JP2010047666A - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
【発明が解決しようとする課題】
機械的強度、成形サイクル性、表面外観に優れ、携帯電子機器部品やパソコン筐体部品に好適なガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
ポリアミド樹脂90〜99質量%、酸変性スチレン系エラストマー1〜10質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、ガラス繊維50〜150質量部を配合してなるガラス強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂が、結晶性ポリアミド樹脂/非晶性ポリアミド樹脂 80/20 〜 100/0(質量比)からなり、結晶性ポリアミド樹脂が、膨潤性層状ケイ酸塩を含有するポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂を含有することを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物および成形品に関し、詳しくは機械的強度、成形サイクル、表面外観に優れ、携帯電子機器部品やパソコン筐体部品に好適なガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物および成形品に関する。
従来、PDA、携帯電話、パソコンなどの携帯電子機器の筐体には、成形品の表面外観や低そり性に優れるポリカーボネート樹脂やABS樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂が使用されてきた。そして、電子機器が小型化、軽量化される中で、筐体に使用される樹脂も、薄肉成形品が求められるようになり、前記のポリカーボネート樹脂やABS樹脂にタルクやガラス繊維などが強化材として配合されるようになった。しかし、これら強化樹脂組成物は強化材の配合とともに、強度は向上するが流動性が悪くなり、特に筐体のような薄肉で複雑な形状を成形することは難しかった。
近年、ポリアミド樹脂などをベースに液晶ポリマーやポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂をアロイ化し、さらに、ガラス繊維などの無機充填材で強化させた樹脂組成物が提案されている。(たとえば特許文献1および2参照)。しかしながら、これらの樹脂組成物は、成形温度や金型温度などの樹脂加工温度が、非晶性熱可塑性樹脂と比較して高く、流動性には優れるが、成形性、特に成形時にバリが発生しやすく、成形後にバリを除去し成形品形状を整える必要があった。
流動性の向上とバリの抑制を両立させる方法として、2つの方法が提案されている。第一に金型の構造を工夫する方法である(たとえば特許文献3および4参照)。これらの方法では金型作成にコストがかかり、また、複雑な成形品の場合、金型構造へバリ抑制のための機構を施すことは難しかった。
そこで、ベースポリマーにポリアミド66樹脂とポリアミド12樹脂、さらに非晶性ポリアミド樹脂を一定量配合し、スチレン系エラストマーとガラス繊維を配合したガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物が提案された(特許文献5参照)。この樹脂組成物は、機械的強度、成形性、表面外観に優れたものであったが、更なる製造費コストダウンが求められるようになった。
特開平6-240132号公報 特開2001-316587号公報 特開平4-312809号公報 特開平5-050472号公報 特願2008-31788号公報
本発明は、機械的強度、成形サイクル性、表面外観に優れ、携帯電子機器部品やパソコン筐体部品に好適なガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維を配合したガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物において、特定のポリアミド樹脂と、酸変性スチレン系エラストマーを配合することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ポリアミド樹脂90〜99質量%、酸変性スチレン系エラストマー1〜10質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、ガラス繊維50〜150質量部を配合してなるガラス強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂が、結晶性ポリアミド樹脂/非晶性ポリアミド樹脂 80/20 〜 100/0(質量比)からなり、結晶性ポリアミド樹脂が、膨潤性層状ケイ酸塩を含有するポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂を含有することを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
(2)ガラス繊維が、長径/短径の比が1.5〜10である偏平断面を有する偏平ガラス繊維であることを特徴とする(1)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
(3)酸変性スチレン系エラストマーが、酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)であることを特徴とする(1)または(2)の樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)の樹脂組成物を用いた電子機器部品。
