JP5035947B2 - 難燃性ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。特に本発明は、高度な難燃性が要求される電気・電子分野のコネクター等の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料に好適に用いられる難燃性ポリアミド樹脂組成物、とりわけ、機械的強度に優れた成形品を与える難燃性ポリアミド樹脂組成物に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性などに優れることから、自動車部品、機械部品、電気・電子部品などの分野で使用されている。特に、電気・電子部品用途において、ますます難燃性に対する要求レベルが高くなり、本来ポリアミド樹脂の有する自己消火性よりもさらに高度な難燃性が要求され、この為、アンダーライターズ・ラボラトリーのUL94V−0規格に適合する難燃レベルの高度化検討が数多くなされ、そしてそれらは一般にハロゲン系難燃剤を添加する方法が取られている。
例えば、ポリアミド樹脂への塩素置換多環式化合物の添加(例えば、特許文献1)や臭素系難燃剤、例えば、デカブロモジフェニルエーテルの添加(例えば、特許文献2)、臭素化ポリスチレンの添加(例えば、特許文献3、特許文献4)、臭素化ポリフェニレンエーテルの添加(例えば、特許文献5)、臭素化架橋芳香族重合体の添加(例えば、特許文献6)、臭素化スチレン−無水マレイン酸重合体の添加(例えば、特許文献7)等が知られている。特にポリアミド樹脂の場合、臭素化ポリスチレンが好んで使われることが多く、これをガラス繊維等で強化したポリアミド樹脂に配合した組成物は高度の難燃性と高い剛性から、 電気・電子部品用途、特にブレーカーのカバー材用途やコネクター材用途等に多用されてきたが、より一層の機械特性の向上が求められている。
その為、機械特性を向上させるものとして、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を添加する技術(例えば、特許文献8)知られているが、この技術では、難燃性発現の為に必要な難燃剤を減量することが可能な為に、難燃材の耐衝撃性を大きく向上することができる、また、共重合体によってウェルド強度が向上するので、コネクター等でのピン圧入時の割れを大きく低減することもできる。
しかし、最近では高い耐衝撃性は低下させずに、更に強度や靭性を高めた材料が求められている。また、ブレーカーのカバー材等でもやはり高い耐衝撃性は低下させずに、一層強度の高い材料とりわけ、曲げ強度と曲げ撓みの両方に優れた材料が求められている。
特開昭48−29846号公報 特開昭47−7134号公報 特開昭51−47044号公報 特開平4−175371号公報 特開昭54−116054号公報 特開昭63−317552号公報 特開平3−168246号公報 特開平1−198662号公報
本発明の目的は、薄肉での難燃性、押出加工性、成型加工性、色調、ウェルド強度が優れており、高い耐衝撃性を低下させることなく、更に強度(引張強度、曲げ強度)や靭性(引張伸び、曲げ撓み)にも一層優れる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリアミドの全末端基(末端アミノ基+末端カルボキシル基)に占める末端アミノ基の比率を一定範囲内にしたポリアミドを含有してなるポリアミド樹脂が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(a)末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含む組成物であって、(c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレンおよび(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている、難燃性ポリアミド樹脂組成物である。
本発明によれば、薄肉での難燃性、押出加工性、成型加工性、色調、ウェルド強度が優れており、高い耐衝撃性を低下させることなく、更に強度(引張強度、曲げ強度)や靭性(引張伸び、曲げ撓み)にも一層優れる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供する。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
本発明の(a)ポリアミドとしては、例えば、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物などが挙げられ、具体的にはポリ(カプロラクタム)(以下ポリアミド6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(以下ポリアミド66と略す)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(以下ポリアミド46と略す)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(以下ポリアミド610と略す)、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド)(以下ポリアミド612と略す)、ポリ(ウンデカメチレンアジパミド)(以下ポリアミド116)、ポリ(ウンデカラクタム)(以下ポリアミド11と略す)、ポリ(ドデカラクタム)(以下ポリアミド12と略す)等の脂肪族ポリアミドやポリ(メタキシリレンアジパミド)(以下ポリアミドMXD6と略す)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)(以下ポリアミド6Tと略す)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)(以下ポリアミド6Iと略す)、ポリ(ノナメチレンテレフタルアミド)(以下ポリアミド9Tと略す)、ポリ(ドデカメチレンテレフタルアミド)(以下ポリアミド12Tと略す)、ポリ(テトラメチレンイソフタルアミド)(以下ポリアミド4Iと略す)等の芳香族成分を含むポリアミド及び上記の脂肪族ポリアミド同士や芳香族成分を含むポリアミド同士や脂肪族ポリアミド同士と芳香族成分を含むポリアミドの共重合体や混合物を挙げることができる。
(a)ポリアミドは、融点が高すぎると溶融加工時に難燃剤が分解してしまいガス成分が増える為に溶融加工性が低下する。また、融点が低すぎると成形品におけるHDT等の耐熱性が低下してしまう。従って、本発明に用いられる(a)ポリアミドは、融点が240℃以上270℃以下であることが好ましい。このような(a)ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド66、ポリアミドMXD6、66/6I共重合ポリアミド、66/6共重合ポリアミド、6I/6T共重合ポリアミド、66/6I/6T三元共重合ポリアミド、66/6I/6三元共重合ポリアミド、6/6I/6T三元共重合ポリアミドが挙げられ、また、これらのポリアミドやポリアミド6等の低融点ポリアミドと混合され、融点が240℃以上で且つ270℃以下のポリアミド樹脂も含まれる。
