JP2018065974A - 難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品の提供。【解決手段】 (a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。特に本発明は、高度な難燃性が要求される電気・電子分野のコネクター等の電気電子用部品、自動車分野の電装部品等の電気電子用部品に好適に用いられる難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、機械的強度および耐熱性に優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品などの分野で使用されている。特に、電気・電子部品用途において、ますます難燃性に対する要求レベルが高くなり、本来、ポリアミド樹脂の有する自己消火性よりもさらに高度な難燃性が要求されている。この為、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL94V−0規格に適合する難燃レベルの高度化検討が数多くなされている。
難燃化に際し、一般的にハロゲン系難燃剤が用いられている。例えば、特許文献1には、(a)末端カルボキシル基比率が51〜90%の範囲にあるポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含み、(c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている、難燃性ポリアミド樹脂組成物が開示されている。そして、特許文献1には、薄肉での難燃性、押出加工性、成型加工性、耐衝撃性、ウェルド強度、機械特性が優れており、さらに高いウェルド強度や高い耐衝撃性を低下させることなく、薄肉での靭性やウェルド部の靭性(伸度)を高め、加えて色調も改善された難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供可能であることが記載されている。
難燃化に際し、一般的にハロゲン系難燃剤が用いられている。例えば、特許文献1には、(a)末端カルボキシル基比率が51〜90%の範囲にあるポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含み、(c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている、難燃性ポリアミド樹脂組成物が開示されている。そして、特許文献1には、薄肉での難燃性、押出加工性、成型加工性、耐衝撃性、ウェルド強度、機械特性が優れており、さらに高いウェルド強度や高い耐衝撃性を低下させることなく、薄肉での靭性やウェルド部の靭性(伸度)を高め、加えて色調も改善された難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供可能であることが記載されている。
しかしながら、臭素化ポリスチレンのようなハロゲン系難燃剤は、近年、望ましくなく、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用いることが検討されている。
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的とするものであって、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用い、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品を提供することにある。
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的とするものであって、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用い、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂の全末端基(末端アミノ基および末端カルボキシル基の合計)に対する、末端カルボキシル基の比率を一定範囲内にしたポリアミド樹脂が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<11>により、上記課題は解決された。
<1>(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し、0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<2>さらに、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、および(f)高級脂肪酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<3>(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂100質量部、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤30〜60質量部、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<4>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(d)無機強化材を240質量部以下の割合で含む、<3>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<5>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(e)変性水素化ブロック共重合体を15質量部以下の割合で含む、<3>または<4>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<6>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(f)高級脂肪酸金属塩を2質量部以下の割合で含む、<3>〜<5>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<7>前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、リン原子を含有する難燃剤である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<8>前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、アルキルホスフィン酸塩である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<9>水分率が0.1〜0.5質量%であるポリアミド樹脂を用いてなる、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された成形品。
<11><1>〜<9>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された電気電子用部品。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<11>により、上記課題は解決された。
<1>(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し、0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<2>さらに、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、および(f)高級脂肪酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<3>(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂100質量部、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤30〜60質量部、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<4>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(d)無機強化材を240質量部以下の割合で含む、<3>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<5>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(e)変性水素化ブロック共重合体を15質量部以下の割合で含む、<3>または<4>に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<6>さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(f)高級脂肪酸金属塩を2質量部以下の割合で含む、<3>〜<5>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<7>前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、リン原子を含有する難燃剤である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<8>前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、アルキルホスフィン酸塩である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<9>水分率が0.1〜0.5質量%であるポリアミド樹脂を用いてなる、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
<10><1>〜<9>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された成形品。
<11><1>〜<9>のいずれか1つに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された電気電子用部品。
