JP6082637B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体 Download PDF

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Description

本発明は、発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡粒子及び発泡成形体に関する。更に詳しくは、本発明は、一定条件の空間に放置された際の帯電が抑制された発泡粒子を与える発泡性スチレン系樹脂粒子、帯電が抑制された発泡粒子及び発泡成形体に関する。
スチレン系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子は、クッションの芯材として、又は発泡成形体を製造する際の原料として使用されている(実公平3−45641号公報:特許文献1)。
発泡粒子は、帯電しやすいことが知られている。帯電した発泡粒子は、クッション用の袋への充填や、成形用の金型への充填の際に、ダマとなり作業性を低下させることになる。
そこで、帯電防止剤を含有する発泡性粒子から、発泡粒子や発泡成形体を製造することで、発泡粒子や発泡成形体に帯電性を付与することが一般に行われている(特開2011−74239号公報:特許文献2)。
実公平3−45641号公報 特開2011−74239号公報
発泡性粒子に含有されている帯電防止剤は、発泡粒子及び発泡成形体製造時の水蒸気に晒されることにより剥離する。また、クッション及び発泡成形体の使用によっても、帯電防止剤は剥離する。そのため、帯電防止剤を塗布している場合でも発泡粒子、または発泡成形体が帯電してしまうことがあり、火災等に繋がってしまう恐れがある。そこで、より強力な帯電防止性能を有した発泡粒子及び発泡成形体、更にはそれらを製造可能な発泡性粒子の提供が望まれていた。
本発明の発明者は、発泡性粒子表層に、親水性であるアクリル酸エステル由来の樹脂成分が偏在する発泡性スチレン系樹脂粒子であれば、その樹脂成分が発泡粒子及び発泡成形体に帯電防止性能を発揮させることを見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、アクリル酸エステル由来の樹脂成分と発泡剤とを含む帯電を抑制した発泡粒子製造用の発泡性スチレン系樹脂粒子であり、
前記発泡性スチレン系樹脂粒子が、
表層と中心部のそれぞれの赤外線吸収スペクトルを顕微透過イメージング法により測定し、前記赤外線吸収スペクトルから1730cm-1の吸光度D1730と1600cm-1の吸光度D1600を得、前記吸光度D1730と吸光度D1600から表層の吸光度比(D1730/D1600)(A)と中心部の吸光度比(D1730/D1600)(B)を算出した場合、
(i)前記吸光度比(A)が前記吸光度比(B)より大きく、
(ii)前記吸光度比(A)が0.15〜0.6の範囲あり、
前記アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルから選択され、
前記アクリル酸エステル由来の樹脂と前記発泡性スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂との合計量が、全樹脂成分100質量部に対して95質量部より多い
ことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体が提供される。
本発明によれば、発泡性粒子表層に偏在した、親水性であるアクリル酸エステル由来の樹脂成分は、発泡粒子及び発泡成形体の表層にも存在するため、その樹脂成分により、帯電防止剤のように帯電防止性能を発揮できる。
また、本発明によれば、
(1)吸光度比(B)が、0.05〜0.4の範囲である
(2)発泡性スチレン系樹脂粒子は、該発泡性スチレン系樹脂粒子から得られた嵩密度0.01〜0.05g/cm3の発泡粒子を20〜25℃、湿度50%の室内に12時間以上放置した場合、発泡粒子の帯電量の絶対値が0.5kV以下となる粒子である
(3)アクリル酸エステル由来の樹脂成分が、発泡性スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜3.1質量部含まれる
のいずれかを少なくとも備えることで、より帯電防止性能を持続して発揮できる。
赤外吸収スペクトル法による吸光度比の測定手順を説明するための概略図である。
(発泡性スチレン系樹脂粒子)
発泡性スチレン系樹脂粒子(以下、発泡性粒子)は、スチレン系樹脂成分、アクリル酸エステル由来の樹脂成分と発泡剤とを含んでいる。また、発泡性粒子は、
(a)帯電防止剤を含有せず、
(b)吸光度比(A)が吸光度比(B)より大きく、
(c)吸光度比(A)が0.15〜0.6の範囲である
粒子である。
上記吸光度比(A)は、発泡性粒子の表層の吸光度D1730と吸光度D1600の比(D1730/D1600)である。一方、上記吸光度比(B)は、発泡性粒子の中心部の吸光度D1730と吸光度D1600の比(D1730/D1600)である。吸光度D1730と吸光度D1600は、顕微透過イメージング法により測定された表層と中心部のそれぞれの赤外線吸収スペクトルから得られた、吸収波長1730cm-1と1600cm-1時の値を意味する。
(1)構成成分
(a)スチレン系樹脂成分
