JPH09324046A - 強化ポリアミド樹脂組成物の製造法 - Google Patents

強化ポリアミド樹脂組成物の製造法

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JPH09324046A
JPH09324046A JP14149196A JP14149196A JPH09324046A JP H09324046 A JPH09324046 A JP H09324046A JP 14149196 A JP14149196 A JP 14149196A JP 14149196 A JP14149196 A JP 14149196A JP H09324046 A JPH09324046 A JP H09324046A
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acid
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layered silicate
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Kazue Kojima
和重 小島
Tsuneo Tamura
恒雄 田村
Izumi Yoshida
泉 吉田
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性に
優れ、かつ得られる樹脂組成物の特性のばらつきを少な
くして品質の安定した強化ポリアミド樹脂組成物とする
ことができる樹脂組成物の製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリアミド 100重量部を形成するモノマ
ー量に対して、下記の特性を有する層状珪酸塩0.01〜
100重量部と下記の特性を有する酸 0.001〜5重量部
とを存在させた状態でモノマーを重合する。 25℃の純水に7重量%になるように層状珪酸塩を分散
させ、No.5のローターをセットしたB型回転粘度計(東
京計器社製)を用いて、6 rpmの撹拌速度で測定したと
きの回転粘度が1000cP以下である。 25℃の水中でのpKaが0〜4又は負で、かつプロトン
放出後に生成する陰イオンがかたい塩基である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミドと吸水
性の小さい層状珪酸塩とからなり、機械的強度、靭性、
耐熱性及び寸法安定性に優れた強化ポリアミド樹脂組成
物の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドをガラス繊維や炭素繊維等の
繊維質や炭酸カルシウム等の無機充填材で強化した樹脂
組成物は広く知られている。しかし、これらの強化材は
ポリアミドとの親和性に乏しく、強化ポリアミド樹脂の
機械的強度や耐熱性は改良されるものの、靭性が低下
し、また繊維質で強化した樹脂組成物では成形品のそり
が大きくなるという問題がある。しかも、これら無機充
填材で強化した樹脂組成物では、充填材を多量に配合し
ないと機械的強度や耐熱性が向上しないという問題もあ
った。
【0003】このような強化ポリアミド樹脂の欠点を改
良する試みとして、ポリアミドとモンモリロナイトに代
表される粘土鉱物からなる樹脂組成物が提案されてい
る。例えば、特開昭62− 74957号公報、特開昭63−2307
66号公報、特開平2−102261号公報、同3−7729号公報
には、ポリアミドとモンモリロナイトからなる樹脂組成
物が提案されている。
【0004】この樹脂組成物は、ポリアミド鎖を粘土鉱
物の層間に侵入させることによって微細に均一分散した
複合体としようとするものであり、このような目的でモ
ンモリロナイトを用いる場合、上記の各公報に記載され
ているように、ポリアミドあるいはポリアミドを形成す
るモノマーにモンモリロナイトを配合する前に、これを
アミノカルボン酸等の膨潤化剤と接触させることによっ
てモンモリロナイトの層間距離を拡げるための処理が不
可欠であった。したがって、当業界においては、このよ
うな処理が不要で、従来の強化ポリアミド樹脂の欠点を
解決することができる無機充填剤が強く求められてい
た。
【0005】このような問題点を解決する試みとして、
本発明者らは、先にポリアミドを形成するモノマーに膨
潤性フッ素雲母系鉱物を添加して重合して強化ポリアミ
ド樹脂組成物を製造する方法を提案した(特開平6−24
8176号公報)。この方法によれば、モンモリロナイトに
代表される従来の粘土鉱物を用いる場合と異なり、膨潤
化処理を行うことなく、機械的強度、靭性、耐熱性及び
寸法安定性に優れた樹脂組成物を得ることができた。し
かし、優れた性能を有する樹脂組成物を得るには、10kg
/cm2以上の圧力で重合する高圧重合法を採用することが
必要であり、特別な重合装置が必要という問題があっ
た。
【0006】また、本発明者らは、pKaが0〜6又は負
の酸を存在させた状態で、膨潤性フッ素雲母系鉱物を添
加して、ポリアミドを形成するモノマーを重合する方法
を提案した(特開平8−3310号公報、特願平6−280363
号)。この方法によれば、重合時の圧力を高圧にする必
要がなく、5kg/cm2程度の圧力を制圧時に用いるだけ
で、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性に優れた
樹脂組成物を得ることができた。しかし、ここに記載の
方法では、吸水性がかなり大きな膨潤性フッ素雲母系鉱
物を用いていたため、膨潤性フッ素雲母系鉱物を正確に
秤量することが難しく、得られる樹脂組成物の特性にば
