JP5059750B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5059750B2
JP5059750B2 JP2008513213A JP2008513213A JP5059750B2 JP 5059750 B2 JP5059750 B2 JP 5059750B2 JP 2008513213 A JP2008513213 A JP 2008513213A JP 2008513213 A JP2008513213 A JP 2008513213A JP 5059750 B2 JP5059750 B2 JP 5059750B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide resin
nylon
mass
resin composition
silicate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008513213A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007125907A1 (ja
Inventor
行成 祢宜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2008513213A priority Critical patent/JP5059750B2/ja
Publication of JPWO2007125907A1 publication Critical patent/JPWO2007125907A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5059750B2 publication Critical patent/JP5059750B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/34Silicon-containing compounds
    • C08K3/346Clay
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L63/00Compositions of epoxy resins; Compositions of derivatives of epoxy resins

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Polyamides (AREA)

Description

本発明は、強度や弾性率などの機械的特性に優れ、さらには靱性、耐久性、摺動性、低吸水性にも優れたポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は優れた物理的、化学的特性を有しており、各種成形品、フィルム、繊維などの材料として幅広い分野で利用されている。特に近年、自動車や電機・電子部品、機械機構部品、建材部品として広く利用されてきているなかで、ポリアミド樹脂に要求される性能はさらに高度化、多様化してきている。例えば、自動車の電動パワーステアリングシステムのギアでは高い負荷下に長期間さらされることになるために、強度、剛性のみならず靱性、耐久性が要求される。さらには、耐磨耗性を高めるための摺動性や、ギア部品の抵抗を一定に保つための寸法精度、あるいは低比重であることが要求される。
強度や剛性を向上させるために、ポリアミド樹脂にガラス繊維や各種の無機充填材などの強化材を配合することはよく知られており、さまざまな分野において利用されている(たとえば特許文献1参照)。しかし、たとえばガラス繊維を配合したポリアミド樹脂組成物は比重が大きくなってしまうばかりでなく、ギア部品とした場合、相手材の金属ギアとのかみ合わせ時にガラス繊維が金属ギアを磨耗してしまうために、摺動性が要求される部材には適当ではなかった。
一方、ポリアミド樹脂中に合成フッ素雲母やモンモリロナイトに代表される膨潤性層状珪酸塩を分散させて得られるポリアミド樹脂組成物が注目を浴びている。これは強度、剛性、耐熱性などに優れていることが従来から知られており、例えば、ナイロン6と合成フッ素雲母からなる樹脂組成物(特許文献2参照)や、ナイロン6とモンモリロナイトからなる樹脂組成物(特許文献3参照)が知られている。しかし、これらの樹脂組成物は靱性や耐久性の面ではより一層の性能向上が求められていた。
また、ガラス繊維などの強化材を用いることなく高い強度や衝撃性、耐久性を有するポリアミド樹脂としてモノマーキャストナイロン(MCナイロン)が知られている(特許文献4、5参照)。しかし、MCナイロンは射出成形が容易ではなく、また、実際にはブロックを切削加工することにより所望の形を作製する必要があり、生産コストに問題があった。
特開昭57−137762号公報 特許第2941159号公報 特公平8−22946号公報 特開2002−88150号公報 特開2005−240973号公報
本発明は、強度や弾性率などに代表される機械的特性に優れ、さらに靱性、耐久性、耐摩擦摩耗性、低吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、膨潤性層状珪酸塩が分散されてなるポリアミド樹脂に、特定の脂肪族エポキシ化合物を配合することにより前記の課題が解決できることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分散されてなるポリアミド樹脂100質量部に対し、1分子中に3個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物を0.1〜4質量部配合してなるポリアミド樹脂組成物である。
本発明によれば、強度や弾性率などに代表される機械的特性に優れ、さらに靱性、耐久性、摺動性、低吸水性、寸法精度を兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド樹脂マトリックス中に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分散されたものである。
ここで珪酸塩層とは、膨潤性層状珪酸塩を構成する基本単位であり、膨潤性層状珪酸塩の層構造を崩すこと(以下、「劈開」という)によって得られる板状の無機結晶である。
珪酸塩層は、ポリアミド樹脂中に分子レベルで均一に分散されていることが好ましい。「分子レベルで均一に分散される」とは、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層がポリアミド樹脂中に分散する際に、それぞれが平均1nm以上の層間距離を保ち、互いに塊を形成することなく存在している状態をいう。ここで塊とは原料である膨潤性層状珪酸塩が劈開していない状態を指す。また層間距離とは珪酸塩層間の距離をいう。ポリアミド樹脂中における珪酸塩層の分散状態は、例えば透過型電子顕微鏡観察を行うことにより確認することができる。
