JP6372599B1 - 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版 - Google Patents

凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版 Download PDF

Info

Publication number
JP6372599B1
JP6372599B1 JP2017152482A JP2017152482A JP6372599B1 JP 6372599 B1 JP6372599 B1 JP 6372599B1 JP 2017152482 A JP2017152482 A JP 2017152482A JP 2017152482 A JP2017152482 A JP 2017152482A JP 6372599 B1 JP6372599 B1 JP 6372599B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive resin
original plate
printing original
resin composition
letterpress printing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017152482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019032402A (ja
Inventor
和也 芳本
和也 芳本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2017152482A priority Critical patent/JP6372599B1/ja
Priority to US16/637,088 priority patent/US11020999B2/en
Priority to ES18842916T priority patent/ES2973109T3/es
Priority to CN201880051384.6A priority patent/CN110998444B/zh
Priority to PCT/JP2018/029236 priority patent/WO2019031406A1/ja
Priority to EP18842916.1A priority patent/EP3667418B1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP6372599B1 publication Critical patent/JP6372599B1/ja
Publication of JP2019032402A publication Critical patent/JP2019032402A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】耐刷性を維持しつつ、硬いブラシで現像した場合でもハイライト網点に欠けのない優れた画像再現性を有し、しかも、第3級窒素原子含有ポリアミドの配合率を高くしても表面粘着が増大することのない凸版印刷原版用感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤を含有する凸版印刷原版用感光性樹脂組成物であって、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドが、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位を20〜50モル%含有し、且つ脂環族構造単位を合計50〜95モル%含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、部分鹸化ポリ酢酸ビニル含有凸版印刷用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版に関するものであり、さらに詳しくは、耐刷性を維持しつつ、特に印刷版表面粘着の増加が少ない、印刷品質の向上した印刷原版を得ることができる感光性樹脂組成物、及びそれを用いた凸版印刷原版に関するものである。
凸版印刷用の印刷原版は、感光性樹脂層に可溶性高分子化合物、光重合性不飽和化合物、及び光重合開始剤を必須成分として含有し、安定剤、可塑剤などの添加剤が配合されることが一般的である。そして、かかる印刷原版は、紫外光に対して不透明な画像マスク層を介して感光性樹脂層に紫外光を照射することによって、感光性樹脂層において溶剤溶解部分とそうでない部分とを形成し、溶剤溶解部を洗い流してレリーフ像を形成し、印刷版として使用することが一般的である。
感光性樹脂層からなる凸版印刷原版は、露光により形成されたレリーフ画像を水現像してレリーフを形成するものが主に使用され、感光性樹脂層の可溶性高分子化合物として、水溶解性または水膨潤性の高分子化合物が使用されている。
部分鹸化ポリ酢酸ビニルは、水現像性に優れるために、凸版印刷原版の感光性樹脂として用いられてきたが、水現像時に硬いブラシを用いた場合にハイライト網点の欠けが発生する問題があった。また、印刷時に加えられる印圧に対する脆さのために、ロングラン印刷時にはレリーフにクラックが容易に発生して印刷版を交換しなければならない問題があった。
これらの問題を解決するために、可溶性高分子化合物として、ポリ酢酸ビニル誘導体と第3級窒素原子含有ポリアミドを併用したものが提案されている(特許文献1、2参照)。この方法は、耐クラック性を向上させるが、ポリアミド自身の粘着性によって印刷版表面の粘着性が増大するという新たな問題を有していた。
また、可溶性高分子化合物として、変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルと第3級窒素原子含有ポリアミドとを使用し、さらに光重合性不飽和化合物として、特定の5〜7員環を持つものを使用したものが提案されている(特許文献3参照)。この方法は、耐刷性をさらに改善することができたが、第3級窒素原子含有ポリアミドに由来する印刷版表面の粘着性については未解決であった。
特開平11−65115号公報 特開2001−272776号公報 WO2014/021322
本発明は、かかる従来技術の問題を解消するために創案されたものであり、その目的は、耐刷性を維持しつつ、硬いブラシで現像した場合でもハイライト網点に欠けのない優れた画像再現性を有し、しかも、第3級窒素原子含有ポリアミドの配合率を高くしても表面粘着が増大することのない凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれを用いた凸版印刷原版を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、凸版印刷原版に使用する感光性樹脂組成物のうち、第3級窒素原子含有ポリアミドとして、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位、及び脂環族構造単位をそれぞれ特定量含有する第3級窒素原子含有ポリアミドを使用することによって、耐刷性を維持しつつ、現像時に欠けのない高度なハイライト網点画像再現性を有し、しかも、第3級窒素原子含有ポリアミドの配合率を高くしても印刷版表面の粘着性が増大することのないものが提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(6)の構成を有するものである。