らつきが生じ易いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミド
を形成するモノマーに、特定の層状珪酸塩と特定の酸と
を添加して重合して強化ポリアミド樹脂組成物を製造す
る方法において、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安
定性に優れ、かつ得られる樹脂組成物の特性のばらつき
を少なくして品質の安定した強化ポリアミド樹脂組成物
を得る方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は次の通りである。ポリアミ
ド 100重量部を形成するモノマー量に対して、下記の
特性を有する層状珪酸塩0.01〜 100重量部と下記の特
性を有する酸 0.001〜5重量部とを存在させた状態でモ
ノマーを重合することを特徴とする強化ポリアミド樹脂
組成物の製造法。 25℃の純水に7重量%になるように層状珪酸塩を分散
させ、No.5のローターをセットしたB型回転粘度計(東
京計器社製)を用いて、6 rpmの撹拌速度で測定したと
きの回転粘度が1000cP以下である。 25℃の水中でのpKaが0〜4又は負で、かつプロトン
放出後に生成する陰イオンがかたい塩基である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0010】本発明におけるポリアミドは、アミノカル
ボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とか
ら形成されるアミド結合を有する溶融成形可能な重合体
を意味する。
【0011】このようなポリアミドを形成するモノマー
の例を挙げると、次のようなものがある。
【0012】アミノ酸としては6−アミノカプロン酸、
11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラ
アミノメチル安息香酸等がある。
【0013】ラクタムとしてはε−カプロラクタム、ω
−ラウロラクタム等がある。
【0014】ジアミンとしてはテトラメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、 2,2,4−/ 2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレ
ンジアミン、 2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,
3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ
−3−アミノメチル−3,5,5 −トリメチルシクロヘキサ
ン、 3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビ
ス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メ
チル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、 2,2−ビス
(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−ア
ミノプロピル)ピペラジン、ビス(2−アミノエチル)
ピペラジン等がある。
【0015】ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカル
ボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフ
タル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒ
ドロイソフタル酸、ジグリコール酸等がある。
【0016】本発明におけるポリアミドの好ましい例と
しては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラ
メチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバ
カミド(ナイロン 610)、ポリヘキサメチレンドデカミ
ド(ナイロン 612)、ポリウンデカメチレンアジパミド
(ナイロン 116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン1
1)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリトリメ
チルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMD
T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6
I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミ
ド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4−アミノシクロヘ
キシル)メタンドデカミド、(ナイロンPACM12)、ポリ
ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン
ドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシ
リレンアジパミド(ナイロンMDX6)、ポリウンデカメチ
レンテレフタルアミド(ナイロン 11T)、ポリウンデカ
メチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T
(H))及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド
等がある。中でも特に好ましいものはナイロン6、ナイ
ロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びこれ
らの共重合ポリアミド、混合ポリアミドである。
【0017】本発明におけるポリアミドの相対粘度は特
に制限はないが、溶媒として濃度96%の硫酸を用い、温
度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた値で 1.5〜 5.0の範
囲にあることが好ましい。相対粘度が 1.5未満のもので
は、成形体としたときの機械的特性が低下するので好ま
しくない。逆にこれが 5.0を超えるものでは、樹脂組成
物の成形性が急速に低下するので好ましくない。
【0018】本発明における層状珪酸塩は、珪酸塩を主
成分とする負に帯電した層と、その層間に介在する特定
の陽電荷(陽イオン)とからなる構造を有するものであ
る。
【0019】かかる層状珪酸塩は、25℃の純水に7重量
%になるように層状珪酸塩を分散させ、No.5のローター
をセットしたB型回転粘度計(東京計器社製)を用い
て、6rpmの撹拌速度で測定したときの回転粘度が1000c
P以下であることが必要である。そのためには、層状珪
酸塩の層間に介在するナトリウムイオンもしくはリチウ
ムイオンの一部をカリウムイオン、ルビジウムイオン、
銀イオン、バリウムイオン等、相対的にイオン半径の大
きな陽イオンで置換しておくことが必要であり、特にカ
リウムイオンで置換しておくことが好ましい。この回転
粘度が1000cPを超えるものでは、層状珪酸塩は大きな吸
水性を有することになり、その貯蔵安定性が悪く、安定
した品質の樹脂組成物が得られないので好ましくない。
【0020】本発明において、層状珪酸塩の層間の一部
にカリウムイオン、ルビジウムイオン、銀イオン、バリ
ウムイオン等、相対的にイオン半径の大きな陽イオンを
挿入するためには、層状珪酸塩の層間イオンをイオン交
換する必要がある。
【0021】この際、イオン交換反応は、通常の方法で
行うことができ、例えば層状珪酸塩とカリウム化合物、
ルビジウム化合物、銀化合物又はバリウム化合物とを水
中で反応させる方法がある。また、イオン交換される金
属イオンの割合は、上記した特性を満足するようにす
ればよい。
【0022】上記のイオン交換反応に供せられる層状珪
酸塩の好ましい例としては、スメクタイト族(例えば、
モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクト
ライト、ソーコナイト)、バーミキュライト族(例え
ば、バーミキュライト)、雲母族(例えば、フッ素雲
母、白雲母、パラゴナイト金雲母、黒雲母、レピドライ
ト)、脆雲母族(例えば、マーガライト、クリントナイ
ト、アナンダイト)、緑泥石族(例えば、ドンバサイ
ト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャ
モサイト、ニマイト)等であり、通常これらは、その層
間にナトリウムイオンもしくはリチウムイオンを介在す
るものである。
【0023】これらの層状珪酸塩は、天然に産するもの
であっても人工的に合成あるいは変性されたものであっ
てもよく、またオニウム塩等の有機化合物で部分的に処
理されたものであってもよい。中でも、フッ素雲母系鉱
物は白色度の点から特に好ましく、このフッ素雲母系鉱
物は容易に合成できるものである。
【0024】本発明において層状珪酸塩の配合量は、ポ
リアミド 100重量部を形成するモノマー量に対して、0.
01〜 100重量部の範囲とすることが必要であり、0.1 〜
20重量部の範囲とすることが好ましい。この配合量が0.
01重量部未満では、機械的強度、耐熱性、寸法安定性に
優れた樹脂組成物が得られず、逆に 100重量部を超える
と、靭性の低下が大きくなるので好ましくない。
【0025】本発明における酸は、25℃の水中でのpKa
が0〜4又は負で、かつプロトン放出後に生成する陰イ
オンがかたい塩基であることが必要である。pKaが4を
超えるものであっても、プロトン放出後に生成する陰イ
オンがかたい塩基でないものであっても、層状珪酸塩を
均一に分散させることが難しい。
【0026】ここで、「塩基のかたさ」とは、例えば、
ベル・ロット(C.F.BELL, K.A.K.LOTT)著、奥野久輝ほ
か訳「無機化学」、1976年、東京化学同人、 231〜 232
頁に記載されている定性的なものである。通常、かたい
塩基とは原子半径が小さく、電荷密度の高いもので、例
えば S04 2-、 F- 、Cl- 、Br- 、I - 、PO4 3-、HP
O3 2-、ClO4 - 、NO3 - 等が挙げられる。
【0027】上記の酸としては、無機酸、有機酸のいず
れであってもよく、具体的には、硫酸、塩酸、リン酸、
亜リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、
過塩素酸、硝酸等が挙げられるが、硫酸、塩酸、リン酸
もしくは亜リン酸が特に好ましい。
【0028】本発明において酸の添加量は、ポリアミド
100重量部を形成するモノマー量に対して、 0.001〜5
重量部の範囲とすることが必要であり、0.05〜1重量部
の範囲とすることが好ましい。この配合量が 0.001重量
部未満では、層状珪酸塩を均一に分散させることが難し
く、逆に5重量部を超えると、高重合度のポリマーが得
られないので好ましくない。
【0029】本発明の方法を実施するには、ポリアミド
を形成するモノマーに、上記の層状珪酸塩と酸とを所定
量存在させた状態で、モノマーを重合すればよい。