なお、珪酸塩層は必ずしも一枚一枚にまで分離している必要はなく、珪酸塩層が部分的に積層していてもよい。
本発明において用いられる膨潤性層状珪酸塩は、珪酸塩を主成分とする負に帯電した結晶層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、後述する方法で求めた陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上であることが望ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、膨潤能が低いためにポリアミド複合材料の製造時に実質的に未劈開状態のままとなり、ポリアミド複合材料の性能の向上が不十分となる場合がある。陽イオン交換容量の値の上限に特に制限はないが、現実に入手あるいは調製可能な膨潤性層状珪酸塩の陽イオン交換容量の上限は、250ミリ当量/100g程度である。
本発明において用いられる膨潤性層状珪酸塩としては、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)が挙げられるが、本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトが特に好適に用いられる。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は次の一般式で示される組成を有するものである。
(MgLi)Si
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦b≦0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0、である)
このような膨潤性フッ素雲母としては、コープケミカル株式会社やトピー工業株式会社からの市販品を好適に使用できるほか、次のような製造法により容易に得ることができる。
すなわち、酸化珪素と酸化マグネシウムと各種のフッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉で1400〜1500℃の温度で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフッ素雲母を結晶成長させる、いわゆる溶融法である。また、タルクを出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションしてフッ素雲母を得る方法がある。後者の方法では、タルクに珪フッ化物アルカリあるいはフッ化アルカリを混合し、磁製ルツボにおいて700〜1200℃で短時間加熱処理することによってフッ素雲母を得ることができる。
本発明に用いることができるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等で精製することにより得ることができる。
Si(Al2−aMg)O10(OH)・nH
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnHOで表した。)
また、モンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
本発明において用いられる膨潤性層状珪酸塩の初期粒子径については、特に限定されないが、得られるポリアミド樹脂組成物の剛性や耐熱性への影響を考慮して適宜選択する。好ましい粒径の範囲は0.1〜20μm程度である。初期粒径は、必要に応じてジェットミル等で粉砕してコントロールすることができる。ここいでいう初期粒子径とは、本発明において用いるポリアミド樹脂(A)を製造する際に用いる原料としての膨潤性層状珪酸塩の粒子径であり、複合材料中の珪酸塩層の大きさとは異なるものである。
膨潤性層状珪酸塩をインターカレーション法により合成する場合には、原料であるタルクの粒子径を適切に選択することにより初期粒子径を変更することができる。粉砕との併用により、より広い範囲で初期粒子径を調節することができる点で好ましい方法である。
本発明におけるポリアミドは、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれる)を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。その原料の具体例としては、アミノカルボン酸としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等が挙げられる。またラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等がある。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等がある。またジカルボン酸としては、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等がある。またこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
本発明において用いられるポリアミド樹脂の好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンテレフタルアミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合物が挙げられる。中でもナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロ12およびそれらの混合物が特に好ましい。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が、ナイロン6およびナイロン66の場合、2.0〜4.5が好ましく、最適には2.3〜4.0であることが望ましく、ナイロン11およびナイロン12の場合、1.2〜2.8が好ましく、最適には1.4〜2.3であることが望ましい。相対粘度が下限を下回る場合には、本発明によって得られるポリアミド樹脂組成物は耐久性や靱性に乏しいものとなり好ましくない場合がある。一方、相対粘度が上限を超える場合にはポリアミド樹脂組成物の溶融時の流動性が極端に低下し成形性が著しく悪化する場合があるので好ましくない。
本発明における1分子中に3個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物(B)としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルのような、トリメチロールプロパンおよび/またはグリセロールの骨格を有するものを好適に用いることができる。
トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルの構造式は次の通り。
Figure 0005059750
グリセロールポリグリシジルエーテルの構造式は次の通り。
Figure 0005059750
本発明において脂肪族エポキシ化合物(B)1分子中のグリシジル基は3個であることが必要である。2個以下であると強度、靭性、耐久性の向上が乏しく本発明の効果が得られない。一方、4個以上であると、ポリアミド樹脂のゲル化が著しく操業性が悪化するため好ましくない。
脂肪族エポキシ化合物(B)のエポキシ当量は180g/eq以下であることが好ましく、150g/eq以下であることがより好ましい。エポキシ当量が180g/eqを超えると、特に強度、靭性、耐久性の向上効果が乏しくなるため好ましくない。また、操業性の観点から、脂肪族エポキシ化合物(B)の25℃における粘度が1〜1500mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1〜1000mPa・sである。
(B)成分の配合量は、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、0.05〜4.0質量部であり、好ましくは0.1〜3.0質量部、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部の範囲である。(B)成分の配合量が0.05質量部未満の場合には、ポリアミド樹脂組成物の剛性、靱性、耐久性、摺動性の向上が不十分であるため好ましくない。一方、この配合量が4.0質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の流動性が著しく低下し、成形加工性が悪化するばかりか、相対粘度測定溶媒(濃硫酸)に不溶なゲル化物が発生し、物性を低下させる傾向があるため好ましくない。なお、脂肪族エポキシ化合物(B)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、1分子中にグリシジル基を2個以下または4個以上有する脂肪族エポキシ化合物を併用することを妨げるものではない。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する方法は特に限定されないが、通常は、2軸押出機を用いてポリアミド樹脂(A)と脂肪族エポキシ化合物(B)を溶融混練し、ストランド状に押出して、ペレット化すればよい。
次に本発明におけるポリアミド樹脂(A)の製造方法について説明する。
ポリアミド樹脂(A)の製造方法は、基本的には、適宜選択した膨潤性層状珪酸塩の存在下、所定量のモノマーをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度200〜300℃、圧力0.2〜3MPa、1〜15時間の範囲内で溶融重縮合法によればよい。ナイロン6を樹脂マトリックスとする場合には、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、重合後のポリアミド樹脂組成物に残留しているポリアミドのモノマーを除去するために、ポリアミド樹脂組成物のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましい。この場合、好ましくは90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理を行えばよい。
また、ポリアミド樹脂(A)の製造は、膨潤化剤で前処理しておいた膨潤性層状珪酸塩とポリアミド樹脂とを溶融混練することにより得ることもできる。膨潤化剤としては有機カチオンが好ましく、有機アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオンが挙げられる。有機アンモニウムイオンとしては、1級ないし4級のアンモニウムイオンが挙げられる。1級アンモニウムイオンとしては、オクチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム等が挙げられる。2級アンモニウムイオンとしてはジオクチルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウム、ジオクタデシルアンモニウム等が挙げられる。3級アンモニウムイオンとしては、トリオクチルアンモニウム、ジメチルドデシルアンモニウム、ジドデシルモノメチルアンモニウム等が挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラエチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ジオクタデシルジメチルアンモニウム、ドデシルジヘキシルメチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルメチルオクタデシルアンモニウム、メチルドデシルビス(ポリエチレングリコール)アンモニウム、メチルジエチル(ポリプロピレングリコール)アンモニウム等が挙げられる。また、有機ホスホニウムイオンとしては、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でアンモニウムイオンが好適に用いられる。
層状珪酸塩を前記有機カチオンで処理する方法としては、まず、層状珪酸塩を水またはアルコール中に分散させ、ここへ前記有機カチオンを塩の形で添加して攪拌混合することにより、層状珪酸塩の無機イオンを有機カチオンとイオン交換させた後、濾別、洗浄、乾燥する方法が挙げられる。
膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層の含有量は、珪酸塩層を含むポリアミド樹脂(A)100質量%に対して0.1〜20質量%とすることが好ましく、1.0〜10質量%とすることがより好ましい。この量は、後述するポリアミド樹脂(A)の無機灰分率により確認できる。この配合量が0.5質量%未満では、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層によるポリアミド樹脂マトリックスの補強効果に乏しい。一方、この配合量が20質量%を超える場合には、靱性が低下する傾向があるため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物を製造するに当たっては、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、摺動性改良材、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよい。これらはポリアミド樹脂組成物を製造する任意の段階で加えることができ、例えば、ポリアミド樹脂(A)の重合時に添加してもよいし、脂肪族エポキシ化合物(B)と溶融混練する際に加えてもよい。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、他の熱可塑性樹脂が混合されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラストマーまたはこれらの無水マレイン酸等による変性物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリレート等が挙げられる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例で用いた原料および物性試験の測定方法は次の通りである。