(1)(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤を含有する凸版印刷原版用感光性樹脂組成物であって、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドが、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位を20〜50モル%含有し、且つ脂環族構造単位を合計50〜95モル%含有することを特徴とする凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
(2)凸版印刷原版用感光性樹脂組成物中の(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤の使用量がそれぞれ、30〜65質量%、5〜30質量%、5〜25質量%、及び0.1〜5質量%であることを特徴とする(1)に記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
(3)前記(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドが、ピペラジン環を分子内に含有するポリアミドであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
(4)前記(i)側鎖に官能基を有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルが、側鎖にエステル結合及び官能基を含有するものであり、官能基が、光重合性不飽和基及び/又はカルボキシル基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
(5)前記(iii)光重合性不飽和化合物が、5〜7員環を有する複素環含有光重合性不飽和化合物を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
(6)支持体上に(1)〜(5)のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物を用いて形成した感光性樹脂層を有することを特徴とする凸版印刷原版。
本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物によれば、高度なハイライト網点画像再現性、耐刷性を維持し、しかも、第3級窒素原子含有ポリアミドの配合率を高くしても印刷版表面の粘着性が増大することのない凸版印刷原版を得ることができる。
以下、本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれを用いた凸版印刷原版を説明する。
本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物は、(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤を含有するものであって、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドとして特定の構造単位を特定の割合で含有するものを使用することによって、高度なハイライト網点画像再現性、耐刷性を維持しながらも、従来の第3級窒素原子含有ポリアミドの欠点である印刷版表面の粘着性の増大を効果的に防止することができることを特徴とする。
(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル(以下、(i)成分とも称する)とは、側鎖に官能基を含有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルである。この官能基は、光重合性不飽和基及び/又はカルボキシル基であることができる。ここで光重合性不飽和基とは、ラジカル反応性の架橋可能な官能基であり、(メタ)アクリロイル基が好ましい。官能基としては、光重合性不飽和基又はカルボキシル基をそれぞれ単独で導入しても良いし、光重合性不飽和基とカルボキシル基の両者を導入しても良い。光重合性不飽和基を導入することにより、耐水性を向上させることができる。また、カルボキシル基を導入することにより、第3級窒素原子含有ポリアミドとの4級塩化によって相溶性の向上をもたらすことができる。さらに、官能基がエステル結合を有することにより、(iii)光重合性不飽和化合物との相溶性を向上させ、光架橋反応を効率的に行うことができる。特に、光重合性不飽和基とカルボキシル基の両者を導入すると、現像時のレリーフ欠け低減、及び第3級窒素原子含有ポリアミドとの相溶性を向上することができる。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖にカルボキシル基を導入する方法としては、部分ケン化ポリ酢酸ビニル中の水酸基と酸無水物とを反応させてカルボキシル基をポリマー側鎖に導入する方法や、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩、あるいは不飽和カルボン酸エステルとを共重合させて得られたポリマーを部分ケン化することにより、カルボキシル基を側鎖に導入する方法を挙げることができる。これらの方法によって得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖にはエステル結合も含有されており、(iii)光重合性不飽和化合物との相溶性の点からより好ましい。また、この方法で得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、反応性基の導入が容易であり、本発明の効果が顕著に現れるため、好ましい。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖に光重合性不飽和基を導入する方法としては、カルボキシル基を側鎖に導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルを用いて、変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル中のカルボキシル基と光重合性不飽和基含有エポキシ化合物を反応させることにより、反応性基を導入する方法を挙げることができる。この方法によって得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖にはエステル結合も含有されており、(iii)光重合性不飽和化合物との相溶性の点からより好ましい。また、この方法で得られた変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、反応性基の導入が容易であり、本発明の効果が顕著に現れるため、好ましい。