JP4379988B2 - 感光性樹脂組成物、それを用いた印刷用原版および印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物、それを用いた印刷用原版および印刷版に関し、より詳しくは、特に印刷用レリーフ版の作成に好適な感光性樹脂組成物、それを用いた印刷用原版および印刷用レリーフ版に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷用レリーフ版に用いられる感光性樹脂組成物は、一般に、可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマーおよび光重合開始剤を必須成分として含有し、必要に応じて安定剤、可塑剤等の添加剤が配合されて、当該組成物より感光層が形成される。
【0003】
この感光層に、透明な画像部を有するネガフィルム(またはポジフィルム)を通して活性光線を照射し、露光部の感光層を硬化させた後、非露光部の感光層を適当な溶剤で溶解除去することによって、印刷目的のレリーフ版を作成することは広く知られている。
【0004】
このレリーフ版作成に用いるネガフィルムの画像パターンは一定でなく、種々の、線、独立点、活字、白抜きパターンや網点が混在している場合が多い。例えば、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点をレリーフ画像にするためには活性光線の露光(照射)時間を延長して照射量を増やす事が必要である。照射量が少ないと、非露光部の感光層を適当な溶剤で溶解除去する(現像)工程中に、露光画像部の硬化が不十分であるために、当該露光画像部が大膨潤したり、移動や欠落が発生し、原画に忠実なレリーフ画像が得られない。逆に、露光部に囲まれたりあるいは挟まれたする、細かい非露光画像部の白抜きパターン(例えば白抜き線や白抜き点)を作成する場合には、照射量が多いと、周囲の散乱光によって、現像工程での本来の溶剤除去量や感光層の表面からの深さが減少してしまう。このようなレリーフ版で凸版印刷すると、画像の太りや白抜きパターンが埋まった画像になり、良好な印刷物が得られない。
【0005】
従って、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部の形成の場合と、白抜きパターンの非露光画像部の形成の場合とは、活性光線の露光(照射)量に関して相反する関係にある。どちらの場合でも原画を忠実に再現したレリーフ版を作成でき、良好な印刷物を与えることができるような感光性樹脂組成物が望まれている。
【0006】
この問題を解決するために、照射量を多くしても白抜きパターンの非露光画像部の深さが保てる方法として、例えば、特開昭59−1335458号公報に記載の、フエノキサジン染料やアクリジニウム染料やフエノチアジニウム染料等と、活性光線下でのみそれらの染料を還元する還元剤を併用する方法;GB−1601288号公報やGB−1600925号公報に記載の、9−ニトロアントラセンおよびビアンスロン類を使用する方法;特公昭59−22216号公報に記載の、1,4−もしくは1,2−ナフトキノンまたはそれらの誘導体とベンゾインアルキルエーテル類を併用する方法;特公昭57−39410号公報に記載の、1,4−もしくは1,2−ジオキシナフタリンまたはそれらの誘導体とベンゾインアルキルエーテル類を併用する方法;特公昭57−40499号公報に記載の、アミノナフトキノン類を使用する方法;特公昭60−21374号公報に記載の、チオニン系化合物とベンゾインアルキルエーテル類を併用する方法、等が知られている。
【0007】
これらの諸例のように、上記のような特定の有機化合物を少量配合することによって、レリーフ形状を改善することは公知である。しかしながら、これらの化合物は取扱いに充分な注意が必要な人体に有害なものであったり、高価なものであったり、その使用のために感度の低下が見られるものであったりする。またその特有な色のために装置や現像液等の汚染の問題が生じる。また、感光性樹脂組成物の構成材料(例えば、可溶性ポリマーがポリビニルアルコール系やポリアミド系の場合)や、活性光線の光源(例えばケミカルランプや超高圧水銀灯の場合)によっては、これらの化合物によるレリーフ形状の改善効果が全く出ない場合があり、必ずしも万能ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、その目的は、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部の形成と、白抜きパターンの非露光画像部の形成の両方において、原画を忠実に再現したレリーフ版を作成でき、良好な印刷物を与えることができる、感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部の形成においては、原画の画像パターンに忠実に再現でき、また、白抜きパターンの非露光画像部の形成においては、画像の太りや白抜きパターンが埋まることのない、従って良好な印刷物を形成できる、感光性樹脂組成物について鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。
