JP6353803B2 - ポリスチレン系樹脂発泡成形体 - Google Patents
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Description
発泡成形体を製造するための原料である発泡性粒子として、発泡性スチレン樹脂粒子が汎用されており、例えば次のようにして発泡成形体が得られている。即ち、発泡性スチレン樹脂粒子のような発泡性粒子を蒸気で加熱して予備発泡させて予備発泡粒子を得る。得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填する。次いで、充填された予備発泡粒子を蒸気で二次発泡させつつ、予備発泡粒子同士の熱融着により一体化させることで発泡成形体を得ることができる(例えば、特開2011−26508号公報:特許文献1)。
前記融着面付近の気泡が融着面から粒子の半径方向の20%までの領域に位置する気泡であり、かつ2.0以上、10.0以下のアスペクト比を有し、
前記粒子中心部の気泡が、前記融着面から粒子方向の半径の20%までの領域を除く領域に位置する気泡であり、かつ1.0以上、2.0未満のアスペクト比を有し、
前記ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、構成成分として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン及びジビニルビフェニルから選択される他の単量体由来成分を含むことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡成形体が提供される。
(1)融着面付近の気泡が、50μm以上、100μm未満の平均気泡径を有し、粒子中心部の気泡が、100μm以上、200μm以下の平均気泡径を有する。
(2)発泡粒子がスチレン−アクリル酸エステル共重合体を含み、かつZ+1平均分子量が200万以上、1000万以下である。
融着面領域の気泡が2.0以上、10.0以下のアスペクト比を有し、中心領域の気泡が1.0以上、2.0未満のアスペクト比を有している。アスペクト比は、各気泡の最大径と最小径の比(最大値/最小値)を意味する。
融着面領域の気泡のアスペクト比が2.0未満の場合、成形体強度が低下することがある。10.0より大きい場合、発泡粒子間の接着強度が低下し、成形体強度が低くなることがある。好ましいアスペクト比は2.0〜8.0であり、より好ましいアスペクト比は2.5〜7.0である。
融着面領域の気泡のアスペクト比は、中心領域の気泡のアスペクト比の1.1倍以上であることが好ましい。1.1倍以上であることで、機械的強度の向上と高倍化を両立することができる。より好ましくは1.1〜10.0倍であり、更に好ましくは1.1〜8.0倍である。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、融着面領域と中心領域が次の平均気泡径の気泡から構成されていることが好ましい。即ち、融着面領域の気泡が50μm以上、100μm未満の平均気泡径を有し、中心領域の気泡が100μm以上、200μm以下の平均気泡径を有することが好ましい。なお、この場合の平均気泡径としてはASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定した平均弦長から算出される値を言う。
融着面領域の平均気泡径が50μm未満の場合、成形性が低下することがある。100μm以上の場合、強度低下が起こることがある。好ましい平均気泡径は50〜90μmであり、より好ましい平均気泡径は50〜80μmである。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、スチレン系単量体に由来する成分から構成される。スチレン系単量体由来の成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体の単独重合体、もしくは、これらの共重合体が挙げられる。
Mz+1は、Mn、Mw及びMzより高分子量の成分がリッチに存在していることを強調し得る平均分子量である。
本発明における発泡体において、200万以上、1000万以下のMz+1を有していることが好ましい。Mz+1が200万未満の場合、成形体強度が不十分となることがある。1000万より大きい場合、成形性が低下することがある。好ましいMz+1は200万〜800万であり、より好ましいMz+1は200万〜500万である。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体には、必要に応じて、樹脂以外に他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料等が挙げられる。
可塑剤としては、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の高級脂肪酸グリセライド等が挙げられる。
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の高級脂肪酸グリセライド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法は特に限定されない。例えば、スチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系単量体と、任意に他の単量体とを含む単量体混合物を吸収させ重合させることで、樹脂粒子を得、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させて予備発泡粒子を得、予備発泡粒子を型内成形することで得ることができる。
種粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(i)スチレン系樹脂を押出機で溶融混練し、ストランド状に押し出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(ii)水性媒体、スチレン系単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(iii)水性媒体及びスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を連続的にあるいは断続的に供給して、スチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。
また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、単量体混合物を供給することで、各単量体を種粒子に吸収させる。水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
重合工程は、使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気等により異なるが、通常、70〜130℃の加熱を、3〜10時間維持することにより行われる。例えば、100万以上、400万以下のZ+1平均分子量を示す発泡粒子の融着体からなるポリスチレン系樹脂発泡成形体を得る場合、重合工程は、80〜130℃の加熱により行われてもよい。また、400万より大きく、1000万以下のZ+1平均分子量を示す発泡粒子の融着体からなるポリスチレン系樹脂発泡成形体を得る場合、重合工程は、80〜90℃の加熱により行われてもよい。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時の重合を含む)。
本発明のように200万以上、1000万未満のZ+1平均分子量を示す発泡粒子の融着体からなるポリスチレン系樹脂発泡成形体を得る場合、2段以上に分けることが好ましい。
まずスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体と必要に応じて単官能アクリル酸エステル等を含む第1単量体混合物を吸収させて種粒子内で重合させる(第1工程)。
