JP2010168559A - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性に優れ、成形後の寸法変化が極めて小さいポリアミド樹脂組成物、ならびに優れた金型転写性、高剛性、高靭性、難燃性を同時に有するポリアミド樹脂組成物、および製品の小型化に好適な良外観高剛性筐体を提供する。
【解決手段】(a−1)と(a−2)の合計100重量%として、(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂24〜45重量%と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂55〜76重量%からなる(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填を40〜200重量部、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂を5〜20重量部、(D)臭素化ポリスチレン樹脂を35〜60重量部(E)三酸化アンチモンを10〜30重量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(a−1)と(a−2)の合計100重量%として、(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂24〜45重量%と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂55〜76重量%からなる(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填を40〜200重量部、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂を5〜20重量部、(D)臭素化ポリスチレン樹脂を35〜60重量部(E)三酸化アンチモンを10〜30重量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、成形性に優れ、成形後の寸法変化が極めて小さいポリアミド樹脂組成物、ならびに優れた金型転写性、高剛性、高靭性、難燃性を同時に有するポリアミド樹脂組成物、および製品の小型化に好適な良外観高剛性筐体に関する。
従来、ポリアミド樹脂は、引張、曲げの強度、弾性率などの機械的性質に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性、難燃性が良好であることから、電気電子部品、自動車用部品、建材部品、機械部品等に広く利用されている。しかし、結晶性樹脂の特徴として、成形後の寸法変化が大きく、特に筐体部品のように、薄型化、小型化が進む成形品では、他部品との勘合性が悪く、しばしば使用されないケースが見られた。一方、良外観、高靭性を有する筐体部品用樹脂材料として、ポリエステル樹脂が使用されてきたが、その剛性の不足から製品小型化に限界があり、さらには、耐熱性が不足する事から小型化、耐熱性、難燃性要求の強い電気電子用途の筐体に対しては熱硬化性樹脂を使用せざるを得ず、生産性、経済性に優れる材料の検討がなされている。筐体を有する製品の具体例としては、ブレーカー、携帯電話、PHS、液晶テレビ、プラズマディスプレー、PDA、小型テレビ、ラジオ、ノートパソコン、パソコン、マウス、プリンター、スキャナー、メモリ機器、パソコン周辺機器、ビデオデッキ、DVDデッキ、CDデッキ、MDデッキ、DATデッキ、アンプ、カセットデッキ、ポータブルCDプレーヤー、ポータブルMDプレーヤー、カメラ、デジタルカメラ、家庭用電話、オフィス用電話、玩具、医療機器、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、ファクシミリ部品、コピー機部品、建材関係部品、家具部品などが挙げられる。特に、ブレーカー用途においては、優れた難燃性が求められ、更には剛性と靭性のバランスのよい材料を要求されている。
例えば特許文献1には、ブレーカー筐体用ポリアミド樹脂組成物が開示されているが、脂肪族ポリアミド樹脂に対して半芳香族ポリアミド樹脂の量が少なく、配合量の多いガラス繊維の影響を大きく受け、その組成物から得られる成形品の外観は筐体部品として満足されるものではない。またポリアミド成分として、ポリアミド6樹脂のみが用いられており、難燃性、耐熱性についても十分とはいえない。特許文献2には、ポリアミド6樹脂にポリアミド66/6I/6の3元共重合ポリアミド樹脂を配合する事で、繊維状充填剤を高充填し、高剛性化する技術を提案されているが、靭性、耐熱性が不足しているだけでなく、難燃性についても不十分である。
本発明は、成形性に優れ、成形後の寸法変化が極めて小さいポリアミド樹脂組成物、ならびに優れた金型転写性、高剛性、高靭性、難燃性を同時に有するポリアミド樹脂組成物、および製品の小型化に好適な良外観高剛性筐体を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂に、無機充填剤、酸変性ポリオレフィン樹脂、難燃剤、難燃助剤を配合したポリアミド樹脂組成物によって、前記目的を達成し得ることを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)(a−1)と(a−2)の合計100重量%として、(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂24〜45重量%と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂55〜76重量%からなる(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填剤を40〜200重量部、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂を5〜20重量部、(D)臭素化ポリスチレン樹脂を35〜60重量部および(E)三酸化アンチモンを10〜30重量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(2)(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂が、(a1−1)ヘキサメチレンアジパミド単位65〜90重量%、(a1−2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位5〜30重量%および(a1−3)カプロアミド単位1〜14重量%の合計100重量%からなり、(a1−2)/(a1−3)の共重合重量比1以上を同時に満たす3元共重合体(ポリアミド66/6I/6)であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂が、(a2−1)ポリアミド6と(a2−2)ポリアミド66からなることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)(B)無機充填剤が、繊維状無機充填剤であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物、
(5)(B)繊維状無機充填剤がガラス繊維、炭素繊維、およびワラステナイトから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(4)記載のポリアミド樹脂組成物、(6)(B)繊維状無機充填剤の断面が扁平形状であり、下記式で表される扁平率が1.5以上であることを特徴とする(4)または(5)記載のポリアミド樹脂組成物、
扁平率=繊維状無機充填剤断面の長径/繊維状無機充填剤断面の短径
(7)(C)酸変性したポリオレフィン樹脂が、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂であることを特徴とする(1)から(6)のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物、
(8)(1)から(7)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を、射出成形、押出成形、ブロー成形の内から選ばれる少なくとも1種の方法で成形してなる成形品、
(9)成形品が、筐体、外装部品または補強部品であることを特徴とする(8)記載の成形品、
(10)成形品が、ブレーカー筐体であることを特徴とする(8)または(9)記載の成形品、
により構成される。
(1)(a−1)と(a−2)の合計100重量%として、(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂24〜45重量%と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂55〜76重量%からなる(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填剤を40〜200重量部、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂を5〜20重量部、(D)臭素化ポリスチレン樹脂を35〜60重量部および(E)三酸化アンチモンを10〜30重量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物、
(2)(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂が、(a1−1)ヘキサメチレンアジパミド単位65〜90重量%、(a1−2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位5〜30重量%および(a1−3)カプロアミド単位1〜14重量%の合計100重量%からなり、(a1−2)/(a1−3)の共重合重量比1以上を同時に満たす3元共重合体(ポリアミド66/6I/6)であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂が、(a2−1)ポリアミド6と(a2−2)ポリアミド66からなることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)(B)無機充填剤が、繊維状無機充填剤であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物、
(5)(B)繊維状無機充填剤がガラス繊維、炭素繊維、およびワラステナイトから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(4)記載のポリアミド樹脂組成物、(6)(B)繊維状無機充填剤の断面が扁平形状であり、下記式で表される扁平率が1.5以上であることを特徴とする(4)または(5)記載のポリアミド樹脂組成物、
扁平率=繊維状無機充填剤断面の長径/繊維状無機充填剤断面の短径
(7)(C)酸変性したポリオレフィン樹脂が、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂であることを特徴とする(1)から(6)のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物、
(8)(1)から(7)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を、射出成形、押出成形、ブロー成形の内から選ばれる少なくとも1種の方法で成形してなる成形品、
(9)成形品が、筐体、外装部品または補強部品であることを特徴とする(8)記載の成形品、
(10)成形品が、ブレーカー筐体であることを特徴とする(8)または(9)記載の成形品、
により構成される。
