JP4688373B2 - ナイロン樹脂成形品の接着用継手及び接着方法 - Google Patents

ナイロン樹脂成形品の接着用継手及び接着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナイロン樹脂成形品を溶剤接着剤を用いて接着した場合に、十分な接着強度を発揮するための継手及び接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン樹脂成形品同士の接着には溶剤接着剤が用いられている。これら溶剤接着剤に用いられる溶剤は被着体であるナイロンを溶解する必要がある。現在ナイロン用の溶剤接着剤の溶媒としては、フェノール、クレゾール、クロロフェノールなどのフェノール系化合物やフルオロアルコールが用いられるが、これらはいずれも有毒性や刺激性を有しており、作業上好ましくない。
そのため、毒性を低減させるために、フェノール系化合物ではフェノール性水酸基とアルキル基を1種以上有する化合物が用いられているが、これらのうちカルバクロール(2−メチル−5−イソプロピルフェノール)とチモール(5−メチル−2−イソプロピルフェノール)の組み合わせは、比較的毒性が弱く、組成によっては−20℃以下まで液体状態を保ち使用温度範囲が広い。カルバクロールとチモールの混合溶媒にナイロンを溶解した溶剤接着剤は、ナイロンガスパイプとナイロン継手との接着に用いられている。
しかしながら、これらのパイプと継手あるいは他の用途において接着部分の剥離強度が要求される場合には、現在の接着強度では十分とはいえず使用に制限があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ナイロン樹脂成形品を溶剤接着剤を用いて接着した場合に、十分な剥離強度が得られるナイロン樹脂成形品の接着用継手及び接着方法を提供することを目的とする。
【0004】
【問題を解決するための手段】
溶剤接着剤による接着のメカニズムは、まず被着体が溶剤接着剤中に溶解し、つづいて溶解したポリマー分子鎖が、両方の被着体中に侵入し、溶剤が蒸発または被着体に吸収されて乾燥固化して、接着界面において接着層が形成されるというものである。したがって、溶剤接着剤に用いられる溶剤の必要条件としては被着体を十分に溶解することが求められる。
本発明は、ナイロン樹脂成形品を接着するための継手に共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤からなる組成物を使用することにより、溶剤接着剤中の溶剤に対する溶解度を高め、接着界面においてより効果的に接着層を形成させることによって、接着強度を改良することができるとともに、射出成形時の冷却時間を短縮せしめ成形性を改良できることを見出したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、溶剤接着剤を用いてナイロン樹脂成形品を接着するための継手であって、継手材料が共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤を含む組成物からなることを特徴とするナイロン樹脂成形品の接着用継手に関するものである。
また、本発明は、ナイロン樹脂成形品を溶剤接着剤を用いて共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤を含む組成物からなる継手と接着することを特徴とするナイロン樹脂成形品の接着方法に関するものである。
さらに、本発明は、共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤からなる組成物からなる材料と他のナイロン樹脂からなる材料が溶剤接着剤を用いて接着されてなるナイロン樹脂の接着構造に関するものである。
【0006】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の継手材料に使用される共重合ナイロンは、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とから誘導される単位を2種類以上含む共重合ナイロンである。具体的には、炭素数6〜12のラクタム、炭素数6〜12のアミノカルボン酸、及び炭素数3〜22のジカルボン酸と炭素数2〜20のジアミンの組み合わせから誘導される単位を2種以上含むものが挙げられる。
【0007】
炭素数6〜12のアミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などを用いることができる。
【0008】
炭素数6〜12のラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ドデカラクタムなどを用いることができる。
【0009】
ジアミン及びジカルボン酸としては、直鎖状のジアミンと直鎖状のジカルボン酸が用いられるが、結晶性を低下させる目的で、直鎖状のジアミンと直鎖状のジカルボン酸から誘導されるナイロンの原料の一部を分岐構造を有するジアミンおよび/またはジカルボン酸に置換した共重合ナイロンも用いることができる。
【0010】
直鎖状脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸などを用いることができる。
【0011】
直鎖状脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,19−ノナデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミンなどを用いることができる。
【0012】
分岐状脂肪族ジアミンとしては、1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンなどを用いることができる。
【0013】
分岐状脂肪族ジカルボン酸としては、ジメチルマロン酸、3,3−ジエチルコハク酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、2−ブチルスベリン酸(1,6デカンジカルボン酸ともいう)、2,3−ジブチルブタンジオン酸、8−エチルオクタデカンジオン酸、8,13−ジメチルエイコサジオン酸、2−オクチルウンデカンジオン酸、2−ノニルデカンジオン酸などを用いることができる。
【0014】
本発明において、継手材料に使用できる共重合ナイロンは上記の原料から誘導される2成分からなる2元共重合ナイロンまたは、3成分以上からなる共重合ナイロンを用いることができる。
【0015】
また、継手材料に使用されるナイロンは共重合ナイロン単独であってもよいし、共重合ナイロンとホモナイロンとのブレンドまたは共重合ナイロンとその他の共重合ナイロンとのブレンドも用いることができる。共重合ナイロンブレンドとしては、例えば、共重合ナイロンとナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12から選ばれたナイロンとのブレンドが挙げられる。ここで、ナイロン6・6とは、炭素数6のジアミンと炭素数6のジカルボン酸を重合して得られるホモナイロンを意味する。
【0016】
本発明における継手材料と接着されるナイロン樹脂の具体例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12のような脂肪族ポリアミドやポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミドのような半芳香族ポリアミド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独あるいは2つ以上の共重合から成り立っていても良い。
【0017】
本発明の継手材料に使用できる結晶核剤は、タルク、ワラストナイト、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト、ボロンナイトライド、アルミナ、マグネシア、グラファイト、マイカなどの無機系結晶核剤、蓚酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタンワックスエステル塩、テレフタル酸塩、安息香酸塩、カルボン酸塩等の有機系結晶核剤挙げられる。この中でタルクが好適に用いられる。結晶核剤の配合量は樹脂成分100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
【0018】
本発明の継手材料に使用できる滑剤は高級脂肪酸、高級脂肪酸から誘導される金属石鹸、脂肪族アルコール、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸アミドなど通常ナイロンで用いられるものが挙げられる。滑剤の含量は樹脂成分100重量部に対して0.05〜5重量部とすることが好ましい。
【0019】
高級脂肪酸としてはカプリン酸、n−ウンデシレン酸、ラウリン酸、n−トリデシレン酸、ミリスチン酸、n−ペンタデシレン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、n−ノナデシレン酸、アラキジン酸、n−ヘナイコン酸、ベヘニン酸、n−トリコサン酸、リグノセリン酸、n−ペンタコサン酸、セロチン酸、n−ヘプタコサン酸、モンタン酸、n−ノナコサン酸、メリシン酸、n−ヘントリアコンタン酸、n−ドトリアコンタン酸、n−テトラトリアコンタン酸、セロプラスチン酸、n−ヘキサトリアコンタン酸、n−オクタトリアコンタン酸、n−ヘキサテトラコンタン酸、オレイン酸、エルカ酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸などを用いることが出来る
【0020】
脂肪族アルコールとしては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、ノナデカノール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、オクタコサノール、メリシルアルコール、ドトリアコンタノール、ペンタエリスリトールなどを用いることができる。
【0021】
金属石鹸としてはカプリン酸、n−ウンデシレン酸、ラウリン酸、n−トリデシレン酸、ミリスチン酸、n−ペンタデシレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、オレイン酸、エルカ酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸から誘導されるカルシウム、亜鉛、リチウム塩を使用することができる。
