JPH05230367A - 樹脂組成物及びそれからなる電子部品 - Google Patents

樹脂組成物及びそれからなる電子部品

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JPH05230367A
JPH05230367A JP8203192A JP8203192A JPH05230367A JP H05230367 A JPH05230367 A JP H05230367A JP 8203192 A JP8203192 A JP 8203192A JP 8203192 A JP8203192 A JP 8203192A JP H05230367 A JPH05230367 A JP H05230367A
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JP
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resin
component
nylon
resin composition
weight
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JP8203192A
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English (en)
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Katsuhiko Hironaka
克彦 弘中
Kiyoaki Nishijima
清明 西嶋
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Publication of JPH05230367A publication Critical patent/JPH05230367A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面実装方式による半田付けの可能な耐熱性
を備えた樹脂組成物を得ること。 【構成】 ナイロン46樹脂、ガラス転移点が120℃
以上の非晶性ポリアミド、臭素化ポリスチレンで代表さ
れるハロゲン化化合物、酸化アンチモン系難燃助剤、ガ
ラス繊維、及び要すればタルク等の結晶核剤を配合した
樹脂組成物。成形部品として低吸水性で寸法安定性も改
良されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂組成物に関し、さら
に詳しくは優れた吸水特性、寸法特性、及びリフロー半
田性を示す難燃化されたガラス繊維強化ポリテトラメチ
レンアジパミド(ナイロン46)製の表面実装対応電子
部品用樹脂組成物、及びそれからなる表面実装対応電子
部品に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の分野では最近の電化製品の小
型化、高性能化等に伴い、また生産性向上等を狙い、各
種の電子部品を基板へ実装する方法として、部品の実装
密度も高く効率もよい表面実装方式(SMT方式)が広
まりつつある。そして、それに対応した電子部品用の樹
脂材料に関しても、小型化、薄肉化のため機械強度や成
形時の流動性の向上が要求される。
【0003】更に、表面実装方式では、リフロー炉中で
の遠赤外線等の加熱による半田付け方式のため、コネク
ター等の電子部品材料の上部より加熱されることにな
り、従来の実装方式に比べてより過酷な温度条件にな
る。これに伴い、電子部品用の樹脂材料に対して耐熱性
の向上も要求されるが、ナイロン6樹脂やナイロン66
樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート
やポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等
の従来の材料では耐熱性が不足する。
【0004】そこで、この表面実装対応電子部品用の樹
脂材料としてポリフェニレンサルファイド樹脂や芳香族
ポリアミド樹脂等の適用が検討されているが、これらの
樹脂は耐熱性には優れるものの先述の機械特性、流動特
性等に欠点があるため工業的な利用には大きな制約があ
る。
【0005】このように、優れた機械特性、流動特性、
耐熱性を併せ持つ表面実装対応電子部品用の樹脂材料が
この分野において強く嘱望されている。
【0006】ナイロン46樹脂はこの要求に応え得る材
料として注目を集めている。
【0007】ナイロン46樹脂とは、テトラメチレンジ
アミンまたはその機能誘導体とアジピン酸またはその機
能誘導体とから得られる樹脂であり、耐熱性に優れ、ま
た引張強度、曲げ強度などの機械特性や流動特性等にも
優れるため有用なエンジニアリングプラスチックとして
