JP6855236B2 - 複合樹脂発泡性粒子及びその製法、複合樹脂発泡粒子及びその製法、並びに、複合樹脂発泡成形体及びその製法 - Google Patents

複合樹脂発泡性粒子及びその製法、複合樹脂発泡粒子及びその製法、並びに、複合樹脂発泡成形体及びその製法 Download PDF

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Description

本発明は、柔軟性及び低反発性を備えた樹脂発泡成形体及びその製造方法に関する。
本発明はまた、前記樹脂発泡成形体を製造するための樹脂発泡性粒子及びその製造方法、並びに、樹脂発泡粒子及びその製造方法に関する。
本発明はまた居住空間用断熱材に関する。
代表的な発泡成形体であるポリスチレン樹脂からなる発泡成形体は、優れた緩衝性、断熱性を有し、成形も容易であるため、包装材、断熱材として多く用いられている。しかし、耐衝撃性や柔軟性が不十分であるため、割れや欠けが発生しやすく、例えば精密機器製品の包装などには適さないという問題がある。また、機械油等が付着するような環境下であると発泡体が侵されてしまう問題がある。
一方,ポリプロピレン樹脂からなる発泡成形体は、耐衝撃性や柔軟性に優れた発泡成形体ではあるが、発泡成形体の成形時に大がかりな設備を必要とする。また、樹脂の性質上、発泡粒子の形態で製造業者から成形加工業者に輸送しなければならない。そのため、製造コストが上昇するという問題があった。
近年、成形が容易で、ポリスチレン系発泡体よりも耐衝撃性及び柔軟性を改良したものとして、ゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体が開発されている。特許文献1、2、3、4にはゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体の具体例が開示されている。
特開平5−116227号公報 特開平7−11043号公報 特開平11−147970号公報 特開平7−90105号公報 特開2011−68817号公報
特許文献1〜3には、スチレン系樹脂の連続相中に、ジエン系重合体ゴム粒子が分散したゴム変性スチレン系樹脂組成物を用いた発泡成形体が開示されている。しかしながら、これらの文献のゴム変性スチレン系樹脂発泡成形体は、柔軟性、耐衝撃性に関して満足できるものではない。
また、特許文献4には、高シスポリブタジエンとスチレン系単量体とのグラフト重合で得られるスチレン系樹脂粒子を基本樹脂粒子として含むスチレン系樹脂発泡成形体が開示されているが、この文献に記載のスチレン系樹脂は、発泡剤が揮発して生じるガスを保持する能力が低く、発泡成形性が悪いという問題がある。しかも、特許文献4に記載の発泡成形体もまた、柔軟性、耐衝撃性に関して満足できるものではない。
特許文献5には、ポリスチレン樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子を分散させることによって、耐衝撃性に優れ且つ成形性が良好な発泡成形体が提案されている。しかし、特許文献5に記載の発泡成形体もまた、柔軟性と言う面で満足できるものではない。
また特許文献1〜5には発泡成形体の低反発性について言及されていないが、低反発性に関しても不十分である。
そこで本発明は、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡成形体、並びに、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡成形体の製造に用いるための樹脂発泡性粒子及び樹脂発泡粒子を提供する。
前記目的を達成するために、本発明は、
複合樹脂と発泡剤とを含む複合樹脂発泡性粒子であって、
前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡性粒子を提供する。
本発明の複合樹脂発泡性粒子において、好ましくは、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である。
本発明の複合樹脂発泡性粒子では、好ましくは、前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である。
本発明の複合樹脂発泡性粒子では、好ましくは、ゲル分率が10〜70%である。
本発明の複合樹脂発泡性粒子では、好ましくは、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である。
本発明の複合樹脂発泡性粒子は、好ましくは、輻射伝熱抑制成分を含有する。
本発明はまた、
気泡が形成された複合樹脂を含有する複合樹脂発泡粒子であって、
前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子を提供する。
本発明の複合樹脂発泡粒子において、好ましくは、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である。
本発明の複合樹脂発泡粒子では、好ましくは、前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である。
本発明の複合樹脂発泡粒子では、好ましくは、ゲル分率が10〜70%である。
本発明の複合樹脂発泡粒子では、好ましくは、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である。
本発明の複合樹脂発泡粒子は、好ましくは、輻射伝熱抑制成分を含有する。
本発明はまた、
気泡が形成された複合樹脂を含有し互いに融着した複数の発泡粒子により構成された、複合樹脂発泡成形体であって、
前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡成形体を提供する。
本発明の複合樹脂発泡成形体において、好ましくは、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である。
本発明の複合樹脂発泡成形体では、好ましくは、前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である。
本発明の複合樹脂発泡成形体では、好ましくは、ゲル分率が10〜70%である。
本発明の複合樹脂発泡成形体では、好ましくは、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である。
本発明の複合樹脂発泡成形体は、好ましくは、輻射伝熱抑制成分を含有する。
本発明はまた、
気泡が形成された複合樹脂を含有し互いに融着した複数の発泡粒子により構成された、複合樹脂発泡成形体であって、
前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
表面硬度が45以下であり、
反発性が30%以下であることを特徴とする複合樹脂発泡成形体を提供する。
本発明はまた、
本発明の前記複合樹脂発泡粒子、及び/又は、本発明の前記複合樹脂発泡成形体を含有する、居住空間用断熱材を提供する。
本発明はまた、
本発明の前記複合樹脂発泡性粒子を製造する方法であって、
スチレン系樹脂種粒子を水性媒体中に分散させた分散液中に、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを含む単量体を供給し、前記単量体を前記種粒子内に吸収させ、前記種粒子内で共重合させる工程1を含み、
前記種粒子の量が、前記種粒子と前記単量体との合計量に対して、10質量%〜35質量%であることを特徴とする方法を提供する。
本発明はまた、
本発明の前記複合樹脂発泡粒子を製造する方法であって、
前記方法により製造した複合樹脂発泡性粒子を加熱して発泡させ発泡粒子を得る工程2
を含むことを特徴とする方法を提供する。
本発明はまた、
本発明の前記複合樹脂発泡成形体を製造する方法であって、
前記方法により製造した複合樹脂発泡性粒子を加熱して発泡させ発泡粒子を得る工程2と、
前記発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形体を得る工程3と
を含むことを特徴とする方法を提供する。
本発明によれば、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡成形体及びその製造方法、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡成形体の製造に用いるための樹脂発泡性粒子及びその製造方法、並びに、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡成形体の製造に用いるための樹脂発泡粒子及びその製造方法が提供される。
本発明ではまた、柔軟性及び低反発性に優れた樹脂発泡粒子及び/又は樹脂発泡成形体を含む居住空間断熱材が提供される。
実施例1の試料(複合樹脂粒子)の、ガラス転移温度測定のためのDSC曲線を図1に示す。観察される2つの補外ガラス転移開始温度のうち、より低温側の補外ガラス転移開始温度がスチレンと(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体の補外ガラス転移開始温度である。 実施例2の発泡性粒子の、四酸化ルテニウム(RuO)により染色した断面の透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察されるモルフォロジー画像を図2に示す。グレーの濃淡のうち濃い部分が連続相である第1樹脂相に相当し、薄い島状の部分が分散相である第2樹脂相に相当する。
