JP6400991B2 - ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、メタリック発色性、輝度が優れ、さらに耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上したポリアミド樹脂組成物に関する。
自動車のエンジンカバーや家電製品などの内外装カバーには、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂にて成形された成形体が、一般的に使用されている。
このような樹脂成形体の外観には、鋼やアルミニウム合金のようなメタリックな色調が要求される場合がある。特に近年では、樹脂成形体の美観に対する要求が高まり、樹脂成形体の外観には、単にメタリックな色調を有するだけでなく、光沢感を有したうえで高輝感を抑えたものが要求されている。また、メタリックな色調も、銀灰色のものから、やや白みがかった灰白色のものまで、様々な種類が要求されている。
このような要求を満たすために、従来、樹脂成形体の表面に、アルミニウムなどの金属粉を含有する塗料を塗装する方法、いわゆるメタリック塗装が行なわれている。しかし、このメタリック塗装は、有機溶剤を使用するために、作業環境面で問題があり、また、生産性に劣りコストが高くなるという問題もある。
上記問題を解消する方法として、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂に、アルミニウムなどの金属粉や、マイカ、ワラストナイト、ガラスなどの表面を金属で被覆した光沢性粒子を充填して得られる樹脂組成物を使用して、成形することが提案されている。
例えば、特許文献1には、層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド樹脂に対し、メタリック色を発現する粒子を配合してなるポリアミド樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、ポリアミド樹脂、金属フレークを含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている。
一方、ポリアミド樹脂に対し、層状珪酸塩、ヒンダードアミン系化合物を含有させ、成形体の黄化を抑制したポリアミド樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献3)。
国際公開第99/13006号パンフレット 特表2001−509524号公報 特開2004−250562号公報
しかしながら、ポリアミド樹脂に対して、層状珪酸塩や金属フレーク等を含有させた特許文献1、2に記載されたポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、メタリックな色調を有するが、成形体として必要な耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性は必ずしも十分と言えなかった。
一方、特許文献3のようなヒンダードアミン化合物を含有させたポリアミド樹脂組成物は、確かに黄化等の光劣化に対し抑制効果があったが、湿熱条件下においては、ヒンダードアミン化合物がブリードアウトしやすい等、耐湿熱性は劣った。
本発明は、メタリック発色性、輝度が優れ、さらに耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上したポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)100質量部、膨潤性層状珪酸塩(B)1〜10質量部、メタリック顔料(C)0.5〜5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.1〜0.4質量部およびホスファイト系酸化防止剤(E)0.2〜0.6質量部を含み、ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物であり、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜90質量%であって、膨潤性層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、およびそれらの酸化物、ならびにチタンコーティングされたマイカから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)(2)記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に行なう重合体の重合反応工程を少なくとも1つ含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
(4)(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、メタリック発色性、輝度が優れ、さらに耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上したポリアミド樹脂組成物が得られる。
このようなポリアミド樹脂組成物は、自動車内装部品等の用途で、長期にわたって意匠性を高めることができ好適に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、膨潤性層状珪酸塩(B)と、メタリック顔料(C)、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.1〜0.4質量部およびホスファイト系酸化防止剤(E)0.2〜0.6質量部を含むものである。
本発明で用いるポリアミド樹脂(A)は、特に限定はされず、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリウンデカアミド(ポリアミド11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ポリアミド6/11)、ポリデカミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ポリアミド6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)およびこれらの混合物、あるいはこれらの重合体等が挙げられる。上記の中でも、メタリック発色性、輝度が優れる点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12が好ましく、加えて耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上する点で、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物が特に好ましい。
ポリアミド樹脂(A)として、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物を用いる場合、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、70〜85質量%であることがさらに好ましい。上記ポリアミド混合物を用いることで、湿熱条件下における、主にポリアミド6に起因するオリゴマ等の析出を抑制できる。ポリアミド6の含有量が50質量%未満では、耐熱性が不足することがあり、95質量%を超えると耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が不十分でないことがある。
ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物は、ポリアミド6の単独重合体と、ポリアミド11および/またはポリアミド12の単独重合体を溶融混合したものであっても、共重合体としたものであってもよい。
ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12からなる共重合体である場合、6−アミノカプロン酸単位と、11−アミノウンデカン酸単位および/または12−アミノドデカン酸単位とから構成される共重合体であることが好ましい。すなわち、ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6/ポリアミド11コポリマー(ナイロン6/11)、またはポリアミド6/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/12)、またはポリアミド6/ポリアミド11/ポリアミド12コポリマー(ナイロン6/11/12)であることが好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の分子量の指標である相対粘度は、特に制限されないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度は、1.5〜3.5であることが好ましく、1.7〜3.2であることがより好ましく、1.9〜3.0であることがさらに好ましい。相対粘度が1.5未満であると、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体は、耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が劣ることがある。一方、相対粘度が、3.5を超えると、流動性が劣り、混練が困難となったり、成形性が低下するため、輝度が劣ったりすることがある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、得られる成形体の輝度を向上させるために、メタリック顔料(C)を含有するものであるが、メタリック顔料(C)とともに、特定量の膨潤性層状珪酸塩(B)を同時に含有することが必要である。膨潤性層状珪酸塩(B)を含有することにより、メタリック顔料(C)の分散性を向上させることができ、メタリック顔料(C)の分散性が向上することによって、クリア感が向上し、メタリック顔料(C)の含有量が少なくても、効率良く成形体のクリア感を高めることができる。
本発明で用いる膨潤性層状珪酸塩(B)は、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられる。本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトやヘクトライトが特に好適に用いられ、2種以上を併用してもよい。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
(MgLi)Si
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
また、タルク〔MgSi10(OH)〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタル
クと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
Si(Al−aMg)O10(OH)・nH
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnHOで表した。)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
本発明に用いるヘクトライトは次式で表されるもので、天然に得られるものであってもよいし、合成により得られるものであってもよい。
Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si20(OH)・nH
ヘクトライトは珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、水酸基を多く含むため層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすい。加えて、その他の膨潤性層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さい。
本発明のポリアミド樹脂組成物における膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、1〜10質量部であることが必要であり、2〜9質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量が1質量部未満では、得られる成形体のクリア感が不足したり、曲げ弾性率が低下する。一方、含有量が10質量部を超えると、得られる成形体の平滑性、クリア感が低下したり、耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が不足する。
本発明のポリアミド樹脂組成物を構成するメタリック顔料(C)は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。メタリック顔料(C)としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、および銅よりなる一群の金属の何れか、もしくは複数、もしくはこれらの一群の金属を用いた合金、もしくはこれらの一群の金属またはその合金の酸化物、窒化物、硫化物、または炭化物の何れかからなる金属粉顔料が挙げられる。その他、チタンコーティングされたマイカも用いることができる。中でも、ポリアミド樹脂組成物の光沢度向上の効果が優れる点で、メタリック顔料(C)として、アルミニウム、鉄、それらの酸化物、チタンコーティングされたマイカが好ましく用いられ、2種以上を併用してもよい。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、2〜80μmであることがより好ましく、3〜60μmであることがさらに好ましく、4〜40μmであることが特に好ましい。平均粒子径が1μm未満のメタリック顔料(C)は、光沢度を向上する効果が低く、また得ることが難しい。一方、メタリック顔料(C)の平均粒子径が60μmを超えると、ポリアミド樹脂組成物を得る際のハンドリングが難しくなり、原料メタリック顔料(C)が有していた平均粒子径を維持しながら溶融混合をすることが困難となる。また、溶融混合ができたとしても、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体は、光沢度が高いものの、意匠性に劣る傾向が高い。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定が可能である。