スチレン系樹脂成分としては、特に限定されず、公知のスチレン系モノマー由来の樹脂成分をいずれも使用できる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等に由来する樹脂成分が挙げられる。これらスチレン系樹脂成分は、一種類でも、複数種の混合物であってもよい。好ましいスチレン系樹脂成分は、スチレンのホモポリマーである。
(b)アクリル酸エステル由来の樹脂成分
アクリル酸エステル由来の樹脂成分は、特に限定されないが、スチレン系モノマーと共重合可能なモノマーに由来する樹脂成分が好ましい。アクリル酸エステルは、炭素数3〜20のエステルであることが好ましい。この範囲の炭素数のモノマーを使用することで、より発泡性の向上した発泡性粒子を提供できる。
具体的なアクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル等が挙げられる。炭素数3以上のアルキル基は、直鎖状のアルキル基以外に、イソ構造、sec構造やtert構造のような構造異性のアルキル基も含む。
これらアクリル酸エステルの内、帯電防止性能を向上させる観点から、アクリル酸ブチルが好ましい。
(c)スチレン系樹脂成分とアクリル酸エステル由来の樹脂成分の割合
スチレン系樹脂成分とアクリル酸エステル由来の樹脂成分の割合は、100:0.5〜3.1(質量比)の範囲であることが好ましい。
アクリル酸エステル由来の樹脂成分が0.5より少ない場合、帯電防止性能を十分発揮できないことがある。3.1より多い場合、蒸気による加熱によって樹脂が軟化してしまい収縮・合着が発生してしまい高倍の発泡粒子を得難いことがある。より好ましい割合は、100:0.5〜2.1の範囲であり、更に好ましい割合は、100:1〜1.6の範囲である。
なお、スチレン系樹脂成分とアクリル酸エステル由来の樹脂成分の割合は、原料としてのモノマーの割合と実質的に一致している。
(d)その他の樹脂成分
発泡性粒子は、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、全樹脂成分100質量部に対して5質量部以下)で、スチレン系樹脂及びアクリル酸エステル由来の樹脂成分に加えて、他の樹脂成分を含んでいてもよい。
他の樹脂成分としては、多官能ビニル系モノマー由来の樹脂成分、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル等の樹脂成分が挙げられる。
多官能性ビニル系モノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等の3官能モノマーが挙げられる。
(e)添加剤
物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、ブロッキング防止剤、融着促進剤、展着剤、気泡調整剤、充填剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、メタクリル酸エステル系共重合ポリマー、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
本発明の発泡性粒子は、帯電防止剤を使用せずとも充分な帯電防止性能を発揮し得るが、更に、この性能を向上させることを望む場合、帯電防止剤を含んでいてもよい。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
(2)平均粒子径
発泡性粒子の平均粒子径は、その用途に応じて適宜設定できる。例えば、クッション用の発泡粒子の製造に使用する場合、250〜450μmの平均粒子径が、発泡成形体用の発泡粒子の製造に使用する場合、350〜2400μmの平均粒子径をとり得る。
なお、発泡性粒子の形状が、球状でない場合、平均粒子径は最大径の平均値を意味する。
(3)吸光度比(A)及び(B)
ここでの吸光度比は、赤外吸収スペクトル法によって測定された赤外線吸収スペクトルから得られる。
吸光度比は、測定された赤外吸収スペクトル中、1600cm-1での吸光度D1600に対する1730cm-1での吸光度D1730の比D1730/D1600である。ここで、1730cm-1の吸収はアクリル酸エステルに由来する樹脂に含まれるエステル基のC=O間の伸縮振動に由来するピークを示している。1600cm-1の吸収はスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来するピークの存在を示している。
なお、吸光度D1600及び吸光度D1730は、測定対象にその表面から入射した波長1600cm-1と1730cm-1の光が測定対象を透過して測定機器へ到達する際に、光が吸収される度合い(量)を意味する。
表層の吸光度比(A)は、中心部の吸光度比(B)より大きい値である。このことは、アクリル酸エステルに由来する樹脂成分が、中心部より表層に多く含まれることを意味している。ここで、吸光度比(A)における表層とは粒子最表層から粒子半径の約20%以内の領域を意味する。また、吸光度比(B)における中心部とは粒子中心から粒子半径の約15%以内の領域を意味する。
吸光度比は、発泡性粒子の表面から中心部に向かって低下する傾向を示していることが好ましい。低下の傾向としては、例えば、表面から中心部に向かって直線的に低下する傾向でもよく、表面に近い領域又は中心部に近い領域で大きく低下しその後ほぼ一定値となる傾向でもよい。
