JPH05230366A - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形法 - Google Patents
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成形法Info
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- JPH05230366A JPH05230366A JP6118592A JP6118592A JPH05230366A JP H05230366 A JPH05230366 A JP H05230366A JP 6118592 A JP6118592 A JP 6118592A JP 6118592 A JP6118592 A JP 6118592A JP H05230366 A JPH05230366 A JP H05230366A
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Abstract
又は亜鉛の物性に匹敵する高濃度のガラス繊維を配合し
たポリアミド系樹脂組成物及びその成形法を提供するこ
とを目的とする。 【構成】 結晶性脂肪族系ポリアミド樹脂を主体とし、
これに非晶性半芳香族ポリアミド樹脂及び結晶性共重合
ポリアミド樹脂を混合することにより高濃度のガラス繊
維の配合を可能として、高性能を有する組成物及び特定
の混練機構を持つ射出成形機によってその成形物を製造
しうる構成とする。
Description
配合しながらも表面状態の優れた高強度、高剛性のポリ
アミド樹脂組成物とその成形法に関する。
械的性質を有することから特に機械部品、電機部品、自
動車部品などに射出成形品の形で利用されている。特に
ポリアミドはガラス繊維を配合した場合強度、剛性、耐
熱性、耐衝撃性などの特性が向上するため上記の用途に
多用されている。
つれ、従来技術のガラス繊維強化脂肪族系ポリアミド樹
脂(ガラス繊維強化ナイロン6又はナイロン66)のみ
の組成物ではその性能は限界に達しており、これ以上の
大きな進展は望み得ないものとなってきた。即ち、従来
技術のガラス繊維強化の結晶性脂肪族系ポリアミド樹脂
では、絶乾状態でASTMD638法で測定した引張強
さが20〜22kg/mm2 、ASTMD790法で測
定した曲げ弾性率が1220kg/mm2 が限度であ
り、しかも実使用状態の23℃、50%RH平衡状態で
はポリアミド樹脂のアミド基が水分を多量に吸収して分
子が柔軟になるため、この値がいずれも50〜60%に
低下する。このような従来技術の材料では、これを金属
材料代替の用途には採用できない。ここで言う金属材料
とは例えばダイカスト用アルミニウム合金、(JIS
ADC10:引張強さ28.8kg/mm2 )、ダイカ
スト用亜鉛合金(JIS ZDC1、ZDC2:引張強
さはそれぞれ33、29kg/mm2 )などである。そ
のため従来技術材料を改良する目的で多くの提案がなさ
れている。
て、分子鎖に芳香族炭化水素を導入したものがある。こ
の材料は通常ポリアミドの出発物質であるジアミン、二
塩基酸のいずれかを芳香族環を含む成分を使用したいわ
ゆる半芳香族型ポリアミドである。このようなポリアミ
ドの例としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸の縮
合物であるナイロンMXD・6がある。この材料は芳香
族炭化水素基の導入により分子鎖の剛性が向上するた
め、材料の強度、剛性が向上し、また吸水率が低下する
ことから吸水時の物性値低下が軽減する特徴を有する
が、反面耐衝撃性が低下する欠点をもつ。この材料の物
性値の限度はガラス繊維50重量%配合品で引張強さ2
6kg/mm2 、曲げ弾性率1770kg/mm2 であ
るが、ノッチ付きアイゾット衝撃値は10kg・cm/
cmと低い。また成形加工面では流動性が悪くなり、さ
らに分子鎖の剛性が大きいため結晶化し難くなる。その
ため一般には金型温度を高くし、徐冷して結晶化させる
必要があるため成形加工面では極めて不利であり、結晶
化の不完全さによる物性、寸法の変動範囲が大きくな
る。
撃性、強靱性など兼ね備え、かつ経済的に使用できる材
料は完成されず、その改善が強く要望されていた。従来
技術における他の制約はガラス繊維の配合率である。即