本発明の樹脂組成物は、半芳香族共重合ポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂を特定比率で配合することで、溶融時の粘度低下効果を引き起こし成形性に優れるだけでなく、結晶化度、結晶化速度を抑制する効果により、成形後の寸法変化が極めて小さいだけでなく、更には、優れた金型転写性を有する事から製品外観に優れるポリアミド樹脂組成物であり、更に無機充填剤を配合する事で高い剛性を有するポリアミド樹脂組成物であり、無機充填剤が、扁平率が1.5以上であることを特徴とする繊維状無機充填剤を用いる事により、流動方向(MD)、流動方向に対する垂直方向(TD)の線膨張係数が小さくなる事に加え、それらの差が小さくなる事により、製品の反りを低減する事ができ、製品の寸法精度を飛躍的に改善する事ができ、酸変性ポリオレフィン樹脂を配合する事で、更なる靭性向上効果を有し、臭素化ポリスチレン樹脂、三酸化アンチモンを配合することで、優れた難燃性を有するポリアミド樹脂組成物であり、本発明の樹脂組成物を用いた成形品は、ブレーカー、携帯電話、PHS、液晶テレビ、プラズマディスプレー、PDA、小型テレビ、ラジオ、ノートパソコン、パソコン、マウス、プリンター、スキャナー、メモリ機器、パソコン周辺機器、ビデオデッキ、DVDデッキ、CDデッキ、MDデッキ、DATデッキ、アンプ、カセットデッキ、ポータブルCDプレーヤー、ポータブルMDプレーヤー、カメラ、デジタルカメラ、家庭用電話、オフィス用電話、玩具、医療機器、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、ファクシミリ部品、コピー機部品、建材関係部品、家具部品に特に優れるものである。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
本発明で用いられる(A)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクをロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、特に有用なポリアミド樹脂は、150℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの混合物などが挙げられる。
本発明では、(A)ポリアミド樹脂としては、(a−1)半芳香族ポリアミド樹脂と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂を特定比率で配合することが重要である。半芳香族ポリアミドを選択することで、溶融状態での粘度(溶融粘度)が制御でき、無機充填剤の高配合が可能となり、更に脂肪族ポリアミドを配合することで、半芳香族ポリアミドの結晶化の遅さを補い、優れた成形性を発現することが出来る。また、半芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドを調整して配合することで、無機充填剤を配合した場合、良外観と高剛性、優れた成形性を同時に実現することが出来る。半芳香族ポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂の混合比率は、無機充填剤を配合した時、良外観を発現するためには、(a−1)(a−2)合計100重量%として、(a−1)半芳香族ポリアミド樹脂が24〜45重量%、(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂が55〜76重量%であることが必要である。
好ましい(a−1)半芳香族ポリアミド樹脂は、(a1−1)ヘキサメチレンアジパミド単位、(a1―2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位、および(a1―3)カプロアミド単位からなる3元共重合体(ポリアミド66/6I/6樹脂)であり、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の当モル塩、およびεカプロラクタムを重合缶内で加熱、重合することで得られる。その共重合比率は、配合原料の比率である。好ましい各繰返し構造単位の共重合割合は、(a1−1)65〜90重量%、(a1−2)5〜30重量%、(a1−3)1〜14重量%好ましくは2〜12重量%、及び、(PA6I)/(PA6)の共重合比1.0以上を同時に満たす比率であるものが好ましい。これらの共重合比は共重合体を製造する際の原料の割合を調整することにより、達成される。なお、(a1−2)/(a1−3)の共重合比の上限については特に制限はないが、本発明においては靭性の観点から4以下が好ましい。
好ましい(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂は、無機充填剤を配合した際の外観、成形性から、ポリアミド6、ポリアミド66樹脂である。特にポリアミド6とポリアミド66を併用することが好ましい。成形加工性、相溶性などの必要特性に応じて、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂に更に他のポリアミド樹脂を加えて混合物として用いることも実用上好適である。他のポリアミド樹脂の具体的な例としては、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
本発明では(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填剤を40〜200重量部含有することが必要である。無機充填剤を配合することで高い剛性が得られ、より薄型、小型の筐体成形品が得られるようになる。成形時の外観、流動性と機械特性のバランスから、より好ましくは50〜190重量部の範囲である。
