JP7212263B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子に関する。
スチレン系樹脂発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体は、魚箱、食品容器などの包装材や輸送容器として幅広く使用されている。
発泡粒子成形体は、例えば次のようにして製造される。まず、発泡剤を含有する発泡性樹脂粒子をスチームなどの加熱媒体により加熱して発泡させることにより、発泡粒子を作製する。次いで、所望する成形体の形状に対応したキャビティを有する金型内に発泡粒子を充填し、スチームなどの加熱媒体により金型内で多数の発泡粒子を加熱する。金型内の発泡粒子は、加熱によってさらに発泡すると共に、相互に融着する。これにより、多数の発泡粒子を一体化させ、金型の形状に応じた発泡粒子成形体を得ることができる。
例えば、特許文献1には、スチレンと、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステルとの共重合体からなるスチレン系樹脂を基材樹脂とし、発泡剤を含有する発泡性樹脂粒子、この発泡性樹脂粒子を用いて得られる発泡粒子、この発泡粒子を型内成形してなる発泡粒子成形体が記載されている。
特開2015-199923号公報
スチレンとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなるスチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子は、型内成形時において、比較的低いスチーム圧力(以下、単に成形圧力ともいう。)で発泡粒子成形体を得ることができる。一方で、このような発泡粒子においては、成形圧力の低い条件で型内成形した際に得られる成形体の強度について、改善の余地があった。
特に、例えば魚箱等の輸送容器においては、内容物が収容された容器を積み上げることがある。このような場合、下段側の容器には、当該容器上に積載された容器とその内容物とによる荷重がかかることとなる。そのため、得られる成形体の強度が低いと、下段側の容器が荷重に耐えきれず、容器が破損するおそれや、段積みした容器の輸送時に荷崩れ等が生じるおそれがあった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、低い成形圧力での型内成形が可能であると共に、低い成形圧力で型内成形した場合であっても強度に優れる発泡粒子成形体を製造可能な発泡粒子を得ることができる発泡性スチレン系樹脂粒子を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、スチレン系共重合体と、炭素数3~5の鎖式脂肪族炭化水素と、炭素数5~7の環式脂肪族炭化水素と、流動パラフィンと、アルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(A)と、を含む粒子本体を有し、
前記スチレン系共重合体はスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であり、
前記スチレン系共重合体のガラス転移温度は103℃以上107℃未満であり、
前記環式脂肪族炭化水素、前記流動パラフィン及び前記高級脂肪酸エステル(A)の含有量の合計は前記スチレン系共重合体100質量部に対して1.5質量部以上3.5質量部以下であり、
前記流動パラフィンの含有量は前記スチレン系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上1.2質量部以下であり、
前記流動パラフィン及び前記高級脂肪酸エステル(A)の合計に対する前記環式脂肪族炭化水素の質量比は1.0以上3.0以下であり、
前記流動パラフィンに対する前記高級脂肪酸エステル(A)の質量比は0.1以上であり、
前記粒子本体の表面は、少なくともシリコーンオイルにより被覆されている、発泡性スチレン系樹脂粒子にある。
前記発泡性粒子の粒子本体には、前記特定の成分を有するスチレン系共重合体と、炭素数3~5の鎖式脂肪族炭化水素と、炭素数5~7の環式脂肪族炭化水素と、流動パラフィンと、及びアルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(A)と、が含まれている。また、粒子本体の表面は、少なくともシリコーンオイルにより被覆されている。かかる構成を有する発泡性粒子を発泡させて得られる発泡粒子は、低い成形圧力での型内成形が可能であるとともに、型内成形によって得られる発泡粒子成形体の強度を向上させることができる。
また、前記発泡粒子を型内成形することにより、優れた強度を有する発泡粒子成形体を得ることができる。
以下の説明において、括弧内に付されたアルファベットや数字は、本発明を何ら限定するものではない。また、以下において、「スチレン系樹脂発泡粒子」のことを「発泡粒子」といい、「発泡性スチレン系樹脂粒子」のことを「発泡性粒子」といい、「発泡粒子成形体」のことを「発泡成形体」ということがある。また、スチレン系共重合体のことを、単に「共重合体」ということがある。また、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物理値を含む意味で用いることとする。
[粒子本体]
発泡性粒子の粒子本体には、上記のように、基材樹脂としてのスチレン系共重合体と、鎖式脂肪族炭化水素と、環式脂肪族炭化水素と、流動パラフィンと、高級脂肪酸エステル(A)とが含まれている。
環式脂肪族炭化水素、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)は、主に基材樹脂を可塑化させる可塑剤としての機能を有している。
発泡性粒子は、スチームなどの加熱媒体による加熱によって発泡させることができ、これにより発泡粒子を得ることができる。つまり、発泡性粒子は、発泡粒子を得るために用いられる。
多数の発泡粒子を型内成形することにより、発泡粒子同士が相互に融着してなる発泡粒子成形体を得ることができる。発泡粒子の型内成形は、例えば、所望する成形体の形状に対応したキャビティを有する金型内に発泡粒子を充填した後、キャビティ内にスチーム等の加熱媒体を供給し、発泡粒子を加熱しつつ二次発泡させて発泡粒子同士を融着させることにより行うことができる。
<スチレン系共重合体>
スチレン系共重合体は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であり、スチレン系単量体に由来する成分と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する成分とを含む。また、スチレン系共重合体のガラス転移温度は103℃以上107℃未満である。スチレン系共重合体におけるガラス転移温度は、104℃以上106℃以下であることがより好ましく、105℃以上106℃以下であることがさらに好ましい。
スチレン系共重合体のガラス転移温度が低すぎると、得られる成形体の強度が低下するおそれがある。そのため、例えば発泡粒子成形体を魚箱等の輸送容器として使用する場合、容器を複数段段積みした際に、容器に割れ等の破損が生じるおそれがある。一方、スチレン系共重合体のガラス転移温度が高すぎると、低い成形圧力での型内成形が可能な発泡粒子を得ることが困難になる。
スチレン系共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量(DSC)分析により測定することができる。まず、以下の方法により発泡性粒子の再沈殿精製を行う。発泡性粒子1gをメチルエチルケトン20mLに溶解させる。次いで、メタノール500mL中に得られたメチルエチルケトン溶液を滴下し、スチレン系共重合体を含むメタノール不溶分を沈殿させる。このメタノール不溶分を濾取し、室温にて風乾する。その後、メタノール不溶分を恒量になるまで真空乾燥させる。なお、発泡性粒子の代わりに、発泡粒子や発泡粒子成形体を用いて再沈殿精製を行っても、スチレン系共重合体を含むメタノール不溶分を抽出することが可能である。