最も好ましくは、成形性、物性に優れるポリアミド66、66/6共重合ポリアミド、66/6I共重合ポリアミド、66/6I/6三元共重合ポリアミドであり、また、これらのポリアミドやポリアミド6等の低融点ポリアミドと混合され、融点が240℃以上で且つ270℃以下のポリアミド樹脂も含まれる。また、これらの中で66/6I共重合ポリアミドについては、成形性の観点から以下のものが好ましい。(1)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位60〜95質量%及びポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40質量%からなる共重合体;(2)ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)単位50〜94質量%、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)単位5〜40質量%及びポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド単位1〜10質量%からなる3元共重合体。また、上記(2)中のポリ(ヘキサメチレンアジパミド)以外の脂肪族ポリアミド単位としては、ポリ(カプロラクタム)即ちポリアミド6の単位などが挙げられる。
本発明の(a)ポリアミドの分子量は、成形可能な範囲の物であれば良く、ASTM D789に準じて求まる相対粘度(RV)にして20〜70の範囲にあるポリアミドが、成形流動性が良好でかつ高度な難燃レベルを保持できるので特に好ましい。更に好ましくは30〜60の範囲であり、最も好ましくは35〜55である。相対粘度(RV)は、溶媒としては90%ギ酸、3g(ポリアミド)サンプル/30mlギ酸の濃度で、25℃の温度条件下で行う。
本発明に用いられる(a)ポリアミドの末端アミノ基比率とは、ポリアミドの末端アミノ基濃度(NH2)と末端カルボキシル基濃度(COOH)との総和に対する末端アミノ基濃度(いずれの濃度単位もミリ当量/kgポリマーである)の割合を百分率にて表したものである。
本発明の(a)ポリアミドは、末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミドである。末端アミノ基比率が、51%未満では、強度(引張強度、曲げ強度)や靭性(引張伸び、曲げ撓み)の面での大きな向上効果が発現せず、85%を越えるとポリアミドの重合速度が小さくなるため、ポリアミドの生産性が低下したり、成形品の外観が著しく低下してしまう。好ましくは、53〜80%、更に好ましくは55〜75%、最も好ましくは、57〜70%である。
本発明に用いる(a)ポリアミドの末端アミノ基濃度の制御方法としては、例えば重合時にジアミンとジカルボン酸の等モル塩等のポリアミド原料に、更に、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノアミン、モノアミンを一種又は複数種、末端基調整剤として所定量添加(配合)することにより可能である。具体的な例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ウンデカン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸フェニル酢酸等のモノカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸等のジカルボン酸、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等のモノアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等のジアミンが挙げられる。酢酸、アジピン酸、ヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミン等でポリアミドの末端基を制御するのが、製造効率的に簡便で好ましい。
本発明における末端アミノ基濃度(単位:ミリ当量/kg)及び末端カルボキシル基濃度(単位:ミリ当量/kg)の測定方法としては、末端アミノ基濃度に関しては、例えば、所定量の試料を90%フェノール水溶液に溶解して、25℃にて1/50N塩酸で電位滴定し算出する方法が挙げられる。又末端カルボキシル基濃度に関しては、例えば、所定量の試料を160℃のベンジルアルコールに溶解して、1/10NNaOHのエチレングリコール溶液で、指示薬としてフェノールフタレインを使用して滴定し算出する方法が挙げられる。
本発明における(a)ポリアミドの水分は、特に限定しないが、(a)ポリアミドのペレット水分率を0.1〜0.5質量%に調整して、溶融混練(コンパウンド)することが好ましい。水分率が0.1質量%未満だと押出時の溶融加工による熱による色調の変化(b値が増大し黄色く変色)が大きくなり、白色から離れていく傾向がある。更に難燃剤、強化材などを含む場合には、押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になる。一方、水分率が0.5質量%を越えると、溶融混練(コンパウンド)時のフィードが安定せず、生産が安定しなかったり、加水分解によりポリアミドの分子量を低下させて機械的特性の大きな低下等を招くこともある。ペレット水分率のより好ましい範囲は、0.12〜0.4質量%である。特に好ましいのは0.15〜0.3質量%である。
ポリアミド樹脂ペレットの水分率の調整方法は、既知の方法で行うことができる。溶融重合したポリアミド樹脂を水で冷却固化してペレット化する際に通常よりも水浴への浸漬を長くする方法、ペレットを水とブレンドして撹拌する方法、ペレットに霧状の水を噴霧する方法、ペレットに水蒸気を吹きかける方法、ペレットを大気中で自然吸湿させる方法等が挙げられる。特に、ペレットに霧状の水を噴霧させる方法が、任意の水分率に簡便に調整することができ、かつ、水分の偏在も少なくできるので特に好ましい。水分率の調整はペレット化した後のなるべく早い段階で行うことが、酸素の吸着を防ぐ意味からも好ましい。
(a)ポリアミドの水分の測定方法は、既知の方法で行うことができる。例えば、カールフィッシャー水分計を用いたISO 15512(他にはJIS K7251に示されるB法(水分気化法)等)での測定が挙げられる。
本発明の(b)臭素化ポリスチレンとしては、特に制限しないが、例えば、スチレン単量体を重合してポリスチレンを製造した後、ポリスチレンのベンゼン環を臭素化したり、臭素化スチレン単量体(ブロモポリスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン等)を重合する方法により製造することができる。
(b)臭素化ポリスチレン中の臭素含有量は55〜75質量%が好ましい。臭素含有量が55質量%未満になると、難燃化に必要な臭素量を満足させるための臭素化ポリスチレンの配合量が増加し、一般物性、ウェルド部物性、耐熱性の低下につながりうる。また、臭素含有量が75質量%を越えると臭素化ポリスチレンの熱安定性が低下する為に、押出や成形等の溶融加工時に熱分解を起こし易くなり、ガス発生等の原因となったり、熱による変色を受け易くなる。
(b)臭素化ポリスチレンの分子量は特に制限しないが、高い方が熱安定性の面で好ましい。さらに分子量が、数平均分子量(Mn)が5000〜25000の範囲にあるものが、押出性に優れるので好ましい。数平均分子量が、5000未満だと押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になることがある。また、ストランドが途中で切れ易くなったり、生産性が低下したりすることもある。(b)臭素化ポリスチレンの数平均分子量が、25000を越えると溶融粘度が非常に高くなり、押出時のトルクが上昇し、吐出量(生産量)が制限を受けたり、成形時にも流動性が低下する傾向がある。より好ましくは、数平均分子量が、7000〜21000の範囲にあるものであり、更に好ましくは、9000〜17000の範囲にあるものである。
