JP6059621B2 - 発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子及びその製造方法、スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子及びスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体 - Google Patents
発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子及びその製造方法、スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子及びスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体 Download PDFInfo
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Description
90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部と、ポリスチレン系樹脂100重量部以上1000重量部以下とを含有し、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に前記ポリスチレン系樹脂が粒子状で分散されている、スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子が提供される。
上述したスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子に発泡性を付与することにより得られた発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子、
上述した発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子を予備発泡させることにより得られたスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子、並びに
上述したスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子を型内に充填し、発泡成形することによって得られ、0.01〜0.5g/cm3の密度を有するスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体が提供される。
(A)分散剤を含む水性懸濁液中に、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部と、スチレン系単量体100重量部以上1000重量部以下と、重合開始剤とを分散させて、分散液を得る工程と、
(B)得られた前記分散液を、前記スチレン系単量体が重合しない温度に加熱して、前記スチレン系単量体を前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子に含浸させる工程と、
(C)前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行う工程と
を有するスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子の製造方法が提供される。
(A)分散剤を含む水性懸濁液中に、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子と、スチレン系単量体と、重合開始剤とを分散させて、分散液を得る工程と、
(B)得られた前記分散液を、前記スチレン系単量体が重合しない温度に加熱して、前記スチレン系単量体を前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子に含浸させる工程と、
(C1)前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、
(C2)前記第1の重合を行う工程((C1)工程)に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子への前記スチレン系単量体の含浸、及び前記スチレン系単量体の第2の重合を行う工程とを有し、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部に対して、第1の重合及び第2の重合において用いられる前記スチレン系単量体の総量が、100重量部以上1000重量部以下であるスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子の製造方法が提供される。
本発明者は、発泡成形体において、(1)スチレン系樹脂の存在に起因する耐薬品性の乏しさの改善、(2)オレフィン系樹脂の存在に起因する剛性の乏しさの改善、(3)スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の耐熱性及び剛性の更なる向上、並びに(4)ポリエステル系樹脂(ポリカーボネート系樹脂)の存在に起因する成形性の乏しさの改善及び発泡倍率の向上の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。この結果、所定のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子と、ポリスチレン系樹脂とを所定の割合で含有し、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に上記ポリスチレン系樹脂が粒子状で分散されているスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子であれば、該スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子から得られる発泡成形体の発泡倍率を高くすることができ、耐熱性及び耐薬品性などにも優れている発泡成形体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
熱可塑性ポリエステル系樹脂は、分子内にエステル結合を有する分子構造を少なくとも1つ含む鎖状ポリエステルであり、一般に高分子量である。熱可塑性ポリエステル系樹脂は、好ましくは、(A)多価カルボン酸及び多価アルコールが重縮合した鎖状ポリエステル、もしくは、(B)多価アルコール及びジフェニルカーボネートが重縮合した鎖状ポリエステルである。更に、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、好ましくはジカルボン酸及びジオールが重縮合した鎖状ポリエステルである。
多価カルボン酸は、複数(2又はそれより多い)のカルボキシル基を有する有機化合物である。(A)の鎖状ポリエステルを得るために用いられる多価カルボン酸は、特に限定されず、当業者に公知の任意の多価カルボン酸であり、好ましくはジカルボン酸である。(A)の鎖状ポリエステルを得るために用いられるジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシジカルボン酸などであることが特に好ましい。