本発明によれば、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物において、ポリアミド樹脂として、膨潤性層状ケイ酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂、および、非晶性ポリアミド樹脂を用い、酸変性スチレン系エラストマーを特定の割合で配合することで、機械的強度が高く、成形サイクル性に優れ、かつ、表面外観に優れた樹脂組成物を提供することができる。
本発明は、膨潤性層状ケイ酸塩が分子レベルで均一に分散されたポリアミド6樹脂と、ポリアミド12樹脂から選ばれる結晶性ポリアミドと、非晶性ポリアミド、さらに酸変性スチレン系エラストマー、ガラス繊維からなる樹脂組成物である。
本発明でいうところの結晶性ポリアミドとは、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示すポリアミドをいう。また、非晶性ポリアミドとは、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示さないポリアミドをいう。本発明でいうところの融点とガラス転移温度とは、いずれも示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定すことによって、それぞれの結晶融解の吸熱のピーク温度および比熱の転移温度として、常法により求められる。
本発明において用いる結晶性ポリアミド樹脂は、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれる)を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。その原料の具体例としては、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等がある。またラクタムとしてはε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等がある。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等がある。またジカルボン酸としては、アジピン酸、スべリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等がある。またこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
かかるポリアミドモノマーを重合して得られる結晶性ポリアミド樹脂のうち、本願発明においては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカミド(ナイロン12)を用いることが必要である。これら樹脂は、混合物として用いることができる。
また、本願発明では、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカミド(ナイロン12)からなる、結晶性ポリアミド樹脂以外にも、他の結晶性ポリアミド樹脂を含んでも良く、その場合は、上記ポリアミドモノマーを重合して得られる結晶性ポリアミド樹脂のうち、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)およびこれらの混合物ないし共重合体等を配合することができる。
本発明において用いる膨潤性層状ケイ酸塩は、ケイ酸塩を主成分とする負に帯電した結晶層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、後述する方法で求めた陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上であることが望ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、膨潤能が低いためにポリアミド複合材料の製造時に実質的に未劈開状態のままとなり、性能の向上が認められない。本発明においては陽イオン交換容量の値の上限に特に制限はなく、現実に調製可能な膨潤性層状ケイ酸塩の中から適当なものを選べばよい。
かかる膨潤性層状ケイ酸塩としては、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられるが、本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトが特に好適に用いられる。
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦£b≦£0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0、である)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
一方、タルク〔Mg3Si4O10(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。
この際、タルクと混合する系フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲をはずれる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
MaSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH20
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
次に本発明のポリアミド6樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド6樹脂組成物の製造方法は、基本的には、適宜選択した膨潤性層状ケイ酸塩の存在下、所定量のモノマーをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
