JP6405995B2 - 多芯筆記具 - Google Patents
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Description
しかしながら、窓孔を後方に開口させているため、成形時にその窓孔の幅が収縮してしまい、窓孔の周辺が変形してしまっていた。その結果、スライダーを窓孔に組み付けることが困難になってしまい、無理に組み付けると窓孔周辺部の軸筒にクラックなどが入ってしまっていた。
また、仮に良好な成形が得られたとしても、窓孔の後端部が開放されているため、該部分における強度は弱く、撓み易いものとなってしまっている。それ故に、スライダーの動作に不良を発生させてしまったり、ややもすると、窓孔周縁部にクラックが発生してしまい、スライダーを動作させることができなくなってしまう危険性があった。強いては、使用の際に軸筒が湾曲してしまい、筆記に悪影響を及ぼしてしまうことも懸念される。
また、前記前軸15は透明な材質から構成されており、内部のリフィールを、前軸15を通して識別可能としている。リフィール1の樹脂パイプ1aは着色、もしくは転写印刷などにより、内部のインキ1bと近似した色に着色されており、使用者の外観からの識別を可能としている。
後軸16は、着色半透明な材質から構成されている。リフィール1をスライダー18に対して着脱する際、即ち、リフィール1を交換する際、その着脱部1cの視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸16は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記の着脱部1cが拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。
前記前軸15は内部リフィール1の視認性やデザイン性を考慮し、一部品で構成されているが、ゴム状弾性体からなるグリップ35を挿着したり(図35、36参照)、二色成形、或いは、多色成形といった手段などにより前軸15にゴム状弾性体からなるグリップ35を被覆しても良い。それにより、グリップ感が増し、書きやすさ、疲れにくさが増すのである。
前記前軸15と後軸16は、螺合により取り外し可能に取り付けられており、前記後軸16の後端部には摺動ケース5が取り付けられている。本例では、その摺動ケース5の外周の表面上には、等間隔に後軸16との係合用の係合突起5aが設けられている。また、その係合突起5aは、後軸16の外周の表面に設けられた窓孔16aの後端部に係合されることにより、シャープユニット17を組み合わせた多芯筆記具において、シャープ芯29の繰り出しのスライド距離を窓孔16aで有効活用することによって軸本体14の長さを抑えている。
前記スライダー18の後端押圧部18aは軸芯方向に切欠き18bが設けてあり、前述の窓孔16aの後端部に係合された摺動ケース5の係合突起5aを覆い、外観から見えないようにしているのである。
この係合状態において、摺動ケース5の前半部5bは後軸16の後端内部に配置され、一方、摺動ケース5の後半部は後軸16の後端開口部16bから突出する。その突出した摺動ケース5の後半部をノック部5cとし、ノック作動により摺動ケース5全体が、後軸16に対して前後に摺動する。
その軸本体14の摺動ケース5には中央部に前方(深さ)方向に進むにつれ、多段階的に径を縮小していく着脱穴2が設けられており、その着脱穴2の内壁面2aには、複数の係合用突起2bが設けてある。
前記着脱穴2の軸筒の後端部に位置する開口部3は、着脱穴2の最大径部となっている。しかし、その着脱穴2の開口部3の最大径部は、その着脱穴2に着脱自在に取り付けられる取り付け部材4の最大径部よりも小さく形成されている。即ち、取り付け部材4は、着脱穴2に対して圧入状態で着脱自在に固着される。
本例では着脱穴2を摺動ケース5の後端部のノック部5cにそのノック部5cの後端からペン先方向へ向けて設けており、穴の深さ方向、つまり、被開口部6側において、略中央部までが大径部2cとなっており、次いで、ほぼ中央部からは小径部2dとなっている。それら大径部2cと小径部2dの間には、大径部2cと小径部2dを連結すると共に、開口部側に向けて拡径するテーパー部2eが設けてある。そして、前記小径部2dの内壁面2aには、周状に、かつ、等間隔な位置に係合用突起2bが設けてある。
