JP6057051B2 - 多芯筆記具 - Google Patents
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Description
ところで、近年の多芯筆記具は、軸筒の細身化が要望されており、前記構成を用いて細身化を実施すると、ノック筒の肉厚や縦リブが薄肉になってしまっていた。それ故に、ノック筒の剛性が低下し、撓み易くなってしまう。そして、ノックが撓むことにより、ノック自体の摺動やノック内に係止するスライダーの係止の信頼性が低下してしまっていた。
その摺動ケース1の内部は全長に渡り、径方向を分割するように梁状の区画壁3によって区画されている。また、摺動ケース1は有底の筒状を成しているが、中間部からは筒部1dがなくなり、径方向に開放状態となっている。具体的には、断面形状が扇形の切り欠き部1eが形成されており、その切り欠き部1eが開放状態となっている。つまり、その切り欠き部を摺動面とし、スライダー4が摺動ケース1内を摺動するのである。前記スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aより外方に突出しており、スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aを摺動する。
前記ペン先5の没入状態では、スライダー4は弾撥部材6の弾撥力により、後方へ押しやられており、スライダー4の押圧部4aの後端は摺動ケース1のスライダー当接部1fに当接している。この状態において、使用者がスライダー4を前進させると、スライダー4は軸心方向へ落ち込み、スライダー4の係止突起4bが摺動ケース1内の梁状の区画壁2の中心に設けられた係止凹部7に係止される。この瞬間に、ペン先5が前軸8の先端突出孔8aから突出し、筆記可能となる。
尚、シャープユニット9のスライダー4を前進させた際は、シャープユニット9の先金部9aが突出状態にあり、前軸8の先端の内面部8bにほぼ接触状態となっている。このシャープユニットの先金部9aの前軸8の先端の内面部8bに対する接触によって、ノック部1cを押圧し、摺動ケース1を押し込むことにより、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出され、筆記状態となる。
これらボールペンのペン先5の出没操作時やシャープ芯10の繰り出し操作時であっても、摺動ケース1に設けた梁状の区画壁3により剛性が良くなっているため、外力が加わった時の径方向への撓みは極力防止される。それ故に、スライダー4の摺動不良や係止不良、シャープユニット9の芯出し不良などの誤作動が起きにくい構成となっている。さらには、各々のスライダー4が梁状の区画壁3によって区画されているため、解除時に必要とするスライダー4同士の衝突以外の接触を防止し、スライダー4同士の干渉によるリフィール11の繰り出し不具合等の誤作動の抑制をしている。
尚、本例では摺動ケース1の先端から3分の1程度の区間には、前記の縦リブ3aが設けられてない。これは係止されたスライダー4の解除時において、解除される側のスライダー4の多少のクリアランスを考慮したものである。即ち、解除される直前まではガタが無いほうが良いが、解除直後は摺動ケース1内の抵抗が少なく、スムーズに後方の定位置に戻るのが望ましい。そのため、先端から3分の1程度の区間には縦リブ3aを設けず、解除直後の抵抗を減らしているのである。
さらに、摺動ケース1の前端部には、突起3cが延設形成されている。その突起3cは、摺動ケース1内の係止凹部7に係止状態のスライダー4の横ブレを防止するものとなっている。つまり、その係止状態にあるスライダー4の解除時に、他のスライダー4の接触による横ブレを極力防止することによって、解除不良を極力防止しているのである。また、前記摺動ケース1の先端部に形成されている突起3cは、スライダー4の軸心方向への落ち込みを防止し、適切な係止位置を維持する役割も兼ねている。
さらに、前記後軸2の内面には、一対の位置決めリブによって挿着溝12が形成されている。その挿着溝12には、前記摺動ケース1の梁状の区画壁3が摺動自在に嵌まり込んでおり、径方向、即ち、相対的な回転が防止されている。具体的には、1つの区画壁3に対し、後軸2の内周面に前記区画壁3の幅と略同じ間隔をあけて位置決めリブ13が2つ設けてあり、その隣り合う位置決めリブ13間(挿着溝12)を区画壁3が前後に摺動するのである。つまり、後軸2内の位置決めリブ13の数は区画壁3の数の2倍となり、区画壁3の数はリフィール11の数に起因するため、リフィール11の数により位置決めリブ13の数も決まる。つまり、リフィール11が2本であれば位置決めリブ13の数は4つ、3本であれば6つになるのである。
そのボールペンリフィール15に変え、少なくとも1つ以上のシャープユニット9を組み込む際は、前記摺動ケース1のストッパー段部14を短い位置決めリブ13aに合うように組み立てる。この状態で組むことで、ストッパー段部14と短い位置決めリブ13aとの間にクリアランスが生じ、摺動ケース1が後軸2に対し前後へ摺動が可能となる。また、前記クリアランスは、ストッパー段部14が短い位置決めリブ13aの後端部に当接するまで形成されており、その移動範囲が摺動ケース1のスライド距離となる。尚、このスライド距離は、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出されるのに必要な距離以上の距離になっている。さらに、短い位置決めリブ13aと、長い位置決めリブ13bとの差は、ストッパー段部14の長さとほぼ等しくなっているが、長い位置決めリブ13bと短い位置決めリブ13aとの差をストッパー段部14の長さより多少長くしても良い。要は、位置決めリブ13の後端とストッパー段部14が当接する前に、シャープ芯10の繰り出しに必要な摺動距離を摺動できれば良いのである。