1.複合樹脂発泡性粒子
本発明の複合樹脂発泡性粒子(以下「発泡性粒子」と称する場合がある)は、後述する複合樹脂と発泡剤とを少なくとも含有し、全体として粒子の形状を成す。本発明の発泡性粒子の粒径は、特に限定されないが、通常は0.5mm〜3.0mmの範囲であり、0.6mm〜2.0mmの範囲が好ましい。粒径は、JISZ8815に準拠し、JISZ8815に記載された篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とする。発泡性粒子の形状は特に限定されず、球状、略球状、円柱状、略円柱状等の形状であることができる。
前記複合樹脂は、
スチレン系樹脂を含む第1樹脂相と、
重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相とを含む。
第1樹脂相と第2樹脂相とは相互に分離した状態で混在し一体化されている。特に、第1樹脂相が連続相であり、第2樹脂相が、第1樹脂相中に分散した複数の分散相である態様は、本発明の発泡性粒子は、柔軟性及び低反発性を備えた樹脂発泡成形体を成形することができ、且つ、成形する際の成形性に優れるため特に好ましい。この態様では、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相が連続相であることにより、本発明の発泡性粒子の複合樹脂は、発泡剤が揮発して形成されるガスを効果的に保持することができるため、発泡成形が容易である。第1樹脂相が連続相であり、第2樹脂相が、第1樹脂相中に分散した複数の分散相であるとき、図2の写真に示す通り、連続相である第1樹脂相と、複数の分散相である第2樹脂相とが、海/島状に配置される。
1.1.スチレン系樹脂を含む第1樹脂相
第1樹脂相は、スチレン系樹脂を基材樹脂として含む。
スチレン系樹脂は、重合単位として少なくともスチレン系単量体の単位を含む。
前記スチレン系単量体はスチレン又はスチレン誘導体からなる。スチレン系単量体は1種のみからなってもよいし、2種以上を含んでもよい。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体は少なくともスチレンを含有することが好ましく、特に、スチレンをスチレン系単量体の全量に対して50質量%以上含有することが好ましい。本発明のスチレン系樹脂は、重合単位の主成分として前記スチレン系単量体単位を含めばよく、具体的には、重合単位のうちスチレン系単量体単位が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である。
本発明のスチレン系樹脂は、重合単位の主成分として前記スチレン系単量体単位を含む限り、スチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体成分を更に含む共重合体であってもよい。前記スチレン系樹脂は、重合単位の主成分としてスチレン系単量体単位を含むスチレン系樹脂として、1種を含むものであってもよいし、複数種を含むものであってもよい。複数種を含む前記スチレン系樹脂としては、単量体の割合や組み合わせが異なる複数種のスチレン系樹脂の混合物が挙げられる。
前記ビニル単量体としては、例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体、無水マレイン酸単量体等が例示できる。
前記多官能単量体を単量体成分として含むスチレン系樹脂は、高分子鎖として分岐鎖を含む。多官能単量体としては、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等が例示でき、1種又は複数種の多官能単量体を含み得る。多官能単量体の1分子が有する重合性官能基の数は通常は2又は3であり、2であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられる。各成分における「(メタ)アクリル酸」の部分は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、好ましくはアクリル酸である。
前記マレイン酸エステル単量体としては、マレイン酸ジメチルが例示できる。
前記フマル酸エステル単量体としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが例示できる。
原料となるスチレン系樹脂としては、市販されているスチレン系樹脂、後述する懸濁重合法などの方法で新たに作製したスチレン系樹脂などの、再生品ではないスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られた再生スチレン系樹脂を使用することができる。
スチレン系樹脂の分子量の範囲は特に限定されないが、重量平均分子量として5万〜70万の範囲が好ましく、10万〜40万の範囲がより好ましい。
なお本発明において、スチレン系樹脂、後述する共重合体、及び、後述するテトラヒドロフラン可溶部の重量平均分子量は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算重量平均分子量を意味する。
1.2.スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む第2樹脂相
第2樹脂相は、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単位とを含む共重合体を基材樹脂として含む。
前記スチレン系単量体単位は、前記のスチレン系単量体に由来する重合単位である。スチレン系単量体は上記の通りスチレン又はスチレン誘導体を含み、好ましくはスチレンである。スチレン系単量体は1種のみからなってもよいし、2種以上を含んでもよい。スチレン系単量体は、第1樹脂相に関して上記した範囲と同様の範囲から選択できる。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する重合単位である。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられる。各成分における「(メタ)アクリル酸」の部分は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、好ましくはアクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましく、アクリル酸ブチルが特に好ましい。
前記共重合体を基材樹脂とする第2樹脂相は、本発明の発泡性粒子を発泡させて調製される複合樹脂発泡粒子及び複合樹脂発泡成形体に柔軟性と低反発性を付与する役割を果たす。このためには、第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることが好ましく、−40℃〜+25℃の範囲内であることがより好ましく、−30℃〜+15℃の範囲内であることが特に好ましい。
前記補外ガラス転移開始温度(Tig)は、JIS K7121:1987、2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法に基づき、同規格の「9.3 ガラス転移温度の求め方」に従って示差走査熱量計装置(DSC)を用いて測定することができる。
より具体的には、例えば、(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を使用し、該DSCのサンプル側には、アルミニウム製測定容器の底にできるだけ隙間ができないように試料(本発明の発泡性粒子、発泡粒子又は発泡成形体)を約6mg充填したものを置き、リファレンス側には基準物質としてアルミナを入れたアルミニウム製測定容器を置き、窒素ガス流量20ml/minのもとで20℃/minの昇温速度で30℃から150℃まで昇温し、10分間保持後、−80℃へ装置の最大出力にて冷却を行った後、20℃/minの昇温速度で−80℃から150℃まで昇温した時に得られるDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて補外ガラス転移開始温度(Tig)を求めることができる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)は、図1に示すように、前記測定により得られたDSC曲線の低温側のベースラインを高温側に延長した直線と,ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度として求めることができる。本発明の発泡性粒子、発泡粒子又は発泡成形体を試料とする場合、図1に示すように、第2樹脂相のガラス転移に由来する階段状変化部分がDSC曲線の低温側に現れ、第1樹脂相のガラス転移に由来する階段状変化部分がDSC曲線の高温側に現れる。
前記共重合体における、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との割合は、第2樹脂相が前記範囲のTigを呈するように設定することができ、特に限定されない。具体的には、前記共重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%であることが好ましく、40質量%〜70質量%であることがより好ましい。
前記共重合体は、重合単位の主成分としてスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単位を含めばよく、具体的には、重合単位のうちスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単位の合計量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以上である。