多価アルコールは、炭素原子と結合している複数(2又はそれより多い)のヒドロキシル基を有する化合物である。(A)の鎖状ポリエステルを得るために用いられる多価アルコールは特に限定されず、当業者に公知の多価アルコールを用いることができるが、二価アルコール(ジオール)が好ましい。また、上記二価アルコールとしては、鎖状脂肪族ジオール、脂環族ジオール、又は、芳香族ジオールを用いることができるが、脂環族ジオール又は芳香族ジオールが好ましく、脂環族ジオールがより好ましい。
(B)の鎖状ポリエステルを得るために用いられる多価アルコールは特に限定されず、当業者に公知の多価アルコールを用いることができるが、二価アルコール(ジオール)が好ましい。具体的には、例えば、芳香族ジオールであるビス(ヒドロキシアリール)アルカン類や、上記「(A)の鎖状ポリエステルを得るために用いられる多価アルコール」で例示した多価アルコールから、使用する多価アルコールを選択して用いることができる。
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体が重合した鎖状の高分子化合物である。スチレン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどが挙げられる。また、ポリスチレン系樹脂を得るために、スチレン系単量体は、共重合可能な他の単量体と併用されていてもよい。他の単量体としては、構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸ブチルなどが挙げられる。
改質樹脂粒子では、熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に、ポリスチレン系樹脂は粒子状で分散されている。熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中で、ポリスチレン系樹脂は複数の粒子である。ポリスチレン系樹脂粒子は、熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子よりも小さい。改質樹脂粒子中で、ポリスチレン系樹脂粒子の長径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは5μm以下である。長径の最小値は、0.01μm程度である。本発明に係る改質樹脂粒子において、ポリスチレン系樹脂が、長径が10μm以下の粒子状である場合に、本発明の上記の(1),(2),(3)及び(4)の効果がより一層効果的に発揮される。ポリスチレン系樹脂粒子の長径が上記上限以下であると、予備発泡時の発泡性の低下がより一層抑えられ、成形時の発泡性の低下も抑えられ、結果として成形体の融着性がより一層高くなり、発泡成形体の強度がより一層高くなる。更に、ポリスチレン系樹脂が微分散していない状態となり難いために、発泡粒子自体の強度の低下がより一層抑えられ、耐薬品性の低下もより一層抑えられる。
改質樹脂粒子のアスペクト比(ポリマー形状)は、改質樹脂粒子の長径(L)の短径(D)に対する比(L/D)に基づいて判断され、改質樹脂粒子の形状の指標である。
改質樹脂粒子の製造方法は、特に限定されないが、改質樹脂粒子は、例えば、次の(A)〜(C)の各工程により製造することができる。
(A)分散剤を含む水性懸濁液中に、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部と、スチレン系単量体100重量部以上1000重量部以下と、重合開始剤とを分散させて、分散液を得る工程、
(B)得られた上記分散液を、上記スチレン系単量体が重合しない温度に加熱して、上記スチレン系単量体を上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子に含浸させる工程、
(C)上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、上記スチレン系単量体の重合を行う工程。
(C1)上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、上記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、
(C2)上記第1の重合を行う工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+15)℃の温度とすることで、上記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子への上記スチレン系単量体の含浸、及び上記スチレン系単量体の第2の重合を行う工程。
(2−1)発泡性粒子
発泡性粒子は、(D)改質樹脂粒子に発泡剤を含浸させる工程を行うことにより得ることができる。改質樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで、改質樹脂粒子に発泡性を付与することができ、発泡性を有する発泡性粒子を得ることができる。
発泡性粒子の発泡性は、発泡性粒子を99℃の蒸気で3分間発泡させた後の嵩密度によって評価される。上記嵩密度は、好ましくは0.01g/cm3以上、より好ましくは0.03g/cm3以上、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.2g/cm3以下、更に好ましくは0.1g/cm3以下である。上記嵩密度が上記下限以上であると、発泡倍数の制御が容易になり、気泡が破泡し難くなり、結果として発泡成形体の強度の低下が抑えられる。上記嵩密度が上記上限以下であると、低密度の発泡成形体を得ることが容易であり、発泡体の優れた効果の一つである軽量化を実現できる。
(3−1)予備発泡粒子
予備発泡粒子は、発泡性粒子を予備発泡させる工程を行うことにより得ることができる。予備発泡の条件は、取り扱う材料の種類や所望する発泡倍率などにより適宜設定すればよい。
予備発泡粒子の嵩密度は、好ましくは0.01g/cm3以上、より好ましくは0.04g/cm3以上、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.2g/cm3以下である。予備発泡粒子の嵩密度が上記下限以上であると、予備発泡粒子の強度や耐熱性の低下が抑えられる。予備発泡粒子の嵩密度が上記上限以下であると、予備発泡粒子を用いて得られた発泡成形体の重量が軽くなるために、発泡成形体の軽量化を実現できる。
(4−1)発泡成形体
発泡成形体は、予備発泡粒子を発泡成形する工程を行うことにより得られる。発泡成形体は、予備発泡粒子を型内に充填した後、水蒸気を導入し加熱することにより型内で発泡成形することにより得られることが好ましい。この際、型内の体積に対して、50%を超えない範囲でクラッキングをとり、成形を行ってもよい。