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルに光重合性不飽和基を導入する別の方法としては、部分ケン化ポリ酢酸ビニルとN−メチロール基を有するアクリル系化合物の反応により、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖に反応性基を導入する方法を挙げることができる。具体的な製造条件としては、部分ケン化ポリ酢酸ビニル100質量部に対してアクリル系化合物5〜30質量部の範囲で反応させると、現像時のレリーフの欠け低減と水現像性の両立が可能となり、好ましい。N−メチロール基を有するアクリル系化合物としては、N−メチロールアクリルアミドやN−メチロールメタクリルアミドが特に好ましい。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの側鎖に導入する官能基の量は、変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル中に、0.1〜0.7モル/kgであることが好ましい。0.7モル/kgより多いと、水溶解性が悪くなるおそれがあり、また、0.1モル/kgより少ないと、改善効果が発現しにくくなるおそれがある。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルのケン化度は、60〜95mol%の範囲が好ましく、70〜90mol%の範囲がより好ましい。ケン化度が上記範囲未満であると、親水性が下がることによる水現像性低下のおそれがあり、また、ケン化度が上記範囲を越えると、結晶性が高くなりすぎることによる水現像性低下のおそれがある。
変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの平均重合度は、200〜1500の範囲が好ましく、500〜1000の範囲がより好ましい。平均重合度が上記範囲未満であると、耐水性が低下するおそれがあり、また、平均重合度が上記範囲を越えると、水現像性が低下するおそれがある。
本発明の感光性樹脂組成物中の(i)成分の使用量は、好ましくは30〜65質量%、より好ましくは35〜65質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。(i)成分の使用量が上記範囲未満では、感光性樹脂層の形態保持性が低く、ハンドリング性が劣るおそれがあり、上記範囲を越えると、水現像性が低下するおそれがある。
(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド(以下、(ii)成分とも称する)は、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位を20〜50モル%含有し、且つ脂環族構造単位を合計50〜95モル%含有する。ここでの脂環族構造単位には、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位が当然含まれる。
本発明に用いる(ii)成分は、上述のようにシクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位及び脂環族構造単位をそれぞれ特定量含有するため、(i)成分の配合によって生じることの多かった現像時のハイライト網点の欠けや印刷時のレリーフ欠けの問題を改良でき、さらには(ii)成分である第3級窒素原子含有ポリアミドの配合量を増加させても印刷版表面の粘着性が増大することが少ないという効果がある。従って、本発明によれば、従来の第3級窒素原子含有ポリアミドでは吸湿しやすく、粘着性が高いために不可能であった添加量を増やすことが可能であり、(ii)成分の配合による効果を高めることができる。
(ii)成分は、シクロヘキサンジカルボン酸を含む脂環族ジカルボン酸、脂肪環族ジアミン、及び第3級窒素原子含有ジアミンだけでなく、さらにはジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノ酸、ラクタムなどの単量体を原料として併用して重合することによって得ることができる。
シクロヘキサンジカルボン酸は、上述したように、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位が20〜50モル%となるような量で使用される。シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位の割合が上記範囲未満では、印刷版の表面粘着が増大し、上記範囲を超えると、耐刷性改善の効果が小さい。
シクロヘキサンジカルボン酸は、シクロヘキサン環を含有するジカルボン酸であり、具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジプロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,3−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−エチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−プロピル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−エチル−3−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−メチル−3−t−ブチル−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。これらの中では、ハイライト部の階調印刷性再現性の点で、1,4−シクロへキサンジカルボン酸が好ましい。
(ii)成分は、上述したように、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、脂環族構造単位を合計50〜95モル%含有する。脂環族構造単位には、シクロヘキサンジカルボン酸以外に、脂環族ジカルボン酸、及び必要によりそれらに加えられる脂環族ジアミンや脂環族アミノカルボン酸より得られる構造単位も含まれる。脂環族構造単位合計の含有割合が上記範囲未満では、(i)成分との相溶性に劣るために(ii)成分の配合量を増加することができない。一方、上記範囲を超えると、耐刷性が劣る。
上述のシクロヘキサンジカルボン酸以外の脂環族ジカルボン酸としては、例えばイソホロンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,4−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジメチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジエチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジプロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3,8−ジブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−エチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−プロピル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−メチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸、3−エチル−4−ブチル−2,6−デカリンジカルボン酸が挙げられる。
