JP2022066840A - ポリアミド樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタリック感、輝度に優れ、良好な外観を有しながらも難燃性に優れた成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂(A)67~89質量部と、ハロゲン系難燃材(B)10~30質量部と、難燃助剤(C)1~3質量部と、メタリック顔料(D)0.1~8質量部とを含有し、(A)~(C)の合計が100質量部であって、0.8mm厚みでの難燃性がV-2以上、L*15(D65光源/視野角2°)が80以上であるポリアミド樹脂組成物。【選択図】図1
Description
本発明は、メタリック感、輝度に優れ、良好な外観を有しながらも難燃性に優れた成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物に関する。
自動車のエンジンカバーや家電製品等の内外装カバーには、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、一般的に用いられている。このような成形体の外観には、鋼やアルミニウム合金のようなメタリック感のある色調が要求される場合がある。
メタリック感のある色調を得るためには、従来、成形体の表面に、アルミニウム等の金属粉を含有する塗料を塗装する方法、いわゆるメタリック塗装がおこなわれたり、メッキ処理がおこなわれたりしている。しかしながら、メタリック塗装やメッキ処理は、有機溶剤を用いるために、作業環境面で問題があり、また、生産性に劣りコストが高くなるという問題がある。
メタリック塗装に用いる樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に、ポリアミド樹脂と層状珪酸塩とメタリック色を発現する粒子とを含有するポリアミド樹脂組成物が開示され、特許文献2に、ポリアミド樹脂と金属フレークとを含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載されたポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、メタリック感、輝度、外観には優れるものの、難燃性に劣っているという問題があった。
本発明は、メタリック感、輝度に優れ、良好な外観を有しながらも難燃性に優れた成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂とメタリック顔料とを含有する樹脂組成物に難燃材と難燃助剤を特定量含有させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)67~89質量部と、ハロゲン系難燃材(B)10~30質量部と、難燃助剤(C)1~3質量部と、メタリック顔料(D)0.1~8質量部とを含有し、(A)~(C)の合計が100質量部であって、0.8mm厚みでの難燃性がV-2以上、L*15(D65光源/視野角2°)が80以上であるポリアミド樹脂組成物。
(2)さらに、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、層状珪酸塩(E)を0.05~8.0質量部含有する(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ハロゲン系難燃材(B)が臭素化ポリスチレンである(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)難燃助剤(C)が三酸化アンチモンである(1)~(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)メタリック顔料(C)がアルミニウム系顔料である(1)~(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)層状珪酸塩(E)が、膨潤性フッ素雲母またはモンモリロナイトである(2)~(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)(1)~(6)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
(1)ポリアミド樹脂(A)67~89質量部と、ハロゲン系難燃材(B)10~30質量部と、難燃助剤(C)1~3質量部と、メタリック顔料(D)0.1~8質量部とを含有し、(A)~(C)の合計が100質量部であって、0.8mm厚みでの難燃性がV-2以上、L*15(D65光源/視野角2°)が80以上であるポリアミド樹脂組成物。
(2)さらに、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、層状珪酸塩(E)を0.05~8.0質量部含有する(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ハロゲン系難燃材(B)が臭素化ポリスチレンである(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)難燃助剤(C)が三酸化アンチモンである(1)~(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)メタリック顔料(C)がアルミニウム系顔料である(1)~(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)層状珪酸塩(E)が、膨潤性フッ素雲母またはモンモリロナイトである(2)~(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)(1)~(6)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明によれば、メタリック感、輝度に優れ、良好な外観を有しながらも難燃性に優れた成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に、さらに層状珪酸塩を含有させることにより、得られる成形体の曲げ弾性率を向上させることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品や電気・電子部品等に好適に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に、さらに層状珪酸塩を含有させることにより、得られる成形体の曲げ弾性率を向上させることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品や電気・電子部品等に好適に用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)とメタリック顔料(D)とを含有するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物に用いるポリアミド樹脂(A)は特に限定されないが、例えば、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリウンデカアミド(ポリアミド11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ポリアミド6/11)、ポリデカミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ポリアミド6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリデカチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)およびこれらの混合物、およびこれらの重合体が挙げられる。