JP6016193B2 - 多芯筆記具 - Google Patents
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Description
しかしながら、筆記時には前記接合部の自由度が災いし、ガタが発生してしまう。これに加え、スライダーの係止は縦方向に働いたスプリングの弾性力のみで保たれている。この係止方法は、係止状態から、不慮の外力や衝撃力などによってスライダーに下向きの力が加わると、その衝撃により、係止が外れてしまう危険性がある。そして、その係止の外れにより、筆記状態が保てないという不便さが発生してしまった。
スライダーの係止時において、係止状態のスライダーの係止突起が、解除状態にあるスライダーの解除突起と尾栓の係止部との間に入り込むよう、位置させたことにより、スライダーへペン先方向への衝撃が加わっても、係止が外れにくくなっているのである。つまり、スライダーが係止状態からさらにペン先方向に動いた際に、係止が外れるより早く、解除状態にあるスライダーの解除突起に接触し、解除状態にあるスライダーを維持しているスプリング等の弾撥部材の弾性力も作用することにより、スライダーの先方への移動が阻止され、係止力を補助するのである。
さらに、前記前軸8は不透明な材質から構成されているが、後軸2は、着色半透明な材質から構成されている。ボールペンリフィール15をスライダー4に対して着脱する際、即ち、ボールペンを交換する際、その着脱部の視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸2は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記の着脱部が拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。前記前軸8にはゴム状弾性体からなるグリップ部17が挿着されているが、二色成形、或いは、多色成形と言った手段などで前軸8に一体的にゴム状弾性体からなるグリップ部17を被覆しても良い。
前記前軸8と後軸2は、螺合により取り外し可能に取り付けられており、前記後軸2の後端部には摺動ケース1が取り付けられている。本例では、その摺動ケース1の外周の表面上には、等間隔に後軸2との係合用の係合突起1aが設けられている。また、その係合突起1aは、後軸2の外周の表面に設けられた窓孔2aの後端部に係合されることにより、シャープユニット9を組み合わせた多芯筆記具において、シャープ芯10の繰り出しのスライド距離を窓孔2aで有効活用することによって軸本体16の長さを抑えている。しかし、本例に限定されることはなく、窓孔2aの上部に摺動ケース1の係合突起1aが係合する専用の係合孔24を設けても良い。
その摺動ケース1の内部は全長に渡り、径方向を分割するように梁状の区画壁3によって区画されている。また、摺動ケース1は有底の筒状を成しているが、中間部からは筒部1dがなくなり、径方向に開放状態となっている。具体的には、断面形状が扇形の切り欠き部1eが形成されており、その切り欠き部1eが開放状態となっている。つまり、その切り欠き部を摺動面とし、スライダー4が摺動ケース1内を摺動するのである。前記スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aより外方に突出しており、スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aを摺動する。
前記ペン先5の没入状態では、スライダー4は弾撥部材6の弾撥力により、後方へ押しやられており、スライダー4の押圧部4aの後端は摺動ケース1のスライダー当接部1fに当接している。この状態において、使用者がスライダー4を前進させると、スライダー4は軸心方向へ落ち込み、スライダー4の係止突起4bが摺動ケース1内の梁状の区画壁2の中心に設けられた係止凹部7に係止される。この瞬間に、ペン先5が前軸8の先端突出孔8aから突出し、筆記可能となる。
ここで、係止突起4bと係止凹部7の引掛り量をyとし、被解除突起4eと解除突起4dによりスライダー4が移動する距離をXとする。
つまり、係止されている引掛り量yよりもスライダー4同士の衝突により動く距離Yを大きく採ることにより、スライダー4が扇状に動き、解除を可能にしているのである。
尚、シャープユニット9のスライダー4を前進させた際は、シャープユニット9の先金部9aが突出状態にあり、前軸8の先端の内面部8bにほぼ接触状態となっている。このシャープユニットの先金部9aの前軸8の先端の内面部8bに対する接触によって、ノック部1cを押圧し、摺動ケース1を押し込むことにより、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出され、筆記状態となる。
これらボールペンのペン先5の出没操作時やシャープ芯10の繰り出し操作時であっても、摺動ケース1に設けた梁状の区画壁3により剛性が良くなっているため、外力が加わった時の径方向への撓みは極力防止される。それ故に、スライダー4の摺動不良や係止不良、シャープユニット9の芯出し不良などの誤作動が起きにくい構成となっている。さらには、各々のスライダー4が梁状の区画壁3によって区画されているため、解除時に必要とするスライダー4同士の衝突以外の接触を防止し、スライダー4同士の干渉によるリフィール11の繰り出し不具合等の誤作動の抑制をしている。