【0010】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1) 可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマーおよび光重合開始剤を主成分として含有する感光性樹脂組成物であって、当該組成物の吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあり、かつ活性光線の照射によって当該吸収ピークの強度が減少することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(2) 400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有し、かつ活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少する化合物を含有する、上記(1) に記載の感光性樹脂組成物。
(3) 感光性樹脂組成物中の成分と反応して400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを付与し、かつ活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少するような化合物を含有する、上記(1) に記載の感光性樹脂組成物。
(4) 支持体上に、上記(1) 〜(3) のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光層が形成されてなる印刷用原版。
(5) 上記(4) に記載の印刷用原版を露光、次いで現像してなることを特徴とする印刷版。
(6) レリーフ版である、上記(5) に記載の印刷版。
【0011】
吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあり、かつ活性光線の照射によって当該吸収ピークの強度が減少する本発明の感光性樹脂組成物においては、活性光線に対する感度を保持しつつ、しかも光源が異なったり、活性光線の露光(照射)量を多くしても白抜きパターンの非露光画像部が埋まりにくく、画像の太りがなく、良好な印刷物が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマーおよび光重合開始剤を主成分として含有するものである。
【0013】
本発明で使用される可溶性ポリマーとは、溶剤(現像液)に分散もしくは溶解できるポリマーをいい、特に、水に分散もしくは溶解できるポリマーが好ましい。またその数平均分子量は0.5万以上、特に1万以上のものが好ましい。例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリウレア、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリブタジエン共重合体等が挙げられる。また、これらのポリマーに光重合性不飽和基を導入したポリマーも使用可能である。
【0014】
可溶性ポリマーの含有量は、感光性樹脂組成物中、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%である。当該含有量が40重量%未満であると、組成物がコールドフローしやすく、また画像の物性が低下するおそれがある。逆に80重量%を超えると、感度が低下したり、現像時間が長くなるおそれがある。また架橋密度が低くなって画像の耐水性や耐溶剤性が低下するおそれがある。
【0015】
本発明で使用される光重合性不飽和基含有モノマーとしては、分子内に光重合可能な不飽和基を1個以上含有するモノマーであり、従来公知のものが使用でき、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−アクロイルモルホリン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート;さらには、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価グリシジルエーテルに、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸等)や不飽和アルコール等のエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物の付加反応物;不飽和ポリエステル;不飽和ポリウレタン等が挙げられる。これらのモノマーは単独でも2種以上併用してもよい。
【0016】
光重合性不飽和基含有モノマーの含有量は、感光性樹脂組成物中、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは15〜40重量%である。当該含有量が5重量%未満であると、光重合による硬化速度が劣り、現像後に細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部が残りにくくなり、逆に60重量%を超えると、硬化収縮率が大きくなったり、画像の物性が低下するおそれがあり、好ましくない。
【0017】
本発明で使用される光重合開始剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類等が使用できる。具体的には、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、アントラキノン、2−クロロアントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン等がある。
【0018】