上記の中でも、機械特性が優れることから、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド612がより好ましい。ポリアミド樹脂(A)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ポリアミド樹脂(A)の分子量の指標である相対粘度は、特に制限されないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dLの条件で測定した相対粘度が、1.5~3.5であることが好ましく、1.7~3.2であることがより好ましく、1.9~3.0であることがさらに好ましい。相対粘度が1.5未満であると、得られる成形体の機械特性が劣ることがある。一方、相対粘度が3.5を超えると、流動性が劣り、溶融混練が困難となったり、成形性が低下するため、得られる成形体のメタリック感や輝度が劣ったりすることがある。
ポリアミド樹脂(A)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)の合計100質量部に対して、67~89質量部とすることが必要であり、70~85質量部とすることが好ましく、70~80質量部とすることがより好ましい。ポリアミド樹脂(A)の含有量が67質量部未満であると、輝度、メタリック感が著しく低下するので好ましくない。一方、前記含有量が89質量部を超えると、十分な難燃性が得られないので好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られる成形体に難燃性を付与するために、ハロゲン系難燃材(B)を含有することが必要である。
ハロゲン系難燃材(B)は特に限定されないが、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモ-ビスフェノールA、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモ-ビスフェノールS、トリス(ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、デカブロモジフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、エチレンビス(テトラブロモフタル)イミド、エチレンビスペンタブロモフェニル、ポリブロモフェニルインダン、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネート、臭素化ポリフェニレンオキシド、ポリペンタブロモベンジルアクリレートが挙げられる。中でも高温での加工に耐えうることから、エチレンビス(テトラブロモフタル)イミド、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化ポリスチレンがより好ましい。ハロゲン系難燃材(B)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
ハロゲン系難燃材(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)の合計100質量部に対して、10~30質量部とすることが必要であり、10~28質量部とすることが好ましく、15~25質量部とすることがより好ましい。ハロゲン系難燃材(B)の含有量が10質量部未満であると、十分な難燃性が得られないので好ましくない。一方、前記含有量が30質量部を超えると、輝度、メタリック感が著しく低下するので好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られる成形体に難燃性を付与するために、難燃助剤(C)を含有することが必要である。
難燃助剤(C)は特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。中でもハロゲン系難燃材(B)との相乗効果が高く、分解ガス量の発生を抑制できる三酸化アンチモンが好ましい。難燃助剤(C)の市販品としては、例えば、日本精鉱社製「PATOX-M」(三酸化アンチモン)が挙げられる。難燃助剤(C)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
難燃助剤(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)の合計100質量部に対して、1~3質量部とすることが必要であり、1.2~3質量部とすることが好ましく、1.5~3質量部とすることがより好ましい。難燃助剤(C)の含有量が1質量部未満であると、十分な難燃性が得られないので好ましくない。一方、前記含有量が3質量部を超えると、輝度、メタリック感が著しく低下するので好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られる成形体のメタリック感や輝度を向上させるため、メタリック顔料(D)を含有させることが必要である
本発明のポリアミド樹脂組成物に用いるメタリック顔料(D)は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタン、シリコン、銅等の金属、および、前記金属の合金、前記金属または前記金属の合金の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物が挙げられる。メタリック顔料(D)としては、パールマイカやチタンコーティングされたマイカも挙げられる。中でも、成形体のメタリック感や輝度が向上することから、アルミニウム、鉄、これらの酸化物、チタンコーティングされたマイカが好ましく、アルミニウムがより好ましい。メタリック顔料(D)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
メタリック顔料(D)の平均粒子径は、1~100μmであることが好ましく、2~80μmであることがより好ましく、3~60μmであることがさらに好ましく、4~40μmであることが特に好ましい。メタリック顔料(D)の平均粒子径が1μm未満であると、メタリック感や輝度を向上する効果が低くなることがある。一方、前記平均粒子径が100μmを超えると、ポリアミド樹脂組成物を得る際のハンドリングが難しくなり、メタリック顔料(D)が有していた平均粒子径を維持しながら溶融混練をすることが困難となることがある。また、溶融混練ができたとしても、得られる成形体は、意匠性に劣ることがある。メタリック顔料(D)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定することができる。
