JP6842663B2 - レーザー彫刻用凸版印刷原版 - Google Patents
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Description
(1)感光性樹脂層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するために用いられるレーザー彫刻用凸版印刷原版であって、前記感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物が、水溶解性又は水分散性のポリアミド、光重合性不飽和化合物、及び光重合開始剤を含有すること、前記ポリアミドが、ジアミン及びジカルボン酸より得られる脂環族構造単位を30〜90モル%含有すること、及び前記脂環族構造単位のうち脂環族ジカルボン酸より得られる脂環族構造単位が前記ポリアミド中20モル%以上であることを特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版。
(2)前記ポリアミドは、動的粘弾性測定装置によって測定した貯蔵弾性率が500〜4000Mpaであることを特徴とする(1)に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
(3)脂環族構造単位となる脂環族ジアミンが、イソホロンジアミン、1,4−シクロへキサンジアミン、1,3−シクロへキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルニルジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン及びN−(2−アミノエチル)ピペラジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の脂環族ジアミンであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
(4)脂環族ジカルボン酸が、イソホロンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の脂環族ジカルボン酸であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
(5)前記ポリアミドが、第3級窒素原子を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
(6)前記ポリアミドが、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸より得られる構造単位を10〜70モル%含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
原版を感光性樹脂層の表面より高さ5cmの距離から8mW/cm2の紫外線露光機(光源:フィリップス社製10R)により10分露光し、架橋硬化させた後、保護フィルムを剥がした。続いて、レーザー彫刻装置としてLuescher Flexo社製の300W炭酸ガスレーザーを搭載したFlexPose ! directを用いてレーザー彫刻(直彫り)を実施して、印刷版を得た。本装置の仕様は、レーザー波長10.6μm、ビーム直径30μm、版装着ドラム直径は300mm、加工速度は1.5時間/0.5m2であった。レーザー彫刻の条件は、以下のとおりである。なお、(1)〜(3)は装置固有の条件である。(4)〜(7)は任意に条件設定が可能であり、それぞれの条件は本装置の標準条件を採用した。
(1)解像度:2540dpi
(2)レーザーピッチ:10μm
(3)ドラム回転数:982cm/秒
(4)トップパワー:9%
(5)ボトムパワー:100%
(6)ショルダー幅:0.30mm
(7)評価画像:150lpi、0〜100%まで1%刻みの網点
150lpi−1%の画像再現性は10倍のルーペを使い、肉眼で判定した。得られた印刷版を用いてハイライト印刷性の評価を行った。印刷機には、輪転印刷機P−20(三條機械製)を用い、インキにはベストキュア藍(T&K TOKA製)、被印刷物にはグロスPW−8K(リンテック製)を用いた。印圧(版と被印刷物間の圧力)を段階的に高め、ベタ箇所のカスレが無くなる箇所を適性圧として印刷評価を実施した。また、ベタ箇所のインキ濃度が1.7absになるようにインク送り量を調整した。適性圧での150lpi−1%〜5%の網点濃度を、CCDOT4(エス・デェイ・ジー株式会社製)を用いて測定し、その結果を%で表して表1にまとめた。ハイライト部印刷性は、印刷物の網点濃度がデータの網点濃度に近く、また、データの網点が5%から1%へ減少するのに応じて印刷物の網点濃度がスムーズに減少していく場合には優れるとの評価になる。
(1)のハイライト部印刷性評価用レリーフを作成した時と同じ方法で印刷版を製造し、得られた印刷版を用いて印刷版表面の粘着性評価を行った。粘着性は、被印刷物であるコート紙(グロスPW−8K、(株)リンテック製)を版に押し付けて、コート紙の滑り度合いから以下の基準で評価した。
○:コート紙が抵抗なく滑る。
△;コート紙と版が粘着するが、力を入れると滑る。
×:コート紙と版が粘着して滑らない。
