JP2002309079A - ポリアミド複合材料およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド複合材料およびその製造方法

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JP2002309079A
JP2002309079A JP2001115415A JP2001115415A JP2002309079A JP 2002309079 A JP2002309079 A JP 2002309079A JP 2001115415 A JP2001115415 A JP 2001115415A JP 2001115415 A JP2001115415 A JP 2001115415A JP 2002309079 A JP2002309079 A JP 2002309079A
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Koji Fujimoto
康治 藤本
Akinobu Kogami
明信 小上
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特別な設備なしに、また生産性を犠牲にする
ことなく、優れた機械的特性、耐熱性を有するポリアミ
ド複合材料を提供する。 【解決手段】(A)ポリアミド樹脂と(B)膨潤性層状
珪酸塩とを溶融混練してなるポリアミド複合材料であっ
て、(B)成分が、その層間にアミノカルボン酸又はラ
クタムから得られるポリアミドの平均重合度10〜10
0のオリゴマーが挿入された膨潤性層状珪酸塩であり、
該ポリアミド複合材料中の無機灰分量が0.1〜40質
量%であることを特徴とするポリアミド複合材料。ま
た、その製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨潤性層状珪酸塩
とポリアミド樹脂とからなる機械的特性および耐熱性に
優れたポリアミド複合材料およびその製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂をガラス繊維や無機充填
材で強化し、その機械的特性を改良した複合材料が広く
知られている。しかしこれらの強化材はポリアミド樹脂
との親和性が乏しいため、多量に配合しなければ機械的
特性や耐熱性が向上せず、得られた複合材料には、高比
重である、靱性が低い、表面外観が悪い等の問題があっ
た。そのため、これら強化材の表面に有機シラン等のカ
ップリング処理を施すことにより、強化材とポリアミド
樹脂との親和性を高める方法が用いられているが、現在
に至るまで十分な改良には至っていない。
【0003】このようなポリアミド複合材料の欠点を改
良する試みとして、ある種の膨潤性層状珪酸塩の層構造
を崩すことによって得られる一枚一枚の珪酸塩層を微細
な強化材として用いるポリアミド複合材料が提案されて
いる。その代表例としては、ポリアミド樹脂とモンモリ
ロナイトとからなるポリアミド複合材料(特開昭62-749
57号公報、特開昭63-230766号公報、特開平2-102261号
公報、特開平3-7729号公報)やポリアミド樹脂と膨潤性
フッ素雲母系鉱物とからなるポリアミド複合材料(特許
第2941159号)等がある。
【0004】前記したポリアミド複合材料は、主として
ポリアミド樹脂の重合時に膨潤性層状珪酸塩の樹脂マト
リクス中への分散を行うことにより複合化を行ってい
る。特に特許第2941159号においては、特定の膨潤性フ
ッ素雲母系鉱物を用いることにより、通常のポリアミド
樹脂の製造方法をそのまま用いても機械的特性、耐熱
性、寸法安定性等に優れたポリアミド複合材料が製造で
きることが開示されており、工程的にシンプルで実用性
の高い方法である。
【0005】しかしながら、これら重合時に複合化を行
う方法では、膨潤性層状珪酸塩を多量に配合した場合に
重合終了時の樹脂の流動性が低下し、重合反応器からの
樹脂の払出し収率が低下するという生産上の問題が生じ
た。また、このような高粘度下でのかく拌は重合装置へ
の負荷も大きい。
【0006】一方、ポリアミド樹脂と膨潤性層状珪酸塩
とからなる複合材料を得る別の試みとして、膨潤性層状
珪酸塩の層間に特定の4級アンモニウムイオンをインタ
ーカレーションして得られる層間化合物をポリアミド樹
脂と溶融混練する方法(特開平8-12881号公報)や、膨
潤性層状珪酸塩を溶媒で膨潤させ後にポリアミド樹脂と
溶融混練する方法(特開平8-151449号公報)などが提案
されている。これらはいずれも前記した製造上の問題を
回避しうる方法ではあるが、強化材の分散性や溶融混練
に先立つ膨潤性層状珪酸塩の前処理に特別な設備が必要
な点等で問題があった。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記
した問題を解決することすなわち、ポリアミド樹脂と膨
潤性層状珪酸塩とからなるポリアミド複合材料におい
て、膨潤性層状珪酸塩の配合量の広い範囲で、特別な設
備なしに、また生産性を犠牲にすることなく、優れた機
械的特性、耐熱性を有するポリアミド複合材料を得るこ
とを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討を進めた結果、本発明に到達し
た。すなわち本発明の要旨は、第1に、(A)ポリアミ
ド樹脂と(B)膨潤性層状珪酸塩とを溶融混練してなる
ポリアミド複合材料であって、(B)成分が、その層間
にアミノカルボン酸又はラクタムから得られるポリアミ
ドの平均重合度10〜100のオリゴマーが挿入された
膨潤性層状珪酸塩であり、該ポリアミド複合材料中の無
機灰分量が0.1〜40質量%であることを特徴とする
ポリアミド複合材料であり、第2に、オリゴマー100
質量部を形成するモノマー量に対して10〜50質量部
の膨潤性層状珪酸塩とを存在させた状態で該モノマーを
重合して得られる膨潤性層状珪酸塩(B)をポリアミド
樹脂(A)と溶融混練するポリアミド複合材料の製造方
法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明のポリアミド複合材料とはポリアミ
ド樹脂マトリックス中に膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層が
分子レベルで分散されたものである。ここで珪酸塩層と
は、膨潤性層状珪酸塩を構成する基本単位であり、膨潤
性層状珪酸塩の層構造を崩すこと(以下、「劈開」と呼
ぶ)によって得られる板状の無機結晶である。本発明に
おける珪酸塩層とは、この珪酸塩層の一枚一枚、もしく
は平均5層以下の積層状態を意味する。分子レベルで分
散されるとは、膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層がポリアミ