前記共重合体は、重合単位の主成分としてスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む限り、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体成分を更に含む共重合体であってもよい。前記共重合体は、重合単位の主成分としてスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む共重合体として、1種を含むものであってもよいし、複数種を含むものであってもよい。複数種を含む前記共重合体としては、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む第1の共重合体と、スチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位及び前記ビニル単量体単位を含む第2の共重合体との混合物が挙げられる。
前記ビニル単量体としては、例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体、無水マレイン酸等が例示できる。
多官能単量体、マレイン酸エステル単量体及びフマル酸エステル単量体の具体例は、第1樹脂相に関して挙げた具体例と同様である。
第2樹脂相に含まれる前記共重合体はトルエンに不溶な成分(ゲル分)であることが、本発明の発泡性粒子を発泡させて調製される複合樹脂発泡粒子及び複合樹脂発泡成形体に柔軟性と低反発性を付与する観点から好ましい。前記共重合体をトルエンに不溶なゲル分とするためには、前記共重合体は分岐、架橋構造を有することが好ましい。このためには、前記共重合体は、重合単位として、主成分であるスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて、更に前記多官能単量体の単位を含むことが好ましい。この場合、前記多官能単量体単位の含有量は特に限定されないが、例えば、スチレン系単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、及び、前記多官能単量体単位の合計量に対して、前記多官能単量体単位が100ppm〜3000ppmである場合が例示できる。
1.3.第1樹脂相と第2樹脂相との量比
本発明に用いる複合樹脂では、第1樹脂相の量が、第1樹脂相と第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましく、15質量%〜25質量%であることが特に好ましい。第1樹脂相と第2樹脂相との質量比がこの範囲であることで、本発明の発泡性粒子は、柔軟性及び低反発性を備えた樹脂発泡成形体の成形に用いることができ、且つ、成形する際の成形性に優れるため特に好ましい。
本発明の発泡性粒子における複合樹脂の第1樹脂相と第2樹脂相との質量比の測定方法は特に限定されない。例えば、本発明の発泡性粒子の、断面積が最大となるように切って断面を露出させ、露出した断面を、透過型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製「H−7600」等)を用いて拡大して写真撮影する。得られた写真において、第1樹脂相及び第2樹脂相の面積を算出し、第1樹脂相と第2樹脂相との面積比を、第1樹脂相と第2樹脂相との質量比となす。このとき、前記写真における第1樹脂相及び第2樹脂相の面積を求めることに代えて、前記写真を適当な大きさの紙に印刷し、該紙から、第1樹脂相に該当する領域と第2樹脂相に該当する領域をそれぞれ切り出し、それぞれの重量を求めてもよい。この場合、紙の重量比を、第1樹脂相と第2樹脂相との面積比、すなわち、第1樹脂相と第2樹脂相との質量比とみなすことができる。或いは、前記写真における第1樹脂相及び第2樹脂相の面積を、適当な画像処理手段により求めることもできる。本発明の発泡性粒子の断面の透過型電子顕微鏡による観察の際には、前記断面を四酸化ルテニウム(RuO)により染色して、第1樹脂相と第2樹脂相との判別を容易にすることが好ましい。
後述する本発明の発泡粒子又は発泡成形体における複合樹脂の第1樹脂相と第2樹脂相との質量比も同様の手段で求めることができる。
本発明の発泡性粒子、及び後述する本発明の発泡粒子、発泡成形体のゲル分率は特に限定されず0%であってもよいが、10%〜70%であることが好ましい。ゲル分率がこの範囲である場合に10%以上であれば重合反応時に過度の軟化を抑制でき、さらに70%以下であれば柔軟性や低反発性がさらに優れた発泡成形体を得ることができる。
ゲル分率とは、本発明の発泡性粒子、及び後述する本発明の発泡粒子、発泡成形体の樹脂成分における、トルエンに不溶な成分の割合を指す。ゲル分率の測定方法は実施例の欄に記載の通りである。ゲル分率の測定のための試料は、本発明の発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体のいずれであってもよい。測定前に、本発明の発泡性粒子、発泡粒子又は発泡成形体を145℃のオーブンに入れて120分間加熱した後の残存物を、樹脂成分とみなし、ゲル分率の測定のための試料として用いることができる。ゲル分率が10%〜70%である場合、好ましくは、第1樹脂相はトルエンに可溶であり、第2樹脂相がトルエンに不溶なゲル分であり、このためには、第2樹脂相に含まれる前記共重合体が分岐、架橋構造を有することが好ましい。
本発明の発泡性粒子、発泡粒子又は発泡成形体の樹脂成分におけるテトラヒドロフラン可溶部に含まれる高分子化合物の重量平均分子量は5万〜70万の範囲が好ましく、10万〜40万の範囲がより好ましい。
1.4.発泡剤
発泡剤としては特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタン又はネオペンタン)、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
発泡剤の発泡性粒子中における含有量は、発泡粒子の形成に十分な量であればよく、例えば、発泡性粒子の、発泡剤以外の樹脂成分の全量に対して、2〜13質量%の範囲とすることができる。本発明の発泡性粒子の、発泡剤以外の樹脂成分の全量は、本発明の発泡性粒子をガスクロマトグラフィーなどで分析することで測定可能である。
また、本発明の発泡性粒子は、発泡剤とともに発泡助剤を含んでもよい。発泡助剤としてはアジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、スチレン等が挙げられる。
1.5.他の成分
本発明の発泡性粒子には、物性を損なわない範囲内において、輻射伝熱抑制成分、架橋剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、気泡調整剤、滑剤、展着剤、着色剤等の添加剤を添加しても良い。また、第1樹脂相及び第2樹脂相は、それぞれの基材樹脂の重合に用いられる重合開始剤に由来する成分などの不可避的な不純物を含んでもよい。
可塑剤としては、スチレン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素等、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、ヤシ油、パーム油、菜種油、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が挙げられる。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物、ビスクミル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコンオイル、プロピレングリコール等が挙げられる。
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸グリセリド等が挙げられる。
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸グリセリド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
また、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を発泡性粒子の表面に塗布しておけば、発泡性粒子同士の結合や、発泡性粒子の予備発泡工程において発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。これらの他の成分は、複合樹脂の表面、若しくは第1樹脂相及び第2樹脂相の一方又は両方に含まれ得る。
製造される発泡粒子又は発泡成形体が断熱材として用いられるものである場合には、発泡性粒子は、輻射伝熱抑制成分を更に含有することが好ましい。