光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物中、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2.0重量%である。当該含有量が0.05重量%未満であると、光重合が開始しにくく、逆に5重量%を超えると、当該組成物を使用した感光層の厚み方向の光重合が悪くなって、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部が欠けやすくなり、好ましくない。
【0019】
感光性樹脂組成物に安定剤を配合してもよく、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。安定剤の含有量は、感光性樹脂組成物中、好ましくは0.001〜5重量%、より好ましくは0.01〜1.0重量%である。
【0020】
また、エステルやアミド等の低分子可塑剤、ポリエステルやポリエーテル、液状ゴム類等のオリゴマー等の可塑剤を感光性樹脂組成物に配合して、光重合物の物性を変化させることができる。また、公知の染料や色素を添加して感光性樹脂層を着色し、形成した画像部を鮮明にすることもできる。
【0021】
本発明の感光性樹脂組成物は、その吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあり、かつ活性光線の照射によって当該吸収ピークの強度が減少する。ここで、その吸収ピークが400nm未満である場合、そのような感光性樹脂組成物は活性光線を吸収してしまうので、活性光線に対する感度の低下が著しく、従って光重合が生じにくい。逆に、その吸収ピークが500nmを超える場合、そのような感光性樹脂組成物は色調が鮮明で濃くなり、装置や材料の汚染が目立つ欠点がある。感光性樹脂組成物の吸収ピークは420nm〜490nmの波長領域内にあることが好ましい。
【0022】
また、400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有しても活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少しない場合、活性光線の照射量を多くすると白抜きパターンの非露光画像部が埋まりやすく、画像太りが見られ、良好な印刷物が得られない。吸収ピークの強度(画像が得られる最小量の照射で)が20%以上、特に30%以上減少することが好ましい。吸収ピークの強度の減少率が20%未満であると、鮮明な画像が得られにくくなるおそれがある。
【0023】
感光性樹脂組成物が400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有することは、分光光度計を用いて、感光性樹脂組成物の吸収スペクトル曲線を測定し、400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークが存在することで確認できる。また、活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少するかどうかは、活性光線の照射前後の感光性樹脂組成物の吸収スペクトル曲線の測定し、その吸収ピークの強度の変化により確認できる。
【0024】
本発明の感光性樹脂組成物においては、▲1▼その吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあるので、活性光線をある程度吸収し、感度が少し低いが、▲2▼光重合開始剤の存在下、活性光線の照射によって当該吸収ピークの強度が減少して、照射中に照射部の感度が高くなる、というものである。従って、活性光線に対する感度を保持しつつ、しかも光源が異なったり、活性光線の露光(照射)量を多くしても白抜きパターンの非露光画像部が埋まりにくく、画像の太りがなく、良好な印刷物が得られる。
【0025】
吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあり、かつ活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少するような感光性樹脂組成物は、400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有し、かつ光重合開始剤の存在下、活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少する化合物を、通常の感光性樹脂組成物に配合することにより調製することができる。
【0026】
400nmより短波長に吸収ピークを有する化合物は、活性光線を吸収してしまうので感度の低下が著しく、逆に、500nmより長波長に吸収ピークを有する化合物は、色調が鮮明で濃くなり、装置や材料の汚染が目立つ欠点がある。当該化合物は420nm〜490nmの波長領域内に吸収ピークを有することが好ましい。また、400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有するが、活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少しないような化合物を配合しても、活性光線の照射量を多くすると白抜きパターンの非露光画像部が埋まりやすく、良好な印刷物が得られない。
【0027】
400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを有し、かつ活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少するような化合物としては、特に限定されないが、例えば、クリソイジン(2,4−ジアミノアゾベンゼン)やその塩酸塩であるクリソイジンG、オレンジG、オイルエローAB、メルレッド、メチルオレンジ、N−シクロヘキシルアミノ−1,4−ナフトキノン等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。