1.原料
(1)ポリアミド樹脂(A−1)
ε−カプロラクタム10kgに対して、1kgの水と200gの膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製ME−100、陽イオン交換容量100ミリ当量/100g、粒径4μm)とを添加し、これを内容積30リットルのオートクレーブに入れ、260℃に加熱し、内圧が1.5MPaになるまで上昇させた。その後徐々に水蒸気を放出しつつ、圧力1.5MPa、温度260℃に保持したまま2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに30分間重合した。重合が終了した時点で、前記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリアミド樹脂のペレットを得た。次いでこのペレットを95℃の熱水で8時間精練を行った後、真空乾燥した。得られたポリアミド樹脂は、無機灰分率測定により珪酸塩層は2.2質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は2.7であった。また、このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、フッ素雲母の厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にフッ素雲母が分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(2)ポリアミド樹脂(A−2)
ε−カプロラクタム10kgに対して、1kgの水と400gのモンモリロナイト(クミニネ工業社製 クニピアF、陽イオン交換容量115ミリ当量/100g、粒径1μm)とを添加し、これを内容積30リットルのオートクレーブに入れ、260℃に加熱し、内圧が1.5MPaになるまで上昇させた。その後徐々に水蒸気を放出しつつ、圧力1.5MPa、温度260℃に保持したまま2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに15分間重合した。重合が終了した時点で、前記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリアミド樹脂のペレットを得た。次いでこのペレットを95℃の熱水で8時間精練を行った後、真空乾燥した。得られたポリアミド樹脂は、珪酸塩層は4.0質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は2.5であった。このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、モンモリロナイトの厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にモンモリロナイトが分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(3)ポリアミド樹脂(A−3)
後述するポリアミド樹脂P−2を95質量%にドデシルジヘキシルメチルアンモニウム膨潤処理膨潤性層状珪酸塩(コープケミカル社製MEE(ドデシルジヘキシルメチルアンモニウムで処理したME−100;有機成分30質量%)、粒径8μm)を5質量%、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の主供給口に供給して溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定250〜260℃で、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hであった。珪酸塩層は3.5質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は2.5であった。このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、モンモリロナイトの厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にモンモリロナイトが分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(4)ポリアミド樹脂(A−4)
後述するポリアミド樹脂P−3を94質量%にドデシルジヘキシルメチルアンモニウム膨潤処理膨潤性層状珪酸塩(コープケミカル社製MEE(ドデシルジヘキシルメチルアンモニウムで処理したME−100;有機成分30質量%)、粒径8μm)を6質量%、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の主供給口に供給して溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定270〜290℃で、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hであった。珪酸塩層は4.2質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は2.8であった。このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、モンモリロナイトの厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にモンモリロナイトが分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(5)ポリアミド樹脂(A−5)
