパス回路に焦点を合わせている。プロセスコントローラ2310により図23に示されているデータI/Oバッファ/ドライバ2380へ提供されたデータは、図24におけるデータバス2445に対応する双方向データバス2375へ送信される。センス増幅器/ラッチ2435は起動され、かつプルアップトランジスタTSA5およびプルダウントランジスタTSA6によってチップ電源VDDおよび接地へ接続される。電圧シフタ&BLドライバ2450は、プログラム電圧セレクタ2455によって起動され、かつ、本例では2Vに等しい電圧VP=VSETへ接続される。プログラム電圧制御デバイス2460は、オフ状態にあり、ノードOVSが本例ではVSET/2=1Vを超過するまで、電圧シフタ&BLドライバ2450の出力ノードOVSからBL1を絶縁する。この時間中、ワードラインWL1が選択され、セルアレイ2410内の全てのビットラインがVSET/2へプリチャージされ、かつビットラインBL1が選択される。
この時点で、I/Oゲート2440へVCSLが印加され、かつ論理信号がデータバス2445からセンス増幅器/ラッチ2435の入力へ送信される。論理「1」入力は、T/Cバスライン上にVDD電圧(C/Tバスライン上にゼロ電圧)をもたらし、かつ論理「0」電圧は、T/Cバスライン上にゼロ電圧(C/Tバスライン上にVDD)をもたらす。本例では、論理「1」データ入力が提供され、かつセンス増幅器/ラッチ2435が信号を一時的に記憶する。センス増幅器の出力X1は、0Vへ遷移し、かつ出力X2は、VDDへ遷移する。電圧シフタ&BLドライバ2450へのこの入力は、電圧シフタ&ビットライン・ドライバ2450の出力ノードOVSを、本例では2VであるVSETへ遷移させる。プログラム電圧制御デバイスのゲートがVWR_ΔSET=VSET/2=1Vにある状態で、ビットラインBL1は、論理「1」信号に対してVSET/2からVSETへ遷移する(論理「0」信号の場合、VBL1は、VSET/2に留まっていたはずである)。ワードラインWL1は、ゼロ電圧へ遷移する。本例では2VであるVSETは、選択されたビットラインBL1と選択されたワードラインWL1との間に出現し、セルアレイ2410内のCELL11は、高抵抗RH RESET状態から低抵抗RL SET状態へ切り換わり、プロセスコントローラ2310から入力されるデータの、セルアレイ2410内のCELL11に対応するメモリアレイセルへの記憶が完了する。
電圧、電流およびタイミングの値は、図21A〜図21Dおよび図22に関連して先に詳述したように計算されている。しかしながら、選択されるCMOS技術に合わせて、製造者により、正確なシミュレーションのための設計、配置およびシミュレーションソフトウェアに使用可能な物理的かつ電気的パラメータおよびモデルが提供される。非線形CNTスイッチのモデルは、図13に示されている片対数プロット1300等のCNTスイッチI−V電気特性から導出されることが可能である。例えば、片対数プロット1300は、シミュレーションソフトウェアに導入が可能なCNTスイッチモデルを提供するために、非線形多項式を用いて近似されることが可能である。
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明したが、当業者には、他の多くの変形および変更および他の使用法が明らかとなるであろう。したがって、本発明は、本明細書に記述されている特定の開示によって限定されないことが好ましい。