次に、第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体を吸収させつつ重合させる(第2工程)。更に、第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と多官能性単量体とを含む第2単量体混合物を吸収させつつ重合を行う(第3工程)。
発泡性粒子は、上記スチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた粒子である。
発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は、70〜110℃である。
発泡助剤を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としては、アジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。Z+1平均分子量(Mz+1)が400万〜700万であればスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.5〜1.5質量部、700万〜1000万であれば1.5〜2.0質量部のシクロヘキサンを添加することが好ましい。それぞれ添加しない場合や添加量が少ない場合、発泡性粒子から所望の密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体が得られないことや、型内発泡成形時の二次発泡力が低下し発泡成形体の外観を損なうことがある。
予備発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性粒子を発泡させることで得られる。予備発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。予備発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3より小さい場合、次に得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えてポリスチレン系樹脂発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、嵩密度が0.04g/cm3より大きい場合、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の軽量性が低下することがある。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。塗布しておくことで、発泡性粒子の発泡工程において予備発泡粒子同士の結合を減少できる。
ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、例えば、食品、工業製品等の容器、魚、農産物等の梱包材、床断熱用の断熱材、盛土材、畳の芯材、FJリング等の緩衝材に使用できる。ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度が0.01g/cm3より小さい場合、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えてポリスチレン系樹脂発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、密度が0.04g/cm3より大きい場合、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の軽量性が低下することがある。
Z+1平均分子量(Mz+1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する。具体的には、試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLにて72時間静置して溶解させ(完全溶解)、得られた溶液を倉敷紡績社製の非水系0.45μmのクロマトディスク(13N)で濾過して測定する。予め測定し作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。またクロマトグラフの条件は下記の通りとする。
(測定条件)
使用装置:高速GPC装置:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSECシステム(RI検出器内蔵)
ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ−H(4.6mmID×2cmL)×1本
カラム:東ソー社製 TSKgel SuperHZM−H(4.6mmI.D×15cmL)×2本
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
移動相流量:試料側 0.175mL/分、リファレンス側 0.175mL/分
検出器:RI検出器
試料濃度:0.3g/L
注入量:50μL
測定時間:0−25分
ランタイム:25分
サンプリングピッチ:200msec
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製 商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、5,480,000、3,840,000、355,000、102,000、37,900、9,100、2,630、500のものと、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1,030,000である標準ポリスチレン試料を用いる。
気泡アスペクト比についてはASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定する。嵩密度0.0166g/cm3に発泡成形された成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、100倍に拡大した画像を作成する。次に、切断面の画像上にある発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲における任意の気泡を20個選び、各気泡の最大径(L1)と最小径(L2)を測定する。アスペクト比は下記の式にて算出する。
アスペクト比=L1/L2
一方、切断面の画像上にある、発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲以外の部分で上記と同様の作業を行い、発泡粒子中心部のアスペクト比を算出する。
平均気泡径についてはASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定する。嵩密度0.0166g/cm3に発泡成形された成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、100倍に拡大した画像を作成する。
次に、切断面の画像上にある発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲における任意の位置で60mmの直線を描く。直線上にある気泡の個数を数え、次式によりこの気泡の平均弦長(t)を算出する。
平均弦長t(μm)=60/(気泡数×画像の拡大倍数)
次の式により、この気泡の平均気泡径(D)を算出する。
平均気泡径D(μm)=t/0.616
以上の作業をN数10で行い、平均値を平均気泡径とする。
一方、切断面の画像上にある、発泡粒子界面から発泡粒子半径方向の20%の範囲以外の部分で同様に作業を行い、平均気泡径を算出する。
予備発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的には、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
