以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、自動原稿読取装置(ADF)を備えた画像形成装置として、電子写真方式の複写機に適用した場合を例に示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、作像方式としては、電子写真方式以外にも、例えばインクジェット方式などを用いることも可能である。また、画像形成装置としては、複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷用機器としてのプリンタ、または、MFPなどのオフィス機器であってもよい。
図1に示すように、複写機1は、給紙部2と、画像形成部3と、第1読取部としての画像読取部4と、原稿読取装置としてのADF5と、から構成されている。また、本実施の形態においては、画像読取部4およびADF5の第2読取部54が、画像読取装置(画像読取手段)を構成する。
給紙部2は、同一サイズまたはサイズの異なるシート状の記録紙(記録媒体)Pを収納可能とする上下3段の給紙カセット21A,21B,21Cを有している。給紙部2は、給紙カセット21A,21B,21Cに収納された記録紙Pをそれぞれピックアップして給紙する給紙装置21,22,23を有している。給紙部2は、これら給紙装置21,22,23から給紙された記録紙Pを画像形成部3の所定の画像形成位置まで搬送する各種ローラなどから形成される給紙経路24を有している。
画像形成部3は、露光装置31と、複数の感光体ドラム32と、異なる色(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))のトナーが充填された現像装置33と、転写ベルト34と、二次転写部35と、定着部36と、を備えている。
画像形成部3は、例えば、画像読取装置で読み取った読取画像に基づいて、露光装置31により各感光体ドラム32を露光(レーザ光L)して、各感光体ドラム32に潜像を形成する。これにより、各現像装置33は、各感光体ドラム32にそれぞれ異なる色のトナーを供給して各潜像を現像するようになっている。
そして、画像形成部3は、各感光体ドラム32における各色のトナー像を転写ベルト34に一次転写し、二次転写部35で記録紙Pにフルカラーのトナー像を二次転写した後に、定着部36により該トナー像を溶融して、記録紙Pにカラー画像を定着する。
ところで、画像形成部3は、給紙部2の給紙経路24に搬送された記録紙Pを引き継ぎ、レジスト部37で転写ベルト34上のトナー像に同期させた状態で二次転写部35および定着部36を経由し、集積トレイ38に排紙する搬送経路39Aを有する。
また、画像形成部3は、手差トレイ25に積載した記録紙(図示せず)を、レジスト部37よりも上流側で搬送経路39Aに給紙する手差給紙経路39Bを有する。
さらに、画像形成部3は、記録紙Pの両面に画像を形成する場合に、表面側の画像定着後の記録紙Pを、スイッチバック経路39Cおよび反転経路39Dを経由して、レジスト部37よりも上流側に再給紙するようになっている。
画像読取部4は、光源およびミラー部材を搭載した第1キャリッジ41と、ミラー部材を搭載した第2キャリッジ42と、結像レンズ43と、撮像部44と、を備えている。
撮像部44は、CCDなどの撮像装置で構成され、結像レンズ43を介して結像された原稿からの反射光像を光電変換し、表面読取画像であるアナログ画像信号を上記画像形成部3の露光装置31に出力する。
また、画像読取部4は、ADF5により搬送中の原稿Sの第1画像である表面画像を読み取る場合には、第1キャリッジ41をスリットガラス45の直下(図1中に、符号Rで示す位置)に移動し、該第1読取位置Rで停止させる。
そして、第1キャリッジ41は、スリットガラス45上を通過中の原稿Sに向かって光源からの照明光を照射する。スリットガラス45を透過して原稿Sの表面(第1面)で反射した反射光は、第1キャリッジ41および第2キャリッジ42に搭載された各ミラー部材を経由して結像レンズ43により撮像部44に結像させ、表面読取画像として読み取らせるようになっている。なお、第1読取位置Rにおいて、原稿Sの表面画像は結像レンズ43に関して撮像部44と共役である。
一方、画像読取部4には、スリットガラス45とプラテンガラス46との間に、プラテンガラス46に載置した原稿(図示せず)を突き当てて位置決めする突き当て部材47が設けられている。
突き当て部材47に突き当てた状態で、プラテンガラス46上に載置された原稿を読み取る場合には、第1キャリッジ41および第2キャリッジ42を、図1において左右方向(副走査方向)に移動させる。
第1キャリッジ41および第2キャリッジ42は、例えば、2:1の速度比で副走査方向に移動する。このような移動速度の関係により、第1キャリッジ41および第2キャリッジ42の移動があっても、原稿の表面から結像レンズ43に至る光路長が変化しないようになっている。
そして、各キャリッジ41,42を移動させる過程で、光源により原稿に光を照射し、各キャリッジ41,42に搭載された各ミラー部材により原稿からの反射光を折り返す。その反射光は、結像レンズ43により結像して撮像部44で読み取らせる。
ここで、後述するADF5は、図1の前後方向(主走査方向)の後側において、一般に、ヒンジを介して回動自在に取り付けられている。これにより、ADF5は、後側を軸に任意の角度をもってユーザーの手動による開閉が可能とされている。したがって、プラテンガラス46上には、原稿の手動によるセットのほか、普通紙などからなるシート状の原稿のみでなく、雑誌などの厚みを有する原稿をもセットすることができるようになっている。
なお、上述した給紙部2、画像形成部3、画像読取部4は、後述する本体制御部111によって、通常動作モード時や省エネ復帰時の駆動などが制御されるが、これらの各種制御は公知の技術を用いているために、ここではその詳細な説明は省略する。
ADF5は、詳細については後述するが、原稿載置台としての原稿トレイ51と、各種ローラなどからなる原稿搬送部(原稿搬送手段)52と、画像読み取り後の原稿Sを集積する排紙トレイ53と、を備えている。
すなわち、ADF5は、原稿トレイ51に載置された原稿Sの原稿束から最上位の原稿Sを1枚ずつ分離して原稿搬送部52によりスリットガラス45上に搬送する。そして、ADF5は、スリットガラス45を通過する際に画像読取部4により原稿Sの表面画像を読み取らせるとともに、必要(両面読取モードの設定)に応じて、後述する第2読取部54により原稿Sの第2画像である裏面画像の読み取りを行う。また、ADF5は、画像の読み取りを行った後の原稿Sを、排紙トレイ53に排紙する。