輻射伝熱抑制成分は、近赤外〜赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する成分を指す。このような機能を有する輻射伝熱抑制成分としては、例えば、カーボンブラック(ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなど)、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、活性炭、グラファイト、グラフェン、コークス、メソポーラスカーボン、ガラス状炭素、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料;チタン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム等のチタン化合物;アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、アルミン酸亜鉛等の亜鉛化合物;ハイドロタルサイト等のマグネシウム化合物;銀等の銀化合物;ステンレス、ニッケル、錫、銀、銅、ブロンズ、シラスバルーン、セラミックバルーン、マイクロバルーン、パールマイカ等の熱線反射性成分;硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、メルカライト、ハロトリ石、ミョウバン石、鉄ミョウバン石等の硫酸金属塩;三酸化アンチモン、酸化アンチモン、無水アンチモン酸亜鉛等のアンチモン化合物;酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジニウム錫、等の金属酸化物;アンモニウム系、尿素系、イモニウム系、アミニウム系、シアニン系、ポリメチン系、アントラキノン系、ジチオール系、銅イオン系、フェニレンジアミン系、フタロシアニン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系等の熱線吸収剤が挙げられる。
本発明の発泡性粒子は、輻射伝熱抑制成分として、1種類を単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
本発明の発泡性粒子における輻射伝熱抑制成分の含有量は目的とする輻射伝熱抑制効果等の諸事情を考慮して適宜調節することができる。例えば、本発明の発泡性粒子における輻射伝熱抑制成分の含有量は、複合樹脂100重量部あたり、例えば0.5〜25重量部、好ましくは0.5〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この含有量は、輻射伝熱抑制成分が炭素材料である場合に特に好適である。
本発明の発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体において、複合樹脂は上記の通り第1樹脂相と第2樹脂相を含む。輻射伝熱抑制成分は、第1樹脂相及び第2樹脂相の一方のみに含まれてもよいし、両方に含まれてもよい。第1樹脂相が連続相であり、第2樹脂相が分散相である態様では、輻射伝熱抑制成分は少なくとも第1樹脂相に含まれることが、本発明の発泡性粒子を発泡して得られる発泡粒子及び発泡成形体の断熱性能を高めるうえで好ましい。発泡性粒子において、第1樹脂相に輻射伝熱抑制成分を含めるためには、輻射伝熱抑制成分を含むスチレン系樹脂種粒子を種粒子として用いて後述するシード重合法を行って発泡性粒子を製造すればよい。
本発明の発泡性粒子に含まれ得る輻射伝熱抑制成分としては、製造される発泡粒子又は発泡成形体に十分な断熱性を付与できることから、炭素材料が特に好ましい。
本発明の発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体において、炭素材料は、炭素材料の一次粒子が、前記複合樹脂の第1樹脂相及び/又は第2樹脂相中で複数凝集した凝集塊として存在することが好ましい。
輻射伝熱抑制成分として用いる炭素材料の一次粒子は、18〜125nmの平均一次粒子径が例示できる。平均一次粒子径とは、一次粒子の最長径の平均値を意味し、18〜125nmの値をとり得る。しかしながら、このことは、一次粒子が球形及び略球形以外の形状をとることを制限するものではなく、一次粒子は円柱状、角柱状等のその他の形状をもとり得る。一次粒子が球形及び略球形以外の形状をとる場合、平均一次粒子径とは、一次粒子を球形に近似して得られる最長径の平均値を意味するものとする。平均一次粒子径が18nm未満の場合、気泡の微細化により成形性が低下することがあり、125nmより大きい場合、気泡膜が破れることで成形性が低下することがある。
炭素材料の前記一次粒子が形成する凝集塊は、
(i)180〜500nmの最長径の平均値を有し、かつ、
(ii)4.0〜10.0の「平均一次粒子径」に対する「最長径の平均値」の比を有することが好ましい。
凝集塊の最長径とは、凝集塊の顕微鏡観察像において、凝集塊の外縁上の、凝集塊の内部のみを間に介して対向する、任意の2点間の距離のうち最長となるものを意味する。最長径の平均値が180nm未満の場合、断熱性が向上しないことがあり、500nmより大きい場合、発泡時に気泡が破れてしまい断熱性が向上せず良好な成形品が得られないことがある。
また、凝集塊は、上記の(ii)で規定する比が4.0未満の場合、断熱性が向上しないことがあり、10.0より大きい場合、発泡時に気泡が破れてしまい良好な成形品が得られないことがある。
輻射伝熱抑制成分として用いる炭素材料の別の好適な態様は、1.0×104Ω・cm以下の体積抵抗率を有する炭素材料である。炭素材料の体積抵抗率が1.0×104Ω・cmより高い場合、断熱性を十分向上できないことがある。より好ましい体積抵抗率は7.0×103Ω・cm以下であり、更に好ましい体積抵抗率は4.0×103Ω・cm以下であり、最も好ましい体積抵抗率は2.0×103Ω・cm以下であり、極めて好ましい体積抵抗率は1.0×103Ω・cm以下である。体積抵抗率の下限値は特に設けないが、例えば1.0×10-1Ω・cm程度以上である。
ここで、体積抵抗率は、原料の炭素材料を、あるいは原料の炭素材料がマスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中に添加されている場合には、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤により除去することで取り出した炭素材料を、スチレン系樹脂と溶融混錬し(炭素材料:スチレン系樹脂=1:4(質量比))、混錬物の板状成形体の表面を測定した値を意味する。詳細な体積抵抗率の測定法は、国際公開WO2016/017813に記載の通りである。なお、スチレン系樹脂以外の樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂)を用いても、体積抵抗率は同程度の値となる。また、原料の炭素材料を用いても、マスターバッチ、発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体中のスチレン系樹脂を有機溶剤により除去することで取り出した炭素材料を用いても、体積抵抗率は同程度の値となる。
炭素材料の測定方法としては特に限定されないが、例えば示差熱熱重量同時測定装置を用いる方法等が挙げられる。
炭素材料としては、上記のような体積抵抗率を有する導電性の炭素材料としては、導電性カーボンブラックが挙げられる。導電性カーボンブラックとしては特にケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブが好ましい。
輻射伝熱抑制成分として用いる炭素材料は、10〜3000m2/gの比表面積を有することが好ましい。比表面積が10m2/g未満である場合、所望する断熱性能が得られないことがある。一方、比表面積が3000m2/gを超える場合、作業性が低下することがある。炭素材料がアセチレンブラックである場合、更に好ましい比表面積は20〜300m2/gである。炭素材料がケッチェンブラックである場合、更に好ましい比表面積は500〜2000m2/gである。
1.6.複合樹脂発泡性粒子の製造方法
本発明の発泡性粒子は、従来公知の発泡性粒子の製造方法、例えば懸濁重合法、溶融押出法に準じた方法により製造することができる。特に、懸濁重合法、特にシード重合法は、第1樹脂相が連続相であり、第2樹脂相が、第1樹脂相中に分散した複数の分散相である本発明の発泡性粒子を容易に製造することができるため好ましい。以下では懸濁重合法について詳細に説明する。
1.6.1.懸濁重合法
懸濁重合法は、複合樹脂を形成するための単量体に重合開始剤を溶解して、懸濁剤を分散した水性媒体とともに、反応槽中で昇温し重合した後冷却して、発泡性粒子を得る方法である。重合の途中及び/又は重合終了後に発泡剤を添加する方法は1段法と呼ばれる。発泡剤を添加せずに重合して得られた粒子をふるい分けして必要な粒径範囲の粒子のみを、反応槽の懸濁剤を分散した水中で昇温して、ここで発泡剤を添加して粒子に含浸させる方法は2段法(後含浸法)と呼ばれる。また、第1樹脂相を形成するスチレン系樹脂種粒子を、懸濁剤が分散した水性媒体の入っている反応槽に投入し、昇温した後、重合開始剤を溶解した、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を、連続的、又は断続的に反応槽に供給し、前記単量体を前記種粒子内に吸収させ、且つ、前記種粒子内で共重合させて分散相である第2樹脂相を形成する方法はシード重合法と呼ばれる。シード重合法において、発泡剤は重合の途中及び/又は重合終了後に添加される。又、シード重合法で発泡剤を添加せずに重合して得られた粒子を後含浸法にて発泡剤を添加しても良い。1段法、2段法(後含浸法)、シード重合法のいずれの方法によっても、本発明の発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、真球状、若しくは略球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。好ましい製造方法としてはシード重合法が挙げられる。
以下、懸濁重合法のシード重合法についてより詳細に説明するが、本実施態様は、以下に記載される条件等に限定されるものではない。
1.6.1.1.懸濁重合法のシード重合法
