JP2005350581A - 強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はポリアミド樹脂が本来有する強靭性、即ち強度、破断伸度および耐衝撃性等を保持しつつ、高度な難燃性を付与した強靭性に優れた非ハロゲン系の難燃性ポリアミド系樹脂組成物を得ることを課題とするものである。
【達成手段】(A)ポリアミド樹脂30〜80質量%、(B)(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤5〜40質量%、(C)無機強化材0〜60質量%および(D)ノボラック型の多価ヒドロキシ化合物3〜10重量%からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し、(E)カップリング剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は非ハロゲン系の難燃性ポリアミド系樹脂組成物に関する。詳しくはポリアミド樹脂の優れた強靭性を保持しつつ、かつ高い難燃性と良好な外観特性を持つ非ハロゲン系の難燃性ポリアミド系樹脂組成物に関するものである。
従来からポリアミド樹脂の難燃化は塩素や臭素系のハロゲン系難燃剤を使用しているが、燃焼時に有毒ガスであるハロゲン系ガスを発生したり、また樹脂加工時に混練機や成形機等の加工機械を腐食するという問題を有している。
一方、ポリアミド樹脂に対する非ハロゲン系難燃剤として、トリアジン系化合物、例えばメラミンやメラミンシアヌレート等が使用されたが(例えば、特許文献1、2参照)、これらのトリアジン系化合物は難燃効果が低く、ポリアミド樹脂に高度の難燃性を付与するには大量のトリアジン化合物を添加する必要があり、またガラス繊維等を配合した強化系ポリアミド樹脂では充分な難燃効果を発現することが出来ない欠点がある。さらにトリアジン系化合物を配合した難燃性ポリアミド樹脂からなる成形品は長時間経過すると、メラミン等の難燃剤が成形品の表面にブリードし、成形品表面が白くなるという問題点もある。
特公昭54−2666号公報 特公昭58−35541号公報
非ハロゲン系難燃剤として赤リンはポリアミド樹脂の難燃剤として有効であり、トリアジン系化合物等の非ハロゲン系難燃剤より少量の配合でポリアミド樹脂を難燃化できる(特許文献3参照)。しかしながら赤リンは、ポリアミド樹脂組成物との混練加工時に摩擦による発火事故を起こすことがある。また、赤リンはその特性から微粒子に粉砕することが困難であり、比較的大きな粒径分布があり、そのため物性が大きく低下し、ポリアミド樹脂が本来有する強靭性を損なってしまうという欠点がある。
特開昭63−243158号公報
近年、燐と窒素を含む混合物がポリアミド樹脂等の難燃化に検討され、ホスフィン酸塩と窒素系の塩基等を組み合わせた複合系難燃剤がある(特許文献4、5参照)。しかしながら、これらの複合系難燃剤による難燃性ポリアミド樹脂組成物は非難燃のポリアミド樹脂組成物と比較した場合、強度や破断伸度および衝撃強度等の強靭性が低下し、ポリアミド樹脂が本来有する強靭性が損なわれ、成形品の脆さが問題になることが多い。
特表2000−508365号公報 特開2004−18857号公報
本発明は、ポリアミド樹脂が本来有する強靭性、即ち強度、破断伸度および耐衝撃強度等を保持しつつ、高度な難燃性をも併せ持つ、非ハロゲン系の難燃性ポリアミド系樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
すなわち、本発明における第1の発明は、(A)ポリアミド樹脂30〜80質量%、(B)(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤5〜40質量%、(C)無機強化材0〜60質量%および(D)ノボラック型の多価ヒドロキシ化合物3〜10重量%からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し、(E)カップリング剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物であり、第2の発明は、前記(A)ポリアミド樹脂がホモポリアミド樹脂99〜50質量%と共重合ポリアミド樹脂1〜50質量%からなり、かつ難燃性ポリアミド系樹脂組成物中に(C)無機強化材を5〜60質量%含有することを特徴とする第1の発明に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物であり、さらに第3の発明は、引張破断伸度(JIS K7161に準拠)が1.8%以上であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物である。