ADF5は、上述したように、プラテンガラス46などを露出する位置と、プラテンガラス46などを被覆する位置と、の間で、リフトアップおよびリフトダウンが可能になるように回動自在に取り付けられている。
なお、本実施の形態に係る複写機1は、主電源を入れたまま未使用な状態が一定時間経過すると自動的に通常動作モードから低消費な電力モード、いわゆる省エネモード(動作休止状態)に切り替わる機能を搭載している。
次に、ADF5の基本的な構成、動作、作用について説明する。
図2は、ADF5の構成例を示すものである。
ADF5は、原稿Sの原稿搬送部52に沿うようにして、原稿セット部A、分離給送部B、レジスト部C、ターン部D、第1読取搬送部E、第2読取搬送部F、排紙部G、および、スタック部Hが配置されている。
原稿セット部Aは、被読取用の原稿Sを複数枚単位の原稿束としてセットすることが可能とされている。原稿セット部Aは、原稿束をセットするための原稿トレイ51を含む、可動原稿テーブル5aを有している。原稿束は、原稿トレイ51上に原稿Sの表面(表面画像側)を上向きにした状態でセットされる。なお、可動原稿テーブル5aは、原稿トレイ51上にセットされる原稿束の原稿枚数に応じて、図示矢印a,b方向に上下動が可能な構成とされている。
また、原稿セット部Aには可動式のサイドガイドが設けられ、該サイドガイドによって、可動原稿テーブル5a上にセットされる原稿Sの搬送方向と直交する幅(主走査)方向が位置決めされるようになっている。また、原稿セット部Aには、原稿Sのセットを検知するためのセットフィラー5b、原稿セットセンサ5c、および、底板ホームポジションセンサ5dが設けられている。
さらに、原稿セット部Aには、原稿トレイ51の上面にセットされた原稿Sの搬送方向の概略長を測定するための原稿長さ検知センサ5e,5fが設けられている。原稿長さ検知センサ5e,5fとしては、例えば、反射型センサまたは原稿Sが1枚のときであっても検知可能なアクチェータタイプのセンサが用いられる。なお、原稿長さ検知センサ5e,5fは、少なくとも同一サイズの原稿Sのセット方向(原稿Sの長手方向が搬送方向に一致する縦搬送か、または、原稿Sの短手方向が搬送方向に一致する横搬送か)を判別することが可能な位置に配置される。
分離給送部Bは、原稿セット部Aにセットされた原稿束から原稿Sを1枚ごとに分離し、レジスト部Cに給送するものである。分離給送部Bは、ピックアップローラ5g、テーブル上昇センサ5h、給紙ベルト5i、および、リバースローラ5jを有している。
ピックアップローラ5gは、後述するピックアップ昇降モータ101により駆動される図示していないカム機構によって、矢印c,d方向に動作される。また、ピックアップローラ5gは、後述するピックアップ搬送モータ115の正転により給紙(搬送)方向に回転される。このようにして、原稿読取動作の開始に伴って、ピックアップローラ5gに当接する可動原稿テーブル5a上の原稿束の最上位の原稿Sが搬送方向側に取り込まれる。
テーブル上昇センサ5hは、可動原稿テーブル5aの上昇に伴って、可動原稿テーブル5a上の原稿束の最上位の原稿Sによりピックアップローラ5gが上限の位置まで押し上げられたことを検知する。
給紙ベルト5iは、後述する給紙モータ102の正転により給紙(搬送)方向に駆動される。リバースローラ5jは、給紙モータ102の正転により給紙とは逆方向(時計方向)に駆動される。この構成により、最上位の原稿Sとその下の原稿Sとを分離して、最上位の原稿Sのみを給紙できる構成となっている。
リバースローラ5jは、所定圧により給紙ベルト5iと接し、給紙ベルト5iと直接接しているとき、または、原稿Sを1枚だけ介して接している状態では、給紙ベルト5iの回転につられて反時計方向につれ回りする。つれ回りする際の力を不図示のトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定しておくことによって、万が一、2枚以上の原稿Sが給紙ベルト5iとリバースローラ5jとの間に侵入した場合にも、重送が防止される。すなわち、リバースローラ5jは、重送時、本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿Sを反搬送方向に押し戻すような働きをする。
レジスト部Cは、分離給送部Bより給送された原稿Sを一次突当整合するとともに、整合後の原稿Sを引き出してターン部Dに搬送するものである。レジスト部Cは、突き当てセンサ5k、プルアウトローラ5m、および、原稿幅センサ5nを有している。
突き当てセンサ5kは、分離給送部Bの給紙ベルト5iによって送られる原稿Sの先端を検知するものである。先端が検知された原稿Sは、その先の停止状態にあるプルアウトローラ5mに突き当たるまで、突き当てセンサ5kによる先端の検知から所定の距離だけ送られる。結果的には、原稿Sがプルアウトローラ5mに所定量の撓みをもって押し当てられた状態で、後述する給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト5iの駆動を停止させる。その際に、後述するピックアップ昇降モータ101を回転させ、ピックアップローラ5gを原稿Sの上表面から退避させる。すなわち、レジスト部Cにおいては、原稿Sが給紙ベルト5iの搬送力のみで送られることにより、原稿Sの先端がプルアウトローラ5mの上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
プルアウトローラ5mは、スキュー補正の機能を有するとともに、スキュー補正された原稿Sを中間ローラ5pまで搬送する役目をもつ。プルアウトローラ5mは、例えば、後述する給紙モータ102の逆転により駆動される。なお、給紙モータ102の逆転時、プルアウトローラ5mおよび中間ローラ5pは駆動されるが、ピックアップローラ5gおよび給紙ベルト5iは駆動されない。
原稿幅センサ5nは、原稿Sの搬送方向に直交する幅方向に複数個並べられ、プルアウトローラ5mによって搬送される原稿Sの幅方向のサイズを検知する。なお、原稿Sの搬送方向の長さ(長さ方向のサイズ)は、原稿Sの先端および後端を突き当てセンサ5kで読み取ることにより、例えば、先端の検知から後端の検知までの間に給紙モータ102に供給されるパルス数から測定される。
ターン部Dは、レジスト部Cより搬送される原稿Sをターンさせて、原稿Sの表面(表面画像側)を読取側(下)方向に向けて搬送するものである。ターン部Dは、中間ローラ5pおよび読取入口センサ5qを有している。
中間ローラ5pは、後述する中間搬送モータ113によって駆動され、レジスト部Cのプルアウトローラ5mにより送られる原稿Sを第1読取搬送部Eに向けて搬送するものである。
読取入口センサ5qは、中間ローラ5pにより搬送される原稿Sの先端を検知するものである。