また、かかるポリアミド6樹脂組成物を製造するに当たっては酸を添加してもよい。一般的に、酸を添加することにより、膨潤性層状ケイ酸塩の劈開が促進されポリアミド樹脂マトリックス中へのケイ酸塩層の分散がより進行するため好ましい。
上記の酸としては、pKa(25℃、水中での値)が0〜6または負の酸であるなら有機酸でも無機酸でもよく、具体的には安息香酸、セバシン酸、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸等が挙げられる。
酸の添加量は、使用する膨潤性層状ケイ酸塩の全陽イオン交換容量に対して1.0〜5.0モル量程度とすることが、膨潤性層状ケイ酸塩の劈開およびポリアミド樹脂マトリックスにおける重合触媒としての作用の点から好ましい。
また、重合後のポリアミド6樹脂組成物に残留しているポリアミドのモノマーを除去するために、該ポリアミド6樹脂組成物のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましい。この場合、好ましくは90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理を行えばよい。
このとき膨潤性層状ケイ酸塩の配合量は、得られたポリアミド6樹脂組成物を500℃の電気炉で樹脂成分をガス化させ、得られた不揮発分の重量から算出するものとする。本発明では、膨潤性層状ケイ酸塩の配合量は、ポリアミド6樹脂を形成するモノマーに対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、1〜6質量部とすることがさらに好ましい。この配合量が0.1質量部未満では、得られたポリアミド6樹脂組成物の表面光沢度の向上が充分でなく、10重量部以上では、生成したポリアミド複合材料をオートクレーブから払い出すことが困難となり、収率が大きく低下するため好ましくない。
本発明に用いるポリアミド6樹脂の相対粘度は特に限定されないが、溶媒として96重量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5〜3.5の範囲であることが好ましく、さらには2.0〜3.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5より小さいと低粘度の為、溶融混練後の引き取り性が困難となり組成物に所望の物性が得られない。また3.5より大きいと高粘度のため成形加工時の流動性が悪く、十分な射出圧力がかからないため、部品としての性能が得られない。
このポリアミド6樹脂は、ポリアミド樹脂100質量%に対して、30〜80質量%が好ましい。30質量%以下より少ないと機械的強度が低くなり、80質量%以上であると成形体の表面光沢度が低くなるので好ましくない。
本発明におけるポリアミド12樹脂とは、12-アミノドデカン酸、もしくは、ω−ラウロラクタムを原料に重合させて得ることができ、結晶性を有し、融点170〜180℃のポリアミドである。
本発明に用いるポリアミド12樹脂の相対粘度は特に限定されないが、溶媒として96質量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.6〜2.5の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.6より小さいと低粘度の為、成形品にバリが発生し易くなる。また2.5より大きいと高粘度のため成形加工時の流動性が悪く、十分な射出圧力がかからないため、部品としての性能が得られない。
このポリアミド12樹脂は、ポリアミド樹脂100質量%に対して、20〜50質量%が好ましい。20質量%より少ない場合、得られた成形品にバリが発生しやすくなり、50質量%より多い場合得られた成形品の機械的強度が低く好ましくない。
本発明における非晶性ポリアミド樹脂とは、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸などの重縮合によって得られるポリアミドを用いることができ、結晶性を有さない、ガラス転移温度100℃以上のポリアミドである。
非晶性ポリアミド樹脂を構成するモノマーの具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、p-アミノ安息香酸などのアミノカルボン酸、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-アミノシクロヘキシル)メタン、3-アミノシクロヘキシル-4-アミノシクロヘキシルメタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジンなどのジアミン類、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸類がある。
上記モノマーの組合わせとしては、例えば、テトラメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合物、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とテレフタル酸との重縮合物、ε-カプロラクタムとヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物等があるが、これらは、結晶性を有し、本願発明に用いるポリアミドとしては適当でない。他の組み合わせとして、ヘキサメチレンジアミンとビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンとテレフタル酸とイソフタル酸の重縮合物、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とイソフタル酸の重縮合物、ε-カプロラクタムとm-キシリレンジアミンとイソフタル酸との重縮合物、2,2,4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合物があるが、これらは、非晶性を有し、本願発明に用いる非晶性ポリアミド樹脂として適当である。