次に、再沈殿精製により得られたメタノール不溶分2mgを秤量し、DSC分析を行う。分析は、ティ・エイ・インスツルメント社製のDSC測定装置Q1000を用いて、JIS K 7121(1987年)に準拠して行う。そして、昇温速度10℃/分の条件で得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を求める。このようにして求められる、発泡性粒子のメチルエチルケトン可溶分中のメタノール不溶分のガラス転移温度を、スチレン系共重合体のガラス転移温度とする。
スチレン系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-オクチルスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等を採用することができる。これらのスチレン系単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。スチレン系単量体は、スチレンであることがより好ましい。スチレン系単量体としてのスチレンを含む発泡粒子は、低い成形圧力で型内成形を行う際の成形性と得られる成形体の強度とをよりバランスよく向上させることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルという概念には、アクリル酸のアルキルエステルと、メタクリル酸のアルキルエステルとが包含される。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アクリル酸ブチルであることがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのアクリル酸ブチルを含む発泡粒子は、低い成形圧力で型内成形を行う際の成形性と得られる成形体の強度とをよりバランスよく向上させることができる。
発泡粒子の成形性と成形体の強度とのバランスを高める観点から、前記スチレン系共重合体中の前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する成分の割合は0.1質量%以上1.0質量%未満であることが好ましく、0.2質量%以上0.5質量%未満であることがより好ましい。
低い成形圧力で型内成形を行う際の成形性と得られる成形体の強度とを更にバランスよく向上させる観点からは、スチレン系共重合体が、スチレン系単量体としてのスチレンと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのアクリル酸ブチルとの共重合体であることが特に好ましい。
また、前述した作用効果をより高める観点から、前記スチレン系共重合体は、99.0質量%を超え99.9質量%以下のスチレン系単量体と0.1質量%以上1.0質量%未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなることが好ましく、99.5質量%を超え99.8質量%以下のスチレン系単量体と0.2質量%以上0.5質量%未満の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体からなることが好ましい。なお、前記のスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの質量比は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの合計を100質量%とした場合の値である。
スチレン系共重合体の重量平均分子量Mwは20×104以上であることが好ましい。この場合には、発泡粒子成形体の機械的物性、たとえば曲げ強度や圧縮強度、挫屈強度をより向上させることができる。機械的物性をさらに向上させるという観点から、共重合体の重量平均分子量Mwは、22×104以上であることがより好ましく、25×104以上であることがさらに好ましい。一方、発泡性粒子の発泡性を向上させる観点からは、スチレン系共重合体の重量平均分子量Mwは、35×104以下であることがより好ましく、30×104以下であることがさらに好ましい。なお、共重合体の重量平均分子量Mwは、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定されたポリスチレン換算分子量である。
スチレン系共重合体には、必須成分としてのスチレン系単量体に由来する成分と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する成分との他に、本発明の目的を阻害しない範囲内において、共重合体成分として、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のモノマーに由来する成分が含まれていてもよい。
また、粒子本体には、スチレン系共重合体に加え、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の樹脂や添加剤等を配合することができる。他の樹脂や添加剤等の含有量は、スチレン系共重合体100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
<環式脂肪族炭化水素、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)>
前記粒子本体には、環式脂肪族炭化水素と、流動パラフィンと、高級脂肪酸エステル(A)とが含まれている。環式脂肪族炭化水素、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)は、スチレン系共重合体に含まれており、スチレン系共重合体の内部全体にわたって存在していることが好ましい。環式脂肪族炭化水素、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)の含有量の合計は、前記スチレン系共重合体100質量部に対して1.5質量部以上3.5質量部以下である。
前記3成分の含有量の合計が少なすぎる場合には、発泡性粒子を発泡させる際に要するスチームの圧力が高くなる傾向にあり、低いスチーム圧力で嵩密度の低い発泡粒子を得ることが困難となる。また、低い成形圧力で型内成形を行う際に、発泡粒子の成形性の低下を招くおそれがある。加えて、この場合には、発泡粒子同士の融着性が低下するため、得られる成形体の強度の低下を招くおそれもある。一方、前記含有量の合計が多すぎる場合には、予備発泡中に、発泡粒子同士が相互に融着して塊を形成するブロッキングと呼ばれる現象が発生しやすくなる。その結果、発泡粒子を型内成形することが困難となるおそれや、得られる成形体の機械的物性が低下するおそれがある。
前述した問題をより確実に回避する観点から、前記3成分の含有量の合計は、スチレン系共重合体100質量部に対して2.0質量部以上2.9質量部以下であることがより好ましく、2.2質量部以上2.8質量部以下であることがさらに好ましく、2.4質量部以上2.8質量部以下であることが特に好ましい。
・環式脂肪族炭化水素
粒子本体には、炭素数が5~7の環式脂肪族炭化水素が含まれている。これらの環式脂肪族炭化水素は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、環式脂肪族炭化水素は、常温常圧(例えば、25℃、1気圧)で液体である。
前記流動パラフィン及び前記高級脂肪酸エステル(A)の合計に対する前記環式脂肪族炭化水素の質量比は1.0以上3.0以下である。環式脂肪族炭化水素は、発泡性粒子の発泡時や発泡粒子の型内成形時において気化しやすい。そのため、前記質量比が高すぎる場合、つまり、環式脂肪族炭化水素の含有量が流動パラフィンと高級脂肪酸エステル(A)との含有量の合計に対して多すぎる場合には、環式脂肪族炭化水素の散逸により発泡粒子の可塑化が不十分となり、低い成形圧力で型内成形を行う際に、発泡粒子の成形性の低下を招くおそれがある。