発泡成形体の密度は、好ましくは0.01g/cm3以上、より好ましくは0.03g/cm3以上、更に好ましくは0.05g/cm3以上、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.2g/cm3以下、更に好ましくは0.1g/cm3以下である。発泡成形体の密度が上記下限以上であると、剛性や耐熱性の低下が抑えられる。発泡成形体の密度が上記上限以下であると、発泡成形体をより一層軽量化することができる。
発泡成形体の耐熱性に関しては、発泡成形体を加熱雰囲気下(70℃から5℃刻みに高く)に連続7日間放置した後の発泡成形体の加熱寸法変化率を測定し、加熱寸法変化率が±1.0%の範囲に収まっていた時の加熱温度を耐熱温度として、発泡成形体の耐熱性を評価することができる。
発泡成形体の強度に関しては、密度65kg/m3で作製された発泡成形体の圧縮強度で評価することができる。
JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により測定する。即ち、示差走査熱量計装置DSC200型(セイコー電子工業社製)を用いる。測定容器に試料10mgを充填する。窒素ガス流量30ml/分の条件で、20℃/分の昇温速度で220℃まで昇温して、10分間保持する。その後、試料を取り出し室温にて急冷する熱処理を行う。次に、窒素ガス流量30ml/分の条件で、10℃/分の昇温速度で220℃まで昇温し、ガラス転移温度を測定し、得られる中間点ガラス転移温度をガラス転移点とする。
得られた改質樹脂粒子を、エポキシ樹脂に包埋させた後、ウルトラミクロトームLeica Ultracut UCT(ライカマイクロシステムズ社製)にて、超薄切片を作成する。得られた切片について、透過型電子顕微鏡H−7600(日立製作所社製)にてTEM写真撮影を行う。染色剤として四酸化ルテニウムを用いる。改質樹脂粒子の中心付近を通る断面を切り出し、この断面におけるポリスチレン系樹脂の分散状態をTEM写真(2000倍、1000倍、500倍、200倍)にて観察し、分散されたポリスチレン系樹脂粒子の長径を測定する。また、粒子の長径に関しては、各倍率で撮影したTEM写真から、10個以上の粒子が6cm×6cmの範囲に存在する最大の倍数の写真を採用し、採用した写真から得られた粒子を長径が大きい順に10個の粒子を選択し、それら10個の粒子の長径の平均値を算出し、粒子の長径とする。なお、図1に示されるように、くびれ部を有しながら複数のスチレン系樹脂が連なって分散している場合、破線のようにスチレン系樹脂を分離し、粒子の長径を測定する。
スチレン改質ポリエチレン系樹脂粒子について、長径(L)の短径(D)に対する比(L/D)を求める。10個の粒子の比(L/D)の平均値をアスペクト比とする。アスペクト比を下記の基準に基づいて判断する。
○:良好 1.0≦長径/短径≦1.2
△:やや悪い 1.2<長径/短径≦3.5
×:悪い 3.5<長径/短径
発泡性粒子を、99℃の蒸気で3分間発泡させた後の嵩密度(g/cm3)を以下の予備発泡粒子の嵩密度の測定方法と同様にして測定する。嵩密度から発泡性を下記の基準に基づいて判断する。
○:良好 0.1≧嵩密度
△:やや悪い 0.2>嵩密度>0.1
×:悪い 嵩密度≧0.2
予備発泡粒子の嵩密度は下記の要領で測定する。まず、予備発泡粒子500cm3を、メスシリンダ内に500cm3の目盛りまで充填する。なお、充填時に、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cm3の目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の重量を少数点以下2位の有効数字で秤量し、得られた重量をW(g)とする。そして、下記式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子を発泡成形機の300mm×400mm×30mmの金型内に充填し、水蒸気により加熱して予備発泡粒子を発泡させながら、予備発泡粒子同士を熱融着させる。
上記の(1)と(2)との条件変化を組み合わせて、計30条件で成形を実施し、得られた成形体の、金型寸法変化及び強度が少なくとも1つ以上の成形体で下記条件を満たした場合、成形が可であったと判断する。
金型の長径400mmに対し、得られた成形体のサイズが390mm以上
強度:
300mm×400mm×30mmの成形体を150cmの高さから落下させた際に割れが発生しない
発泡成形体の密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載される方法により測定する。50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その重量を測定し、次式により算出する。
発泡成形体の耐熱性は、以下のようにして評価する。縦150mm×横150mm×厚み30mmの試験片を作製し、試験片の中央部に縦方向及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるよう記入する。次に、試験片を70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃の熱風循環式乾燥機の中に168時間(7日)置いた後に取り出す。次に、試験片を標準状態の場所に1時間放置した後、縦及び横線の寸法を下記式によって測定する。
式中、Sは加熱寸法変化率(%)、L1は加熱後の平均寸法(mm)、L0は初めの平均寸法(mm)をそれぞれ表す。また、Sは絶対値とする。
○:良好 耐熱温度が90℃以上
△:やや悪い 耐熱温度が85℃
×:悪い 耐熱温度が80℃以下
発泡成形体の強度は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック−圧縮特性の求め方」に記載される方法により測定する。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)を用いて、50mm×50mm×25mmの試験片を、10mm/分の圧縮速度で50%圧縮した時(10mm変位時)に試験片に加えられた圧力を測定する。発泡成形体の強度を下記基準に基づいて判断する。
○:良好 強度が0.60MPa以上
△:やや悪い 強度が0.55MPa以上0.60MPa未満
×:悪い 強度が0.55MPa未満
発泡成形体の耐薬品性は、以下のようにして評価する。発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、23℃、湿度50%の条件下で24時間放置する。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表面から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出す。
○:良好 変化なし
△:やや悪い 表面軟化
×:悪い 表面陥没(収縮)
発泡成形体のバイオマス度は、ASTM D6866に基づいて測定する。
[樹脂G]
バイオマス由来のイソソルビド23重量部と、1,6−ヘキサンジオール4.7重量部と、ジフェニルカーボネート43重量部とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.0×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して1.0×10−4モル)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩3.0×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して5.0×10−7モル)とをさらに入れ、窒素雰囲気下180℃で溶融した。