【0022】
脂肪酸アミドとしてはカプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エイコセン酸アミド、エルシン酸アミド、エライジン酸アミド、トランス−11−エイコセン酸アミド、トランス−13−ドコセン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、リジノール酸アミド、N,N‘−メチレンビスカプロン酸アミド、N,N‘−メチレンビスカプリル酸アミド、N,N‘−メチレンビスカプリン酸アミド、N,N‘−メチレンビスラウリン酸アミド、N,N‘−メチレンビスミリスチン酸アミド、N,N‘−メチレンビスパルミチン酸アミド、N,N‘−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N‘−メチレンビスベヘン酸アミド、N,N‘−メチレンビスオレイン酸アミド、N,N‘−メチレンビスエイコセン酸アミド、N,N‘−メチレンビスエルシン酸アミド、N,N‘−メチレンビスエライジン酸アミド、N,N‘−メチレンビスエルカ酸アミド、N,N‘−エチレンビスカプロン酸アミド、N,N‘−エチレンビスカプリル酸アミド、N,N‘−エチレンビスカプリン酸アミド、N,N‘−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N‘−エチレンビスミリスチン酸アミド、N,N‘−エチレンビスパルミチン酸アミド、N,N‘−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N‘−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N‘−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N‘−エチレンビスエイコセン酸アミド、N,N‘−エチレンビスエルシン酸アミド、N,N‘−エチレンビスエライジン酸アミド、N,N‘−エチレンビスエルカ酸アミドなどを用いることができる。
【0023】
本発明における継手は、継手全体を前記継手材料で構成しても良いし、少なくとも被着体のナイロン樹脂成形品と接する部分を前記継手材料で構成しても良い。
【0024】
少なくとも接着部分に前記継手材料を使用する成形法としては、インサート成形やサンドイッチ成形などの異材質複合成形が用いられる。
例えば、一次材樹脂をまず成形し、これを二次材樹脂用金型にインサートして二次材樹脂を必要部分に流し込み、一次材樹脂と熱融着させるインサート成形や、金型内に一次材樹脂を射出し、次いで二次材樹脂を射出して、表層(スキン層)が一次材樹脂、内核層(コア層)が二次材樹脂となるサンドイッチ成形、その他の異材質複合成形を用いることができる。
【0025】
インサート成形で製造したパイプ用ソケットの断面図を図1に示す。ナイロンパイプ1を接合するための継手は外層2と内層3からなり、内層3に前記継手材料を使用することにより、ナイロンパイプとの接合面の剥離強度を効果的に改善することができる。
【0026】
サンドイッチ成形でパイプ用ソケットを成形した場合の断面図を図2に示す。ナイロンパイプ4を接合するための継手は、外層(スキン層)5と内核層(コア層)6からなり、ナイロンパイプ4と接する継手の外層(スキン層)に前記継手材料を使用することにより、ナイロンパイプとの接合面の剥離強度を効果的に改善することができる。
【0027】
本発明の継手材料に使用される共重合ナイロンは、必要に応じて耐熱剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐衝撃剤、帯電防止剤、可塑剤等の添加剤を加えて使用することができる。
【0028】
また、本発明の継手材料に使用される共重合ナイロンは、必要に応じてガラス繊維、無機繊維、有機繊維、カーボンブラック等の強化材を加えて使用することができる。
【0029】
本発明の継手材料に使用される共重合ナイロンは、必要に応じて顔料や染料等の着色剤を加えて使用することができる。
【0030】
本発明の継手とナイロン樹脂製成形品の接着には、溶剤接着剤が使用される。溶剤接着剤としては、成分としてフェノール、アルキルフェノール等のフェノール系化合物、フルオロアルコール系化合物等の継手やナイロン樹脂成形品を溶解する溶剤を含む接着剤を使用できる。
【0031】
フェノール系化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−プロピルフェノール、m−プロピルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−イソプロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、o−n−ブチルフェノール、m−n−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール、o−sec−ブチルフェノール、m−sec−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、o−tert−ブチルフェノール、m−tert−