一方、前記質量比が低すぎる場合、つまり、環式脂肪族炭化水素の含有量が流動パラフィンと高級脂肪酸エステル(A)との含有量の合計に対して少なすぎる場合には、可塑剤による発泡粒子の可塑化が不十分となるため、発泡性粒子の発泡性や発泡粒子の成形性が低下しやすい。そのため、低い成形圧力で型内成形を行う際に、成形体の表面に露出した発泡粒子の間に間隙が形成されやすくなり、外観の悪化を招くおそれがある。また、この場合には、発泡粒子成形体中に残留する可塑剤の量が多くなるため、成形体の強度の低下を招くおそれもある。
環式脂肪族炭化水素としては、具体的には、シクロヘキサン、シクロペンタン等を使用することができる。環式脂肪族炭化水素のうち、特に、シクロヘキサン及びシクロペンタンは、発泡性粒子の発泡時や発泡粒子の成形時に気化しやすいため、スチレン系共重合体を適度に可塑化することができる。更に、シクロヘキサン及びシクロペンタンは、粒子本体の発泡にも寄与することにより、発泡性粒子の発泡性や発泡粒子の成形性を向上させることができる。そのため、シクロヘキサン及びシクロペンタンのうち1種以上の環式脂肪族炭化水素を流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)と組み合わせることにより、可塑剤の含有量が比較的少ない場合においても、低い成形圧力で発泡粒子同士を十分に融着させることができる。さらに、これらの環式脂肪族炭化水素は揮発性を有し、成形後に成形体から散逸しやすいため、発泡粒子成形体の強度をより高くすることができる。かかる作用効果をより確実に奏する観点から、粒子本体には、少なくとも、環式脂肪族炭化水素としてのシクロヘキサンが含まれていることがより好ましい。
前述の作用効果をより高める観点から、環式脂肪族炭化水素の含有量は、スチレン系共重合体100質量部に対して1.2質量部以上2.2質量部以下であることが好ましく、1.4質量部以上2.1質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上2.0質量部以下であることがさらに好ましい。
流動パラフィンに対する環式脂肪族炭化水素の質量比は1.0以上4.0以下であることが好ましい。この場合には、低い成形圧力で型内成形を行う場合の成形性を高めつつ、強度に優れる成形体をより確実に得ることができる。
かかる作用効果をより確実に奏する観点から、流動パラフィンに対する環式脂肪族炭化水素の質量比は、1.2以上3.5以下であることがより好ましく、1.5以上3.0以下であることがさらに好ましい。
・流動パラフィン
粒子本体には、流動パラフィンが含まれている。流動パラフィンは、常温常圧(例えば、25℃、1気圧)で液体のパラフィンである。流動パラフィンとしては、JIS K 2231:1993に定められた流動パラフィンが特に好ましく使用される。
流動パラフィンの含有量は、スチレン系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上1.2質量部以下とする。流動パラフィンの含有量を前記特定の範囲とすることにより、型内成形時に共重合体を適度に可塑化して発泡粒子の成形性を向上させつつ、成形体とした際の強度を確保することができる。
流動パラフィンの平均炭素数は20以上35以下であることが好ましい。平均炭素数が20以上35以下の流動パラフィンは、常温常圧で液体であることに加え、揮発性が小さいという性質を有している。そのため、かかる流動パラフィンを使用することにより、前述した作用効果をより高めることができる。
かかる観点から、流動パラフィンの含有量は、スチレン系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上1.0質量部以下であることがより好ましく、0.6質量部以上0.8質量部以下であることがさらに好ましい。
・高級脂肪酸エステル(A)
粒子本体には、アルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(A)が含まれている。高級脂肪酸エステル(A)は、常温(例えば10~30℃)では通常固体であるため、常温においてスチレン系共重合体を可塑化する能力が比較的低い。それ故、発泡粒子成形体におけるスチレン系共重合体の過度の可塑化を抑制し、ひいては発泡粒子成形体の強度の低下を抑制することができる。また、高級脂肪酸エステル(A)は、熱によって融解するため、発泡性粒子を発泡させる際や発泡粒子を型内成形する際には、スチレン系共重合体を可塑化する能力が高くなる。従って、高級脂肪酸エステル(A)を可塑剤として使用することにより、発泡時や型内成形時においてスチレン系共重合体を十分に可塑化させて発泡性や成形性を高めることができると共に、型内成形後において成形体の強度を高めることができる。
型内成形時における発泡粒子の成形性を向上させるとともに、発泡粒子成形体の強度を高くする観点から、前記高級脂肪酸エステル(A)の融点は30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。なお、高級脂肪酸エステル(A)の融点は、JIS K 3331:2013に規定された方法に基づいて、測定することができる。
高級脂肪酸エステル(A)としては、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル、高級脂肪酸とソルビタンとのエステル、高級脂肪酸とグリセリンとのエステル、硬化油等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
高級脂肪酸と高級アルコールとのエステルとしては、例えば、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸オクチルドデシル、ベヘニン酸ベヘニル等を使用することができる。
高級脂肪酸とソルビタンとのエステルとしては、例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノベヘネート等を使用することができる。高級脂肪酸とグリセリンとのエステルとしては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ミリスチン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ベヘニン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル等の、グリセリンと高級脂肪酸とのモノエステル、ジエステル及びトリエステルを使用することができる。
硬化油としては、例えば、牛脂極度硬化油、ヒマシ硬化油、極度硬化大豆油等から選択される1種または2種以上の硬化油を使用することができる。
高級脂肪酸エステル(A)としては、スチレン形状重合体との相溶性が比較的良好である高級脂肪酸とグリセリンとのエステルを用いることが好ましく、グリセリントリステアレートを用いることがより好ましい。また、グリセリントリステアレートを用いる場合、高級脂肪酸エステル(A)中のグリセリントリステアレートの割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。この場合には、発泡粒子同士の融着状態を良化させやすく、発泡粒子成形体の強度をより確実に確保することができる。
また、成形圧力が低い条件における発泡粒子の成形性を向上させつつ、予備発泡時の発泡粒子同士のブロッキングを抑制し、さらに得られる成形体の強度を高める観点から、共重合体100質量部に対する高級脂肪酸エステル(A)の含有量は、0.1質量部以上0.4質量部以下であることが好ましく、0.12質量部以上0.3質量部以下であることがより好ましく、0.12質量部以上0.2質量部以下であることがさらに好ましい。