その利用上の価値が大きいと考えられているが、電子部
品用材料としてもガラス繊維による強化系も含めてハロ
ゲン化化合物と金属酸化物により難燃性を付与させた組
成物によるそれらの利用が提案されつつある(特開昭6
1―188463号公報、特開昭63―317552号
公報及び特開昭64―11158号公報等)。
【0008】しかし、このナイロン46樹脂は、ナイロ
ン6樹脂、ナイロン66樹脂などの通常のポリアミド樹
脂よりもアミド基の比率が高いため吸水率がそれらに較
べ大きくなるという欠点をもっている。このことは、ナ
イロン46樹脂が形成直後の乾燥状態では一般のポリア
ミド樹脂よりも優れた耐熱性、機械的特性をもちなが
ら、実使用時においては通常のポリアミド樹脂より吸水
率が高いことにより耐熱性、機械特性の低下はそれらよ
りも大きくなり、場合によってはナイロン46樹脂の優
位性が失われることにもなる。また吸水率が高いという
ことはそれだけ寸法変化も大きくなるということにな
る。ナイロン46樹脂は一般のポリアミド樹脂に較べて
吸水率当りの寸法変化率は小さいものの、吸水率が高い
ためその寸法精度は必ずしも満足のいくレベルではな
く、高い精度を要求される部品に適用するには改良を要
する。
【0009】更に先述のリフロー炉を使った表面実装方
式により、基板への実装を行なう時には、乾燥状態のナ
イロン46樹脂製の電子部品では耐熱性が発揮できるも
のの、吸水状態では、場合により部品表面にフクレと呼
ばれる損傷が現れ、部品としての価値が著しく低下し
て、表面実装方式の適用条件範囲が狭くなってしまうと
いうことになる。即ち、ナイロン46樹脂製電子部品
は、ナイロン46樹脂の吸水特性における欠点のためリ
フロー半田性が劣ってしまい、この樹脂の持つ優れた耐
熱性を表面実装対応電子部品用の材料として活かす上で
大きな障害となっている。
【0010】
【発明の目的】本発明は上述の事情を背景としてなされ
たものであり、その目的は優れた吸水特性、寸法特性、
リフロー半田性を示す表面実装対応電子部品材料として
のナイロン46樹脂組成物の改良であり、機能の優れた
表面実装対応電子部品を提供することにある。
【0011】
【発明の構成】本発明者らは、難燃化されたガラス繊維
強化ナイロン46樹脂の吸水特性、寸法特性、耐リフロ
ー性を改善すべく鋭意研究した結果、難燃化されたガラ
ス繊維強化ナイロン46樹脂に特定のポリマーを特定量
配合した組成物が上述の目的に合致し、表面実装対応電
子部品を提供できることを見いだし本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明の樹脂組成物は、(A)ナイ
ロン46樹脂と(B)ガラス転移温度が120℃以上で
ある非晶性ポリアミド樹脂との合計量20〜78重量
%、(C)ハロゲン化化合物10〜30重量%、(D)
酸化アンチモン2〜10重量%及び(E)ガラス繊維1
0〜40重量%からなり、かつ(A)成分と(B)成分
との合計量における(B)成分の重量割合が0.10〜
0.20である樹脂組成物、及びその樹脂組成物からな
る電子部品である。
【0013】本発明を説明する。
【0014】本発明の電子部品とは基板上に半田付けす
る際、表面実装方式(SMT方式)によって行われる部
品全てを対象とする。
【0015】表面実装方式とは、配線基板へ電子部品を
実装する方法として、基板のスルーホールから電子部品
のリードを通し、電子部品を装着した面と反対の面に直
接半田付け(フローソルダリング又はウェーヴソルダリ
ング)する従来の挿入実装方式に対して、配線基板上に
プリント印刷された半田の上に電子部品を載せ、基板ご
とリフロー炉と呼ばれる加熱炉を通すことにより半田を
溶かして電子部品を固定する方法である。この表面実装
方式により実装密度が高められる、表裏両面の実装が可
能となる、効率化によりコストを低減できる等様々の利
点を生み出すことができる。この結果最近の電子機器の
軽薄短小化、高機能化、低価格化等の流れに乗って半田
付け方法の主流となりつつあり、その応用分野はカメラ
一体型VTR、電卓、カメラ、時計、液晶テレビ、電子
ゲーム、ハンディパソコン等の民生用電子機器やコンピ
ューター、オフコン、ワークステーション、パソコン、
周辺装置、末端機器、計測機等の産業用電子機器、更に
は宇宙航空用機器等である。
【0016】表面実装におけるリフロー炉中での基板の
加熱の方法としては、ヒーター上を移動する耐熱ベルト
の上に基板を載せて加熱する熱伝導方式、沸点が約22
0℃のフッ素系液体の凝集時の潜熱を利用するVPS方
式、熱風を強制的に循環させているところに基板を通す
熱風対流熱伝達方式、遠赤外線により基板の上から又は
上下両面から加熱する遠赤外線方式、また熱風による加
熱と遠赤外線による加熱を組み合わせて用いる方式など