この方法としては、スチレン系樹脂を含む種粒子に、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を吸収させ、重合させることで複合樹脂粒子を得、重合の途中及び/又は重合終了後に発泡剤を注入することで発泡性粒子を得る方法が挙げられる。
1.6.1.1.(i)種粒子
スチレン系樹脂を含む種粒子は公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、スチレン系単量体を重合開始剤及び懸濁安定剤とともに水系媒体中で懸濁させながら加熱して重合させて種粒子を得る懸濁重合や、スチレン系樹脂を押出機で溶融混練した後にストランド状に押出した樹脂をカットするストランドカット法、金型先端ノズルからカッティングチャンバへ押出した樹脂を高速回転するカッターでカットしながら水、空気等の冷媒で冷却する水中又はホットカットすることにより種粒子を得る押出方法が挙げられる。また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。懸濁重合に用いる重合開始剤、懸濁安定剤、水系媒体については、後述する重合工程と同様の範囲から選択できる。
種粒子の平均粒子径は、目的とする発泡性粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。
種粒子に含まれるスチレン系樹脂の好適な特徴は、第1樹脂相におけるスチレン系樹脂に関して既述の通りである。
発泡性粒子が輻射伝熱抑制成分を含む場合、輻射伝熱抑制剤とスチレン系樹脂とを含む種粒子を用意することが好ましい。種粒子中の輻射伝熱抑制成分の含有量は、最終的に得られる発泡性粒子中において輻射伝熱抑制成分が既述の含有量となるように適宜調節することができる。
1.6.1.1.(ii)重合工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を供給することで前記単量体を種粒子に吸収させ、次いで、種粒子内で前記単量体を共重合させることで、種粒子に由来するスチレン系樹脂を含む第1樹脂相が連続相となり、複数の前記共重合体を含む第2樹脂相が島状に分散した複合樹脂粒子を得ることができる。
この重合工程では、種粒子の量が、種粒子と添加される単量体との合計量に対して、好ましくは10質量%〜35質量%、より好ましくは10質量%〜30質量%、より好ましくは15質量%〜25質量%となるように、種粒子及び単量体の量を調節する。この条件により、製造される本発明の発泡性粒子、発泡粒子又は発泡成形体における複合樹脂の第1樹脂相と第2樹脂相との質量比を既述の好適な範囲とすることができる。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
供給する単量体には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステルの共重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用してもよい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水性媒体中には単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
重合工程は使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気等により異なるが、通常70〜130℃の加熱を3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時の重合を含む)。例えば後述する実施例、比較例では、重合工程を2段階に分けて行っている。重合工程を多段階で行う場合、各段階の温度は特に限定されないが、例えば、重合工程の第1段階(第1重合工程)では70〜110℃、続いて行う第2段階(第2重合工程)では120〜150℃とすることができる。
1.6.1.1.(iii)発泡剤含浸工程
発泡性粒子は、上記の重合工程で得られた複合樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで得ることができる。
含浸は、重合と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は70〜110℃である。
含浸させる発泡剤の量は、含浸させる発泡剤の量は、発泡性粒子について記載した含有量とほぼ同程度の値となるように調整され得る。また、上述したように、発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤の種類等については上述のとおりであり、添加量は当業者が適宜設定できる。
2.複合樹脂発泡粒子
本発明の複合樹脂発泡粒子(本明細書では「発泡粒子」と称する場合がある)は、気泡が形成された複合樹脂を含有する複合樹脂発泡粒子であって、複合樹脂が、上記1で説明した特徴を有する。
本発明の発泡粒子は、上記の本発明の発泡性粒子を、水蒸気等を用いて所望の嵩発泡倍数(嵩密度)に発泡させることで得られる。発泡粒子の嵩発泡倍数は例えば3〜100倍、より好ましくは5〜20倍である。
本発明の発泡粒子は、発泡成形性に優れており、型内発泡成形することで、柔軟性と低反発性に優れる発泡成形体を得ることができる。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。塗布しておくことで、発泡性粒子同士の結合や、発泡性粒子の発泡工程における発泡粒子同士の結合を減少できる。
本発明の発泡粒子は、発泡成形体の成形のための予備発泡粒子として用いることができる。本発明の発泡粒子はまた、緩衝剤や、断熱材として用いることができる。本発明の発泡粒子を緩衝材や断熱材として用いる場合は、多数の発泡粒子を袋体に充填した充填体として使用することが好ましい。断熱材としては、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材等に使用できる。特に、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材等の居住空間用断熱材として好適に使用できる。
<発泡粒子の嵩発泡倍数と嵩密度>
先ず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいて発泡粒子の嵩発泡倍数及び嵩密度を測定する。
嵩発泡倍数(倍=cm/g)=測定試料の体積(V)/測定試料の質量(W)
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
3.複合樹脂発泡成形体
本発明の複合樹脂発泡成形体(本明細書では「発泡成形体」と称する場合がある)は、気泡が形成された複合樹脂を含有し互いに融着した複数の発泡粒子により構成された、複合樹脂発泡成形体であって、複合樹脂が、上記1で説明した特徴を有する。
発泡成形体の発泡倍数は例えば3〜100倍、より好ましくは5〜20倍である。
本発明の発泡成形体は、緩衝性、断熱性等のスチレン系樹脂発泡成形体が通常有する機能に加えて、柔軟性と低反発性を有する。本発明の発泡成形体は、例えば、複雑な形状の物品を断熱しようとする場合、該物品の表面に沿って変形させることで密着した状態で該物品を被覆することができるため、効果的な断熱が可能となる。このように、本発明の発泡成形体は、断熱材、容器、梱包材等の各種用途に用いることができる。発泡成形体は、これら使用用途に応じた形状をとり得る。断熱材としては、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材等に使用できる。特に、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材等の居住空間用断熱材として好適に使用できる。
本発明の発泡成形体は、好ましい態様において、表面硬度が好ましくは45以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは30以下であり、反発性が好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。本発明の発泡成形体は、更に好ましくは、圧縮永久ひずみが15%以上である。このような物性を有する態様の発泡成形体は、本発明により初めて提供されたものであり、柔軟性と低反発性が特に優れている。圧縮永久ひずみの上限は特に限定されないが、例えば24%以下である。
表面硬度と反発性の測定方法は、実施例の欄に記載の通りである。
圧縮永久ひずみの測定方法:
圧縮永久ひずみ試験(JIS K6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」)に準拠して以下算出方法により測定する。
・試験装置:圧縮永久歪試験機 FCS−1型(高分子計器(株)製)
・試験片:50W×50L×25T(mm)
・圧縮割合:25(%)
・試験数:3
・測定方法:標準状態にて圧縮状態で22時間放置し、取り出し開放24時間後の厚みを読み取る。
・圧縮永久歪みの算出方法:
圧縮永久歪み(%)=(初めの厚さ(mm)−試験後の厚さ(mm))/初めの厚さ(mm)×100
本発明の発泡成形体は、例えば以下の方法により得ることができる。本発明の発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、発泡成形体を製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する発泡粒子の嵩発泡倍数を予め調整する、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調整できる。