ド樹脂マトリックス中に分散する際に、それぞれが平均
2nm以上の層間距離を保ち、互いに塊を形成すること
なく存在している状態をいう。ここで層間距離とは前記
珪酸塩層の重心間距離である。係る状態は、得られたポ
リアミド複合材料の試験片について、例えば透過型電子
顕微鏡写真観察を行うことにより確認することができ
る。
【0011】本発明において(A)成分として用いるポ
リアミド樹脂とは、アミノカルボン酸、ラクタムあるい
はジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれ
る)を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重
合体である。その原料の具体例としては、アミノカルボ
ン酸としては、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデ
カン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息
香酸等がある。またラクタムとしてはε−カプロラクタ
ム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等が
ある。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ド
デカメチレンジアミン、2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、
2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレン
ジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノ
メチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシ
ル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシ
ル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロ
パン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチ
ルピペラジン等がある。またジカルボン酸としては、ア
ジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテ
レフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタ
ル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等がある。ま
たこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用い
ることもできる。
【0012】係るポリアミド樹脂の好ましい例として
は、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチ
レンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレン
アジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリ
ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/6
6)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカ
ミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンセバカミド
(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド
(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド
(ナイロン116)、ポリヘキサメチレンイソフタルア
ミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル
アミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンテレフタ
ルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリ
マー(ナイロン6T/6I)、ポリカプロアミド/ポリヘ
キサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6
/6T)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフ
タルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタル
アミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサ
メチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルア
ミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリトリメチ
ルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMD
T)、ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンドデ
カミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3-メチル
-4-アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロ
ンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンテレフタル
アミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンテ
レフタルアミド(ナイロン11T)およびこれらの混合
物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6、
ナイロン6/66、ナイロン66、ナイロン12、ナイ
ロン6I、ナイロン6Tまたはこれらの混合物、共重合
体が好ましく、特にナイロン6、ナイロン6/66、ナ
イロン66が特に好ましい。
【0013】上記のポリアミド樹脂の重合は特に制限は
ないが、96質量%濃硫酸を溶媒とし、温度25℃、濃度1g
/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特
に2.0〜4.0の範囲にあることが望ましい。相対粘度が1.