また、重量平均分子量(Mw)についても特に制限しないが、50000〜150000の範囲にあるものが、押出性に優れるので好ましい。重量平均分子量が、50000未満だと押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になることがある。また、ストランドも途中で切れ易くなり、生産性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が、150000を越えると溶融粘度が非常に高くなり、押出時のトルクが上昇し、吐出量(生産量)が制限を受けたり、成形時にも流動性が低下したりすることがある。より好ましくは、重量平均分子量が、70000〜13000の範囲にあるものであり、更に好ましくは、90000〜110000の範囲にあるものである。
(b)臭素化ポリスチレン中の不純物については、できるだけ少ない方が溶融加工時のガス化が抑えられるので好ましい。特に、エラストマー成分(例えば、変性水素化ブロック共重合体成分)を含む難燃組成物においては、塩素分や硫黄分等の不純物がエラストマーの熱時劣化を促進するため、溶融加工時のガス化量が一層大きくなる。そのため、例えば好ましいものとしては、臭素化ポリスチレンの元素分析において、塩素は元素として2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下であり、硫黄は元素として、100ppm以下、より好ましくは50ppm以下のものが挙げられる。
本発明の(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えば下記の一般式で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 0005035947
上式においてR1およびR2は水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、kは1〜5の整数である。具体的にはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。一方、(c)共重合体に用いられるα,β不飽和ジカルボン酸無水物としては、例えば下記の一般式で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 0005035947
上式においてR3およびR4は水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。具体的には無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸等が挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体の芳香族ビニル化合物成分が臭素化ポリスチレンと親和し、α,β不飽和ジカルボン酸無水物部分がポリアミドと親和ないし反応することにより、ポリアミドマトリックス中に臭素化ポリスチレンが分散するのを助け、微分散せしめていると考えられる。その一方、臭素化ポリスチレン、ポリアミドを含むこの系においては、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分によるポリアミドの劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。そのため、本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、特にα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分についての量を調整することが重要である。α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の量については後述する。
(c)共重合体における、芳香族ビニル化合物成分とα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分との割合は、質量比で、50:50〜99:1が好ましい。芳香族ビニル化合物成分が少なすぎるとα,β不飽和ジカルボン酸無水物によるポリアミドの劣化を誘発し易くなる。また、芳香族ビニル化合物成分が多くα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が少なすぎると、ポリアミドと十分に親和ないし反応させるために(c)共重合体を多く配合する必要が生じ、組成物機械物性、難燃性の点で好ましくない。好ましくは(c)共重合体において、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が5〜20質量%、更に好ましくは8〜15質量%である。
本発明の(d)無機強化材は任意成分であり、本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、更なる難燃性、機械特性の向上を図る際には、本成分を添加することができる。
(d)無機強化材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。これらの強化材は二種以上組み合わせて用いてもよい。特にガラス繊維等の繊維状強化材が高い物性を発現するので好ましく使用される。
また、ガラス繊維は長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることが出来る。ガラス繊維は表面処理した物を用いるのが好ましい。とりわけ、ガラス繊維を用いると、物性が特に優れるため特に好ましい。そのなかでもガラス繊維の平均繊維径5〜20μmが好ましい。また、ポリアミド樹脂用にガラス繊維表面を処理したものが優れた物性を付与するので一層好ましい。
本発明の(e)変性水素化ブロック共重合体は任意成分であり、本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、更なる機械特性(特に耐衝撃性等)の向上を図る際には、本成分を添加することができる。その一方、押出が難しい臭素化ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含むこの系においては、さらに当成分が含まれることによって、一層ポリアミドや変性水素化ブロック共重合体の劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。そのため、本成分についても、成分や変性率、分子量、そして特に添加量に注意が必要である。
本発明の(e)変性水素化ブロック共重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の水素化物とからなる水素化ブロック共重合体が挙げられる。これは、ビニル芳香族化合物重合体ブロックAとオレフィン系化合物重合体Bからなる水素化ブロック共重合体を不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した物であって、該水素化ブロック共重合体はビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系化合物重合体ブロックとより成るブロック共重合体の共役ジエン部分を選択的に水素化することによって得られる物である。