ここで、原稿搬送動作の開始に伴って、原稿Sがレジスト部Cからターン部Dに搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定し、原稿Sが第1読取搬送部Eへ送り込まれるまでの時間の短縮化が図られている。
一方、原稿Sの先端が読取入口センサ5qにより検知されると、読取入口ローラ5rの上下ローラ対のニップに原稿Sの先端が進入する前に、原稿Sの搬送速度を読取時の搬送速度と同速にするために、中間搬送モータ113を制御して搬送速度の減速を開始する。同時に、後述する読取モータ103および読取入口モータ114を正転駆動して、第1読取搬送部Eの読取入口ローラ5r、第1読取ローラ5s、読取出口ローラ5t、第2読取搬送部Fの第2読取ローラ5u、CIS出口ローラ5vを駆動する。また、原稿Sの先端がレジストセンサ5wによって検知されると、後述する読取入口モータ114を制御して、所定の搬送距離をかけて原稿Sの搬送速度を減速させ、原稿Sを第1読取位置Rの手前で一時停止(レジスト停止)させる。
この後、原稿読取動作の開始に伴って、読取入口モータ114が制御されることにより、レジスト停止していた原稿Sは、第1読取位置Rに対向する位置に先端が到達するまでの間に所定の搬送速度(読取時の搬送速度)に立上がるように増速されて搬送される。
第1読取搬送部Eは、原稿Sの表面画像を、スリットガラス45の下方より読み取るものである。第1読取搬送部Eは、読取入口ローラ5r、レジストセンサ5w、第1読取ローラ5s、第1読取位置R、および、読取出口ローラ5tを有している。
読取入口ローラ5rは、読取入口モータ114によって駆動され、ターン部Dの中間ローラ5pにより送られる原稿Sを第1読取位置Rに向けて搬送するものである。
レジストセンサ5wは、読取入口ローラ5rにより搬送される原稿Sの先端を検知するものである。
第1読取ローラ5sは、スリットガラス45の上面側の、第1読取位置Rに対向する部位に設けられている。第1読取ローラ5sは、後述する読取モータ103によって駆動され、スリットガラス45の上面に沿って原稿Sを搬送する。例えば、第1読取ローラ5sは、シェーディング補正用の白基準データを生成するための基準白部を兼用している。
第1読取位置Rは、上述したように、画像読取部4のスリットガラス45の下面に対応されており、該位置Rにおいて、ターン部Dによって表面を下方向に向けて搬送される原稿Sの表面画像の、画像読取部4による光学的な読み取りが行われる。
本実施の形態においては、第1読取部を、画像読取部4によって構成した場合について説明したが、これに限らず、例えばADF5としては、第1読取部を内部に備えた構成とすることもできる。
第2読取搬送部Fは、第1読取搬送部Eによって表面画像が読み取られた両面原稿Sの裏面(第2面)から裏面画像を読み取るものである。第2読取搬送部Fは、排紙センサ5x、第2読取部54、第2読取ローラ5uおよびCIS出口ローラ5vを有している。
排紙センサ5xは、読取出口ローラ5tにより原稿搬送部52を搬送される原稿Sの先端を検知するものである。
第2読取部54は、例えば、原稿搬送部52の上方側に設けられ、原稿搬送部52を搬送される原稿Sが両面原稿Sの場合に、その両面原稿Sの裏面画像(裏面読取画像)を光学的に読み取るものである。第2読取部54としては、後述する図4に示すように、原稿Sの搬送方向に直交する主走査方向に沿ってライン形状の光源部54aとセンサチップ54bとを並列に配置してなる、密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、単にCISともいう)が用いられる。CISは、図示していない等倍結像系を有している。なお、このようなCISにより構成される第2読取部54については、後述する。
第2読取ローラ5uは、原稿搬送部52の下方側の、第2読取部54の読取位置に対向する部位に設けられている。第2読取ローラ5uは、原稿搬送部52上を搬送される原稿Sが、第2読取部54の読取位置において浮き上がらないように抑える機能を有している。また、第2読取ローラ5uは、シェーディング補正用の白基準データ(シェーディングデータ)を生成するための基準白部(白基準部材)を兼用しており、例えば、後述する読取モータ103によって駆動される。
CIS出口ローラ5vは、第2読取ローラ5uにより搬送される原稿Sを排紙部Gに送るためのもので、後述する読取入口モータ114によって駆動される。
なお、裏面画像の読み取りを行わない片面原稿Sの場合、つまり片面読取モード時には原稿Sは第2読取搬送部Fを素通りする。
排紙部Gは、表面画像の読み取りが完了した片面原稿S、または、表面画像および裏面画像の読み取りが完了した両面原稿Sを機外に排出するものである。排紙部Gは、後述する排紙モータ104によって駆動される排紙ローラ5yを有している。
排紙センサ5xにより原稿Sの先端を検知したタイミングに基づいて、排紙モータ104に与えるパルスをカウントし、排紙モータ104の駆動速度を、原稿Sの後端が排紙ローラ5yの上下ローラ対のニップから抜ける直前に減速させる。これにより、排紙トレイ53上に排出される原稿Sが、排紙トレイ53から飛び出さないように制御される。
スタック部Hは、排紙部Gにより排出される読取完了後の原稿Sを積載し、保持するものである。スタック部Hは、排紙された原稿Sを積層状態で保持するための排紙トレイ53を有している。
なお、第2読取搬送部Fは、原稿Sのジャム(搬送不良による詰まり)紙の除去やCISおよび基準白部(第2読取ローラ5u)などの清掃のために、原稿搬送部52が第2読取部54の読取位置(読取面)に対して開閉可能に設けられている。
図3は、上記したADF5の制御回路の要部の構成例を示すものである。
図3に示すように、ADF5は、ADF制御部としてのコントローラ部(CPU)100を備えている。コントローラ部100には、レジストセンサ5w、原稿セットセンサ5c、排紙センサ5x、突き当てセンサ5k、原稿幅センサ5n、読取入口センサ5q、テーブル上昇センサ5h、および、底板ホームポジションセンサ5dが接続されている。
また、コントローラ部100には、ピックアップ昇降モータ101、ピックアップ搬送モータ115、給紙モータ102、読取モータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105、読取入口モータ114、および、中間搬送モータ113が接続されている。
底板上昇モータ105は、可動原稿テーブル5aを昇降させるようになっている。ピックアップ昇降モータ101は、アーム支持部材を介して、ピックアップローラ5gを昇降させるようになっている。なお、ADF5としては、可動原稿テーブル5aを昇降させる底板上昇モータ105、および、ピックアップローラ5gを昇降させるピックアップ昇降モータ101の、いずれか一方を備えるものであってもよい。
