JP5469343B2 - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明で用いるポリアミド66樹脂とは、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示すポリアミド66樹脂のみを取り扱うこととする。現在公知のポリアミド66樹脂としては、1cal/g以上の結晶融解熱を有する結晶性ポリアミド66樹脂のみであるが、もし、将来にわたって、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示さないポリアミド66樹脂が開発された際には、それらは、本発明で定義する非晶性ポリアミドとして取り扱うこととする。
このようなポリアミド66樹脂の結晶融解熱は、10〜25cal/gである。
本発明で用いるポリアミド12樹脂とは、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示すポリアミド12樹脂のみを取り扱うこととする。現在公知のポリアミド12樹脂としては、1cal/g以上の結晶融解熱を有する結晶性ポリアミド12樹脂のみであるが、もし、将来にわたって、示差走査熱量計を用いて20℃/分の昇温速度で測定したとき、1cal/g以上の結晶融解熱を示さないポリアミド12樹脂が開発された際には、それらは、本発明で定義する非晶性ポリアミドとして取り扱うこととする。
繊維を配合した樹脂組成物では、ポリアミド66樹脂の結晶性を非晶性ポリアミド樹脂が阻害し、表面外観が良化する。一方において、非晶性ポリアミド樹脂は、熱可塑時の流動性が悪く、薄肉ではきちんとした成形体を得ることができない。
さらに、酸変性スチレン系エラストマーはポリアミドとの相溶性を向上させるためには230℃×2.16kgfで測定されるメルトフローレート(以下、「MFR」という)は、3〜10g/10minであることが好ましく、4〜9g/10minであることが更に好ましい。MFRが3g/10min未満であると溶融時の流動性が悪いため、ポリアミド樹脂と均一に分散せず、また、MFRが10g/10minを越えると溶融時の流動性が良すぎるために、ポリアミド樹脂と均一に分散しない。MFRは、酸変性スチレン系エラストマーの分子量の指標であり、MFRが3〜10g/10minの数平均分子量は、概ね1〜20万である。
イソフタル酸45モル%、テレフタル酸5モル%、ヘキサメチレンジアミン45モル%、ビス−(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン5モル%の割合の原料10kgを8kgの純水とともに反応槽に仕込み、窒素で数回反応槽内の空気をパージした。温度を90℃まで上昇させ約5時間反応させたのち、反応温度を徐々に10時間かけて280℃まで加圧下(18バール)に槽内を攪拌しつつ上昇させた。ついで放圧し大気圧まで圧力を下げた後、さらに同じ温度で6時間重合を行った。反応終了後反応槽から払い出し、切断してペレットを得た。得られたペレットの相対粘度(前述と同一の方法)は1.90であった。またガラス転移温度は150℃、結晶融解熱は、0cal/gであった。この非晶性ポリアミドをA−5とする。A−4、A−6のポリアミドもこの方法に準じて製造することが出来る。
イソフタル酸70モル%、テレフタル酸30モル%、ヘキサメチレンジアミン100モル%の割合の原料10kgを8kgの純水とともに反応槽に仕込み、窒素で数回反応槽内の空気をパージした。温度を90℃まで上昇させ約5時間反応させたのち、反応温度を徐々に10時間かけて280℃まで加圧下(18バール)に槽内を攪拌しつつ上昇させた。ついで放圧し大気圧まで圧力を下げた後、さらに同じ温度で6時間重合を行った。反応終了後反応槽から払い出し、切断してペレットを得た。得られたペレットの相対粘度(前述と同一の方法)は2.1であった。またガラス転移温度は125℃、結晶融解熱は、0cal/gであった。
(A)ポリアミド樹脂
・結晶性ポリアミド(A−1):ポリアミド66樹脂(ユニチカ社製A125;相対粘度2.8、融点260℃、結晶融解熱18cal/g)
・結晶性ポリアミド(A−2):ポリアミド12樹脂(アルケマ社製AESN;相対粘度2.3;融点176℃、結晶融解熱13cal/g)
・結晶性ポリアミド(A−3):ポリアミド6樹脂(ユニチカ社製A1030BRL;相対粘度2.5;融点220℃、結晶融解熱22cal/g)
・結晶性ポリアミド(A−4):テレフタル酸とアジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合体(テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン=45/55/100(モル比);相対粘度2.7、融点290℃、結晶融解熱8cal/g)
・非晶性ポリアミド樹脂(A−5):(イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体(イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタン=45/5/45/5(モル比);相対粘度1.9、ガラス転移温度150℃、結晶融解熱0cal/g)
・非晶性ポリアミド樹脂(A−6):(イソフタル酸とテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合体(イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン=70/30/100(モル比);相対粘度2.1、ガラス転移温度125℃、結晶融解熱0cal/g)
・エラストマー(B−1):酸変性スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製タフテックM1911:酸価2mgCH3Na/g、MFR4.5g/10min)