さらに、解除突起4dの頂部は、他の二つの突起(係止突起4b、被解除突起4e)よりも軸心方向へ近い位置、即ち、その突出量が多くなっており、係止時において係止状態のスライダー4の係止突起4bが、解除状態にあるスライダー4の解除突起4dと尾栓23の係止凹部7との間に入り込むようになっている。これにより、解除状態のスライダー4の解除突起4dと尾栓23の係止凹部7との間で係止状態にあるスライダー4の係止突起4bを挟み込む状態となり、係止凹部7からの係止はずれを抑制する効果をもたらすのである。
即ち、スライダー4が係止状態からさらにペン先5の方向に動いた際には、係止凹部7から係止が外れるより早く、解除状態にあるスライダーの解除突起4dに接触し(図24参照)、解除状態にあるスライダー4を維持している弾撥部材6の弾性力も作用することにより、スライダー4の先方への移動が阻止され、係止が維持されるのである。
尚、本例では摺動ケース1の先端から3分の1程度の区間には、前記の縦リブ3aが設けられてない。これは係止されたスライダー4の解除時において、解除される側のスライダー4の多少のクリアランスを考慮したものである。即ち、解除される直前まではガタが無いほうが良いが、解除直後は摺動ケース1内の抵抗が少なく、スムーズに後方の定位置に戻るのが望ましい。そのため、先端から3分の1程度の区間には縦リブ3aを設けず、解除直後の抵抗を減らしているのである。
さらに、前記後軸2の内面には、一対の位置決めリブによって挿着溝12が形成されている。その挿着溝12には、前記摺動ケース1の梁状の区画壁3が摺動自在に嵌まり込んでおり、径方向、即ち、相対的な回転が防止されている。具体的には、1つの区画壁3に対し、後軸2の内周面に前記区画壁3の幅と略同じ間隔をあけて位置決めリブ13が2つ設けてあり、その隣り合う位置決めリブ13間(挿着溝12)を区画壁3が前後に摺動するのである。つまり、後軸2内の位置決めリブ13の数は区画壁3の数の2倍となり、区画壁3の数はリフィール11の数に起因するため、リフィール11の数により位置決めリブ13の数も決まる。つまり、リフィール11が2本であれば位置決めリブ13の数は4つ、3本であれば6つになるのである。
前記ストッパー段部14に対し、前記後軸2内の位置決めリブ13の長さを設定することで、リフィール11をボールペンリフィール15のみで構成した筆記具と、少なくとも1本以上をシャープユニット9で構成した筆記具とで部品の共通化を可能にしている。例えば、前記リフィール11をボールペン15のみで構成する際は、図11のように、ストッパー段部14と長い位置決めリブ13bの位置を合わせるように組み立てる(図11c参照)。その結果、組立て後にストッパー段部14と長い位置決めリブ13bの後端面が当接し、それ以上のノックをできなくし、摺動ケース1を尾栓23として固定する。
そのボールペンリフィール15に変え、少なくとも1つ以上のシャープユニット9を組み込む際は、前記摺動ケース1のストッパー段部14を短い位置決めリブ13aに合うように組み立てる。この状態で組むことで、ストッパー段部14と短い位置決めリブ13aとの間にクリアランスが生じ、摺動ケース1が後軸2に対し前後へ摺動が可能となる。また、前記クリアランスは、ストッパー段部14が短い位置決めリブ13aの後端部に当接するまで形成されており、その移動範囲が摺動ケース1のスライド距離となる。尚、このスライド距離は、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出されるのに必要な距離以上の距離になっている。さらに、短い位置決めリブ13aと、長い位置決めリブ13bとの差は、ストッパー段部14の長さとほぼ等しくなっているが、長い位置決めリブ13bと短い位置決めリブ13aとの差をストッパー段部14の長さより多少長くしても良い。要は、位置決めリブ13の後端とストッパー段部14が当接する前に、シャープ芯10の繰り出しに必要な摺動距離を摺動できれば良いのである。
前記後軸2には、その長手方向に4個の窓孔2aが形成されている。本例においては、4個の窓孔2aが形成されているが、リフィール11であるボールペンリフィール15とシャープユニット9の合計数が4本であるためであり、このリフィール11の本数によって窓孔2aの形成する数も変わるものである。前記後軸2内には後軸2の後端を摺動可能に取り付けられた摺動ケース1が設けられており、前記摺動ケース1内はリフィール11の数に径方向に区画されており、その区画は軸心を中心とし、放射状に広がる梁状の区画壁3により区画分けされている。この区画18内をリフィール11の後端に取り付けられたスライダー4が前後にスライドし、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aの没入動作が行われるのである。前記区画18も本例では4つであるが、リフィール11の本数により、変わるものである。
このスライダー4の背面には、1つの係止突起4bと、間隔をおいて2つの解除突起4d、4eが形成されている。前記係止突起4bは摺動ケース1を区画している梁状の区画壁3の中央部に設けた係止凹部7に係止され、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態を維持する。前記ボールペンリフィールのペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態において後部に位置している他のスライダー4を前進させると、前進したスライダー4の解除突起4dが、係止しているスライダー4の被解除突起4eに接触し、係止していたスライダー4が径方向外向きに移動することで係止が解除され、その瞬間に弾撥部材6の弾撥力によりスライダー4が後方へ移動し、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aが没状態になるのである。