表層の吸光度比(A)は、0.15〜0.6の範囲であることが好ましい。吸光度比(A)が0.15未満の場合、十分な帯電防止性能を得難くなることがある。吸光度比が0.6より大きい場合、表層の樹脂が軟化し過ぎてしまい高倍の発泡粒子を得難くなることがある。より好ましい吸光度比(A)は0.2〜0.4の範囲であり、更に好ましい吸光度比(A)は0.25〜0.35の範囲である。
中心部の吸光度比(B)は、0.05〜0.4の範囲であることが好ましい。吸光度比(B)が0.05未満の場合、十分な帯電防止性能を得難くなることがある。吸光度比(B)が0.4より大きい場合、高倍の発泡粒子を得難くなることがある。より好ましい吸光度比(B)は0.08〜0.3の範囲であり、更に好ましい吸光度比(B)は0.1〜0.2の範囲である。
吸光度比(A)と(B)との差は、0.05〜0.3の範囲であることが好ましい。差が0.3より大きい場合、発泡時の気泡径にバラツキが生じ、発泡粒外観が悪くなることがある。より好ましい差は0.05〜0.2の範囲であり、更に好ましい差は0.05〜0.1の範囲である。
(発泡性粒子の製造方法)
発泡性粒子の製造方法は特に限定されない。例えば、スチレン系樹脂からなる種粒子に、アクリル酸エステルを少なくとも含むモノマー混合物を吸収させ重合させることで、樹脂粒子を得、重合と同時又は重合後に、樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。モノマー混合物には、通常、スチレン系モノマーが含まれる。
(a)種粒子
種粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(i)スチレン系樹脂を押出機で溶融混練し、ストランド状に押し出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(ii)水性媒体、スチレン系モノマー、又は一部ポリスチレン系樹脂を溶解させたスチレン系モノマー、及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系モノマーを懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(iii)水性媒体及びスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系モノマーを連続的にあるいは断続的に供給して、スチレン系樹脂粒子にスチレン系モノマーを吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。
また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。例えば平均粒子径が800μmの樹脂粒子を得ようとする場合には、平均粒子径が500〜600μm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜50万が好ましく、更に好ましくは15万〜40万である。
(b)含浸工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、モノマー混合物を供給することで、モノマー混合物を種粒子に吸収させる。モノマー混合物中のアクリル酸エステルは、種粒子100質量部に対して、0.5〜3.4質量部の範囲で使用されることが好ましい。また、アクリル酸エステルは、モノマー混合物中に5.0〜30.0質量%含まれていることが好ましい。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
モノマー混合物には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来からモノマーの重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存モノマーを低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水性媒体中には、モノマーの小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来からモノマーの懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
(c)重合工程
重合工程は、使用するモノマー種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、通常、60〜130℃の加熱を、2〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、モノマー混合物を含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用するモノマー混合物全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい。2段階以上に分けて重合させる場合、通常、含浸工程も2段階に分けて行われる。2段階以上に分けた重合工程の重合温度及び時間は、同一であっても、異なっていてもよい。
例えば、1段階で行われる場合、次のように重合工程を調整することが好ましい。
スチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系モノマーとアクリル酸エステルを含むモノマー混合物を吸収させて種粒子内で重合させる。ここで、モノマー混合物は1〜30分かけて重合容器に添加することが好ましい。