12アミノドデカン酸10kgに対して、2kgの水と400gの膨潤性フッ素雲母(コープケミカル社製ME−100、陽イオン交換容量100ミリ当量/100g、粒径4μm)とを添加し、これを内容積30リットルのオートクレーブに入れ、230℃に加熱し、内圧が1.5MPaになるまで上昇させた。その後徐々に水蒸気を放出しつつ、圧力1.5MPa、温度230℃に保持したまま2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに30分間重合した。重合が終了した時点で、前記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリアミド樹脂のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂は、無機灰分率測定により珪酸塩層は4.2質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は1.6であった。また、このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、フッ素雲母の厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にフッ素雲母が分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(6)ポリアミド樹脂(A−6)
後述するポリアミド樹脂P−4を94質量%にドデシルジヘキシルメチルアンモニウム膨潤処理膨潤性層状珪酸塩(コープケミカル社製MEE(ドデシルジヘキシルメチルアンモニウムで処理したME−100;有機成分30質量%)、粒径8μm)を6質量%、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の主供給口に供給して溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定270〜290℃で、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hであった。珪酸塩層は4.2質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は1.6であった。このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、モンモリロナイトの厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中にモンモリロナイトが分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(7)ポリアミド樹脂(A−7)
アルケマ社製ポリアミド11「BMNO]94質量%にドデシルジヘキシルメチルアンモニウム膨潤処理膨潤性層状珪酸塩(コープケミカル社製MEE(ドデシルジヘキシルメチルアンモニウムで処理したME−100;有機成分30質量%)、粒径8μm)を6質量%、同方向二軸押出機(東芝機械製TEM37BS)の主供給口に供給して溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取った樹脂組成物を水槽を通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は温度設定230〜250℃で、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hであった。珪酸塩層は4.2質量%、後述する粘度測定法による相対粘度は1.8であった。このポリアミド樹脂のペレットについて広角X線回折測定を行ったところ、膨潤層状珪酸塩の厚み方向のピークは完全に消失しており、ポリアミド樹脂中に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩が分子レベルで均一に分散されていることが分かった。
(8)ポリアミド樹脂(P−1)
ユニチカ社製ナイロン6「A1030BRT」を用いた。後述する粘度測定法による相対粘度は3.4であった。
(9)ポリアミド樹脂(P−2)
ユニチカ社製ナイロン6「A1030BRL」を用いた。後述する粘度測定法による相対粘度は2.5であった。
(10)ポリアミド樹脂ナイロン66(P−3)
ユニチカ社製「A125」を用いた。後述する粘度測定法による相対粘度は2.8であった。
(11)ポリアミド樹脂ナイロン12(P−4)
12アミノドデカン酸10kgに対して、2kgの水を添加し、これを内容積30リットルのオートクレーブに入れ、230℃に加熱し、内圧が1.5MPaになるまで上昇させた。その後徐々に水蒸気を放出しつつ、圧力1.5MPa、温度230℃に保持したまま2時間重合した後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに30分間重合した。重合が終了した時点で、前記の反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断してポリアミド樹脂のペレットを得た。得られたポリアミド樹脂の後述する粘度測定法による相対粘度は1.6であった。
(12)エポキシ化合物
・(B−1):坂本薬品工業社製「トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル SR−TMP」 エポキシ当量137g/eq、粘度125mPa・s、1分子中にグリシジル基を3個有する。
・(B−2):ナガセケムテックス社製「グリセロールポリグリシジルエーテル EX−313」 エポキシ当量141g/eq、粘度150mPa・s、1分子中にグリシジル基を3個有する。
・(B−3):阪本薬品工業社製「ジエチレングリコールグリシジルエーテル SR−2EG」 エポキシ当量149g/eq、粘度22mPa・s、1分子中にグリシジル基を2個有する。構造式は次の通り。
Figure 0005059750
・(B−4):日産化学社製「トリスエポキシプロピルイソシアヌレート TEPIC−S」1分子にグリシジル基を3個有する。構造式は次の通り。
Figure 0005059750
・(B−5):ナガセケムテックス社製「ソルビトールポリグリシジルエーテル EX−614B」 エポキシ当量173g/eq、粘度5000mPa・s、1分子中にグリシジル基を4個有する。
Figure 0005059750
2.測定方法
(1)膨潤性フッ素雲母の陽イオン交換容量(CEC)
日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイト(粉状)のCEC測定方法(JBAS−106−77)に基づいて求めた。