本発明によれば、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用い、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明で開示する第一の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含むことを特徴とする。
また、本発明で開示する第二の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂100質量部、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤30〜60質量部、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用い、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品を提供可能になる。
また、本発明で開示する第二の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂100質量部、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤30〜60質量部、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含むことを特徴とする。
このような構成とすることにより、ハロゲン原子を含まない難燃剤を用い、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物および成形品を提供可能になる。
<(a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂>
(a)ポリアミド樹脂としては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物などが挙げられる。具体的には、特開2007−291250号公報の段落0011〜0013に記載のポリアミド樹脂、特開2016−130273号公報の段落0015〜0020に記載のポリアミド樹脂、特開2016−169027号公報の段落0011〜0034に記載のポリアミド樹脂、特開2016−107187号公報の段落0015〜0022に記載のポリアミド樹脂等も参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(a)ポリアミド樹脂としては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物などが挙げられる。具体的には、特開2007−291250号公報の段落0011〜0013に記載のポリアミド樹脂、特開2016−130273号公報の段落0015〜0020に記載のポリアミド樹脂、特開2016−169027号公報の段落0011〜0034に記載のポリアミド樹脂、特開2016−107187号公報の段落0015〜0022に記載のポリアミド樹脂等も参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上述のような(a)ポリアミド樹脂の中でも、成形性、耐熱性の観点から、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位を含み、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来するポリアミド樹脂(以下、「XD系ポリアミド」ということがある)であることが好ましい。また、ポリアミド樹脂が混合物である場合は、ポリアミド樹脂中のXD系ポリアミドの比率が50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。
XD系ポリアミドは、好ましくは、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸由来の構成単位の好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、一層好ましくは90モル%、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素数が好ましくは4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来することが好ましい。
XD系ポリアミドにおいて、キシリレンジアミンは、少なくともメタキシリレンジアミンを含むことが好ましい。また、キシリレンジアミンの、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上が、メタキシリレンジアミンであり、他はパラキシリレンジアミンであることが好ましい。
XD系ポリアミドの原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
XD系ポリアミドの原料ジアミン成分として用いることができるメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
XD系ポリアミドの原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種または2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸が好ましく、アジピン酸がより好ましい。
上記炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性、バリア性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸を用いることが好ましい。テレフタル酸および/またはイソフタル酸を含む場合、その割合は、好ましくはジカルボン酸構成単位の30モル%以下であり、より好ましくは1〜30モル%、特に好ましくは5〜20モル%の範囲である。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、XD系ポリアミドを構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。ジアミン成分およびジカルボン酸成分以外の成分は、全構成成分の5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
本発明に用いられる(a)ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基の比率とは、(a)ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度(COOH)と末端アミノ基濃度(NH2)との合計量に対する末端カルボキシル基濃度(いずれの濃度単位もミリ当量/kgポリマーである)の割合を百分率にて表したものである。
本発明で用いられる(a)ポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基の比率が51〜89%である。末端カルボキシル基の比率が、51%未満では、薄肉での靭性やウェルド部の靭性(伸度)の面での大きな向上効果が発現せず、89%を越えるとポリアミドの重合速度が小さくなるため、ポリアミド樹脂の生産性が低下したり、成形品の外観が著しく低下してしまう。末端カルボキシル基の比率は、好ましくは55〜89%、より好ましくは60〜88%、さらに好ましくは、63〜87%である。
本発明でも用いられる(a)ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基の濃度の制御方法としては、例えば重合時にジアミンとジカルボン酸の等モル塩等のポリアミド原料に、さらに、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノアミン、モノアミンを1種または2種以上を末端基調整剤として所定量添加(配合)することにより可能である。具体的な例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ウンデカン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸フェニル酢酸等のモノカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等のモノアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等のジアミンが挙げられる。酢酸、アジピン酸、ヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン等でポリアミドの末端基を制御するのが、製造効率的に簡便で好ましい。
本発明における、末端カルボキシル基の濃度(単位:ミリ当量/kg)および末端アミノ基の濃度(単位:ミリ当量/kg)の測定方法としては、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本発明で用いる(a)ポリアミド樹脂の分子量は、成形可能な範囲の物であればよく、ASTM D789に準じて求まる相対粘度(RV)にして20〜70の範囲にあるポリアミド樹脂が、成形流動性が良好でかつ高度な難燃レベルを保持できるので特に好ましい。さらに好ましくは30〜60の範囲であり、一層好ましくは35〜55である。相対粘度(RV)は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本発明における(a)ポリアミド樹脂の水分は、特に限定しないが、(a)ポリアミド樹脂のペレットの水分率を0.1〜0.5質量%に調整して、溶融混練(コンパウンド)することが好ましい。水分率が0.1質量%以上とすることにより、押出時の溶融加工による熱による色調の変化(b値が増大し黄色く変色)を効果的に抑制できる。一方、水分率を0.5質量%以下とすることにより、溶融混練(コンパウンド)時のフィードが安定し、生産性が安定し、加水分解により(a)ポリアミド樹脂の分子量を向上させ、機械的特性をより向上させることが可能になる。本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物がペレットである場合の、水分率のより好ましい範囲は、0.12〜0.4質量%である、さらに好ましい範囲は、0.13〜0.3質量%である。