【0028】
上記の化合物の配合量は、感光性樹脂組成物中、好ましくは0.001〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.05重量%である。当該配合量が0.001重量%未満の場合、上記化合物による効果が得られず、逆に1.0重量%を超える場合、感度が低下して硬化不良となり、また着色が激しくなり、好ましくない。
【0029】
あるいは、感光性樹脂組成物に配合した時に、組成物中の他の構成成分と反応して、結果として400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークを与え、かつ光重合開始剤の存在下、活性光線の照射によってその吸収ピークの強度が減少するような化合物を、配合することによっても本発明の感光性樹脂組成物を調製することができる。このような化合物としては、例えば1,4−ナフトキノンが挙げられ、当該化合物は、感光性樹脂組成物中のアミン化合物と反応して450nmに吸収ピークが与えられ、その吸収ピークの強度は活性光線の照射によって減少する。
【0030】
上記の化合物の配合量は、反応する組成物中の他の構成成分の量にもよるが、と反応感光性樹脂組成物中、好ましくは0.005〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.2重量%である。当該配合量が0.005重量%未満の場合、上記化合物による効果が得られず、逆に0.5重量%を超える場合、感度の低下して硬化不良となり、また着色が激しくなり、好ましくない。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、熱プレス、注型または溶融押出し、溶液キャスト等の公知の任意の方法により所望の厚さのシート状物とすることができる。また、このシート状物を感光層として、公知の接着剤を介してまたは介さずに支持体に積層することもできる。支持体としてはスチール、アルミニウム、ガラス、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルム、金属蒸着したフィルム等任意のものが使用できる。
【0032】
感光層と支持体とからなる感光性樹脂印刷用原版(生版)の場合には、感光層上に保護層が積層されてもよい。この保護層には、フィルム状のプラスチック(例えばポリエステルの125μm厚みのフィルム)に、粘着性のない透明で現像液に分散または溶解し得る高分子からなる薄膜(厚さ1〜3μm)を有する保護材が用いられる。この薄膜が感光層と接するように、当該保護材を感光層上に積層する。そして、露光操作前にこの積層体から当該保護材のフィルム状のプラスチックのみを剥離し露光する。感光層表面の粘着性が強い場合であっても、保護材の薄膜は粘着性がないので、薄膜からフィルム状のプラスチックを容易に剥離することができる。
【0033】
上記の感光性樹脂組成物からなるシート状物、または感光性樹脂組成物からなる層が支持体上に形成された積層体の感光性樹脂印刷用原版(生版)は、シート状物上または感光層上に透明画像部を有するネガフィルムまたはポジフィルムを密着して重ね合せ、その上方から活性光線を照射して露光をおこなうと、露光部のみが不溶化ならびに硬化する。活性光線は通常300nm〜400nmの波長を中心とする高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、ケミカルランプ等の光源を用いる。
【0034】
次いで適当な溶剤、特に中性水により非露光部分を溶解除去することによって、鮮明な画像部を有する感光性樹脂印刷版を得る。溶解除去にはスプレー式現像装置またはブラシ式現像装置を用いる。
【0035】
以下に実施例で本発明をさらに詳しく説明する。実施例中の部数は重量部のことである。
【0036】
実施例1
ε−カプロラクタム62部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸とのナイロン塩38部および水100部をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで5回置換した後、180℃で1時間加熱した。次に反応温度を240℃まで45分間で上昇させながら、徐々に留出水分を除き、更に窒素ガスを20ml/分の流量で流しながら2時間加熱してポリアミド(1)を得た。
【0037】
ポリアミド(1)55.0部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド7.7部、1,4−ナフトキノン0.02部、クリソイジンG(2,4−ジアミノアゾベンゼン・塩酸塩)0.03部、メタノール50.0部および水10部を、攪拌付き加熱解釜中に添加し、60℃で2時間混合してポリマーを完全に溶解した。次いで、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルのアクリル酸付加物30.1部、メタクリル酸3.1部、イタコン酸0.1部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、亜硫酸アンモニウム0.3部およびベンジルジメチルケタール1.0部を添加し、30分間混合して溶解した。次に徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃になるまで濃縮した。この段階で、流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0038】
