JP6928946B2 - ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents

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本発明は、加飾性に優れ、パールのような柔らかい色合いの成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物に関する。
近年、自動車,バイク等の車両関係の部品、OA機器,テレビ等の電気機器、カメラ、化粧品容器等に、パール調に加飾した製品が用いられている。
前記製品には、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂に、アルミニウム等の金属粉や、マイカ、ワラストナイト、ガラス等の表面を金属で被覆した光沢性粒子を配合した樹脂組成物等が用いられている。例えば、特許文献1には、層状珪酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド樹脂に対し、メタリック色を発現する粒子とマイカ製パール顔料を配合してなるポリアミド樹脂組成物が開示されている。
国際公開第99/013006号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載されたポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、メタリック調の色合いが強く、パールのような柔らかい色合いが十分ではないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するものであって、加飾性に優れ、パールのような柔らかい色合いの成形体を得ることができるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、層状珪酸塩とアルミニウム粉とパール顔料を特定量配合し、かつ、アルミニウムの平均粒子径を特定の範囲とし、アルミニウム粉とパール顔料との比率を特定の範囲とすることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂(A)100質量部と、膨潤性層状珪酸塩(B)1.0〜10.0質量部と、アルミニウム粉(C)0.04〜0.5質量部と、パール顔料(D)0.7〜5.0質量部とを含有する樹脂組成物であり(ただし、カップリング剤を含有するものは除く)、アルミニウム(C)の平均粒子径が10〜35μmであって、アルミニウム粉(C)とパール顔料(D)の質量比率[(C)/(D)]が0.01〜0.70であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11またはポリアミド12との混合物であることを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド6と、ポリアミド11またはポリアミド12との混合物におけるポリアミド6の割合が、70〜90質量%であることを特徴とする(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)膨潤性層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイトおよびヘクトライトから選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、加飾性に優れ、パールのような柔らかい色合いの成形体を得ることができる。
本発明において、パール調とは、フロップインデックスが1.0〜6.0であって、色相角度範囲が25°以上のものをいう。フロップインデックスとは、反射角度付近と後退角度付近の間で見られる明度の相対的な変化であり、変化量が大きいほど、見る角度による明度変化が大きい。フロップインデックスが6.0よりも大きいと、メタリック調の色合いが強くなり、パール調の色合いが発色しないので好ましくなく、フロップインデックスが1.0未満の場合、見る角度による色変化が感じられなくなるので好ましくない。フロップインデックスは、パール調の色合いがより高くなることから、1.0〜3.0であることが好ましく、1.3〜2.0であることがより好ましい。また、色相角度範囲は、色相が変化することが可能な角度範囲であって、色相が変化する角度範囲が広いほど大きな値となる。色相角度範囲は、パール調の色合いがより高くなることから、100°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(A)と膨潤性層状珪酸塩(B)とアルミニウム粉(C)とパール顔料(D)とを含有する。
ポリアミド樹脂(A)としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド116およびこれらの混合物、これらの共重合体が挙げられる。中でも、色相角度範囲が広くなることから、ポリアミド6単体、ポリアミド6とポリアミド11の混合物、または、ポリアミド6とポリアミド12の混合物が好ましく、ポリアミド6とポリアミド11の混合物、または、ポリアミド6とポリアミド12の混合物がより好ましい。前記混合物のポリアミド樹脂(A)におけるポリアミド6の含有量は、60〜100質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dLの条件下において1.5〜3.5であることが好ましく、1.7〜3.2であることがより好ましく、1.9〜3.0であることがさらに好ましい。相対粘度が1.5未満であると、得られるポリアミド樹脂組成物の成形体の靱性が劣る場合がある。一方、相対粘度が3.5を超えると、流動性が劣り、混練が困難となったり、成形性が低下したりする場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、パール調の色合いを得るために、膨潤性層状珪酸塩(B)とアルミニウム粉(C)とパール顔料(D)とを含有する必要がある。
本発明に用いる膨潤性層状珪酸塩(B)としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等の雲母族、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等の脆雲母族、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等の緑泥石族が挙げられる。本発明においては、膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトやヘクトライトが特に好適に用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、膨潤性層状珪酸塩は、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変性されたものでもよい。