がある。ランニングコスト等の理由から遠赤外線方式及
び熱風対流熱伝達方式が多く採られている。そしてこれ
らの加熱方式では従来の挿入実装方式と違い、実装され
る部品も半田溶融温度に加熱されるため、電子部品に使
用される樹脂材料にとっては非常に過酷な条件となる。
【0017】これらの表面実装対応電子部品の具体的な
例としてコネクター、スイッチ、ボリューム、コンデン
サー、IC、リレー、抵抗器、LED等の部品の本体及
びケース等樹脂により作られる部品が挙げられるが、こ
れに限定されず、表面実装方式により基板に実装される
樹脂製電子部品全てに本発明は適用できる。
【0018】本発明に用いられる(A)成分のナイロン
46樹脂とは、酸成分としてアジピン酸またはその機能
誘導体を用い、アミン成分としてテトラメチレンジアミ
ン又はその機能誘導体を用いて縮合反応により得られる
ポリアミドを主たる対象とするが、そのアジピン酸成分
またはテトラメチレンジアミン成分の一部を他の共重合
成分で置き換えたものでもよい。
【0019】ナイロン46樹脂の好ましい態様は特開昭
56―149430号公報及び特開昭56―14943
1号公報に記載されている。
【0020】本発明で用いられるナイロン46樹脂は、
電子部品中において、m―クレゾールを用い35℃で測
定したときの極限粘度が、0.90〜1.90、更には
1.10〜1.50の範囲にあることが望ましい。
【0021】1.90を超える極限粘度のナイロン46
樹脂を用いる場合には電子部品の成形の際における流動
性が悪く、得られる電子部品の外観の光沢が失われるの
みならず、その機械特性、熱特性のバラツキが大きくな
るため好ましくない。一方0.90よりも低い極限粘度
では、電子部品の機械的強度が小さくなる欠点を生ず
る。
【0022】本発明に用いられる(B)成分の非晶性ポ
リアミド樹脂とは、示差走査熱量計(DSC)で測定し
た融解熱量が1 cal/gポリマー未満であるポリアミド
樹脂であり、本発明ではガラス転移温度が120℃以上
のものを対象とする。
【0023】このようなポリアミド樹脂は、例えばアジ
ピン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
シクロヘキサン―1,4―ジカルボン酸等の酸成分と、
ヘキサメチレンジアミン、2,2,4―トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、2,4,4―トリメチルヘキサメ
チレンジアミン、4,4′―ジアミノ―ジシクロヘキシ
レンメタン、4,4′―ジアミノ―3,3′―ジメチル
―ジシクロヘキシレンメタン、4,4′―ジアミノ―ジ
シクロヘキシレンプロパン、イソホロンジアミン等のア
ミン成分を組み合わせることにより作ることができる。
また酸成分がテレフタル酸でありアミン成分が2,2,
4―トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4―
トリメチルヘキサメチレンジアミンであるポリアミド樹
脂、酸成分がアジピン酸とアゼライン酸とでありアミン
成分が4,4′―ジアミノ―ジシクロヘキシレンプロパ
ンであるポリアミド樹脂、酸成分がイソフタル酸であり
アミン成分が4,4′―ジアミノ―3,3′―ジメチル
―ジシクロヘキシレンメタンであり、かつカプロラクタ
ムが共重合されたポリアミド樹脂、酸成分がテレフタル
酸とイソフタル酸でありアミン成分が4,4′―ジアミ
ノ―ジシクロヘキシレンメタンであるポリアミド樹脂等
多くの種類のものが知られている。これらの中でも酸成
分がテレフタル酸でありアミン成分が2,2,4―トリ
メチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4―トリメチ
ルヘキサメチレンジアミンとであるポリアミド樹脂が本
発明では好ましく用いられる。
【0024】この酸成分がテレフタル酸でありアミン成
分が2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジアミンと
2,4,4―トリメチルヘキサメチレンジアミンとであ
るポリアミド樹脂は、例えばイソホロンを原料として得
られる2,2,4―トリメチルヘキサメチレンジアミン
と2,4,4―トリメチルヘキサメチレンジアミンの混
合物とテレフタル酸ジメチル、及び水の混合物をまず1
00℃前後に加熱して脱メタノール反応を行ってメタノ
ールを留去し、生成した塩水溶液を220〜240℃、
20〜40気圧の条件下で加圧溶融重合させて前駆体と
なる低重合体とし、次いでその低重合体を真空ベント付
き押出機を用いて減圧下、250〜270℃で重縮合を
行い高分子量のポリマーを得る方法等によって作ること
ができ、トロガミドTという商品名でダイナミット・ノ
ーベル社より市販されている。
【0025】本発明に用いられる(C)成分のハロゲン