[樹脂H]
バイオマス由来のイソソルビド20重量部と、1,6−ヘキサンジオール7.1重量部と、ジフェニルカーボネート43重量部とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.0×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して1.0×10−4モル)と、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩3.0×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して5.0×10−7モル)とをさらに入れ、窒素雰囲気下180℃で溶融した。
熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを押出機に供給して溶融混練してストランドカットにより造粒して円筒状(L/D=1.2〜3.0)の熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子を得た。この熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100粒の重量は64mgであった。
(1)分散用媒体に分散させる上記熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子510gを170gに
(2)第1重合の際に、滴下するスチレン単量体220gを70gに
(3)第1重合の際にスチレン単量体に溶解させるジクミルパーオキサイド0.4gを0.15gに
(4)第2重合の際に、滴下するスチレン単量体970gを1460gに
(5)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる過酸化ベンゾイル0.36gを0.46gに
(6)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド5.4gを6.9gに
(7)第2重合の際の滴下時間6時間を10時間に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Aに
(2)第1重合温度125℃を120℃に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)第1重合温度125℃を140℃に
(2)第2重合温度90℃を100℃に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Dに
(2)第1重合温度125℃を120℃に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Gに
(2)第1重合温度125℃を130℃に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Gを熱可塑性ポリエステル系樹脂Hに
変更したこと以外は実施例6と同様にして発泡成形体を得た。
(1)分散用媒体に分散させる熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子510gを680gに
(2)第1重合の際に、滴下するスチレン単量体220gを270gに
(3)第1重合の際に、スチレン単量体に溶解させるジクミルパーオキサイド0.4gを0.5gに
(4)第2重合の際に、滴下するスチレン単量体970gを750gに
(5)第2重合の際に、スチレン単量体に溶解させる過酸化ベンゾイル0.36gを0.31gに
(6)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド5.4gを4.6gに
(7)第2重合の際の滴下時間6時間を4.5時間に
それぞれ変更したこと以外は実施例6と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Eに
(2)第1重合温度125℃を140℃に
(3)第2重合温度90℃を120℃に
(4)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる過酸化ベンゾイル0.36gをジクミルパーオキサイド3.6gに
(5)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド5.4gを0gに(使用せず)
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得ようとした。しかし、発泡成形体を得るために必要な発泡性を有する予備発泡粒子を得ることができなかった。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Aに
(2)分散用媒体に分散させる上記熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子510gを1130gに
(3)第1重合の際に、滴下するスチレン単量体220gを485gに
(4)第1重合の際にスチレン単量体に溶解させるジクミルパーオキサイド0.4gを0.9gに
(5)第2重合の際に、滴下するスチレン単量体970gを80gに
(6)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる過酸化ベンゾイル0.36gを0.17gに
(7)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる(2−エチルヘキサノイル)(tert−ブチル)ペルオキシド5.4gを2.5gに
(8)第2重合の際の滴下時間6時間を1時間に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得ようとした。しかし、発泡成形体を得るために必要な発泡性を有する予備発泡粒子を得ることができなかった。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bを熱可塑性ポリエステル系樹脂Cに
(2)第1重合温度125℃を110℃に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
(1)熱可塑性ポリエステル系樹脂Bをポリプロピレン樹脂Fに
(2)第1重合温度125℃を140℃に
(3)第2重合温度90℃を120℃に
(4)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる過酸化ベンゾイル0.36gをジクミ
ルパーオキサイド3.6gに
(5)第2重合の際にスチレン単量体に溶解させる(2−エチルヘキサノイル)(ter
t−ブチル)ペルオキシド5.4gを0g(使用せず)に
それぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000g、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0gを供給し、攪拌しながら、スチレン40000gと、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0gとを添加した後に、90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却して、ポリスチレン樹脂粒子を得た。
Claims (7)
- スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子に発泡性が付与されている発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子であり、
前記スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子は、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部と、ポリスチレン系樹脂100重量部以上1000重量部以下とを含有し、
前記スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子において、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に前記ポリスチレン系樹脂は、長径が10μm以下の粒子状で分散されている、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子。 - 前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、芳香族ジオール又は脂環族ジオールに由来する成分を含む非結晶性の樹脂である、請求項1に記載の発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子。
- 請求項1又は2に記載の発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子の予備発泡粒子であるスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子。
- 請求項3に記載のスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子の型内発泡成形体であり、
0.01〜0.5g/cm3の密度を有する、スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体。 - ASTM D6866に基づいて測定されるバイオマス度が5%以上であり、
スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体を構成するために用いられた前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、バイオマス由来のジオール成分を少なくとも含む、請求項4に記載のスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂発泡成形体。 - 分散剤を含む水性懸濁液中に、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部と、スチレン系単量体100重量部以上1000重量部以下と、重合開始剤とを分散させて、分散液を得る工程と、
得られた前記分散液を、前記スチレン系単量体が重合しない温度に加熱して、前記スチレン系単量体を前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子に含浸させる工程と、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行い、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に前記ポリスチレン系樹脂が、長径が10μm以下の粒子状で分散されているスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子を得る工程と、
前記スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子に発泡性を付与することにより、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子を得る工程とを有する、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子の製造方法。 - 分散剤を含む水性懸濁液中に、90〜135℃のガラス転移点を有する熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子と、スチレン系単量体と、重合開始剤とを分散させて、分散液を得る工程と、
得られた前記分散液を、前記スチレン系単量体が重合しない温度に加熱して、前記スチレン系単量体を前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子に含浸させる工程と、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+30)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、
前記第1の重合を行う工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ前記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス転移点をT℃としたとき、(T−30)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子への前記スチレン系単量体の含浸、及び前記スチレン系単量体の第2の重合を行い、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子中に前記ポリスチレン系樹脂が、長径が10μm以下の粒子状で分散されているスチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子を得る工程と、
前記スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子に発泡性を付与することにより、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子を得る工程とを有し、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂の粒子100重量部に対して、第1の重合及び第2の重合において用いられる前記スチレン系単量体の総量が、100重量部以上1000重量部以下である、発泡性スチレン改質熱可塑性ポリエステル系樹脂粒子の製造方法。
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