JPH11228817A - ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器 - Google Patents

ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器

Info

Publication number
JPH11228817A
JPH11228817A JP3444798A JP3444798A JPH11228817A JP H11228817 A JPH11228817 A JP H11228817A JP 3444798 A JP3444798 A JP 3444798A JP 3444798 A JP3444798 A JP 3444798A JP H11228817 A JPH11228817 A JP H11228817A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyamide resin
nylon
gas barrier
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3444798A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazue Kojima
和重 小島
Tsuneo Tamura
恒雄 田村
Koji Fujimoto
康治 藤本
Sachiko Kokuryo
佐知子 國領
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP3444798A priority Critical patent/JPH11228817A/ja
Publication of JPH11228817A publication Critical patent/JPH11228817A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Polyamides (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状珪酸塩がナイロン6樹脂中に分子レベル
で均一分散され、ガスバリヤー性、機械的強度、耐熱性
などに優れたナイロン6樹脂組成物及びその製造方法、
並びにこれを用いたフィルム及び容器を提供する。 【解決手段】 下記特性を有する層状珪酸塩とナイロ
ン6樹脂を形成するモノマーとを混合し、重合させるこ
とにより、23℃、100%RHでの酸素透過係数が
2.4ml・mm/m2 ・24hrs・atm以下であ
るガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物を得
る。 レーザー回折散乱法により求めた平均粒子径が2〜10
μmで、かつ最大粒子径が30μm以上のものを含有しな
いこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリヤー性に
優れたポリアミド樹脂組成物に関するものであり、さら
に詳しくは、層状珪酸塩がナイロン6樹脂中に分子レベ
ルで均一分散され、23℃、100%RHでの酸素透過係数が
2.4 ml・mm/m2・24hrs ・atm 以下であるポリアミド樹
脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム
及び容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアミドをガラス繊維や炭素繊
維などの繊維質や炭酸カルシウムなどの無機充填材で強
化した樹脂組成物は広く知られている。しかし、これら
の強化材はポリアミドとの親和性に乏しく、強化ポリア
ミドの機械的強度や耐熱性は改良されるものの、ガスバ
リヤー性が十分でなく、また繊維質で強化した樹脂組成
物では成形品のそりが大きくなるという問題があった。
しかも、前記の無機充填材で強化した樹脂組成物では、
充填材を多量に配合しないと機械的強度や耐熱性が向上
しないという問題もあった。
【0003】このような強化ポリアミドの欠点を改良す
る試みとして、特開昭62-74957号公報には、ポリアミド
中にモンモリロナイトに代表される層状珪酸塩が分子レ
ベルで均一分散された樹脂組成物が提案され、さらに前
記樹脂組成物を用いたガスバリヤー性フィルムや液体又
は気体バリヤー性成形品用材料が提案されている(特開
平2-105856号公報、特開平2-69562 号公報)。
【0004】しかし、上記の樹脂組成物においては、ナ
イロン6樹脂をマトリックスとした場合には、ガスバリ
ヤー性の点で十分といえるものではなかった。そのた
め、特開平6ー80873 号公報においては、ガスバリヤー性
を高めるために、ナイロン6樹脂に20重量%以上の割合
で芳香族ポリアミドをブレンドする方法が提案されてい
るが、コスト高になるという問題があった。
【0005】他方、本発明者らは、先にポリアミド樹脂
中に特定の膨潤性フッ素雲母系鉱物が分子レベルで均一
分散された樹脂組成物が、優れた機械的強度や耐熱性を
有し、しかも成形品のそりが小さいことを見い出し、さ
らにこの樹脂組成物がガスバリヤーに優れた成形品に適
用できることを提案した(特開平8-283567号公報)が、
十分といえるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
前記した層状珪酸塩が分子レベルで均一分散されたナイ
ロン6樹脂組成物において、そのガスバリヤー性を高め
る方法について詳細に検討した結果、特定の粒子径分布
(平均粒子径と最大粒子径)を有する層状珪酸塩を用い
てナイロン6樹脂を形成するモノマーを重合すると、上
記問題点が解決できることを見い出し本発明に到達し
た。本発明は、従来の層状珪酸塩が分子レベルで均一分