ち従来技術のガラス繊維強化ポリアミド樹脂では、ふつ
う樹脂100重量部に対しガラス繊維は45〜70重量
部、最も高配合のものでも100重量部が限度であっ
た。これ以上ガラス繊維を配合してもガラス繊維ストラ
ンドチョップが完全に解繊せず成形品の中に束状になっ
て残っており、応力の伝達が不十分なため機械的強度、
剛性率の向上への寄与が少なくなるばかりか、繊維とマ
トリックス樹脂間に空洞が発生し、これが起因してガラ
ス繊維を大量に配合しても材料の強度はむしろ低下する
ことになる。さらにガラス繊維が成形品の表面に浮き出
して表面の光沢や平滑性が著しく低下するため実使用に
供し得ないのである。さらに成形品を塗装すると、塗料
の吸い込み現象を起こし、均質な仕上がりにならず、商
品価値を著しく損ない実使用に供し得ないことになって
いる。ガラス繊維強化材料の引張強さや曲げ弾性率など
の機械的性質は配合物の容積分率に比例するものであ
り、かかる理由で従来技術ではガラス繊維の容積分率が
15〜30%にとどまるため、必然的に複合材の性能も
低い水準にとどまり、金属代替の目的を充分には達成で
きないのであった。
結晶性脂肪族系ポリアミド樹脂95〜60重量%と非晶
性半芳香族ポリアミド樹脂5〜40重量%よりなる混合
物100重量部とガラス繊維25〜150重量部よりな
る強化ポリアミド樹脂組成物を完成し、前述のような従
来技術の制約を越える組成物(特願平2−127487
号)を得たが、この組成物でもガラス繊維を大量に配合
すると成形品の外観上商品価値を減じるため、ガラス繊
維配合量が樹脂分100重量部に対し、150重量部、
好ましくは120重量部に制約され、業界からは一層の
性能向上が強く望まれていた。
うな従来技術の制約を越える高濃度ガラス繊維配合組成
物を鋭意研究した結果、本発明の組成物とその成形法を
開発し、本発明を完成させたのである。
リアミド樹脂、非晶性ポリアミド樹脂及び結晶性脂肪族
共重合ポリアミド樹脂よりなる混合物にガラス繊維を配
合したガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物及びその成
形法からなっている。ここでいう結晶性脂肪族ポリアミ
ドとは主鎖にアミド結合をもつ重合体であり、ジアミン
と二塩基酸との重縮合、ラクタムの開環重合、アミノカ
ルボン酸の重縮合などによって得られる直鎖状の高分子
である。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレン
アジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジ
パミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバミド
(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミ
ド(ナイロン612)、ポリカプロラクタム(ナイロン
6)、ポリウンデカノアミド(ナイロン11)、ポリラ
ウリルラクタム(ナイロン12)などである。本発明の
結晶性脂肪族系ポリアミドは材料の汎用性、価格の点で
好ましくはポリカプロラクタム(ナイロン6)及びポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)である。
アミド樹脂は芳香族炭化水素ジカルボン酸混合物と脂肪
族ジアミンとを縮合させることによりつくられる分子主
鎖がアミド基で結合させた形態の芳香族基含有の分子構
造を有する高分子であり、実質的に非晶性の透明なポリ
アミドである。好ましい樹脂は芳香族炭化水素ジカルボ
ン酸としてイソフタル酸とテレフタル酸の混合物、脂肪
族ジアミンとしてヘキサメチレンジアミンとからなる組
成物(一般名ナイロン6I/6T)である。このポリア
ミドは実質的に融点を有せず、ガラス転移点(Tg)は
100〜200℃である。イソフタル酸とテレフタル酸
との比率によりガラス転移点が変わるが、本発明で使用
される非晶性ポリアミドとしては好ましくはガラス転移
点が120〜180℃の範囲のものである。
ミドを配合することにより、吸湿時の引張強さ、曲げ強
さ、曲げ弾性率の低下は大幅に改良される。しかもこの
効果は後述の実施例から明らかように、配合物の物性値
が両成分の単純な加成性となるのではなく、少量の非晶