5未満のものは成形品の機械物性に劣る傾向にある一方
で、5.0を越えるものは成形性が著しく低下する傾向に
ある。
【0014】本発明における(B)成分に用いる膨潤性
層状珪酸塩は、珪酸塩を主成分とする負に帯電した結晶
層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオン
とからなる構造を有するものであり、後述する方法で求
めた陽イオン交換容量が50〜200ミリ当量/100gであるこ
とが望ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100
g未満のものでは、膨潤能が低いために後述する(B)
成分の調製時に十分な劈開が達成されず、溶融混練後に
得られるポリアミド複合材料の機械的特性や耐熱性の改
良効果が乏しくなる。一方、この交換容量が200ミリ当
量/100gを越えるものでは、得られたポリアミド複合材
料の強度や剛性の向上に反して靱性は大幅に低下するた
め好ましくない。
【0015】係る膨潤性層状珪酸塩としては、天然に産
出するものでも人工的に合成あるいは変成されたもので
もよく、本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ
素雲母系鉱物やモンモリロナイトが特に好適に用いられ
る。
【0016】本発明における膨潤性フッ素雲母系鉱物は
一般的に次式で示される構造式を有するものである。 Naα(MgxLiβ)Si4yz (式中で、0≦α≦0.5,0≦β≦0.5,2.5≦
x≦3,10≦y≦11,1.0≦z≦2.0)
【0017】このような膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造
法としては、例えば酸化珪素、酸化マグネシウムおよび
各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいは
ガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、そ
の冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母系鉱物の結
晶成長させる溶融法が挙げられる。
【0018】一方、タルクを出発物質として用い、これ
にアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤
性を付与し、膨潤性フッ素雲母系鉱物を得る方法もある
(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合
比で混合したタルクと珪フッ化アルカリあるいはフッ化
アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短
時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母系鉱
物を得ることができる。生成の確認は、水ひ処理により
精製した上記生成物について、後述する陽イオン交換容
量の測定を行うことによっておこなう。膨潤性フッ素雲
母系鉱物が生成していれば層間にイオン交換性カチオン
が存在し、この測定が可能となる。
【0019】本発明に用いるモンモリロナイトは次式で
表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用
いて精製することにより得ることができる。 MaSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH20 (式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.2
5≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオ
ンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条
件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで
表した)またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモ
リロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモン
モリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られてお
り、これらを用いてもよい。
【0020】本発明においては上記した膨潤性層状珪酸
塩の初期粒子径について特に制限はない。ここで初期粒
子径とは本発明のポリアミド複合材料を製造するに当た
って用いる原料としての膨潤性層状珪酸塩の粒子径であ
り、複合材料中の珪酸塩層の大きさとは異なるものであ
る。この粒子径は、溶融混練後に得られるポリアミド複
合材料の機械的物性等に少なからず影響を及ぼし、その
物性をコントロールする意味で、必要に応じてジェット
ミル等で粉砕して粒子径をコントロールすることは望ま
しい。また、膨潤性フッ素雲母系鉱物をインターカレー
ション法により合成する場合には、原料であるタルクの