本発明によれば、ポリアミド樹脂に特定の複合難燃剤とカップリング剤及びノボラック型のフェノール樹脂を配合することにより、従来の難燃性ポリアミド系樹脂組成物では得られなかった強靭性と難燃性とを併せ持ち、かつ非ハロゲン系で高度な難燃特性を有するポリアミド系樹脂組成物を安定して提供することが可能となった。かかる難燃性ポリアミド系樹脂組成物は、難燃剤や無機強化材などの充填剤の含有量が多くても溶融流動性に優れ、肉薄の電子部品から肉厚の電気部品まで難燃性が必要なあらゆる分野の製品に適用可能であり、幅広い分野で使用することが出来る。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明における(A)ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、具体的にはε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどから得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタール酸、イソフタール酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体もしくはブレンド物等を例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。また本発明では二種類以上の上記ポリアミド樹脂を併用することができる。本発明において上記ポリアミド樹脂の数平均分子量は7000〜30000のものが好ましく用いられる。数平均分子量が7000以下ではタフネスが低下して好ましくない。また、30000以上では流動性が低下し好ましくない。
さらに、ポリアミド樹脂は、後で述べるカップリング剤との反応性を考慮し、酸価を20〜100ミリ当量/kgの範囲で適宜選定することが好ましい。
無機強化材を配合する場合、前記のポリアミド樹脂は、ホモポリアミド樹脂と共重合ポリアミド樹脂からなることが好ましい。
共重合ポリアミド樹脂としては、ホモポリアミド樹脂よりも結晶化速度が遅いか非晶性のポリマーであることが好ましい。この共重合ポリアミド樹脂を配合することにより、無機強化材の配合量を高くしても、コンパウンド工程でのストランド切れの発生や引き取り性が悪くなるなどの生産性の低下を防止できる。また、成形品においては、金型転写性が改善され、ガラス繊維が高充填量であっても、成形品の外観を向上させることができる。
(A)ポリアミド樹脂におけるホモポリアミド樹脂と共重合ポリアミド樹脂との配合割合は、無機強化材の充填量にもよるが、ホモポリアミド樹脂99〜50質量%と共重合ポリアミド樹脂1〜50質量%からなることが好ましい。共重合ポリアミド樹脂の配合割合が少ないと前記の効果が十分得られない。一方、共重合ポリアミド樹脂の配合割合が多すぎると機械的特性や耐熱性が低下したり、成形時の離型性が悪くなったり、離型時に変形が起こる場合がある。
本発明における(B)複合難燃剤は、(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを必須成分として含有する複合難燃剤であるが、以下のような(1)と(2)および(3)の混合物として使用することが好ましい。
(1)としてはホスフィン酸塩及び/またはジホスフィン酸塩及び/またはこれらのポリマーである。具体的にはメチルエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩、メチルプロピルホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩など金属塩等を例示することが出来る。特に、アルミニウム塩が安定性の点で好ましい。
(2)としては含窒素リン酸系化合物であり、具体的にはメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート等があり、これらの含窒素リン酸系化合物および/又はその金属塩である。ここに挙げた含窒素リン酸化合物および/又はその金属塩は例示であり、それらに限定されるものではない。
(3)としては、前記(1)、(2)の熱分解防止剤であり、さらにはポリアミド樹脂の分解をも抑制できるものであり、ホスホニット(成分イ)と長鎖脂肪酸のエステルおよび/又は塩、例えばモンタン酸カルシウム等(成分ロ)およびカルボン酸エステルおよび/又はカルボン酸アミド(成分ハ)の3種のうちの少なくとも2種を含む混合物であることが好ましい。
複合難燃剤に混合する各成分の配合割合は、熱安定性、耐変色性などの点で、複合難燃剤全体に対して、上記(1)成分の配合割合は、好ましくは80〜50質量%、より好ましくは60〜66質量%であり、上記(2)成分の配合割合は、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは29〜34質量%および上記(3)成分である熱分解防止剤の配合割合は、好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは5〜8質量%である。