本発明に用いる(B)無機充填剤の具体例としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、ワラステナイトなどの繊維状、ウィスカー状充填材が挙げられる。上記繊維状無機充填剤中、ガラス繊維、ワラステナイトおよび導電性が必要な場合にはPAN系の炭素繊維が好ましい例として挙げられ、これらは1種または2種以上で使用される。中でもガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被膜あるいは集束されていてもよい。はなお、本発明に使用する上記の充填材はその表面をシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤などのカップリング剤その他の表面処理剤および膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
また、上記(B)無機充填剤の断面形状としては、一般的な円形に加え、断面が扁平形状を有するものを用いることも好ましい。具体的な断面形状としては、長円形、円形が2本対となるまゆ形、楕円形、半円形、長方形、正方形、その他多角形、星形、またこれらの単繊維、もしくは複数対繊維などが挙げられる。中でも、強度や成形性、外観などのバランスから、扁平断面形状を有するものが好ましい。また、扁平断面の最長径/最長径の比は、1.5以上、6.0以下が好ましい。この比が1.5より小さいと、比が1.0である円形断面繊維状無機充填材と差異がない。この比が6.0より大きいと、コンパウンド中に繊維状無機充填材同士がお互いを砕き合うため、機械特性に影響を及ぼす。機械特性とのバランスから5.0以下がより好ましい。扁平率が1.5以上であることを特徴とする繊維状無機充填剤を用いる事により、流動方向(MD)、流動方向に対する垂直方向(TD)の線膨張係数が小さくなる事に加え、それらの差を小さくすることができ、製品の反りを低減させ、製品の寸法精度を飛躍的に改善する効果が期待できる。
本発明に用いる(C)酸変性したポリオレフィン樹脂は(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、5〜20重量部含有することが必要である。酸変性したポリオレフィン樹脂を配合することで高い靭性が得られる。5重量部以下では靭性向上効果が少なく、20重量部以上では、剛性の低下が顕著になる。成形時の外観、流動性と機械特性のバランスから、より好ましくは10〜15重量部の範囲である。
(C)酸変性したポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂と酸無水物を無触媒下で溶融混練、もしくは触媒下で反応し得ることが出来るが、その製造方法には特に制約はない。酸無水物としては、無水マレイン酸が好ましく、一例としては、市販のポリオレフィン樹脂と無水マレイン酸を押出機で溶融紺練し、溶融下で反応させ、製造することができる。
本発明に用いる(D)臭素化ポリスチレン樹脂は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、35〜60重量部含有することが必要である。35重量部以下では、難燃性が不十分であり、60重量部以上では機械特性の低下を引き起こす。機械特性の面から、より好ましくは40〜55重量部の範囲である。
本発明に用いる(E)三酸化アンチモンは、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、10〜30重量部含有することが必要である。10重量部以下では、難燃性が不十分であり、30重量部以上では機械特性の低下を引き起こす。機械特性の面から、より好ましくは15〜25重量部の範囲である。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらに本発明の目的を損なわない範囲で他のポリマー、銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物製造方法は特に制限はなく、例えば単軸または2軸の押出機やニーダー等の混練機を用いて220〜330℃の温度で溶融混練する方法等が挙げられる。また、ガラス繊維など、繊維状の無機充填剤は、その直径に対する長手方向の長さの割合が高いほど高い補強効果が発現するため、樹脂成分が溶融した後に無機強化剤を配合する製造方法が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形など通常の方法で容易に成形することができ、得られた成形品は、成形後の寸法変化が小さく、良外観性、成形性、剛性、靭性に優れ、電気電子部品、自動車部品、建材部品などの筐体、外装部品に好適である。また、電気電子部品に求められる特性である剛性、靭性、かつ難燃性に優れることから、ブレーカー筐体に好適である。
本発明のポリアミド組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形のいずれかの方法によって、電気電子部品、自動車部品、建材部品などの筐体に成形できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物をこれらの部品とすることによって、従来では達成することのできなかった、成形後の寸法変化の極めて少ない成形品を得ることが可能となり、更に無機充填剤、酸変性ポリオレフィンを配合することで、剛性と靭性のバランスが良く、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモンを配合することで優れた難燃性を有し、また良外観性である部品が得られるためこれらの用途に特に好適である。
以下、実施例を挙げてさらに本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例および比較例に用いた測定方法を以下に示す。
(1)材料強度
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度:ISO 527−1、−2