散されたナイロン6樹脂組成物の問題点を改善し、ガス
バリヤー性を著しく高めたフィルムや容器とすることが
できるポリアミド樹脂組成物及びその製造方法、並びに
これを用いたフィルム及び容器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためのもので、その要旨は次の通りである。 (1) 層状珪酸塩がナイロン6樹脂中に分子レベルで均一
分散されたポリアミド樹脂組成物であって、23℃、100%
RHでの酸素透過係数が2.4 ml・mm/m2・24hrs・atm
以下であることを特徴とするガスバリヤー性に優れたポ
リアミド樹脂組成物。 (2) 下記特性を有する層状珪酸塩とナイロン6樹脂を
形成するモノマーとを混合し、重合させることを特徴と
する上記(1) 記載のガスバリヤー性に優れたポリアミド
樹脂組成物の製造法。 レーザー回折散乱法により求めた平均粒子径が2〜10
μmで、かつ最大粒子径が30μm以上のものを含有しな
いこと。 (3) 上記(1) 記載のガスバリヤー性に優れたポリアミド
樹脂組成物を用いたフィルム及び容器。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明のポリアミド樹脂組成物は、ナイロ
ン6樹脂に層状珪酸塩が分子レベルで均一分散されたも
のである。ここで分子レベルで均一分散されるとは、前
記層状珪酸塩がナイロン6マトリックス中に分散される
際に、それぞれが平均20Å以上の層間距離を保っている
状態をいう。ここで、層間距離とは層状珪酸塩の珪酸塩
層の平板の重心間の距離を指し、均一分散されるとは層
状珪酸塩の珪酸塩層の一枚一枚がもしくは平均的な重な
りが5層以下の多層物が平行にあるいはランダムに、も
しくは平行とランダムが混在した状態で、その50%以上
が、好ましくは70%以上が塊を形成することなく分散さ
れている状態をいう。具体的には、ナイロン6樹脂組成
物の試験片について広角X線回折測定を行い、珪酸塩層
の厚み方向に起因するピークが消失されていること、も
しくは透過型電子顕微鏡写真撮影観察により、層状珪酸
塩の塊がないことから確認することができる。
【0010】また、本発明ポリアミド樹脂組成物は後述
する方法で求めた23℃、100%RHでの酸素透過係数が2.
4 ml・mm/m2・24hrs ・atm 以下であることが必要であ
る。酸素透過係数が2.4 ml・mm/m2・24hrs ・atm を超
えるとガスバリヤー性に優れたフィルムや容器とするこ
とができない。
【0011】本発明におけるナイロン6樹脂は、ε−カ
プロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸を重合して
得られるものであり、その相対粘度は、溶媒として96%
濃硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた値
で、1.5 〜5.0 の範囲にあることが好ましい。この相対
粘度が 1.5未満のものでは、成形品としたときの機械的
強度が低下するので好ましくない。逆にこれが 5.0を超
えると、成形性が著しく低下するので好ましくない。
【0012】本発明における層状珪酸塩は、珪酸塩を主
成分とする負に帯電した層とその層間に介在する陽電荷
(イオン)からなる構造を有するものである。
【0013】かかる層状珪酸塩の好ましい例としては、
スメクタイト族(例えば、モンモリロナイト、バイデラ
イト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト)、バ
ーミキュライト族(例えば、バーミキュライト)、雲母
族(例えば、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト金雲
母、黒雲母、レピドライト)、脆雲母族(例えば、マー
ガライト、クリントナイト、アナンダイト)、緑泥石族
(例えば、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイ
ト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト)などがあ
る。
【0014】これらの層状珪酸塩は、天然に産するもの
であっても、人工的に合成あるいは変性されたものであ
ってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処
理したものであってもよいが、分級あるいは粉砕などの
手段によって、上記物性を満足するようにする必要が
ある。層状珪酸塩が上記物性を満足しないものではガ
スバリヤー性に優れたフィルムや容器とすることができ
ない。
【0015】上記の層状珪酸塩の中で、膨潤性フッ素雲
母系鉱物は白色度の点で最も好ましく、これは次式で示
されるもので、容易に合成できるものである。 α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、
γ、a及びbは各々係数を表し、0.1 ≦α≦2、2≦β
≦3.5 、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b
=1である。)
【0016】このような膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造
法としては、例えば、酸化珪素と酸化マグネシウムと各
種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガ
ス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その
冷却過程で反応容器内にフッ素雲母系鉱物を結晶成長さ
せる、いわゆる溶融法がある。
【0017】また、タルクを出発物質として用い、これ
にアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤
性フッ素雲母系鉱物を得る方法がある(特開平2-149415
号公報)。この方法では、タルクに珪フッ化アルカリあ
るいはフッ化アルカリを混合し、磁性ルツボ内で約 700
〜1200℃で短時間加熱処理することによって膨潤性フッ
素雲母系鉱物を得ることができる。
【0018】この際、タルクと混合する珪フッ化アルカ
リあるいはフッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35
重量%の範囲とすることが好ましく、この範囲を外れる
場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成収率が低下する
ので好ましくない。
【0019】上記の膨潤性フッ素雲母系鉱物を得るため
には、珪フッ化アルカリ又はフッ化アルカリのアルカリ
金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが必要
である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし
併用してもよい。また、アルカリ金属のうち、カリウム
の場合には膨潤性フッ素雲母系鉱物が得られないが、ナ
トリウムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量
であれば膨潤性を調節する目的で用いることも可能であ
る。
【0020】さらに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造す
る工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤
性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整することも可能であ
る。
【0021】上記のアルカリ金属イオンのインターカレ
ーションによって得られる膨潤性フッ素雲母系鉱物の場
合、その製造工程においてインターカレーションに関与
しなかった原料タルクあるいは副生物としての針状結晶
が、通常数重量%程度のオーダーで存在することがあ
り、これらは膨潤性フッ素雲母系鉱物のポリアミドマト
リックス中への均一分散には一切関与せず、得られるポ
リアミド樹脂組成物中に粗大粒子として残存し、フィル
ムや容器にしたときに、そのガスバリヤー性を低下させ
る。
【0022】従って、これらの粗大粒子は分級あるいは
粉砕などの手段によって除去する必要があり、これらの
手段によって、膨潤性フッ素雲母系鉱物は上記特性を
満足するものとなる。
【0023】本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する
には、上記特性を有する層状珪酸塩とナイロン6樹脂
を形成するモノマーとを混合し、重合させることが必要
である。さらに詳しくは、上記特性を有する層状珪酸
塩とナイロン6樹脂を形成するモノマーと水とを混合
し、温度 240〜300 ℃、圧力2〜30kg/cm2で、1〜5時
間の範囲で重合する。この際、層状珪酸塩の配合量は、
ポリアミド樹脂 100重量部を形成するモノマー量に対し
て、0.1 〜20重量部とすることが好ましい。この配合量
が 0.1重量部未満では、ガスバリヤー性や、剛性、耐熱
性などに優れた成形品とすることができるポリアミド樹
脂組成物が得られない。一方、この配合量が20重量部を
超えると、ポリアミド成形品の靱性が低下する。
【0024】また、上記重合時には酸を添加してもよ
く、酸を添加することによって、より高剛性で高耐熱性
の成形品が得られる。上記の酸としては、pKa(25℃水
中での値)が0〜4又は負の酸であるなら、有機酸でも
無機酸であってもよく、例えば、安息香酸、セバシン
酸、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリ
クロル酢酸、トリフルオロ酢酸、亜硝酸、硝酸、リン
酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫
酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸−ペンタフルオロア
ンチモン(1:1)〔アルドリッチ社製「マジックアシ
ッド」(商品名)〕、フルオロアンチモン酸などが挙げ
られる。
【0025】本発明のポリアミド樹脂組成物には、その
特性を大きく損わない限りにおいて、熱安定剤、酸化防
止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可
塑剤、離型剤などが添加されていてもよく、これらは重
合時あるいは得られたポリアミド樹脂組成物を溶融混練
もしくは溶融成形する際に加えられる。
【0026】熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤とし
ては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒ
ンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ
金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられ
る。
【0027】強化剤としては、例えばクレー、タルク、
炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、
アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミ
ン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネ
シウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜
鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属
ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウム
ウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、
炭素繊維などが挙げられる。
【0028】さらに、ポリアミド樹脂組成物には、本発
明の効果を損なわない範囲で他の熱可塑性重合体が少量
混合されていてもよく、これらはポリアミド樹脂組成物
を溶融混練もしくは溶融成形する際に加えられる。この
ような熱可塑性重合体としては、例えばナイロン6樹脂
以外のポリアミド樹脂、具体的にはポリテトラメチレン
アジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン 610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナ
イロン 612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイ
ロン 116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポ
リドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキ
サメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘ
キサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘ
キサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン
6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタ
ンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチ
ル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナ
イロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミ
ド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタル
アミド(ナイロン 11T)、ポリウンデカメチレンヘキサ
ヒドロテレフタルアミド〔ナイロン11T(H)〕などであ
り、その他にも、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレ
ン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重
合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、天然ゴ
ム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラス
トマー又はこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、
スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニ
ルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
エーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケト
ン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリアリレートなどが挙げられる。
【0029】本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常の
成形加工方法でフィルムや容器とすることができる。例
えば、フィルムにする場合には、上記のポリアミド樹脂
組成物を用いて、延伸フィルム又は未延伸フィルムのい
ずれの形態にもすることができる。
【0030】未延伸フィルムを成形する方法としては、
例えば、層状珪酸塩を均一分散させたポリアミド樹脂組
成物を 220〜300 ℃で押出し機により溶融混練し、T−
ダイによりフィルム状に押出し、キャスティングロール
面上にキャスティングしたフィルムを冷却するキャステ
ィング法(T−ダイ法)、またはリング状ダイにより筒
状に押出したものを空冷又は水冷するチューブラー法な
どの方法を適用することができる。
【0031】延伸フィルムを成形する方法としては、キ
ャスティング法又はチューブラー法で成形した未延伸フ
ィルムを、50〜180 ℃の延伸温度で一軸延伸又は二軸延
伸し、必要に応じて 120℃以上で融点より低い温度で熱
固定する方法を適用することができる。
【0032】また容器にする場合には、上記ポリアミド
樹脂組成物を用いて、射出成形により、ガソリンタン
ク、アルコールタンク、フューエルチューブ、フューエ
ルストレーナー、ブレーキオイルタンク、クラッチオイ
ルタンク、パワーステアリングオイルタンク、クーラー
用フレオンチューブ、フレオンタンク、キャニスタータ
ンク、エアクリーナー、インテークマニホールードなど
の自動車部品や、農業用ボトル、飲料水用ボトルなどの
各種ボトル、エアーダクトや中空パイプなどガスバリヤ
ー性を必要とする容器にすることができる。
【0033】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明する。なお、実施例並びに比較例で用い