メタリック顔料(D)の平均厚みは1~30μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましく、1~10μmであることがさらに好ましい。メタリック顔料(D)の平均厚みが1μm未満であると、剛性に劣り、溶融混練した際に、形状を保つことが難しくなり、十分なメタリック感や輝度を有する成形体を得ることが難しくなることがある。一方、前記平均厚みが30μmを超えると、その配向が低下し、得られる成形体が、メタリック感や輝度に劣ったものとなることがある。メタリック顔料(D)の平均厚みは、電子顕微鏡でメタリック顔料(D)を50個測定し、単純平均することにより算出することができる。
メタリック顔料(D)のアスペクト比(平均粒子径/平均厚み)は、2~60であることが好ましく、2~50であることがより好ましく、2~30であることがさらに好ましい。
メタリック顔料(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)の合計100質量部に対して、0.1~8質量部とすることが必要であり、0.3~6質量部とすることが好ましく、0.3~5質量部とすることがより好ましい。メタリック顔料(D)の含有量が0.1質量部未満であると、得られる成形体のメタリック感や輝度が向上しないので好ましくない。一方、前記含有量が8質量部を超えると、得られる成形体でのメタリック顔料(C)の分散が阻害されるため、フローマークが発生する等、外観が低下するので好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、メタリック顔料(D)とともに、特定量の層状珪酸塩(E)を同時に含有させることが好ましい。層状珪酸塩(E)を含有することにより、得られる成形体の弾性率を向上させることができる。また、メタリック顔料(D)の分散性を向上させることができ、輝度を、高すぎず、適度な輝度に抑制することができる。さらに、メタリック感が向上し、メタリック顔料(D)の含有量が少なくても、成形体のメタリック感を効率よく高めることができる。
本発明で用いる層状珪酸塩(E)は、天然に産出するものでも人工的に合成および変性されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられる。本発明においては膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトが好ましい。層状珪酸塩(E)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉またはガス炉中で1400~1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。また、タルク〔Mg3Si4O10(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700~1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10~35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下することがある。
本発明において好適に用いられるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
MaSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH20
(式中、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるため、式中、nH2Oで表した。)
モンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
MaSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH20
(式中、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるため、式中、nH2Oで表した。)
モンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
層状珪酸塩(E)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)の合計100質量部に対して、0.05~8.0質量部とすることが好ましく、0.1~8.0質量部とすることがより好ましく、2.0~5.0質量部とすることがさらに好ましい。層状珪酸塩(E)の含有量が0.05質量部未満であると、得られる成形体のメタリック感や輝度が不足したり、機械特性が低下したりすることがある。一方、前記含有量が8.0質量部を超えると、後述する層状珪酸塩(E)の存在下、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をすることが困難となったり、層状珪酸塩(E)の分散が大きく阻害されたりし、フローマークが発生する場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、重厚感を向上させるため、黒色顔料および/または黒色染料を含有させてもよい。黒色顔料と黒色染料は、どちらか単独を用いてもよいし、併用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物に用いる黒色顔料としては特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックが挙げられる。中でも、本発明の効果を容易に発現できることから、カーボンブラックが好ましい。黒色顔料は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物に用いる黒色染料としては特に限定されないが、例えば、ニグロシンを含むアジン系染料およびアンスラキノンを含む多環縮合染料が挙げられる。中でも、取扱いが簡便な点で、アジン系染料が好ましい。前記アジン系染料の中でも、ニグロシンが好ましい。ニグロシンとしては、例えば、COLOR INDEXにC.I.SOLVENT BLACK 5およびC.I.SOLVENT BLACK 7として記載されているような黒色アジン系縮合混合物が挙げられる。このようなニグロシンの合成は、例えば、アニリン、アニリン塩酸塩およびニトロベンゼンを、塩化鉄の存在下、反応温度160~180℃で酸化および脱水縮合することにより得ることができる。さらに、このようにして得られたニグロシンを精製し、アニリンやジフェニルアミンを0.1%未満にした精製ニグロシンがより好ましい。ニグロシンの市販品としては、オリヱント化学工業社製のCramity81やNUBIAN BLACKシリーズが挙げられる。黒色染料は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)とメタリック顔料(D)、必要に応じて層状珪酸塩(E)とを溶融混練することによって製造することができる。本発明において、層状珪酸塩(E)を用いる場合、層状珪酸塩(E)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなって、ポリアミド樹脂(A)と層状珪酸塩(E)との混合物を作製し、この混合物とハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)とメタリック顔料(D)とを溶融混練してポリアミド樹脂組成物を製造することが好ましい。