ピックアップ搬送モータ115は、ピックアップローラ5gを回転させるようになっている。給紙モータ102は、給紙ベルト5iおよびリバースローラ5jを回転させるようになっている。また、給紙モータ102は、逆転によりプルアウトローラ5mを回転させるようになっている。給紙モータ102としては、例えばDCモータまたはステッピングモータなどが用いられる。なお、プルアウトローラ5mを回転させる駆動モータは、給紙モータ102とは独立に設けることも可能である。
読取入口モータ114は、読取入口ローラ5r、CIS出口ローラ5vなどを回転させるようになっている。読取入口モータ114としては、DCモータまたはステッピングモータなどが用いられる。中間搬送モータ113は、中間ローラ5pを回転させるようになっている。中間ローラ5pの駆動モータとしては、読取入口モータ114を兼用するようにしてもよい。
読取モータ103は、第1読取ローラ5sおよび第2読取ローラ5uを回転させるようになっている。排紙モータ104は、排紙ローラ5yを回転させるようになっている。
さらに、コントローラ部100は、各センサ5c,5d,5h,5k,5n,5q,5w,5xからの信号に基づいて、各モータ101〜105,113,114,115および第2読取部54を制御するようになっている。なお、撮像部44を備える画像読取部4は、後述する本体制御部111によって制御されるようになっている。
一方、複写機1には、機器全体の制御を行うための本体制御部111と、この本体制御部111にバス線106を介して接続され、ユーザーによる各種の入力操作や動作指示を行うための操作部(操作パネル)108と、が設けられている。本体制御部111は、インタフェース(以下、I/Fともいう)107を介して、ADF5のコントローラ部100と接続されており、双方の間で制御信号などのデータの授受が行われるようになっている。
なお、操作部108は、各種のスイッチ(ボタン)類やテンキーなどのほか、ジャム紙の発生や各種のエラーメッセージなどを表示する表示器やランプなどを備えている。不図示の表示器としては、例えばタッチパネル式の液晶表示装置などが採用されている。
ここで、ADF5による自動原稿搬送に伴う読取動作について簡単に説明する。
ユーザーによって、操作部108のスタートボタンが押下されると、I/F107を介して、本体制御部111からADF5のコントローラ部100に原稿給紙信号が送信される。これにより、コントローラ部100は、ピックアップ昇降モータ101、ピックアップ搬送モータ115を制御することにより、ピックアップローラ5gを回転駆動して、原稿セット部Aにおいて、原稿トレイ51上の最上位の1枚の原稿Sをピックアップさせる。
また、コントローラ部100は、給紙モータ102や中間搬送モータ113などを制御して、給紙ベルト5i、リバースローラ5j、プルアウトローラ5m、中間ローラ5pを駆動し、原稿Sを分離給送部B、レジスト部C、ターン部Dへと順に搬送させる。
原稿Sの先端が読取入口センサ5qにより検知されると、コントローラ部100は、I/F107を介して、本体制御部111にレジスト停止信号を送信する。
続いて、コントローラ部100は、I/F107を介して、本体制御部111より読み取り開始信号を受信すると、読取モータ103および読取入口モータ114を制御して、読取入口ローラ5rおよび第1読取ローラ5sなどを駆動させる。これにより、レジスト停止していた原稿Sは、読取位置に原稿Sの先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて、第1読取搬送部Eへと搬送される。
読取モータ103のパルスをカウントすることにより、検出された原稿Sの先端が第1読取位置Rに到達するタイミングで、コントローラ部100は、本体制御部111に対してゲート信号を送信する。このゲート信号は、原稿Sの表面画像の副走査方向の有効画像領域を示すもので、第1読取位置Rを原稿Sの後端が抜けるまで送信される。
原稿Sが片面原稿の場合、つまり片面原稿の画像読み取りを行う場合には、コントローラ部100は、読取モータ103および読取入口モータ114を制御して、読取出口ローラ5t、第2読取ローラ5u、CIS出口ローラ5vを駆動する。これにより、第1読取搬送部Eを通過した原稿Sは、第2読取搬送部Fの第2読取部54を経て、排紙部Gへと搬送される。
この際、コントローラ部100は、排紙センサ5xにより原稿Sの先端が検知されると、排紙モータ104を制御して排紙ローラ5yを駆動させる。また、排紙センサ5xによって原稿Sの先端を検知してからの、排紙モータ104の出力パルスをカウントすることにより、コントローラ部100は、原稿Sの後端が排紙ローラ5yの上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙ローラ5yの駆動速度を減速させる。これにより、スタック部Hに排出される原稿Sが、排紙トレイ53上から飛び出さないように制御される。
一方、両面原稿Sの画像読み取りを行う場合には、コントローラ部100は、第2読取部54による読取位置に原稿Sの先端が到達するタイミングで、本体制御部111に対して、原稿Sの裏面画像の副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を送信する。この場合、コントローラ部100は、排紙センサ5xによって原稿Sの先端が検知されてからの、読取モータ103の出力パルスをカウントすることにより、ゲート信号の送信を開始する。また、コントローラ部100は、第2読取部54の読取位置を原稿Sの後端が抜けるタイミングで、ゲート信号の送信を終了する。
こうして、第2読取部54による原稿Sの裏面画像の読み取りが終了し、該裏面画像が画像データとして本体制御部111に出力された後、コントローラ部100は、排紙モータ104を駆動して、排紙ローラ5yの回転を制御する。すなわち、排紙センサ5xによって原稿Sの先端を検知してからの、排紙モータ104の出力パルスをカウントし、コントローラ部100は、スタック部Hに排出される原稿Sが排紙トレイ53上から飛び出さないように、排紙ローラ5yの駆動を制御する。
なお、ADF5においては、起動時、つまり主電源の投入時および省エネモードからの復帰時に、イニシャル(立上げ)動作として各種の処理が行われる。例えば、ADFイニシャルとしては、初期設定を含んだADF電源の生成やCPU初期設定、または、CISイニシャルなどが行われる。
図4は、第2読取部54の要部の構成例を示すものである。