重合工程を経て得られた樹脂粒子は、10万〜70万の範囲の重量平均分子量を有していることが好ましい。重量平均分子量が10万未満である場合、発泡粒の強度が低下してしまうことがある。70万より大きい場合、十分な発泡を得られることができなくなることがある。より好ましい重量平均分子量は10万〜50万の範囲であり、更に好ましい重量平均分子量は15万〜30万の範囲である。
(d)発泡剤含浸工程
上記樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで、発泡性粒子を得る。
発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
更に、発泡剤の含有量は、2〜15質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性粒子から所望の嵩密度の発泡粒子を得られないことがある。15質量%より多いと、樹脂が軟化し、発泡時に破泡することがある。より好ましい発泡剤の含有量は、3〜14質量%である。
発泡剤の含浸は、モノマー混合物の重合と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。
発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は、70〜110℃である。
発泡助剤を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としては、アジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
(発泡粒子)
上記発泡性粒子から得られる発泡粒子の平均粒子径は、発泡粒子の用途に応じて適宜設定できる。例えば、クッション用の発泡粒子の場合、0.5〜2mmの平均粒子径が、発泡成形体用の発泡粒子の場合、0.7〜9.3mmの平均粒子径をとり得る。
発泡粒子の嵩倍数は、25〜100倍の範囲であることが好ましい。嵩倍数が100倍より大きい場合、発泡粒子に収縮が起き、嵩倍数が回復するのに時間がかかることがある。一方、嵩倍数が25倍より小さい場合、発泡速度が早すぎると発泡倍数にバラつきが発生することがあるため、発泡倍数の制御が困難になることがある。より好ましい嵩倍数は40〜60倍である。
なお、発泡粒子の形状が、球状でない場合、平均粒子径は最大径の平均値を意味する。
発泡粒子は、上記発泡性粒子を水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡させることで得られる。発泡は、例えば、0.06〜0.08MPaの水蒸気を用いて、必要に応じて加圧しつつ、1〜3分間加熱することにより実施できる。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、帯電防止剤としてのポリエチレングリコールや、ブロッキング防止剤としてのステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。
(発泡成形体)
発泡成形体は、例えば、食品、工業製品等の容器、魚、農産物等の梱包材、床断熱用の断熱材、盛土材、畳の芯材等に使用できる。特に帯電防止性能の持続性が要求される容器、梱包財等に好適に使用できる。発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。
発泡成形体の密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。発泡成形体の密度が0.01g/cm3より小さい場合、発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、密度が0.04g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
発泡成形体は、例えば以下の方法により得ることができる。
発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、発泡成形体を製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で、5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、90〜120℃の熱媒体で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。この時の熱媒体の成形蒸気圧(ゲージ圧)は、0.03〜0.08MPaとすることができる。
発泡粒子は、発泡成形体の成形前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<重量平均分子量>
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
具体的には、試料3mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに溶解させ(完全溶解)、非水系0.45μmのクロマトディスクで濾過して測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の重量平均分子量を求める。また、クロマトグラフの条件は下記の通りとする。
・装置:高速GPC装置
・商品名:東ソー社製 HLC−8320GPC EcoSEC-WorkStation(RI検出器内蔵)
・分析条件
カラム:TSKgel SuperHZM−H×2本(4.6mmI.D×15cmL×2本)