化化合物は一般に難燃剤として用いられているものであ
り、ハロゲンとしては臭素及び塩素が好ましい。
【0026】このハロゲン化化合物の具体的な例として
は、例えば臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレン
エーテル、臭素化フェノキシ、臭素化エポキシ、臭素化
ビスフェノール―A―ジグリシジルエーテル及びそのオ
リゴマー、臭素化ビスフェノール―Aを原料として製造
されるポリカーボネートオリゴマー、臭素化ビフェニル
エーテル、臭素化ジフタルイミド化合物、塩素化ヘキサ
ペンタジエンのに二量体等が代表的なものとして例示で
きるが、中でも臭素化ポリスチレンが特に好ましい。
【0027】この臭素化ポリスチレンはポリスチレンの
芳香族環に臭素原子が結合したものであり、臭素化スチ
レンを重合するか、又はポリスチレンを臭素化すること
によって製造される。また臭素化ポリスチレンは他のビ
ニル系化合物が共重合されていても使用可能である。こ
の場合のビニル化合物としてはスチレン、α―メチルス
チレンなどが挙げられる。この臭素化ポリスチレンの重
合度に特に制限はないが、重量平均分子量で10000
〜1000000のものが好ましく用いられる。
【0028】ハロゲン化化合物の配合量は、本樹脂組成
物中10〜30重量%である。配合量が10重量%未満
ではナイロン46樹脂の難燃化効果が十分でなく、30
重量%超ではナイロン46樹脂の特徴である機械的性
質、熱的性質が損なわれるため好ましくない。
【0029】本発明において用いられる(D)成分のア
ンチモン化合物は(C)成分のハロゲン化化合物との相
乗効果によりナイロン46樹脂の難燃性を高める働きを
するものである。
【0030】アンチモン化合物としては三酸化アンチモ
ン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン又はアンチモ
ン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に三酸化アンチモ
ンが好ましく用いられる。
【0031】また、これらの難燃助剤は1種のみの配合
であっても2種以上の化合物の併用であってもよい。
【0032】これらの難燃助剤の配合量は(C)成分の
ハロゲン化化合物のハロゲン原子2〜5に対しアンチモ
ン等の金属原子1の割合にあるときが適当であり、本発
明の場合、樹脂組成物当り2〜10重量%である。この
配合量が2重量%より少ないときには難燃助剤としての
効果が小さく、また10重量部より多いときにはそれ以
上の配合による効果の増大が期待されないばかりでな
く、ナイロン46樹脂の機械特性や流動性等の成形性等
が劣ってくるため好ましくない。
【0033】本発明に用いられる(E)成分のガラス繊
維は、樹脂組成物や電子部品の機械的強度及び耐熱性を
高める目的で配合されるものであり、一般に樹脂の強化
用に用いられるものであれば特に限定はない。例えば長
繊維タイプ(ガラスロービング)や短繊維状のチョップ
ドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用い
ることができる。またガラス繊維は集束性(例えばポリ
酢酸ビニル、ポリエステル集束剤等)、カップリング剤
(例えばシラン化合物、ボロン化合物、チタン化合物
等)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。通
常、長繊維タイプのガラス繊維は樹脂とのブレンド前又
は後に所望の長さに切断されて用いられるが、この使用
態様も本発明には有用である。
【0034】ガラス繊維の配合量は、本樹脂組成物中1
0〜40重量%である。この配合量が10重量%より少
ないところでは成形品の機械的強度や耐熱性の向上効果
が十分ではない。また40重量%を超える場合には、組
成物の溶融状態における流動性が著しく劣ってくるため
外観の良好な成形品を得ることができず、また強度的に
も飽和に達してくるため好ましくない。
【0035】ナイロン46樹脂にハロゲン化化合物、酸
化アンチモン及びガラス繊維を配合した組成物は強度、
耐熱性に優れ、それからなる電子部品も表面実装方式に
十分耐え得るだけの耐熱性を持つ優れた電子部品である
が、実使用状態ではナイロン46樹脂は大気中の水分に
より吸湿し、それによる寸法変化や強度低下が起こる。
しかし組成物として更に上述のガラス転移温度が120
℃以上の非晶性ポリアミド樹脂を配合した組成物は吸水
率が低下し、それからなる電子部品が寸法特性の優れた
ものとなる。
【0036】本発明に用いられる(B)成分のガラス転
移温度が120℃以上の非晶性ポリアミド樹脂の配合量
は、(A)成分のナイロン46樹脂との合計量中の重量
割合で0.10〜0.20である。この重量割合が0.