層状珪酸塩(E)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなうことにより、層状珪酸塩(E)をポリアミド樹脂(A)に均一に分散することができ、得られる成形体のメタリック感や輝度をより向上させることができる。重合反応に用いる上記モノマーとしては、アミノカルボン酸やそのラクタムを用いてもよい。
層状珪酸塩(E)を用いる場合、層状珪酸塩(E)の存在下に、アミノカルボン酸(ラクタム)を重合する方法としては、層状珪酸塩(E)とアミノカルボン酸(ラクタム)とをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度240~300℃、圧力0.2~3MPa、1~15時間の範囲内で溶融重縮合法する方法が挙げられる。ε-カプロラクタムを用いる場合は、温度250~280℃、圧力0.5~2MPa、3~5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂に残留しているアミノカルボン酸(ラクタム)を除去するために、ポリアミド樹脂のペレットに対して熱水による精練をおこなうことが好ましく、その条件としては、90~100℃の熱水中で8時間以上の処理をすることが挙げられる。
本発明に用いる樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、相溶化剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐候剤等の添加剤を加えてもよい。相溶化剤としては、例えば、アイオノマー系相溶化剤、オキサゾリン系相溶化剤、エラストマー系相溶化剤、反応性相溶化剤、共重合体系相溶化剤が挙げられる。顔料としては、例えば、有機系、無機系のいずれも用いることができる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の酸化防止剤が挙げられる。耐候剤は、紫外線を吸収、遮断して樹脂の光劣化を防ぐものであったり、紫外線又は熱により発生するラジカルを捕捉してポリマー分解を抑制したりするものである。耐候剤としては、例えば、紫外線遮断剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤が挙げられる。これらの添加剤は上記のうち1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。なお、本発明にこれらを混合する方法は特に限定されない。
ポリアミド樹脂(A)と層状珪酸塩(E)との混合物と、ハロゲン系難燃材(B)と難燃助剤(C)とメタリック顔料(D)とを溶融混練をおこなう場合、公知の溶融混練押出機を用いることができる。
溶融混練押出機へのメタリック顔料(D)の供給方法としては、前記混合物にメタリック顔料を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、メタリック顔料の破砕または折損を極力抑制するため、メタリック顔料を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、なるべく押出機下流にて供給することがより好ましい。
前記混合物とメタリック顔料(D)とは、十分に溶融混練されていなくてもよく、その後の射出成形加工において、作業に支障がでない範囲で混合できていればよい。必要に応じて、前記混合物とメタリック顔料をドライブレンドしたものを直接射出成形機に供給してもよく、射出成形機において溶融混練して、射出成形をおこなうこともできる。メタリック顔料は外部応力に対し脆いものであるため、このように、樹脂組成物の製造や成形体の成形において、溶融混練時のスクリュー剪断応力をメタリック顔料に極力与えないことが、得られる成形体のメタリック感や輝度を一層向上させることができる。
本発明の成形体は、上記本発明のポリアミド樹脂組成物を成形してなるものである。成形方法としては、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、およびシート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の方法が挙げられ、中でも、射出成形法を用いることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に適した射出成形条件として、例えば、樹脂温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上とすることが好ましく、また、金型温度を樹脂組成物の(融点-20℃)以下とする条件が挙げられる。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生する等成形性が不安定になったり、得られる成形体のメタリック感や輝度が失われたりすることがある。一方、成形温度が高すぎるとポリアミド樹脂組成物が分解し、得られる成形体の機械特性が低下したり、メタリック感や輝度が低下したりする要因となる場合がある。
本発明の成形体、特に射出成形法により得られた成形体は、メタリック感や輝度が高いものであるが、射出成形時の各種条件、例えば、樹脂温度、射出速度、射出圧、金型温度をバランス良く設定することで、さらに、メタリック感や輝度を向上させることが可能である。なお、これらの条件は、溶融したポリアミド樹脂組成物の金型内での流動性、さらには、ポリアミド樹脂組成物中でのハロゲン系難燃材(B)、難燃助剤(C)、メタリック顔料(D)の分散性に影響を与えるため、慎重に設定することが好ましい。例えば、射出速度を高速とした場合には、メタリック顔料(D)の配向が乱れてしまい、メタリック感や輝度が低下する傾向があるため、射出速度は低速から中速とした方がよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品、電気、電子部品に好適に用いることができる。自動車部品としては、例えば、センターパネル、インストルメントパネルでのスピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、カーステレオ、ナビゲーションシステム、エアコン周りの各種スイッチ、ボタン、センターコンソールでのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバーが挙げられる。電気、電子部品としては、例えば、パソコン周辺の各種部品および筐体、携帯電話部品および筐体、その他OA機器部品等の電化製品用樹脂部品が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.評価方法