この様な構成からなる着脱穴2には、取り付け部材4が装飾部品で無く、機能をもった部品、例えば、消しゴムや蛍光ペン、修正具などが取り付けられる。尚、消しゴム9を取り付ける場合には、その消しゴム単体でも取り付けは可能であるが、消しゴム9を保護する観点から、消しゴム9が差し込まれる台座10、並びに、消しゴム9を覆うキャップ11を使用するのが望ましい。その際は、キャップ11と台座10の嵌合力は、前記着脱穴2と取り付け部材4の嵌合力よりも小さくすることが望ましい。スムーズなキャップ11の取り外しが可能になる。
軸本体14は後軸16、前軸15、摺動ケース5で構成されており、先に説明したとおり、摺動ケース5と後軸16は、係合突起5aと窓孔16aとの係合により、脱落・分解が防止されている。また、前軸15と後軸16はネジ螺合により取り外し可能に接合されている。前記後軸16内には前軸15のネジ部端面15cを突き当てて止めるため、ネジ止め段部16cが周状に形成されている。本例では前軸15にはグリップを被覆しておらず、後軸16との螺号により前軸外観後端面15dと後軸先端面16dとが接触して螺合が止まる。しかし、前軸外観後端面15dに接触部が存在しない、例えば、グリップを被覆したものにあっては、前記ネジ止め段部16cと前軸ネジ部の端部15cが軸内部で接触し、螺合が止まる。尚、ネジ止め段部16cは軸内のスペース、肉厚等を考慮し、複数のリブで構成しても良いが、金型の加工、透明樹脂使用時の見栄えの観点から、周状に設けるのが望ましい。
さらに、前記窓孔16aにクリップ部31を備えたクリップスライダー30を装着する場合には、そのクリップスライダー30の抜け防止突起30aをなるべく大きく形成したほうが良い。クリップスライダー30が横方向から力を受けた際、窓孔16aからの脱落が防止される。
また、前記スライダー18の前端には長手方向に孔27が形成されている。その孔の内周面27aにはリフィール嵌合突起27bが形成されており、リフィール1の後端に設けた着脱部1cが着脱可能に固定される。リフィール1の後端には着脱部1cが空気の流通路を確保した状態で固着しており、その固着強度がスライダー18と着脱部1cの嵌合強度より強くなっていることにより、使用者は好みのリフィール1に簡単に着脱し、交換することができるのである。
ここで、前記スライダー18は、不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。透明にすることにより、リフィール1の後端に取り付けた着脱部1cを、スライダー18を通して視認することができ、使用者のリフィール識別が可能となる。さらには、スライダー18の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。
次いで、本発明の作用について説明する。図1に示す例は、リフィール1を複数本内蔵する多芯筆記具である。その多芯筆記具には後軸16の外周面に等間隔に複数個形成された窓孔16aよりスライダー18の押し部を露出し、スライダー18を窓孔16aに沿って前方にスライドさせることにより、その一つのスライダー18に連結されたリフィール1のペン先を前軸15の前端孔15bから突出させるとともに、先に突出状態にあった他のリフィール1のペン先を前軸15内に没入させることが出来る。
ここで、この多芯筆記具の後軸16に対するスライダー18やクリップスライダー30の組立工程において、クリップスライダー30や、スライダー18は色表示を介して、リフィール1に連結され、一体として後軸16の後端開口部より挿入される。この挿入工程において、リフィール1は規制部28を通して軸の前方に、スライダー18の押し部は窓孔16aより後軸外方向に露出させて挿着状態となる。
このスライダー18やクリップスライダー30の挿着時において、後軸16の後端開口部16hよりリフィール先端を後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aに挿入し、後軸先端開口部16gからリフィール全体を前方に引っ張る。この引っ張り動作により、リフィール1に装着されたスライダー18、クリップスライダー30は、後軸内をスライドする。このリフィール1のスライド過程において、クリップ部31の断面は台形をしているので、窓孔16aに引っかかることなく、クリップ部31の先端がほぼ抵抗無く窓孔16aより外方向に露出する。さらに、リフィール1に装着されたスライダー18、クリップスライダー30が前進を進めると、クリップ先端方向の玉部32は窓孔16aの前方に設けたテーパー部16iに接触する。この接触動作によって、さらにクリップ部31は外方向に誘導される。