前記流動パラフィンに対する、前記高級脂肪酸エステル(A)の質量比は0.1以上である。前記質量比が低すぎる場合、つまり、高級脂肪酸エステル(A)の含有量が流動パラフィンに対して少なすぎる場合には、型内成形後に成形体中に残留する流動パラフィンの量が多くなりやすい。流動パラフィンは、環式脂肪族炭化水素及び高級脂肪酸エステル(A)に比べてスチレン系共重合体を可塑化する能力が高いため、成形体中に残留する流動パラフィンの量が多くなると、成形体の強度の低下を招くおそれがある。
前記流動パラフィンに対する、前記高級脂肪酸エステル(A)の質量比は2.0以下であることが好ましい。この場合には、低い成形圧力で型内成形を行う場合においても成形性をより向上させるとともに、型内成形時に粒子同士を十分に融着させ、良好な外観の発泡粒子成形体を得ることができる。
前述した作用効果を得つつ、発泡粒子成形体の強度をより向上させる観点から、流動パラフィンに対する高級脂肪酸エステル(A)の質量比は0.1以上1.0以下であることが好ましく、0.1以上0.8以下であることがより好ましく、0.1以上0.6以下であることがさらに好ましく、0.1以上0.5以下であることが特に好ましい。
<鎖式脂肪族炭化水素>
粒子本体には、炭素数3~5の鎖式脂肪族炭化水素が含まれている。鎖式脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等を使用することができる。これらの鎖式脂肪族炭化水素は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
鎖式脂肪族炭化水素は、主に、発泡剤としての機能を有している。鎖式脂肪族炭化水素を用いることにより、発泡剤が粒子本体内により保持されやすくなると共に、より高い発泡倍率で発泡性粒子を発泡させることができる。かかる作用効果をより高める観点からは、発泡性粒子中の、炭素数3~5の鎖式脂肪族炭化水素の含有量が3~8質量%であることが好ましく、4~7質量%であることがより好ましい。
前述した作用効果をさらに高める観点からは、鎖式脂肪族炭化水素には、ブタンが含まれていることが好ましく、ブタン及びペンタンが含まれていることがさらに好ましい。この場合には、前記発泡性粒子中の、ブタンの含有量が4~6質量%であり、ペンタンの含有量が0.5~1.5質量%であることが特に好ましい。
<シリコーンオイル>
前記粒子本体の表面は、少なくともシリコーンオイルにより被覆されている。被覆剤は、本発明の所期の目的、効果を達成できる範囲であれば、粒子本体の表面の全部を覆っていてもよいし、粒子本体の表面の一部を覆っていてもよい。粒子本体の表面をシリコーンオイルで被覆することにより、粒子本体中の可塑剤の含有量を比較的少なくし、かつ、低い成形圧力で型内成形を行った場合であっても、発泡粒子同士を十分に融着させることができ、発泡粒子成形体の強度を高くすることができる。粒子本体の表面にシリコーンオイルが存在しない場合、低い成形圧力で型内成形を行った際の発泡粒子同士の融着性の低下や、得られる成形体の表面の発泡粒子間に隙間が発生することによる外観の悪化等の問題が生じるおそれがある。
シリコーンオイルは、オルガノポリシロキサンからなり、常温においてオイル状を呈する化合物である。シリコーンオイルとしては、例えば、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル等を用いることができる。シリコーンオイルは、前述した化合物のうち1種のみから構成されていてもよいし、2種以上の化合物の混合物であってもよい。これらの中でも、メチルフェニルシリコーンオイルを用いることが好ましく、25℃における屈折率が1.45以上であるシリコーンオイルを用いることがより好ましい。なお、メチルフェニルシリコーンオイルは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をフェニル基に置換したものである。なお、前述した屈折率は、JIS K 0062:1992に基づいて測定される値である。
シリコーンオイルの被覆量は、粒子本体100質量部に対して0.01質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。この場合には、発泡性粒子や発泡粒子からの被覆剤の脱落をより低減するとともに、低い成形圧力で型内成形を行った際にも発泡粒子の成形性をより向上させることができる。
<高級脂肪酸エステル(B)>
粒子本体の表面は、シリコーンオイルに加え、アルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(B)により被覆されていることが好ましい。粒子本体の表面を高級脂肪酸エステル(B)で被覆することにより、低い成形圧力で型内成形を行う場合においても発泡粒子の成形性をより高めることができる。
高級脂肪酸エステル(B)は、本発明の所期の目的、効果を達成できる範囲であれば、粒子本体の表面の全面を被覆していてもよいし、粒子本体の表面の一部を被覆していてもよい。また、高級脂肪酸エステル(B)は、粒子本体の表面に直接付着していてもよいし、粒子本体との間にシリコーンオイルが介在していてもよい。後者の場合、粒子本体の表面上には、例えば、粒子本体の表面上にシリコーンオイル層が存在し、シリコーンオイル層上に高級脂肪酸エステル(B)層が存在する多層構造が形成されていてもよい。
高級脂肪酸エステル(B)としては、発泡粒子中に含まれる高級脂肪酸エステル(A)と同様の化合物、つまり、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル、高級脂肪酸とソルビタンとのエステル、高級脂肪酸とグリセリンとのエステル、硬化油等から選択される1種または2種以上の化合物を使用することができる。また、高級脂肪酸エステル(B)は、高級脂肪酸エステル(A)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
高級脂肪酸エステル(B)としては、高級脂肪酸とグリセリンとのエステルを用いることが好ましく、グリセリンモノステアレートを用いることがより好ましい。この場合には、発泡性粒子の発泡性の悪化を回避するとともに、発泡性粒子や発泡粒子の帯電を効果的に抑制することができる。
高級脂肪酸エステル(B)の被覆量は、粒子本体100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましい。この場合には、予備発泡時においては発泡粒子のブロッキングの発生を抑制し、型内成形時においては発泡粒子同士の融着性を向上させるという、相反する特性をバランスよく向上させることができる。
低い成形圧力で型内成形を行う際の発泡粒子同士の融着性をより高めると共に、成形体表面における発泡粒子間の隙間の発生をより抑制する観点から、高級脂肪酸エステル(B)には、グリセリンモノステアレートと硬化ひまし油とが含まれていることが好ましい。かかる作用効果をより確実に奏する観点から、前記高級脂肪酸エステル(B)中のグリセリンモノステアレートの含有量と硬化ひまし油の含有量との質量比は、グリセリンモノステアレート:硬化ひまし油=40:60~70:30であることが好ましく、50:50~60:40であることがより好ましい。同様の観点から、高級脂肪酸エステル(B)中の、グリセリンモノステアレートの含有量と硬化ひまし油の含有量の合計は、粒子本体100質量部に対して0.05質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましい。
<高級脂肪酸金属塩>
粒子本体の表面は、シリコーンオイルに加え、炭素数12~24の脂肪酸の金属塩である高級脂肪酸金属塩により被覆されていることが好ましい。粒子本体の表面を高級脂肪酸金属塩で被覆することにより、発泡時のブロッキング、つまり、発泡性粒子同士が融着し、塊状になる現象をより効果的に抑制することができる。