ポリアミド樹脂組成物の物性測定は、以下の方法によりおこなった。
(1)ガラス転移温度、融点
DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
また、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC-7型)を用いて昇温速度20℃/分で360℃まで昇温した後、360℃で5分間保持し、続いて降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
ポリアミド樹脂組成物の物性測定は、以下の方法によりおこなった。
(1)ガラス転移温度、融点
DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製、DSC7)を用いて昇温速度10℃/分で昇温し、昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値をガラス転移温度とした。
また、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC-7型)を用いて昇温速度20℃/分で360℃まで昇温した後、360℃で5分間保持し、続いて降温速度20℃/分で25℃まで降温し、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
(2)樹脂中の層状珪酸塩の含有量
製造例で得られた樹脂を、熱風炉を用いて、600℃で12時間処理し、灰分を得、層状珪酸塩の含有量を求めた。
製造例で得られた樹脂を、熱風炉を用いて、600℃で12時間処理し、灰分を得、層状珪酸塩の含有量を求めた。
(3)難燃性
得られた樹脂組成物のペレットを100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製J35AD型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)℃、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦127mm×横12.7mm×厚さ8mmの板状試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の基準に従って評価した。いずれの基準にも満たない場合は、not V-2 とした。
本発明においては、実用上、厚み0.8mmでV-2以上であることが必要である。
得られた樹脂組成物のペレットを100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製J35AD型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)℃、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦127mm×横12.7mm×厚さ8mmの板状試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の基準に従って評価した。いずれの基準にも満たない場合は、not V-2 とした。
本発明においては、実用上、厚み0.8mmでV-2以上であることが必要である。
(4)曲げ弾性率
(3)で得られたダンベル試験片を用いて、ISO 178に準拠して測定した。
本発明においては、2.5GPa以上であることが好ましい。
(3)で得られたダンベル試験片を用いて、ISO 178に準拠して測定した。
本発明においては、2.5GPa以上であることが好ましい。
(5)フローマーク
得られた樹脂組成物のペレットを100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC-100II型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦80mm×横60mm×厚さ1mmの中央部に曲率半径50mmの凸部を有する板状成形体(板状部分と凸部が直径50mmの円形状で接している板状成形体)を得た。
外観の指標として、得られた板状成形体において、凸部頂部の裾部を観察し、周辺と色調が変化している部分(フローマーク)があるかどうかを確認した。
○:周辺部分に比べて色調が変化している部分がない。
△:凝集物が少し確認される部分があるが、色調が変化している部分がない。
×:周辺部分に比べて色調が変化している部分がある。
得られた樹脂組成物のペレットを100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC-100II型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦80mm×横60mm×厚さ1mmの中央部に曲率半径50mmの凸部を有する板状成形体(板状部分と凸部が直径50mmの円形状で接している板状成形体)を得た。
外観の指標として、得られた板状成形体において、凸部頂部の裾部を観察し、周辺と色調が変化している部分(フローマーク)があるかどうかを確認した。
○:周辺部分に比べて色調が変化している部分がない。
△:凝集物が少し確認される部分があるが、色調が変化している部分がない。
×:周辺部分に比べて色調が変化している部分がある。
(6)輝度
得られたポリアミド樹脂組成物を100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC-100II型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体を作製した。
得られた板状成形体を用いて、BYK-mac i(BYK Additives & Instruments)を用い、図1のように、試料法線に対して入射角度-45°として、得られた正反射の角度から受光角度を15°、45°、110°として、L*値(D65光源/視野角2°)を測定した。それぞれのL*値を、L*15、L*45、L*110とし表1中にまとめた。
本発明においては、L*15が、80以上であることが必要である。L*15は100以上であることが好ましい。
得られたポリアミド樹脂組成物を100℃で12時間十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC-100II型)を用いて、樹脂温度(融点+30℃)、金型温度(ガラス転移温度+40℃)、保圧30MPa、射出速度100mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間10秒、金型温度(融点-185℃)の条件で射出成形をおこない、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの板状成形体を作製した。