引張り歪み:ISO 527−1、−2
曲げ強度:ISO 178
曲げ弾性率:ISO 178
曲げたわみ:ISO 178
シャルピー衝撃強さ:ISO 179。
以下の標準方法に従って測定した。
引張強度:ISO 527−1、−2
引張り歪み:ISO 527−1、−2
曲げ強度:ISO 178
曲げ弾性率:ISO 178
曲げたわみ:ISO 178
シャルピー衝撃強さ:ISO 179。
(2)難燃性
UL94(米国Under Writer Laboratories Incで定められた規格)の方法に従って測定した。
UL94(米国Under Writer Laboratories Incで定められた規格)の方法に従って測定した。
(3)硫酸相対粘度
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
JIS−K6810に従って98%硫酸での相対粘度を測定した。
(4)成形品の表面外観2
115×115×2(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
115×115×2(mm)の鏡面磨き角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の表面で蛍光灯の反射像の鮮明度を肉眼観察し、外観性の指標とした。判断基準は以下の通りである。
◎:蛍光灯の反射像がかなり明瞭に観察される。
○:蛍光灯の反射像がやや不明瞭ながらも観察される。
△:蛍光灯の反射像が観察できるが、かなり不明瞭である。
×:蛍光灯の反射像が観察できない。
(5)線膨張係数の測定方法
図1に示す80×80×3(mm)の角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の中央部から、流動方向(MD)、流動方向に対する垂直方向(TD)について、12×5×3(mm)の試験片を切り出した。得られた試験片について、−40℃から160℃まで、1分間に5℃の速度で昇温し、その寸法変化から線膨張係数を求めた。
図1に示す80×80×3(mm)の角板(フィルムゲート)を射出成形し、得られた角板の中央部から、流動方向(MD)、流動方向に対する垂直方向(TD)について、12×5×3(mm)の試験片を切り出した。得られた試験片について、−40℃から160℃まで、1分間に5℃の速度で昇温し、その寸法変化から線膨張係数を求めた。
参考例1 半芳香族共重合ポリアミド樹脂の製造
実施例、ならびに比較例で用いた共重合ポリアミド樹脂は以下の方法で重合した。(a−1)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩を76重量%、(a−2)ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の当モル塩を16重量%、および(a−3)ε−カプロラクタムを8重量%の重量比で投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を270℃とし反応させ、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥し、相対粘度2.0の3元共重合ポリアミド樹脂を得た。なお、相対粘度は、上記に示すとおり、JIS―K6810に従い測定した。
実施例、ならびに比較例で用いた共重合ポリアミド樹脂は以下の方法で重合した。(a−1)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩を76重量%、(a−2)ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸の当モル塩を16重量%、および(a−3)ε−カプロラクタムを8重量%の重量比で投入し、投入した全量と同量の純水を加え、重合缶内をN2で置換した後、攪拌しながら加熱を開始し、缶内圧力を最大20kg/cm2に調整しながら最終到達温度を270℃とし反応させ、水浴中に吐出したポリマーをストランドカッターでペレタイズした。得られたペレットは95℃熱水中で20時間処理し、未反応モノマーや低重合物を抽出除去した。抽出後のペレットは80℃で50時間以上乾燥し、相対粘度2.0の3元共重合ポリアミド樹脂を得た。なお、相対粘度は、上記に示すとおり、JIS―K6810に従い測定した。
参考例2 成形品の作成
実施例、ならびに比較例で使用した機械特性の試験用成形品は次の方法で作成した。ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度300℃、金型表面温度100℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件でISO Type−A規格の試験片を成形した。
実施例、ならびに比較例で使用した機械特性の試験用成形品は次の方法で作成した。ISO1874−2に従い、日精樹脂工業(株)製の射出成形機PS60により、シリンダ温度300℃、金型表面温度100℃、スクリュー回転数150rpm、平行部流速200mm/秒、射出/冷却=20/20秒の条件でISO Type−A規格の試験片を成形した。
参考例3
(a2−1)ポリアミド6樹脂は東レ株式会社製:CM1010を用いた。
(a2−1)ポリアミド6樹脂は東レ株式会社製:CM1010を用いた。
参考例4
(a2−2)ポリアミド66樹脂は東レ株式会社製:E3001を用いた。
(a2−2)ポリアミド66樹脂は東レ株式会社製:E3001を用いた。
[実施例1]