10より少ないときには、その組成物の吸水による寸法
変化の抑制効果は十分でなく、また0.20より多いと
きにはその組成物からなる電子部品の吸水したときの耐
半田性が低下し、リフロー半田時のフクレという損傷が
起こり易くなるため好ましくない。
【0037】このフクレと呼ばれる現象は電子部品内部
に入り込んだ水分が加熱により内部で蒸気化して起こる
と一般に説明されており、電子部品の吸水性を低下させ
ることによりその発生が抑えられることは容易に推測で
きる。
【0038】しかしながら、(B)成分のガラス転移温
度120℃以上の非晶性ポリアミド樹脂を(A)成分の
ナイロン46樹脂と(B)成分との合計量に対し重量割
合で0.20以上配合したときには、配合しないときに
比べ吸水率が低下しているにも拘らず、このフクレとい
う現象が起こり易くなり、ナイロン46樹脂のもつ特長
の1つが失われることになるため、本発明における
(B)成分の配合量は上述の範囲に限定される。
【0039】本発明において上述のナイロン46樹脂組
成物に(F)成分として結晶核剤を添加すると、リフロ
ー時の耐半田性が更に向上することも併せて知見した。
【0040】本発明において用いられる(F)成分の核
剤はポリアミド樹脂の結晶核剤として一般に用いられて
いる公知の化合物が主たる対象となる。
【0041】例えば、タルク、シリカ、グラファイト、
炭素粉、ピロフェライト、石膏、中性粘土等の無機質微
粒子や、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化
チタン等の金属酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硅酸塩、蓚
酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒
石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタン
ワックスエステル塩、テレフタル酸塩、安息香酸塩、カ
ルボン酸塩等、またカプロラクタム二量体等のオリゴマ
ーやナイロン6T、ナイロン22等の高融点ナイロンの
粉末等が挙げられる。
【0042】これらの核剤として用いられる化合物の中
で特に効果の大きいものは、平均粒径が20μm以下の
タルクである。
【0043】ガラス繊維強化した難燃性ナイロン46樹
脂に結晶核剤を添加しても、ナイロン46樹脂の結晶化
速度が非常に速いため効果は発現せず、リフロー時の耐
半田性は向上しない。しかし、(B)成分のガラス転移
温度が120℃以上である非晶性ポリアミド樹脂を配合
した組成では、(F)成分の結晶核剤の添加によりリフ
ロー時の耐半田性が向上する。
【0044】これらの(F)成分の結晶核剤の配合量
は、核剤の種類や形状によってその効果を発現させる量
は異なるため一律に規定することはできないが、ナイロ
ン46樹脂組成物中0.01〜1重量%である。核剤の
添加量が少なすぎる場合には核剤としての効果が発現さ
れず、逆に多くし過ぎても核剤としての効果が増大され
ることがないばかりか、むしろ機械特性その他において
悪い結果を与える場合がある。
【0045】本発明の樹脂組成物には、必要に応じて顔
料その他の配合剤をその発現量添加してもよい。このよ
うな配合剤として充填材、例えばガラス繊維以外のアラ
ミド繊維、炭素繊維、スチール繊維、アスベスト、セラ
ミック繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ボロンウィ
スカー等の繊維状物、カオリン、クレー、ウォラストナ
イト、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、ガラスビーズ、ガラスフレークス等の粉末状、粒状
あるいは板状の無機充填材が例示できる。
【0046】これらの充填材は、通常補強材、表面改質
材として、あるいは電気的、熱的特性等の改質を目的と
して配合されるが、配合による効果発現の最少量と過剰
配合による組成物本来の優れた特性、成形上の利点を損
失しない範囲で配合されるべきである。
【0047】また、耐熱性向上を目的としてヨウ化銅等
の銅化合物、ヒンダードフェノール化合物、芳香族アミ
ン化合物、有機リン化合物、硫黄化合物等の酸化防止剤
あるいは熱安定剤を添加することもできる。また溶融粘
度安定性、耐加水分解性の改良等の目的には、各種のエ
ポキシ化合物、オキサゾリン化合物等を添加してもよ
い。エポキシ化合物としては、例えばビスフェノール―
Aとエピクロルヒドリンを反応させて得られるビスフェ
ノール―A型エポキシ化合物、各種グリコールやグリセ
ロールとエピクロルヒドリンとの反応から得られる脂肪
族グリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ化合物、
芳香族又は脂肪族カルボン酸型エポキシ化合物、脂環化