非晶性ポリアミド樹脂の好ましい具体例としては、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン/ω-ラウロラクタムの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン/ω-ラウロラクタムの重縮合体等が挙げられる。テレフタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。さらに、これらの非晶性ポリアミド樹脂は2種以上併用することもできる。好ましくは、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、又はテレフタル酸/2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、又はイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体とテレフタル酸/2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体との混合物が用いられる。
本発明の非晶性ポリアミド樹脂としては、ガラス転移温度が100℃以上であれば上記モノマーの組合わせ以外にも、いかなるモノマー組成であってもよい。
また、そのモノマーの最も好ましい配合例として、ヘキサメチレンジアミンとビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンとテレフタル酸とイソフタル酸の重縮合物の場合、ヘキサメチレンジアミン40〜50モル%、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン%0〜10モル%、テレフタル酸0〜30モル%、イソフタル酸20〜50モル%の中で宜調整することができる。
この非晶性ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂100質量%に対して、0〜20質量%配合する必要がある。20質量%より多い場合、成形時に樹脂の固化速度が遅くなり、成形サイクル性が悪くなる。非晶性ポリアミド樹脂は、配合量が0質量%でも構わないが、成形品の金型転写を良くさせ、表面光沢を向上させるためには、ポリアミド樹脂100質量%に対して、数%配合することが好ましく、その配合量は0〜20質量%の範囲で調整することができる。
本願発明の樹脂組成物において、膨潤性層状ケイ酸塩が分子レベルで均一に分散されてなるポリアミド6樹脂と、ポリアミド12樹脂から選ばれる結晶性ポリアミド樹脂と、非晶性ポリアミド樹脂を組合わせて用いることが必要である。
結晶性ポリアミド樹脂と非晶性ポリアミド樹脂の配合は、結晶性ポリアミド樹脂/非晶性ポリアミド樹脂 80/20 〜 100/0(質量比)であり、非晶性ポリアミド樹脂が、20質量%より多い場合、成形時に樹脂の固化速度が遅くなり、成形サイクル性が悪くなる。
この理由としては、まず、膨潤性層状ケイ酸塩が分子レベルで均一に分散されてなるポリアミド6樹脂をマトリックスとしてガラス繊維を配合した樹脂組成物では、結晶化速度が速すぎ、金型内で急速に冷却されることで、体積が収縮し、成形品の表面にガラス繊維の浮きが生じ、凹凸ができることで表面外観が悪くなる。これに対し、非晶性ポリアミド樹脂を一定量以上配合し、それにガラス繊維を配合した樹脂組成物では、結晶性ポリアミド樹脂の結晶性を非晶性ポリアミド樹脂が阻害し、樹脂組成物の固化速度が遅くなり成形サイクル性が悪くなる。さらに、非晶性ポリアミド樹脂は、熱可塑時の流動性が悪く、薄肉ではきちんとした成形体を得ることができない。
本発明で用いられる酸変性スチレン系エラストマーは、水添のスチレン・ブタジエン共重合体、あるいは水添のスチレン・イソプレン共重合体が用いることができ、それらはランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよく、その重合体の一部に官能基を有する重合性モノマーを導入したものである。
ここで用いられる官能基を有する重合性モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の脂肪族カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の脂肪族無水カルボン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の芳香族無水カルボン酸、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ラクトン変性 ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有物、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル類、等が挙げられ、これらの2種以上を併用しても構わない。一部にこれら重合性モノマーと反応しないものを含んでも何ら問題ない。
これら、酸変性スチレン系エラストマーの中でも、酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が好適に用いられる。水添していない場合、スチレン系エラストマーがポリアミド樹脂と架橋反応する可能性があり、架橋反応をすると樹脂の流動性が悪くなり、薄肉では樹脂が充填されにくくなるので好ましくない。
また、酸変性スチレン系エラストマーを用いなかったり、酸変性スチレン系エラストマーの代わりに、未変性のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、ポリオレフィン系エラストマーを用いた場合は、ポリアミドとの相溶性が悪くなり、機械的強度が低下するので好ましくない。