参考例1に示した重合方法で製造されたヘキサメチレンアジパミド単位(PA66)、ヘキサメチレンイソフタラミド単位(PA6I)、カプロアミド単位(PA6)から成り、重量比がそれぞれ76、16、8重量%である(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂:34.8重量%、参考例3に示した(a2−1)ポリアミド6樹脂:17.4重量%、参考例4に示した(a2−2)ポリアミド66樹脂:47.7重量%、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂:10.5重量部、(D)臭素化ポリスチレン:49.8重量部、(E)三酸化アンチモン:20.9重量部を2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度290℃、スクリュ回転数200rpmの条件下でトップフィード(基込めフィード)し、溶融混錬した後、(B)無機充填剤:122.0重量部をサイドフィードし、ストランド状のガットを成形し、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例2に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表に示す。
参考例1に示した重合方法で製造されたヘキサメチレンアジパミド単位(PA66)、ヘキサメチレンイソフタラミド単位(PA6I)、カプロアミド単位(PA6)から成り、重量比がそれぞれ76、16、8重量%である(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂:34.8重量%、参考例3に示した(a2−1)ポリアミド6樹脂:17.4重量%、参考例4に示した(a2−2)ポリアミド66樹脂:47.7重量%、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂:10.5重量部、(D)臭素化ポリスチレン:49.8重量部、(E)三酸化アンチモン:20.9重量部を2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度290℃、スクリュ回転数200rpmの条件下でトップフィード(基込めフィード)し、溶融混錬した後、(B)無機充填剤:122.0重量部をサイドフィードし、ストランド状のガットを成形し、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例2に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表に示す。
なお、(B)無機充填剤として、断面が扁平形状のガラス繊維[日東紡績(株)製:商品名CSG 3PA−820 断面形状:長円形 最長径/最短径の比:4.0]を使用した。
[実施例2〜6]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a−2−1)ポリアミド6樹脂、(a−2−1)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a−2−1)ポリアミド6樹脂、(a−2−1)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
なお、(B)無機充填剤として、断面が長円形のガラス繊維[日東紡績(株)製:商品名CSG 3PA−820 断面形状:長円形 最長径/最短径の比:4.0]を使用した。
[実施例7〜12]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a−2−1)ポリアミド6樹脂、(a−2−1)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a−2−1)ポリアミド6樹脂、(a−2−1)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、実施例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
なお、(B)無機充填剤として、断面が円形のガラス繊維[日本電気硝子(株)製:商品名T−289 断面直径:13μm]を使用した。
[比較例1]
参考例1に示した重合方法で製造されたヘキサメチレンアジパミド単位(PA66)、ヘキサメチレンイソフタラミド単位(PA6I)、カプロアミド単位(PA6)から成り、重量比がそれぞれ76、16、8重量%である(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂:50.0重量%、参考例3に示した(a2−1)ポリアミド6樹脂:25.0重量%、参考例4に示した(a2−2)ポリアミド66樹脂:25.0重量%、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂:14.4重量部、(D)臭素化ポリスチレン:51.6重量部、(E)三酸化アンチモン:21.7重量部を2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度290℃、スクリュ回転数200rpmの条件下でトップフィード(基込めフィード)し、溶融混錬した後、(B)無機充填剤:162.5重量%をサイドフィードし、ストランド状のガットを成形し、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例2に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表に示す。
参考例1に示した重合方法で製造されたヘキサメチレンアジパミド単位(PA66)、ヘキサメチレンイソフタラミド単位(PA6I)、カプロアミド単位(PA6)から成り、重量比がそれぞれ76、16、8重量%である(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂:50.0重量%、参考例3に示した(a2−1)ポリアミド6樹脂:25.0重量%、参考例4に示した(a2−2)ポリアミド66樹脂:25.0重量%、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂:14.4重量部、(D)臭素化ポリスチレン:51.6重量部、(E)三酸化アンチモン:21.7重量部を2軸押出機(東芝機械社製:TEM58)を用いてシリンダ設定温度290℃、スクリュ回転数200rpmの条件下でトップフィード(基込めフィード)し、溶融混錬した後、(B)無機充填剤:162.5重量%をサイドフィードし、ストランド状のガットを成形し、冷却バスで冷却後、カッターで造粒しペレットを得た。得られたペレットを参考例2に示した方法により成形し、前記の測定方法によって諸特性を調べた。その結果を表に示す。