メタリック顔料(C)の平均厚みは1〜30μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均厚みが1μm未満のメタリック顔料(C)は、剛性に劣り、溶融混合した際に、形状を保つことが難しくなり、したがって、十分な光沢度を有する成形体を得ることが難しくなる。一方、平均厚みが30μmを超えるメタリック顔料(C)は、その配向が低下し、得られる成形体は、輝度に劣ったものとなる。
メタリック顔料(C)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
メタリック顔料(C)のアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、2〜60であることが好ましく、2〜50であることがより好ましく、2〜30であることがさらに好ましい。アスペクト比が2未満であると、得られる成形体の輝度は劣ったものとなる。アスペクト比が60を超えるものは工業的に得ることは難しく、また得られたとしても分散安定性が劣り、得られる成形体の表面平滑性が損なわれたものとなる。
メタリック顔料(C)のアスペクト比は、前記平均粒径の値を前記平均厚み値で除することにより求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるメタリック顔料(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜5質量部であることが必要であり、0.7〜4質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましい。メタリック顔料(C)の含有量が0.5質量部未満では、得られる成形体は、輝度が不足する。また、耐光性が劣ることがある。一方、5質量部を超えると、成形体は、輝度が過剰となり意匠性が損なわれる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)を0.1〜0.4質量部およびホスファイト系酸化防止剤(E)を0.2〜0.6質量部混合して用いる必要がある。これらを混合して用いることにより、得られる成形体の耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性をバランスよく向上させることができる。
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)、ホスファイト系酸化防止剤(E)は通常、ポリアミド樹脂等の耐熱安定性を向上させ、例えば、耐熱変色性、熱による分子量低下等の劣化を抑制するための用いるものであるが、本発明においては、ポリアミド樹脂組成物の耐光性を向上し、用いるポリアミド樹脂の光劣化を顕著に抑制するものである。特に得られる成形体表面が光劣化し、クレージングが生じたり、モノマー、オリゴマー等の低分子量体が生成することを顕著に抑制する。特に、ホスファイト系酸化防止剤(E)を併用することで、ポリアミド樹脂組成物の耐光性向上のみならず、同時に色調変化も抑制する。
なお、クレージングとは、成形体表面に発生するヒビ割れ状の欠陥である。軽度のクレージングは、意匠性を損ねるだけであるが、重度のクレージングは成形体の機械特性を大きく低下させる。特に、メタリック顔料を含有する成形体は、メタリック顔料を起点として、クレージングが顕著に発生するという問題があった。しかしながら、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いると、成形体におけるクレージングの発生を効果的に抑制ができる。
特に本発明のポリアミド樹脂組成物は、メタリック発色性、輝度が向上したものであるから、屋内、屋外における長期使用によって、例えば、ポリアミド樹脂組成物の表面や劣化したり傷付くことは、得られる成形体の意匠性を著しく低下させるものであるから、耐光性を向上し、光劣化、色調変化を抑制することは、本発明のポリアミド樹脂組成物において特に重要である。
本発明で用いるヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)は、特に限定はされず、少なくとも1つのフェノール基を含有し、その芳香族部分が置換基としてフェノール性ヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置、好ましくは両方の位置で置換される有機化合物を意味する。ヒドロキシル基に隣接する置換基は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基から適切に選択されたアルキル遊離基であり、好ましくは、三級ブチル基である。ヒンダードフェノールの分子量は、適切なものは、260以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上である。
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]などが挙げられる。これらは単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。市販品としては、BASFジャパン社製のIrganox 1010{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}や、Irganox 1098{N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)]}を使用することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜0.4質量部であり、0.15〜0.35質量部であることが好ましく、0.2〜0.3質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)の含有量が0.1質量部未満では、耐光性が劣る。一方、0.4質量部を超えると メタリック顔料(C)の分散を阻害し外観が悪化する。
本発明で用いるホスファイト系酸化防止剤(E)は、無機化合物でも有機化合物でもよく、特に制限はない。好ましいリン系化合物としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸カリウムなどの無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどの有機リン化合物が挙げられる。これらは単独であるいはこれらの混合物で用いることができる。なかでも、旭電化社製の商品名アデカスタブPEP−24G{ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト}やPEP−36{ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト}が好適に使用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物におけるホスファイト系酸化防止剤(E)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.2〜0.6質量部であり、0.25〜0.55質量部であることが好ましく、0.3〜0.5質量部であることがより好ましい。