高級脂肪酸金属塩は、本発明の所期の目的、効果を達成できる範囲であれば、粒子本体の表面の全面を被覆していてもよいし、粒子本体の表面の一部を被覆していてもよい。また、高級脂肪酸金属塩は、粒子本体の表面に直接付着していてもよいし、粒子本体との間にシリコーンオイルや高級脂肪酸エステル(B)が介在していてもよい。後者の場合、粒子本体の表面上には、例えば、粒子本体の表面上にシリコーンオイル層が存在し、シリコーンオイル層上に高級脂肪酸エステル(B)と高級脂肪酸金属塩との混合物の層が存在する多層構造が形成されていてもよい。
高級脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム等のステアリン酸金属塩や、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム等のラウリン酸金属塩等を使用することができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
高級脂肪酸金属塩における高級脂肪酸としては、炭素数14~20の脂肪酸を用いることがより好ましい。また、高級脂肪酸は、飽和脂肪酸であることがより好ましい。
高級脂肪酸金属塩の被覆量は、粒子本体100質量部に対して、0.05質量部以上0.2質量部以下であることが好ましい。この場合には、予備発泡時においては発泡粒子のブロッキングの発生を抑制し、型内成形時においては発泡粒子同士の融着性を向上させるという、相反する特性をバランスよく向上させることができる。
<被覆剤>
前述したシリコーンオイル、高級脂肪酸エステル(B)及び高級脂肪酸金属塩は、粒子本体の表面を被覆する被覆剤として捉えることができる。被覆剤の被覆量の合計は、粒子本体100質量部に対して0.1質量部以上0.4質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上0.3質量部以下であることがより好ましい。
被覆剤中に高級脂肪酸エステル(B)が含まれている場合、前記被覆剤中の高級脂肪酸エステル(B)に対するシリコーンオイルの質量比は0.1以上0.5以下であることが好ましく、0.1以上0.4以下であることがより好ましい。また、被覆剤中に高級脂肪酸金属塩が含まれている場合、前記被覆剤中の高級脂肪酸エステル(B)と高級脂肪酸金属塩との合計に対するシリコーンオイルの質量比は0.05以上0.3以下であることが好ましく、0.06以上0.2以下であることがより好ましい。また、被覆剤中に高級脂肪酸エステル(B)及び高級脂肪酸金属塩の両方が含まれている場合、高級脂肪酸エステル(B)に対する高級脂肪酸金属塩の質量比は0.4以上1.5以下であることが好ましく、0.5以上1.2以下であることがより好ましい。
<帯電防止剤>
被覆剤には、前述した作用効果を損なわない範囲で、N,N‐ビス(2‐ヒドロキシエチル)アルキルアミン、グリセリン等の帯電防止剤等が含まれていてもよい。帯電防止剤を使用する場合、帯電防止剤の被覆量は、粒子本体100質量部に対して、概ね0.01質量部以上0.06質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。
[発泡性粒子の製造]
前記発泡性粒子は、例えば懸濁重合等の従来公知の方法によって粒子本体を作製した後、粒子本体の表面に被覆剤を被覆することによって製造することができる。
粒子本体を懸濁重合により製造する場合には、例えば以下のような方法を採用することができる。まず、撹拌装置の付いた密閉容器内で、適当な懸濁剤や懸濁助剤を分散させた水性媒体中に、前述したモノマー成分としてのスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を、可塑剤、重合開始剤、連鎖移動剤、気泡調整剤等と共に添加し、モノマー成分を水性媒体中に分散させる。次に、モノマー成分の重合反応を開始する。そして、重合途中あるいは重合完了後に物理発泡剤を密閉容器内に添加し、前記重合反応によって生じた重合体であるスチレン系共重合体に含浸させる。このようにして、スチレン系共重合体の内部全体にわたって可塑剤が均質に存在した粒子本体を得ることができる。
なお、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)をスチレン系共重合体の内部全体にわたって均質に存在させることができる観点から、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、重合開始剤、流動パラフィン及び高級脂肪酸エステル(A)と共に水性媒体中に分散させて重合反応を開始し、重合することにより、スチレン系共重体を得ることが好ましい。
重合開始剤としては、スチレン系単量体に可溶な開始剤を用いることができる。具体的には、例えばアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、1,1-ジメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、ペンチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-2-メチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの合計100質量部に対して、0.01~3質量部が好ましい。
気泡調整剤としては、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、シリカ、エチレンビスステアリルアミド、シリコ-ン等を使用することができる。
前述した方法により得られた粒子本体をシリコーンオイル等の被覆剤で被覆する方法は、特に限定されることはない。粒子本体の表面への被覆剤の被覆は、例えば、タンブラーミキサー等の容器中に粒子本体と被覆剤とを供給し、容器内で粒子本体と被覆剤とを撹拌混合することで、粒子本体の表面に被覆剤を付着させる方法等により行うことができる。なお、被覆剤の各成分は個別に粒子本体に被覆してもよく、各成分を予め混合した被覆剤を粒子本体に被覆してもよい。
[発泡粒子]
発泡粒子は、発泡性粒子を、例えば従来公知の方法により発泡させることにより得られる。発泡は、例えば発泡性粒子にスチーム等の加熱媒体を供給し、発泡性粒子を加熱することにより行うことができる。具体的には、例えば撹拌装置の付いた円筒形の発泡機を用いて、スチーム等により発泡性粒子を加熱して発泡させる方法がある。
[発泡粒子成形体]
発泡粒子成形体は、例えば次のようにして製造される。まず、所望する成形体の形状に対応したキャビティを有する金型内に発泡粒子を充填し、スチームなどの加熱媒体により金型内で多数の発泡粒子を加熱する。キャビティ内の発泡粒子は、加熱によってさらに発泡すると共に、相互に融着する。これにより、多数の発泡粒子が一体化し、キャビティの形状に応じた発泡粒子成形体が得られる。
発泡粒子成形体の見掛け密度は、10~100kg/m3であることが好ましく、12~60kg/m3であることがより好ましく、13~25kg/m3であることがさらに好ましく、15~20kg/m3であることが特に好ましい。この場合には、強度などの物性を確保しつつ成形体の質量を低減することができる。
また、本発明の発泡粒子成形体は、魚介類等を収納する魚箱等の輸送容器として好適に用いることができる。輸送容器は、被収容物を収容するための凹部を備えた容器本体と、容器本体の凹部を覆う蓋体とから構成されていてもよい。輸送容器の形状は、直方体形状であることが好ましい。なお、直方体形状とは、厳密な直方体形状に限られず、その横断面の形状が僅かに台形化したものや、僅かに菱形化したもの、容器の稜線部や角部が丸みを帯びているものなどを含む意味である。
輸送容器の外寸法は特に限定されることはないが、例えば、容器本体の底面の縦方向長さを300mm以上1200mm以下、底面の横方向長さを250mm以上500mm以下、容器本体の高さを100mm以上400mm以下とすることができる。また、縦方向の側壁の厚さは10~50mm、横方向の側壁の厚さは10~50mmとすることができる。