ポリスチレン系樹脂発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×30mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)によりポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
発泡体の平均最大曲げ強度をJIS K7221−2「硬質発泡プラスチック曲げ試験」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、密度16.7kg/m3の発泡体から縦75mm×横300mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて、試験速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10Rの条件下にて測定する。試験片を5個用意し、試験片ごとに試験片が破壊する最大荷重を測定するとともに、曲げ弾性率を算出する。
曲げ試験条件荷重(fs%)開始点=0.0、終了点=20.0、ピッチ=0.2(fs%)
成形性評価は前記条件で成形体を得て、目視判断を行い収縮がなく、成形体表面の予備発泡粒子間の隙間が少ないものを○、収縮又は、予備発泡粒子間の隙間が多いものを×とした。一方、曲げ弾性率が13.0MPa以上を○、13.0MPa未満を×として評価を行った。
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム5.0質量部を供給し攪拌しながらスチレン40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド128質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子(a)を得た。前記スチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのスチレン系樹脂粒子(平均粒子径0.63mm、重量平均分子量25万;b)を得た。
続いて、ベンゾイルパーオキサイド32.9gとt−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gとを、スチレン850gとアクリル酸ブチル150gとの単量体混合物に溶解させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ供給した。そして分散液中に前記溶液を供給し終えてから60分間72℃に維持しながら重合反応を行った(第1工程)。
その後この分散液を90℃まで60分かけて昇温しながら、スチレン2660gを一定速度で重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら重合反応を行った(第2工程)。
次に分散液を100℃に保持し、続いて、重合容器内にシクロヘキサン80g、アジピン酸ジイソブチル70g、ノルマルブタン700gを圧入して3時間に亘って保持することにより、樹脂粒子中にノルマルブタンを含浸させた。この後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性粒子を得た。
ジビニルベンゼンを0.3g使用したこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は収縮もなく外観も優れていた。
(実施例3)
ジビニルベンゼンを1.2g使用したこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
第2工程にて、分散液を84℃まで60分かけて昇温しながら、スチレン2660gを投入した。第3工程にて、分散液を84℃で保持しながらスチレン4000g、ジビニルベンゼン2.4gを混合したものを一定速度で、90分かけて重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら重合反応を行い、シクロヘキサン使用量を110gに変更したこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
ベンゾイルパーオキサイド45.9gとt−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gとを、スチレン750gとアクリル酸ブチル250gとに溶解させたこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
ベンゾイルパーオキサイド45.9gとt−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gとを、スチレン550gとアクリル酸ブチル450gとに溶解させたこと以外は実施例3と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
ベンゾイルパーオキサイド45.9gとt−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gとを、スチレン1000gのみに溶解し、かつジビニルベンゼンを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。この発泡成形体のカット面の写真を図2に示す。
ジビニルベンゼンを使用しなかったこと以外は実施例1と同様にポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
第2工程にて、分散液を80℃まで60分かけて昇温しながら、スチレン2660gを投入した。第3工程にて、分散液を80℃で保持しながらスチレン4000g、ジビニルベンゼン3.0gを混合したものを一定速度で、90分かけて重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら重合反応を行い、シクロヘキサン使用量を110gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、Mz+1 1200万程度を狙って実施したが、評価できるポリスチレン系樹脂発泡成形体は得られなかった。
Claims (3)
- 互いに融着した複数の発泡粒子からなるポリスチレン系樹脂発泡成形体であり、前記発泡粒子間の融着面付近と発泡粒子の中心部とで異なるアスペクト比の気泡から構成され、
前記融着面付近の気泡が融着面から粒子の半径方向の20%までの領域に位置する気泡であり、かつ2.0以上、10.0以下のアスペクト比を有し、
前記粒子中心部の気泡が、前記融着面から粒子方向の半径の20%までの領域を除く領域に位置する気泡であり、かつ1.0以上、2.0未満のアスペクト比を有し、
前記ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、構成成分として、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン及びジビニルビフェニルから選択される他の単量体由来成分を含むことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡成形体。 - 前記融着面付近の気泡が50μm以上、100μm未満の平均気泡径を有し、前記粒子中心部の気泡が100μm以上、200μm以下の平均気泡径を有する請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体。
- 前記発泡粒子がスチレン−アクリル酸エステル共重合体を含み、かつ発泡成形体のGPC測定で得られるZ+1平均分子量が200万以上、1000万以下である請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂発泡成形体。
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