た原料及び物性試験の測定法は次の通りである。 1.層状珪酸塩 (1) 膨潤性フッ素雲母系鉱物 ボールミルにより平均粒子径が 3.0μmとなるように粉
砕したタルクに対し、平均粒子径が同じく 3.0μmの珪
フッ化ナトリウムを全量の15重量%となるように混合
し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて 850℃で30分
間反応させるとにより合成した。この粉末について、広
角X線回折測定(リガク社製、RAD-rB型広角X線回折装
置を使用)を行った結果、原料タルクのc軸方向の厚み
9.2Åに対するピークが消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱
物の生成を示す12〜16Åに対応するピークが認められ
た。次いで、得られた膨潤性フッ素雲母系鉱物をジェッ
トミル(日本ニューマチック社製、PJM-200 型)を用い
て、空気圧2〜3kg/cm2の条件下で微粉砕した後、400
meshのTayler標準ふるいを用いて粗大粒子を除去した。
また、後述する粒径分布測定の結果により、目的とする
平均粒子径と最大粒子径のものが得られない場合には、
前記したジェットミルによる微粉砕とふるいによる粗大
粒子の除去を繰り返すことにより、膨潤性フッ素雲母系
鉱物の平均粒子径と最大粒子径を調整した。この膨潤性
フッ素雲母系鉱物のレーザー回折散乱法により求めた平
均粒子径は3.2 μm、最大粒子径は20μmであった。 (2) モンモリロナイト 山形県産の天然モンモリロナイトを分級することにより
特定の粒子径のものを集めた。すなわち、まず初めに 4
00meshの Tyler標準ふるい(目の開き:37μm)を用い
て粗大粒子を除去し、次いで1480meshの Tyler標準ふる
い(目の開き:7〜10μm)を用いて微小粒子を除去し
た。このモンモリロナイトのレーザー回折散乱法により
求めた平均粒子径は 2.5μm、最大粒子径は15μmであ
った。
【0034】2.測定法 (a) 層状珪酸塩の粒子径分布(平均粒子径、最大粒子
径) レーザー回折散乱法による粒度分布測定機(島津製作所
製、SALD-2000 型)を用いて、メタノールを分散媒と
し、フローセル中で測定することにより求めた。 (b) ポリアミド樹脂組成物中の膨潤性フッ素雲母系鉱物
の分散性 広角X線回折装置(リガク社製、RAD-rB型)により、曲
げ測定用の試験片中における膨潤性フッ素雲母系鉱物の
分散性を測定した。さらに、曲げ測定用の試験片から小
さく切り出したサンプルをエポキシ樹脂に包埋し、ダイ
ヤモンドナイフにて超薄切片に切り出したものについ
て、透過型電子顕微鏡(日本電子製、JEM-200CX 型、加
速電圧 100kV)で撮影した電子顕微鏡写真観察から、ポ
リアミドマトリックス中に分散した膨潤性フッ素雲母系
鉱物の珪酸塩層のおおよその大きさを求めることにより
その分散性を評価した。 (c) 酸素透過係数 モダンコントロール社製の酸素透過率測定装置 MOCONOX
-TRAN-100Aを用いて、ASTM D-3985-81に準じて厚み40μ
mの未延伸フィルムの酸素透過量を測定した。測定は、
23℃、100%RH、1気圧の条件下で行い、酸素透過係数
は次式より求めた。 酸素透過係数(ml・mm/m2・24hrs ・atm )=酸素透過
量(ml/m2・24hrs ・atm )×厚み(mm) なお、この値はガスバリヤー性の指標となるもので、小
さいものほどガスバリヤー性が良好である。 (d) ポリアミド樹脂の相対粘度 ポリアミド樹脂成分が1g/dLになるように試験片を96%
濃硫酸に溶解し、7000rpm で2時間遠心分離した後、そ
の上澄み液をG−3のガラスフィルターでろ過した溶液
について、25℃での相対粘度を測定した。なお、試験片
中の膨潤性フッ素雲母系鉱物もしくはモンモリロナイト
の含有量は、試験片を 500℃で24時間燃焼した後の灰分
量を測定することにより求めた。 (e) 試験片の引張強度及び引張破断伸度 ASTM D-638に基づいて測定した。 (f) 試験片の曲げ強度及び曲げ弾性率 ASTM D-790に基づいて測定した。 (g) 試験片のアイゾット衝撃強度 ASTM D-256に基づいて、厚み 3.2mmの試験片に所定の深
みのノッチをつけて測定した。 (h) 試験片の熱変形温度ASTM D−648に基づい
て、荷重 1.86MPaで測定した。
【0035】実施例1 ε−カプロラクタム10kg、上記粒子径の膨潤性フッ素雲
母系鉱物 0.2kg、及び水1kgを内容量30リットルの反応
缶に入れ、攪拌しながら、15kg/cm2の圧力まで昇圧し
た。そして徐々に水蒸気を放圧しつつ、圧力15kg/cm2
温度 260℃に保って2時間重合した後、1時間かけて常
圧まで放圧した。その後、常圧下、260 ℃に30分間放置
した後、ストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断
することにより、膨潤性フッ素雲母系鉱物がナイロン6
樹脂中に分子レベルで均一分散されたポリアミド樹脂組
成物のペレットを得た。次いで、このペレットを95℃の
熱水で8時間精練を行い、この操作を2度繰り返した
後、真空乾燥した。次に、この乾燥ペレットを射出成形
機(三菱重工業社製、125/75MS型)を用い、シリンダー
温度 260℃、金型温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6
秒で射出成形を行い、厚み 3.2mmの各種の試験片を作成
し、物性試験を行った。また、この乾燥ペレットを 260
℃にて押出機(直径40mmの単軸スクリュー、回転数 30r
pm)を用いて溶融し、T−ダイからフィルム状に押出
し、0℃の冷却ロールで固化し、厚さ40μmの未延伸フ