上記のビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン系化合物重合体ブロックより成るブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(X)と(X’)および共役ジエン系化合物重合体ブロック(Y)(ただし、XとX’は同じであっても異なっていても良い。)より成るブロック共重合体で(XY)n、X−Y−X’、X−(Y−X−Y)n−X、X−(Y−X)n−Y(式中nは1乃至10の整数である。)で表される線状ブロック共重合体、あるいは一般式[(Y−X)nm+2−Z、[(X−Y)nm+2−Z、[(Y−X)n−Y]m+2−Z、[(X−Y)n−X]m+2−Z(式中mは1乃至4の整数であり、Zは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズなどのカップリング剤の残基又は、多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるラジアルブロック共重合体が挙げられる。
ここで用いられるビニル芳香族化合物として代表的な化合物には、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルビニルキシレン、ビニルナフタリンおよびこれらの混合物が挙げられ、また共役ジエン系化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン又は2,3−ジメチルブタジエンおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ビニル芳香族化合物としてはスチレン、共役ジエン系化合物としてはブタジエンである。
これらのブロック共重合体の末端ブロックは、同じであっても異なっていてもよい。これらのブロック共重合体の数平均分子量は10000〜800000、好ましくは20000〜500000である。また、ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は10〜70質量%が好ましく、より好ましくは15〜55質量%である。特に好ましくは18〜45質量%である。
本発明の(e)変性水素化ブロック共重合体に用いる水素化ブロック共重合体は前記のブロック共重合体の共役ジエン系化合物重合体ブロックを選択的に水素化することによって得られる物であり、例えば、特公昭42−8704号公報記載の方法で、つまり、n−ヘキサンとシクロヘキサンの混合溶媒中でナフテン酸コバルトとトリエチルアルミニウムを触媒として水素を添加することにより、ビニル芳香族化合物ブロックの芳香族二重結合の20%を越えない部分および共役ジエン化合物重合体の脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されている水素化ブロック共重合体が合成される。
本発明で言うブロックBの不飽和度とは、水素化ブロック共重合体のブロックBに含まれる炭素−炭素二重結合の割合を意味する。これは、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外線吸収スペクトル(IR)等の機器分析、ヨード滴定法等の化学分析により測定される。これらの水素化ブロック共重合体は一種のみならず二種以上を混合して用いることもできる。
本発明で用いられる(e)変性水素化ブロック共重合体は、前記水素化ブロック共重合体に不飽和カルボン酸又はその誘導体を付加させることにより得ることができる。水素化ブロック共重合体に付加させる不飽和カルボン酸又はその誘導体の例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びその無水物、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸及びその無水物、マレインイミド等が挙げられるが、これらのなかでは無水マレイン酸が特に好ましい。この変性水素化ブロック共重合体は、例えば水素化ブロック共重合体に不飽和カルボン酸又はその誘導体を溶液状態または溶融状態において、ラジカル開始剤を使用あるいは使用せずに付加せしめることによって得られる。変性共重合体の製造方法については特に限定しないが、得られた変性ブロック共重合体がゲル等の好ましくない成分を含んだり、その溶融粘度が著しく増大して加工性が悪化したりする製造方法は好ましくない。好ましい方法としては、押出機中で、ラジカル開始剤存在下で、水素化ブロック共重合体と不飽和カルボン酸またはその誘導体と反応させる方法がある。
(e)変性水素化ブロック共重合体の変性量は、未変性の水素化ブロック共重合体100質量部当たり0.05〜3質量部であることが必要であり、好ましくは0.15〜1.8質量部である。変性量が0.05質量部未満では、変性共重合体としての効果が小さく、ポリアミドとの相溶性が低くなり、特に組成物にしたときの機械的特性の改良効果が小さく、成形品の折れ、割れ防止の改良効果が小さくなる。また変性量が3質量部を越えると溶融加工時の粘度が大きく上昇し、押出時にはトルクの上昇、成形時には成形性の低下及び成形品外観の悪化に繋がる。
本発明の(f)高級脂肪酸金属塩は任意成分であり、本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、押出が難しい臭素化ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含む系やさらに変性水素化ブロック共重合体を添加した系においては、押出性等の溶融加工性に向上が見られる当成分を添加することができる。
本発明の(f)高級脂肪酸金属塩としては、特に限定されないが、すぐれた溶融加工性を示し、難燃性の低下させないためには、例えば炭素数で10から32であるカルボン酸の金属塩である。具体的にはカプリン酸、ウラデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビル酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸、2−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、ガドレイン酸、ガドエライジン酸、11−エイコセン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。添加する際は、これら高級脂肪酸金属塩を1種類で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