この感光性樹脂組成物を125μm厚みのポリエステルフィルム上にとり、もう1枚の同様のポリエステルフィルムをその上に重ね、ラミネーターで全厚みが1050μmのシートを作成し、室温で24時間放置後に103℃で3分間加熱した。2枚のポリエステルフィルムを剥離した感光性樹脂組成物シートを、日立製作所(株)製、320型自記分光光度計を用いて360nmから600nm迄の吸収スペクトル曲線を測定した結果、460nmに吸収ピークを有し、その透過率は2.2%であった。この感光性樹脂組成物シートを超高圧水銀灯(ORC社製、Polymer Printer 3000型)で40秒間露光してから上記と同様に吸収スペクトル曲線を測定したところ、460nmの吸収ピークが減少してその透過率は10.9%であり、吸収ピーク強度の減少率は58%であった。
【0039】
これとは別に、共重合ポリエステル(バイロンRV−30SS 東洋紡績(株)製)と多官能イソシアネート(コロネートL 日本ポリウレタン(株)製)と褐色染料の反応物を、厚み180μmのポリエステルフィルム上に、厚み15μmとなるようにコートして被膜を形成し、当該フィルムを支持体とし、この上に上記の感光性樹脂組成物を流延した。ポリビニルアルコール(AH−24 日本合成化学(株)製)被膜(厚み2μm)を有する、厚み125μmのポリエステルフィルムを、その被膜が感光性樹脂組成物と接するように、感光性樹脂組成物上に載せ、ラミネーターを用い、全厚みが1080μmの積層体を得た。この積層体は室温下で堅い板状に固化した。24時間後、この積層体を103℃で3分間加熱して感光性樹脂印刷用原版(生版)を得た。
【0040】
感光性樹脂印刷用原版を7日間以上保管した後、125μmのポリエステルフィルムを剥離し、次いでテストネガフィルム(感度測定用グレイスケールネガフィルムと画像再現性評価用画像のネガフィルム)を真空密着させ、超高圧水銀灯(ORC社製、Polymer Printer 3000型)で40秒間露光した。次にブラシ式ウォッシャー(100μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)製 JW−A2−PD型)を用い、水道水を現像液として、23℃で2分間現像し、レリーフ画像を得た。更に60℃で5分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯(ORC社製、Polymer Printer 3000型)で30秒間露光して得られたレリーフ版を評価した結果、グレイスケールは16段、画像部は2%網点、100μm独立点および30μm細線が再現されていた。また、300μmスリット幅のレリーフ抜け深さは98μmであった。高感度で画像の再現性の優れている事が確認された。このレリーフ版で印刷テストを行った結果、画像の太りがなくシャープな刷り上がりの印刷物が得られた。
【0041】
比較例1
実施例1において、1,4−ナフトキノンとクリソイジンGを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物シートおよび感光性樹脂印刷用原版(生版)を作成し、これらを実施例1と同様の方法により評価した。感光性樹脂組成物シートの吸収スペクトル曲線から、400nm〜500nmの波長領域内に吸収ピークが認められなかった。感光性樹脂印刷用原版を用い、実施例1と同様の方法により露光、現像して得られたレリーフ版を評価した結果、グレイスケールは20段で画像が明瞭に再現されなかったので、20秒間の露光後、実施例1と同様の方法により現像して得られたレリーフ版を評価した結果、グレイスケールは16段、画像部は100μm独立点、30μm細線は再現されていたが、2%網点が埋まり、また300μmスリット幅のレリーフ抜け深さは15μmであり、画像の太りが大きくシャープな刷り上がりの印刷物は得られなかった。
【0042】
参考例2
ε−カプロラクタム55.0部、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.0部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート7.5部および水100部を反応器に加え、充分な窒素置換を行った後に、密閉して徐々に加熱した。内圧が10kg/cm2 に達した時点から反応器内の水を徐々に留出させて約1時間で常圧に戻し、その後0.5時間常圧で反応させた。最高重合温度は210℃であった。得られた重合体は融点140℃、比粘度1.83の透明淡黄色のポリアミド(2)を得た。
【0043】
ポリアミド(2)55.0部、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、メタノール50.0部および水10部を、攪拌付き加熱解釜中に添加し、60℃で2時間混合してポリマーを完全に溶解した。次いで、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルのアクリル酸付加物34.7部、メタクリル酸2.9部、グリシジルメタクリレート1.0部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部およびベンジルジメチルケタール1.0部を添加し、実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物を得、次いで、実施例1と同様の方法により、感光性樹脂組成物シートと感光性樹脂印刷用原版(生版)を作成した。