上述の脂環族ジアミンとしては、例えばイソホロンジアミン、1,4−シクロへキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、メチルシクロヘキサンジアミン、ノルボルナンジアミン、トリシクロデカンジアミンが挙げられる。これらの中でも、(i)成分との相溶性の点で、イソホロンジアミン、及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
上述の脂環族アミノカルボン酸としては、例えば、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、3−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、2−アミノメチルシクロプロパンカルボン酸が挙げられる。
本発明に用いる(ii)成分は、分子内に、具体的には、主鎖または側鎖の一部分に第3級窒素原子を含有するポリアミドであり、第3級窒素原子を有する単量体を用いて縮重合、重付加反応などを行なうことによって得ることができる。第3級窒素原子としては、ピペラジン環やN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、より好ましくはピペラジン環である。(ii)成分を製造するための第3級窒素原子を有する単量体としては、ピペラジン環を有するジアミンやメチルイミノビスプロピルアミン等の第3級窒素原子を含む脂肪族ジアミンが挙げられる。ピペラジン環を有するジアミンとしては、N,N′−ビス(アミノエチル)−ピペラジン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N,N′−ジ(アミノペンチル)ピペラジンが挙げられる。このうち、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンが好ましい。また、N,N’−ジメチル−N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−エチレンジアミンなどのω−アミノ酸なども使用可能である。
本発明の感光性樹脂組成物中の(ii)成分の使用量は、5〜30質量%であることが好ましく、8〜25質量%であることがより好ましい。(ii)成分の使用量が上記範囲未満では、耐ブラシ欠け性、画像再現性、及び耐刷性が劣るおそれがあり、上記範囲を越えると、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの配合量が下がることにより、原版形態保持性が損なわれるおそれがある。特に、本発明では、(ii)成分の使用量を感光性樹脂組成物中、8質量%以上と高くしても、印刷版表面の粘着性の増大の問題が目立つことがない。従って、凸版印刷原版用感光性樹脂組成物への(ii)成分の配合による効果を、使用量の増大によって一層高めることができる。
(iii)光重合性不飽和化合物(以下、(iii)成分とも称する)としては、当業者がこの技術分野で従来使用してきたものを使用することができるが、例えば5〜7員環を有する複素環含有光重合性不飽和化合物を含有することが好ましい。5〜7員環を有する複素環含有光重合性不飽和化合物は、複素環内に水酸基、カルボキシル基、又はアミノ基の官能基を少なくとも有することが好ましい。複素環と官能基は、(i)成分中の水酸基と水素結合するため、(i)成分との相溶性を高めることができる。なお、5〜7員環を有する複素環含有光重合性不飽和化合物は、分子量が300以下であることが好ましい。分子量が大きくなると、(i)成分との相溶性が低下するおそれがある。
(iii)成分としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール−(メタ)アクリル酸−安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、スチレン及びその誘導体、ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、N−フェニルマレイミド及びその誘導体、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、(メタ)アクリル酸−2−ナフチル、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどを使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物中の(iii)成分の使用量は、5〜25質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがより好ましい。(i)成分の使用量が上記範囲未満では、画像再現性が不十分になるおそれがあり、上記範囲を越えると、凸版印刷原版に使用する感光性樹脂層が固化しにくくなるおそれがある。
(iv)光重合開始剤(以下、(iv)成分とも称する)は、光吸収によってラジカルを生成する効果を有する。(iv)成分としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などが挙げられる。本発明の感光性樹脂組成物中の(iv)成分の使用量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、可塑剤や重合禁止剤などの任意成分をさらに配合することができる。可塑剤は、柔軟性を高めるためのものであり、その具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン及びその誘導体、トリメチロールプロパン及びその誘導体、トリメチロールエタン及びその誘導体、ペンタエリスリトール及びその誘導体などの多価アルコール類が挙げられる。これらの可塑剤の使用量は、本発明の感光性樹脂組成物全体の質量の20質量%以下であることが好ましい。重合禁止剤は、熱安定性を上げるためのものであり、その具体例としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒドロキシアミン誘導体などが挙げられる。これらの重合禁止剤の使用量は、本発明の感光性樹脂組成物全体の質量の0.001〜5質量%であることが好ましい。
さらに、必要により、染料、顔料、界面活性剤、消泡剤、紫外線吸収剤、香料などの任意成分を感光性樹脂組成物の最大10質量%の割合で配合することができる。
本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物は、上述の(i)〜(iv)の必須成分と任意成分を使用して適切に混合し、それを用いて溶融成形法の他、例えば、熱プレス、注型、或いは、溶融押出し、溶液キャストなど公知の方法により目的とした積層体の構成に成形することによって、感光性樹脂層を設けた凸版印刷用原版を得ることができる。