ペレットの水分率の調整方法は、既知の方法で行うことができる。溶融重合した(a)ポリアミド樹脂を水で冷却固化してペレット化する際に通常よりも水浴への浸漬を長くする方法、ペレットを水とブレンドして撹拌する方法、ペレットに霧状の水を噴霧する方法、ペレットに水蒸気を吹きかける方法、ペレットを大気中で自然吸湿させる方法等が挙げられる。特に、ペレットに霧状の水を噴霧させる方法が、任意の水分率に簡便に調整することができ、かつ、水分の偏在も少なくできるので特に好ましい。水分率の調整はペレット化した後のなるべく早い段階で行うことが、酸素の吸着を防ぐ意味からも好ましい。
(a)ポリアミド樹脂の水分の測定方法は、既知の方法で行うことができる。例えば、カールフィッシャー水分計を用いたISO15512(他にはJIS K7251に示されるB法(水分気化法)等)での測定が挙げられる。
<(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤を含む。(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤は、リン原子を含有する難燃剤であることが好ましく、アルキルホスフィン酸塩であることがより好ましい。
難燃剤としては、リン原子を含有する難燃剤(以下、「リン系難燃剤」ということがある)、シリコーン系難燃剤、硫化亜鉛、錫酸亜鉛、ホウ酸金属塩、酸化物(酸化鉄、酸化マグネシウム等の金属酸化物や酸化ホウ素)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム)が例示される。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤を含む。(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤は、リン原子を含有する難燃剤であることが好ましく、アルキルホスフィン酸塩であることがより好ましい。
難燃剤としては、リン原子を含有する難燃剤(以下、「リン系難燃剤」ということがある)、シリコーン系難燃剤、硫化亜鉛、錫酸亜鉛、ホウ酸金属塩、酸化物(酸化鉄、酸化マグネシウム等の金属酸化物や酸化ホウ素)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム)が例示される。
<<リン系難燃剤>>
リン系難燃剤は、リン原子を含有する難燃剤であり、例えば、リン、メラミンとリン酸との反応生成物、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物等を挙げることができ、リン、メラミンとリン酸との反応生成物およびホスフィン酸塩が好ましく、ホスフィン酸塩がより好ましく、アルキルホスフィン酸塩がさらに好ましい。
リン系難燃剤は、リン原子を含有する難燃剤であり、例えば、リン、メラミンとリン酸との反応生成物、ホスフィン酸塩、ホスファゼン化合物等を挙げることができ、リン、メラミンとリン酸との反応生成物およびホスフィン酸塩が好ましく、ホスフィン酸塩がより好ましく、アルキルホスフィン酸塩がさらに好ましい。
リンとしては、赤リンが例示される。
メラミンとリン酸との反応生成物とは、メラミンまたはメラミンの縮合生成物と、リン酸、ピロリン酸、もしくはポリリン酸との実質的に等モルの反応生成物から得られるものを意味し、製法には特に制約はない。例えば、リン酸メラミンを窒素雰囲気下、加熱縮合して得られるポリリン酸メラミン(化学式「(C3H6N6・HPO3)n」(ここでnは縮合度を表す))を挙げることができる。
ここでリン酸メラミンを構成するリン酸としては、具体的にはオルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等が挙げられるが、特にオルトリン酸、ピロリン酸を用いたメラミンとの付加物を縮合したポリリン酸メラミンが難燃剤としての効果が高く、好ましい。特に耐熱性の点から、かかるポリリン酸メラミンの縮合度nは5以上が好ましい。
また、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンの等モルの付加塩であっても良く、上記ポリリン酸とメラミンの全てが付加塩を形成しているものには限られず、これらの混合物であってもよい。すなわち、メラミンとの付加塩を形成するポリリン酸としては、いわゆる縮合リン酸と呼ばれる鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸を用いてもよい。これらポリリン酸の縮合度nには特に制約はなく通常3〜50であるが、得られるポリリン酸メラミン付加塩の耐熱性の点で、ここに用いるポリリン酸の縮合度nは5以上が好ましい。ポリリン酸メラミン付加塩は、メラミンとポリリン酸との混合物を例えば水スラリーとなし、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し、さらに必要であれば焼成し、得られた固形物を粉砕して得られる粉末である。
また、ポリリン酸メラミンは、リン酸とメラミン縮合生成物の付加塩であってもよく、上記リン酸とメラミン縮合生成物の全てが付加塩を形成しているものには限られず、これらの混合物であってもよい。リン酸と付加塩を形成するメラミン縮合生成物としては、メレム、メラム、メロン等が挙げられる。
ここでリン酸メラミンを構成するリン酸としては、具体的にはオルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等が挙げられるが、特にオルトリン酸、ピロリン酸を用いたメラミンとの付加物を縮合したポリリン酸メラミンが難燃剤としての効果が高く、好ましい。特に耐熱性の点から、かかるポリリン酸メラミンの縮合度nは5以上が好ましい。
また、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンの等モルの付加塩であっても良く、上記ポリリン酸とメラミンの全てが付加塩を形成しているものには限られず、これらの混合物であってもよい。すなわち、メラミンとの付加塩を形成するポリリン酸としては、いわゆる縮合リン酸と呼ばれる鎖状ポリリン酸、環状ポリメタリン酸を用いてもよい。これらポリリン酸の縮合度nには特に制約はなく通常3〜50であるが、得られるポリリン酸メラミン付加塩の耐熱性の点で、ここに用いるポリリン酸の縮合度nは5以上が好ましい。ポリリン酸メラミン付加塩は、メラミンとポリリン酸との混合物を例えば水スラリーとなし、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し、さらに必要であれば焼成し、得られた固形物を粉砕して得られる粉末である。
また、ポリリン酸メラミンは、リン酸とメラミン縮合生成物の付加塩であってもよく、上記リン酸とメラミン縮合生成物の全てが付加塩を形成しているものには限られず、これらの混合物であってもよい。リン酸と付加塩を形成するメラミン縮合生成物としては、メレム、メラム、メロン等が挙げられる。
ホスフィン酸塩とは、下記式(I)で表されるホスフィン酸塩および/または下記式(II)で表されるホスフィン酸塩が好ましく、例えば、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物を用いて水性媒体中で製造されたものが挙げられる。ホスフィン酸塩は、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存して、環境によっては縮合度が1〜3のポリマー性ホスフィン酸塩となる場合もある。
ここで、mまたはnが2以上の場合、それぞれの、R1〜R3は同一であっても良いし異なっていても良い。
R1およびR2は、それぞれC1〜C6のアルキル基であることが好ましく、Mは、Alが好ましい。
ホスフィン酸としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸およびジフェニルホスフィン酸等が挙げられる。また、金属成分(M)としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよび亜鉛イオン等が挙げられる。
ホスフィン酸としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸およびジフェニルホスフィン酸等が挙げられる。また、金属成分(M)としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンおよび亜鉛イオン等が挙げられる。
式(I)で表されるホスフィン酸塩としては、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
式(II)で表されるホスフィン酸塩としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛等が挙げられる。
これら、(ジ)ホスフィン酸塩の中でも、特に、難燃性、電気特性の観点から、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
式(II)で表されるホスフィン酸塩としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛等が挙げられる。
これら、(ジ)ホスフィン酸塩の中でも、特に、難燃性、電気特性の観点から、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛が好ましい。
ホスファゼン化合物については、特開2015−224313号公報の段落0023〜0040の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含む。前記共重合体(c)に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えば下記の式で表わされる化合物が挙げられる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含む。前記共重合体(c)に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えば下記の式で表わされる化合物が挙げられる。