この酸変性スチレン系エラストマーは、ポリアミド樹脂組成物100質量%のうち、1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましい。1質量%より少ない場合は、得られた成形品の引張破断伸度が低くなり、10質量%より多い場合、樹脂の固化速度が遅くなり、成形サイクル性が悪くなるので好ましくない。
本発明におけるガラス繊維は、断面が丸型形状のものを用いてもよいが、長径/短径の比が1.5〜10である偏平な断面形状を有する偏平ガラス繊維を用いこともできる。中でもガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に特有な、成形品の反りを低減させるには、偏平な断面形状の長径/短径の比が1.5〜10のものが効果的に用いることができる。さらに好ましくは、2.0〜6.0のものである。長径/短径比が1.5以下では反りを低減させる効果に乏しく、長径/短径比が10以上のものはガラス繊維自体の製造が困難である。偏平な断面形状とは、楕円型のほかに、ひょうたん型、まゆ型、長円型、矩形などの形状を選ぶことができるが、本願発明の効果である、薄肉成形品の反りの抑制に効果のあるものであるならば、これら断面形状には限定されない。
また、ガラス繊維は、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることができる。ガラス繊維はエポキシ系、アミノシラン系、イソシアネート系等のシランカップリング剤で表面処理したものを用いてもよい。
このガラス繊維の配合量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、50〜150質量部が好ましい。50質量部未満であると成形品の機械的強度が低く、150質量部以上であると樹脂の流動性が悪く、薄肉の場合、寸法精度が高い成形体を得ることが難しい。
また、本発明の樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、他の強化材などを添加することもできる。
このような熱安定剤や酸化防止剤としてはヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物がある。
耐候剤としては一般的なベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類が用いられる。
難燃剤としては一般のリン系難燃剤やハロゲン系難燃剤が用いられる。
強化材としては、たとえばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸バリウム、カリウム明バン、ナトリウム明バン、鉄明バン、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ほう酸、ほう砂、ほう酸亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイド、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、チッ化ホウ素、マイカ、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、一般に単軸または二軸スクリューを有する押出し機を用いて、溶融混練を行うことにより製造することができる。ポリアミド樹脂とエラストマー成分を一括仕込み、途中より、サイドフィーダーを用いガラス繊維を添加し押出した後、ストランドとして引取り、ペレタイザーによりカッティングし樹脂ペレットを得る。
また、ポリアミド成分のみを一括して仕込み、樹脂ペレットを得た後、このペレットを乾燥し、このペレットとエラストマー樹脂を一括して仕込み、溶融混練した後、サイドフィードよりガラス繊維を添加して、樹脂ペレットを得ることも出来る。
押出し温度は、配合する樹脂中、最も融点の高いポリアミド6樹脂の融点により決めることができる。原料として用いる樹脂を十分に溶融させる必要はあるが、必要以上に押出し温度を上げてしまうと、本願発明の効果を十分発揮させることができない。本願発明において、溶融混練を行う押出し温度は、ポリアミド6の融点+60℃以内の温度範囲で行うことが好ましく、240℃〜280℃である。ポリアミド6の融点+60℃を超えてしまうと、他樹脂の分解等が促進され、着色や機械物性の低下を招くため好ましくない。
混練時のスクリュー回転は、用いる押出し機のスクリュー径によって異なるが、例えば、スクリュー径37mmの押出し機を用いた場合、100〜400rpmの範囲で行うことが好ましい。100rpm未満であると、混練が不十分になるばかりか、十分な吐出量を得られない。400rpmを超えると、混練が過剰となり、ガラス繊維が不必要に短くなり、十分な機械物性も得られなくなる。
また、ポリアミド樹脂とガラス繊維の配合において、押出し温度、スクリュー回転、吐出量のバランスを取ることが重要である。押出し温度が高すぎると、ポリアミド樹脂が劣化し、機械物性が悪くなる。スクリュー回転が低くなりすぎると、押出しトルクが高くなり、ガラス繊維が短くなるため機械物性が悪くなる。好ましい条件の一例としては、スクリュー径37mmの混練機を用いた場合、押出し温度260℃、スクリュー回転 250rpm、吐出量 25kg/hが最適である。
本発明の樹脂組成物は、機械的強度が高く、表面外観に優れ、かつ、成形サイクル性に優れた樹脂組成物を得ることができ、PDAや携帯電話などのモバイル端末、パソコン、OA機器などの筐体、バッテリーカバー、および、それらの内部部品、電動工具などの筐体、自動車用外板、ドアパネル、ドアミラー、ドアミラーステイ、バイク、スクーター、船のカウル、照明器具などに用いることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例および比較例における原料および成形品の物性測定は次のように行った。