【0044】
この感光性樹脂組成物シートをケミカルランプ(三菱電機(株)製、ネオルミスーパFL20SBL−360型、波長範囲:350〜400nm)で3分間照射して、実施例1と同様の方法により照射前後の吸収スペクトル曲線を測定した結果、455nmに吸収ピークが認められ、照射前で透過率が38.0%、照射後で透過率が57.7%であり、吸収ピーク強度の減少率は46%であった。
【0045】
感光性樹脂印刷用原版を、実施例1と同様のテストネガフィルムを用いてケミカルランプ(三菱電機(株)製、ネオルミスーパFL20SBL−360型、波長範囲:350〜400nm)で3分間照射後、実施例1と同様の方法により現像してレリーフ版を作成した結果、クレイスケールは15段、画像部は2%網点、100μm独立点および30μm細線が再現されていた。また、300μmスリット幅のレリーフ抜け深さは80μmであった。高感度で画像の再現性の優れている事が確認された。このレリーフで印刷テストを行った結果、鮮明な印刷物が得られた。
【0046】
比較例2
実施例2において、1,4−ナフトキノンの代わりにチタンエローを0.025部添加したこと以外は、実施例2と同様の方法により、感光性樹脂組成物シートと感光性樹脂印刷用原版(生版)を作成した。ケミカルランプ(三菱電機(株)製、ネオルミスーパFL20SBL−360型、波長範囲:350〜400nm)で3分間照射して、実施例1と同様の方法により照射前後の吸収スペクトル曲線を測定した結果、感光性樹脂組成物シートの吸収スペクトル曲線から410nmに吸収ピークが認められたが、ケミカルランプで3分間照射してもその吸収ピークの透過率は変動しなかった。また、感光性樹脂印刷用原版を、実施例1と同様のテストネガフィルムを用いてケミカルランプで3分間照射後、実施例1と同様の方法により現像してレリーフ版を作成した結果、グレイスケールは16段、画像部は100μm独立点および30μm細線は再現されていたが、2%網点が埋まり、300μmスリット幅のレリーフ抜け深さは30μmであり、画像の太りが大きくシャープな刷り上がりの印刷物は得られなかった。
【0047】
参考例3
部分鹸化ポリビニルアルコール(クラレ(株)LM−10HD)60部、ジエチレングリコールジメタクリレート10部、エポキシエステル70−PA(共栄社化学(株))26.7部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部、ジメチルベンジルケタール1.2部、ジエチレングリコール2部、クリソイジン0.02部およびメタノール50部を、60℃で2時間混合し溶解した後、樹脂温度が110℃になる迄、加熱濃縮し、実施例1と同様の方法より、感光性樹脂組成物を得、次いで、実施例1と同様の方法より、感光性樹脂組成物シートと感光性樹脂印刷用原版(生版)を作成した。
【0048】
感光性樹脂組成物シートをフィリップス社(株)製のTL−K10ランプ(波長範囲:350〜400nm)で2分間照射して、実施例1と同様の方法により照射前後の吸収スペクトル曲線を測定した結果、455nmに吸収ピークが認められ、照射前で透過率が12.9%、照射後で透過率が50.5%であり、吸収ピーク強度の減少率は32%であった。また、感光性樹脂印刷用原版を、実施例1と同様のテストネガフィルムを用いてフィリップス社(株)製のTL−K10ランプで2分間照射後、現像液を4重量%のラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を用いて現像して得られたレリーフ版は、グレイスケールは15段、画像部は2%網点、100μm独立点および30μm細線が再現されていた。また、300μmスリット幅のレリーフ抜け深さは102μmであった。高感度で画像の再現性の優れている事が確認された。このレリーフで印刷テストを行った結果、画像の太りがなくシャープな刷り上がりの印刷物が得られた。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物によれば、細い線、小さな独立点、小さな活字や細かい網点等の露光画像部の形成の場合と、白抜きパターンの非露光画像部の形成の場合のどちらの場合でも原画を忠実に再現したレリーフ版を作成でき、良好な印刷物を与える高感度で、鮮明な画像再現性を有するレリーフ版が得られる。また、本発明の感光性樹脂組成物においては、照射部分は未照射部分に比較して退色するので、現像工程前にも画像の判別が容易である。さらに、本発明の感光性樹脂組成物は黄色や淡黄赤色であるので、装置等の汚染が目立たない。
Claims (4)
- 可溶性ポリマー、光重合性不飽和基含有モノマーおよび光重合開始剤を主成分として含有するとともに1,4−ナフトキノンとクリソイジンまたはクリソイジンGを含有し、吸収ピークが400nm〜500nmの波長領域内にあり、かつ活性光線の照射によって当該吸収ピークの強度が減少することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 支持体上に、請求項1に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層が形成されてなる印刷用原版。
- 請求項2に記載の印刷用原版を露光、次いで現像してなることを特徴とする印刷版。
- レリーフ版である、請求項3に記載の印刷版。
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