JP6128643B2 - ポリアミド樹脂組成物、およびそれよりなる成形体 - Google Patents
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上記の問題点を解消する方法として、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂に、アルミニウムなどの金属粉や、マイカ、ワラストナイト、ガラスなどの表面に金属を被覆した光沢性粒子を充填した樹脂組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド樹脂に対し、メタリック色を発現する粒子を配合したポリアミド樹脂組成物が開示されている。特許文献2には、ポリアミド樹脂、金属フレークを含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている。
本発明は、メタリック発色性に優れ、成形性の良いポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。このようなポリアミド樹脂組成物を用いることにより、得られる成形体の表面平滑性を向上し、表面光沢感が高く、フローマークを低減することができる。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(2)層状珪酸塩(B)が、脂肪族ポリアミド樹脂(A)に分散されたものであることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12から選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライトから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)メタリック顔料(C)が、アルミ、鉄またはそれらの酸化物、チタンコーティングされたマイカから選ばれる1種であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0、である)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
満であると、剛性に劣り溶融混合した際に、形状を保つことが難しくなる。したがって、ポリアミド樹脂組成物において、十分な輝度、クリア感を得ることが難しくなる。平均厚みが10μmを超えるとメタリック顔料(C)の分散性に劣り、メタリック顔料(C)が重なった場合に得られる成形体の表面平滑性が低下し、結果的に輝度、クリア感が劣ったものとなる。メタリック顔料(C)の平均厚みは、電子顕微鏡によるメタリック顔料50個測定の単純平均により算出することができる。
メタリック発色性の発現機構の詳細は明らかではないが、成形時に形成される表層が金型で冷却されるときに、結晶化が低下していることによって収縮およびヘイズが低下し、その結果揺らぎのないクリア感のある表層が形成されると考えられる。一方内層は層状珪酸塩を分散させたポリアミド樹脂本来の性質から結晶化が十分おこり、表層との透過性の差が生まれるため、成形体の厚み方向に対し視覚効果が高まり、その結果メタリック発色性が発現するものと推測される。その効果の高い点で、塩化リチウムが特に好ましい。
本発明において、ポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分に対し層状珪酸塩(B)を分散しポリアミド樹脂組成物を得た後、メタリック顔料(C)およびハロゲン化リチウム(D)を溶融混合する方法や、脂肪族ポリアミド樹脂(A)に対し、層状珪酸塩(B)、メタリック顔料(C)、ハロゲン化リチウム(D)を一括または複数回に分けて別々に溶融混練する方法が挙げられるが、得られる成形体が有するメタリック感を一層高めるためには、前者の方法がより好ましい。メタリック顔料(C)の混練による破砕あるいは折損を極力抑制するためには、押出機のスクリューは二軸のものよりも単軸のものが好ましい。メタリック顔料(C)は、他の原料とともに主ホッパーより投入して混合することもできるが、破砕あるいは折損を極力抑制するためメタリック顔料(C)のみを押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することもできる。この時、なるべく押出機下流にてメタリック顔料(C)を供給することが好ましい。他の原料とメタリック顔料(C)の混合は、その後の射出成形加工において、作業に支障がでない範囲であればよい。また、メタリック顔料(C)は他の原料がすでに混合されたペレットとドライブレンドした後、直接射出成形機に供給し、射出成形を行うこともできる。メタリック顔料(C)は外部応力に対し脆いものであり、溶融混練時のスクリュー剪断応力を極力与えない状態であることが、得られるポリアミド樹脂組成物の輝度を向上させる上で重要である。
照度1000Lxである蛍光灯下で様々な角度から板状成形体を観察し、肉眼にてメタリック発色性を評価した。
4:板状成形体表層に揺らぎのないクリア感があり、成形体の厚み方向に深みのあるメタリック感を有する。
3:板状成形体表層に揺らぎのないクリア感があり、メタリック感を有する。
2:板状成形体表層にクリア感はあるが、メタリック感が不十分。
1:板状成形体表層にクリア感がなく、メタリッック発色性が悪い。
照度1000Lxである蛍光灯下で様々な角度から板状成形体を観察し、肉眼にてフローマークの有無を評価した。フローマークはメタリック顔料の流動ムラであり、フローマークがない方がよい。
4:フローマークがない
3:成形体ゲート部にフローマークがある
2:成形体ゲート部および成形体周辺部(流動末端)にフローマークがある
1:成形体全体にわたりフローマークがある
グロスメーター(日本電色社製VG7000型)を用い、入射角60°で測定した。
表面粗さ計(ミツトヨ社製サーフテスト201型)で平均粗さRa を測定した。
板状成形体(縦100mm×横100mm×厚さ2mm)の成形時に変形や突出しピン跡が付かなくなる最短の冷却時間を計測した。冷却時間は短い方が好ましく、前記形状の成形体である場合、23秒以下であることが実用上好ましい。
(1)脂肪族ポリアミドモノマー
・ε−カプロラクタム
・12−アミノドデカン酸
・(a−1):ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製A1030BRL)