【0030】本発明における強化ポリアミド樹脂組成物
には、その特性を大きく損わない限り、顔料、熱安定
剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強
化剤等を添加することができる。
【0031】熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒ
ンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン
類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン
化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
特に銅化合物やアルカリ金属のハロゲン化物が最も効果
的である。
【0032】また、強化剤としては、例えばクレー、タ
ルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シ
リカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、
アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸
マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸
化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタル
サイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィス
カー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラ
ファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
【0033】これらの添加剤は、重合時あるいは得られ
た樹脂組成物を溶融混練又は溶融成形する際に加えられ
る。
【0034】本発明の方法で得られる樹脂組成物は、他
の熱可塑性樹脂と混合して用いることもできる。このよ
うな熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリブタジエン、
ブタジエン/スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレ
ン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブタ
ジエン共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化
ポリエチレン等のエラストマー及びこれらの無水マレイ
ン酸等による酸変性物、スチレン/無水マレイン酸共重
合体、スチレン/フェニルマレイミド共重合体、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ブタジエン/アクリロニトリ
ル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、
ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹
脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリアリレート等がある。
【0035】本発明の方法で得られる樹脂組成物は、通
常の成形加工方法で目的の成形品とすることができる。
例えば射出成形、押出成形、吹き込み成形、焼結成形等
の熱溶融成形法や、有機溶媒溶液からの流延法により、
成形品とする方法が採用できる。
【0036】本発明の方法で得られる樹脂組成物は、機
械的強度、耐熱性及び寸法安定性がポリアミド単独の場
合に比べて顕著に改良され、また吸水による機械的性質
や寸法の変化が少ない。この樹脂組成物は、その優れた
性能により、電気・電子機器分野におけるスイッチやコ
ネクター等の機構部品やハウジング類、自動車分野にお
けるアンダーボンネット部品や外装部品、外板部品ある
いはリフレクター等の光学部品等、あるいは機械分野に
おけるギアやベアリングリテーナー等として使用され
る。
【0037】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例で用いた原料及び測
定法は次の通りである。 1.原料 (1) 層状珪酸塩 層状珪酸塩として、層間の一部がカリウムイオンで置換
されたフッ素雲母系鉱物(M−1)を次のようにして作
製した。「ボールミルにより平均粒径が2μmとなるよ
うに粉砕したタルクに対し、平均粒径が同じく2μmの
珪フッ化ナトリウムを全量の20重量%となるように混合
し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉で 850℃にて1時
間反応させた。次いで、上記の方法により得られた層間
にナトリウムイオンを有するフッ素雲母系鉱物(M−
2) 200gを10リットルの純水中に投入し、そこに1規
定の塩化カリウム水溶液0.15リットルを入れ、25℃で5
時間攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥することによりM−
1を得た。」 このM−1は、M−2のナトリウムイオンの50モル%が
カリウムイオンで置換されたものであり、M−2及びモ
ンモリロナイト(山形県産)と併せて、その特性値を表
1に示す。なお、表1中の特性値の測定法については次
の項に記した。
【0038】
【表1】
【0039】(2) 酸 塩酸(濃度35重量%)、硫酸(濃度96重量%)、p−ト