性ポリアミドの配合でも顕著な改良効果が発揮されるこ
とは驚くべきほどである。非晶性ポリアミドはその原料
組成の複雑さから必然的に結晶性ポリアミドよりも高価
になるが、本発明の配合法によれば少量配合でも大きな
効果を挙げ得るため、コストパーフォーマンス上特に不
利になることはない。
アミドと非晶性ポリアミドの配合率は95/5乃至60
/40重量比である。非晶性ポリアミドの比率がこれよ
り少ないと目的とする改良効果が顕著ではなく、またこ
れ以上非晶性ポリアミドを配合しても改良効果が向上し
ないため実用的ではない。
ノマーから得られる結晶性共重合ポリアミド樹脂である
共重合ナイロンを使用することである。即ち本発明に使
用される共重合ナイロンの種類としてはナイロン6/1
2、ナイロン6/610、ナイロン66/12、ナイロ
ン6/12/610、ナイロン6/66/610、ナイ
ロン6/66/610/12などがある。これらの共重
合ナイロンは組成比により融点が異なるが、本発明に有
効なのは融点が100〜200℃の範囲の共重合ナイロ
ンであり、しかも本組成物の主成分である結晶性脂肪族
系ナンロンの融点よりも20℃以上低いのが望ましい。
具体的なものとしてはナイロン6を主成分とする場合ナ
イロン6/12(ナイロン6/12:80/20、融点
200℃)、ナイロン6/610(ナイロン6/61
0:80/20、融点200℃)が好ましい。
ラス繊維を配合ししても成形品の外観を損なうことな
く、成形品の物性が加成性をもって向上するため、従来
技術では考えられなかったような高濃度にガラス繊維を
配合することも可能にならしめた。具体的には従来技術
ではガラス繊維の配合は樹脂100部こ対し実質的に7
0〜100部であったのに比し、本発明では後述の実施
例で示すように樹脂100部に対し250部もの大量の
ガラス繊維の配合を可能にしたのである。この共重合ナ
イロンの作用機構は定かではないが、3種のナイロン中
で最も速く溶融するように共重合ナイロンの種類を選ぶ
と、これがガラス繊維の表面を優先的に被覆してし溶融
樹脂中への均一分散を助けるためと推定される。この効
果を発揮させるための共重合ナイロンの配合比率は結晶
性脂肪族系ナイロンと非晶性ナイロンとの合計量に対し
0.2〜20%、好ましくは2〜10%である。これよ
り少ないと効果が顕著ではなく、またこれ以上多くても
効果が飽和するのみでなく却って組成物の吸湿時の物性
低下を大きくする悪影響が表れてくる。
ラス繊維強化材の配合である。ガラス繊維の組成は通常
Eガラスと呼ばれるガラス質であり、繊維直径は5〜1
5μ、長さ3〜6mmのガラス繊維を数千本まとめたチ
ョップストランドファイバーの形態で市販されているも
のである。他の材質としてはSガラスを使用した高強度
ガラス繊維である。さらに他の強化材として炭素繊維、
チタン酸カリウムウィスカー、アルミナ繊維、ジルコニ
ア繊維、MOS(MgSO4 ・5MgO・8H2 O)な
どがあり、特別の要求性能によっては、これらをガラス
繊維と併用してもよい。
従来から公知の安定剤、可塑剤、離型剤、造核剤、難燃
剤、滑剤などを配合することができる。本発明にかかる
組成物を最も効果的に成形する方法としてはそれぞれの
樹脂成分のペレットとガラス繊維との混合物から直接成
形する方法である。即ち結晶性ナイロン95〜60重量
%、非晶性ナイロン5〜40重量%、結晶性共重合ナイ
ロン0.2〜20重量%からなる混合物100重量部に
対し、ガラス繊維100〜250重量部をドライブレン
ドし、後述の混合機能を備えた射出成形機により成形す
ることによって達成される。この混合物の分離を防ぎ、
安定した製造を実施するには適当なバインダー又はブレ
ンドオイルを配合するのも好ましい。この混合物を溶融
混合する機構としてはスクリューライン式射出成形機の
スクリュー及び/或いはシリンダーに適当な混合・分散
機構を設けることによって達成される。本発明に係るこ
の種のスクリューの構造としては通常のシングルヘリカ
ルスクリューの混合・分散機能を強化したものが使わ
れ、これに複条ヘリカルスクリュー、ダルメージ型スク
リュー、ピン式スクリュー、ギヤ式スクリューなど公知
の機構が使用できる。本発明に係る射出成形機の最も好
ましい混合・分散機構としては日本国特許第11047
27号に記載された混合機構である。しかし、本発明は
この機構の採用のみに限定されるものではない。