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperHZ−H×1本(4.6mmID×2cmL)
流量:サンプル側 0.175ml/min、リファレンス側 0.175ml/min
検出器:内蔵RI検出器
濃度:0.3g/L
注入量:50μL
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
溶離液:THF
(検量線の作成)
検量線用標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製商品名「TSK standard POLYSTYRENE」の重量平均分子量が、500、2630、9100、37900、102000、355000、3840000、及び5480000である標準ポリスチレン試料と、昭和電工社製商品名「Shodex STANDARD」の重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を用いる。
検量線の作成方法は以下の通りである。まず、上記検量線用標準ポリスチレン試料をグループA(重量平均分子量が1030000のもの)、グループB(重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000のもの)及びグループC(重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000のもの)にグループ分けする。グループAに属する重量平均分子量が1030000である標準ポリスチレン試料を5mg秤量した後にTHF20mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループBに属する重量平均分子量が500、9100、102000及び3480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ10mg、5mg、5mg、及び5mg秤量した後にTHF50mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。グループCに属する重量平均分子量が2630、37900、355000及び5480000である標準ポリスチレン試料をそれぞれ5mg、5mg、5mg、及び1mg秤量した後にTHF40mLに溶解し、得られた溶液50μLを試料側カラムに注入する。これら標準ポリスチレン試料の保持時間から較正曲線(三次式)をHLC−8320GPC専用データ解析プログラムGPCワークステーション(EcoSEC−WS)にて作成し、これをポリスチレン換算重量平均分子量測定の検量線として用いる。
<各種粒子の平均粒子径>
平均粒子径は次の方法で測定する。すなわち、JIS(JIS Z8801−1)標準ふるい目開き2360μm(7.5メッシュ)、目開き2000μm(8.6メッシュ)、目開き1700μm(10メッシュ)、目開き1400μm(12メッシュ)、目開き1180μm(14メッシュ)、目開き1000μm(16メッシュ)、目開き850μm(18メッシュ)、目開き710μm(22メッシュ)、目開き600μm(26メッシュ)、目開き500μm(30メッシュ)、目開き425μm(36メッシュ)、目開き355μm(42メッシュ)、目開き300μm(50メッシュ)、目開き250μm(60メッシュ)、目開き212μm(70メッシュ)、目開き180μm(83メッシュ)のふるいで分級し、累積重量分布曲線を基にして、累積質量が50%となる粒径(メジアン系)を平均粒子径とする。
<中心部及び表層の吸光度比>
発泡性粒子の中心部及び表層部分の吸光度比(D1730/D1600)を次の要領で測定する。
(a)測定試料の作製
無作為に選択した10個の粒子をプラスチック試料支持台(日新EM社製)に固定する。次いで、粒子をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製、LEICA ULTRACUT UCT)を用いてダイヤモンドナイフによって、ほぼ中心を通って約10μm厚みにスライスすることで、スライスサンプルを得る。得られたスライスサンプルを2枚のフッ化バリウム結晶(ピアーオプティックス社製)で挟む。これを測定試料とする。スライスサンプルの画像を、下記測定装置付属のCCDで取り込む。画像の取り込みは、ウルトラミクロトームの刃の進行方向をY軸とし、それに対して垂直方向をX軸として行う。スライスサンプル中の粒子は、刃の進行方向に、極僅かに潰れが発生している。取り込まれる画像のY軸を刃の進行方向に合わせることで、測定される吸光度比がばらつくことを抑制する。
吸光度D1730及びD1600は、Perkin Elmer社から商品名「高速IRイメージングシステムSpectrum Spotlight 300」で販売されている装置を用いる。この装置を用いて、下記測定条件にて、スライスサンプル粒子断面の全吸光度イメージ画像を得、スライスサンプル粒子断面の各箇所における赤外吸収スペクトルを得る。
(測定条件)
モード:顕微透過イメージング法
ピクセルサイズ:6.25μm
測定領域:4000cm-1〜650cm-1
検出器:MCT
分解能:8cm-1
スキャン/ピクセル:2回
(バックグランド測定条件)
モード:顕微透過イメージング法
ピクセルサイズ:6.25μm
測定領域:4000cm-1〜650cm-1
検出器:MCT
分解能:8cm-1