ィルムを作成し、酸素透過量を測定した。
【0036】実施例2 膨潤性フッ素雲母系鉱物を 0.5kgに変えた他は、実施例
1と同様にして乾燥ペレット、試験片及び未延伸フィル
ムを作成し、各種の試験を行った。
【0037】実施例3 ε−カプロラクタム10kg、上記粒子径の膨潤性フッ素雲
母系鉱物 0.2kg、亜リン酸0.01kg、及び水1kgを内容量
30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら、5kg/cm2
圧力まで昇圧した。そして徐々に水蒸気を放圧しつつ、
圧力 5kg/cm2、温度 260℃に保って2時間重合した後、
1時間かけて常圧まで放圧した。その後、常圧下、260
℃に30分間放置した後、ストランド状に払い出し、冷
却、固化後、切断することにより、膨潤性フッ素雲母系
鉱物がナイロン6樹脂中に分子レベルで均一分散された
ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。次いで、実施
例1と同様にして乾燥ペレット、試験片及び未延伸フィ
ルムを作成し、各種の試験を行った。
【0038】実施例4 膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgの代わりに、上記粒子径
のモンモリロナイト0.2kg を用いた他は、実施例3と同
様にして乾燥ペレット、試験片及び未延伸フィルムを作
成し、各種の試験を行った。
【0039】実施例5 膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgの代わりに上記粒子径の
モンモリロナイト0.5kg 用い、亜リン酸の添加量を0.02
5kg に変えた他は、実施例3と同様にして乾燥ペレッ
ト、試験片及び未延伸フィルムを作成し、各種の試験を
行った。
【0040】比較例1 上記粒子径の膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgの代わり
に、平均粒子径 6.0μm、最大粒子径 100μmの膨潤性
フッ素雲母系鉱物 0.2kgを用いた他は、実施例3と同様
にして実験を行った。この場合には、ノズル部分のフィ
ルターの昇圧が激しく、定量的にポリマーを回収するこ
とができなかったので、各種の試験を行わなかった。
【0041】比較例2 膨潤性フッ素雲母系鉱物 0.2kgの代わりに、平均粒子径
1.0μm、最大粒子径30μmの天然モンモリロナイト
0.2kgを用いた他は、実施例3と同様にして乾燥ペレッ
ト、試験片及び未延伸フィルムを作成し、各種の試験を
行った。
【0042】実施例1〜5及び比較例2におけるポリア
ミド樹脂組成物の合成条件、相対粘度、試験片の物性、
及び未延伸フィルムの酸素透過係数を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】実施例1〜5で得られたポリアミド樹脂組
成物は、いずれも試験片の物性とガスバリヤー性に優れ
たものであった。これに対して、比較例2で得られたポ
リアミド樹脂組成物は、酸素透過係数が大きくガスバリ
ヤーに劣るものであった。
【0045】なお、実施例1〜5及び比較例2におい
て、曲げ試験測定用の試験片について、広角X線回折測
定を行ったところ、層状珪酸塩の厚み方向のピークは完
全に消失しており、ポリアミド樹脂中に膨潤性フッ素雲
母系鉱物もしくはモンモリロナイトが分子レベルで均一
分散されていることがわかった。さらに、透過型電子顕
微鏡写真観察を行ったところ、膨潤性フッ素雲母系鉱物
の珪酸塩層の厚みは約1nmで、長さは20〜40nmの範囲に
あり、膨潤性フッ素雲母系鉱物がポリアミド樹脂中に分
子レベルで均一分散されていることがわかった。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、層状珪酸塩がナイロン
6樹脂中に分子レベルで均一分散され、ガスバリヤー
性、機械的強度、耐熱性などに優れた成形品とすること
ができるナイロン樹脂組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 國領 佐知子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層状珪酸塩がナイロン6樹脂中に分子レ
    ベルで均一分散されたポリアミド樹脂組成物であって、
    23℃、100%RHでの酸素透過係数が2.4 ml・mm/m2・24
    hrs ・atm 以下であることを特徴とするガスバリヤー性
    に優れたポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 層状珪酸塩が膨潤性フッ素雲母系鉱物で
    あることを特徴とする請求項1記載のガスバリヤー性に
    優れたポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 下記特性を有する層状珪酸塩とナイロ
    ン6樹脂を形成するモノマーとを混合し、重合させるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリヤー性に
    優れたポリアミド樹脂組成物の製造法。 レーザー回折散乱法により求めた平均粒子径が2〜10
    μmで、かつ最大粒子径が30μm以上のものを含有しな
    いこと。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のガスバリヤー性に
    優れたポリアミド樹脂組成物を用いたフィルム及び容
    器。