すなわち、浸出液容器、浸出管及び受器を縦方向に連結した装置を用いて、まず始めに、pH7に調整した1N酢酸アンモニウム水溶液により、膨潤性フッ素雲母の層間カテオンの全てをNH に交換する。その後、水とエテルアルコールを用いて十分に洗浄してから、前記NH 型の膨潤性フッ素雲母を10質量%の塩化カリウム水溶液中に浸し、試料中のNH をKに交換する。引き続いて、前記イオン交換反応に伴って浸出したNH を0.1N水酸化ナトリウム水溶液で滴定することによって膨潤性フッ素雲母のCEC(ミリ当量/100g)を求めた。
なお、本発明における膨潤性フッ素雲母は、イオン交換能を有するカチオンは全てナトリウムイオンであるため、陽イオン交換容量は1ミリ当量/100g=1ミリモル/100gに相当する。
(2)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂組成物の乾燥ペレットを、無機灰分率を考慮してポリアミド樹脂成分の濃度が1g/dlになるように96質量%濃硫酸中に溶解させ、G−3ガラスフィルターにより無機成分を濾別した後測定に供した。測定はウベローデ型粘度計を用い、25℃で行った。
(3)ポリアミド樹脂組成物の無機灰分率
ポリアミド樹脂組成物の乾燥ペレットを磁性ルツボに精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した後の残渣を無機灰分として、次式に従って無機灰分率を求めた。
無機灰分率(質量%)={無機灰分質量(g)}/{焼却処理前の試料の全質量(g)}×100
(4)引張強度
ASTM D638に準拠してダンベル型試験片を用いて23℃で測定した。引張強度は、ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合、90MPa以上、ナイロン11およびナイロン12の場合は50MPa以上であることが好ましい。
(5)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して23℃で測定した。曲げ弾性率は、ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合、3.5GPa以上、ナイロン11およびナイロン12の場合は2.0GPa以上であることが好ましい。
(6)Izod衝撃強度(ノッチ付き)
ASTM D256に準拠して23℃で測定した。Izod衝撃強度は45J/m以上が好ましい。
(7)耐久試験
振動疲労試験機(東洋精機製作所製B70型)を用いて、23℃で測定した。試験片寸法は幅3.2mm、厚み12.7mm、長さ127mmであり、スパン間距離を35mmになるように固定し、ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合は荷重98N、ナイロン11およびナイロン12の場合は荷重75Nで30サイクル/secの振動を与え、試験片が破断するまでのサイクル数を測定した。試験片が破断するまでのサイクル数は100×10以上が好ましい。
(8)比摩耗量、動摩擦係数
JIS K7218に準拠した鈴木式摩擦摩耗試験機(東洋ボールドウィン製EFM−111−EN)により23℃において測定した。試料は中空円筒とし、相手材はS45Cの中空円筒、ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合は荷重430N、ナイロン11およびナイロン12の場合は荷重280N、速度0.5m/s、滑り距離3.6kmの条件で測定した。比摩耗量、動摩擦係数はいずれも低いほど摺動性がすぐれていることを意味し、比摩耗量は1.0×10−3・mm/(N・km)以下が好ましく、動摩擦係数は0.15以下が好ましい。
(9)吸水率
引張強度測定に用いたものと同形の試験片を使用し、23℃水中、48時間後の吸水率を測定した。ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合は、吸水率は1.5%以下、ナイロン11およびナイロン12の場合は0.5%以下であることが好ましい。
(10)吸水寸法変化率
引張強度測定に用いたものと同形の試験片を使用し、23℃水中、48時間吸水後の試験片の流れ方向の寸法変化率を測定した。寸法変化率は、ポリアミド成分がナイロン6およびナイロン66の場合0.2%以下、ナイロン11およびナイロン12の場合0.1%以下であることが好ましい
(11)エポキシ当量
JIS K 7236に準拠して測定した。
(12)粘度
JIS K 7233に準拠して25℃において測定した。
実施例1
ポリアミド樹脂(A−1)100質量部とエポキシ化合物(B−1)0.5質量部を二軸押出機(東芝機械社製、TEM37−BS)にて樹脂温度270℃で溶融混練押出し、ペレット化した。次いで、このペレットを乾燥後、射出成形機(東芝機械社製、IS100E−3A)を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃の条件で射出成形することにより、各種試験片を作製し、それぞれ試験に供した。結果を表1に示す。
実施例2〜3および比較例1〜6
表1に示す成分比率にした他は、実施例1と同様にして試験片を作製し、それぞれ物性試験に供した。ただし、比較例3および比較例6溶融混練時にゲル化が起こり、ペレット化できなかったため、物性等の評価は行えなかった。また、比較例4はA−1をそのまま各種評価に供した。
実施例4および比較例7〜8
表2に示す成分比率にし、二軸押出機での加工時の樹脂温度290℃、射出成形時のシリンダー温度を290℃にした他は、実施例1と同様にして試験片を作製し、それぞれ物性試験に供した。また、比較例7はA−4をそのまま各種評価に供した。
実施例5〜7および比較例9〜11
表2に示す成分比率にし、二軸押出機での加工時の樹脂温度220℃、射出成形時のシリンダー温度を220℃にした他は、実施例1と同様にして試験片を作製し、それぞれ物性試験に供した。また、比較例9はA−5をそのまま各種評価に供した。比較例11はA−7をそのまま各種評価に供した。
Figure 0005059750
Figure 0005059750