本発明組成物には、難燃助剤として金属酸化物を添加することができる。特に高度な難燃性、たとえば厚さ0.8mmにおいて米国のUL94規制のV−0規格に合格するためには難燃助剤が必要である。しかし、一方ではこれら難燃助剤は、臭素化ポリスチレンと同じく、或いはより大きくウェルド部強度や引張強度を低下させる。従って、難燃助剤の量は必要最少限にとどめるべきである。このような金属酸化物としては、例えば、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等の酸化アンチモン類、一酸化スズ、二酸化スズ等の酸化スズ、酸化第二鉄、γ酸化鉄等の酸化鉄類、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化カルシウム,酸化銅,酸化チタン,酸化アルミニウム等が挙げられる。これら難燃助剤は、一種単独又は二種以上組み合わせて用いることができる。なかでも難燃性効果の点から、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン等の酸化アンチモン類やホウ酸亜鉛が好ましく、三酸化二アンチモンが最も好ましい。さらに難燃効果を上げるためには難燃助剤としては、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましい。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、成形加工時の発生ガス量をより低減する目的や金型腐食性をより低減する目的の為に、金属化合物、具体的には金属酸化物、金属水酸化物や金属炭酸塩、中でも好ましくはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物や炭酸塩を添加することができる。
アルカリ土類金属酸化物としては、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ラジウム等が挙げられる。特に、酸化カルシウム、酸化マグネシウムがガス発生の抑制効果が大きく好ましい。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化ラジウム等が挙げられる。特に水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムがガス発生の抑制効果が大きく好ましい。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。特に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムがガス発生の抑制効果が大きく好ましい。これらの金属化合物の中でも、酸化カルシウムが、少量の添加でガス発生抑制効果が特に大きく、物性の低下、成形性の悪化現象もないので特に好ましい。
これらの金属化合物の粒径は特に限定はないが、物性低下を招かない為には100μm以下であることが好ましい。
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(c)共重合体が、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている組成物である。本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体の芳香族ビニル化合物成分が(b)臭素化ポリスチレンと親和し、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミドと親和ないし反応することにより、ポリアミドマトリックス中に臭素化ポリスチレンが分散するのを助け、微分散せしめていると考えられる。一方、(b)臭素化ポリスチレン、(a)ポリアミドを含むこの系においては、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分によるポリアミドの劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。これらを考慮すると、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物においては、(c)共重合体全体の量よりも(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレンおよび(c)共重合体の総計に対するα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分の量(割合)を最適な範囲とすることが、より重要である。より具体的には、上記のα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレンおよび(c)共重合体の総計に対し0.06質量%未満の場合は、難燃性が大きく低下してしまう。これは、臭素化ポリスチレンの微分散が十分でない為だと考えられる。さらにウェルド部の強度が低くなってしまうという問題もある。一方、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレンおよび(c)共重合体の総計に対し0.75質量%を越えると、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分によるポリアミドの劣化を誘発し易くなってしまう。さらに押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になってしまう。さらに加えて、ストランドも途中で切れ易くなり、生産性が低下してしまう。以上より、本発明に係る難燃性折アミド樹脂組成物において(c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレンおよび(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合され、より好ましくは、0.1〜0.6質量%、更に好ましくは、0.2〜0.5質量%である。
上記以外に配合量の制限は特にないが、好ましい範囲を以下に挙げる。ここでは、(a)末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミドを100質量部とした場合の各成分の配合量として記載する。
(b)臭素化ポリスチレンの質量割合は、30〜60質量部の範囲である。30質量部未満の場合には、難燃効果が充分でなく、60質量部を越える場合には、溶融混練時に分解ガスが発生したり、成形加工時に流動性が低下したり、成形金型に汚染性物質が多く付着するなどの問題が生じることがある。又、機械的物性の著しい低下や、成形品外観の悪化の原因ともなりうる。より好ましくは、35〜55質量部、更に好ましくは、40〜50質量部である。
(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体の質量割合は、0.5〜15質量部の範囲である。0.5質量部未満の場合は、相溶化によるポリアミド中での臭素化ポリスチレンの微分散が十分でない為だと考えられるが、難燃性が大きく低下してしまうことがある。さらにウェルド部の強度が低くなる傾向がある。15質量部を越える場合には、ポリアミドがもつ強度等の特性が失われやすくなり、ポリアミドの劣化を誘発し易くなってしまう。さらに押出時のストランドに毛羽立ちが目立ち、ストランド冷却バスの水分を持ち込み易くなり、ペレタイズした後に乾燥工程が必要になったり、ストランドが途中で切れ易くなり、生産性が低下してしまうこともある。より好ましくは、1〜10質量部、更に好ましくは、2〜5質量部である。
(d)無機強化材は、任意成分であり、添加する際の質量割合は0〜240質量部、好ましくは15〜240質量部の範囲である。15質量部未満の場合には、強度、難燃性において一層の大きな向上を得難く、240質量部を越える場合には、混練時に分解ガスが発生したり、成形加工時に成形金型に汚染性物質が付着するなどの問題が生じることがある。又、機械的物性の著しい低下や、成形品外観の悪化の原因ともなりやすい。より好ましくは、25〜160質量部、更に好ましくは、38〜110質量部である。