輸送容器の見掛け密度は、13~25kg/m3であることが好ましく、15~18kg/m3であることがより好ましい。
以下に、前記発泡性粒子の実施例及び比較例について説明する。本例では、以下の方法により、表1の実施例及び表2の比較例に示す発泡性粒子を製造した。
(実施例1)
撹拌装置の付いた内容積が1m3のオートクレーブ内に、脱イオン水350kg、懸濁剤(第3リン酸カルシウム)2.0kg、界面活性剤(α-オレフィンスルホン酸ナトリウム)0.013kg、界面活性剤(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.004kg、電解質(酢酸ナトリウム)0.53kgを投入した。
次いで、スチレン389kgとアクリル酸n-ブチル1.7kgとの混合物に、重合開始剤(I)1.14kgと、重合開始剤(II)0.30kgと、高級脂肪酸エステル(A)0.5kgと、流動パラフィン2.6kgと、環式脂肪族炭化水素6.6kgと、気泡核剤0.2kgとを溶解させた。そして、溶解物を撹拌速度110rpmで撹拌しながらオートクレーブ内に投入した。
なお、本例において用いた化合物は、具体的には以下の通りである。表1に、各化合物の仕込比率を示す。
・重合開始剤(I):過酸化ベンゾイル(日油株式会社製「ナイパー(登録商標)」BW、水希釈粉体品)
・重合開始剤(II):t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(日油株式会社製「パーブチル(登録商標)E」)
・高級脂肪酸エステル(A):グリセリントリステアレート(融点60℃)
・流動パラフィン:炭素数20~35の流動パラフィン(三光化学工業株式会社製「RCMS」)
・環式脂肪族炭化水素:シクロヘキサン
・気泡核剤:ポリエチレンワックス(Baker Petrolite社製「PW1000」)
次に、オートクレーブ内の空気を窒素にて置換した後、オートクレーブ内を密閉した。次いで、オートクレーブ内の内容物を撹拌速度110rpmで撹拌しながら昇温を開始し、60分かけてオートクレーブ内の温度を90℃まで昇温させた。温度90℃に到達した後、この温度を4時間30分保持し、その後、90℃から96℃まで25分かけて昇温した。温度96℃に到達後、120℃まで1時間30分かけて昇温させ、この温度を1時間10分保持した。次いで、オートクレーブ内を25℃まで4時間かけて冷却した。なお、前述した過程において、温度90℃に到達してから5時間20分経過した時点から、オートクレーブ内に発泡剤としてブタン(イソブタンとノルマルブタンの混合物)23kgとペンタン4kgとを60分かけて添加した。発泡剤の添加後に、撹拌速度を90rpmに設定した。
このようにしてスチレン系共重合体と、流動パラフィンと、環式脂肪族炭化水素と、高級脂肪酸エステル(A)とを含む粒子を得た後、この粒子に発泡剤を含浸させることで、粒子本体を得た。オートクレーブ内の冷却が完了した後、内容物である粒子本体をオートクレーブから取り出した。次いで、遠心分離機を用いて粒子本体の脱水及び洗浄を行った。
遠心分離機で粒子本体の脱水を行った後、気流乾燥装置を用いて粒子本体に気流を吹きつけ、粒子本体の乾燥を行った。粒子本体と気流とが混合したときの気流の温度は40℃になるように調整した。なお、以下において、この乾燥工程を1次乾燥という。
次いで、1次乾燥後の粒子本体を流動層乾燥機に移した。乾燥機の槽内に温度40℃の空気を送り込むことにより粒子本体を槽内で浮遊させ、この状態で60分以上粒子本体を乾燥させた。なお、以下において、この乾燥工程を2次乾燥という。
次に、粒子本体を分級機にかけて、直径が0.7~1.3mmの粒子を取り出した。次いで、粒子本体100質量部と、粒子本体100質量部に対して0.025質量部のメチルフェニルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社、「KF-54」)、0.060質量部の硬化ひまし油、0.14質量部のグリセリンモノステアレート、0.106質量部のステアリン酸亜鉛及び0.025質量部のグリセリンを、撹拌装置を備えた容積100Lの円筒状容器に供給した。そして、粒子本体、被覆剤を30分間攪拌して混合することにより、粒子本体の表面に被覆剤を付着させ、粒子本体の表面が被覆剤で被覆された発泡性粒子を得た。
(実施例2~実施例8、比較例1~比較例4、比較例6~比較例7)
オートクレーブ内に投入する可塑剤の量及びモノマーの量を表1及び表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法により発泡性粒子を得た。
(比較例5)
オートクレーブ内に投入する可塑剤の量を表2に示すように変更し、粒子本体の表面を被覆する物質からメチルフェニルシリコーンオイルを除外した以外は、実施例1と同様の方法により発泡性粒子を得た。
次に、表1及び表2に示す発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を作製した。具体的には、まず、発泡性粒子を加圧予備発泡機(DAISEN株式会社製「DYHL-500-U」、発泡機容量:300mm×300mm×50mm)内に投入した。次いで、発泡性粒子を撹拌しながら、加圧予備発泡機内にゲージ圧0.006MPa(G)のスチームを60秒間供給することにより、発泡性粒子を発泡させ、嵩密度が16.6kg/m3の発泡粒子を得た。
なお、発泡粒子の嵩密度は次のように測定した。まず、1日間風乾させた発泡粒子を、容量1Lのメスシリンダーに充填した。そして、この体積1Lあたりの発泡粒子の質量を計量し、体積1L当たりの質量を単位換算することにより、発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を算出した。
次に、以下の方法により、発泡粒子を型内成形して発泡粒子成形体を作製した。まず、上記のようにして得られた発泡粒子を室温で1日間放置して熟成させた後、型物成形機の金型のキャビティ内に充填した。次いで、キャビティ内にスチームを供給することにより、発泡粒子をゲージ圧0.04MPa(G)の成形圧力で10~15秒間加熱した後、所定時間冷却した。その後、金型から発泡粒子成形体(容器)を取り出した。得られた発泡成形体を温度40℃で1日間乾燥させた。
なお、本例において用いた金型は外寸法:縦350mm×横550mm×高さ120mm、縦方向の側壁の厚み25mm、横方向の側壁の厚み25mm、底板の厚み25mmの有底箱状の成形体を成形可能なキャビティを有している。
このようにして得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体を用い、以下の方法により、発泡性、発泡性粒子発泡時のブロッキング特性、成形性及び挫屈強度の評価を行った。これらの評価結果は表1及び表2に示す通りであった。
「発泡性粒子の平均粒子径」
JIS Z 8801の規定に適合する試験用篩を用いて発泡性粒子をふるい分けし、発泡性粒子を粒径範囲に基づいて分級した。篩上に残った発泡性粒子の質量を測定することにより、各粒径範囲の発泡粒子の質量分率を算出した。これらの質量分率からロジン・ラムラー分布式を用いて粒径分布を決定した後、得られた粒径分布に基づいて、積算ふるい下百分率、つまり、小粒子側から積算した質量分率の累積値が63質量%となる粒径を算出した。この値を発泡性粒子の平均粒子径とした。
「発泡性粒子の発泡剤含有量」
発泡性粒子をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた後、溶解液のガスクロマトグラフィー分析を行うことにより、発泡性粒子中の鎖式脂肪族炭化水素の含有量を測定した。そして、鎖式脂肪族炭化水素の含有量の合計を、発泡剤の含有量とした。