粒子径を適切に選択することにより初期粒子径を変更す
ることができる。粉砕との併用により、より広い範囲で
初期粒子径を調節することができる点で好ましい方法で
ある。前記の手法によって粒子径をコントロールする場
合、0.5〜30μmが好ましい範囲である。
【0021】これらの膨潤性層状珪酸塩は、前述したポ
リアミド樹脂と溶融混練するに先だって、層間にアミノ
カルボン酸又はラクタムから得られるポリアミドのオリ
ゴマーが挿入されていること(以下、「オリゴマー処
理」という)が必要である。膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩
層間の間隔を予め拡大しておくことにより、溶融混練時
において劈開が容易に達成されるため、得られたポリア
ミド複合材料の機械的特性や耐熱性が大きく向上する。
このオリゴマー処理によって膨潤性層状珪酸塩の層間に
挿入されるポリアミドのオリゴマーの平均重合度は10
〜100の範囲内にあることが必要である。平均重合度
が10未満のオリゴマーでは珪酸塩層間の間隔が不十分
にしか拡大せず、溶融混練時の劈開が不十分となるため
ポリアミド複合材料の性能が向上しない。また溶融混練
時に発生する分解ガスも多く、生産性の観点から好まし
くない。一方平均重合度が100を越えるとオリゴマー
処理後の膨潤性層状珪酸塩の回収率が著しく低下し、生
産性の観点から好ましくない。生産性と得られるポリア
ミド複合材料の性能との兼ね合いからは、オリゴマーの
平均重合度は40〜90の範囲がより好ましい。
【0022】膨潤性層状珪酸塩の層間に挿入されるオリ
ゴマーは、アミノカルボン酸又はラクタムから得られた
ポリアミドのオリゴマーである必要がある。アミノカル
ボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノ
ウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、
ラクタムとしては、ε‐カプロラクタム、γ‐バレロラ
クタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム
等がある。これらの中でも、ナイロン6、ナイロン1
1、ナイロン12のオリゴマーを用いることが好まし
く、ナイロン6がもっとも好ましい。これらは2種以上
併用してもよく、またオリゴマーは上記のモノマーの2
種以上から得られる共重合体でもよい。さらに、少量で
あれば、(A)成分として用いることのできる他のポリ
アミド成分が共重合されていてもよい。オリゴマーがこ
のような成分であることを必要とする理由は、ジカルボ
ン酸とジアミンとからなるいわゆるAB型ポリアミドに
比べて、その重合過程が単純であり、膨潤性層状珪酸塩
の層間に挿入されるオリゴマーの重合度のコントロール
が容易である点にある。このことは、最終的にポリアミ
ド複合材料を製造するために必要となる溶融混練工程に
おいて、溶融混練機の性能に応じて最適なオリゴマー処
理された膨潤性層状珪酸塩を提供できることを意味し、
ポリアミド複合材料を安定的に生産することが可能にな
ると同時に、より幅広いポリアミド樹脂マトリクス種に
対応できるようになる。
【0023】このオリゴマー処理には特別な設備は必要
なく、ポリアミドを重合することのできる通常のオート
クレーブを用いて行うことができる。具体的には、オー
トクレーブ中にポリアミドオリゴマーを形成するモノマ
ーであるアミノカルボン酸又はラクタムと前記した膨潤
性層状珪酸塩および必要に応じて重合触媒を仕込み、通
常のポリアミドの重合工程を経ることによる。ナイロン
6オリゴマーを用いる場合には、ε−カプロラクタム又
は6-アミノカプロン酸を利用することができ、ε−カプ
ロラクタムと6-アミノカプロン酸を併用してもよい。重
合は、温度240〜300℃、圧力0〜3MPaで、1〜10時間の範
囲で適宜行えばいよい。
【0024】オリゴマーの重合をおこなうに当たっては
酸を添加してもよい。酸を添加することにより膨潤性層
状珪酸塩の層間でのオリゴマーの重合が促進されるた
め、溶融混練時の劈開がより促進され、ポリアミド複合
材料の性能が向上する。またオリゴマー処理の効率が上
がるため、後述するオリゴマーを形成するモノマー量に
対する膨潤性層状珪酸塩の仕込量を多くすることができ
る。
【0025】上記の酸としては、pKa(25℃、水中での
値)が0〜6または負の酸であるなら有機酸でも無機酸で
もよく、具体的には安息香酸、セバシン酸、ギ酸、酢
酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、
亜硝酸、リン酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化
水素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸等が挙げられる。
【0026】酸の添加量は、使用する膨潤性層状珪酸塩
の全陽イオン交換容量に対して当モル量以下とすること
が好ましい。ただし、上記した酸のうち一部の有機酸は
末端封鎖剤としての働きもするため、ナイロン6オリゴ
マーの平均重合度を調節する意味で添加する場合には適