第2読取部54は、CISによる読み取り方式を用いた画像読取デバイス(撮像装置)により構成されている。この第2読取部54は、LEDアレイ、蛍光灯、または、冷陰極管などからなる照明手段である光源部(CIS光源ともいう)54aを備えている。また、第2読取部54は、主走査方向であるライン方向に並ぶ複数のセンサ(IC)チップ54bと、その各センサチップ54bに個別に接続された複数のアンプ回路54cと、からなる走査部を備えている。
なお、第2読取部54としては、等倍結像系(等倍光学系)タイプのCISに限らず、例えば、CCDなどのイメージセンサを利用した縮小光学系タイプのものを用いることもできる。いずれのタイプのイメージセンサの場合であっても、起動時には、初期設定を含んだイニシャル動作が必要である。ただし、CISの方が、CCDの場合よりも小サイズ化などの点で有利なため、ADF5のような限られたスペース内に搭載する場合には、ADF5の高さを低く抑えることができる。
第2読取部54には、各アンプ回路54cに個別に接続された複数のアナログ/デジタル(A/D)コンバータ54dが設けられている。
さらに、第2読取部54は、各A/Dコンバータ54dの出力信号(デジタル画像信号)に所定の処理を施すための、画処理部54e、フレームメモリ54f、出力制御回路54g、および、I/F回路54hを備えている。
複数のセンサチップ54bは、それぞれ、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを備えたものである。
ここで、第2読取部54による読取位置に原稿Sが進入するのに先立って、コントローラ部100からは、光源部54aに点灯信号が送られる。これにより、光源部54aが点灯して、その照明光が原稿Sの裏面に向けて照射されることによって、その裏面画像が主走査方向に光走査される。そして、原稿Sの画像面で反射された反射光が、各センサチップ54bにおいて、それぞれ、集光レンズによって光電変換素子に集光されてラインごとに光電変換されることにより、アナログ画像信号として読み取られる。
各センサチップ54bでそれぞれ読み取られたアナログ画像信号は、対応する各アンプ回路54cによってそれぞれ増幅された後、対応する各A/Dコンバータ54dによってそれぞれデジタル画像信号(画像データ)に変換される。
これらデジタル画像信号は、画処理部54eに入力されてシェーディング補正などに基づいた画像処理が施された後、フレームメモリ54fに一時記憶される。
なお、第2読取部54では、画処理部54eがシェーディング補正を行うため、光源部54aを含む各部を用いて、シェーディング補正用の白レベルとなる白基準データ(シェーディングデータ)を生成する処理も行う。
また、第2読取部54においては、実施される白基準データ生成処理を含むシェーディング補正処理のほか、起動時に、初期設定を含んだCISイニシャルとしての各種の処理が行われる。例えば、該CISイニシャルにおける各種の処理としては、CIS通信異常検出、CIS初期設定、CIS黒レベル確認、CIS白レベル確認、および、CIS光源異常検出などが自動的に行われる。
ここで、上記CIS通信異常検出とは、第2読取部54と図示せぬ画像処理ASICとの間での通信異常を検出する処理である。上記CIS初期設定とは、第2読取部54および図示せぬ画像処理ASICのレジスタ設定などを行う処理である。上記CIS黒レベル確認とは、画像データの黒レベルが所望の出力レベルになるように調整する処理である。上記CIS白レベル確認とは、画像データの白レベルが所望の出力レベルになるように調整する処理である。上記CIS光源異常検出とは、光源部54aからの照明光が所望の明るさかどうかを検出する処理である。
なお、本実施の形態に係る複写機1においては、主電源の投入時、このCISイニシャルが完了しないと、ADF5が通常の(基本的な)動作が可能なレディ状態(通常動作モード)にならないように設計されている。
上記フレームメモリ54fに一時記憶されたデジタル画像信号は、出力制御回路54gによって本体制御部111が受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路54hを介して、本体制御部111に出力される。
なお、コントローラ部100からは、原稿Sの先端が第2読取部54の読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号が、出力制御回路54gに出力される。また、コントローラ部100からは、第2読取部54に動作用の電源(CIS電源ともいう)が供給されるようになっている。
省エネモード中、このCIS電源は、第2読取部54への供給が阻止される。すなわち、省エネモードでは、復帰の契機となる省エネ解除トリガ(後述する)をオンさせるための、例えば操作部108やADF5の原稿セットセンサ5cに対してのみ、センシング用の電源が供給される。
以下に、省エネモードからの復帰時におけるADF5のイニシャル動作(ADFイニシャル)について具体的に説明する。
本実施の形態に係る複写機1においては、省エネモードから復帰する際、第2読取部54のイニシャル動作(CISイニシャル)を、ADFイニシャルの完了後、要するに、ADF5が省エネモードから復帰した後に実施する構成としている。
図5は、省エネ復帰時との対比のために、複写機1の主電源投入時における主な処理の流れを示すフローチャートである。
複写機1の電源オフ状態において、例えば、ユーザーによってADF5の原稿トレイ51上に原稿Sがセットされた後に、複写機1の主電源スイッチがオン(ON)されたとする。
すると、ステップS1において、本体制御部111により主電源スイッチがオン(ON)されたか否かを判断する。主電源スイッチがオンされたことが判断されると(yes)、ステップS2において、上述した通常の(基本的な)画像形成動作が可能な通常動作モードを設定するための主電源を生成する。
なお、上記ステップS1において、主電源スイッチがオンされたことが判断されない場合(no)、複写機1は、電源オフ状態のままとなる。
一方、主電源の生成後、ステップS3において、通常動作モードを設定するための通常動作時の起動処理を実行する。該起動処理としては、例えば、複写機1の給紙部2、画像形成部3、画像読取部4が、それぞれ、初期設定を含んだイニシャル動作(第1読取部のイニシャル動作)を実行する。また、複写機1の本体制御部111は、該起動処理として、後述するADF電源フラグおよびCIS電源フラグをオンさせるための処理を行う。
次いで、ステップS4において、通常動作モードを設定するための起動処理が終了したか否かを判断する。該起動処理の終了が判断されると(ステップS4のyes)、ステップS5において、省エネモードを解除するための省エネ解除トリガがオンか否かを判断する。
一方、該起動処理の終了が判断されない場合(ステップS4のno)、該起動処理が終了するまで、このステップS4での判断処理が継続される。