作業者がリフィール1全体を前方に引っ張り、後軸内をスライドさせていくことにより、スライダー18やクリップスライダー30が後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aを支点とすると共に、リフィール1のPP性の樹脂パイプを湾曲させたことによる弾性力も作用することで、クリップスライダー30を外方向へ移動させる力が発生し、クリップスライダー30が完全に窓孔16aから露出する。これにより、クリップスライダー30が窓孔16aに確実に挿着される。また、後軸16へのスライダー18、クリップスライダー30の挿着後、次工程として後軸後端開口部16hに摺動ケース5を圧入して製品の作動部を構成するため、本工程でスライダー18やクリップスライダー30はスプリング21の力で、後軸16の窓孔16aの後方閉鎖部16fに常に押し付けられる。即ち、次工程である摺動ケース5の圧入までに外れることはない。その他のクリップ部31を有さないスライダー18においても、同様に、後軸16の後端開口部16hからリフィール1の先端を後軸16の規制部28に設けた貫通孔28aに挿入し、後軸先端開口部16gからリフィール1全体を前方に引っ張る。リフィール1を前方へ引っ張ることによって、スライダー18、或いは、クリップスライダー30が後軸16内を移動する。また、この移動の過程で、PP性の樹脂パイプを湾曲させたことによる弾性力でスライダー18が窓孔16aに挿着される。
さらには、後軸16の規制部28を隔てて軸筒の前方には、軸線を中心にリフィール規制リブ28bが放射状に設けられていると共に、そのリフィール規制リブ28bはリフィール1が移動する経路上に形成されている。このリフィール規制リブ28bは、組み立て時において、リフィール1のリフィールパイプに接触し、リフィールパイプを強制的に内側に寄せている。この内側に寄せられる作用によって、スライダー18やクリップスライダー30を外方向に向ける力が増幅させられる。
多芯筆記具の構造を前記のように構成することで、窓孔16aは歪むことは無く精度の良い形状となり、後軸16の窓孔16aに対するスライダー18の作動が確実なものとなる。また、後軸16の後端を開放することで、金型上、両側からコアピンを入れることが出来、中央に設けたスプリング21をガイドする規制部28を後軸16と一体で形成することが可能となるのである。また、上記の構成を採ることにより、窓孔16aを後端方向に開放することなくとも、不自由なく組み立てることが可能となり、頑丈な多芯筆記具を提供することができる。
実施例2を図35〜図40に示し説明する。前記クリップスライダーのクリップ部を拡開量の大きなバインダークリップ33にした例である。図36はバインダークリップ33を取り付け可能としたバインダークリップスライダー34の側面図であり、そのバインダークリップスライダー34には、前記バインダークリップ33の基部33aが回転自在に取り付けられるバインダークリップ取り付け基部34aが設けられている。また、そのバインダークリップ取り付け基部34aの両側部には、回転軸34bが突出した状態で形成されているが、その回転軸34bの端部における上部には、面取り部34cが施されている。
一方、そのバインダークリップ取り付け基部34aに取り付けられるバインダークリップ33の両側部には、側板33bが形成されており、その側板33bには前記バインダークリップ取り付け基部34aの回転軸34bが嵌まり込む貫通孔33cが形成されている。前記回転軸34bに形成された面取り部34cは、その傾斜面によって前記貫通孔33cを回転軸34bに導くのである。
このバインダークリップスライダー34においても、バインダークリップ取り付け基部34aから解除突起18eまでの高さHに対し、後軸16の内径を大きくすることで、その後軸16の後端から、閉鎖された窓孔16aへのバインダークリップ取り付け基部34aの挿入を可能としている。即ち、バインダークリップ取り付け基部34aの幅Xを窓孔16aの幅Yよりも若干小さくしているのである。この様に、窓孔16aからバインダークリップ取り付け基部34aを露出させることによって、バインダークリップ33を取り付け可能としているのである。
また、前記構造とすることで、バインダークリップ33を具備した多芯筆記具においても、後軸16の窓孔16aは歪むことは無く精度の良い形状となり、後軸窓孔16aに対するバインダークリップスライダー34の作動が確実なものとなる。