(1)のハイライト部印刷性評価用レリーフを作成した時と同じ方法で印刷版を製造し、適性印圧から50μm加圧した状態で1万ショットの印刷を行い、1万ショット印刷後に印刷物と版を200倍に拡大した顕微鏡で観察し、以下の判定基準で評価した。
◎:印刷物に欠点なく、かつ版にもクラックなし。
○:印刷物に欠点はないが、版に軽微なクラックあり。
△:印刷物に目視で欠点は確認できないが、200倍に拡大した顕微鏡の観察では不良がみられる。
×:目視で印刷物に不良が確認できる。
(3)の評価で得られた版の1%網点を顕微鏡で200倍に拡大し、以下の判定基準で評価した。
○:印刷前後で1%網点に変化なし。
△:印刷後では、1%網点の2割未満に欠けが起きる。
×:印刷後では、1%網点の2割以上に欠けが起きる。
アイティー計測制御株式会社製、動的粘弾性装置DVA220を用い、引っ張りモードで測定した。空気雰囲気下において、昇温速度4℃/分、周波数10Hz、サンプル形状15mm×4mmで測定した。30℃での弾性率を貯蔵弾性率とした。
TAインスツルメンツ社製DSC100を用いて測定した。ポリアミド樹脂10.0mgをアルミパンに入れ、20℃/分の昇温温度で300℃まで加熱し、300℃に達してから3分間保持した後即座に、液体窒素中でクエンチした。その後、室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。Tgはベースラインと変曲点での接線の交点の温度とした。
ε−カプロラクタム339部、シクロヘキサンジカルボン酸596部、メチルイミノビスプロピルアミン514部、50%次亜リン酸水溶液5部、及び水1000部をオートクレーブ中に仕込み、窒素置換後、密閉して徐々に加熱した。内圧が0.4MPaに達した時点から、その圧力を保持できなくなるまで水を留出させ、約2時間で常圧に戻し、その後1時間常圧で反応させた。最高重合反応温度は255℃であった。これにより、ガラス転移温度90℃、弾性率1000MPa、相対粘度2.10のポリアミドを得た。ポリアミドの組成をH−NMRで測定し、仕込み組成とポリマー組成に差異がないことを確認した。
実施例1と同様にして水溶解性のポリアミドを合成した。ポリアミドの弾性率とガラス転移温度(Tg)は、実施例1と同様にして測定した。得られたポリアミドを用いて実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を作成し、印刷原版を得た。得られた印刷原版について、実施例1と同様の評価を行った。これらの評価結果を実施例2〜18と比較例1〜4のポリアミドの詳細とともに表1に示した。
Claims (6)
- 感光性樹脂層を紫外線照射によって硬化させた後にレーザー光照射により画像形成して印刷版を形成するために用いられるレーザー彫刻用凸版印刷原版であって、前記感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物が、水溶解性又は水分散性のポリアミド、光重合性不飽和化合物、及び光重合開始剤を含有すること、前記ポリアミドが、ジアミン及びジカルボン酸より得られる脂環族構造単位を30〜90モル%含有すること、及び前記脂環族構造単位のうち脂環族ジカルボン酸より得られる脂環族構造単位が前記ポリアミド中20モル%以上であることを特徴とするレーザー彫刻用凸版印刷原版。
- 前記ポリアミドは、動的粘弾性測定装置によって測定した貯蔵弾性率が500〜4000Mpaであることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
- 脂環族構造単位となる脂環族ジアミンが、イソホロンジアミン、1,4−シクロへキサンジアミン、1,3−シクロへキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルニルジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン及びN−(2−アミノエチル)ピペラジンからなる群から選ばれる少なくとも一種の脂環族ジアミンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
- 脂環族ジカルボン酸が、イソホロンジカルボン酸、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、2,3−ノルボルナンジカルボン酸、及び1,3−シクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種の脂環族ジカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
- 前記ポリアミドが、第3級窒素原子を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
- 前記ポリアミドが、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸より得られる構造単位を10〜70モル%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー彫刻用凸版印刷原版。
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