得られた板状成形体を用いて、BYK-mac i(BYK Additives & Instruments)を用い、図1のように、試料法線に対して入射角度-45°として、得られた正反射の角度から受光角度を15°、45°、110°として、L*値(D65光源/視野角2°)を測定した。それぞれのL*値を、L*15、L*45、L*110とし表1中にまとめた。
本発明においては、L*15が、80以上であることが必要である。L*15は100以上であることが好ましい。
(7)フリップフロップ値
メタリック感の指標として、2.69(L*15-L*110)^1.11/L*45^0.86という計算式により算出した。
フリップフロップ値は、メタリック感が高いほど大きな値となる。
本発明においては、5.0以上であることが好ましい。
メタリック感の指標として、2.69(L*15-L*110)^1.11/L*45^0.86という計算式により算出した。
フリップフロップ値は、メタリック感が高いほど大きな値となる。
本発明においては、5.0以上であることが好ましい。
2.原料
(1)ポリアミド樹脂
・製造例1
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、ポリアミド6樹脂を得た。
(1)ポリアミド樹脂
・製造例1
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、ポリアミド6樹脂を得た。
・製造例2
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性フッ素雲母4.5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、膨潤性フッ素雲母を含有するポリアミド6樹脂を得た。
得られた樹脂の膨潤性フッ素雲母の含有量を測定したところ、4.0質量%であった。
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性フッ素雲母4.5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、膨潤性フッ素雲母を含有するポリアミド6樹脂を得た。
得られた樹脂の膨潤性フッ素雲母の含有量を測定したところ、4.0質量%であった。
・製造例3
製造例2の膨潤性フッ素雲母と水を目的量に調整することで、目的とする膨潤性フッ素雲母含有量のポリアミド6樹脂を得た。
製造例2の膨潤性フッ素雲母と水を目的量に調整することで、目的とする膨潤性フッ素雲母含有量のポリアミド6樹脂を得た。
・製造例4
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、モンモリロナイト4.5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、モンモリロナイトを含有するポリアミド6樹脂を得た。
得られた樹脂のモンモリロナイトの含有量を測定したところ、4.0質量%であった。
ε-カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、モンモリロナイト4.5質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、モンモリロナイトを含有するポリアミド6樹脂を得た。
得られた樹脂のモンモリロナイトの含有量を測定したところ、4.0質量%であった。
・ポリアミド612 アルケマ社製「ハイプロン 90NN」
(2)ハロゲン系難燃材
・臭素化ポリスチレン、ケムチュラ社製「PDBS-80」、臭素含有量59%
・臭素化ポリスチレン、ケムチュラ社製「PDBS-80」、臭素含有量59%
(3)難燃助剤
・三酸化アンチモン 日本精鉱社製「PATOX-M」
・三酸化アンチモン 日本精鉱社製「PATOX-M」
(3)メタリック顔料
・アルミニウム系顔料 旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM200-BP」、平均粒子径20μm、平均厚み0.4μm、アルミペースト 、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%
・パールマイカ:日本光研工業社製「TWINCLE PEARL SXE」、粒径37μm、酸化チタン被覆合成マイカ
・アルミニウム系顔料 旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM200-BP」、平均粒子径20μm、平均厚み0.4μm、アルミペースト 、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%
・パールマイカ:日本光研工業社製「TWINCLE PEARL SXE」、粒径37μm、酸化チタン被覆合成マイカ
(4)層状珪酸塩
・膨潤性フッ素雲母:コープケミカル社製「ME-100」、平均粒子径6.0μm、陽イオン交換容量110ミリ当量/100g
・モンモリロナイト:ホージュン社製「ベンゲルHV」、平均粒子径5.0μm、陽イオン交換容量70ミリ当量/100g
・膨潤性フッ素雲母:コープケミカル社製「ME-100」、平均粒子径6.0μm、陽イオン交換容量110ミリ当量/100g
・モンモリロナイト:ホージュン社製「ベンゲルHV」、平均粒子径5.0μm、陽イオン交換容量70ミリ当量/100g
実施例1
製造例1で得られたポリアミド樹脂78質量部、ハロゲン系難燃材20質量部、難燃助剤2質量部、アルミニウム系顔料3質量部を一括混合し、押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練をおこない、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/時間にておこなった。
製造例1で得られたポリアミド樹脂78質量部、ハロゲン系難燃材20質量部、難燃助剤2質量部、アルミニウム系顔料3質量部を一括混合し、押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練をおこない、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/時間にておこなった。
実施例2~5、比較例1~5
表1に記載の樹脂組成になるように原料および配合量を変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
表1に記載の樹脂組成になるように原料および配合量を変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例6
製造例2で得られたポリアミド樹脂78質量部、ハロゲン系難燃材20質量部、難燃助剤2質量部、アルミニウム系顔料0.04質量部を一括混合し、押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練をおこない、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/時間にておこなった。