スキャン/ピクセル:60回
その他:試料の近傍の試料の無い部分のフッ化バリウム結晶を測定した赤外吸収スペクトルをバックグランドとして測定スペクトルに関与しない処理を実施する。
取り込んだ画像から、図1に示すように、X座標値の最小値と最大値及びY軸のY座標値の最小値と最大値を線で結び、その線の交点を中心点Aとする。画像処理における、中心点のX、Y座標値設定は、中心点Aの±20μmの範囲内におさまるようにする。
次に、画像中に、中心点Aを通り、X軸に平行な直線を引く。この直線が、粒子(樹脂)が存在する末端の位置(X軸の最大値)と交わる点を点Dとする。点Aと点Dを結ぶ線上の赤外吸収スペクトルをX座標値で12±2μmごとに抽出する。尚、本発明での中心部分とはA点からD点までの距離の15%以内をいい、一方表層部分とはD点からA点までの距離の20%の部分をいう。
抽出した赤外吸収スペクトルから、吸光度D1730及びD1600をそれぞれ読み取り、中心部、及び表層部分における吸光度比(D1730/D1600)を算出する。10個の粒子について算出した個別吸光度比の相加平均を吸光度比とする。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm-1での吸光度D1730は、上記エステルに含まれるエステル基のC=O間の伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、1730cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離は実施していない。吸光度D1730は、1680cm-1と1785cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1680cm-1と1785cm-1間の最大吸光度を意味する。また、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm-1での吸光度D1600は、スチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。この吸光度の測定では、1600cm-1で他の吸収スペクトルが重なっている場合でもピーク分離は実施していない。吸光度D1600は、1565cm-1と1640cm-1を結ぶ直線をベースラインとして、1565cm-1と1640cm-1間の最大吸光度を意味する。
<帯電量測定>
発泡機にて約50倍に発泡させた発泡粒子をエアーブロワーによる送風で5分間乾燥させる。その後、発泡粒子を30℃で1日間乾燥処理し、十分乾燥させた発泡樹脂粒子約10Lを蒸篭(型枠材質:木、網材質:ステンレス、網直径:50cm、網目開き:150μm)に静置し、20〜25℃、湿度50%の室内に12時間以上放置。次いで静電気測定器(シムコジャパン社製FMX−003)にて発泡樹脂粒子の帯電量を測定する。帯電量の値は蒸篭全体を静電気測定器で測定した際の最大値をその条件の帯電量とする。
帯電量の絶対値が0.5kV以下の場合を○、0.5を超える場合を×と評価する。
<収縮の有無>
発泡機にて約50倍の発泡倍数を目標として発泡する。次いで、得られた発泡粒子をエアーブロワーにて十分乾燥させた後、その発泡粒子の発泡倍数(発泡倍数=1/嵩密度)を測定する。その得られた嵩密度が45倍よりも低いものは収縮したと見なし、45倍以上のものは収縮していないと判断する。
(実施例1)
内容積が100Lの撹拌機付きオートクレーブにリン酸三カルシウム120kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ4g、ベンゾイルパーオキサイド105g、t−ブチルパーオキシベンゾエート30g、イオン交換水40kg及びスチレン40kgを供給した後、200rpmの撹拌速度で撹拌羽を撹拌させて懸濁液を作製した。
引き続き、オートクレーブ内温度を90℃に加熱し、6時間に亘って保持した。次いで、オートクレーブ内の温度を125℃に昇温し、2時間に亘って保持した後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却し、生成された粒子を回収、脱水、乾燥を経て後、ポリスチレン粒子を分級して、平均粒子径が350μmで且つ重量平均分子量が約30万のポリスチレン粒子を得た。
内容積5Lの撹拌機付き重合容器に、種粒子としての上記ポリスチレン樹脂1800g、ピロリン酸マグネシウム5g及びドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.2gを添加して撹拌しつつ75℃に加熱して分散液を作製した。
続いて、スチレン80g、アクリル酸ブチル20gを混合させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ添加した。
そして、分散液中に前記溶液を供給し終えてから15分経過後に、この分散液中に、ベンゾイルパーオキサイド1.2g、t−ブチルパーオキシベンゾエート0.2gをスチレン100gに溶解させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ添加した。添加した後、分散液を75℃に保持しながら、40分間重合反応を行った。
次いで、重合容器の温度を120℃に昇温し、1時間に亘って保持した後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却し、生成された粒子を回収、脱水、乾燥を経て平均粒子径が360μmでかつ重量平均分子量が20万の樹脂粒子を得た。