宜酸の添加量を増やしてもよい。
【0027】オリゴマー処理をするに当たってはポリア
ミドオリゴマー100質量部を形成する上記モノマー量
に対して10〜100質量部の膨潤性層状珪酸塩を仕込
むのが望ましい。膨潤性層状珪酸塩の仕込量が10質量
部未満ではその膨潤性層状珪酸塩の層間外で重合するポ
リアミドの割合が多く、処理効率が低い。また仕込量が
100質量部を超えるとオリゴマー処理後の膨潤性層状
珪酸塩の回収率が著しく低下し、生産性の観点から好ま
しくない。生産性及び得られるポリアミド複合材料の性
能との兼ね合いからは、膨潤性層状珪酸塩の仕込量は1
5〜50質量部の範囲がより好ましい。
【0028】なおオリゴマー処理を行うに先立って、水
溶液もしくは溶融状態の上記モノマーと膨潤性層状珪酸
塩の混合物をホモジナイザ等の高回転、高剪断が得られ
る装置を用いて攪拌するか、オートクレーブ中で高温下
に攪拌するか、あるいはこれら両者を組み合わせた処理
を行うことが好ましい。これにより膨潤性層状珪酸塩の
層間でのポリアミドオリゴマーの重合がより促進され、
溶融混練後に得られるポリアミド複合材料の機械的特性
や耐熱性がより向上する。
【0029】本発明におけるポリアミド複合材料の製造
方法は、特定の方法に限定されることはないが、原料と
して(A)ポリアミド樹脂、(B)オリゴマー処理を施
した膨潤性層状珪酸塩を単軸あるいは2軸の押出機、バ
ンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロール等
の既知の溶融混練機に供給し、用いるポリアミド樹脂の
融点によって適宜220〜300℃の温度範囲で溶融混練すれ
ばよい。
【0030】係る溶融混練時に特別な条件等は必要ない
が、特に押出機を用いて溶融混練する場合、(B)成分
中のポリアミドオリゴマーの平均重合度に応じて、
(A)成分と(B)成分をドライブレンドして押出機の
最上流部から供給する、(B)成分をサイドから重力に
よる自然落下により供給する、(B)成分をサイドフィ
ーダーから押し出す等の方法があり適宜選択する。また
スクリューのデザインにも特別なものは必要としない。
ただし、(B)成分中のポリアミドオリゴマーの平均重
合度が小さい場合には、押出機に設けたベント口を減圧
に保持し発生する分解ガスを除去することが望ましい。
【0031】層状珪酸塩の配合量としては、得られるポ
リアミド複合材料の無機灰分量で0.1〜40質量%の範囲
内にあることが好ましく、1〜20質量%の範囲がより好
ましい。この無機灰分量が0.1質量%未満では、珪酸塩
層によるポリアミド樹脂マトリックスの強化効果に乏し
く、一方40質量%を超えると靱性が大幅に低下する。
【0032】ポリアミド複合材料を製造するに当たって
は、その特性を大きく損なわない限りにおいて、熱安定
剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、
難燃剤、可塑剤、結晶核剤、離型剤等を添加してもよ
い。
【0033】熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒ
ンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン
類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン
化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0034】強化材としては、例えばクレー、タルク、
炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、
アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミ
ン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネ
シウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、ゼオライ
ト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、
セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、
窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が
挙げられ、特にガラス繊維は好適に利用できる。
【0035】さらに、本発明のポリアミド複合材料に
は、他の熱可塑性樹脂が混合されていてもよい。熱可塑
性樹脂としては、例えばポリブタジエン、ブタジエン/
スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン/プロピレ
ン共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体、天
然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエ
ラストマーまたはこえらの無水マレイン酸等による変性