加熱発泡は例えば、90〜150℃の熱媒体で5〜300秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、成形蒸気圧(ゲージ圧)0.06〜0.08MPa、90〜120℃の熱媒体(例えば、水蒸気)で、30〜180秒加熱することにより行うことができる。
発泡粒子は、発泡成形体の成形前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、10〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
<発泡成形体の発泡倍数と密度>
本発明において発泡成形体の密度は密度とは、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した密度のことである。具体的には、発泡成形体の発泡倍数と密度は次の方法により測定することができる。
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
発泡倍数(倍=cm/g)=試験片体積(cm)/試験片質量(g)
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節:測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
4.居住空間用断熱材
本発明の発泡粒子及び発泡成形体は、好ましくは、スチレン系単量体、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、キシレン、トルエン、ベンゼンからなる芳香族有機化合物の含有総量が2000ppm未満である居住空間用断熱材として用いられる。前記芳香族有機化合物の含有総量が2000ppm未満であれば、近年要望されているシックハウス症候群への対応が可能となり、より快適な居住空間を提供することができる。より好ましくは1000ppm以下であり、更に好ましくは750ppm以下であり、最も好ましくは500ppm以下である。原料であるスチレン系樹脂及び共重合体として、スチレン系単量体、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ノルマルプロピルベンゼン、キシレン、トルエン、ベンゼンからなる芳香族有機化合物の含有量が低い樹脂原料を選択することで、製造工程中で前記芳香族有機化合物を混入させることなく複合樹脂発泡性粒子、発泡粒子、発泡成形体及び居住空間用断熱材を得ることができる。
[実施例、比較例]
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示に過ぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
[実施例1]
(種粒子の作製)
内容積106リットルの攪拌機付オートクレーブ(以下、反応器ともいう)に重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド(純度75%、日油社製、商品名ナイパーBW)150g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製、商品名パーブチルE)20gをスチレン44kgに溶解し、ピロリン酸マグネシウム130g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3g、蒸留水40kgを投入した後、60rpmの撹拌下で溶解及び分散させて懸濁液を形成した。
引き続き、オートクレーブ内の温度を90℃まで昇温した後、90℃で6時間保持した。
その後、120rpmの攪拌下とし、更にオートクレーブ内の温度を125℃まで昇温した後、125℃で2時間保持した後、オートクレーブ内の温度を60℃まで冷却し、オートクレーブから内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級して粒子径が0.8〜1.1mmで重量平均分子量が30万のスチレン系重合体からなる種粒子を得た。
(複合樹脂粒子の作製)
内容積5.6Lリットルの撹拌付きオートクレーブ(以下「反応器」いう)に上記種粒子400g、蒸留水2300g、ピロリン酸マグネシウム16g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8g、エチレンビスステアリン酸アミド10g、12−ヒドロキシステアリン酸エチレンアミド10gを入れ、300rpmで撹拌し、懸濁、分散させた。
次いで、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(純度75%、日油社製、商品名ナイパーBW)9.6g、ジクミルパーオキサイド(日油社製、商品名パークミルD)8.0gを、スチレン50g、アクリル酸ブチル50g、ジビニルベンゼン(純分81%、新日鐵化学社製、商品名DVB−810)0.19gの混合単量体に溶解し、蒸留水200g、ピロリン酸マグネシウム4g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05gと共にホモミキサーで撹拌して調整した懸濁液を、前記種粒子を懸濁、分散し75℃に保持した前記反応器に15分掛けて添加した。これを第1重合工程とした。
重合開始剤を含む懸濁液を加え始めた時点から30分間、反応器内温度を75℃に保持し、種粒子に混合単量体と重合開始剤を吸収させた。15分掛けて90℃に昇温をした後に反応器内温度を90℃に維持し、スチレン750g、アクリル酸ブチル750g、ジビニルベンゼン2.78gの混合単量体を反応器内に4時間で供給をし、さらに30分90℃を維持した。これを第2重合工程とした。
引き続き143度まで昇温して2時間保持した後に30℃まで冷却して複合樹脂粒子を取り出し、洗浄、脱水、乾燥することで複合樹脂粒子を得た。又、複合樹脂粒子の結合を防止するために脱水後にステアリン酸マグネシウムを複合樹脂粒子100部に対して0.05部被覆を行った。
(発泡性複合樹脂粒子の作製)
内容積5.6Lリットルの撹拌付きオートクレーブ(以下「反応器」いう)に上記複合樹脂粒子1000g、蒸留水3000g、ピロリン酸マグネシウム15g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3gを入れ、300rpmで撹拌し、懸濁、分散させた。次いで、蒸留水500g、ジイソブチルアジペート10g、ピロリン酸マグネシウム5g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gをホモミキサーで撹拌して調整した懸濁液を前記反応器内に添加した。その後、100℃まで昇温し発泡剤であるブタン(イソブタン:ノルマルブタン=30:70(質量比))100gを圧入して、100℃6時間保持した後、20℃まで冷却して取り出し、洗浄、脱水、乾燥することによって発泡性複合樹脂粒子を得た。又、発泡性樹脂粒子の結合を防止するために脱水後にステアリン酸亜鉛を発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部被覆を行った。
その後、得られた発泡性複合樹脂粒子100質量部に対して、さらにステアリン酸亜鉛0.1質量部、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド0.4質量部、ステアリン酸モノグリセリド0.05質量部、ポリエチレングリコール0.15質量%をドライブレンドを行い被覆を行った後、13℃の恒温室で2日間保管した。
(スチレン系樹脂発泡粒子、及び成形体の作成)
発泡性複合樹脂粒子を予備発泡機にて予備発泡を行い、発泡倍数20倍の複合樹脂予備発泡粒子を得た。この発泡粒子を15℃で24時間熟成させた。粒子同士が結合しているものに関しては手でほぐして粒子とした。
次いで、上記発泡粒子を金型内に充填して加熱発泡させて、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。この発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、発泡成形体の成形倍数を測定したところ、19倍であった。
(反発性)
JIS K6400−3:2011の試験方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には高分子計器社製のフォーム用反発弾性試験機FR−2型を用い、厚み50mmに成形した成形体に500mmの高さより直径5/8インチ、質量16.3gの鋼玉を落下させ、反発最高到達時の高さを読み取る。計5回同様の操作を繰り返し、平均値より反発性を算出する。
反発性の算出方法
反発性(%)=反発最高到達時の高さ(mm)/500(mm)×100
得られた反発性(%)の値から次のように評価する。
15以下 :低反発性に更に優れる(◎)
15を超え、20以下 :低反発性により優れる(○)
20を超え、30以下 :低反発性に優れる(△)
30を超える :低反発性に劣る(×)
(表面硬度)
柔軟性は表面硬度にて評価を行う。発泡成形体を表面硬度計(高分子計器社製 商品名「ASKER TYPE CS」)にて測定する。具体的には成形にて得られた発泡成形体の表面を任意に50か所表面硬度を測定し、その相加平均を表面硬度する。
得られた表面硬度の値から次のように評価する。
30以下 :柔軟性に更に優れる(◎)
30を超え、35以下 :柔軟性により優れる(○)
35を超え、45以下 :柔軟性に優れる(△)
45を超える :柔軟性に劣る(×)
(成形性)