(1)原料
(A)ポリアミド樹脂
(膨潤性層状ケイ酸塩の製造)
ボールミルにより平均粒径が5μmのタルクに対し、平均粒子径が3μmの珪フッ化ナトリウムを全量の15質量%となるように混合した。これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて850℃で1時間反応させることにより、平均粒径6μmの膨潤性フッ素雲母(m−1)を得た。この膨潤性フッ素雲母の組成は、Na0.60Mg2.63Si4O10F1.77、後述する測定方法により得られた陽イオン交換容量は110ミリ当量/100gであった。
(ポリアミド6樹脂組成物の製造)
・ポリアミド6(A−1)
ε−カプロラクタム100質量部に対して、膨潤性フッ素雲母(m−1)5質量部、および、水10質量部をオートクレーブに投入し、260℃で圧力1MPa、5時間でε−カプロラクタムを重合した。反応終了後反応槽から払い出し、切断してポリアミド樹脂組成物(A−1)の樹脂ペレットを得た。得られたペレットの相対粘度は2.5であった。また、得られたポリアミド6樹脂組成物中の膨潤性フッ素雲母を後述の方法で測定したところ、5.3質量%であった。
・ポリアミド6(A−2)
ε−カプロラクタム100質量部に対して、膨潤性フッ素雲母(m−1)2質量部、および、水10質量部をオートクレーブに投入し、260℃で圧力1MPa、5時間でε−カプロラクタムを重合した。反応終了後反応槽から払い出し、切断してポリアミド樹脂組成物(A−2)の樹脂ペレットを得た。得られたペレットの相対粘度は2.6であった。また、得られたポリアミド6樹脂組成物中の膨潤性フッ素雲母を後述の方法で測定したところ、2.2質量%であった。
・ポリアミド6(A−3)
市販のナイロン6樹脂(ユニチカ社製A1030BRL) ,相対粘度2.5
・ポリアミド12(A−4)
市販のナイロン12樹脂(アルケマ社製AESN) ,相対粘度2.3
(非晶性ポリアミド樹脂の製造)
・非晶性ポリアミド(A−5)
イソフタル酸45モル%、テレフタル酸5モル%、ヘキサメチレンジアミン45モル%、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン5モル%の割合の原料10kgを8kgの純水とともに反応槽に仕込み、窒素で数回反応槽内の空気をパージした。温度を90℃まで上昇させ約5時間反応させたのち、反応温度を徐々に10時間かけて280℃まで加圧下(18バール)に槽内を攪拌しつつ上昇させた。ついで放圧し大気圧まで圧力を下げた後、さらに同じ温度で6時間重合を行った。反応終了後反応槽から払い出し、切断して非晶性ポリアミド(A−5)の樹脂ペレットを得た。得られたペレットの相対粘度(前述と同一の方法)は1.50であった。またガラス転移温度は150℃であった。
・結晶性ポリアミド(A−6)
テレフタル酸20モル%、アジピン酸30モル%、ヘキサメチレンジアミン50モル%の割合の原料10kgを8kgの純水とともに反応槽に仕込み、窒素で数回反応槽内の空気をパージした。温度を90℃まで上昇させ約5時間反応させたのち、反応温度を徐々に10時間かけて280℃まで加圧下(18バール)に槽内を攪拌しつつ上昇させた。ついで放圧し大気圧まで圧力を下げた後、さらに同じ温度で6時間重合を行った。反応終了後反応槽から払い出し、切断して結晶性ポリアミド(A−6)の樹脂ペレットを得た。得られたペレットの相対粘度(前述と同一の方法)は2.70であった。また融点は290℃であった。
(B)スチレン系エラストマー
・エラストマー(B−1)
酸変性スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製タフテックM1911)
・エラストマー(B−2)
スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製タフテックH1141)
(C)ガラス繊維
・ガラス繊維(C−1)
長短径の比が4の長円形型断面を有する偏平ガラス繊維(日東紡社製 CSG3PA820S;長径28μm、短径7μm、繊維長3mm、シラン系表面処理有)
・ガラス繊維(C−2)
円形断面を有するガラス繊維 (旭ファイバーグラス社製 03JAFT69;平均繊維径10μm、繊維長3mm)
(2)成形品の物性測定
a) 曲げ強度および曲げ弾性率
ファナック社製射出成形機(α-100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度80℃で試験片を成形し、ASTM D790に準じて測定した。曲げ強度200MPa以上、曲げ弾性率10GPa以上を合格とした。より厳しい機械特性を要求する用途においては、配合組成を限定することで、曲げ強度280MPa以上、曲げ弾性率13GPa以上とすることができる。
b) 成形サイクル性
ファナック社製射出成形機(α-100iA)にて、樹脂温度260℃、金型温度80℃、最大射出圧力を120MPaで、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す形状の成形体を成形した。射出時間5sec後、金型から成形体を取り出せる最小の冷却時間を測定し、成形サイクル性を下記のように評価した。○以上を合格とした。
◎:4sec以下
○:8sec未満
×:8sec以上
c)表面光沢
ファナック社製射出成形機(α-100iA)にて、樹脂温度260℃、金型温度80℃で、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す形状の成形体を成形し、表面光沢測定部を目視で観察し、ガラスの浮き状態を調べた。評価方法を下記に示すが○以上を合格とした。
◎:ガラスの浮きが全く見られない。