膨潤性フッ素雲母は、次式で示される構造式を有するものである。
(MgLi)Si
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、例えば、ナトリウムやリチウムが挙げられる。a、b、X、YおよびZは、それぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0である。)
膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物を混合し、その混合物を電気炉またはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程中反応容器内で膨潤性フッ素雲母を結晶成長させる溶融法が挙げられる。また、タルク〔MgSi10(OH)〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2−149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲を外れる場合、膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
モンモリロナイトは、次式で示される構造式を有するものである。
Si(Al−aMg)O10(OH)・nH
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。なお、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnHOで表す。)
モンモリロナイトは、天然に産出するものを水ひ処理等で精製することにより得ることができる。
モンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
ヘクトライトは、例えば、次式で示される構造式を有するものである。
Na0.66(Mg5.34Li0.66)Si20(OH)・nH
ヘクトライトは、天然に得られるものであってもよいし、合成により得られるものであってもよい。
ヘクトライトは珪酸塩を主成分とする負に帯電した珪酸塩層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、その他の層状珪酸塩と比較すると、水酸基を多く含むため層間に水分子が入り込みやすく(すなわち、親水性が高く)、膨潤しやすい。加えて、その他の層状珪酸塩と比較すると、粒径も小さい。
膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、1.0〜10.0質量部とすることが必要であり、1.0〜9.0質量部とすることが好ましく、3.0〜8.0質量部とすることがより好ましい。膨潤性層状珪酸塩(B)の含有量が1.0質量部未満の場合、フロップインデックスが低下し、パール調の色合いが得られないので好ましくない。一方、前記含有量が10.0質量部を超える場合、色相角度範囲が狭くなったり、膨潤性層状珪酸塩の凝集物が発生し良好な外観を得ることができなくなったりするので好ましくない。
本発明に用いるアルミニウム粉(C)としては、アルミペーストや、真空蒸着膜を剥離し破砕したものが挙げられる。
本発明に用いるアルミニウム粉(C)の平均粒子径は、10〜35μmである必要があり、色相角度範囲が広くなることから、10〜20μm であることが好ましい。アルミニウム粉(C)の平均粒子径が35μmを超える場合、得られる成形体がラメ調になり、パール調の色合いが得られないので好ましくない。一方、アルミニウム粉(C)の平均粒子径が10μm未満の場合、得られる成形体の隠蔽性が増し色相角度範囲が狭くなるので好ましくない。
アルミニウム粉の平均粒子径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定することができる。また、アルミニウム粉の平均厚みは、成形品断面の電子顕微鏡によるアルミニウム粉50個測定の単純平均により算出することができる。
アルミニウム粉(C)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.04〜0.5質量部とすることが必要であり、0.04〜0.3質量部とすることが好ましく、0.05〜0.2質量部とすることがより好ましい。アルミニウム粉(C)の含有量が0.04質量部未満の場合、見る角度による明度変化が感じられなくなるので好ましくない。一方、前記含有量が0.5質量部を超える場合、メタリック調の色合いが強くなり、パール調の色合いが得られず、メタリック調が強すぎるものとなるので好ましくない。
本発明に用いるパール顔料(D)は、真珠様光沢を有する銀白色顔料である。パール顔料(D)としては、例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆着色雲母が挙げられる。
パール顔料(D)の平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、5〜25μmであることがさらに好ましい。なお、パール顔料(D)の平均粒子径の測定方法は、上記記載のアルミニウム粉の平均粒子径の測定方法と同じである。
なお、パール顔料(D)のみでパール調を付与しようとすると、(D)の含有量が高くなり凝集物が発生し外観を損なう場合がある。そのため、本発明においては、アルミニウム粉(C)を併用することにより、輝度感を向上させ、少量のパール顔料(D)の配合によりパール調の発現を可能としている。
パール顔料(D)の含有量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.7〜5.0質量部とすることが必要であり、1.0〜5.0質量部とすることが好ましく、1.0〜3.0質量部とすることがより好ましい。パール顔料(D)の含有量が0.7質量部未満の場合、色相角度範囲が狭くなり、パール調の色合いが得られないので好ましくない。一方、前記含有量が5.0質量部を超える場合、パール顔料の凝集物が発生し良好な外観を得ることができないので好ましくない。