(e)変性水素化ブロック共重合体は、任意成分であるが、更なる機械特性(特に耐衝撃性等)の向上を図る際には、本成分を添加することが非常に有効である。その一方、押出が難しい臭素化ポリスチレン、ポリアミド、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含むこの系においては、さらに当成分が含まれることによって、一層ポリアミドや変性水素化ブロック共重合体の劣化を誘発し易くなってしまい、押出、成形等の溶融加工時にガスの発生等の原因になりうる。そのため、本成分については、特に添加量に注意が重要である。
添加する際の質量割合は0〜15質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲である。0.5質量部未満の場合には、機械的特性(特に耐衝撃性)の改良効果が比較的小さく、15質量部を越える場合には、溶融加工時の粘度が大きく上昇し、押出時にはトルクの上昇、成形時には成形性の低下及び成形品外観の悪化に繋がってしまうことがある。また、難燃性の向上効果が阻害され易くなり、更にポリアミドがもつ強度等の特性が失われてしまう。より好ましくは、1〜10質量部、更に好ましくは、2〜6質量部である。
(f)高級脂肪酸金属塩は、任意成分であり、添加する際の質量割合は0〜2質量部、好ましくは0.1〜2質量部の範囲である。0.1質量部未満の場合には、更なる溶融加工性、機械特性の向上効果が比較的小さく、2質量部を越える場合には、押出性等の溶融加工性にある程度以上の向上効果が見られず、また、難燃性が低下してしまうこともある。より好ましくは、0.15〜1.5質量部、更に好ましくは0.2〜1質量部である。
難燃助剤としての金属酸化物は、任意成分であるが、添加する際の質量割合は1〜20質量部の範囲である。1質量部未満では、更なる難燃性の向上効果が小さく、20質量部を越える場合には、溶融加工時の粘度が大きく上昇することがあり、押出時にはトルクの上昇、成形時には成形性の低下及び成形品外観の悪化に繋がってしまう。また、ポリアミドがもつ靭性や改良された耐衝撃性等の特性が失われる傾向がある。より好ましくは、2〜15質量部、さらに好ましくは4〜10質量部である。
成形加工時の発生ガス量を低減したり、金型腐食性を低減する目的の金属化合物は、任意成分であるが、添加する際の質量割合は、0.01〜5質量部の範囲である。0.01質量部未満の場合には、添加無しの系との差がほとんどなく、5質量部を越える場合には、量的な改良効果が認められないばかりか、機械的物性低下や成形流動性の低下を招いてしまう。より好ましくは、0.05〜2質量部、更に好ましくは、0.1〜1質量部である。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば他の難燃剤、他のエラストマー、フィブリル化剤、顔料、染料等の着色剤(着色マスターバッチ含む)や、ポリアミド樹脂の一般的な熱安定剤である銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系化合物酸化劣化防止剤に代表される有機系熱安定剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、帯電防止剤、流動性改良剤、他の充填剤、補強剤、展着剤、他のポリマー等を任意の段階で添加することができる。
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定はなく、ポリアミド、臭素化ポリスチレン、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体、無機強化材(任意成分)、変性水素化ブロック共重合体(任意成分)、高級脂肪酸金属塩(任意成分)、金属酸化物(任意成分)を常用の単軸又は2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて、樹脂の融点等に応じて、200〜350℃の温度で溶融混練することが一般的であるが、機械特性を維持するために、ポリアミド、臭素化ポリスチレン、芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体、変性水素化ブロック共重合体(任意成分)、高級脂肪酸金属塩(任意成分)、金属酸化物(任意成分)を添加した後に、無機強化材(任意成分)を添加し混練するのが好ましい。また、無機充填剤の添加方法は、サイドフィード方式が良い。さもないとこれらの表面処理剤がα,β不飽和ジカルボン酸無水物と反応し好ましくない結果となる場合がある。そのため、予めα,β不飽和ジカルボン酸無水物とポリアミドをよく親和ないし反応させる為に、この両者をよく混練させることが重要である。
本発明の組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によってコネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品に成形される。また、この組成物の成形品が持つ特性は、特に電気・電子用途部品に適している。特に、高い難燃性、高い耐衝撃性、高いウェルド強度に加えて高い強度や靭性を付与したものが望まれる材料(例えば、ブレーカーの内部や外部のカバー材)に適している。
次に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例に用いた原材料及び測定方法を以下に示す。
[原材料]
(a)末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミド
40Lのオートクレーヴを用いて、以下の末端基濃度のポリアミドを重合した。添加する末端基調整剤の種類や量により末端基を調整、溶融重合したポリアミドを下部ノズルからストランド状に取り出し、水で冷却固化してペレット化する際に、水浴への浸漬の長さを調整して、水分率が調整されたポリアミドペレットを得た。
(a−1)ポリアミド1 ギ酸相対粘度(RV)=48.0、水分率=0.15質量%
末端アミノ基比率=75.5ミリ当量/kg(59%)、末端カルボキシル基=52.1ミリ当量/kg(41%)
(a−2)ポリアミド2 水分率=0.05質量%に調整した。それ以外はポリアミド1と同様。
(a−3)ポリアミド3 ギ酸相対粘度(RV)=48.4、水分率=0.15質量%
末端アミノ基比率=54.1ミリ当量/kg(43%)、末端カルボキシル基=72.9ミリ当量/kg(57%)
(b)臭素化ポリスチレン
(b−1)ALBEMARLE CORPORATION製 商品名 SAYTEX HP−7010G (元素分析より 臭素含有率:63質量%、塩素含有率:170ppm。GPCより数平均分子量(Mn):11000、重量平均分子量(Mw):101000)
(b−2)ALBEMARLE CORPORATION製 商品名 PYRO−CHEK 68PBC (元素分析より 臭素含有率:62質量%、塩素含有率:5000ppm。GPCより数平均分子量(Mn):15000、重量平均分子量(Mw):99000)
(b−3)ALBEMARLE CORPORATION製 商品名 SAYTEX HP−3010G (元素分析より 臭素含有率:63質量%、塩素含有率:100ppm。GPCより数平均分子量(Mn):2600、重量平均分子量(Mw):4000)
(c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体
(c−1)スチレンと無水マレイン酸の共重合体 NOVA Cemicals Inc.製 商品名 DYLARK 332(スチレン85質量%、無水マレイン酸15質量%の共重合体)
(d)無機強化材