ホスファイト系酸化防止剤(E)の含有量が0.2質量部未満では、耐光性、耐熱変色性が劣る。その結果、得られる成形体の輝度が損なわれる。一方、0.6質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の溶融粘度が上がり、表面光沢度が低下する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常光安定剤として用いられるヒンダードアミン化合物は用いてはならない。ヒンダードアミン化合物(HALS)とは、分子中に2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を有する化合物であり、例えば、「Nylostab S−EED」(クラリアント社製)、「TINUVIN 770DF」(BASFジャパン社製)、「アデカスタブ LA−57」(ADEKA社製)、「CHIMASSORB 119FL」(BASFジャパン社製)等の名称で、製造・販売されているものである。これらを用いることでポリアミド樹脂組成物の耐光性を向上させることができるが、例えば湿熱条件下にて長期保管した場合等、含有するヒンダードアミン化合物がブリードアウトし、成形体表面を汚染してしまう。すなわち、耐湿熱性が劣る。本発明のポリアミド樹脂組成物において、そのような成形体表面の汚染は、メタリック発色性、輝度を低下させるばかりでなく、ポリアミド樹脂組成物中に含有するヒンダードアミン化合物が経時的に減少するため、耐光性が損なわれる。また、得られる成形体を自動車内装部品等で用いた場合、ブリード物によって周囲を汚したり、手に付着等し好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を添加することができる。本発明のポリアミド樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。また特に難燃性を補助するために、縮合リン酸エステル、ポリリン酸、窒素化合物系難燃剤などを添加してもよい。
次に、本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法を説明する。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と、膨潤性層状珪酸塩(B)と、メタリック顔料(C)とを溶融混練することによって製造することができる。
本発明においては、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなって得られる、ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物を使用して、この混合物とメタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。
膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなうことにより、膨潤性層状珪酸塩(B)をポリアミド樹脂(A)に均一に分散することができ、得られる成形体が有する光沢度を一層高めることができる。
重合反応に使用する上記モノマーとしては、アミノカルボン酸やそのラクタムを使用することができるので、重合反応の原料のアミノカルボン酸として、そのラクタムが使用されてもよい。
ポリアミド樹脂(A)が、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体である場合は、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、2種以上のアミノカルボン酸(ラクタム)の共重合反応をおこなって得られる混合物を使用し、この混合物とメタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。
また、ポリアミド樹脂(A)が、アミノカルボン酸単位から構成される重合体の2種以上の溶融混合物である場合は、2種以上の重合体のうちの少なくとも1つの重合体の重合反応を、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下におこない、得られる重合体と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物と、他の重合体(または他の重合体と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物)と、メタリック顔料(C)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に重合反応をおこなうアミノカルボン酸としては、膨潤性層状珪酸塩(B)を均一に分散させる効果が高いことから、6−アミノカプロン酸やε−カプロラクタムであることが好ましい。
前記ポリアミド樹脂(A)として、アミノカルボン酸単位から構成される重合体の2種以上の溶融混合物を用いる場合、それらは十分に溶融混練されている必要がある。溶融混練が不十分であると、例えば溶融混合する2種のポリアミド樹脂の溶融粘度差が大きい場合、あるいは融点差が大きい場合、相互のポリアミド樹脂に均一に混合することなく、海島構造を呈することがある。そのような場合、特に本発明においては、成形体を得る際、含有するメタリック顔料(C)が均一に配向させることが難しくなるため、部分的に輝度が損なわれたり、輝度に斑が生じる等の不都合が生じることがある。ポリアミド樹脂(A)として、2種以上のアミノカルボン酸単位から構成される共重合体を用いる場合、このような懸念は低減する。
膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、アミノカルボン酸(ラクタム)を重合する方法としては、膨潤性層状珪酸塩(B)とアミノカルボン酸(ラクタム)とをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度240〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合法する方法が挙げられる。ε−カプロラクタムを用いる場合は、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂に残留しているアミノカルボン酸(ラクタム)を除去するために、ポリアミド樹脂のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましく、その条件としては、90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理をすることが挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)との混合物と、メタリック顔料(C)とを溶融混合を行う場合、公知の溶融混練押出機を用いることができる。
メタリック顔料(C)の混練による破砕あるいは折損を極力抑制するためには、スクリューは二軸で用いるよりも単軸で用いることが好ましい。