の混合物を単軸押出機、二軸押出機、その他特殊な混練
機構を備えた押出機により溶融混合することにより行う
ことができる。装置の都合により樹脂成分のみを溶融混
合したアロイをつくり、後にガラス繊維を配合・混合し
て射出成形してもよく、またガラス繊維は樹脂分と一緒
に混合したコンパウンドの製造に当たっては、樹脂混合
物のみをフィード部に供給し、ガラス繊維は押出機下流
の供給孔から溶融樹脂中に連続して供給する方法がコン
パウンド中のガラス繊維長を長く保ち物性の優れた成型
品が得られる点からみて好ましい。
5〜60重量%、非晶性半芳香族ポリアミド樹脂5〜4
0重量%、結晶性共重合ポリアミド0.2〜20重量%
とからなる混合物100重量部とガラス繊維100〜2
50重量部とより成る強化ポリアミド樹脂組成物は強
度、剛性等が従来技術のガラス繊維強化ポリアミド樹脂
をはるかに凌駕し、しかも吸水による物性低下の少ない
高性能の複合プラスチック組成物であり、その性能は金
属材料例えばダイカスト用アルミニウム合金や亜鉛合金
を凌ぐものである。さらに軽量であり、成形加工性も優
れており、産業上の価値は極めて高いと言える。これに
加えてかかる高性能を有する組成物の成形法についても
効果的な方法を開発しえたのである。
に説明する。本発明に使用する材料及び比較組成物は表
1のようである。
ポリアミド、結晶性共重合ポアミド及びガラス繊維をド
ラムブレンダーで混合し、日本国特許第1104727
号に記載された混練機構を備えたスクリュー式射出成形
機を使用し成形した。成形品はASTMD638に規定
する引張試験片及びASTMD790に規定する曲げ試
験片(幅12.6mm、肉厚3.2mm、全長126m
m)のセット取りで、シリンダー温度280℃(実施例
1、比較例1、4、5)、290℃(実施例2、3、比
較例2、3)、金型温度90℃で成形を行った。また比
較組成物(宇部興産社製 1015GC6)は通常のス
クリューシリンダーを備えた射出成形機(新潟鉄工所製
SN75)を使用し、同じ金型でシリンダー温度26
0℃、金型温度80℃で成形した。
独の場合、成形品の外観上の制約からガラス繊維/ナイ
ロンの比率は実質的に50/50以下にとどまり、また
本発明者が先に公開した技術(特願平2−127487
号)においてもガラス繊維/ナイロンの比率は実質的に
55/45にとどまっている。これに対して本発明では
ガラス繊維/ナイロンの比率を最高70/30まで配合
可能とし、得られた成形品の引張強さは調湿時でも27
kg/mm2 と軽金属に匹敵し、また曲げ弾性率も23
00kg/mm2 従来技術をはるかに越えた値が得られ
た。
較例1〜5及び比較組成物宇部興産社製 1015GC
6に対しいずれも物性値が格段に優れ、従来技術の強化
ボリアミド樹脂の性能を大幅に改善し、金属製部品の代
替可能な性能を有することが実証された。
脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性共重合ポリアミド樹
脂を適当比率で配合することにより従来技術では達成で
きなかった高濃度のガラス繊維の配合をを可能とし、こ
れにより従来では達成できなかった強靱な複合材料の製
造、成形を可能にしたもので、プラスチックを金属材料
代替可能な物性値まで高め得たという著しい効果を有す
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 結晶性脂肪族系ポリアミド樹脂95〜6
0重量%、非晶性ポリアミド樹脂5〜40重量%、結晶
性脂肪族共重合ポリアミド樹脂0.2〜10重量%の3
種よりなる混合物100重量部とガラス繊維100〜2
50重量部とよりなることを特徴とするガラス繊維強化
ポリアミド樹脂組成物。 - 【請求項2】 結晶性脂肪族系ポリアミド樹脂95〜6
0重量%、非晶性ポリアミド樹脂5〜40重量%、結晶
性脂肪族共重合ポリアミド樹脂0.2〜10重量%の3
種よりなる混合物100部重量部とガラス繊維100〜
250重量部とからなる混合物を混合機構を備えたスク
リュー式射出成形機によって成形することを特徴とする
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形法。
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