上記式で表される化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
一方、(c)共重合体に用いられるα,β−不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば下記の式で表わされる化合物が挙げられる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体の芳香族ビニル化合物成分が(b)難燃剤と親和し、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド樹脂と親和または反応することにより、ポリアミドマトリックス中に(b)難燃剤が分散するのを助け、微分散せしめていると考えられる。その一方、(b)難燃剤および(a)ポリアミド樹脂を含む系においては、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分による(a)ポリアミド樹脂の劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。そのため、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、特にα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分の量を調整することが重要である。α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分の量については後述する。
(c)共重合体における、芳香族ビニル化合物成分とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分との割合は、質量比で、50:50〜99:1であることが好ましい。芳香族ビニル化合物成分を上記範囲とすることにより、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物による(a)ポリアミド樹脂の劣化を誘発しにくくなり、かつ、(a)ポリアミド樹脂と十分に親和または反応させることができる。(c)共重合体において、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分は5〜25質量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20質量%である。また、(c)共重合体において、芳香族ビニル化合物成分は、75〜95質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、80〜90質量%である。
本発明における(c)共重合体は、芳香族ビニル化合物成分とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分以外の他の構成成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明では、(c)共重合体は、芳香族ビニル化合物成分とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分以外の他の構成成分を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、他の構成成分の割合が5質量%以下、さらには、3質量%以下、特には1質量%以下であることをいう。
本発明における(c)共重合体は、芳香族ビニル化合物成分とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分以外の他の構成成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明では、(c)共重合体は、芳香族ビニル化合物成分とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分以外の他の構成成分を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、他の構成成分の割合が5質量%以下、さらには、3質量%以下、特には1質量%以下であることをいう。
<(d)無機強化材>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(d)無機強化材を含んでいてもよい。(d)無機強化材剤を配合することにより、さらなる難燃性および機械特性の向上を図ることができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(d)無機強化材を含んでいてもよい。(d)無機強化材剤を配合することにより、さらなる難燃性および機械特性の向上を図ることができる。
(d)無機強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等が例剤される。
無機強化材の形状は特に定めるものではないが、繊維状、粒状、板状、あるいは針状のものが例示される。特に、ガラス繊維等の繊維状強化材が高い物性を発現するので好ましく使用される。
無機強化材の形状は特に定めるものではないが、繊維状、粒状、板状、あるいは針状のものが例示される。特に、ガラス繊維等の繊維状強化材が高い物性を発現するので好ましく使用される。
ガラス繊維は、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることができる。ガラス繊維は表面処理した物を用いるのが好ましい。ガラス繊維の数平均繊維径は5〜20μmであることが好ましい。また、ポリアミド樹脂用にガラス繊維表面を処理したものが優れた物性を付与するので一層好ましい。
ガラス繊維は、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス等が用いられ、Eガラスが好ましい。
ガラス繊維は、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Dガラス等が用いられ、Eガラスが好ましい。
<(e)変性水素化ブロック共重合体>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(e)変性水素化ブロック共重合体を含んでいてもよい。(e)変性水素化ブロック共重合体を含むことにより、機械特性(特に耐衝撃性等)をより向上させることができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(e)変性水素化ブロック共重合体を含んでいてもよい。(e)変性水素化ブロック共重合体を含むことにより、機械特性(特に耐衝撃性等)をより向上させることができる。
本発明の(e)変性水素化ブロック共重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン系化合物の水素化物とから形成される水素化ブロック共重合体が挙げられる。具体的には、ビニル芳香族化合物重合体ブロックとオレフィン系化合物重合体とから形成される水素化ブロック共重合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性した共重合体である。水素化ブロック共重合体はビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系化合物重合体ブロックとから形成されるブロック共重合体の共役ジエン部分を選択的に水素化することによって得られる。
上記のビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系化合物重合体ブロックからなる水素化ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(X)と(X’)、共役ジエン系化合物重合体ブロック(Y)(ただし、XとX’は同じであっても異なっていてもよい。)とから形成されるブロック共重合体で(XY)n、X−Y−X’、X−(Y−X−Y)n−X、X−(Y−X)n−Y(式中、nは1〜10の整数である。)で表される線状ブロック共重合体、あるいは、[(Y−X)n]m+2−Z、[(X−Y)n]m+2−Z、[(Y−X)n−Y]m+2−Z、または[(X−Y)n−X]m+2−Z(式中、mは1〜4の整数であり、Zは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基または、多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるラジアルブロック共重合体が挙げられる。
ビニル芳香族化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルビニルキシレン、ビニルナフタリンおよびこれらの混合物が挙げられる。また、共役ジエン系化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンまたは2,3−ジメチルブタジエンおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ビニル芳香族化合物としてはスチレン、共役ジエン系化合物としてはブタジエンである。
これらのブロック共重合体の末端ブロックは、同じであっても異なっていてもよい。これらのブロック共重合体の数平均分子量は好ましくは10000〜800000、より好ましくは20000〜500000である。また、ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は10〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜55質量%であり、さらに好ましくは18〜45質量%である。
本発明で用いる(e)変性水素化ブロック共重合体に用いる水素化ブロック共重合体は前記のブロック共重合体の共役ジエン系化合物重合体ブロックを選択的に水素化することによって得られる物であり、例えば、特公昭42−8704号公報に記載の方法で、つまり、n−ヘキサンとシクロヘキサンの混合溶媒中でナフテン酸コバルトとトリエチルアルミニウムを触媒として水素を添加することにより、ビニル芳香族化合物ブロックの芳香族二重結合の20%を越えない部分および共役ジエン系化合物重合体の脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されている水素化ブロック共重合体が合成される。