凸版印刷原版は、シート状に成形した成形物(未露光樹脂)を公知の接着剤を介して、或いは、介さずに支持体に積層して使用することができる。支持体としては、スチール、アルミニウム、ガラス、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムなど従来公知のものが使用でき、一般には50〜500μmの範囲の厚みのフィルムが使用される。シート状成形物(未露光樹脂)を支持体上に積層した積層体にして供給する場合には、シート状成形物(未露光樹脂)に接して保護フィルムをさらに積層することが好ましい。保護フィルムは、フィルム状のプラスチックが使用でき、例えば125μm厚みのポリエステルフィルムが使用される。また、感光性樹脂層と保護フィルムとの間に粘着性のない透明で現像液に分散又は溶解する高分子を0.5〜3μmの厚みで塗布した粘着防止層を設けてもよい。感光性樹脂層表面に粘着防止層を設けることにより、表面粘着性が強い場合であっても次の露光操作時に行う保護層の剥離を容易に行うことができる。
本発明の凸版印刷原版は、感光性樹脂層と粘着防止層の間に、厚みが1〜30μmのキャップ層を設けてもよい。キャップ層は、現像工程で除去されず印刷版上に残るため、キャップ層を設けることで印刷版表面特性や耐久性を調整することができる。キャップ層としては、従来公知のキャップ層をそのまま使用することができる。
本発明の凸版印刷原版は、感光性樹脂層の表面に感熱マスク層を設けることにより、ネガフィルムを使用しないCTP(Computer to Plate)版を製造できる。感熱マスク層としては、従来公知の感熱マスク層をそのまま使用することができる。
本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物より得られた凸版印刷原版は、感光性樹脂層に透明画像部を有するネガフィルムを密着して重ね合せ、その上方から活性光線を照射して露光を行い、活性光線が透過した露光部のみを不溶化した原版を作成する。活性光線は、通常300〜450nmの波長を中心とする高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、ケミカルランプなどの光源を用いる。
一方、CTP版の場合には、感熱マスク層をIRレーザにより画像様に照射して、感光性樹脂層上にマスク(ネガフィルムと同じ機能)を形成する。画像情報を感熱マスク層に書き込んだ後、感光性印刷原版にマスクを介して活性光線を全面照射し、活性光線が透過した露光部のみを不溶化した原版を作成する。
次いで、適当な溶剤、特に本発明では中性水により非露光部分を溶解除去するが、スプレー式現像装置、ブラシ式現像装置などの現像方式で非露光部分を溶解除去することが好ましい。その後、非露光部分を溶解除去した印刷版は、水切り、乾燥、後露光工程を行い、最終の印刷版が得られる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例中(本文)の部数は、質量部を表わし、表1のポリアミド組成は、mol%を表す。ポリアミド組成のmol%は、H−NMRの測定により確定した。なお、実施例中の特性値の評価は以下の方法に依った。
(1)30μm細線耐ブラシ欠け性
まず、感光性樹脂層の厚みが685μmの凸版印刷原版に、画像として30μmの細線を含むネガを用い、照度を25W/mに調整したケミカルランプを用いて、感光性樹脂層の表面より高さ5cmの距離から8分露光した。次にブラシ式ウォッシャー(日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で、幾つかの異なる径のナイロンブラシを用いて25℃の水道水で現像し、レリーフ画像を得た。更に60℃で10分間、温風乾燥した後に、超高圧水銀灯で30秒間後露光して印刷版を得た。30μm細線の再現性を顕微鏡で50倍に拡大して観察し、以下の基準で評価した。
◎:ブラシ径200μmで細線に欠けなし。
○:ブラシ径150μmで細線に欠けなし。
△:ブラシ径120μmで細線に欠けなし。
×:ブラシ径120μmでも細線に欠けがみられる。
(2)印刷版表面の粘着性
まず、感光性樹脂層の厚みが685μmの凸版印刷原版に、画像としてベタ画像(幅1cm×長さ5cm)を含む印刷評価ネガを用い、照度を25W/mに調整したケミカルランプを用いて、感光性樹脂層の表面より高さ5cmの距離から8分露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で25℃の水道水で現像し、レリーフ画像を得た。更に60℃で10分間、温風乾燥した後に、超高圧水銀灯で30秒間後露光して印刷版を得た。得られた印刷版を用いて印刷版表面の粘着性の評価を行った。粘着性は、被印刷物であるコート紙(グロスPW−8K、(株)リンテック製)を版に押し付けて、コート紙の滑り度合いから以下の基準で評価した。
◎:コート紙を100回以上版に押し付けても、コート紙が抵抗なく滑る。
○:コート紙が抵抗なく滑るが、コート紙を100回以上版に押し付けると、若干の抵抗を感じるようになる。
△:コート紙を版に押し付けると、コート紙と版がすぐに粘着する。但し、力を入れると、コート紙は滑る。
×:コート紙を版に押し付けると、コート紙と版が完全に粘着して滑らない。
(3)画像再現性
まず、感光性樹脂層の厚みが685μmの凸版印刷原版に、画像として200線1%の細線を含むネガを用い、照度を25W/mに調整したケミカルランプを用いて、感光性樹脂層の表面より高さ5cmの距離から8分露光した。次にブラシ式ウォッシャー(日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で、幾つかの異なる径のナイロンブラシを用いて25℃の水道水で現像し、レリーフ画像を得た。更に60℃で10分間、温風乾燥した後に、超高圧水銀灯で30秒間後露光して印刷版を得た。200線1%網点の再現性を顕微鏡で50倍に拡大して観察し、以下の基準で評価した。
◎:ブラシ径200μmで200線1%網点が完全に再現する。
○:ブラシ径150μmで200線1%網点が完全に再現する。
△:ブラシ径120μmで200線1%網点が完全に再現する。
×:ブラシ径120μmでも200線1%網点が再現しない。
(4)耐刷性
上記の(2)の印刷版表面の粘着性の評価用レリーフを作成した時と同じ方法で印刷版を製造し、適性印圧から50μm加圧した状態で1万ショットの印刷を行い、1万ショット印刷後に印刷物と版を200倍に拡大した顕微鏡で観察し、以下の判定基準で評価した。
◎:200倍に拡大した顕微鏡の観察では印刷物に欠点なく、かつ版にもクラックなし。
○:200倍に拡大した顕微鏡の観察では印刷物に欠点はないが、版に軽微なクラックあり。
△:印刷物や版に目視で欠点は確認できないが、200倍に拡大した顕微鏡の観察では印刷物又は版に不良がみられる。
×:目視で印刷物又は版に不良が確認できる。
<(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルの合成>
合成例i−1:
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“KL−05”(重合度約500、ケン化度80モル%)をアセトン中で膨潤させ、無水コハク酸1.0モル%を添加し、60℃で6時間撹拌して、分子鎖にカルボキシル基を付加させた。このポリマーをアセトンで洗浄して、未反応の無水コハク酸を除去乾燥した。このポリマー100部を、エタノール/水=30/70(質量比)の混合溶媒200部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6部添加して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。電位差滴定法による分析結果から、ポリマー中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応し、ポリマー側鎖中にメタクロイル基が導入されたことを確認し、(i)成分である側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルi−1を得た。
合成例i−2:
酢酸ビニルにメタクリル酸を共重合単位として1モル%含有させたポリマーをケン化し、平均重合度650、ケン化度75モル%のアニオン変性ポリ酢酸ビニルを得た。このポリマー100部を、エタノール/水=30/70(質量比)の混合溶媒200部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6部添加して、部分ケン化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。電位差滴定法による分析結果から、ポリマー中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応し、ポリマー側鎖中にメタクロイル基が導入されたことを確認し、(i)成分である側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルi−2を得た。
合成例i−3:
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“KL−05”(重合度約500、ケン化度80モル%)100部を100部の水に溶解し、N−メチロールアクリルアミド15部を添加し、酸触媒としてリン酸1部を加え、100℃4時間攪拌して調整し、次いで水分を除去して、(i)成分である側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルi−3を得た。
<(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドの合成>
合成例ii−1:
ε−カプロラクタム521部(46.0モル%)、シクロヘキサンジカルボン酸458部(26.6モル%)、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン549部(27.4モル%)、50%次亜リン酸水溶液5部、及び水3000部をオートクレーブ中に仕込み、窒素置換後、密閉して徐々に加熱した。内圧が0.4MPaに達した時点から、その圧力を保持できなくなるまで水を留出させ、約2時間で常圧に戻し、その後1時間常圧で反応させた。最高重合反応温度は255℃であった。これにより、(ii)成分である第3級窒素原子含有ポリアミドii−1を得た。得られた第3級窒素原子含有ポリアミドの組成をH−NMRで測定し、仕込み組成とポリマー組成に差異がないことを確認した。この第3級窒素原子含有ポリアミドii−1の組成、ポリアミド中のシクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位及び脂環族構造単位の割合を表1に示す。
合成例ii−2〜ii−8
表1に記載のポリアミド組成になるようにジアミン及びジカルボン酸の種類及び配合割合、並びにε−カプロラクタムの配合割合を変更した以外は、合成例ii−1と同様の方法で合成を行ない、(ii)成分である第3級窒素原子含有ポリアミドii−2〜ii−8を得た。得られた第3級窒素原子含有ポリアミドの組成をH−NMRで測定し、仕込み組成とポリマー組成に差異がないことを確認した。これらの第3級窒素原子含有ポリアミドii−2〜ii−8の組成、ポリアミド中のシクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位及び脂環族構造単位の割合を表1に示す。
Figure 0006372599
実施例1
攪拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表2に示す(i)成分及び(ii)成分を添加し、“ソルミックス”(登録商標)H−11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)50部および水50部の混合溶媒を混合した後、攪拌しながら90℃2時間加熱し、(i)成分および(ii)成分を溶解させた。70℃に冷却した後、その他の成分を添加し、30分攪拌し、感光性樹脂組成物を得た。
次に、接着剤層を有する支持体を作成した。接着剤層を有する支持体は、紫外線吸収材を含む接着剤組成物を250μm厚みのポリエステルフィルム上に、塗膜厚さ20μmでコートすることによって得た。得られた支持体を用いて、この支持体の接着剤層面に上記の感光性樹脂組成物を流延し、厚み2μmのポリビニルアルコール(AH−26、日本合成化学(株)製)の被膜をコートした厚み125μmのポリエステルフイルムの被膜側を感光性樹脂組成物に接するようにして、ラミネーターを用いて全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。
生版を7日間以上保管した後に、印刷版特性、耐刷性の評価を行った。これらの評価結果を実施例1の感光性樹脂組成物の組成とともに表2に示した。
実施例2〜13、比較例1〜6
感光性樹脂組成物の組成を表2に示されるものに変更した以外は実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、印刷原版を得た。得られた印刷版を実施例1と同様の評価を行った。これらの評価結果を実施例2〜13と比較例1〜6の感光性樹脂組成物の組成とともに表2に示した。
なお、表2に記載した(iii)光重合性不飽和化合物(iii−1〜iii−5)、(iv)光重合開始剤、可塑剤、及び熱重合禁止剤の詳細は、以下の通りである。
iii−1:4−アクリロイルモルホリン KJケミカルズ株式会社製
iii−2:2−アクロイルオキシエチル−フタル酸 HOA−MPL(N) 共栄社化学社製
iii−3:グリセリンジメタクリレート 共栄社化学社製
iii−4:2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート NKエステル701A 新中村化学社製
iii−5:プロピレングリコールジエポキシアクリレート エポキシエステル70PA 共栄社化学社製
光重合開始剤:ベンジルジメチルケタール
可塑剤:ジエチレングリコール
熱重合禁止剤:ハイドロキノンモノメチルエーテル
Figure 0006372599