合物型エポキシ化合物などが好ましく、オキサゾリン化
合物としては芳香族又は脂肪族ビスオキサゾリン、特に
2,2′―ビス(2―オキサゾリン)、2,2′―m―
フェニレンビス(2―オキサゾリン)が好ましい。
【0048】その他安定剤、着色剤、滑剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤の添加もできる。
【0049】更にまた、少量の割合で他の熱可塑性樹
脂、例えば他のポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ
エチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共
重合体、ポリスチレン及びその共重合体、アクリル樹脂
及びアクリル系共重合体、ポリアミドエラストマー、ポ
リエステルエラストマー等;熱硬化性樹脂、例えばフェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、
シリコーン樹脂等を配合してもよい。
【0050】本発明の樹脂組成物を得るには任意の配合
方法を用いることができる。
【0051】通常これらの配合成分はより均一に分散さ
せることが好ましく、その全部もしくは一部を同時にあ
るいは別々に例えばブレンダー、ニーダー、ロール、押
出機等の混合機で混合し均質化させる方法や、混合部分
の一部を同時にあるいは別々に例えばブレンダー、ニー
ダー、ロール、押出機等で混合し、更に残りの成分をこ
れらの混合機あるいは押出機で混合し均質化させる方法
を用いることができる。更に予めドライブレンドされた
組成物を加熱した押出機で溶融混練して均質化したあと
針金状に押出し、次いで所望の長さに切断して粒状化す
る方法がある。
【0052】このようにして作られた成形用組成物は、
通常十分乾燥された状態に保たれて成形機ホッパー内に
投入され射出成形等の成形に供される。更にまた、組成
物の構成原料をドライブレンドして直接成形機ホッパー
内に投入し成形機中で溶融混練することも可能である。
【0053】
【実施例】以下実施例により本発明を詳述する。なお、
実施例中の各種特性の測定は以下の方法によった。
【0054】(1)機械的強度:引張試験はASTM
D638に、曲げ試験はASTMD790に、衝撃試験
はASTM D256(アイゾット、ノッチ付)にそれ
ぞれ準拠。
【0055】(2)荷重たわみ温度(HDT):AST
M D648に準拠(荷重1.84MPa)。
【0056】(3)吸水特性:80℃、相対湿度95%
の雰囲気中に5時間放置した後の重量増加より算出(成
形品厚さ1.5mm)。
【0057】(4)寸法特性:80℃、相対湿度95%
の雰囲気中に5時間放置した後の寸法変化より算出(成
形品厚さ1.5mm)。
【0058】(5)難燃性:米国アンダーライターラボ
ラトリー社の定める方法(UL94)により評価(厚さ
0.79mm)。
【0059】(6)極限粘度:溶媒としてm―クレゾー
ルを用い、オストワルド粘度管により35℃にて測定。
【0060】
【実施例1〜5、比較例1〜7】110℃、1.3kP
aの減圧下で12時間乾燥した極限粘度1.38のナイ
ロン46樹脂(「STANYL」オランダ国DSM社
製)とガラス転移温度148℃のテレフタル酸と2,
2,4―トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,
4―トリメチルヘキサメチレンジアミンとの混合物から
なる非晶性ポリアミド樹脂(「トロガミドT」ダイナミ
ット・ノーベル社製)、臭素化ポリスチレン(「パイロ
チェック68―PB」日産フェロ有機化学(株)社
製)、三酸化アンチモン(「パトックスC」日本精鉱
(株)社製)、直径10.5μmで長さ3mmのガラス繊
維チョップドストランド(日本電気硝子(株)社製)、
及びタルク(「PKNN」林化成(株)社製)を表1に
示す量割合にて、予めタンブラーで均一に混合した後ス
クリュー径各44mmのベント付き二軸押出機を用いて真
空に引きながらシリンダー温度330℃、スクリュー回
転数160rpm、吐出量40kg/hにて溶融混練し、
ダイスから吐出するスレッドを冷却切断して成形用ペレ
ットを得た。
【0061】次いでこのペレットを用いて射出容量5オ
ンスの射出成形機にてシリンダー温度300℃、金型温
度120℃、射出圧力80MPa、冷却時間15秒、及
び全成形サイクル40秒の条件で各特性測定用の成形品
を成形した。
【0062】これらの成形品を用いて各特性を測定し
た。成形品は測定前にJIS K7100に従い、23
℃、相対湿度50%の雰囲気中で88時間状態調節を行
った。
【0063】
【表1】
【0064】ガラス繊維で強化した難燃性ナイロン46
樹脂は優れた強度、耐熱性を示す組成物であるが、その
吸水率は高く、吸水による寸法変化も大きいという欠点
を持つ(比較例1、4)。