本発明で用いられる(e)変性水素化ブロック共重合体は、前記水素化ブロック共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体を付加させることにより得ることができる。水素化ブロック共重合体に付加させる不飽和カルボン酸またはその誘導体の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸およびその無水物、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、マレインイミド等が挙げられるが、これらのなかでは無水マレイン酸が特に好ましい。この変性水素化ブロック共重合体は、例えば、水素化ブロック共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体を溶液状態または溶融状態において、ラジカル開始剤を使用あるいは使用せずに付加せしめることによって得られる。変性共重合体の製造方法については特に限定しないが、得られた変性ブロック共重合体がゲル等の好ましくない成分を含んだり、その溶融粘度が著しく増大して加工性が悪化したりする製造方法は好ましくない。好ましい方法としては、押出機中で、ラジカル開始剤存在下で、水素化ブロック共重合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体と反応させる方法がある。
(e)変性水素化ブロック共重合体の変性量は、未変性の水素化ブロック共重合体100質量部に対し、好ましくは0.05〜3質量部であり、より好ましくは0.15〜1.8質量部である。変性量を0.05質量部以上とすることにより、変性共重合体としての効果を十分に発揮させることができ、(a)ポリアミド樹脂との相溶性が向上し、得られる成形品の機械的特性がより向上し、成形品の折れや割れをより効果的に抑制することができる。また、変性量を3質量部以下とすることにより、溶融加工時の粘度を低下させることができ、成形性および成形品外観がより向上する傾向にある。
<(f)高級脂肪酸金属塩>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(f)高級脂肪酸金属塩を含んでいてもよい。(f)高級脂肪酸金属塩を配合することにより、押出性等の溶融加工性をより向上させることができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(f)高級脂肪酸金属塩を含んでいてもよい。(f)高級脂肪酸金属塩を配合することにより、押出性等の溶融加工性をより向上させることができる。
本発明で用いることができる(f)高級脂肪酸金属塩としては、特に限定されないが、優れた溶融加工性を示し、難燃性を維持する観点から、例えば、炭素数10〜32のカルボン酸の金属塩が好ましい。具体的には、カプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。添加する際は、これら高級脂肪酸金属塩を1種で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<各成分の配合比>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を組成物の30質量%以上の割合で含むことが好ましく、40質量%以上の割合で含むことがより好ましい。また、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を組成物の70質量%以下の割合で含むことが好ましく、60質量%以下の割合で含むことがより好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を組成物の30質量%以上の割合で含むことが好ましく、40質量%以上の割合で含むことがより好ましい。また、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を組成物の70質量%以下の割合で含むことが好ましく、60質量%以下の割合で含むことがより好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(a)ポリアミド樹脂を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤を、(a)ポリアミド樹脂100質量部に対し、30〜60質量部含むことが好ましい。30質量部以上とすることにより、難燃効果をより効果的に発揮させることができ、60質量部以下とすることにより、溶融混練時に分解ガスが発生したり、成形加工時に流動性が低下したり、成形金型に汚染性物質が多く付着するなどの問題をより効果的に抑制できる。さらに、機械的物性および成形品の外観もより向上させることができる。(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤の配合量は、より好ましくは35〜55質量部であり、さらに好ましくは40〜50質量部である。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン原子を含む難燃剤を含んでいてもよいが、実質的にハロゲン原子を含む難燃剤を含まない方が好ましい。実質的に含まないとは、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤の配合量の1質量%以下であることをいう。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン原子を含む難燃剤を含んでいてもよいが、実質的にハロゲン原子を含む難燃剤を含まない方が好ましい。実質的に含まないとは、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤の配合量の1質量%以下であることをいう。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含み、0.06〜0.75質量%となるように含むことが好ましく、0.1〜0.6質量%となるように含むことがより好ましく、0.2〜0.5質量%となるように含むことがさらに好ましい。本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体を構成する芳香族ビニル化合物成分が、(b)難燃剤と親和し、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド樹脂と親和または反応することにより、ポリアミドマトリックス中に(b)難燃剤が分散するのを助け、微分散せしめていると考えられる。一方、(b)難燃剤および(a)ポリアミド樹脂を含む組成物においては、(c)共重合体のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分に由来する(a)ポリアミド樹脂の劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。これらを考慮すると、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体全体の量よりも(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤および(c)共重合体の合計量に対するα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分の量(割合)を最適な範囲とすることが、より重要である。より具体的には、上記のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤および(c)共重合体の合計量に対し0.06質量%未満の場合は、難燃性が大きく低下してしまう。これは、難燃剤の微分散が十分でない為と考えられる。さらにウェルド部の強度が低くなってしまうという問題もある。一方、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤および(c)共重合体の合計量に対し1.00質量%を越えると、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分によるポリアミド樹脂の劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。さらに押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になってしまう。さらに加えて、ストランドも途中で切れ易くなり、生産性が低下してしまう。
また、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)共重合体を、(a)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5〜15質量部含むことが好ましく、1〜10質量部含むことがより好ましく、1〜6質量部含むことがさらに好ましく、2〜5質量部含むことが一層好ましい。
(c)共重合体の質量割合を0.5質量部以上とすることにより、難燃性およびウェルド部の強度が向上する傾向にある。一方、15質量部以下とすることにより、(a)ポリアミド樹脂が有する強度等の特性が発揮されやすくなり、(a)ポリアミド樹脂の劣化を誘発しにくくできる。さらに押出時のストランドに毛羽立ちが目立ちにくくなり、ストランド冷却バスの水分を持ち込みにくくなり、ペレタイズした後に乾燥工程を省略できたり、ストランドが途中で切れにくくなり、生産性が向上する傾向にある。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(c)共重合体の質量割合を0.5質量部以上とすることにより、難燃性およびウェルド部の強度が向上する傾向にある。一方、15質量部以下とすることにより、(a)ポリアミド樹脂が有する強度等の特性が発揮されやすくなり、(a)ポリアミド樹脂の劣化を誘発しにくくできる。さらに押出時のストランドに毛羽立ちが目立ちにくくなり、ストランド冷却バスの水分を持ち込みにくくなり、ペレタイズした後に乾燥工程を省略できたり、ストランドが途中で切れにくくなり、生産性が向上する傾向にある。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物が、(d)無機強化材を含む場合、(a)ポリアミド樹脂100質量部に対し、240質量部以下の割合で含むことが好ましく、15〜240質量部の割合で含むことがより好ましく、25〜160質量部の割合で含むことがさらに好ましく、38〜110質量部の割合で含むことが一層好ましい。