表2から分かるように、実施例1〜13では、第3級窒素原子含有ポリアミドとして、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位と脂環族構造単位を本発明の範囲(それぞれ20〜50モル%、50〜95モル%)で含有する第3級窒素原子含有ポリアミドを用いているので、耐ブラシ欠け性、印刷版表面の粘着性、画像再現性、耐刷性の全てにおいて優れている。一方、比較例1に示すように、第3級窒素原子含有ポリアミドを含有させないと、耐ブラシ欠け性、画像再現性、及び耐刷性に劣る。比較例2及び3に示すように、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位を含有しない第3級窒素原子含有ポリアミドを用いると、印刷版表面の粘着性に劣り、その程度は、その含有割合の増加とともに増大する。また、耐ブラシ欠け性及び画像再現性にも劣る。比較例4に示すように、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位を含有していても、その含有量が少なすぎると、耐ブラシ欠け性、印刷版表面の粘着性に劣る。比較例5に示すように、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位を含有していても、その含有量が多すぎると、耐刷性が劣る。比較例6に示すように、シクロヘキサンジカルボン酸より得られる構造単位を本発明の範囲内の量で含有していても、脂環族構造単位の合計含有量が多すぎると、耐刷性が劣る。
本発明の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物によれば、高度なハイライト網点画像再現性、耐刷性を維持し、しかも、第3級窒素原子含有ポリアミドの配合率を高くしても印刷版表面の粘着性が増大することのない凸版印刷原版を得ることができる。従って、本発明は、極めて有用である。

Claims (6)

  1. (i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤を含有する凸版印刷原版用感光性樹脂組成物であって、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドが、ポリアミド分子中のアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位、及びジアミン単位の合計に対して、シクロへキサンジカルボン酸より得られる構造単位を20〜50モル%含有し、且つ脂環族構造単位を合計50〜95モル%含有することを特徴とする凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
  2. 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物中の(i)側鎖に官能基を導入した変性部分ケン化ポリ酢酸ビニル、(ii)第3級窒素原子含有ポリアミド、(iii)光重合性不飽和化合物、及び(iv)光重合開始剤の使用量がそれぞれ、30〜65質量%、5〜30質量%、5〜25質量%、及び0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
  3. 前記(ii)第3級窒素原子含有ポリアミドが、ピペラジン環を分子内に含有するポリアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
  4. 前記(i)側鎖に官能基を有する変性部分ケン化ポリ酢酸ビニルが、側鎖にエステル結合及び官能基を含有するものであり、官能基が、光重合性不飽和基及び/又はカルボキシル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
  5. 前記(iii)光重合性不飽和化合物が、5〜7員環を有する複素環含有光重合性不飽和化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物。
  6. 支持体上に請求項1〜5のいずれかに記載の凸版印刷原版用感光性樹脂組成物を用いて形成した感光性樹脂層を有することを特徴とする凸版印刷原版。
JP2017152482A 2017-08-07 2017-08-07 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版 Active JP6372599B1 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017152482A JP6372599B1 (ja) 2017-08-07 2017-08-07 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版
US16/637,088 US11020999B2 (en) 2017-08-07 2018-08-03 Photosensitive resin composition for relief printing original plate and relief printing original plate using the same
ES18842916T ES2973109T3 (es) 2017-08-07 2018-08-03 Composición de resina fotosensible para plancha original para impresión en relieve y plancha original para impresión en relieve que utiliza la misma
CN201880051384.6A CN110998444B (zh) 2017-08-07 2018-08-03 凸版印刷原版用感光性树脂组合物以及用其得到的凸版印刷原版
PCT/JP2018/029236 WO2019031406A1 (ja) 2017-08-07 2018-08-03 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版
EP18842916.1A EP3667418B1 (en) 2017-08-07 2018-08-03 Photosensitive resin composition for relief printing original plate and relief printing original plate using the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017152482A JP6372599B1 (ja) 2017-08-07 2017-08-07 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6372599B1 true JP6372599B1 (ja) 2018-08-15
JP2019032402A JP2019032402A (ja) 2019-02-28

Family

ID=63165813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017152482A Active JP6372599B1 (ja) 2017-08-07 2017-08-07 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6372599B1 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5174704A (ja) * 1974-12-24 1976-06-28 Toray Industries Kankoseihoriamidojushisoseibutsu