アルミニウム粉(C)とパール顔料(D)の含有量の質量比率[(C)/(D)]は、0.01〜0.70であることが必要で、0.01〜0.50であることが好ましい。前記含有比率が0.01未満の場合、フリップインデックスが小さくなり、パール調の色合いが得られないので、好ましくない。一方、前記質量比率が0.70を超える場合、フロップインデックスが大きくなり、メタリック調の色合いが強すぎるものとなるため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、顔料、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を加えてもよい。本発明のポリアミド樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂(A)を構成するモノマー成分の重合反応をおこなって膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂を得て、前記ポリアミド樹脂と、アルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とを溶融混合して製造する方法が挙げられる。前記方法で製造することにより、膨潤性層状珪酸塩(B)をポリアミド樹脂(A)に均一に分散することができ、パール調の色合いを得ることができる。
ポリアミド樹脂(A)が共重合体である場合は、膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、2種以上のモノマーの共重合反応をおこない、膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂を得て、前記ポリアミド樹脂と、アルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とを溶融混合して製造する方法が挙げられる。
また、ポリアミド樹脂(A)が2種以上のポリアミド樹脂の溶融混合物である場合は、2種以上の重合体のうちの少なくとも1つのポリアミド樹脂の重合反応をおこなって膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂を得て、前記ポリアミド樹脂と他のポリアミド樹脂(または膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂)と、アルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を製造する方法が挙げられる。
ポリアミド樹脂(A)として、2種以上のポリアミド樹脂の溶融混合物を用いる場合、それらは十分に溶融混練されていることが好ましい。溶融混合する2種のポリアミド樹脂の溶融粘度差が大きい場合や融点差が大きい場合、溶融混練が不十分となり、相互のポリアミド樹脂が均一に混合されずに海島構造を呈することがある。そのような場合、成形体を得る際に、含有するアルミニウム粉(C)を均一に配向させることが難しくなるため、部分的にパール調が損なわれたり、斑が生じたりする場合がある。
膨潤性層状珪酸塩(B)の存在下に、ポリアミド樹脂を重合する方法としては、膨潤性層状珪酸塩(B)とモノマーとをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用いて、温度240〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合する方法が挙げられる。モノマーとしてε−カプロラクタムを用いる場合は、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で溶融重縮合することが好ましい。
重合後のポリアミド樹脂に残留しているモノマーを除去するために、ポリアミド樹脂のペレットに対して熱水による精練をおこなうことが好ましい。精製方法としては、例えば、90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理する方法が挙げられる。
膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂と、アルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とを溶融混合をおこなう場合、公知の溶融混練押出機を用いることができる。溶融混練押出機へのアルミニウム粉(C)、パール顔料(D)の供給方法としては、前記膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂に、アルミニウム粉(C)、パール顔料(D)を混合したものを、主ホッパーより一括投入してもよいが、アルミニウム粉(C)の破砕あるいは折損を極力抑制するため、アルミニウム粉(C)を押出機途中よりサイドフィーダーにて供給することが好ましく、供給位置はできる限り押出機下流とすることがより好ましい。
なお、前記膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂とアルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とは、十分に溶融混練されていなくてもよく、その後の射出成形加工において、作業に支障がでない範囲で混合できていればよい。本発明においては、前記膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂とアルミニウム粉(C)、パール顔料(D)とをドライブレンドしたものを直接射出成形機に供給してもよく、射出成形機において溶融混練したのち射出成形をおこなってもよい。
アルミニウム粉(C)は外部応力に対し脆いものである。そのため、パール調の発現の観点から、樹脂組成物の製造や成形体の成形においては、溶融混練時のスクリュー剪断応力がアルミニウム粉(C)に極力かからないことが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、各種成形方法により、成形することができる。成形方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の方法が挙げられ、中でも、射出成形法が好ましい。射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に適した射出成形条件としては、例えば、シリンダ温度を樹脂組成物の融点または流動開始温度以上、好ましくは190〜270℃に設定し、金型温度を樹脂組成物の(融点−20℃)以下に設定することが好ましい。成形温度が低すぎると成形体にショートが発生する等、成形性が不安定になる場合がある。一方、成形温度が高すぎるとポリアミド樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、パール調が発現しなくなったりする場合がある