本発明における(B)複合難燃剤の配合量は、難燃性ポリアミド系樹脂組成物の組成や目標とする難燃特性によって大幅に異なるが、一般的に(A)、(B)、(C)からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物の5〜40質量%である。5質量%未満では目標とする高度な難燃性が得られない。また40質量%を超えると物性の低下が大きくなり、また経済的にも好ましくない。
本発明における(C)無機強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維、各種ウイスカー等の繊維状無機強化材や、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、ワラストナイト、石英、粉状ガラス、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム等の粉末状の無機強化材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。一方、これらの無機強化材は表面処理剤としてカップリング剤等で予め表面処理したものを使用しても良い。また、表面処理していない無機強化材を使っても構わない。無機強化材の配合量は用途によって異なるが、(A)、(B)、(C)からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物の0〜60質量%である。無機強化材の配合量が60質量%を超えると、成形加工時の流動性が著しく悪くなり好ましくない。
本発明における(D)ノボラック型の多価ヒドロキシ化合物とは、ビスフェノール類または多価フェノール類を主原料とし、多数のフェノール性水酸基を有するものである。好ましくはフェノールまたはクレゾールとホルムアルデヒドを原料とし、酸性触媒で縮合重合を行って製造されるノボラック型のフェノール樹脂である。このノボラック型のフェノール樹脂は本発明の難燃性ポリアミド系樹脂組成物においては難燃助剤として作用するものである。
本発明の組成物においては、(B)複合難燃剤との相乗効果によって、それ自身燃焼時に炭化することによって燃焼を停止させ、また、ポリアミドの炭化をも促進し、高度な難燃性を付与することが可能となると考えられる。また、このノボラック型のフェノール樹脂を配合しても難燃性ポリアミド系樹脂組成物の優れた強度、破断伸度および衝撃強度の物性は変わらない。ノボラック型の多価ヒドロキシ化合物の配合量は3〜10質量%である。配合量が3質量%未満では難燃助剤として効果が少なく、また10質量%を超えると、難燃性ポリアミド系樹脂組成物の物性を低下させ、好ましくない。
本発明における(E)カップリング剤は特に重要である。前記(A)と(B)と(C)、さらには(D)とからなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物に(E)カップリング剤を配合することにより強靭性に優れた難燃性ポリアミド系組成物が得られる。(E)カップリング剤は、特に(B)の複合難燃剤とポリアミド樹脂との濡れ性を改良し、複合難燃剤がポリアミド樹脂中に細かい粒径で均一に、かつ安定して分散させる作用をすることにより、強度や破断伸度および衝撃強度等が著しく向上し、強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物が得られるものと推定される。
本発明においては、予めカップリング剤を処理した無機強化材を使用しても良いが、既に強化材に表面処理されたカップリング剤は複合難燃剤をポリアミド樹脂中に均一分散させる作用が失われており、強靭性を付与できない。本発明においては、難燃性ポリアミド系樹脂組成物を製造する時点で活性を持ち、複合難燃剤とポリアミド樹脂との両方に作用するカップリング剤が有効である。
(E)カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等いずれを使用してもよいが、ポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基やアミノ基と化学的に反応することが出来るカップリング剤が好ましく、例えばアミノシランカップリング剤およびエポキシシランカップリング剤が挙げられる。これらのカップリング剤はポリアミド樹脂の末端基であるカルボキシル基やアミノ基と化学的に反応することが出来るため、複合難燃剤のポリアミド樹脂中での均一分散性に優れ、特に好ましい。(E)カップリング剤の配合量は前記(A)と(B)と(C)、さらには(D)とからなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対して0.05〜2.0質量部である。配合量が0.05質量部未満では、複合難燃剤とポリアミド樹脂との濡れ性、混和性が充分でないため物性の向上がほとんどなく、また2.0質量部を超えると、物性改良効果が限界に近くなり経済的でない。