JPH1165115A (ja) * 1997-08-26 1999-03-05 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物および印刷版材
WO2014021322A1 (ja) * 2012-07-31 2014-02-06 東レ株式会社 感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版
JP2014142622A (ja) * 2012-12-25 2014-08-07 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版
JP2017049463A (ja) * 2015-09-03 2017-03-09 東レ株式会社 感光性樹脂組成物およびこれを用いた印刷版原版
WO2017056692A1 (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 東洋紡株式会社 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JP2017129660A (ja) * 2016-01-19 2017-07-27 東洋紡株式会社 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5174704A (ja) * 1974-12-24 1976-06-28 Toray Industries Kankoseihoriamidojushisoseibutsu
JPH1165115A (ja) * 1997-08-26 1999-03-05 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物および印刷版材
WO2014021322A1 (ja) * 2012-07-31 2014-02-06 東レ株式会社 感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版
JP2014142622A (ja) * 2012-12-25 2014-08-07 Toray Ind Inc 感光性樹脂組成物および感光性樹脂印刷版原版
JP2017049463A (ja) * 2015-09-03 2017-03-09 東レ株式会社 感光性樹脂組成物およびこれを用いた印刷版原版
WO2017056692A1 (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 東洋紡株式会社 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JP2017129660A (ja) * 2016-01-19 2017-07-27 東洋紡株式会社 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019032402A (ja) 2019-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6226255B2 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JP6614494B2 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
CN104981355A (zh) 激光雕刻用树脂印刷原版
JP2016191772A (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JP6372599B1 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版
JP2019095470A (ja) 感光性ctp凸版印刷原版
JP6903919B2 (ja) 水現像性凸版印刷用感光性樹脂組成物及びそれから得られる水現像性凸版印刷用感光性樹脂原版
JP7125675B2 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版
JP2020013005A (ja) 凸版印刷原版
JP2018165772A (ja) Ctpフレキソ印刷原版
WO2019031406A1 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物及びそれを用いた凸版印刷原版
JP6891590B2 (ja) Ctp樹脂凸版印刷原版
JP6810905B2 (ja) 凸版印刷原版用感光性樹脂組成物、及びそれから得られる凸版印刷原版
JPH1165115A (ja) 感光性樹脂組成物および印刷版材
JP6842663B2 (ja) レーザー彫刻用凸版印刷原版
JP4379988B2 (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いた印刷用原版および印刷版
JP3632513B2 (ja) 感光性樹脂組成物
JPH0566560A (ja) フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物
EP4212957A1 (en) Photosensitive resin printing plate precursor, and method for manufacturing printing plate using said precursor
JPH05181272A (ja) フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物
JPH06317903A (ja) 感光性樹脂組成物
JP2000162770A (ja) 感光性樹脂組成物
JPH05241339A (ja) フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物
JPH04301643A (ja) フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物
JPH0572731A (ja) フレキソ印刷版用感光性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170807

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180405

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20180405

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20180515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180702

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6372599

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250