物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェ
ニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセター
ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ
樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリアリレート等が挙げられ
る。
【0036】本発明のポリアミド複合材料は、強化材と
しての膨潤性層状珪酸塩の配合量を極少量から多量にま
で自由に調節することにより、優れた機械的特性と耐熱
性を発揮する一方、さらなる強化材の配合や他種熱可塑
性樹脂との混合等も容易であり、発展性に富んでいる。
これら得られたポリアミド複合材料は、射出成形や押出
成形等の通常の方法により容易に成形することでき、自
動車・機械分野や建材分野、電気・電子分野等の幅広い
アプリケーションに対応できる。
【0037】次に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例ならびに比較例で用いた原料
および物性試験の測定方法は次の通りである。 1.原料 (1)膨潤性フッ素雲母系鉱物 ボールミルにより平均粒子径が6(mとなるように粉砕し
たタルクに対し、平均粒子径が同じく6(mの珪フッ化ナ
トリウムを全量の15質量%となるように混合した。これ
を磁性ルツボに入れ、電気炉にて850℃で1時間反応さ
せることによりインターカレーション反応を行った。反
応生成物の純度は98%であったが、水ひ処理により精
製して使用した。後述する陽イオン交換容量は100mmol/
100gであり、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成が確認され
た。 (2)モンモリロナイト クニミネ工業社製「クニピア-F」を用いた。陽イオン交
換容量は115mmol/100gであった。 (3)ナイロン6 ユニチカ社製「A1030BRL」を用いた。 (4)ナイロン6/66コポリマー ユニチカ社製「C1030SP」を用いた。
【0038】2.測定方法 (1)陽イオン交換容量 日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイ
ト(粉状)の陽イオン交換容量測定方法(JBAS-106-7
7)に基づいて求めた。すなわち、浸出液容器、浸出管
および受器を縦方向に連結した装置を用いて、まず初め
に、層状珪酸塩をpH=7に調製した1N酢酸アンモニウム水
溶液により、その層間のイオン交換性カチオンの全てを
NH4 +に交換する。その後、水とエチルアルコールを用い
て十分に洗浄してから、前記したNH4 +型の層状珪酸塩を
10質量%の塩化カリウム水溶液中に浸し、試料中のNH4 +
をK+へと交換する。引き続いて、前記したイオン交換反応
に伴い浸出したNH4 +を0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用
いて中和滴定することにより、原料である膨潤性層状珪
酸塩の陽イオン交換容量(ミリ当量/100g)を求めた。 (2)ポリアミドオリゴマーの平均重合度 乾燥したポリアミド複合材料のペレットを、ヘキサフル
オロイソプロパノールと10mMトリフルオロ酢酸ナトリウ
ムの混合溶媒に0.1質量%となるように溶解する。その
後G-3ガラスフィルターにより無機成分を濾別したサン
プルを調製し、ミリポアフィルターを介してゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー装置にインジェクション
した。測定には東ソー社製PS8010システムを用い、カラ
ム温度40℃、ポリメチルメタクリレートをスタンダード
として210nmのUV吸収帯を用い、得られた数平均分子量
を使用したモノマーの分子量で除算することにより求め
た。 (3)オリゴマー処理層状珪酸塩の収率 オートクレーブから払い出せたオリゴマー処理層状珪酸
塩の質量を処理に使用した仕込んだポリアミドのモノマ
ーおよび層状珪酸塩の全質量を用いて次式に従って求め
た。 収率(質量%)=〔{回収したオリゴマー処理層状珪酸
塩の質量(g)}〕/〔{仕込んだモノマーおよび層状
珪酸塩の全質量(g)}〕×100 (4)ポリアミド複合材料の無機灰分率 乾燥したポリアミド複合材料のペレットを磁性ルツボに
精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した
後の残渣を無機灰分として、次式に従って無機灰分率を
求めた。 無機灰分率(質量%)=〔{無機灰分質量(g)}〕/
〔{焼却処理前の試料の全質量(g)}〕×100 (5)ポリアミド複合材料の相対粘度 96質量%濃硫酸中に、ポリアミド複合材料の乾燥ペレッ
トの濃度が1g/dlになるように溶解させ、G-3ガラスフィ
ルターにより無機成分を濾別した後、粘度測定に供し
た。測定は25℃で行った。 (6)ポリアミド複合材料中の珪酸塩層の分散状態 後述する、曲げ弾性率測定用の試験片から小さく切り出
したサンプルをエポキシ樹脂に包埋し、ダイヤモンドナ