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形時の各種条件、例えば、樹脂温度、射出速度、射出圧、金型温度によって、金型内での流動性や分散性が影響を受けやすい。例えば、射出速度を高速とした場合には、アルミニウム粉(C)の配向が乱れてしまい、フローマークが発生しやすいので、射出速度は低速から中速とした方がよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物から得られる成形体は、自動車部品、電気・電子部品、日用品に好適に用いることができる。自動車部品としては、例えば、インストルメントパネルでのスピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計、距離計等の各種計器類、カーステレオ、ナビゲーションシステム、エアコン周りの各種スイッチ、ボタン、センターコンソールでのシフトレバー、サイドブレーキの握り部、ドアトリム、アームレスト、ドアレバーが挙げられる。電気・電子部品としては、例えば、パソコン周辺の各種部品および筐体、携帯電話部品および筐体、その他OA機器、テレビ等の電気機器部品が挙げられる。日用品としては、化粧品容器が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.評価方法
(1)試験片の作製
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて、FANUC社製ROBOSHOT S−2000iB型射出成形機にて、樹脂温度270℃、金型温度100℃、保圧30MPa、射出速度20mm/秒、射出圧力100MPa、冷却時間15秒の条件で射出成形をおこない、縦90mm×横50mm×厚さ2mmの鏡面を有する板状成形体を得た。なお、金型は短辺方向中央にフィルムゲートを有するものを用いた。
(2)試験片中の膨潤性層状珪酸塩の含有量
(1)で得られた試験片を、熱風炉を用いて、600℃で12時間処理し、灰分を得、膨潤性層状珪酸塩の含有量を求めた。
(3)フロップインデックス
(1)で得られた試験片を多角度測色機(ビックケミー株式会社製メタリック塗装用多角度測色機BYK−maci)を用いて、入射角度45°、反射視野角度15、45、110°でLの測定をおこない、次式を用いてフロップインデックスを算出した。
Figure 0006928946
(4)色相角度範囲
(1)で得られた試験片を多角度測色機(ビックケミー株式会社製メタリック塗装用多角度測色機BYK−maci)を用いて、入射角度45°、反射視野角度(θn)−15、15、25、45、75、110°でa、bの測定をおこない、次式を用いて色相角度範囲を算出した。
Figure 0006928946
(5)外観
(1)で得られた試験片10枚について、キズ・異物・基準ゲージ(TOMMY社製)を用いて、外観を以下の基準で評価した。
○:長径が0.1mm以上0.7mm未満の凝集物の合計数が25個以下、かつ、0.7mm以上の凝集物がなかった。
×:長径が0.1mm以上0.7mm未満の凝集物の合計数が26以上であるか、0.7mm以上の凝集物が1以上であった。
2.原料
(1)ポリアミド樹脂(A)
・ポリアミド樹脂(A−8)
ポリアミド11、アルケマ社製「BMN O」
・ポリアミド樹脂(A−9)
ポリアミド12、アルケマ社製「AMN O TLD」
(2)膨潤性層状珪酸塩(B)
・B−1:膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製「ME−100」、平均粒径6.0μm、陽イオン交換容量110ミリ当量/100g
・B−2:膨潤性モンモリロナイト、ホージュン社製「ベンゲルHV」、平均粒径5.0μm、陽イオン交換容量70ミリ当量/100g
・B−3:膨潤性ヘクトライト、Elementis Specialities社製「Bentone HC」、陽イオン交換容量:80ミリ当量/100g
(3)アルミニウム粉(C)
・C−1:アルミペースト、旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM050−AP」、平均粒子径5μm、平均厚み0.1μm、固形分90質量%、ポリエチレングリコール10質量%
・C−2:アルミペースト、旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM100−BP」、平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、固形分90質量%、ポリエチレングリコール10質量%
・C−3:アルミペースト、旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM200−BP」、平均粒子径20μm、平均厚み0.4μm、固形分90質量%、ポリエチレングリコール10質量%
・C−4:アルミペースト、旭化成ケミカルズ社製「シルビーズM350−BP」、平均粒子径35μm、平均厚み0.4μm、固形分90質量%、ポリエチレングリコール10質量%
・C−5:高輝度メタリックパウダー、尾池イメージング社製「エルジーneo#325」、平均粒子径35μm、平均厚み2μm
・C−6:高輝度メタリックパウダー、尾池イメージング社製「エルジーneo#200」、平均粒子径60μm、平均厚み2μm
(4)パール顔料(D)
・BASF社製「Magnapearl2100」、平均粒子径5〜21μm
(5)膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂
・(A−1)
ε−カプロラクタム100質量部に対して、亜リン酸0.4質量部、膨潤性フッ素雲母(B−1)4質量部、水5質量部を仕込み、80℃で1時間攪拌した後、260℃、0.7MPa下で1時間攪拌し、次いで260℃、常圧で1時間攪拌し、重合をおこない、膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂(P−1)を得た。