ガスクロマトグラフによる発泡剤の定量は、具体的には以下の手順で行った。まず、100mLのメスフラスコにシクロペンタノール約5gを小数点以下第3位まで精秤し、DMFを加えて全体を100mLとした。このDMF溶液をさらにDMFで100倍に希釈し内部標準溶液とした。次いで、測定対象となる発泡性粒子約1gを小数点以下第3位まで精秤した。精秤した発泡性粒子を約18mLのDMFに溶解させた後、更に、内部標準溶液をホールピペットにて正確に2mL加えて試料溶液とした。この試料溶液1μLをマイクロシリンジでガスクロマトグラフィー分析装置に導入し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムから各発泡剤成分及び内部標準のピーク面積を求め、下式(1)により各成分濃度を求めた。
各成分濃度(質量%)=[(Wi/10000)×2]×[An/Ai]×Fn÷Ws×100・・・(1)
なお、上記式(1)における記号の意味は、以下の通りである。
Wi:内部標準溶液中のシクロペンタノールの質量(g)
Ws:DMFに溶解させた発泡性粒子の質量(g)
An:クロマトグラムから算出した各発泡剤成分のピーク面積
Ai:クロマトグラムから算出した内部標準物質のピーク面積
Fn:あらかじめ作成した検量線より求めた各発泡剤成分の補正係数
また、ガスクロマトグラフにおける詳細な分析条件は以下の通りとした。
分析装置:(株)島津製作所製ガスクロマトグラフGC-6AM
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
カラム材質:内径3mm、長さ5000mmのガラスカラム
カラム充填剤:[液相名]FFAP(遊離脂肪酸)、[液相含浸率]10質量%、[担体名]ガスクロマトグラフ用珪藻土Chomasorb W、[担体粒度]60/80メッシュ、[担体処理方法]AW-DMCS(水洗・焼成・酸処理・シラン処理)、[充填量]90mL
注入口温度:250℃
カラム温度:120℃
検出部温度:250℃
キャリヤーガス:N2、流量40ml/分
「スチレン系共重合体の重量平均分子量Mw」
ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により発泡性粒子のクロマトグラムを取得し、得られたクロマトグラムから算出した重量平均分子量をスチレン系共重合体の重量平均分子量Mwとすることができる。
クロマトグラムの取得には東ソー(株)製のHLC-8320GPC EcoSECを使用した。測定試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて濃度0.1wt%の試料溶液を調製した後、TSKguardcolumn SuperH-H×1本、TSK-GEL SuperHM-H×2本を直列に接続したカラムを用い、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、THF流量:0.6ml/分という分離条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定試料を分子量の違いによって分離し、クロマトグラムを得た。そして、標準ポリスチレンを用いて作成した較正曲線によって、クロマトグラムにおける保持時間を分子量に換算し、微分分子量分布曲線を得た。この微分分子量分布曲線から測定試料の重量平均分子量Mwを算出した。
「スチレン系共重合体のガラス転移温度」
発泡性粒子1gをメチルエチルケトン20mLに溶解させた。次いで、メタノール500mL中に、得られたメチルエチルケトン溶液を滴下し、スチレン系共重合体を含むメタノール不溶分を沈殿させた。メタノール不溶分を濾取し、室温にて風乾し、その後、樹脂を恒量になるまで真空乾燥させた。このようにしてスチレン系重合体を含むメタノール不溶分を得た。
次に、メタノール不溶分2mgを秤量し、DSC分析を行った。ガラス転移温度の分析には、示差走査熱量計(ティ・エイ・インスツルメント社製「Q1000」)を用い、JIS K 7121(1987年)に準拠してDSC測定を行った。なお、DSC測定における昇温速度は10℃/分とした。DSC測定により得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度を、スチレン系共重合体のガラス転移温度とした。
「発泡性」
発泡性粒子の発泡性(発泡力)は、次のような条件で発泡性粒子を発泡させたときの発泡粒子の嵩密度に基づいて評価することができる。まず棚式発泡機を用いて、発泡性粒子を加熱スチーム温度107℃で270秒間加熱することにより、発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を得た。次いで、発泡粒子を温度23℃で24時間乾燥させた。その後、1Lのメスシリンダーに乾燥後の発泡粒子を1Lの標線まで充填し、1Lあたりの発泡粒子の質量(g)を測定し、単位換算することで、嵩密度(kg/m3)を算出した。表1及び表2の「棚式発泡時の嵩密度」欄に、上記の方法により測定した嵩密度の値を示す。
また、表1及び表2の「発泡力」欄には、嵩密度が12kg/m3未満であった場合には記号「A」、嵩密度が12kg/m3以上15kg/m3未満であった場合には記号「B」、嵩密度が15kg/m3以上であった場合には記号「C」を記載した。発泡性の評価においては、記号「A」及び「B」の場合を、十分な発泡力を有しているため合格と判定し、記号「C」の場合を、発泡力が不十分であるため不合格と判定した。
「ブロッキング」
一次発泡を行った後1日間風乾させた発泡粒子1000gを目開き10mmの篩でふるい分けし、篩上に残った発泡粒子の質量を測定した。表1及び表2の「ブロッキング」欄には、篩上に発泡粒子が残らない場合に記号「A」、篩上に残った発泡粒子の質量が1g以下の場合に記号「B」、篩上に残った発泡粒子の質量が1gを超える場合に記号「C」を記載した。
ブロッキングの評価においては、記号「A」及び「B」の場合を、ブロッキングを十分に抑制できているため合格と判定し、記号「C」の場合を、ブロッキングの抑制が不十分であるため不合格と判定した。
「成形性」
型内成形時の成形性は、ゲージ圧0.04MPa(G)の成形圧力で型内成形した発泡粒子成形体における発泡粒子同士の融着性及び外観に基づいて評価することができる。
・融着性
発泡粒子同士の融着性は、以下の方法により算出した融着率に基づいて行った。まず、発泡粒子成形体(容器)から底板を切り出し、この底板を折り曲げて、略等分に破断させた。次に、破断させた底板の破断面を観察し、破断面に存在している発泡粒子の総数と、発泡粒子の内部で破断した発泡粒子の数とを数えた。そして、破断面に存在している全ての発泡粒子の数発泡粒子の内部で破断した発泡粒子の数の比率を百分率で表した値で算出し、この値を融着率とした。
表1及び表2の「融着性」欄には、融着率が80%以上である場合に記号「A」、50%以上80%未満である場合に記号「B」、50%未満である場合に記号「C」を記載した。融着性の評価においては、融着率が50%以上である記号「A」及び「B」の場合を、発泡粒子同士が十分に融着しているため合格と判定し、50%未満である記号「C」の場合を、融着が不十分であるため不合格と判定した。
・外観
ゲージ圧0.04MPa(G)の成形圧力で型内成形した発泡粒子成形体の表面を目視観察し、表面に露出した発泡粒子同士の間に隙間が存在しているか否かを評価した。表1及び表2の「外観」欄には、発泡粒子成形体の表面に隙間がほとんど存在せず、表面全体が平滑である場合に記号「A」、発泡粒子成形体の表面に発泡粒子同士の隙間が散見される場合に記号「B」、発泡粒子成形体の表面の至る所に発泡粒子同士の隙間が存在する場合に記号「C」を記載した。外観の評価においては、記号「A」及び記号「B」の場合を、外観が良好であるため合格と判定し、記号「C」の場合を、外観が悪いため不合格と判定した。
「発泡粒子成形体の見掛け密度」
ゲージ圧0.04MPa(G)の成形圧力で型内成形した発泡粒子成形体の質量を、外形寸法に基づいて算出した見掛けの体積で除した値を発泡粒子成形体の見掛け密度とした。
「挫屈強度」