・エラストマー(B−2):スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカルズ社製タフテックH1141:酸価0mgCH3Na/g、MFR140g/10min)
・ガラス繊維(C−1):長短径の比が4の長円形型断面を有する偏平ガラス繊維(日東紡社製 CSG3PA820S;長径28μm、短径7μm、繊維長3mm、シラン系表面処理有)
・ガラス繊維(C−2):円形断面を有するガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT69;平均繊維径10μm、繊維長3mm)
a)曲げ強度、曲げ弾性率、および、引張破断伸度
ファナック社製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度80℃で試験片を成形し、曲げ特性はASTM D790に、引張特性はASTM D−639に準じて測定した。曲げ強度280MPa以上、曲げ弾性率13GPa以上、引張破断伸度1%以上を合格とした。
ファナック社製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度80℃、最大射出圧力を120MPaで、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す形状の成形体を成形した。樹脂の充填状態から成形性を下記のように評価した。○以上を合格とした。
◎:樹脂が成形体全体にきちんと充填されている。
○:成形体に樹脂は充填されているが、ウェルド部分が確認できる。
△:成形体に樹脂は充填されているが、リブ裏等の一部にわずかなヒケが認められる。
×:成形体の一部に樹脂の未充填部分が見られる。
ファナック社製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度80℃で、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す形状の成形体を成形し、バリ測定部を光学顕微鏡で観察しバリの長さを測定した。50μm未満を合格とした。バリの長さの測定は通常ダンベル等の試験片を用いて評価を行なうが、本願においては、実際の成形品(例えば、携帯電話の液晶枠等)の形状を模した試験型を用いて、評価を行なった。したがって、ダンベルのような厚み3〜4mmの試験片に比べ、本願における、バリ評価はより厳しく行っている。
ファナック社製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度80℃で、厚み0.4mm、幅40mm、長さ70mmの図1に示す形状の成形体を成形し、表面光沢測定部を目視で観察し、ガラスの浮き状態を調べた。評価方法を下記に示すが○以上を合格とした。
◎:ガラスの浮きが全く見られない。
○:ガラスの浮きは見られないが、光の反射が、十分でない。
△:ガラスの浮きがわずかに見られる。
×:ガラスの浮きが観察され、光の反射も悪い。
(A−7)ポリアミド樹脂の調製
ポリアミド66樹脂18質量%、ポリアミド12樹脂37質量%、非晶ポリアミド樹脂45質量%を東芝機械社製 TEM37BSにて、押出し温度280℃、スクリュー回転数250rpm、攪拌トルク60%にて、混合した。得られたポリアミド樹脂(A−7)を乾燥後、以降の試験に供した。
表1に記載の配合にしたがって、(A−7)同様に作製した。
表2に記載の配合にしたがって、(A−7)同様に作製した。
表3に記載の配合にしたがって、(A−7)同様に作製した。
表4に示したように、ポリアミド樹脂(A−8)97質量%と、エラストマー(B−1)3質量%を東芝機械社製押し出し機37BSの基部より投入し、これらの樹脂100質量部に対し、ガラス繊維(C−1)100質量部をサイドから投入し、押し出し温度280℃、スクリュー回転数250rpmにて混合し、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットは乾燥後、上記に示した方法で各特性を評価した。曲げ強度、曲げ弾性率、引張破断伸度、成形性、バリ長さ、表面光沢のいずれも基準を満たした。
実施例1と同様の操作を行って、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットは乾燥後、上記に示した方法で各特性を評価した。曲げ強度、曲げ弾性率、引張破断伸度、成形性、バリ長さ、表面光沢のいずれも基準を満たした。
実施例1〜16、参考例1〜5、比較例1〜23の結果を、表4〜8のそれぞれ示す。
2 バリ評価部
3 表面光沢評価部
Claims (4)
- ポリアミド樹脂90〜99質量%、酸変性スチレン系エラストマー1〜10質量%からなるポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、ガラス繊維50〜150質量部を配合してなるガラス強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂が、ポリアミド66樹脂20〜60質量%、ポリアミド12樹脂25〜40質量%、および、非晶性ポリアミド樹脂20〜50質量%を配合してなり、その総量が100質量%であることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
- ガラス繊維が、長径/短径の比が1.5〜10である偏平断面を有する偏平ガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
- 酸変性スチレン系エラストマーが、酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物からなる電子機器筐体。
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