主電源投入時、省エネ解除トリガはオフのため(ステップS5のno)、ステップS6において、後述する通常動作時のADFイニシャル(図6参照)を実行する。
次いで、ステップS7において、通常動作時のADFイニシャルが完了したか否かを判断する。なお、該ADFイニシャルの完了が判断されない場合(ステップS7のno)、該ADFイニシャルが完了するまで、このステップS7での判断処理が継続される。
一方、該ADFイニシャルの完了が判断されると(ステップS7のyes)、ステップS8において、後述する通常動作時のADFレディ(図8参照)を実行する。
そして、該ADFレディを実行した後、複写機1は、上述した一連の主電源投入時における各処理が終了し、常に、上述した通常動作モードでの通常の画像形成動作が可能な状態となる。
図6は、上記ステップS6において実行される、通常動作時のADFイニシャルにおける主な処理(ADF電源の立上げ)の流れを示すフローチャートである。
複写機1の主電源投入時、通常動作時のADFイニシャルにおいては、まず、ステップS11において、本体制御部111により、ADF電源フラグがオンか否かを判断する。該ADF電源フラグのオン/オフは、上記のように、複写機1の本体制御部111によって制御される。
ADF電源フラグがオンされたこと、つまり主電源の投入が判断されると(ステップS11のyes)、ステップS12において、ADF5を上述した通常の(基本的な)原稿搬送動作が可能な通常動作モードに設定するためのADF電源を生成する。
一方、上記ステップS11において、ADF電源フラグがオンされたことが判断されない場合(no)、該ADF電源フラグがオンされるまで、このステップS11での判断処理が継続される。
ADF電源の生成が終了すると、ステップS13において、ADF5のコントローラ部100を初期設定するためのCPUリセット処理が解除状態にあるか否かを判断する。該CPUリセット処理の解除状態が判断されない場合(no)、該CPUリセット処理が解除されるまで、このステップS13での判断処理が継続される。
一方、該CPUリセット処理の解除状態が判断されると(ステップS13のyes)、ステップS14において、コントローラ部100を初期設定するためのCPU初期設定処理を実行する。
次いで、ステップS15において、後述するCISイニシャル(図7参照)を実行する。
次いで、ステップS16において、該CISイニシャルが完了したか否かを判断する。なお、該CISイニシャルの完了が判断されない場合(no)、該CISイニシャルが完了するまで、このステップS16での判断処理が継続される。
そして、該CISイニシャルを実行した後(ステップS16のyes)、上述した通常動作時のADFイニシャルが終了し、ADF5による原稿Sの自動搬送動作が可能な状態(通常動作時のADFレディ)となる。
すなわち、主電源投入時においては、通常動作時のADFイニシャルとして、ADF電源の立上げ後に連続して行われるCISイニシャルが完了して、ADF5は、初めてADFレディの状態となる(図9(a)参照)。
図7は、上記ステップS15において実行される、CISイニシャルにおける主な処理の流れを示すフローチャートである。
複写機1の主電源投入時、CISイニシャルにおいては、まず、ステップS21において、本体制御部111により、CIS電源フラグがオンか否かを判断する。該CIS電源フラグのオン/オフは、上記のように、複写機1の本体制御部111によって制御される。
上記ステップS21において、CIS電源フラグがオンされたことが判断されない場合(no)、該CIS電源フラグがオンされるまで、このステップS21での判断処理が継続される。
一方、CIS電源フラグがオンされたこと、つまり主電源の投入が判断されると(ステップS21のyes)、ステップS22において、第2読取部54を原稿Sの裏面画像の読み取りが可能な状態に設定するためのCIS電源を生成する。
次いで、CIS電源の生成が終了すると、ステップS23において、CIS電源が安定しているか否かを判断する。該CIS電源が安定するまで(no→yes)、このステップS23での判断処理は継続される。
一方、上記ステップS23において、該CIS電源が安定していることが判断された場合(yes)、第2読取部54に上述した初期設定を含んだ各種の処理を実行させる。すなわち、第2読取部54では、ステップS24において、CIS通信異常検出の処理を実行し、その後、ステップS25において、CIS初期設定の処理を実行する。また、第2読取部54では、該CIS初期設定の処理を実行した後、ステップS26において、CIS黒レベル確認の処理を実行する。また、第2読取部54では、該CIS黒レベル確認の処理を実行した後、ステップS27において、CIS白レベル確認の処理を実行する。さらに、第2読取部54では、該CIS白レベル確認の処理を実行した後、ステップS28において、CIS光源異常検出の処理を実行する。
そして、該CIS光源異常検出の処理を実行した後、ADF5は、上述したCISイニシャルが終了し、原稿Sの通常動作時の自動搬送動作に伴って、裏面画像の読み取りを含む、両面画像の読み取りを行う両面読取モードの設定が可能な状態となる。この後、処理は、上記ステップS16に移行される。
図8は、上記ステップS8において実行される、通常動作時のADFレディにおける主な処理の流れを示すフローチャートである。
通常動作時のADFレディにおいては、まず、ステップS31において、ユーザーにより操作部108から原稿Sの両面読取モードの指定などの読み取り条件を含む動作モードの設定が行われる。
そして、操作部108のスタートボタンがユーザーによって操作されることに伴って、ADF5は、上述したような、給紙制御(ステップS32)、搬送制御(ステップS33)、読取制御(ステップS34)、および、排紙制御(ステップS35)を実行する。上記ステップS32,S33,S34,S35における各制御は、上記ステップS31で設定された動作モードにしたがって実行される。
すなわち、原稿トレイ51上にセットされた原稿Sが片面原稿の場合、該原稿Sは、上記ステップS32での給紙制御によって、原稿トレイ51上より1枚ずつ取り込まれる。原稿トレイ51上より取り込まれた原稿Sは、上記ステップS33での搬送制御によって、原稿搬送部52を搬送されて第1読取位置Rへと送られる。そして、該原稿Sは、第1読取位置Rを通過する際に、上記ステップS34での読取制御によって、表面画像が画像読取部4の撮像部44により読み取られる。表面画像が読み取られた原稿Sは、上記ステップS35での排紙制御によって、排紙トレイ53上へと排紙される。