15質量部以上とすることにより、強度および難燃性において、一層の大きな向上を得やすく、240質量部以下とすることにより、混練時に分解ガスが発生したり、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着するなどの問題を生じにくくできる。また、機械的物性の低下や成形品外観の悪化をより効果的に抑制できる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(d)無機強化材を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
15質量部以上とすることにより、強度および難燃性において、一層の大きな向上を得やすく、240質量部以下とすることにより、混練時に分解ガスが発生したり、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着するなどの問題を生じにくくできる。また、機械的物性の低下や成形品外観の悪化をより効果的に抑制できる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(d)無機強化材を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物が、(e)変性水素化ブロック共重合体を含む場合、(a)ポリアミド樹脂100質量部に対し、15質量部以下の割合で含むことが好ましく、0.5〜15質量部の割合で含むことがより好ましく、1〜10質量部の割合で含むことがさらに好ましく、2〜6質量部の割合で含むことが一層好ましい。
15質量部以下とすることにより、溶融加工時の粘度が上昇しにくくなり、押出時にはトルクの上昇、成形時には成形性の低下、および、成形品外観の悪化をより効果的に抑制できる。さらに、難燃性の向上効果が発揮されやすくなる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(e)変性水素化ブロック共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
15質量部以下とすることにより、溶融加工時の粘度が上昇しにくくなり、押出時にはトルクの上昇、成形時には成形性の低下、および、成形品外観の悪化をより効果的に抑制できる。さらに、難燃性の向上効果が発揮されやすくなる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(e)変性水素化ブロック共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物が、(f)高級脂肪酸金属塩を含む場合、(a)ポリアミド樹脂100質量部に対し、2質量部以下の割合で含むことが好ましく、0.1〜2質量部の割合で含むことがより好ましく、0.15〜1.5質量部の割合で含むことがさらに好ましく、0.2〜1質量部の割合で含むことが一層好ましい。
0.1質量部以上とすることにより、溶融加工性および機械特性がより向上する傾向にあり、2質量部以下とすることにより、難燃性が向上する傾向にある。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(f)高級脂肪酸金属塩を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
0.1質量部以上とすることにより、溶融加工性および機械特性がより向上する傾向にあり、2質量部以下とすることにより、難燃性が向上する傾向にある。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(f)高級脂肪酸金属塩を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<他の成分>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸塩等の金属化合物、フィブリル化剤、顔料、染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)や、ポリアミド樹脂の一般的な熱安定剤である銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系化合物酸化劣化防止剤に代表される有機系熱安定剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤、流動性改良剤、他の充填剤、補強剤、展着剤を添加することができる。
上記金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸塩等の金属化合物の詳細は、特開2007−291250号公報の段落0047〜0049の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸塩等の金属化合物、フィブリル化剤、顔料、染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)や、ポリアミド樹脂の一般的な熱安定剤である銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系化合物酸化劣化防止剤に代表される有機系熱安定剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤、流動性改良剤、他の充填剤、補強剤、展着剤を添加することができる。
上記金属酸化物、金属水酸化物および金属炭酸塩等の金属化合物の詳細は、特開2007−291250号公報の段落0047〜0049の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法>
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定はなく、(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤、(c)共重合体、および、必要に応じて配合される、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、(f)高級脂肪酸金属塩等を、常用の単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて、(a)ポリアミド樹脂の融点等に応じて、200〜350℃の温度で溶融混練することが一般的である。また、機械特性を維持するために(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤、(c)共重合体、および、必要に応じて配合される、(e)変性水素化ブロック共重合体、(f)高級脂肪酸金属塩等を添加した後に、(d)無機強化材を添加し混練するのが好ましい。無機強化材の添加方法は、サイドフィード方式がよい。このような方式を採用することにより、無機強化材の表面処理剤がα,β−不飽和ジカルボン酸無水物と反応しにくくなり、好ましい。すなわち、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物と(a)ポリアミド樹脂を十分に親和または反応させる為に、事前に、両者をよく混練させることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定はなく、(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤、(c)共重合体、および、必要に応じて配合される、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、(f)高級脂肪酸金属塩等を、常用の単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて、(a)ポリアミド樹脂の融点等に応じて、200〜350℃の温度で溶融混練することが一般的である。また、機械特性を維持するために(a)ポリアミド樹脂、(b)難燃剤、(c)共重合体、および、必要に応じて配合される、(e)変性水素化ブロック共重合体、(f)高級脂肪酸金属塩等を添加した後に、(d)無機強化材を添加し混練するのが好ましい。無機強化材の添加方法は、サイドフィード方式がよい。このような方式を採用することにより、無機強化材の表面処理剤がα,β−不飽和ジカルボン酸無水物と反応しにくくなり、好ましい。すなわち、α,β−不飽和ジカルボン酸無水物と(a)ポリアミド樹脂を十分に親和または反応させる為に、事前に、両者をよく混練させることが好ましい。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された成形品である。すなわち、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によって成形される。
本発明の成形品は、難燃性が求められる用途に広く用いられ、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気電子用部品、自動車用部品等に好ましく用いられる。特に、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の成形品が持つ特性は、電気電子用部品に適している。特に、高い難燃性、高い耐衝撃性、高いウェルド強度に加えて高い強度や靭性を付与したものが望まれる材料(例えば、ブレーカーの内部や外部のカバー材)に適している。
本発明の成形品は、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された成形品である。すなわち、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によって成形される。