JP3444798A 1998-02-17 1998-02-17 ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器 Pending JPH11228817A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3444798A JPH11228817A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3444798A JPH11228817A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11228817A true JPH11228817A (ja) 1999-08-24

Family

ID=12414515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3444798A Pending JPH11228817A (ja) 1998-02-17 1998-02-17 ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11228817A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040017062A (ko) * 2002-08-20 2004-02-26 주식회사 코오롱 연신 폴리아미드 필름
JP2006131831A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2011529524A (ja) * 2008-07-30 2011-12-08 ロディア・ポリアミダ・エ・エスペシアリダデス・リミターダ 熱可塑性重合体マトリックスの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040017062A (ko) * 2002-08-20 2004-02-26 주식회사 코오롱 연신 폴리아미드 필름
JP2006131831A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物
JP2011529524A (ja) * 2008-07-30 2011-12-08 ロディア・ポリアミダ・エ・エスペシアリダデス・リミターダ 熱可塑性重合体マトリックスの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6103805A (en) Polyamide resin composition and molded articles
Kato et al. Development of a new production method for a polypropylene‐clay nanocomposite
JP2003517488A (ja) ポリマーナノコンポジット組成物
US6255378B1 (en) Polyamide resin composition and process for producing the same
US6156838A (en) Polyamide resin composition and process for producing the same
JP5059750B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JPH11315204A (ja) ポリアミド複合材料
JPH06248176A (ja) 強化ポリアミド樹脂組成物およびその製造法
JPH11228817A (ja) ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器
JPH101608A (ja) ガスバリヤー性ポリアミド成形体およびその製造方法
JP2001098147A (ja) ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム及び容器
JP3452469B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2006131832A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JPH10265668A (ja) 強化ポリアミド樹脂組成物の製造法
JPH10158431A (ja) 強化熱可塑性樹脂組成物
KR101658393B1 (ko) 자동차 라디에이터 호스 고무용 나노 콤포지트 조성물 및 이의 제조방법
JPH10237298A (ja) ポリアミド樹脂組成物からなるチップ及びその製造法
JP2001002913A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP4203179B2 (ja) ランプリフレクター用基材
JP2003285772A (ja) 垂直部位用自動車外板部材
JPH11172100A (ja) 強化ポリアミド樹脂
JP4030169B2 (ja) ポリアミド複合材料及びその製造方法
JP4726474B2 (ja) ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法
JP2002309079A (ja) ポリアミド複合材料およびその製造方法
JP4063927B2 (ja) 高純度の膨潤性フッ素雲母系鉱物及びその製造方法、並びにこれを用いてなるポリアミド複合材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080325

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080526

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080624