本発明の強靭性の優れた難燃性ポリアミド系組成物には、上述した(A)、(B)、(C)、(D)および(E)の他に、通常のポリアミド系樹脂組成物に用いられる耐候性改良剤であるカーボンブラックや銅酸化物および/又はハロゲン化アルカリ金属、光または熱安定剤としてフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、離型剤、結晶核剤、滑材、帯電防止剤、顔料、染料等を配合しても良い。
本発明の難燃性ポリアミド系組成物で成形された成形品は、難燃性のレベルがUL94のV0を達成できる高度の難燃性でありながら、成形品の引張破断伸度(JIS K7161に準拠)は1.8%以上、さらには2.0%以上を達成することができる。2.0%近くになると、実用上、成形品の脆さの欠点が現れにくくなるため好ましい。無機強化材を配合しない場合には、引張破断伸度(JIS K7161に準拠)は2.5%以上をも達成することができる。
このように、成形品の引張破断伸度が高いことは、応力の集中を受けても、ポリアミド樹脂と複合難燃剤との界面での破壊が抑制されていることを示している。
本発明の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物の製造する方法としては、混練装置として一般の単軸押出機や二軸押出機、加圧ニーダー等が使用できるが、本発明においては二軸押出機が特に好ましい。
混練装置に投入する前に、各原料を予め、タンブラーなどで混合する。
タンブラーなどによる混合方法、条件としては、水分率0.2%以下に乾燥したポリアミド樹脂とカップリング剤とを混合し、ポリアミド樹脂のペレット表面にカップリング剤を付着させる。その後、難燃剤や必要により酸化防止剤、離形剤などの粉体を順次、添着させることが好ましい。
得られた混合物を二軸押出機に投入する。(C)の無機強化材は二軸押出機のベント口から投入することが好ましい。
二軸押出機のシリンダー温度は、配合剤の分散不良が起こらず、かつ難燃剤の分解や変色が起こらないように慎重に設定することが必要であり、ホッパー下の温度をポリアミド樹脂の融点より10〜20℃高くし、その他はポリアミド樹脂の融点より20〜50℃高くし、混練時の樹脂温度は230℃〜290℃で混練時間は2〜15分程度とすることが好ましい。
押出された組成物のストランドは、冷却水槽で冷却されつつ引き取られながら、ストランドカッターで切断されてペレットになる。得られた難燃性ポリアミド系樹脂組成物のペレットは、水分率0.1%以内に乾燥後、射出成形機で成形する。成形機のシリンダー温度を260〜300℃、金型温度を70℃程度で成形することにより、外観に優れた成形品を得ることができる。
次に実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また以下に実施例、比較例において示した各特性、物性値は、下記の試験方法で測定した。
(1)引張強度、引張弾性率、引張破断伸度;JIS K7161に準じて測定した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率、曲げたわみ率;JIS K7171に準じて測定した。
(3)シャルピー衝撃強度 ;JIS K7111に準じて測定した。
(4)燃焼性 ;UL94、垂直燃焼試験に準じて測定した。
実施例、比較例で使用した原材料は以下のようである。
・(A)ポリアミド樹脂として、NY6(東洋紡績社製、東洋紡ナイロン(R)T−840)および共重合ナイロン(EMS昭和電工社製、グリボリー(R)G21、ポリアミド6T/6I共重合物)を使用した。
・(B)複合難燃剤として、ホスフィン酸の金属塩と含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤(クラリアントジャパン社製、エクソリット(R)OP1312MI)を使用した。
・(C)無機強化材として、ガラス繊維(旭ファイバーグラス社製、CS03MA411)を使用した。このガラス繊維は既にアミノシランカップリング剤が処理されているものである。
・(D)ノボラック型のフェノール樹脂としては、荒川化学社製「タマノル(R)759」を使用した。
・(E)カップリング剤としては、アミノシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A1100)を使用した。