ゲージ圧0.04MPa(G)の成形圧力で型内成形した、有底箱状を呈する発泡粒子成形体の底面を水平板上に載置し、万能試験機により、発泡粒子成形体の開口端面を高さ方向に圧縮速度10mm/minで圧縮した。そして、発泡粒子成形体が破壊されるまでの間における最大荷重を挫屈強度とした。なお、挫屈強度の測定には、(株)島津製作所社製「AG-Xplus 100kN」を用いた。挫屈強度の評価においては、挫屈強度が4.8kN以上である場合を合格とした。
なお、挫屈強度が4.8kN以上であると、魚箱として使用した際に、段積み時の容器の段数を多くすることができ、従来汎用されている容器形状等での容器の使用が可能となる。例えば、内容物が収容された容器を7~10段段積みしても、容器の荷崩れ等を抑制することができる。一方、挫屈強度が4.8kN未満であると、内容物が収容された容器の段数を多くした際に容器の荷崩れ等が発生するおそれがあり、容器の段数の制約や容器形状の制約を受けるおそれがある。
Figure 0007212263000001
Figure 0007212263000002
表1より知られるように、実施例1~8の発泡性粒子は、前記特定の組成を有している。そのため、実施例1~8の発泡性粒子を発泡させてなる発泡粒子によれば、成形圧力が0.04MPaというような、低い成形圧力での型内成形を行う場合にも、外観が良好であり、強度の高い発泡粒子成形体を作製することができる。
これに対し、表2より知られるように、比較例1の発泡性粒子は、流動パラフィンの含有量が前記特定の範囲よりも少なく、かつ、流動パラフィンと高級脂肪酸エステル(A)との合計に対する環式脂肪族炭化水素の質量比が前記特定の範囲よりも大きいため、型内成形時に、環式脂肪族炭化水素が散逸しやすい。そのため、低い成形圧力で型内成形を行った場合の成形性が低下した。その結果、成形体の外観の悪化や強度の低下を招いた。
比較例2の発泡性粒子は、流動パラフィンと高級脂肪酸エステル(A)との合計に対する環式脂肪族炭化水素の質量比が前記特定の範囲よりも小さいため、低い成形圧力で型内成形を行った場合の成形性が低下した。その結果、成形体の外観の悪化や成形体の強度の低下を招いた。
比較例3の発泡性粒子は、流動パラフィンの含有量が前記特定の範囲よりも少なく、かつ、可塑剤の含有量の合計前記特定の範囲よりも少ないため、型内成形中の発泡粒子の可塑化が不十分となりやすい。その結果、低い成形圧力で型内成形を行った場合の成形性が低下し、成形体の外観の悪化や強度の低下を招いた。
比較例4の発泡性粒子は、流動パラフィンの含有量が前記特定の範囲よりも多いため、一次発泡中に発泡性粒子が過度に可塑化しやすい。その結果、一次発泡時のブロッキングを十分に抑制することができなかった。また、成形体の外観が悪化すると共に、成形体の強度が低下した。
比較例5の発泡性粒子は、被覆剤中にシリコーンオイルが含まれていないため、低い成形圧力で型内成形を行う場合に、発泡粒子同士の融着が不十分となりやすい。その結果、成形体の外観の悪化を招いた。
比較例6の発泡性粒子は、可塑剤としての高級脂肪酸エステル(A)が粒子本体内に含まれていないため、成形体中の流動パラフィンの残留量が多くなりやすい。その結果、成形体の強度の低下を招いた。
比較例7の発泡性粒子においては、スチレン系共重合体(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分を含まないスチレン単独の重合体を使用した。スチレン単独重合体のガラス転移温度はアクリル酸アルキルエステル成分を含むスチレン系共重合体よりも高いため、低い成形圧力で型内成形を行った際に、粒子同士の融着が不十分となりやすい。その結果、成形体の外観の悪化を招いた。
以上のように、実施例1~8の発泡性粒子は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分を含むスチレン系共重合体と、鎖式脂肪族炭化水素と、前記特定の組成を有する可塑剤と、を含む粒子本体と、シリコーンオイルを含み、粒子本体の表面を被覆する被覆剤とを有している。かかる発泡性粒子によれば、低い成形圧力で型内成形を行う場合においても発泡粒子同士を十分に融着させて成形体を得ることができる。
また、実施例の発泡性粒子を用いて作製した発泡成形体は、低い成形圧力で型内成形を行う場合においても、高い強度を有する成形体を得ることができる。さらに、実施例の発泡性粒子によれば、低い成形圧力での型内成形が可能であるため、発泡粒子を型内成形した後、比較的短い養生時間であっても、強度に優れる成形体を得ることができる。したがって、実施例の発泡性粒子を用いて作製した発泡粒子成形体は、型内成形後、比較的短時間経過後に使用される魚箱や、食品容器などの輸送容器に特に好適である。

Claims (8)

  1. スチレン系共重合体と、炭素数3~5の鎖式脂肪族炭化水素と、炭素数5~7の環式脂肪族炭化水素と、流動パラフィンと、アルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(A)と、を含む粒子本体を有し、
    前記スチレン系共重合体はスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体であり、
    前記スチレン系共重合体のガラス転移温度は103℃以上107℃未満であり、
    前記環式脂肪族炭化水素、前記流動パラフィン及び前記高級脂肪酸エステル(A)の含有量の合計は前記スチレン系共重合体100質量部に対して1.5質量部以上3.5質量部以下であり、
    前記流動パラフィンの含有量は前記スチレン系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上1.2質量部以下であり、
    前記流動パラフィン及び前記高級脂肪酸エステル(A)の合計に対する前記環式脂肪族炭化水素の質量比は1.0以上3.0以下であり、
    前記流動パラフィンに対する前記高級脂肪酸エステル(A)の質量比は0.1以上であり、
    前記粒子本体の表面は、少なくともシリコーンオイルにより被覆されている、発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 前記スチレン系共重合体中の、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する成分の割合は0.2質量%以上0.5質量%未満である、請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルはアクリル酸ブチルである、請求項1または2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  4. 前記流動パラフィンに対する前記環式脂肪族炭化水素の質量比は1.0以上4.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  5. 前記高級脂肪酸エステル(A)の融点は50℃以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  6. 前記粒子本体の表面は、さらに、アルコールと炭素数12~24の脂肪酸とのエステルである高級脂肪酸エステル(B)により被覆されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  7. 前記高級脂肪酸エステル(B)には、グリセリンモノステアレートと硬化ひまし油とが含まれている、請求項6に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  8. 前記高級脂肪酸エステル(B)中のグリセリンモノステアレートと硬化ひまし油との質量比は、グリセリンモノステアレート:硬化ひまし油=40:60~70:30である、請求項7に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
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