次に、樹脂粒子が分散した分散液を90℃に保持し、重合容器内にプロパン20g、ペンタン(n−ペンタン/イソペンタン(質量比)=4)150g、イソブタン100gを圧入して3時間に亘って保持することにより、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得た。この後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性粒子を取り出した。
発泡性粒子の表面に、帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した。この後、更に、発泡性粒子の表面にブロッキング防止剤としてステアリン酸亜鉛を塗布した。塗布後、発泡性粒子を13℃の恒温室にて7日間放置した。
そして、発泡性粒子を用いて帯電量を測定した。
(実施例2)
スチレン80gとアクリル酸ブチル20gを、スチレン90gとアクリル酸ブチル10gにしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性粒子を得、実施例1と同様にして帯電量を測定した。
(実施例3)
スチレン80gとアクリル酸ブチル20gを、スチレン40gとアクリル酸ブチル60gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を得、実施例1と同様にして帯電量を測定した。
(比較例1)
スチレン80gとアクリル酸ブチル20gを、スチレン100gとアクリル酸ブチル0gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を得、実施例1と同様にして帯電量を測定した。
(比較例2)
スチレン80gとアクリル酸ブチル20gを、スチレン94gとアクリル酸ブチル6gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を得、実施例1と同様にして帯電量を測定した。
(比較例3)
スチレン80gとアクリル酸ブチル20gを、スチレン30gとアクリル酸ブチル70gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を得、実施例1と同様にして
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果を表1にまとめて示す。
表1から、実施例及び比較例は、同量の帯電防止剤を含むが、
・アクリル酸ブチル量の少ない比較例1及び2は、実施例に比べて、帯電防止性能が劣っている。そのため、帯電防止性能の向上には、アクリル酸ブチル由来の成分を表層にリッチに含むことが好適であることが分かる。
・比較例3から、アクリル酸ブチル由来成分をリッチにしすぎると、スチレン由来成分が少なくなりすぎるため、所望の嵩倍数を得られないことが分かる。

Claims (6)

  1. アクリル酸エステル由来の樹脂成分と発泡剤とを含む帯電を抑制した発泡粒子製造用の発泡性スチレン系樹脂粒子であり、
    前記発泡性スチレン系樹脂粒子が、
    表層と中心部のそれぞれの赤外線吸収スペクトルを顕微透過イメージング法により測定し、前記赤外線吸収スペクトルから1730cm-1の吸光度D1730と1600cm-1の吸光度D1600を得、前記吸光度D1730と吸光度D1600から表層の吸光度比(D1730/D1600)(A)と中心部の吸光度比(D1730/D1600)(B)を算出した場合、
    (i)前記吸光度比(A)が前記吸光度比(B)より大きく、
    (ii)前記吸光度比(A)が0.15〜0.6の範囲であり、
    前記アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルから選択され、
    前記アクリル酸エステル由来の樹脂と前記発泡性スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂との合計量が、全樹脂成分100質量部に対して95質量部より多い
    ことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子。
  2. 前記吸光度比(B)が、0.05〜0.4の範囲である請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  3. 前記発泡性スチレン系樹脂粒子は、該発泡性スチレン系樹脂粒子から得られた嵩密度0.01〜0.05g/cm3の発泡粒子を20〜25℃、湿度50%の室内に12時間以上放置した場合、発泡粒子の帯電量の絶対値が0.5kV以下となる粒子である請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  4. 前記アクリル酸エステル由来の樹脂成分が、前記発泡性スチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系樹脂100質量部に対して、0.5〜3.1質量部含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて得られた発泡粒子。
  6. 請求項5に記載の発泡粒子を発泡成形させて得られた発泡成形体。
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