そして、スライダー4の突部4f(膨出部4g)には、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aの後方部が接続されている。ここで、前記スライダー4は、前記ボールペンリフィール15に使用されるインキ色と同じ色に着色された不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。スライダー4の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。また、シャープユニット9の後方にも同様にスライダー4が挿着されており、ボールペンスライダーの色と異なる色に着色し、判別がつくように構成しているが、ボールペンスライダーと同様の色で構成してもかまわない。
本例において、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aは、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されているが、インキ収容筒15aの少なくとも前記スライダー4との接続部が、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されていれば良い。リフィール11を交換した際、リフィール11とスライダー4(膨出部4g)との接続状態を容易に確認することができる。
参照符号6は、リフィール11並びにリフィール11に接続するスライダー4を後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材6である。尚、本例におけるリフィール11は、3本が前述のようにボールペンリフィール15となっており、もう1本がシャープユニット9となっている。そのボールペンリフィール15のインキ収容筒15a及び、シャープユニット9の芯タンク9cがスライダー4の膨出部4gに接続されている。具体的には、黒、赤、青のインキが収納されたボールペンリフィール15とシャープユニット9が接続されている。
前記後軸2の中間部には、規制部19が形成されており、その規制部19には、リフィールが遊挿する4つの貫通孔20が形成されており、前記規制部19に弾撥部材6の一端を係止させることにより、リフィール11を後方に付勢している。
1a 係合突起
1b 前半部
1c ノック部
1d 筒部
1e 切り欠き部
1f スライダー当接部
1g スライダー滑走面
2 後軸
2a 窓孔
2b 後端開口部
2c ネジ止めリブ
2d 後軸2内面に接触する辺
3 区画壁
3a 縦リブ
3b 傾斜面
3c 突起
3d 突き当て段部
4 スライダー
4a スライダー押圧部
4b 係止突起
4c 抜け防止突起
4d 解除突起
4e 被解除突起
4f 突部
4g 膨出部
4h 鍔部
4i スライダー基部
5 ペン先
6 弾撥部材
7 係止凹部
8 前軸
8a 突出孔
8b 内面部
8c 円錐部
8d ネジ部端面
9 シャープユニット
9a 先金部
9b チャック
9c 芯タンク
10 シャープ芯
11 リフィール
12 挿着溝
13 位置決めリブ
13a 短い位置決めリブ
13b 長い位置決めリブ
13c 突き当て部
14 ストッパー段部
15 ボールペンリフィール
15a インキ収容筒
16 軸本体
17 グリップ部
18 区画
19 規制部
20 貫通孔
21 中軸
22 中子
23 尾栓
O 起点
P スライダー衝突部
y 引掛り代
S 点Oから点Pまでの距離
L 点Oから係止部までの距離
X 点Pでのスライダーの移動量
Y 係止部でのスライダーの移動量
Claims (3)
- 軸筒の内部に、弾撥部材により後方付勢された複数のリフィールを配置し、このリフィールを軸筒側面に配したスライダーによって出没させる多芯筆記具において、前記軸筒の後端部に配した尾栓の軸心位置に前記スライダーに対する係止凹部を設けると共に、前記スライダーに、ペン先側より係止の解除突起、被解除突起、係止突起を縦列配置し、これら突起のうち最後端に位置する係止突起が、前記係止凹部に係止してリフィールの突出状態を形成した時、当該係止凹部に係止した係止突起を、非突出状態にあるリフィールに配したスライダーの解除突起と係止凹部との間に位置させた多芯筆記具。
- 前記スライダーの前方に位置する突起の突出量を他の突起の突出量よりも多くしたことを特徴とする請求項1に記載の多芯筆記具。
- 前記リフィールの少なくとも1本をシャープユニットにする共に、前記尾栓を軸筒に対して摺動可能に配置した請求項1、或いは、請求項2に記載の多芯筆記具。
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2012
- 2012-07-27 JP JP2012167792A patent/JP6016193B2/ja active Active
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