・(a−2):ポリアミド12樹脂(エムス社製L16)
・(b−1):膨潤性フッ素雲母 (コープケミカル社製ME−100)
・(b−2):モンモリロナイト (クニミネ工業社製クニピアF)
・(b−3):ヘクトライト (Elementis Specialities社製BentoneHC)
・(b−4):有機処理フッ素雲母(コープケミカル社製MEE;層間物質ドデシルジヘキシルメチルアンモニウム)
・(c−1):アルミ粉末マスターバッチ(東洋アルミニウム社製NME U20TZ)、ポリエチレンに対しアルミ粉末を70質量%練り込んだもの。含有するアルミ粉末;平均粒径20μm
・(c−2):パール顔料(メルクジャパン社製イリオジン#100)、平均粒径20μmのマイカ表面にチタンを0.3μmコーティングしたもの。
・(d−1):塩化リチウム(試薬)
・(e−1):ヨウ化カリウム(試薬)
ε−カプロラクタム100質量部に対し、亜リン酸0.2質量部、層状珪酸塩(b−1)4質量部、水5質量部を配合して、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合を行ない、層状珪酸塩含有脂肪族ポリアミド樹脂(P−1)を得た。得られた層状珪酸塩含有脂肪族ポリアミド樹脂(P−1)の灰分は4.2質量%、相対粘度は2.7であった。その結果を表1に示す。
表1記載の配合とする以外は製造例1と同様にして、層状珪酸塩含有脂肪族ポリアミド樹脂(P−2)〜(P−6)を得た。それぞれの灰分と相対粘度は表1に記載する。
層状珪酸塩含有脂肪族ポリアミド樹脂(P−1)100質量部、塩化リチウム(d−1)0.3質量部およびヨウ化カリウム(e−1)0.1質量部をブレンドし、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ社製CE−W−1型)を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)の主供給口に供給し溶融混練を行った。溶融樹脂をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物ペレットを得た。混練条件は、バレル温度設定260℃〜280℃、スクリュー回転数280rpm、吐出量30kg/hとした。
得られた樹脂組成物ペレット100.4質量部に対してメタリック顔料(C−1)1質量部をドライブレンドし、射出成形機(東芝機械社製EC−100II型)にて、縦100mm×横100mm×厚さ2mmの板状成形体を成形した。射出成形の条件は、樹脂温度270℃、金型温度100℃、保圧50MPa、射出速度150mm/s、射出圧力100MPaとした。この時、成形体の変形がなく突出しピン跡が付かないように冷却時間を調整し、その最短時間を計測した。得られた板状成形体にて、メタリック感、フローマーク、光沢度、表面粗さの評価を行った。その結果を表2に示す。
層状珪酸塩含有脂肪族ポリアミド樹脂(P−1)100質量部に対し、塩化リチウム(d−1)0.3質量部、ヨウ化カリウム(e−1)0.1質量部をブレンドし、ロスインウェイト式連続定量供給装置(クボタ製CE−W−1型)を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)の主供給口に供給し、溶融混練を行った。溶融樹脂をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂ペレットを得た。混練条件は、バレル温度設定260℃〜280℃、スクリュー回転数280rpm、吐出量30kg/hとした。
得られた樹脂ペレット100.4質量部に対して、メタリック顔料(C−1)1質量部をドライブレンドし、スクリュー径30mm、L/D25の同方向二軸押出機(池貝鉄工社製PCM30型)の主供給口に定量供給し溶融混練を行った。溶融樹脂をダイスからストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物ペレットを得た。混練条件は、バレル温度設定260℃〜280℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量6〜8kg/hとした。
得られた樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械社製EC−100II型)にて、縦100mm×横100mm×厚さ2mmの板状成形体を成形した。射出成形の条件は、樹脂温度270℃、金型温度100℃、保圧50MPa、射出速度150mm/s、射出圧力100MPaとした。この時、成形体の変形がなく突出しピン跡が付かないように冷却時間を調整し、その最短時間を計測した。得られた板状成形体にて、メタリック感、フローマーク、光沢度、表面粗さの評価を行った。その結果を表2に示す。
表2、3の配合に従う以外は、実施例2と同様にして板状成形体を得て、冷却時間、メ
タリック感、光沢度、表面粗さの評価を行った。その結果を表2、3に示す。
が短い成形性のよいポリアミド樹脂組成物を得ることができた。また、得られた成形体の
表面平滑性が向上、表面光沢度が高くフローマークを低減することができた。
Claims (6)
- 脂肪族ポリアミド樹脂(A)100質量部、層状珪酸塩(B)0.1〜10質量部、メタリック顔料(C)0.5〜5質量部およびハロゲン化リチウム(D)0.05〜5質量部を含有してなるポリアミド樹脂組成物。
- 層状珪酸塩(B)が、脂肪族ポリアミド樹脂(A)に分散されたものであることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 脂肪族ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6/11、ポリアミド6/12から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイト、ヘクトライトから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- メタリック顔料(C)が、アルミ、鉄またはそれらの酸化物、チタンコーティングされたマイカから選ばれる1種であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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