JP2005350501A - 強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【達成手段】(A)ポリアミド樹脂30〜80質量%、(B)(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤5〜40質量%および(C)無機強化材0〜60質量%からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し、(D)カップリング剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
Description
一方、ポリアミド樹脂に対する非ハロゲン系難燃剤として、トリアジン系化合物、例えばメラミンやメラミンシアヌレート等が使用されたが(例えば、特許文献1、2参照)、これらのトリアジン系化合物は難燃効果が低く、ポリアミド樹脂に高度の難燃性を付与するには大量のトリアジン化合物を添加する必要があり、またガラス繊維等を配合した強化系ポリアミド樹脂では充分な難燃効果を発現することが出来ない欠点がある。さらにトリアジン系化合物を配合した難燃性ポリアミド樹脂からなる成形品は長時間経過すると、メラミン等の難燃剤が成形品の表面にブリードし、成形品表面が白くなるという問題点もある。
本発明における(A)ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的にはε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどから得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。また本発明では二種類以上の上記ポリアミド樹脂を併用することができる。本発明において上記ポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000以下ではタフネスが低下して好ましくない。また、30000以上では流動性が低下し好ましくない。
さらに、ポリアミド樹脂は、後で述べるカップリング剤との反応性を考慮し、酸価を20〜100ミリ当量/kgの範囲で適宜選定することが好ましい。
共重合ポリアミド樹脂としては、ホモポリアミド樹脂よりも結晶化速度が遅いか非晶性のポリマーであることが好ましい。この共重合ポリアミド樹脂を配合することにより、無機強化材の配合量を高くしても、コンパウンド工程でのストランド切れの発生や引き取り性が悪くなるなどの生産性の低下を防止できる。また、成形品においては、金型転写性が改善され、ガラス繊維が高充填量であっても、成形品の外観を向上させることができる。
(1)としてはホスフィン酸塩及び/またはジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーである。具体的にはメチルエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩、メチルプロピルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩等を例示することが出来る。特に、アルミニウム塩が安定性の点で好ましい。
(2)としては含窒素リン酸系化合物であり、具体的にはメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート等があり、これらの含窒素リン酸系化合物および/又はその金属塩である。ここに挙げた含窒素リン酸化合物および/又はその金属塩は例示であり、それらに限定されるものではない。
(3)としては、前記(1)、(2)の熱分解防止剤であり、さらにはポリアミド樹脂の分解をも抑制できるものであり、ホスホニット(成分イ)と長鎖脂肪酸のエステルおよび/又は塩、例えばモンタン酸カルシウム等(成分ロ)およびカルボン酸エステルおよび/又はカルボン酸アミド(成分ハ)の3種のうちの少なくとも2種を含む混合物であることが好ましい。
このように、成形品の引張破断伸度が高いことは、応力の集中を受けても、ポリアミド樹脂と複合難燃剤との界面での破壊が抑制されていることを示している。
混練装置に投入する前に、各原料を予め、タンブラーなどで混合する。
タンブラーなどによる混合方法、条件としては、水分率0.2%以下に乾燥したポリアミド樹脂とカップリング剤とを混合し、ポリアミド樹脂のペレット表面にカップリング剤を付着させる。その後、難燃剤や必要により酸化防止剤、離形剤などの粉体を順次、添着させることが好ましい。
得られた混合物を二軸押出機に投入する。(C)の無機強化材は二軸押出機のベント口から投入することが好ましい。
押出された組成物のストランドは、冷却水槽で冷却されつつ引き取られながら、ストランドカッターで切断されてペレットになる。得られた難燃性ポリアミド系樹脂組成物のペレットは、水分率0.1%以内に乾燥後、射出成形機で成形する。成形機のシリンダー温度を260〜300℃、金型温度を70℃程度で成形することにより、外観に優れた成形品を得ることができる。
また以下に実施例、比較例において示した各特性、物性値は、下記の試験方法で測定した。
(1)引張強度、引張弾性率、引張破断伸度;JIS K7161に準じて測定した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率、(曲げ)たわみ率;JIS K−7171に準じて測定した。
(3)シャルピー衝撃強度 ;JIS K−7111に準じて測定した。
(4)燃焼性 ;UL94、垂直燃焼試験に準じて測定した。
(A)ポリアミド樹脂としてNY6(東洋紡績社製、東洋紡ナイロン(R)T−840)および共重合ナイロン(EMS昭和電工社製、グリボリー(R)G21、ポリアミド6T/6I共重合物)を使用した。
(B)複合難燃剤として、(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤(クラリアントジャパン社製、エクソリット(R)OP1312MI)を使用した。
(C)無機強化材はガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、CS03MA411)を使用した。このガラス繊維は既にアミノシランカップリング剤が処理されているものである。
(D)カップリング剤はアミノシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A1100)を使用した。
また、その他の配合剤として酸化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス(R)B1171)および離型剤としてステアリン酸マグネシウム(St−Mgとも記載する、淡南化学工業社製、N.P.−1500)を使用した。
*組成の質量部は、(A)、(B)、(C)成分からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対する(A)、(B)、(C)以外の成分の含有量を質量部で示す。
また、実施例2と比較例2はガラス繊維50質量%と高充填の強化系ポリアミド樹脂組成物であるが、このような高充填の強化系ポリアミド樹脂組成物では、本発明の効果が更に明確である。すなわち、表1から明らかなように、引張強度や曲げ強度は極めて高い値を示し、シャルピー衝撃強度も高い値を示している。さらに実施例2と比較例1を比較すると、引張破断伸度が、非強化の比較例1よりも強化材を高充填した実施例2の方が大きいという結果は、極めて異例である。
一般に強化材を高充填すると、強度は高くなるが、伸度は1%程度に低下して硬くて脆い材料になってしまうことが知られている。しかしながら、本発明による成形品は、強化材を高充填しても、破断伸度は2%近く、さらには2%以上にもなり、非常に粘りがあり、強靭であることが理解できる。
僅かな量のカップリング剤を配合することにより、このような強靭性を持つ成形品が得られることは、成形品中で複合難燃剤が極めて均一にポリアミド樹脂中に混和分散し、応力の集中を受けても、ポリアミド樹脂と複合難燃剤との界面で破壊しにくくなっていることを示している。
一方、カップリング剤を配合することによる難燃性への影響については、実施例1と比較例1および実施例2と比較例2から明らかなように、全く無く良好な優れた難燃性を示すことが認められる。
Claims (3)
- (A)ポリアミド樹脂30〜80質量%、(B)(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤5〜40質量%および(C)無機強化材0〜60質量%からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し、(D)カップリング剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂がホモポリアミド樹脂99〜50質量%と共重合ポリアミド樹脂1〜50質量%からなり、かつ難燃性ポリアミド系樹脂組成物中に(C)無機強化材を5〜60質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
- 引張破断伸度(JIS K7161に準拠)が1.8%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
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