本発明の成形品は、難燃性が求められる用途に広く用いられ、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気電子用部品、自動車用部品等に好ましく用いられる。特に、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の成形品が持つ特性は、電気電子用部品に適している。特に、高い難燃性、高い耐衝撃性、高いウェルド強度に加えて高い強度や靭性を付与したものが望まれる材料(例えば、ブレーカーの内部や外部のカバー材)に適している。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(a)ポリアミド樹脂
40Lのオートクレーヴを用いて、以下の末端基の濃度を有するポリアミドを合成した。添加する末端基調整剤の種類や量により末端基を調整し、溶融重合したポリアミド樹脂を下部ノズルからストランド状に取り出し、水で冷却固化してペレット化する際に、水浴への浸漬の長さを調整して、水分率が調整されたポリアミドペレットを得た。
40Lのオートクレーヴを用いて、以下の末端基の濃度を有するポリアミドを合成した。添加する末端基調整剤の種類や量により末端基を調整し、溶融重合したポリアミド樹脂を下部ノズルからストランド状に取り出し、水で冷却固化してペレット化する際に、水浴への浸漬の長さを調整して、水分率が調整されたポリアミドペレットを得た。
(b)難燃剤
難燃剤として、以下の難燃剤を用いた。
難燃剤として、以下の難燃剤を用いた。
(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体
(c−1)スチレンと無水マレイン酸の共重合体、NOVA Cemicals Inc.製、商品名:DYLARK 332(スチレン85質量%、無水マレイン酸15質量%の共重合体)
(c−1)スチレンと無水マレイン酸の共重合体、NOVA Cemicals Inc.製、商品名:DYLARK 332(スチレン85質量%、無水マレイン酸15質量%の共重合体)
(d)無機強化材
(d−1)チョップドガラス繊維、日本電気硝子(株)製、商品名「ECS03T−296GH」、Eガラス、数平均繊維径10μm
(d−1)チョップドガラス繊維、日本電気硝子(株)製、商品名「ECS03T−296GH」、Eガラス、数平均繊維径10μm
(e)変性水素化ブロック共重合体
(e−1)無水マレイン酸変性された水素化スチレン−ブタジエン共重合体、クレイトンジャパン(株)製、商品名:クレイトンFG1901
(e−1)無水マレイン酸変性された水素化スチレン−ブタジエン共重合体、クレイトンジャパン(株)製、商品名:クレイトンFG1901
(f)高級脂肪酸金属塩
(f−1)モンタン酸カルシウム、日東化成(株)製、商品名「CS−8CP」
(f−2)ステアリン酸バリウム、日東化成(株)製、製品名「St−Ba P」
(f−1)モンタン酸カルシウム、日東化成(株)製、商品名「CS−8CP」
(f−2)ステアリン酸バリウム、日東化成(株)製、製品名「St−Ba P」
(1)ポリアミド末端基濃度
(i)末端カルボキシル基濃度の測定
末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂を170±5℃のベンジルアルコールに溶解し、0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液で滴定して測定し、フェノールフタレインの変色から当量点を求め、次式で算出した。
末端カルボキシル基濃度=F×A×100/S(ミリ当量/kg)
F(−):0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液のファクター
A(mL):0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液の滴定量
S(g):ポリアミド樹脂の量
(i)末端カルボキシル基濃度の測定
末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂を170±5℃のベンジルアルコールに溶解し、0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液で滴定して測定し、フェノールフタレインの変色から当量点を求め、次式で算出した。
末端カルボキシル基濃度=F×A×100/S(ミリ当量/kg)
F(−):0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液のファクター
A(mL):0.1NのNaOHのエチレングリコール溶液の滴定量
S(g):ポリアミド樹脂の量
(ii)末端アミノ基濃度の測定
末端アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂をフェノールに溶解し、0.02N塩酸で滴定して測定し、滴定曲線の変曲点から当量点を求め、次式で算出した。
末端アミノ基濃度=F×(A−B)×0.02/(S/1000)(ミリ当量/kg)
F(−):0.02N塩酸のファクター
A(mL):0.02N塩酸の滴定量
B(mL):フェノールの当量点量
S(g):ポリアミド樹脂の量
末端アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂をフェノールに溶解し、0.02N塩酸で滴定して測定し、滴定曲線の変曲点から当量点を求め、次式で算出した。
末端アミノ基濃度=F×(A−B)×0.02/(S/1000)(ミリ当量/kg)
F(−):0.02N塩酸のファクター
A(mL):0.02N塩酸の滴定量
B(mL):フェノールの当量点量
S(g):ポリアミド樹脂の量
(2)水分率
ポリアミドペレットをISO15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計を用いて水分率を測定した。
ポリアミドペレットをISO15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計を用いて水分率を測定した。
(3)相対粘度
相対粘度(RV)は、溶媒として90質量%のギ酸水溶液を用い、3g(ポリアミド樹脂)サンプルに対し、30mLのギ酸水溶液となるように配合して、25℃の温度条件下で、ASTM D789に準拠した方法で測定した。
相対粘度(RV)は、溶媒として90質量%のギ酸水溶液を用い、3g(ポリアミド樹脂)サンプルに対し、30mLのギ酸水溶液となるように配合して、25℃の温度条件下で、ASTM D789に準拠した方法で測定した。
(4)押出性
難燃性ポリアミド樹脂組成物を作製するに当たり、二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hrの条件下で溶融混練した。溶融混練後にストランド状に取り出した際、ストランドの表面を目視で観察し、毛羽立ちなく滑らかであるものを(◎)、毛羽立ちはほとんどないが多少滑らかさが小さいものを(○)、多少毛羽立ちがあるがほとんど問題のないものを(△)、毛羽立ちしてしまい、ペレタイズ後のペレットを手で触った際に手に水分が付着するほど水を持ち込んだものを(×)とした。
同時に、押出機の紡口から出てきたストランド状の溶融樹脂から発生する分解ガス(白い煙、臭気)についても評価を行った。ほとんどガスの発生のないものを(◎)、多少ガスの発生が見られるものを(○)、ガスの発生が見られるがストランドが切れないものを(△)、ガスの発生が見られ、ストランド切れが頻発し、生産性が低下したものを(×)とした。
難燃性ポリアミド樹脂組成物を作製するに当たり、二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hrの条件下で溶融混練した。溶融混練後にストランド状に取り出した際、ストランドの表面を目視で観察し、毛羽立ちなく滑らかであるものを(◎)、毛羽立ちはほとんどないが多少滑らかさが小さいものを(○)、多少毛羽立ちがあるがほとんど問題のないものを(△)、毛羽立ちしてしまい、ペレタイズ後のペレットを手で触った際に手に水分が付着するほど水を持ち込んだものを(×)とした。
同時に、押出機の紡口から出てきたストランド状の溶融樹脂から発生する分解ガス(白い煙、臭気)についても評価を行った。ほとんどガスの発生のないものを(◎)、多少ガスの発生が見られるものを(○)、ガスの発生が見られるがストランドが切れないものを(△)、ガスの発生が見られ、ストランド切れが頻発し、生産性が低下したものを(×)とした。
(5)難燃性(UL−94VB)
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて測定を行った。なお試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚みは1.5mm)は射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて成形した。
難燃等級には、UL94垂直燃焼試験によって分類される難燃性のクラスを示した。分類方法の概要は以下の通りである。その他の詳細はUL94規格に準じる。
V−0:綿着火無し、平均燃焼時間5秒以下 最大燃焼時間10秒以下
V−1:綿着火無し、平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V−2:綿着火有り、平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V不適合:上記3項目に該当しないものや試験片を保持するクランプまで燃え上がってしまった場合
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて測定を行った。なお試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚みは1.5mm)は射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて成形した。
難燃等級には、UL94垂直燃焼試験によって分類される難燃性のクラスを示した。分類方法の概要は以下の通りである。その他の詳細はUL94規格に準じる。