溶融混練押出機へのメタリック顔料(C)の供給方法としては、前記混合物にメタリック顔料(C)を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、メタリック顔料(C)の破砕あるいは折損を極力抑制するため、メタリック顔料(C)を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、なるべく押出機下流にて供給することがより好ましい。
前記混合物とメタリック顔料(C)とは、十分に溶融混練されていなくてもよく、その後の射出成形加工において、作業に支障がでない範囲で混合できていればよい。必要に応じて、前記混合物とメタリック顔料(C)をドライブレンドしたものを直接射出成形機に供給してもよく、射出成形機において溶融混練して、射出成形を行うこともできる。
メタリック顔料(C)は外部応力に対し脆いものであるため、このように、樹脂組成物の製造や成形体の成形において、溶融混練時のスクリュー剪断応力をメタリック顔料(C)に極力与えないことが、得られる成形体の光沢度を向上させる上で好ましい。
本発明の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。成形方法としては、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の方法が挙げられ、中でも、射出成形法を用いることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に適した射出成形条件として、例えば、シリンダ温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは190〜270℃とし、また、金型温度を樹脂組成物の(融点−20℃)以下とする条件が挙げられる。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生するなど成形性が不安定になったり、得られる成形体表面の光沢度が失われることがある。逆に、成形温度が高すぎるとポリアミド樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、光沢度を低下させる要因となる場合がある。
本発明の成形体、特に射出成形法により得られた成形体は、輝度が高いものであるが、射出成形時の各種条件、たとえば、樹脂温度、射出速度、射出圧、金型温度をバランス良く設定することで、さらに、輝度を向上することが可能である。なお、これらの条件は、溶融したポリアミド樹脂組成物の金型内での流動性、さらには、ポリアミド樹脂組成物中での膨潤性層状珪酸塩(B)、メタリック顔料(C)の分散性に影響を与えるため、慎重に設定する必要がある。たとえば、射出速度を高速とした場合には、メタリック顔料(C)の配向が乱れてしまい、輝度が低下する傾向があるため、射出速度は低速から中速とした方がよい。
本発明の成形体の具体例としては、各種自動車部品、電気、電子部品が挙げられる。本発明の成形体は、特に樹脂部品として、金属光沢等、輝度に優れるため、自動車部品としては、インストルメントパネルでのスピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、カーステレオ、ナビゲーションシステム、エアコン周りの各種スイッチ、ボタン、センターコンソールでのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバー等、特に自動車内装部品で、意匠性を高めるための金属または従来の樹脂製部品の置換え材としての使用が可能である。電気、電子部品としては、パソコン周辺の各種部品および筐体、携帯電話部品および筐体、その他OA機器部品等の電化製品用樹脂部品で使用が可能である。また、耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性に優れるため、自動車部品等、長期の使用に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.評価方法
(1)平滑性
得られた板状成形体の平滑性を、目視で評価した。
○:金型転写が十分なされており、平滑性を有する。
△:含有する顔料の浮きまたはヒケを生じていないが、平滑性がやや劣る。
×:含有する顔料の浮きまたはヒケを生じており、平滑性を有さない。
(2)色調の斑
板状成形体を肉眼観察し、含有する顔料の分散状態を評価した。
○:均一に分散している。
△:やや分散に斑があり、濃淡がみられる。
×:濃淡がみられ、局所的に顔料が凝集している。
(3)表面光沢度
JIS Z8741に基づき、光沢度計(日本電色社製グロスメーターVG7000型)を用い、板状成形体の表面光沢度の測定を行った。光沢度は、実用的には、90%以上であることが好ましい。
(4)輝度
照度1000Lxである蛍光灯下で板状成形体の法線とのなす角度45°の方向から観察し、肉眼にて輝度を官能評価した。
5:ギラギラ感を有するが、過剰である。
4:ギラギラ感を有するが、やや過剰である。
3:適度なギラギラ感を有する。
2:金属特有の輝きが不足する。
1:金属特有の輝きを有さない。
(5)耐光性
板状成形体を、キセノンウェザーメーター(アトラス社製C400i型)を用いて、ブラックパネル温度89℃、湿度50%RH、降雨なしの条件で放射露光量150MJ/mの試験を行なった。試験前後で色差を測定して耐候性を評価した。
色差は、JIS Z8722に基づき、板状成形体の色差を測定した。耐性試験後の色差は、実用的には、ΔEが2以下であることが好ましい。
(6)耐熱変色性
板状成形体を、熱風乾燥機(ESPEC社製PHH−101型)を用いて、温度105℃の条件にて、500時間の熱処理を行なった。試験前後で色差を測定して耐熱変色性を評価した。色差は、JIS Z8722に基づき、板状成形体の色差を測定した。耐熱変色性試験後の色差は、実用的には、ΔEが2以下であることが好ましい。
(7)耐湿熱性
板状成形体を、恒温恒湿槽(ETAC社製FH14C型)を用いて、温度50℃、湿度95%RHの条件にて、240時間の熱処理を行なった。試験後のプレートを観察してブリードアウトの発生の有無を下記基準により評価した。耐湿熱性試験後にブリードアウトが発生しないことが好ましい。
◎:ブリードアウトが全くない。
○:主にポリアミド6に起因するオリゴマ等の析出あり。実用上大きな問題なし。
×:耐候剤およびポリアミドオリゴマ等の析出あり。
2.原料
(1)ポリアミド樹脂モノマー成分
・ε−カプロラクタム(宇部興産社製)
(2)ポリアミド樹脂
・ポリアミド11(アルケマ社製「BMN O」)
(3)膨潤性層状珪酸塩
・B−1:膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製「ME−100」)
(4)メタリック顔料
・C−1:アルミ粉末マスターバッチ(東洋アルミニウム社製「NME U20TZ」、ポリエチレンに対しアルミ粉末(平均粒子径20μm、平均厚み4μm)を70質量%練り込んだもの)
(5)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
・D−1:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン社製「Irganox1010」)