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、4−アミルフェノール、4−オクチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−ドデシルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール(カルバクロールともいう)、6−イソプロピル−3−メチルフェノール(チモールともいう)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−3−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、4,6−tert−ブチル−3−メチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、2−エチルレゾルシノール、4−エチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、2−ブチルレゾルシノール、4−ブチルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、2−アミルレゾルシノール、4−アミルレゾルシノール、5−アミルレゾルシノール、2−ヘキシルレゾルシノール、4−ヘキシルレゾルシノール、5−ヘキシルレゾルシノール、2−ヘプチルレゾルシノール、4−ヘプチルレゾルシノール、5−ヘプチルレゾルシノール、2−オクチルレゾルシノール、4−オクチルレゾルシノール、5−オクチルレゾルシノール、2−ノニルレゾルシノール、4−ノニルレゾルシノール、5−ノニルレゾルシノール、2−ドデシルレゾルシノール、4−ドデシルレゾルシノール、5−ドデシルレゾルシノール、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、ハイドロキノン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロールともいう)、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(フロログルシノールともいう)が挙げられる。
【0032】
フルオロアルコール系化合物としては、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、1,1,1−トリフルオロエタノールを挙げることができる。
【0033】
これらのうちカルバクロール(2−メチル−5−イソプロピルフェノール)とチモール(5−メチル−2−イソプロピルフェノール)の組み合わせは、比較的毒性が弱く、組成によっては−20℃以下まで液体状態を保ち使用温度範囲が広いので好ましい。
【0034】
本発明においては、溶剤接着剤として、ナイロン樹脂、特に、共重合ナイロンを含むものが好ましい。共重合ナイロンを含むことにより、接着界面においてより効果的に接着層を形成させることによって、接着強度を改良することができる。
【0035】
共重合ナイロンとしては、炭素数6〜12のラクタム、炭素数6〜12のアミノカルボン酸、及び炭素数3〜22のジカルボン酸と炭素数2〜20のジアミンの組み合わせから誘導される単位を2種以上含む共重合ナイロンが使用できる。
【0036】
接着剤に含有される共重合ナイロンの濃度は、好ましくは0.5〜20重量%である。共重合ナイロンの濃度が0.5重量%より少ない場合、接着剤の粘度が低すぎて、施工時に液だれしやすく取り扱い難い。一方共重合ナイロンの濃度が20重量%よりも多いと、粘度が高すぎて扱い難く固化するまでの時間が長くなるという欠点がある。
【0037】
また、本発明においては、上記継手材料と他のナイロン樹脂からなる材料が溶剤接着剤を用いて接着されてなるナイロン樹脂の接着構造を、種々のナイロン樹脂製品に適用することができる。例えば、中空成形品の接合や多層フィルムの接着に用いることができる。
【0038】
【実施例】
本発明の継手を使用して接着する被着体の具体例としてナイロン12を選び、評価を行った。
実施例1〜10及び比較例1〜2
共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドに結晶核剤、滑剤を加えた組成物は表1に示す組成で混練機を使用して製造した。ここで使用した共重合ナイロンの組成はナイロン6/ナイロン12=40/60である。
表1に示した樹脂組成物を使用して、ASTM D638 1型引張試験片を射出成形で作成し被着体Aとした。次にナイロン12を使用して射出成形で12.7mm×120mm×1.5mmtのサイズの試験片を作成し、被着体Bとした。被着体Aと被着体BをIndustrial Pipe System社製のナイロン用溶剤接着剤NYLINK(カルバクロール/チモール=2/1にナイロン11を10重量%溶解)を使用し接着した。接着代を50mmとし、6日間養生した後、剥離試験を行った。チャック間距離は40mm、引張速度は200mm/min.であった。射出成形時の冷却時間はASTM1号片成形時の成形可能な最短の冷却時間である。
評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004688373
【0039】
実施例11〜13