・その他の配合剤として酸化防止剤(チバガイギー社製、イルガノックス(R)B1171)および離型剤としてステアリン酸マグネシウム(St−Mgとも記載する、淡南化学工業社製、N.P.−1500)を使用した。
評価サンプルの製造は表1に示す割合で各原料を計量し、ポリアミド樹脂と共重合ナイロン樹脂のペレットにカップリング剤を付着させた後、ガラス繊維を除く他の原料をタンブラーで混合して粉体物を添着させた後、二軸押出機のホッパーに投入した。ガラス繊維は二軸押出機の第一ベント口から計量しながら投入した。二軸押出機の混練温度は230〜290℃である。押出された組成物のストランドを冷却水槽で冷却しつつ引き取りながら、ストランドカッターで切断して、組成物のペレットを得た。得られた難燃性ポリアミド系樹脂組成物のペレットは、水分率0.1%以内に乾燥後、射出成形機で物性評価用試料を成形した。成形機のシリンダー温度は260〜300℃、金型温度は70℃である。評価結果は表1に示す。
Figure 2005350581
なお、表1中の組成の質量%は、(A)、(B)、(C)、(D)成分からなるポリアミド樹脂組成物における各成分の質量%を示し、組成の質量部は、(A)、(B)、(C)、(D)成分からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対する(A)、(B)、(C)、(D)以外の成分の含有量を質量部で示す。
実施例1、比較例1および比較例2はいずれも複合難燃剤が10質量%の組成物であるが、燃焼性評価で試料厚みが1.6mmの場合、ノボラック型のフェノール樹脂を配合した実施例1では、V−0であるが、配合していない比較例1および比較例2ではV−1となり、難燃性が低くなる。即ち、ノボラック型のフェノール樹脂があたかも難燃助剤のような特異な作用をしている。一方、ノボラック型のフェノール樹脂を配合したことによる物性への影響は、カップリング剤が配合された場合は、実施例1と比較例1の物性値から両者はほぼ同等であるが、ノボラック型のフェノール樹脂の配合もカップリング剤の配合もない比較例2に比べて、著しく強靭性が向上することを示している。 即ち、ノボラック型のフェノール樹脂とカップリング剤を配合することにより強靭性が付与出来ることを示している。
実施例2および比較例3は複合難燃剤を12質量%に増やした組成物であるが、燃焼性評価では実施例2では試料厚み1.6mmおよび0.8mmで共にV−0であるが、ノボラック型のフェノール樹脂を配合しない比較例3では、試料厚み0.8mmではV−1となり難燃性が低いことを示している。即ち、ノボラック型のフェノール樹脂は、複合難燃剤の難燃特性を更に強化する難燃助剤のような特異な作用をすることを示している。
また、一般に、難燃剤や強化材を高充填すると、比較例2でも明らかなように、伸度は1%程度に低下して硬くて脆い材料になってしまうことが知られている。しかしながら、本発明による成形品は、難燃剤や強化材を高充填しても、破断伸度は2%近くにもなり、粘りがあり、強靭性があることが理解できる。
これは、僅かな量のカップリング剤を配合することにより、成形品中で複合難燃剤が極めて均一にポリアミド樹脂中に混和分散し、応力の集中を受けても、ポリアミド樹脂と複合難燃剤との界面で破壊しにくくなっていることを示している。
本発明における難燃性ポリアミド系樹脂組成物は、極めて高い強度、破断伸度、衝撃強度および高度な難燃性を有するので、強靭性と難燃性を併せ持つ成形品が得られる。特に無機強化材を高充填した組成物でも強度とタフネスの優れた成形品が得られる。そのためコネクター、スイッチ、コイルボビン、リレー等の肉薄の電子部品や電動工具部品、炊飯器部品、配電部品等の比較的肉厚の電気部品まで幅広く使用することが出来、産業界に寄与すること大である。

Claims (3)

  1. (A)ポリアミド樹脂30〜80質量%、(B)(1)ホスフィン酸の金属塩と(2)含窒素リン酸系化合物とを含有する複合難燃剤5〜40質量%、(C)無機強化材0〜60質量%および(D)ノボラック型の多価ヒドロキシ化合物3〜10質量%からなる難燃性ポリアミド系樹脂組成物100質量部に対し、(E)カップリング剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアミド樹脂がホモポリアミド樹脂99〜50質量%と共重合ポリアミド樹脂1〜50質量%からなり、かつ難燃性ポリアミド系樹脂組成物中に(C)無機強化材を5〜60質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
  3. 引張破断伸度(JIS K7161に準拠)が1.8%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の強靭性に優れた難燃性ポリアミド系樹脂組成物。
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