イフにて超薄切片に切り出したものについて、透過型電
子顕微鏡(日本電子社製、JEM-200CX型、加速電圧100k
V)を用いて写真撮影した。この電子顕微鏡写真中に写
った膨潤性層状珪酸塩の珪酸塩層について、そのおおよ
その大きさと層間距離を求めることにより珪酸塩層の分
散性を評価した。 (7)試験片の曲げ弾性率 ASTM D-790に基づいて測定した。 (8)試験片の荷重たわみ温度 ASTM D-648に基づいて、荷重1.86MPaで測定した。
【0039】実施例1 膨潤性フッ素雲母系鉱物200g(全陽イオン交換容量は0.
2molに相当する)を予めε-カプロラクタム500gおよび
水100gとを混合して得た溶液中に加え、80℃に保持下、
ホモジナイザを用いて1時間かく拌した。この膨潤性フ
ッ素雲母系鉱物分散液の全量を内容積2リットルのオー
トクレーブに仕込み、撹拌しながら260℃に加熱し、圧
力1.5MPaまで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出し
つつ温度260℃、圧力1.5MPaを2時間維持し、さらに1時
間かけて常圧まで放圧し、さらに5分間重合した。重合
が終了した時点で、前記反応生成物をストランド状に払
い出し自然冷却しつつワインダーで巻き取った後、切断
して、オリゴマー処理した膨潤性フッ素雲母系鉱物とナ
イロン6オリゴマーの混合物を得た。この混合物の無機
灰分率は27.9%であり、またナイロン6オリゴマーの平
均重合度は52であった。次に、ユニチカ社製ナイロン6
(相対粘度2.5)に上記の方法で調製した混合物とを二
軸押出機(東芝機械社製 TEM37BS)を用いて溶融混練
した(シリンダー温度250℃、スクリュー回転数120rp
m)。オリゴマー処理した膨潤性層状珪酸塩は、ナイロ
ン6との溶融混練後の灰分が6%になるように配合し
た。得られたペレットを射出成形機(東芝機械社製 IS
-80G)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度70℃、
射出時間1秒、冷却時間10秒で射出成形し、厚み3.2mmの
試験片を作製した。
【0040】実施例2 実施例1で得られたオリゴマー処理した膨潤性層状珪酸
塩とナイロン6オリゴマーの混合物を、ユニチカ社製ナ
イロン6に灰分率が15%となるように配合し、溶融混練
を行った(シリンダー温度260℃、スクリュー回転数100
rpm)。得られたペレットを実施例1と同様の条件で射
出成形し、得られた試験片を用いて物性試験を行った。
【0041】実施例3 実施例1で得られたオリゴマー処理した膨潤性層状珪酸
塩とナイロン6オリゴマーの混合物を、ユニチカ社製ナ
イロン6/66(相対粘度2.7)に灰分率が6%となるよ
うに配合し、溶融混練を行った(シリンダー温度250
℃、スクリュー回転数120rpm)。得られたペレットを実
施例1と同様の条件で射出成形し、得られた試験片を用
いて物性試験を行った。
【0042】実施例4 膨潤性フッ素雲母系鉱物の代わりにモンモリロナイトを
用いた他は実施例1と同様にしてオリゴマー処理を行っ
た。得られた混合物の無機灰分率は25.2%であり、また
ナイロン6オリゴマーの平均重合度は48であった。次に
この混合物を、ユニチカ社製ナイロン6に灰分率が6%
となるように配合し、溶融混練を行った(シリンダー温
度250℃、スクリュー回転数120rpm)。得られたペレッ
トを実施例1と同様の条件で射出成形し、得られた試験
片を用いて物性試験を行った。
【0043】実施例5 実施例4で得られたオリゴマー処理したモンモリロナイ
トとナイロン6オリゴマーの混合物を、ユニチカ社製ナ
イロン6/66に灰分率が6%となるように配合し、溶融
混練を行った(シリンダー温度250℃、スクリュー回転
数120rpm)。得られたペレットを実施例1と同様の条件
で射出成形し、得られた試験片を用いて物性試験を行っ
た。
【0044】比較例1 膨潤性フッ素雲母系鉱物200g(全陽イオン交換容量は0.
2molに相当する)、ε-カプロラクタム500gおよび水50g
を内容積2リットルのオートクレーブに仕込み、撹拌し
ながら260℃に加熱し、圧力1.5MPaまで昇圧した。その
後、徐々に水蒸気を放出しつつ温度260℃、圧力0.5MPa
を20分間維持し、さらに10分かけて常圧まで放圧し、そ
の直後にオートクレーブから払い出した。得られた反応
生成物を自然冷却された後、小型の粉砕機を用いて粉末
状にした。この混合物の無機灰分率は28.1%であり、ま
たナイロン6オリゴマーの平均重合度は9であった。次
に、ユニチカ社製ナイロン6(相対粘度2.5)に上記の
方法で調製した混合物とを二軸押出機(東芝機械社製
TEM37BS)を用いて溶融混練した(シリンダー温度250
℃、スクリュー回転数120rpm)。オリゴマー処理した膨
潤性層状珪酸塩は、ナイロン6との溶融混練後の灰分が
6%になるように配合した。得られたペレットを射出成
形機(東芝機械社製 IS-80G)を用い、シリンダー温度
250℃、金型温度70℃、射出時間1秒、冷却時間10秒で射
出成形し、厚み3.2mmの試験片を作製した。
【0045】比較例2 膨潤性フッ素雲母系鉱物200g(全陽イオン交換容量は0.