表1および表2結果から明らかなように、1分子中に3個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物を用いた実施例1〜6の場合は、引張強度や曲げ弾性率の向上とともにIzod衝撃強度、耐久性、摺動性の向上も見られた。比較例1のように1分子中に2個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物を用いた場合は、耐久性に乏しく、比較例2のように1分子中に3個のグリシジル基を有しても、脂肪族ではないエポキシ化合物の場合、引張強度やIzod衝撃強度、耐久性に乏しい結果となった。比較例3は1分子中に3個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物の配合量が本願発明の範囲をこえたため、また、比較例6は分子中に4個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物を用いたため、溶融混錬時にゲル化がおこり、ペレット化できなかった。比較例4、7、9、11は1分子中に3個のグリシジル基を有する脂肪族エポキシ化合物を用いなかったため、実施例1、4、5、7と比べて、吸水率をのぞく全ての項目において劣る結果となった。比較例5、8、10においては、珪酸塩層を含有していないポリアミド樹脂を用いたために、Izod衝撃強度に向上が見られたが、強度、弾性率、耐久性においては向上が見られなかった。また、吸水率が高いという欠点も見受けられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、優れた機械的特性、耐久性、摺動性、低吸水性を有するので、各種ギア、ベアリング、軸受等、ブレーキ、クラッチ部品等、各種シール部材、ピストンリング、機械的伝導機構用部品(歯車、摩擦車、カム等)、時計用機構部品等、建材、スポーツ用品等が挙げられる。これらの製品は従来から知られている樹脂組成物の成形法により製造することができる。好ましい製造法としては、射出成形法が挙げられる。

Claims (3)

  1. 膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が分散されてなるポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、1分子中に3個のグリシジル基を有し、かつエポキシ当量が137〜180g/eqである脂肪族エポキシ化合物(B)を0.1〜4質量部配合してなるポリアミド樹脂組成物であって、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層の含有量が、珪酸塩層を含むポリアミド樹脂(A)100質量%に対して、1.0〜10質量%であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物
  2. 脂肪族エポキシ化合物(B)がトリメチロールプロパンおよび/またはグリセロールを骨格とするものである請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 脂肪族エポキシ化合物(B)の25℃における粘度が1〜1000mPa・sである請求項1またはに記載のポリアミド樹脂組成物。
JP2008513213A 2006-04-28 2007-04-24 ポリアミド樹脂組成物 Expired - Fee Related JP5059750B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008513213A JP5059750B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-24 ポリアミド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006125571 2006-04-28
JP2006125571 2006-04-28
PCT/JP2007/058831 WO2007125907A1 (ja) 2006-04-28 2007-04-24 ポリアミド樹脂組成物
JP2008513213A JP5059750B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-24 ポリアミド樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007125907A1 JPWO2007125907A1 (ja) 2009-09-10
JP5059750B2 true JP5059750B2 (ja) 2012-10-31

Family

ID=38655433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008513213A Expired - Fee Related JP5059750B2 (ja) 2006-04-28 2007-04-24 ポリアミド樹脂組成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US8008389B2 (ja)
EP (1) EP2017305A1 (ja)
JP (1) JP5059750B2 (ja)
CN (1) CN101432363B (ja)
TW (1) TW200804514A (ja)
WO (1) WO2007125907A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5113506B2 (ja) * 2007-12-20 2013-01-09 ユニチカ株式会社 低揮発性ポリアミド樹脂組成物
KR101609207B1 (ko) * 2008-04-16 2016-04-05 유니띠까 가부시키가이샤 2축 연신 폴리아미드 수지 필름 및 그 제조 방법
EP2305447B1 (de) * 2009-10-05 2014-11-12 Basf Se Verfahren zur Herstellung von Bauteilen aus einer thermoplastischen Formmasse, sowie Bauteile aus einer thermoplastischen Formmasse
CN104425777A (zh) * 2013-08-29 2015-03-18 苏州翰普高分子材料有限公司 基于聚酰胺组合物的电池密封垫
CN107099116A (zh) * 2017-05-18 2017-08-29 湖南省达琪新材料有限公司 聚酰胺多胺插层层状硅酸盐复合材料的制备方法
CN109575590A (zh) * 2018-11-30 2019-04-05 广东威林工程塑料股份有限公司 一种低吸水率、高尺寸稳定性的环氧树脂原位固化挤出填充pa66复合材料及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03121120A (ja) * 1989-07-03 1991-05-23 Mitsui Petrochem Ind Ltd 制振材料
JPH03170545A (ja) * 1989-11-30 1991-07-24 Somar Corp 液状エポキシ樹脂組成物
JPH0892465A (ja) * 1994-09-26 1996-04-09 Mitsubishi Eng Plast Kk 耐候性ポリアミド樹脂組成物
JP2002338886A (ja) * 2001-03-16 2002-11-27 Toray Ind Inc 焼付塗装用ポリアミド樹脂組成物および焼付塗装成形品