これに対し、原稿トレイ51上にセットされた原稿Sが両面原稿の場合、該原稿Sは、上記ステップS32での給紙制御によって、原稿トレイ51上より1枚ずつ取り込まれる。原稿トレイ51上より取り込まれた原稿Sは、上記ステップS33での搬送制御によって、原稿搬送部52を搬送されて第1読取位置Rへと送られる。該原稿Sは、第1読取位置Rを通過する際に、上記ステップS34での読取制御によって、表面画像が画像読取部4の撮像部44により読み取られる。表面画像が読み取られた原稿Sは、さらに第2読取部54へと送られて、裏面画像が第2読取部54により読み取られる。こうして、一回の搬送動作で表面画像および裏面画像が読み取られた原稿Sは、上記ステップS35での排紙制御によって、排紙トレイ53上へと排紙される。
同様にして、原稿トレイ51上にセットされた全ての原稿Sに対して、上記した一連の動作が繰り返される(ステップS36のno)。そして、原稿トレイ51上の最下位である最終紙の原稿Sの排紙が完了することにより(ステップS36のyes)、上記ステップS8の通常動作時のADFレディが終了する。
図9は、主電源投入時と省エネ復帰時とで、ADFイニシャル時間を対比して示すものである。
図9(a)に示すように、主電源投入時における通常動作時のADFイニシャルは、ADF電源の立上げ(上記ステップS12)後に行われるCISイニシャル(上記ステップS15,S21〜S28)が完了して、初めてADFレディの状態へと移行する。これにより、該ADFレディになるまでの時間(ADFイニシャル中)は、ADF5が準備状態となるため、複写機1は、ユーザー操作不可(ユーザー待ち時間)となる。
なお、この主電源投入時における通常動作時のADFイニシャル時間は、上述の従来技術として説明した省エネモードからの復帰時のユーザー待ち時間に略一致する。すなわち、従来は、省エネモード中の複写機を使用する際にユーザーが原稿を原稿トレイ上にセットするなどして省エネモードから復帰する契機(省エネ復帰トリガ)が与えられることにより、上記ADFイニシャルが開始される。そのため、省エネ復帰トリガを与えてからの、ADFがレディ状態になるまでのADFイニシャル時間が長く、その間、複写機を操作できないユーザー待ち時間となる。
そこで、本実施の形態においては、図9(b),(c)に示すように、省エネモードからの復帰時におけるCISイニシャルをADFイニシャルより独立させて、ADFイニシャル時間(省エネ復帰時間)の短縮化を図るようにしている。
<省エネ復帰時1>
図10は、省エネ解除トリガがオンされた場合に実行される、省エネ復帰時のADFイニシャル(1)における主な処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示すように、省エネモード中に省エネ解除トリガのオンが判断されると(図5のステップS5におけるyes)、省エネ復帰時のADFイニシャル1として、ステップS41において、本体制御部111によりADF電源フラグがオンか否かを判断する。
ADF電源フラグがオンされたこと、つまり省エネモードからの復帰が判断されると(ステップS41のyes)、ステップS42において、ADF5を上述した通常動作モードに復帰させるためのADF電源を生成する(ADF電源の立上げ)。
一方、上記ステップS41において、ADF電源フラグがオンされたことが判断されない場合(no)、該ADF電源フラグがオンされるまで、このステップS41での判断処理が継続される。
ADF電源の生成が終了すると、ステップS43において、ADF5のコントローラ部100を初期設定するためのCPUリセット処理が解除状態にあるか否かを判断する。該CPUリセット処理の解除状態が判断されない場合(no)、該CPUリセット処理が解除されるまで、このステップS43での判断処理が継続される。
一方、該CPUリセット処理の解除状態が判断されると(ステップS43のyes)、ステップS44において、コントローラ部100を初期設定するためのCPU初期設定処理を実行する。
この後、省エネ復帰時のADFイニシャル(1)における処理は終了し、後述する省エネ復帰時のADFレディ(1)に移行する。
図11は、省エネ復帰時のADFレディ(1)における主な処理の流れを示すフローチャートである。
省エネ復帰時のADFレディ(1)においては、まず、ステップS51において、ユーザーにより操作部108から原稿Sの両面読取モードの指定などの読み取り条件を含む動作モードの設定が行われる。
そして、操作部108のスタートボタンがユーザーによって操作されることに伴って、ステップS52において、上記ステップS51で設定された動作モードとして、両面読取モードが設定されているか否かを判断する。両面読取モードが設定されていない場合(ステップS52のno)、処理をステップS55に移行させる。
一方、両面読取モードが設定されている場合には(ステップS52のyes)、ステップS53において、上述したCISイニシャル(図7参照)を実行する。
次いで、ステップS54において、該CISイニシャルが完了したか否かを判断する。なお、該CISイニシャルの完了が判断されない場合(no)、該CISイニシャルが完了するまで、このステップS54での判断処理が継続される。
上記ステップS52において、両面読取モードの設定が判断されない場合(no)、または、上記ステップS54において、CISイニシャルの完了が判断された場合(yes)、ステップS55において、上述したステップS32の給紙制御を実行する。該給紙制御は、上記ステップS51で設定された動作モードにしたがって実行される。
該給紙制御が終了すると、ステップS56において、上述したステップS33の搬送制御を実行する。該搬送制御は、上記ステップS51で設定された動作モードにしたがって実行される。
該搬送制御が終了すると、ステップS57において、上述したステップS34の読取制御を実行する。該読取制御は、上記ステップS51で設定された動作モードにしたがって実行される。
該読取制御が終了すると、ステップS58において、上述したステップS35の排紙制御を実行する。該排紙制御は、上記ステップS51で設定された動作モードにしたがって実行される。
そして、ステップS59において、原稿トレイ51上の最終原稿Sの排紙トレイ53上への排紙が判断されるまで(no)、上記ステップS55〜S58の各制御が繰り返される。
一方、最終原稿Sの排紙が判断されると(ステップS59のyes)、ステップS60において、第2読取部54へのCIS電源の供給をオフし、一連の省エネ復帰時のADFレディ(1)を終了する。
図9(b)に示すように、省エネ復帰時1には、通常動作時のユーザー待ち時間への関与が大きかったCISイニシャルをADFイニシャルから除外することで、省エネモードからの復帰時にADF5がADFレディになるまでの省エネ復帰時間を短縮できる。例えば、ADF5のCISイニシャル時間を700msec(Metis−C1での実績)とした場合、複写機1における、ユーザー待ち時間を約700msecも短縮できる。