ルエンスルホン酸(1水和物)、酢酸を使用した。これ
らの酸について、そのpKa、プロトン放出後に生成する
陰イオンの化学式及び塩基としてのかたさの程度を表2
に示す。
【0040】
【表2】
【0041】2.測定法 (a) 引張強度及び破断伸度 ASTM D638 に基づいて測定した。 (b) 曲げ強度及び曲げ弾性率 ASTM D790 に基づいて測定した。 (c) アイゾット衝撃強度 ASTM D256 に基づいて、厚さ 3.2mmの試験片を用いて測
定した。 (d) 熱変形温度 ASTM D648 に基づいて、荷重18.6kg/cm2で測定した。 (e) 層状珪酸塩の純水分散液の回転粘度 ビーカー内で、25℃の純水に7重量%になるように層状
珪酸塩を分散させた。次いで、この分散液を25℃に保持
し、No.5のローターをセットしたB型回転粘度計(東京
計器社製)を用いて、6 rpmの撹拌速度で測定した。 (f) 層状珪酸塩の吸水率 温度25℃、相対湿度85%に調整したデシケーター内に、
1週間放置した後の重量増加を測定することにより求め
た。
【0042】実施例1〜5 ε−カプロラクタム10kgに対して、1kgの水とM−1と
塩酸(又は硫酸もしくはリン酸)とを表3に示した量で
配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、撹拌
しながら 260℃に加熱し、5kg/cm2の圧力まで昇圧し
た。その後、常圧まで放圧し、 260℃で2時間重合し
た。重合の終了した時点で反応生成物をストランド状に
払い出し、冷却、固化後、切断して強化ナイロン6樹脂
組成物からなるペレットを得た。次いで、このペレット
を95℃の熱水で処理して精練し、真空乾燥した。次に、
これらのペレットを二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM-45
型)を用いて、シリンダー温度 260℃、金型温度70℃、
射出時間6秒、冷却時間6秒で射出成形を行い、厚み
3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。得られた
結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】比較例1〜5 M−1を配合しない他は、実施例1〜5と同様にしてナ
イロン6樹脂組成物のペレットを得た。次に、これらの
ペレットを用い、実施例1〜5と同様にして試験片を作
製し、物性試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】比較例6〜9 ε−カプロラクタム10kgに対して、1kgの水とM−1と
p−トルエンスルホン酸(又は酢酸)とを表5に示した
量で配合し、これを内容量30リットルの反応缶に入れ、
撹拌しながら 260℃に加熱し、5kg/cm2の圧力まで昇圧
した。その後、常圧まで放圧し、 260℃で2時間重合し
た。重合の終了した時点で反応生成物をストランド状に
払い出し、冷却、固化後、切断して強化ナイロン6樹脂
組成物からなるペレットを得た。次いで、このペレット
を95℃の熱水で処理して精練し、真空乾燥した。次に、
これらのペレットを用い、実施例1〜5と同様にして試
験片を作製し、物性試験を行った。得られた結果を表5
に示す。
【0047】
【表5】
【0048】比較例10〜11及び実施例6 M−1の代わりにM−2(比較例10)又はモンモリロナ
イト(比較例11)を用いた他は、実施例1と同様にして
強化ナイロン6樹脂組成物からなるペレットを得、次い
で、このペレットを用いて試験片を作製した。この重合
から成形までの工程を10回繰り返し、各サンプルについ
て、曲げ強度を測定したところ、そのばらつき(平均値
からのずれ)は大きかった。これに対して、M−1を用
いた場合(実施例6)は、そのばらつきは小さかった。
得られた結果を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアミドを形成する
モノマーに、特定の層状珪酸塩と特定の酸とを添加して
重合して強化ポリアミド樹脂組成物を製造する方法にお
いて、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性に優
れ、かつ得られる樹脂組成物の特性のばらつきを少なく
して品質の安定した強化ポリアミド樹脂組成物を得るこ
とができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド 100重量部を形成するモノマ
    ー量に対して、下記の特性を有する層状珪酸塩0.01〜
    100重量部と下記の特性を有する酸 0.001〜5重量部
    とを存在させた状態でモノマーを重合することを特徴と
    する強化ポリアミド樹脂組成物の製造法。 25℃の純水に7重量%になるように層状珪酸塩を分散
    させ、No.5のローターをセットしたB型回転粘度計(東
    京計器社製)を用いて、6 rpmの撹拌速度で測定したと
    きの回転粘度が1000cP以下である。 25℃の水中でのpKaが0〜4又は負で、かつプロトン
    放出後に生成する陰イオンがかたい塩基である。
  2. 【請求項2】 層間イオンの一部がカリウムイオンで置
    換された層状珪酸塩である請求項1記載の強化ポリアミ
    ド樹脂組成物の製造法。
  3. 【請求項3】 酸が硫酸、塩酸、リン酸もしくは亜リン
    酸である請求項1又は2記載の強化ポリアミド樹脂組成
    物の製造法。
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