(d−1)ガラス繊維(GF) 旭ファイバーグラス(株)製 商品名 03JA416(平均繊維径10μm)
(e)変性水素化ブロック共重合体
(e−1)無水マレイン酸変性された水素化スチレン−ブタジエン共重合体 旭化成ケミカルズ(株)製 商品名 タフテックM1943
(f)高級脂肪酸金属塩
(f−1)ステアリン酸カルシウム 和光純薬工業(株)製 商品名 ステアリン酸カルシウム
(金属塩ではないが、)(f−2)ステアリン酸ステアレート 和光純薬工業(株)製 商品名 ステアリン酸ステアリル
(難燃助剤)三酸化二アンチモン 第一エフ・アール(株)製 商品名 三酸化アンチモン
[測定方法]
(1)ポリアミド末端基濃度
(i)末端アミノ基濃度の測定
末端アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂をフェノールに溶解し、0.02N塩酸で滴定して測定し、滴定曲線の変曲点から当量点を求め、次式で算出した。
末端アミノ基濃度=F×(A−B)×0.02/(S/1000)(ミリ当量/kg)
F(−):0.02N塩酸のファクター
A(ml):0.02N塩酸の滴定量
B(ml):フェノールの当量点量
S(g):ポリアミド樹脂量
(ii)末端カルボキシル基濃度の測定
末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂を170±5℃のベンジルアルコールに溶解し、0.1NNaOHのエチレングリコール溶液で滴定して測定し、フェノールフタレインの変色から当量点を求め、次式で算出した。
末端カルボキシル基濃度=F×A×100/S(ミリ当量/kg)
F(−):0.1NNaOHのエチレングリコール溶液のファクター
A(ml):0.1NNaOHのエチレングリコール溶液の滴定量
S(g):ポリアミド量
(2)水分率
ポリアミドペレットをISO 15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計を用いて水分率を測定した。
(3)相対粘度
相対粘度(RV)は、溶媒としては90%ギ酸、3g(ポリアミド)サンプル/30mlギ酸の濃度で、25℃の温度条件下で行い、詳細はASTM D789に準拠した方法で測定した。
(4)押出性
組成物を作製するに当たり、二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hrの条件下で行ったが、この条件で溶融混練して、ストランド状に取り出した際、そのストランドの表面を目視で観察し、毛羽立ちなく滑らかであるものを(◎)、毛羽立ちはほとんどないが多少滑らかさが小さいものを(○)、多少毛羽立ちがあるがほとんど問題のないものを(△)、毛羽立ちしてしまい、ペレタイズ後のペレットを手で触った際に手に水分が付着するほど水を持ち込んだものを(×)とした。
同時に、押出機の紡口から出てきたストランド状の溶融樹脂から発生する分解ガス(白い煙、臭気)についても評価を行った。ほとんどガスの発生のないものを(◎)、多少ガスの発生が見られるものを(○)、ガスの発生が見られるがストランドが切れないものを(△)、ガスの発生が見られ、ストランド切れが頻発し、生産性が低下したものを(×)とした。
(5)機械特性
射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて、ASTM D638の引張試験片(厚さ3mm)を成形し、 ASTM D638に準拠した方法で引張試験を実施し、引張強度、引張伸度を求めた。同様に、ASTM D790に準拠した方法で曲げ試験を実施し、曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。またその際、曲げ破壊が起こった変位量(mm)を曲げ撓みとし、その値も求めた。さらに、ASTM D256に準拠した方法でIZOD衝撃試験を実施し、IZOD衝撃値を求めた。
(6)難燃性(UL−94VB)
UL94(米国Under Writers Laboratories Incで定められた規格)の方法を用いて測定を行った。なお試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚みは1/32インチ)は射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)を用いて成形して得た。
難燃等級には、UL94垂直燃焼試験によって分類される難燃性のクラスを示した。分類方法の概要は以下の通り。その他詳細はUL94規格に準じる。
V−0
綿着火無し 平均燃焼時間5秒以下 最大燃焼時間10秒以下
V−1
綿着火無し 平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
V−2
綿着火有り 平均燃焼時間25秒以下 最大燃焼時間30秒以下
規格外
上記3項目に該当しないものや試験片を保持するクランプまで燃え上がってしまった場合
(7)ウェルド強度
長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mmの形状の長さ方向の両端から、溶融樹脂が流れ込み、長さ方向の中央部にウェルドが形成されるような金型を取り付けた、射出成形機(日精工業(株)製:PS40E)で成形を行い、試験片を得た。この成形した試験片をチャック間距離50mm、引張速度50mm/minにしたこと以外は、ASTM D638に準拠した方法で引張試験を実施し、引張強度を求めた。
(8)色調
溶融混練後のペレットを日本電色工業(株)製の色差計ND−300Aで測定し、b値で判定した。b値は、−(負)で絶対値が大きいほど、色調は白くて良好であり、+(正)で絶対値が大きいほど、黄色く着色が起こっており、色調としては好ましくないことを示す。
実施例及び比較例
表1に示す組成物を得た。
〔実施例1〕
原材料はa−1が100.0質量部、b−1が45.0質量部、難燃助剤が7.0質量部、c−1が4.0質量部、d−1が70.0質量部、e−1が4.0質量部、f−1が0.5質量部となるように用意し、押出機の上流側(トップの位置)に1ヶ所(以下top−Fと略記)と、押出機のダイに近い下流側に供給口(以下side−Fと略記)を有する二軸押出機(東芝機械製:TEM35)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転300rpm、吐出量50kg/hr、ベント真空度−40cmHgの条件下で、b成分とd成分を除く成分を予めブレンドしたもの重量式フィーダー1を用いてtop−Fから、b成分は2つ目の重量式フィーダー2を用いて同じくtop−Fから、d成分は3つ目の重量式フィーダー3を用いてside−Fから合計の吐出量が50kg/hrになるようにそれぞれ調節して供給し、溶融混練してストランド状に取り出し、ストランドバス(水槽)で冷却後、カッターで造粒しポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。また、ストランドのストランドバスへの浸漬長を調節して、ペレット水分が、0.04〜0.06質量%の範囲になるようにした。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、ウェルド強度、色調を調べた。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
原材料のa−1をa−3に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、ウェルド強度を調べた。その結果を表1に示す。