・D−2:N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)](BASFジャパン社製「Irganox1098」)
(6)ホスファイト系酸化防止剤
・E−1:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA社製「アデカスタブPEP−36」)
・E−2:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]4,4’−ジイルビスホスフォナイト(BASFジャパン社製「IRGAFOS P−EPQ」)
(7)その他の酸化防止剤
・チオエーテル系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO−412S」)
(8)耐候剤
・ヒンダードアミン系光安定剤(a)(クラリアント社製「Nylostab S−EED」)
・ヒンダードアミン系光安定剤(b)(BASFジャパン社製「CHIMASSORB 2020FDL」)
・シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤(クラリアント社製「SanduvorVSU」)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン社製「Tinuvin234」)
実施例1
ε−カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性層状珪酸塩(B−1)4質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行ない、膨潤性層状珪酸塩(B−1)を3.2質量%含有するポリアミド樹脂(P−1)を得た。
得られた膨潤性層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(P−1)80質量部とポリアミド11を20質量部、メタリック顔料(C−1)1質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D−1)0.2質量部およびホスファイト系酸化防止剤(E−1)0.3質量部を一括混合し、単軸押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練を行い、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/hにて行った。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて、射出成形機(東芝機械社製EC−100II型)にて、樹脂温度260℃、金型温度100℃、保圧30MPa、射出速度100mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間10秒の条件で射出成形を行い、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体を得た。なお、金型は短辺方向中央にサイドゲート1点を有するものを用いた。得られた板状成形体につき、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2〜4、8〜12、比較例1〜11、参考例1〜3
表1に記載の配合量で各成分を配合した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得て、さらに射出成形を行った。得られた板状成形体を用いて各種評価を行った。その結果を表1、2に示す。
実施例1〜4、8〜12で得られたポリアミド樹脂組成物は、メタリック発色性、輝度が優れ、さらに耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が向上した。
比較例1では、メタリック顔料を含有しなかったため、輝度を有しなかった。また耐光性も劣った。
比較例2では、ホスファイト系酸化防止剤を含有しなかったため、輝度、耐光性、耐熱変色性が劣った。
比較例3では、ホスファイト系酸化防止剤の含有量が下限値未満であったため、輝度、耐光性、耐熱変色性が劣った。
比較例4では、ホスファイト系酸化防止剤の含有量が上限値を超えたため、輝度、耐光性、耐湿熱性が劣った。また、平滑性も損なわれた。
比較例5では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を含有せず、ヒンダードアミン系光安定剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤を組合わせて用いたため、耐熱変色性、耐湿熱性が劣った。
比較例6では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を含有せず、ヒンダードアミン系光安定剤を用いたため、耐光性、耐熱変色性、耐湿熱性が劣った。
比較例7では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を含有せず、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤を用いたため、耐光性、耐湿熱性が劣った。
比較例8では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有せず、ヒンダードアミン系光安定剤を用いたため、耐熱変色性が劣った。
比較例9では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有しなかったため、耐光性が劣った。
比較例10、11では、所定の酸化防止剤を用いなかったため、耐光性、耐熱変色性が劣った。


































Claims (4)

  1. ポリアミド樹脂(A)100質量部、膨潤性層状珪酸塩(B)1〜10質量部、メタリック顔料(C)0.5〜5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.1〜0.4質量部およびホスファイト系酸化防止剤(E)0.2〜0.6質量部を含み、ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11および/またはポリアミド12との混合物であり、ポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量が50〜90質量%であって、膨潤性層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、およびそれらの酸化物、ならびにチタンコーティングされたマイカから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 請求項2記載のポリアミド樹脂組成物を製造するための方法であって、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に行なう重合体の重合反応工程を少なくとも1つ含むことを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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