なお、(B)無機充填剤として、断面が長円形のガラス繊維[日東紡績(株)製:商品名CSG 3PA−820 断面形状:長円形 最長径/最短径の比:4.0]を使用した。
[比較例2]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
[比較例3,4]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤が表に示す重量部である以外は比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤が表に示す重量部である以外は比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
[比較例5]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
[比較例6〜11]
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂、(a2−1)ポリアミド6樹脂、(a2−2)ポリアミド66樹脂、(B)無機充填剤、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂、(D)臭素化ポリスチレン、(E)三酸化アンチモンを表に示す重量部にて、比較例1と同様にしてペレット、成形品を得て諸特性を調べた。その結果を表に示す。
実施例1〜12および比較例1〜11より、半芳香族共重合ポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂を配合することで、溶融時の粘度低下効果を引き起こし成形性に優れるだけでなく、結晶化度、結晶化速度を抑制する効果により、成形後の寸法変化が極めて小さく、更には、優れた金型転写性を有する事から製品外観に優れ、無機充填剤を配合する事で高い剛性を有し、更に無機充填材に、扁平率が1.5以上であることを特徴とする繊維状無機充填剤を用いる事により、流動方向(MD)、流動方向に対する垂直方向(TD)の線膨張係数が小さくなる事に加え、それらの差が小さくなる事により、製品の反りを低減する事ができ、製品の寸法精度を飛躍的に改善する事ができ、酸変性ポリオレフィン樹脂を配合する事で、高い靭性を有するポリアミド樹脂組成物を得られる事が確認された。また、臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモンを配合することで、優れた難燃性を有するポリアミド樹脂が得られることから、ブレーカー筐体部品に特に優れる事が確認された。
Claims (10)
- (a−1)と(a−2)の合計100重量%として、(a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂24〜45重量%と(a−2)脂肪族ポリアミド樹脂55〜76重量%からなる(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)無機充填剤を40〜200重量部、(C)酸変性したポリオレフィン樹脂を5〜20重量部、(D)臭素化ポリスチレン樹脂を35〜60重量部および(E)三酸化アンチモンを10〜30重量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- (a−1)半芳香族共重合ポリアミド樹脂が、(a1−1)ヘキサメチレンアジパミド単位65〜90重量%、(a1−2)ヘキサメチレンイソフタラミド単位5〜30重量%および(a1−3)カプロアミド単位1〜14重量%の合計100重量%からなり、(a1−2)/(a1−3)の共重合重量比1以上を同時に満たす3元共重合体(ポリアミド66/6I/6)であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- (a−2)脂肪族ポリアミド樹脂が、(a2−1)ポリアミド6と(a2−2)ポリアミド66からなることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- (B)無機充填剤が、繊維状無機充填剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
- (B)繊維状無機充填剤がガラス繊維、炭素繊維、およびワラステナイトから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のポリアミド樹脂組成物。
- (B)繊維状無機充填剤の断面が扁平形状であり、下記式で表される扁平率が1.5以上であることを特徴とする請求項4または5記載のポリアミド樹脂組成物。
扁平率=繊維状無機充填剤断面の長径/繊維状無機充填剤断面の短径 - (C)酸変性したポリオレフィン樹脂が、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1から7いずれか記載のポリアミド樹脂組成物を、射出成形、押出成形、ブロー成形の内から選ばれる少なくとも1種の方法で成形してなる成形品。
- 成形品が、筐体、外装部品または補強部品であることを特徴とする請求項8記載の成形品。
- 成形品が、ブレーカー筐体であることを特徴とする請求項8または9記載の成形品。
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