さらに、前記前軸8は不透明な材質から構成されているが、後軸2は、着色半透明な材質から構成されている。ボールペンリフィール15をスライダー4に対して着脱する際、即ち、ボールペンを交換する際、その着脱部の視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸2は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記の着脱部が拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。前記前軸8にはゴム状弾性体からなるグリップ部17が挿着されているが、二色成形、或いは、多色成形と言った手段などで前軸8に一体的にゴム状弾性体からなるグリップ部17を被覆しても良い。
このスライダー4の背面には、1つの係止突起4bと、間隔をおいて2つの解除突起4d、4eが形成されている。前記係止突起4bは摺動ケース1を区画している梁状の区画壁3の中央部に設けた係止凹部7に係止され、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態を維持する。前記ボールペンリフィールのペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態において後部に位置している他のスライダー4を前進させると、前進したスライダー4の前方解除突起4dが、係止しているスライダー4の後方解除突起4eに接触し、係止していたスライダー4が径方向外向きに移動することで係止が解除され、その瞬間に弾撥部材6の弾撥力によりスライダー4が後方へ移動し、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aが没状態になるのである。
そして、スライダー4の突部4f(膨出部4g)には、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aの後方部が接続されている。ここで、前記スライダー4は、前記ボールペンリフィール15に使用されるインキ色と同じ色に着色された不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。スライダー4の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。また、シャープユニット9の後方にも同様にスライダー4が挿着されており、ボールペンスライダーの色と異なる色に着色し、判別がつくように構成しているが、ボールペンスライダーと同様の色で構成してもかまわない。
本例において、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aは、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されているが、インキ収容筒15aの少なくとも前記スライダー4との接続部が、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されていれば良い。リフィール11を交換した際、リフィール11とスライダー4(膨出部4g)との接続状態を容易に確認することができる。
参照符号6は、リフィール11並びにリフィール11に接続するスライダー4を後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材6である。尚、本例におけるリフィール11は、3本が前述のようにボールペンリフィール15となっており、もう1本がシャープユニット9となっている。そのボールペンリフィール15のインキ収容筒15a及び、シャープユニット9の芯タンク9cがスライダー4の膨出部4gに接続されている。具体的には、黒、赤、青のインキが収納されたボールペンリフィール15とシャープユニット9が接続されている。
また、本発明の効果を発する軸本体16の構成としては、前記規制部19を別部材にて構成し、組立て時に嵌め込む構成も挙げられる。前記規制部を別部材の中子22として構成し、嵌め込むことによって、外観に出ない部品であるため、摺動性を重視した材料、例えばPOM(ポリアセタール樹脂)等で構成することが出来、リフィール11との抵抗が少なくなると言う効果が奏せられる。
さらに、この構成を使用する際は、梁状の区画壁3による区画18を後軸2内に構成すると共に、摺動ケース1にはスライダー4の係止凹部7のみを設けても良い(図20参照)。これにより、後端部の細身化が可能になり、美観の優れた多芯筆記具を提供することができるようになる。尚、本例においては、梁状の区画壁3と中央の係止凹部7が一体部品でないため、前記第一実施例に比べ、各々の部品自身では剛性が弱いものとなってしまっているが、組立て後には十分な剛性となる。
1a 係合突起
1b 前半部
1c ノック部
1d 筒部
1e 切り欠き部
1f スライダー当接部
2 後軸
2a 窓孔
2b 後端開口部
3 区画壁
3a 縦リブ
3b 傾斜面
3c 突起
4 スライダー
4a スライダー押圧部
4b 係止突起
4c 抜け防止突起
4d 前方解除突起
4e 後方解除突起
4f 突部
4g 膨出部
4h 鍔部
5 ペン先
6 弾撥部材
7 係止凹部
8 前軸
8a 突出孔
8b 内面部
8c 円錐部
9 シャープユニット
9a 先金部
9b チャック
9c 芯タンク
10 シャープ芯
11 リフィール
12 挿着溝
13 位置決めリブ
13a 短い位置決めリブ
13b 長い位置決めリブ
14 ストッパー段部
15 ボールペンリフィール
15a インキ収容筒
16 軸本体
17 グリップ部
18 区画
19 規制部
20 貫通孔
21 中軸
22 中子
23 尾栓
Claims (3)
- 軸筒の内部に複数のリフィールが出没可能に配置されると共に、軸筒の後端部に尾栓が挿着された多芯筆記具であって、前記尾栓の内部に複数の梁状の区隔壁を長手方向に設けると共に、それら隣り合う区隔壁の間に前記リフィールの後端部に取り付けられたスライダーを摺動自在に配置した多芯筆記具。
- 前記梁状の区画壁の軸心方向中央部に、前記スライダーが係止する凹部を形成した請求項1記載の多芯筆記具。
- 前記リフィールの少なくとも1本をシャープペンシルユニットにする共に、前記尾栓を軸筒に対して摺動可能に配置した請求項1、或いは、請求項2に記載の多芯筆記具。
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2012
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