○:ガラスの浮きは見られないが、光の反射が、十分でない。
△:ガラスの浮きがわずかに見られる。
×:ガラスの浮きが観察され、光の反射も悪い。
実施例1
表1に記載のように、ポリアミド樹脂(A-7)の構成をポリアミド6樹脂60質量%、ポリアミド12樹脂25質量%、非晶ポリアミド15質量%とし、そのポリアミド樹脂(A-7)97質量%、エラストマー(B-1)3質量%を均一混合した後、東芝機械社製二軸押出機37BSの基部より投入し、樹脂温度280℃、スクリュー回転250rpmで混練を行った。
さらに、これらの樹脂100質量部に対し、ガラス繊維(C-1)100質量部をサイドから投入し、ストランド状に引き取り、冷却を行った後、ペレット状にカッティングした。得られたポリアミド樹脂組成物の樹脂ペレットは乾燥後、上記、樹脂温度、金型温度で、それぞれ射出成形を行い、得られた試験片を用いて、曲げ強度、曲げ弾性率、成形サイクル性、表面光沢の測定を行った。その結果を表2に示す。
実施例2〜10
表1に記載のポリアミド樹脂の構成で、表2の樹脂組成に従った以外は、実施例1同様に樹脂組成物の混練を行い、ポリアミド樹脂組成物の樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットは乾燥後、上記、樹脂温度、金型温度で、それぞれ射出成形を行い、得られた試験片を用いて、曲げ強度、曲げ弾性率、成形サイクル性、表面光沢の測定を行った。その結果を表2に示す。
比較例1〜9
表1に記載のポリアミド樹脂の構成で、表3の樹脂組成に従った以外は、実施例1同様に樹脂組成物の混練を行い、ポリアミド樹脂組成物の樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットは乾燥後、上記、樹脂温度、金型温度で、それぞれ射出成形を行い、得られた試験片を用いて、曲げ強度、曲げ弾性率、成形サイクル性、表面光沢の測定を行った。その結果を表3に示す。
実施例1〜10については、本願発明のポリアミド樹脂組成物の配合に従ったため、曲げ強度、曲げ弾性率、成形サイクル性、表面光沢のいずれも基準を満たした。
比較例1
エラストマー(B-1)の配合が、所定よりも多く配合したため、成形時の樹脂組成物の固化速度が遅くなり、成形サイクルが長くなった。また、表面光沢は基準を満たさなかった。
比較例2
非晶性ポリアミド樹脂(A-5)の配合が、所定よりも多かったため、成形時の樹脂組成物の固化速度が遅くなり、成形サイクルが長くなった。また、結晶性が低下したため、曲げ強度、曲げ弾性率が大きく低下した。
比較例3
ガラス繊維(C-1) の配合が、所定よりも少なかったため、機械的強度が弱く、曲げ強度、曲げ弾性率が低かった。
比較例4
ガラス繊維(C-1) の配合が、所定よりも多かったため、成形加工時の可塑化された樹脂組成物の流動性が悪く、得られた成形品の寸法精度が低かった。また、配合した多量のガラス繊維が、いわゆるガラス浮きを生じ、成形品の表面光沢が悪かった。
比較例5
酸変性スチレン系エラストマーではない、スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体をスチレン系エラストマー(B-2)として用いたため、配合したポリアミド樹脂との相溶性が低下し、機械的強度が弱く、曲げ強度、曲げ弾性率が低かった。
比較例6
ポリアミド樹脂として、層状珪酸塩を配合しないポリアミド6樹脂(A-13)を用いたため、結晶化速度が遅くなり、成形サイクルが長くなった。また、層状珪酸塩の配合がされていないため、機械的強度が弱く、曲げ強度、曲げ弾性率が低かった。
比較例7
モノマー成分としてヘキサメチレンジアミンが配合されているが、結晶性を有するポリアミドを配合したポリアミド樹脂(A-14)を用いたため、本来非晶性ポリアミドを用いることで改善が期待できる、成形品の表面光沢を向上させることはできなかった。また成形サイクルも長かった。
比較例8
ポリアミド樹脂として、層状珪酸塩を配合したポリアミド6(A-1)を単体で使用したため、得られた成形品の表面外観が不適で、表面光沢が大きく低下した。
比較例9
ポリアミド樹脂として、ポリアミド6(A-3)を単体で使用したため、結晶化速度が遅いため、成形サイクルが長くなるばかりでなく、得られた成形品の機械的強度に劣り、また、表面光沢が大きく低下した。
本発明のバリ発生の有無、表面光沢の評価を行なった成形品の斜視図(表面)、 本発明のバリ発生の有無、表面光沢の評価を行なった成形品の斜視図(裏面)である。
符号の説明
1:ゲート位置、2:バリ評価部、3:表面光沢評価部

Claims (4)

  1. ポリアミド樹脂90〜99質量%、酸変性スチレン系エラストマー1〜10質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、ガラス繊維50〜150質量部を配合してなるガラス強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂が、結晶性ポリアミド樹脂/非晶性ポリアミド樹脂 80/20 〜 100/0(質量比)からなり、結晶性ポリアミド樹脂が、膨潤性層状ケイ酸塩を含有するポリアミド6樹脂、ポリアミド12樹脂を含有することを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  2. ガラス繊維が、長径/短径の比が1.5〜10である偏平断面を有する偏平ガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  3. 酸変性スチレン系エラストマーが、酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3に記載の樹脂組成物を用いた電子機器部品。
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