【0065】このナイロン46樹脂組成物に上述のガラ
ス転移温度148℃の非晶性ポリアミド樹脂であるトロ
ガミドTを配合すると、その機械特性や耐熱性を全く損
なうことなく、吸水性が低減され、吸水による寸法変化
も抑制された組成物を得ることができる(実施例1〜
4)。
【0066】配合するトロガミドTの量が少ないときに
はその吸水特性、寸法特性の改良効果が十分でない(比
較例2、5)。
【0067】また、電子部品として使用される場合の耐
半田性の試験用として、先の方法で作成した表1に示す
組成のペレットを用いて射出容量1オンスの射出成形機
にてシリンダー温度300℃、金型温度120℃、射出
圧力90MPa、冷却時間10秒、及び全成形サイクル
20秒の条件で、肉厚0.5mmの板状成形品を成形し
た。
【0068】それらの成形品を80℃、95%相対湿度
の状態の中で1時間調湿することにより吸水を促進して
吸水状態の成形品を得た。
【0069】上記方法によって得た各種組成物からなる
成形品の耐リフロー半田性試験を卓上型簡易リフロー炉
(東洋電装(株)社製)により行った。加熱の温度パタ
ーンは、150℃で180秒間予熱した後に所望の温度
で20秒間加熱されるように設定し、リフロー半田付け
温度は基板の表面温度を熱電対により測定することによ
り求めた。耐リフロー半田性の評価は、リフロー炉中で
の加熱の後に成形品表面のフクレの有無で行った。
【0070】それらの結果も表1に併せて示した。
【0071】ガラス繊維で強化した難燃性ナイロン46
樹脂からなる成形品は、優れたリフロー半田性を持って
おり、吸水状態においても240℃のリフロー半田付け
に耐えることができる(比較例1、4)。
【0072】トロガミドTを配合した組成物からなる成
形品においてもこのリフロー半田性はよく保たれている
(実施例1〜4)。
【0073】しかしながら、トロガミドTの配合量が大
きくなるとそのリフロー半田性が低下してくるためその
配合量はナイロン46樹脂とトロガミドTの合計量に対
する重量割合でトロガミドT0.20が上限である(比
較例3、6)。
【0074】また、上記組成物にタルクを添加した場
合、リフロー時の耐半田性は更に向上する(実施例
5)。トロガミドTを配合しないナイロン46樹脂のみ
の場合にはこのタルク添加による特性向上は見られず
(比較例7)、両者を組み合わせたときにはじめて発現
する効果であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01C 1/02 M 7161−5E H01R 13/46 Z 7129−5E //(C08L 77/06 101:04)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ナイロン46樹脂と(B)ガラス
    転移温度が120℃以上である非晶性ポリアミド樹脂と
    の合計量20〜78重量%、(C)ハロゲン化化合物1
    0〜30重量%、(D)酸化アンチモン2〜10重量%
    及び(E)ガラス繊維10〜40重量%からなり、かつ
    (A)成分と(B)成分との合計量における(B)成分
    の重量割合が0.10〜0.20である樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)成分がテレフタル酸に2,2,4
    ―トリメチルヘキサメチレンジアミンと2,4,4―ト
    リメチルヘキサメチレンジアミンとの混合物を反応せし
    めて得られるポリアミド樹脂である請求項1記載の樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 (C)成分が臭素化ポリスチレンである
    請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ナイロン46樹脂、(B)ガラス
    転移温度が120℃以上である非晶性ポリアミド樹脂の
    合計量20〜78重量%、(C)ハロゲン化化合物10
    〜30重量%、(D)酸化アンチモン2〜10重量%、
    (E)ガラス繊維10〜40重量%及び(F)結晶核剤
    0.01〜1重量%からなり、かつ(A)成分と(B)
    成分との合計量における(B)成分の重量割合が0.1
    0〜0.20である樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (F)成分の結晶核剤がタルクである請
    求項4記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載された
    樹脂組成物からなる電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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