共重合ナイロンブレンドに結晶核剤、滑剤を加えた組成物を表2に示す組成で混練機を使用して製造した。使用した共重合ナイロンの組成はナイロン6/ナイロン12=40/60である。
表2に示した樹脂組成物を使用して、ASTM D638 1型引張試験片を射出成形で作成し被着体Aとした。次にナイロン12を使用して射出成形で12.7mm×120mm×1.5mmtのサイズの試験片を作成し、被着体Bとした。次いで、被着体Aと被着体Bを、溶剤(カルバクロール/チモール=2/1)に共重合ナイロン(ナイロン6/ナイロン12=25/75)を1重量%溶解した溶剤接着剤を使用し接着した。接着代を50mmとし、6日間養生した後、剥離試験を行った。チャック間距離は40mm、引張速度は200mm/min.であった。射出成形時の冷却時間はASTM1号片成形時の成形可能な最短の冷却時間である。
評価結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 0004688373
【発明の効果】
本発明の共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンド、結晶核剤、滑剤からなる組成物から作られた継手を使用することにより、溶剤接着剤による接着において効果的な接着層を形成させることができ、強い剥離強度を発現する。また、共重合ナイロンのみの場合と比べ射出成形時の冷却時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、インサート成形で製造したナイロンパイプ用継手の断面図である。
【図2】図2は、サンドイッチ成形で製造したナイロンパイプ用継手の断面図である。

Claims (14)

  1. 溶剤接着剤を用いてナイロン樹脂成形品を接着するための継手であって、継手材料が共重合ナイロンと、結晶核剤及び/又は滑剤を含む組成物からなることを特徴とするナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  2. 溶剤接着剤を用いてナイロン樹脂成形品を接着するための継手であって、継手材料が共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤を含む組成物からなることを特徴とするナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  3. 共重合ナイロンが、炭素数6〜12のラクタム、炭素数6〜12のアミノカルボン酸、及び炭素数3〜22のジカルボン酸と炭素数2〜20のジアミンの組み合わせから誘導される単位を2種以上含むものである請求項1又は2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  4. 共重合ナイロンブレンドが、共重合ナイロンとナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン6・12から選ばれたナイロンとのブレンドである請求項2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  5. 結晶核剤がタルクであり、その含量が樹脂成分100重量部に対して0.1〜5重量部である請求項1又は2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  6. 滑剤が金属石鹸であり、その含量が樹脂成分100重量部に対して0.05〜5重量部である請求項1又は2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  7. ナイロン12成分を5〜95重量%含む共重合ナイロンを使用する請求項1〜6のいずれか一項に記載のナイロン樹脂成形品の接着継手。
  8. 共重合ナイロンを50〜90重量%、ナイロン12を50〜10重量%を含む共重合ナイロンブレンドを用いる請求項2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  9. 請求項1又は2記載の継手材料が、継手の少なくともナイロン樹脂成形品との接着部分を構成するように異材質複合成形されてなる請求項1又は2記載のナイロン樹脂成形品の接着用継手。
  10. ナイロン樹脂成形品を溶剤接着剤を用いて、共重合ナイロン又は共重合ナイロンブレンドと、結晶核剤及び/又は滑剤を含む組成物からなる継手と接着することを特徴とするナイロン樹脂成形品の接着方法。
  11. 溶剤接着剤がフェノール系化合物、フルオロアルコール系化合物のうち少なくとも1種の成分を含む請求項10記載のナイロン樹脂成形品の接着方法。
  12. 溶剤接着剤が共重合ナイロンを含む請求項10又は11記載のナイロン樹脂成形品の接着方法。
  13. 溶剤接着剤が炭素数6〜12のラクタム、炭素数6〜12のアミノカルボン酸、及び炭素数3〜22のジカルボン酸と炭素数2〜20のジアミンの組み合わせから誘導される単位を2種以上含む共重合ナイロンを0.5〜20重量%含有してなる請求項12記載のナイロン樹脂成形品の接着方法。
  14. 共重合ナイロンがナイロン12成分を5〜95重量%含む請求項13記載のナイロン樹脂成形品の接着方法。
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