V−0:綿着火無し、平均燃焼時間5秒以下 最大燃焼時間10秒以下
V−1:綿着火無し、平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V−2:綿着火有り、平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V不適合:上記3項目に該当しないものや試験片を保持するクランプまで燃え上がってしまった場合
(6)耐衝撃性
ASTM D256に準拠した方法で、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて、成形した後、切削し、ノッチを入れた試験片でIzod衝撃試験を実施し、Izod衝撃値を求めた。
ASTM D256に準拠した方法で、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて、成形した後、切削し、ノッチを入れた試験片でIzod衝撃試験を実施し、Izod衝撃値を求めた。
(7)曲げ特性
上述の製造方法で得られた樹脂ペレットを120℃で4時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製、NEX140IIIを用いて、4mm厚さのISO引張り試験片を射出成形した。シリンダー温度は280℃、金型温度は130℃にて実施した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強度(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
上述の製造方法で得られた樹脂ペレットを120℃で4時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製、NEX140IIIを用いて、4mm厚さのISO引張り試験片を射出成形した。シリンダー温度は280℃、金型温度は130℃にて実施した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強度(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
(8)ウェルド強度
長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mmの形状の長さ方向の両端から、溶融樹脂が流れ込み、長さ方向の中央部にウェルドが形成されるような金型を取り付けた、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)で成形を行い、試験片を得た。この成形した試験片をチャック間距離50mm、引張速度50mm/分にした以外は、ASTM D638に準拠した方法で引張試験を実施し、引張強度および引張伸度を求めた。
長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mmの形状の長さ方向の両端から、溶融樹脂が流れ込み、長さ方向の中央部にウェルドが形成されるような金型を取り付けた、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)で成形を行い、試験片を得た。この成形した試験片をチャック間距離50mm、引張速度50mm/分にした以外は、ASTM D638に準拠した方法で引張試験を実施し、引張強度および引張伸度を求めた。
<実施例および比較例>
各成分の原料について、(b)難燃剤および(d)無機強化材を除き、下記表3または表4に示すように、押出機の上流側(トップの位置)に1ヶ所(以下top−Fと略記)と、押出機のダイに近い下流側に供給口(以下side−Fと略記)を有する二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hr、ベント真空度−40cmHgの条件下で、予めブレンドした。次いで、重量式フィーダー1を用いてtop−Fから、(b)難燃剤は2つ目の重量式フィーダー2を用いて、同じくtop−Fから、(d)無機強化材は3つ目の重量式フィーダー3を用いてside−Fから合計の吐出量が50kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出した。ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。また、ストランドのストランドバスへの浸漬長を調節して、ペレット水分が、0.04〜0.06質量%の範囲になるようにした。その際に、上述の押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを上述した測定方法にて、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性を調べた。その結果を表3または表4に示す。
各成分の原料について、(b)難燃剤および(d)無機強化材を除き、下記表3または表4に示すように、押出機の上流側(トップの位置)に1ヶ所(以下top−Fと略記)と、押出機のダイに近い下流側に供給口(以下side−Fと略記)を有する二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hr、ベント真空度−40cmHgの条件下で、予めブレンドした。次いで、重量式フィーダー1を用いてtop−Fから、(b)難燃剤は2つ目の重量式フィーダー2を用いて、同じくtop−Fから、(d)無機強化材は3つ目の重量式フィーダー3を用いてside−Fから合計の吐出量が50kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出した。ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。また、ストランドのストランドバスへの浸漬長を調節して、ペレット水分が、0.04〜0.06質量%の範囲になるようにした。その際に、上述の押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを上述した測定方法にて、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性を調べた。その結果を表3または表4に示す。
上記結果から明らかなとおり、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れていた。
本発明によれば、押出性、難燃性、耐衝撃性、曲げ物性およびウェルド特性に優れた成形品を提供できる。従って、本発明は、高い難燃性、高い耐衝撃性、高い機械的強度および高いウェルド強度が望まれる用途分野において非常に有用である。例えば、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等電気・電子部品、自動車用途が挙げられる。
Claims (11)
- (a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂、
(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および
(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物から構成される共重合体を含み、
前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し、0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。 - さらに、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、および(f)高級脂肪酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- (a)末端基のうち、カルボキシル基の比率が51〜89%であるポリアミド樹脂100質量部、
(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤30〜60質量部、および
(c)芳香族ビニル化合物とα,β−不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、
前記(c)共重合体を、前記α,β−不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド樹脂、(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤、および(c)共重合体の合計量に対し0.06〜1.00質量%となるように含む、難燃性ポリアミド樹脂組成物。 - さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(d)無機強化材を240質量部以下の割合で含む、請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(e)変性水素化ブロック共重合体を15質量部以下の割合で含む、請求項3または4に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- さらに、前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、(f)高級脂肪酸金属塩を2質量部以下の割合で含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、リン原子を含有する難燃剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 前記(b)ハロゲン原子を含まない難燃剤が、アルキルホスフィン酸塩である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 水分率が0.1〜0.5質量%であるポリアミド樹脂を用いてなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された成形品。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された電気電子用部品。
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