・(P−2)〜(P−7)
仕込組成を表1のように変更した以外は、膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂(A−1)を作製した際と同様の操作をおこなって、膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂(P−2)〜(P−7)を得た。
膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂(P−1)〜(P−7)の仕込組成および最終組成を表1に示す。
Figure 0006928946
実施例1
膨潤性層状珪酸塩を含有したポリアミド樹脂(P−1)100質量部と、アルミニウム粉(C−2)0.05質量部と、パール顔料(D)1質量部をドライブレンドした。得られたドライブレンド物を、単軸押出機の主ホッパーより投入し、溶融混練をおこない、ダイスよりストランド状に押出した後、冷却、ペレタイズし、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。溶融混練は、樹脂温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量30kg/時間にておこなった。
実施例2〜20、比較例1〜11
表2の樹脂組成になるように変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例1〜20、比較例1〜11で得られたポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
Figure 0006928946
実施例1〜20のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、いずれもフロップインデックスが1.0〜6.0、色相角度範囲が25°以上であって、パール調の色合いが得られ、優れた外観を有していた。
実施例1〜5のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体を対比すると、ポリアミド6と、ポリアミド11またはポリアミド12の混合物を用いた実施例2〜5の方が、ポリアミド6単独を用いた実施例1よりも、色相角度範囲が広く、よりパール調であることがわかる。
比較例1のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉/パール顔料の質量比率が小さかったため、フロップインデックスが1未満となり、見る角度による明度変化が小さく、パール調の色合いが得られなかった。
比較例2、3のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉/パール顔料の質量比率が大きかったため、フロップインデックスが6を超え、メタリック調の色合いが強すぎるものであった。
比較例4のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、膨潤性層状珪酸塩の配合量が少なかったため、フロップインデックスが1未満となり、見る角度による明度変化が小さく、パール調の色合いが得られなかった。
比較例5のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、膨潤性層状珪酸塩の配合量が多かったため、フロップインデックスが6を超え、メタリック調の色合いが強すぎるものであって、膨潤性層状珪酸塩の凝集物が発生し良好な外観を得ることができなかった。
比較例6のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉の配合量が少なかったため、フロップインデックスが1未満となり、見る角度による明度変化が小さく、パール調の色合いが得られなかった。
比較例7のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉の配合量が多かったため、フロップインデックスが6を超え、メタリック調の色合いが強すぎるものであった。
比較例8のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、パール顔料の配合量が少なかったため、色相角度範囲が狭くなり、パール調の色合いが得られなかった。
比較例9のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、パール顔料の配合量が多かったため、パール顔料の凝集物が発生し良好な外観を得ることができなかった。
比較例10のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉の平均粒子径が小さかったため、成形体の隠蔽性が増し色相角度範囲が狭くなり、パール調の色合いが得られなかった。
比較例11のポリアミド樹脂組成物から得られた成形体は、アルミニウム粉の平均粒子径が大きかったため、フロップインデックスが1未満となり、見る角度による明度変化が小さく、パール調の色合いが得られなかった。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂(A)100質量部と、膨潤性層状珪酸塩(B)1.0〜10.0質量部と、アルミニウム粉(C)0.04〜0.5質量部と、パール顔料(D)0.7〜5.0質量部とを含有する樹脂組成物であり(ただし、カップリング剤を含有するものは除く)、アルミニウム(C)の平均粒子径が10〜35μmであって、アルミニウム粉(C)とパール顔料(D)の質量比率[(C)/(D)]が0.01〜0.7であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂(A)が、ポリアミド6と、ポリアミド11またはポリアミド12との混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ポリアミド6と、ポリアミド11またはポリアミド12との混合物におけるポリアミド6の割合が、70〜90質量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 膨潤性層状珪酸塩(B)が、フッ素雲母、モンモリロナイトおよびヘクトライトから選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形体。
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