比較例1と実施例1とを比較すると、引張強度、引張伸度、曲げ強度、曲げ撓み等において、実施例1のほうがより優れていた。
〔比較例2〕
原材料のc−1の量を0質量部(即ち、添加しない)に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性(引張試験のみ)、難燃性、ウェルド強度を調べた。その結果を表1に示す。
芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含まない比較例2のポリアミド樹脂組成物は、難燃性に劣り、規格外であった。
〔実施例2〕
原材料のc−1の量を1.5質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性(引張試験、IZOD衝撃試験のみ)、難燃性、ウェルド強度を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
原材料のc−1の量を3.0質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、ウェルド強度を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
原材料のc−1の量を5.5質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性(引張試験、IZOD衝撃試験のみ)、難燃性、ウェルド強度を調べた。その結果を表1に示す。
〔比較例3〕
原材料のc−1の量を10.0質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、(c)共重合体の総計に対する、α,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が0.97質量%と高い比較例3のポリアミド樹脂組成物は、押出性が非常に悪く、生産性が低かった為に、それ以上の評価は行わなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
原材料のa−1をa−2に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、色調を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例6〕
原材料のe−1の量を0質量部(即ち、添加しない)に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例7〕
原材料のb−1をb−2に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、色調を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例8〕
原材料のb−1をb−3に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例9〕
原材料のf−1の量を0質量部(即ち、添加しない)に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例10〕
原材料のf−1をf−2に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例11〕
原材料のd−1の量を53質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、ウェルド強度、色調を調べた。その結果を表1に示す。
〔実施例12〕
原材料のd−1の量を40質量部に変更した。それ以外は、実施例1と同様に溶融混練して、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。その際に、押出性の評価を行った。
また、得られたペレットを前記した測定方法にて、機械特性、難燃性、ウェルド強度、色調を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 0005035947
本発明は、薄肉での難燃性、押出加工性、成型加工性、色調、耐衝撃性、ウェルド強度が優れており、更に強度(引張強度、曲げ強度)や靭性(引張伸び、曲げ撓み)にも一層優れる難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供できるため、高い難燃性、高い耐衝撃性、高いウェルド強度、さらに高い強度や靭性を付与したものが望まれる用途分野において非常に有用である。例えば、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等電気・電子部品、自動車用途が挙げられる。

Claims (10)

  1. (a)末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミド、
    (b)臭素化ポリスチレン、および
    (c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体を含み、
    (c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  2. さらに、(d)無機強化材、(e)変性水素化ブロック共重合体、および(f)高級脂肪酸金属塩からなる群の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  3. (a)末端アミノ基比率が51〜85%の範囲にあるポリアミド100質量部、
    (b)臭素化ポリスチレン30〜60質量部、および
    (c)芳香族ビニル化合物とα,β不飽和ジカルボン酸無水物の共重合体0.5〜15質量部を含み、
    (c)共重合体は、そのα,β不飽和ジカルボン酸無水物成分が、(a)ポリアミド、(b)臭素化ポリスチレン、および(c)共重合体の総計に対し0.06〜0.75質量%となるように配合されている、難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  4. さらに、(d)無機強化材を0〜240質量部含む、請求項3に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  5. さらに、(e)変性水素化ブロック共重合体を0〜15質量部含む、請求項3または4に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  6. さらに、(f)高級脂肪酸金属塩を0〜2質量部含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  7. (b)臭素化ポリスチレンの数平均分子量(Mn)が5000〜25000である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  8. 水分率を0.1〜0.5質量%に調整した(a)ポリアミドを溶融混練する際の原料として用いて溶融混練される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8いずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物から成形された電気・電子用途部品。
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