2molに相当する)、ε-カプロラクタム500gおよび水50g
を内容積2リットルのオートクレーブに仕込み、撹拌し
ながら260℃に加熱し、圧力1.5MPaまで昇圧した。その
後、徐々に水蒸気を放出しつつ温度260℃、圧力1.5MPa
を2時間維持し、さらに1時間かけて常圧まで放圧し、さ
らに30分間重合した。重合が終了した時点で、前記反応
生成物をストランド状に払い出し、水浴による冷却、固
化後、切断して、オリゴマー処理した膨潤性フッ素雲母
系鉱物とナイロン6オリゴマーの混合物を得た。この混
合物の無機灰分率は22.3%であり、またナイロン6オリ
ゴマーの平均重合度は173であった。このときオートク
レーブから回収できた混合物は20%程度であり、収率は
著しく低下した。次に、比較例1と同様にして溶融混練
を行った後、射出成形し、物性評価を行った。
【0046】比較例3 ユニチカ社製ナイロン6(相対粘度2.5)100質量部と膨
潤性フッ素雲母系鉱物6.4質量部とを予め均一にドライ
ブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製 TEM37B
S)を用いて溶融混練した(シリンダー温度250℃、スク
リュー回転数120rpm)。溶融混練後の灰分は6%であっ
た。得られたペレットを射出成形機(東芝機械社製 IS
-80G)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度70℃、
射出時間1秒、冷却時間10秒で射出成形し、厚み3.2mmの
試験片を作製した。
【0047】参考例 ユニチカ社製ナイロン6(相対粘度2.5)を射出成形機
(東芝機械社製 IS-80G)を用い、シリンダー温度250
℃、金型温度70℃、射出時間1秒、冷却時間10秒で射出
成形し、厚み3.2mmの試験片を作製した。
【0048】実施例1〜5および比較例1〜3における
オリゴマー処理層状珪酸塩の特性とそれらを用いて得ら
れたポリアミド複合材料の物性等をまとめて表1に示
す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例1から5において、得られたポリア
ミド複合材料の試験片について透過型電子顕微鏡写真観
察を行ったところ、ポリアミド樹脂マトリックス中にお
いて、膨潤性フッ素雲母系鉱物、モンモリロナイトのい
ずれの場合もその珪酸塩層単位にまで分散していること
がわかった。
【0051】比較例1は、オリゴマーの重合度が低かっ
たため、剛性、耐熱性の向上が不十分であった。比較例
2は、オリゴマーの重合度が高かったため、処理混合物
の収率が低く、生産性に問題があった。比較例3は、膨
潤性層状珪酸塩にオリゴマー処理を施さなかったため、
剛性、耐熱性はほとんど改良されなかった。
【0052】本発明によれば、ポリアミド樹脂と膨潤性
層状珪酸塩とからなるポリアミド複合材料において、膨
潤性層状珪酸塩の配合量の広い範囲で、特別な設備およ
び生産性を犠牲にすることなく、優れた機械的特性、耐
熱性を有するポリアミド複合材料を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 DB02 DB04 DC12 EA02 EA06 EA07 EA08 EA14 EA16 EA17 EA45 FA03 FA05 GA01 GA11 GB02 GB03 GB06 GC04 GC05 HA01 HA02 JA02 JA04 JA05 JA07 JA08 JA15 JB01 JB21 JB23 JC02 4J002 CL001 CL011 CL021 CL031 CL051 CL061 DJ006 DJ056 FA016 FB266 FD016 GL00 GM00 GN00 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド樹脂と(B)膨潤性層
    状珪酸塩とを溶融混練してなるポリアミド複合材料であ
    って、(B)成分が、その層間にアミノカルボン酸又は
    ラクタムから得られるポリアミドの平均重合度10〜1
    00のオリゴマーが挿入された膨潤性層状珪酸塩であ
    り、該ポリアミド複合材料中の無機灰分量が0.1〜4
    0質量%であることを特徴とするポリアミド複合材料。
  2. 【請求項2】 アミノカルボン酸又はラクタムから得ら
    れるポリアミドが、ナイロン6、ナイロン11、ナイロ
    ン12から選ばれた少なくとも1種のポリアミドである
    請求項1記載にポリアミド複合材料。
  3. 【請求項3】 (B)成分が、オリゴマー100質量部
    を形成するモノマー量に対して10〜100質量部の膨
    潤性層状珪酸塩を存在させた状態で該モノマーを重合し
    て得られることを特徴とする請求項1又は2に記載のポ
    リアミド複合材料。
  4. 【請求項4】 膨潤性層状珪酸塩が膨潤性フッ素雲母系
    鉱物であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記
    載のポリアミド複合材料。
  5. 【請求項5】 オリゴマー100質量部を形成するモノ
    マー量に対して10〜50質量部の膨潤性層状珪酸塩を
    存在させた状態で該モノマーを重合して得られる膨潤性
    層状珪酸塩(B)をポリアミド樹脂(A)と溶融混練す
    る請求項1〜4に記載のポリアミド複合材料の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005026261A1 (ja) * 2003-09-09 2005-03-24 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology ポリアミド複合材料、その製造方法及びそれを用いた電子デバイス
JP2010047666A (ja) * 2008-08-20 2010-03-04 Unitika Ltd ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物

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WO2005026261A1 (ja) * 2003-09-09 2005-03-24 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology ポリアミド複合材料、その製造方法及びそれを用いた電子デバイス
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