得られた直方体の発泡成形体の上面にカッターで長手方向の中心付近に短手方向の切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡性成形体を2分割する。そして、2分割された発泡成形体の破断面の発泡粒子について、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率(%)を算出する。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
得られた発泡成形体の融着率を下記基準に基づいて評価する。
◎(成形性により優れる) :80%以上の融着率を示す
○(成形性に優れる) :20%以上、60%未満の融着率を示す
△(成形性に劣る) :20%未満の融着率
(ゲル分率の測定)
ゲル分率の測定にあたっては、試料(各実施例、比較例では発泡性粒子)1gを計量し、フラスコに入れ、トルエン100mlを加えた後、130℃のオイルバス中にて加熱環流を24時間かけて行い溶解させる。オイルバスより取り出した後、直ちに80メッシュ(φ0.12mm)の金網にて濾過し、金網上に残った沸騰トルエンに不溶の試料と金網とを130℃のオーブン中で1時間、さらに真空ポンプにて減圧状態にして2時間放置してトルエンを除去し、残った固形物の重量を測定する。ゲル分率は次式で求められる
ゲル分率(%)=残った固形物の重量(g)/試料重量(g)×100
(補外ガラス転移開始温度)
JIS K7121:1987、2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行った。(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS−3」示差走査熱量計を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料(発泡性粒子)を約6mg充てんして、窒素ガス流量20mL/minのもと20℃/minの昇温速度で30℃から150℃まで昇温し、10分間保持後、−80℃へ装置の最大出力にて冷却を行った後、20℃/minの速度で−80℃から150℃まで昇温した時に得られたDSC曲線より、装置付属の解析ソフトを用いて、補外ガラス転移開始温度(Tig)を算出した。この時に基準物質としてアルミナを用いた。この補外ガラス転移開始温度は該規格(9.3「ガラス転移温度の求め方」)より求めた。2回目昇温過程に観察される2つの補外ガラス転移開始温度のうち、より低温側に示す補外ガラス転移開始温度がスチレンと(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体の補外ガラス転移開始温度である。
[実施例2]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを37g、アクリル酸ブチルを63g、第2重合工程のスチレンを563g、アクリル酸ブチルを937g、発泡性複合樹脂粒子の作製のジイソブチルアジペートを5gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は11倍であった。
[実施例3]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを25g、アクリル酸ブチルを75g、第2重合工程のスチレンを563g、アクリル酸ブチルを937g、発泡性複合樹脂粒子の作製のジイソブチルアジペートを5gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は5倍であった。
[実施例4]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを56g、アクリル酸ブチルを44g、第2重合工程のスチレンを844g、アクリル酸ブチルを656gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例5]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを63g、アクリル酸ブチルを37g、第2重合工程のスチレンを938g、アクリル酸ブチルを563gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例6]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を300g、第1重合工程のスチレンを18g、アクリル酸ブチルを82g、ジビニルベンゼンを0.20g、ベンゾイルパーオキサイドを10.2g、ジクミルパーオキサイドを8.5g、第2重合工程のスチレンを265g、アクリル酸ブチルを1235g、ジビニルベンゼンを2.95g、発泡性複合樹脂粒子の作製のジイソブチルアジペートを5gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は5倍であった。
[実施例7]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を500g、第1重合工程のスチレンを47g、アクリル酸ブチルを53g、ジビニルベンゼンを0.18g、ベンゾイルパーオキサイドを9.0g、ジクミルパーオキサイドを7.5g、第2重合工程のスチレンを653g、アクリル酸ブチルを747g、ジビニルベンゼンを2.60gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例8]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を300g、第1重合工程のスチレンを53g、アクリル酸ブチルを47g、ジビニルベンゼンを0.20g、ベンゾイルパーオキサイドを10.2g、ジクミルパーオキサイドを8.5g、第2重合工程のスチレンを847g、アクリル酸ブチルを753g、ジビニルベンゼンを2.95gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は10倍であった。
[実施例9]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を700g、第1重合工程のスチレンを38g、アクリル酸ブチルを62g、ジビニルベンゼンを0.15g、ベンゾイルパーオキサイドを7.8g、ジクミルパーオキサイドを6.5g、第2重合工程のスチレンを462g、アクリル酸ブチルを738g、ジビニルベンゼンを2.25gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例10]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を200g、第1重合工程のスチレンを56g、アクリル酸ブチルを44g、ジビニルベンゼンを0.21g、ベンゾイルパーオキサイドを10.8g、ジクミルパーオキサイドを9.0g、第2重合工程のスチレンを944g、アクリル酸ブチルを756g、ジビニルベンゼンを3.12gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は15倍であった。
[実施例11]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のジビニルベンゼンを0.13g、第2重合工程のジビニルベンゼンを1.85gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例12]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のジビニルベンゼンを0.06g、第2重合工程のジビニルベンゼンを0.92gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は20倍であった。
[実施例13]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のジビニルベンゼンを0g、第2重合工程のジビニルベンゼンを0gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は18倍であった。
[比較例1]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを6g、アクリル酸ブチルを94g、第2重合工程のスチレンを94g、アクリル酸ブチルを1406g、発泡性複合樹脂粒子の作製のジイソブチルアジペートを5gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡性複合樹脂粒子の予備発泡を行ったが、発泡粒子同士の結合が強く、予備発泡粒子を得ることができなかった。
[比較例2]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を100g、第1重合工程のスチレンを58g、アクリル酸ブチルを42g、ジビニルベンゼンを0.23g、ベンゾイルパーオキサイドを11.4g、ジクミルパーオキサイドを9.5g、第2重合工程のスチレンを1042g、アクリル酸ブチルを758g、ジビニルベンゼンを3.29gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡性複合樹脂粒子の予備発泡を行い、成形を試みたが、成形時の収縮が激しく良好な成形品を得ることができなかった。
[比較例3]
複合樹脂粒子の作製の第1重合工程のスチレンを69g、アクリル酸ブチルを31g、第2重合工程のスチレンを1031g、アクリル酸ブチルを469gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は30倍であった。
[比較例4]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を800g、第1重合工程のスチレンを75g、アクリル酸ブチルを25g、ジビニルベンゼンを0.14g、ベンゾイルパーオキサイドを7.2g、ジクミルパーオキサイドを6.0g、第2重合工程のスチレンを825g、アクリル酸ブチルを275g、ジビニルベンゼンを2.08gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は30倍であった。
[比較例5]
複合樹脂粒子の作製の種粒子を800g、第1重合工程のスチレンを50g、アクリル酸ブチルを50g、ジビニルベンゼンを0.14g、ベンゾイルパーオキサイドを7.2g、ジクミルパーオキサイドを6.0g、第2重合工程のスチレンを550g、アクリル酸ブチルを550g、ジビニルベンゼンを2.08gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合樹脂粒子を得た。
得られた発泡成形体の発泡倍数は30倍であった。
[結果]
実施例1〜13及び比較例1〜5の評価結果を次表に示す。
実施例1の試料(発泡性粒子)の、ガラス転移温度測定のためのDSC曲線を図1に示す。観察される2つの補外ガラス転移開始温度のうち、より低温側の補外ガラス転移開始温度がスチレンと(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体の補外ガラス転移開始温度である。
また、実施例2の発泡性粒子の、四酸化ルテニウム(RuO)により染色した断面の透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテクノロジーズ社製H−7600)を用いて、加速電圧80kVの条件下、倍率5000倍で撮影されたモルフォロジー画像を図2に示す。連続相の中に分散相が島状に分散した構造が観察された。配合比と、観察像中の面積比とから、連続相がポリスチレン樹脂からなり、分散相がスチレンとアクリル酸ブチルとの共重合体の樹脂からなることが分かる。
Figure 0006855236

Claims (23)

  1. 複合樹脂と発泡剤とを含む複合樹脂発泡性粒子であって、
    前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
    前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
    前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡性粒子。
  2. 前記複合樹脂において、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である、請求項1に記載の複合樹脂発泡性粒子。
  3. 前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である、請求項1又は2に記載の複合樹脂発泡性粒子。
  4. ゲル分率が10〜70%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡性粒子。
  5. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡性粒子。
  6. 輻射伝熱抑制成分を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡性粒子。
  7. 気泡が形成された複合樹脂を含有する複合樹脂発泡粒子であって、
    前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
    前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
    前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡粒子。
  8. 前記複合樹脂において、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である、請求項7に記載の複合樹脂発泡粒子。
  9. 前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である、請求項7又は8に記載の複合樹脂発泡粒子。
  10. ゲル分率が10〜70%である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡粒子。
  11. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡粒子。
  12. 輻射伝熱抑制成分を含有する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡粒子。
  13. 気泡が形成された複合樹脂を含有し互いに融着した複数の発泡粒子により構成された、複合樹脂発泡成形体であって、
    前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
    前記第1樹脂相の量が、前記第1樹脂相と前記第2樹脂相との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
    前記第2樹脂相の、DSC測定によって得られる補外ガラス転移開始温度(Tig)が−40℃〜+35℃の範囲内であることを特徴とする複合樹脂発泡成形体。
  14. 前記複合樹脂において、前記第1樹脂相が連続相であり、前記第2樹脂相が、前記第1樹脂相中に分散した複数の分散相である、請求項13に記載の複合樹脂発泡成形体。
  15. 前記共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%である、請求項13又は14に記載の複合樹脂発泡成形体。
  16. ゲル分率が10〜70%である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡成形体。
  17. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体単位がアクリル酸ブチル単位である、請求項13〜16のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡成形体。
  18. 輻射伝熱抑制成分を含有する、請求項13〜17のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡成形体。
  19. 気泡が形成された複合樹脂を含有し互いに融着した複数の発泡粒子により構成された、複合樹脂発泡成形体であって、
    前記複合樹脂が、スチレン系樹脂を含む第1樹脂相、及び、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体を含む第2樹脂相を含み、
    表面硬度が45以下であり、
    反発性が30%以下であることを特徴とする複合樹脂発泡成形体。
  20. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡粒子、及び/又は、請求項13〜19のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡成形体を含有する、居住空間用断熱材。
  21. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡性粒子を製造する方法であって、
    スチレン系樹脂種粒子を水性媒体中に分散させた分散液中に、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを含む単量体を供給し、前記単量体を前記種粒子内に吸収させ、前記種粒子内で共重合させる工程1を含み、
    前記種粒子の量が、前記種粒子と前記単量体との合計量に対して、10質量%〜35質量%であり、
    前記(メタ)アクリル酸エステルの量が、前記複合樹脂発泡性粒子に含まれる、重合単位としてスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とを含む共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単量体単位との合計量に対して、35質量%〜85質量%となる量であることを特徴とする方法。
  22. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡粒子を製造する方法であって、
    請求項21に記載の方法により製造した複合樹脂発泡性粒子を加熱して発泡させ発泡粒子を得る工程2
    を含むことを特徴とする方法。
  23. 請求項13〜19のいずれか1項に記載の複合樹脂発泡成形体を製造する方法であって、
    請求項21に記載の方法により製造した複合樹脂発泡性粒子を加熱して発泡させ発泡粒子を得る工程2と、
    前記発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形体を得る工程3と
    を含むことを特徴とする方法。
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