また、CISイニシャルを実施するタイミングを、ステップS52において、両面読取モードの設定が判断された後(ステップS53)とするようにしている。これにより、CIS電源を生成するCISイニシャルを、片面読取モード、圧板読取、プリント出力時などの第2読取部54を使用しないときにはオフさせることが可能となる。したがって、第2読取部54での待機電力の消費を、両面読取モードの設定時に限定することができ、無駄な電力の消費(7W程度)を削減することができる。
また、両面読取モードであっても、最終原稿Sを排紙した後には、第2読取部54へのCIS電源の供給を遮断するようにしている。これにより、第2読取部54での電力消費を最小限に抑えることができる。
また、この省エネ復帰時のADFレディ(1)においては、第2読取部54の異常を原稿Sの給紙動作前に認識できるので、不要な給紙動作による原稿Sへのダメージを回避できるとともに、早期の警告によりユーザーのストレスをも減らすことができる。
<省エネ復帰時2>
図12は、省エネ復帰時のADFレディ(2)における主な処理の流れを示すフローチャートである。
省エネ復帰時のADFレディ(2)においては、まず、ステップS61において、ユーザーにより操作部108から原稿Sの両面読取モードの指定などの読み取り条件を含む動作モードの設定が行われる。
そして、操作部108のスタートボタンがユーザーによって操作されることに伴って、ステップS62において、上述したステップS32,S55の給紙制御を実行する。該給紙制御は、上記ステップS61で設定された動作モードにしたがって実行される。
該給紙制御が終了すると、ステップS63において、上述したステップS33,S56の搬送制御を実行する。該搬送制御は、上記ステップS61で設定された動作モードにしたがって実行される。
また、上記給紙動作の開始に伴って、ステップS64において、上記ステップS61で設定された動作モードとして、両面読取モードが設定されているか否かを判断する。両面読取モードが設定されていない場合(ステップS64のno)、処理をステップS67に移行させる。
一方、両面読取モードが設定されている場合には(ステップS64のyes)、ステップS65において、上述したCISイニシャル(図7参照)を実行する。
次いで、ステップS66において、該CISイニシャルが完了したか否かを判断する。なお、該CISイニシャルの完了が判断されない場合(no)、該CISイニシャルが完了するまで、このステップS66での判断処理が継続される。
上記ステップS64において、両面読取モードの設定が判断されない場合(no)、または、上記ステップS66において、CISイニシャルの完了が判断された場合(yes)、ステップS67において、上述したステップS34,S57の読取制御を実行する。また、上記ステップS63での該搬送制御の終了時も、ステップS67において、上述したステップS34,S57の読取制御を実行する。該読取制御は、上記ステップS61で設定された動作モードにしたがって実行される。
該読取制御が終了すると、ステップS68において、上述したステップS35,S58の排紙制御を実行する。該排紙制御は、上記ステップS61で設定された動作モードにしたがって実行される。
そして、ステップS69において、原稿トレイ51上の最終原稿Sの排紙トレイ53上への排紙が判断されるまで(no)、このステップS69での判断処理が継続される。
一方、最終原稿Sの排紙が判断されると(ステップS69のyes)、ステップS70において、第2読取部54へのCIS電源の供給をオフし、一連の省エネ復帰時のADFレディ(2)を終了する。
図9(c)に示すように、省エネ復帰時2には、通常動作時のユーザー待ち時間への関与が大きかったCISイニシャルをADFイニシャルから除外するとともに、CISイニシャルを原稿Sの給紙制御(ステップS62)と並行して実行するようにしている。これにより、省エネモードからの復帰時にADF5がADFレディになるまでの省エネ復帰時間を短縮できるのみでなく、省エネ復帰時1(図9(b)参照)に比べ、給紙制御までのCISイニシャルでのユーザー待ち時間をおよそ700msecも短縮できる。
特に、この省エネ復帰時のADFレディ(2)においては、「給紙開始〜原稿Sの先端が第2読取部54に到達するまでの時間 > CISイニシャル時間」とすることにより、給紙を開始するまでのCISイニシャルによるユーザー待ち時間を完全に抑制できる。
また、CISイニシャル時に第2読取部54の異常が検出された場合には、動作モードの設定に関わらず、片面読取モードとして画像読取部4による表面画像の読み取りのみ有効にしてもよい。この場合、画像読取部4の動作可能状態を維持することで、複写機1を完全に電源オフ状態にする場合に比べ、ユーザーの利便性の悪化を最小限に抑えることができる。
上記したように、原稿Sの裏面画像の読み取りが可能なADF5において、省エネモードから通常動作モードに復帰する際の、ADF5のイニシャル動作が完了するまでの時間を短縮できる。
すなわち、複写機1の省エネモードからの復帰時において、ADF5のADFイニシャルからCISイニシャルを除外するようにしている。これにより、CISイニシャル時間の分だけ、ADF5が起動できるようになるまでの省エネ復帰時間を短縮できるようになる。したがって、省エネモード中の複写機1を使用する際の、ユーザー待ち時間をより短くすることができる。
特に、CISイニシャルを、両面読取モードの設定時にだけ実行することにより、第2読取部54での電力消費を大幅に削減でき、より省エネ効果が期待できる。
また、両面読取モードの設定(選択)時においては、原稿Sの先端が第2読取部54に到達するまでの間に第2読取部54のイニシャル動作が完了するように制御することもできる。この場合、CISイニシャルが完了する前に原稿Sの給紙を開始できるようになるため、CISイニシャルによるユーザー待ち時間を完全に抑制できる。
なお、上述した本実施の形態においては、画像形成装置としてフルカラーの複写機1を例に説明したが、これに限らず、例えばKトナーのみを用いた汎用(モノクロ)タイプのものにも適用できる。
また、複写機1の画像読取部4をADF5の第1読取部としても兼用する本実施の形態においては、例えば、ADFイニシャルが該画像読取部4の立上げ動作(起動処理)を含むものであってもよい。
また、複写機に限らず、例えばプリンタ、ファクシミリ、あるいは、これらの機能を複合的に備えた複合機などの各種のオフィス機器に適用できる。
以上説明したように、本発明は、原稿の両面読み取りが可能な場合にも、低消費モードから通常動作モードに復帰する際の、イニシャル動作が完了するまでの復帰時間を短縮することができるという効果を有し、原稿読取装置およびこれを備えた画像形成装置全般に有用である。