実施例3を図41〜図47に示し説明する。本発明で内蔵するリフィール1を5本とした実施例である。リフィール1を5本とすることで、使用者はペンを持ち帰ることなく筆記色やペン先の細さを選ぶことが可能となる。しかしながら、従来の構造ではリフィール1の数の増加に伴い、軸の内径や外径が太くなってしまっている。そこで、軸の肉厚を少なくすることで、即ち、肉厚を薄くすることで、軸径の細身化を試みたが、強度面に不具合が発生してしまう危惧がある。
しかし、本発明においては、後軸16の後方に閉鎖部16fを設け、後軸後端開口部16hの内形をスライダー36及び、クリップスライダー37が通過し得る内形としている。そして、その結果、窓孔16aの周縁部の強度が得られると共に組み立てが容易になる。
これに加え、本実施例3では、軸本体14をできる限り細身にするため、クリップスライダー37の幅方向の両側、即ち、抜け防止突起37aの中間部に切り欠き部37bを設けている。クリップスライダー37を前進させ、係止させた際、この切り欠き部部37bに隣接したスライダー36のスプリング支持部36aが位置する。その結果、隣接するスライダー36のスプリング支持部36aとの干渉が防止される。これにより、本来の肉厚を維持した状態で、軸本体14を細く形成することができるのである。本実施例の他にもリフィール1の数は3本、5本に限らず、2本以上の複数のリフィール1を備えた筆記具に対し、実施例は有効である。
2 着脱穴
2a 内壁面
2b 係合用突起
2c 大径部
2d 小径部
3 開口部
4 取り付け部材
4a 係合用突出部
4b 棒状取り付け部
4c 溝
5 摺動ケース
5a 係合突起
5b 前半部
5c ノック部
6 被開口部
6a 底部
7 係合穴
8 係合凸部
9 消しゴム
10 台座
11 キャップ
12 イヤフォンジャックアクセサリー
12a 大径部
13 テーパー状の穴
14 軸本体
15 前軸
15a 円錐部
15b 突出穴
15c ネジ部端面
15d 前軸外観後端面
16 後軸
16a 窓孔
16b 後軸内周面
16c ネジ止め段部
16d 後軸先端面
16e 窓孔前方壁部
16f 閉鎖部
16g 後軸先端開口部
16h 後軸後端開口部
16i 窓孔前方テーパー部
17 シャープユニット
17a 先金部
18 スライダー
18a 押圧部
18b 切欠き
18c 係止突起
18d 抜け防止突起
18e 解除突起
18f 被解除突起
18g 鍔部
19 区画壁
20 ペン先
21 弾撥部材
22 係止凹部
23 位置決めリブ
24 挿着溝
25 ボールペンリフィール
25a インキ収容筒
26 区画
27 孔
27a 内周面
27b リフィール嵌合突起
28 規制部
28a 貫通孔
28b リフィール規制リブ
29 シャープ芯
30 クリップスライダー
30a 抜け防止突起
31 クリップ部
32 クリップ玉部
32a 円弧部
33 バインダークリップ
33a 基部
33b 側板
33c 貫通孔
34 バインダークリップスライダー
34a バインダークリップ取り付け基部
34b 回転軸
34c 面取り部
35 グリップ
36 実施例3におけるスライダー
36a スプリング支持部
37 実施例3におけるクリップスライダー
37a 抜け防止突起
37b 切り欠き部
Claims (6)
- 軸筒の後方に複数の窓孔を形成すると共に、その窓孔のそれぞれに前後動可能なスライダーを配置し、そのスライダーの前方に筆記体を配置した多芯筆記具であって、その複数のスライダーのうち、少なくとも1つをクリップ付きのスライダーとし、前記窓孔の前方、並びに、後方を閉鎖すると共に、前記軸筒の後端開口部の内形を前記クリップ付きのスライダーが通過し得る内形とした多芯筆記具。
- 前記クリップの横断面形状を台形状にした請求項1に記載の多芯筆記具。
- 前記クリップの前方に玉部を形成すると共に、その玉部の前方に円弧部を形成した請求項1、或いは、請求項2に記載の多芯筆記具。
- 前記窓孔の前方部の壁面にテーパー部を設けた請求項1〜請求項3の何れかに記載の多芯筆記具。
- 前記軸筒の前方内面にリフィール規制リブを設けた請求項1〜請求項4の何れかに記載の多芯筆記具。
- 前記リフィール規制リブの横断面形状を前方に向けて徐々に縮形させた請求項5に記載の多芯筆記具。
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JP2013267933 | 2013-12-25 | ||
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