製造例2で得られたポリアミド樹脂78質量部、ハロゲン系難燃材20質量部、難燃助剤2質量部、アルミニウム系顔料0.04質量部を一括混合し、押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練をおこない、ダイスよりストランド状に押出しした後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/時間にておこなった。
実施例7~10
製造例2および製造例3で得られた樹脂を用いて表2に記載の樹脂組成になるように原料および配合量を変更する以外は、実施例6と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
製造例2および製造例3で得られた樹脂を用いて表2に記載の樹脂組成になるように原料および配合量を変更する以外は、実施例6と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例11
メタリック顔料にパールマイカを用いたこと以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
メタリック顔料にパールマイカを用いたこと以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例12
製造例4で得られたポリアミド樹脂を用いること以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
製造例4で得られたポリアミド樹脂を用いること以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例13
ポリアミド612を用いること以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
ポリアミド612を用いること以外は実施例8と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例1~13のポリアミド樹脂組成物は、難燃性がV-2以上であり、フローマークがなく、輝度の指標であるL*15が80以上、メタリック感の指標であるフリップフロップ値が5.0以上であった。
実施例1のポリアミド樹脂組成物と実施例6~10のポリアミド樹脂組成物を対比することにより、層状珪酸塩を含有することにより曲げ弾性率が高くなることがわかる。
実施例6のポリアミド樹脂組成物は、層状珪酸塩の含有量が、(A)~(C)の合計100質量部に対して0.05質量部未満であったため、曲げ弾性率がやや低かった。
実施例10のポリアミド樹脂組成物は、層状珪酸塩の含有量が(A)~(C)の合計100質量部に対して8.0質量部を超えていたため、成形品中に凝集物が確認された。
実施例1のポリアミド樹脂組成物と実施例6~10のポリアミド樹脂組成物を対比することにより、層状珪酸塩を含有することにより曲げ弾性率が高くなることがわかる。
実施例6のポリアミド樹脂組成物は、層状珪酸塩の含有量が、(A)~(C)の合計100質量部に対して0.05質量部未満であったため、曲げ弾性率がやや低かった。
実施例10のポリアミド樹脂組成物は、層状珪酸塩の含有量が(A)~(C)の合計100質量部に対して8.0質量部を超えていたため、成形品中に凝集物が確認された。
比較例1のポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン系難燃材、難燃助剤を含有していなかったため、難燃性に劣っていた。
比較例2のポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン系難燃材、難燃助剤の含有量が少なかったため、難燃性に劣っていた。
比較例3のポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン系難燃材、難燃助剤の含有量が多かったため、L*15が80未満と輝度が足らず、フリップフロップ値が5.0未満とメタリック感に劣っていた。
比較例4のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が少なかったため、L*15が80未満と輝度が足らず、フリップフロップ値が5.0未満とメタリック感に劣っていた。
比較例5のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が多かったため、フローマークが発生した。
比較例2のポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン系難燃材、難燃助剤の含有量が少なかったため、難燃性に劣っていた。
比較例3のポリアミド樹脂組成物は、ハロゲン系難燃材、難燃助剤の含有量が多かったため、L*15が80未満と輝度が足らず、フリップフロップ値が5.0未満とメタリック感に劣っていた。
比較例4のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が少なかったため、L*15が80未満と輝度が足らず、フリップフロップ値が5.0未満とメタリック感に劣っていた。
比較例5のポリアミド樹脂組成物は、メタリック顔料の含有量が多かったため、フローマークが発生した。
Claims (7)
- ポリアミド樹脂(A)67~89質量部と、ハロゲン系難燃材(B)10~30質量部と、難燃助剤(C)1~3質量部と、メタリック顔料(D)0.1~8質量部とを含有し、(A)~(C)の合計が100質量部であって、0.8mm厚みでの難燃性がV-2以上、L*15(D65光源/視野角2°)が80以上であるポリアミド樹脂組成物。
- さらに、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、層状珪酸塩(E)を0.05~8.0質量部含有する請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ハロゲン系難燃材(B)が臭素化ポリスチレンである請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 難燃助剤(C)が三酸化アンチモンである請求項1~3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- メタリック顔料(C)がアルミニウム系顔料である請求項1~4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 層状珪酸塩(E)が、膨潤性フッ素雲母またはモンモリロナイトである請求項2~5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1~6いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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