JP2006342296A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Toray Ind Inc 自動車部品用ポリアミド樹脂組成物

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57137762A (en) 1981-02-18 1982-08-25 Aisin Chem Co Ltd Resin made gear for engine
JPH0822946B2 (ja) 1985-09-30 1996-03-06 株式会社豊田中央研究所 複合材料
JP2941159B2 (ja) 1992-12-29 1999-08-25 ユニチカ株式会社 強化ポリアミド樹脂組成物およびその製造法
CN1081207C (zh) * 1997-07-17 2002-03-20 中国科学院化学研究所 一种聚酰胺粘土纳米复合材料的制法
JP4253431B2 (ja) 2000-09-14 2009-04-15 日本ポリペンコ株式会社 モノマーキャストナイロン樹脂及びその製造方法
JP4433827B2 (ja) 2004-02-27 2010-03-17 日本精工株式会社 樹脂製歯車
JP2006131832A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Unitika Ltd ポリアミド樹脂組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03121120A (ja) * 1989-07-03 1991-05-23 Mitsui Petrochem Ind Ltd 制振材料
JPH03170545A (ja) * 1989-11-30 1991-07-24 Somar Corp 液状エポキシ樹脂組成物
JPH0892465A (ja) * 1994-09-26 1996-04-09 Mitsubishi Eng Plast Kk 耐候性ポリアミド樹脂組成物
JP2002338886A (ja) * 2001-03-16 2002-11-27 Toray Ind Inc 焼付塗装用ポリアミド樹脂組成物および焼付塗装成形品
JP2006342296A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Toray Ind Inc 自動車部品用ポリアミド樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2007125907A1 (ja) 2007-11-08
CN101432363B (zh) 2012-03-14
US8008389B2 (en) 2011-08-30
US20090182086A1 (en) 2009-07-16
TW200804514A (en) 2008-01-16
EP2017305A1 (en) 2009-01-21
CN101432363A (zh) 2009-05-13
JPWO2007125907A1 (ja) 2009-09-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6103805A (en) Polyamide resin composition and molded articles
JP5059750B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物
KR20160115919A (ko) 섬유 강화 다층 펠릿, 그것을 성형하여 이루어지는 성형품, 및 섬유 강화 다층 펠릿의 제조 방법
US6255378B1 (en) Polyamide resin composition and process for producing the same
JP5553495B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品
JP2941159B2 (ja) 強化ポリアミド樹脂組成物およびその製造法
JPH11315204A (ja) ポリアミド複合材料
JP2009035592A (ja) ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
JP5191154B2 (ja) ポリアミド成形品の製造方法およびエンジンカバー
JP4884714B2 (ja) エンジンカバー用ポリアミド樹脂混合物および該混合物を用いて製造されたエンジンカバー
JP2006131832A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP2006143772A (ja) 樹脂組成物
JP2004250562A (ja) ポリアミド樹脂組成物及びそれからなる成形品
JP5290527B2 (ja) 船舶本体または船舶に付属する部材を構成する樹脂成形品
JP2009007483A (ja) ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
JPH09241505A (ja) ポリアミド樹脂組成物
JP5113506B2 (ja) 低揮発性ポリアミド樹脂組成物
JP6545442B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびそれよりなる成形体
JP4726474B2 (ja) ポリアミド複合材料射出成形品の製造方法
JP2012001633A (ja) ポリアミド樹脂組成物の製造方法
JP2001098147A (ja) ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム及び容器
JPH10237298A (ja) ポリアミド樹脂組成物からなるチップ及びその製造法
JPH11228817A (ja) ガスバリヤー性に優れたポリアミド樹脂組成物及びその製造法、並びにこれを用いたフィルム及び容器
KR100419544B1 (ko) 강화된폴리아미드수지조성물및이의제조방법
JPH11172100A (ja) 強化ポリアミド樹脂

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120417

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120724

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120802

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees