JP5883703B2 - 緩衝材 - Google Patents
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Description
このような緩衝材においては、外部衝撃から被梱包体の破損を防止するための耐衝撃性や衝撃緩和性、繰り返し使用に耐え得る耐久性などの様々な性能が要求される。
これらの要求を満足するために、様々な構造や材料の緩衝材が提案されている。
例えば、特開2003−221071号公報(特許文献1)には、緩衝材における応力集中を軽減し、角・稜落下で破断し難い形状を有する、合成樹脂発泡体からなる緩衝材が開示されている。
他方、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂などの発泡成形体の研究も盛んに行われているが、それぞれ一長一短があり、緩衝材の材料として十分ではない。
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、高発泡倍率でも耐衝撃性に優れ、外観も良好な発泡成形体からなる緩衝材を提供することを課題とする。
前記緩衝材が、複数の気泡とそれらを区画する気泡膜を有し、前記気泡膜が連続相を形成するポリスチレン系樹脂と、前記連続相中に分散されて分散相を形成するポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子とを含み、前記ポリスチレン系樹脂が前記ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子で複合化された複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体からなり、
前記分散相が、前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の気泡膜断面の気泡膜厚み方向に複数でかつ層状に存在し、
前記分散相が、前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の気泡膜断面の気泡膜厚み方向の寸法(ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の厚さ)及び気泡膜面方向の寸法(ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の長さ)をそれぞれc及びdとしたときに、7以上60以下のアスペクト比(d/c)を有し、
前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、ポリブタジエン末端アクリレート由来の成分をさらに含むことを特徴とする緩衝材が提供される。
すなわち、本発明の緩衝材の材料となる複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子は、ポリスチレン系樹脂の連続相中にポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が分散した複合ポリスチレン系樹脂からなる発泡粒子であって、発泡粒子の気泡膜を厚み方向の断面でみたときに、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が厚み方向に複数でかつ層状に存在している分布構造を有する。
本発明の緩衝材は、各種物品の梱包用の緩衝材として好適に使用できる。
ここで、相溶化とは、ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子がポリスチレン系樹脂中に単に相分離して存在しているのではなく、両者の一部またはすべてが何らかの結合、例えばグラフト結合により結合し、混和して存在し、耐衝撃性の向上に寄与していると考えられることを意味する。
また、本発明によれば、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子が、0.015g/cm3以上0.1g/cm3以下の嵩密度を有する場合に、より優れた機械強度、成形性及び耐衝撃性を有する複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体からなる緩衝材を提供することができる。
また、本発明によれば、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子が、帯電防止剤含有成分で表面被覆されてなる場合に、帯電防止性能に優れた(表面抵抗率1×1012Ω以下)複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体からなる緩衝材を提供することができる。
前記分散相が、前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の気泡膜断面の気泡膜厚み方向に複数でかつ層状に存在することを特徴とする。
すなわち、本発明の緩衝材は、複合ポリスチレン系樹脂に発泡剤を含浸させるなどして発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得、得られたその発泡性粒子を予備発泡させて複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子(以下、「発泡粒子」ともいう)を得、得られた発泡粒子を発泡成形させて得られた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体からなる。
ここで、本発明の発泡粒子における「複合ポリスチレン系樹脂」とは、ポリスチレン系樹脂とポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂とを組み合わせた(複合した)樹脂を意味する。
また、「複合ポリスチレン系樹脂」は、ポリスチレン系樹脂からなる分散媒中に、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子からなる分散質が分散された形態であることから、前者を「連続相」、後者を「分散相」という。
例えば、テレビ、冷蔵庫、エアコンなどの各種家電製品やパーソナルコンピュータ、複写機、プリンタなどのOA機器などの被梱包体を梱包する際の緩衝材が挙げられる。
本発明の緩衝材は、以下に説明する発泡成形体を構成材料として、公知の方法により所望の形状に作製することにより、本発明の効果が得られる。
以下、本発明の緩衝材の構成材料について、樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、樹脂発泡粒子および発泡成形体の順に説明する。
本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子の連続相を構成するポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体を主成分とする樹脂であれば特に限定されず、スチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、多官能性モノマーが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、nが4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。尚、併用される単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
また、併用される単量体を使用する場合、その含有量は、スチレン系単量体が主成分となる量(例えば、50重量%以上)になるように設定されることが好ましい。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
重量平均分子量(MW)が200,000未満では、気泡膜中のポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が配向され難くなり、発泡成形体としたときに耐衝撃性が低下することがある。一方、重量平均分子量(MW)350,000を超えると、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を発泡成形するときに発泡性が低下し、発泡成形体表面の伸びが不足して発泡成形体の外観が劣ることがある。
具体的なMWは、例えば、200,000、250,000、300,000及び350,000等である。
より好ましい重量平均分子量(MW)は230,000〜330,000であり、より好ましい重量平均分子量(MW)に対するZ平均分子量(MZ)の比(MZ/MW)は2〜3である。
具体的なMZ/MWは、例えば、2.0、2.5及び3.0等である。
本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子の分散相を構成するポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子としては、アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル等が挙げられ、これらの中でもアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。これらのアクリル酸アルキルエステル系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。なお、上記「アルキル」の炭素数は1〜30を意味する。
したがって、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子は、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル又はこれらの混合物の重合体から形成されてなるのが好ましい。
樹脂微粒子の重量割合が上記の範囲であれば、より優れた機械強度、成形性及び耐衝撃性を有する複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
樹脂微粒子がポリスチレン系樹脂100重量部に対して5重量部未満では、得られた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の耐衝撃性向上の効果が十分に得られないことがある。一方、樹脂微粒子がポリスチレン系樹脂100重量部に対して100重量部を超えると、得られた発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を高倍率発泡させることが困難となり、発泡成形体を低密度化できないことがある。より好ましい樹脂微粒子は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して10〜70重量部である。
具体的なポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子は、例えば、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して5、10、15、20、25、30、50、70、75及び100重量部等である。
本発明において、原材料となる樹脂及び単量体の比率は、発泡粒子及び発泡成形体におけるそれらの比率と略同一である。
本発明において、発泡粒子及び発泡成形体中の気泡膜単位でみれば、微粒子が略均一に分散しているものと考えられ、このような観点で、分散相における微粒子の分布状態は発泡粒子及び発泡成形体において略均一である。
アスペクト比(b/a)が7未満では、気泡膜面から樹脂微粒子が露出し易くなり、発泡剤ガスの保持性が低下することがある。一方、アスペクト比(b/a)が60を超えると、樹脂微粒子が扁平になり過ぎ、薄くなって亀裂の伝播を抑制し難くなり、発泡成形体の耐衝撃性が低下することがある。より好ましいアスペクト比(b/a)は10以上60以下であり、さらに好ましいアスペクト比(b/a)は20以上50以下である。
具体的なb/aは、例えば、10、15、20、25、30、35、45、50、55及び60等である。
なお、発泡成形体についても同様であり、発泡粒子における厚さa及び長さbをそれぞれc及びdに置き換えて表す。
このアスペクト比及びその測定方法については、実施例において詳述する。
また、発泡後の発泡粒子の気泡膜断面の樹脂微粒子の形状は、特に限定されず、例えば、円、楕円、不定形等をとりうる。
樹脂微粒子の平均粒径が100nm未満では、得られた発泡成形体の耐衝撃性が不十分になることがある。一方、樹脂微粒子の平均粒径が1000nmを超えると、発泡剤の逸散速度が早くなることがある。より好ましい樹脂微粒子の平均粒径は200〜500nmである。
具体的な平均粒径は、例えば、100、200、250、500、750及び1000nm等である。
本発明において、複合ポリスチレン系樹脂粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、円柱状等をとりうる。好ましくは、球状である。
本発明の複合ポリスチレン系樹脂粒子が球状であるとき、その平均粒子径は、その後、揮発性発泡剤を含浸させた発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子をさらに発泡させた発泡粒子の成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2.0mmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
具体的な平均粒径は、例えば、0.3、0.5、0.8、1.0、1.5及び2.0mm等である。
複合ポリスチレン系樹脂粒子には、ポリブタジエン末端アクリレート由来の成分がさらに含まれているのが好ましい。
これにより、ポリスチレンとポリアクリル酸エステルを相溶化して、さらに耐衝撃性を向上させた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
式(3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基であることが好ましい。式(3)の官能基は、ポリブタジエン分子の両末端に位置していることが好ましい。
ポリブタジエン末端アクリレートは、例えば、大阪有機化学工業社から入手可能な商品名BAC−45、BAC−15等を使用できる。また、以下の公知の方法により、新たに合成したものも使用できる。
上記方法には、例えば、(i)p−トルエンスルホン酸のような脱水触媒を用いて、水酸基含有ポリブタジエンの水酸基と、(メタ)アクリル基を有する化合物のカルボキシル基とを脱水反応させる方法、(ii)チタン触媒、スズ触媒等のエステル交換触媒を用いて、(メタ)アクリル酸エステルとポリブタジエンの水酸基とのエステル交換反応させる方法が挙げられる。
(メタ)アクリル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる(プロピル及びブチルは構造異性体を含む)。
具体的な数平均分子量は、例えば、200、1000、1500、2000、2500、3000、3500、5000及び10000等である。
具体的なポリブタジエン末端アクリレートは、例えば、複合ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.1、0.3、0.5、0.8、1.0、1.5、2.0及び3.0重量部等である。
本発明において、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子は0.015g/cm3以上0.1g/cm3以下の嵩密度を有するのが好ましい。
発泡粒子の嵩密度が上記の範囲であれば、より優れた機械強度、成形性及び耐衝撃性を有する複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
発泡粒子の嵩密度が0.015g/cm3未満では、発泡成形体の耐衝撃性が低下することがある。一方、発泡粒子の嵩密度が0.1g/cm3を超えると、発泡成形体を包装材、緩衝材として使用するときに重量的に大きくなり、経済的に不利になることがある。より好ましい発泡粒子の嵩密度は、0.018g/cm3以上0.05g/cm3以下である。
具体的な嵩密度は、例えば、0.015、0.018、0.02、0.03、0.04、0.05、0.08及び0.1等である(単位略)。
本発明の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、水性媒体中で、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子に、アクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させて、種粒子中にポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子を分散形成する工程、続く水性媒体中で、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が分散形成された種粒子に、スチレン系単量体を含む単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させて、ポリスチレン系樹脂粒子をさらに成長させる工程、及びその重合後又は重合途中での発泡剤を含浸させる工程により製造することができる。
ポリスチレン系樹脂からなる種粒子は、特に限定されず、公知の方法により製造できる。例えば、懸濁重合法や、押出機で原料樹脂を溶融混練後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットする方法が挙げられる。また、一部又は全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができ、懸濁重合法やカットする方法で得られた粒子をそのまま、又はその粒子に、水性媒体中で、スチレン系単量体を含浸・重合させることにより得られる粒子であってもよい。
種粒子の粒径は、作成する複合ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径1mmの複合ポリスチレン系樹脂粒子を作成する場合には、平均粒子径0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。
また、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは15万〜70万であり、より好ましくは20万〜50万である。
(他の成分)
なお、種粒子には、物性を損なわない範囲内において、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
上記の製造方法で使用する重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いられても、併用されてもよいが、10時間の半減期を得るための分解温度が60〜130℃にある複数種類の重合開始剤を併用することが好ましい。
また、上記の製造において、スチレン系単量体の液滴及びポリスチレン系樹脂種粒子の分散性を安定させるために懸濁安定剤を用いてもよい。このような懸濁安定剤としては、従来からスチレン系単量体の懸濁重合に用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。
また、難溶性無機化合物を用いる場合には、通常アニオン界面活性剤が併用される。
なお、複合ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
また、後述する発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、ジンクステアレートのような粉末状金属石鹸類が塗布されていてもよい。この塗布により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程において発泡粒子同士の結合を減少させることができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が挙げられる。
可塑剤の複合ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、2重量%未満である。
表面被覆には、例えば、複合ポリスチレン系樹脂粒子の表面に帯電防止剤を塗布する方法が挙げられる。具体的には、攪拌機中で帯電防止剤ともに複合ポリスチレン系樹脂粒子を攪拌するのが好ましく、攪拌機としてはタンブラーミキサー、レディゲミキサー等の攪拌機が用いられる。
帯電防止剤の被覆量が少なく、0.5重量部未満では、十分な帯電防止性能の向上が得られないことがある。一方、帯電防止剤の被覆量が5.0重量部を超えると、発泡成形体の融着性を損なうことがある。より好ましい含有量は、0.8〜2.0重量部の範囲であり、さらに好ましい含有量は、0.9〜1.5重量部の範囲である。
具体的な帯電防止剤は、例えば、複合ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、0.5、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0及び5.0等である。
本発明の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子は、複合ポリスチレン系樹脂粒子と揮発性発泡剤とを含み、前述の第2重合工程の重合後又は重合途中で揮発性発泡剤を含浸させることにより製造することができる。
揮発性発泡剤を含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造効率が低下することがある。一方、高いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
揮発性発泡剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の炭素数10以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤が挙げられ、特にブタン系発泡剤、ペンタン系発泡剤が好ましく、ペンタンを主成分(例えば、50重量%以上)として含む揮発性発泡剤が特に好ましい。なお、ペンタンは可塑剤としての作用も期待できる。
揮発性発泡剤の含有量が少なく、例えば2重量%未満では、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子から低密度の複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観が低下することがある。一方、揮発性発泡剤の含有量が多く、例えば10重量%を超えると、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなり生産性が低下することがある。
本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子には、揮発性発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。
発泡助剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
発泡助剤の含有量が少なく、例えば0.2重量%未満では、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現しないことがある。一方、また、発泡助剤の含有量が多く、2.5重量%を超えると、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を発泡成形させて得られる複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮や融けが発生して外観が低下したり、或いは複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなることがある。
予備発泡においては、必要に応じて発泡する際にスチームと同時に空気を導入してもよい。
また、時間は、30〜240秒程度であり、より好ましくは60〜180秒、さらに好ましくは90〜150秒である。具体的には、30秒、60秒、90秒、120秒、150秒、180秒及び240秒等が挙げられる。
発泡粒子の嵩密度が上記の範囲であれば、より優れた機械強度、成形性及び耐衝撃性を有する複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
発泡粒子の嵩密度が0.015g/cm3未満では、発泡成形体の耐衝撃性が低下することがある。一方、発泡粒子の嵩密度が0.1g/cm3を超えると、発泡成形体を包装材、緩衝材として使用するときに重量的に大きくなり、経済的に不利になることがある。より好ましい発泡粒子の嵩密度は、0.018g/cm3以上0.05g/cm3以下である。
具体的な嵩密度は、例えば、0.015、0.018、0.02、0.03、0.04、0.05、0.08及び0.1等である(単位略)。
本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を公知の方法で処理することにより得ることができ、本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を成形機に内蔵された成形型内で融着一体化させて得るのが好ましい。具体的には、本発明の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子が発泡成形機の金型内に充填され、再度加熱されることにより、発泡しながら、発泡粒子同士が熱融着することにより発泡成形体が得られる。
また、加熱時間は、20〜60秒程度であり、より好ましくは25〜50秒、さらに好ましくは30〜40秒である。具体的には、20秒、25秒、30秒、40秒、50秒、60秒等が挙げられる。
落球衝撃値、曲げ破断点変位量及び割れ量は、それぞれ13cm以上、14mm以上及び45%未満であるのがより好ましい。
これらの測定方法については、実施例において詳述する。
なお、実施例1〜12は参考例である。
また、下記の方法により、発泡成形体の表面抵抗率を測定し、帯電防止性を評価した。
平均粒子径とはD50で表現される値である。
具体的には、ロータップ型篩振とう機(飯田製作所製)を用いて、篩目開き4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩で試料約50gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子の嵩密度及び嵩倍数を次のように測定する。
約5gの発泡粒子の重量(a)を小数以下2位で秤量し、最小メモリ単位が5cm3である500cm3メスシリンダーに秤量した発泡粒子を入れる。次に、メスシリンダーの口に、その口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に巾約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具を当てて、発泡粒子の体積(b)を読み取る。
得られた発泡粒子の重量(a)及び発泡粒子の体積(b)から、次式により
発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=(a)/(b)
嵩倍数=嵩密度の逆数=(b)/(a)
を求める。
発泡粒子をスライスし、発泡粒子の中心近傍から切片を切り出し、その切片をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡粒子切片を含むエポキシ樹脂をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製、LEICA ULTRACUT UCT)を用いて加工して超薄切片を作製する。染色剤は四酸化ルテニウムを用いる。
次いで、超薄切片を透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、H−7600)にて5000倍(場合により10000倍、20000倍)で写真撮影する。撮影した写真をA4用紙に1画像となるように拡大印刷し、画像中の150mm×200mmの範囲において両端が確認できるポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の長いものから順に30個の粒子を選択し、それらの粒子の厚さa(気泡膜厚み方向の寸法)と長さb(気泡膜面方向の寸法)とを測定し、アスペクト比(b/a)を算出する。尚、各々最も長い部分の寸法とする。すなわち、粒子が湾曲している場合でも確認できる粒子の両端の距離をbとし、その粒子の両端を結ぶ線分と垂直方向における最も長い部分の距離をaとする。得られたアスペクト比から総平均アスペクト比を算出し、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子中のポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子のアスペクト比とする(図2参照)。
発泡成形体から表皮を除去し、この表皮を除去した面の中心近傍から切片を切り出し、その切片をエポキシ樹脂中に包埋させ、この切片を含むエポキシ樹脂をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製、LEICA ULTRACUT UCT)を用いて加工して超薄切片を作製する。染色剤は四酸化ルテニウムを用いる。
次いで、超薄切片を透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、H−7600)にて5000倍(場合により10000倍、20000倍)で写真撮影する。撮影した写真をA4用紙に1画像となるように拡大印刷し、画像中の150mm×200mmの範囲において両端が確認できるポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の長いものから順に30個の粒子を選択し、それらの粒子の厚さc(気泡膜厚み方向の寸法)と長さd(気泡膜面方向の寸法)とを測定し、アスペクト比(d/c)を算出する。尚、各々最も長い部分の寸法とする。すなわち、粒子が湾曲している場合でも確認できる粒子の両端の距離をdとし、その粒子の両端を結ぶ線分と垂直方向における最も長い部分の距離をcとする。得られたアスペクト比から総平均アスペクト比を算出し、複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体中のポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子のアスペクト比とする。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する(内部標準法)。
発泡粒子の中心を通るように2分割し、この2分割した発泡粒子30mg±3mgを0.1重量%BHT(ブチルヒドロキシトルエン)入りクロロホルム4mLに溶解させ、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、得られた濾液を次の条件でクロマトグラフを用いて測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。
測定装置:東ソー HPLC(ポンプ DP−8020、オートサンプラー AS−8020、検出器 UV−8020、RI−8020)
カラム:GPC K−806L(φ8.0×300mm、Shodex社製)2本
ガードカラム:GPC K−LG(φ8.0×50mm、Shodex社製)1本
試験数:2
測定条件:カラム温度(40℃)、移動相(クロロホルム)、移動相流量(1.2mL/min)、ポンプ温度(室温)、検出器温度(室温)、測定時間(25分)、検出波長(UV254nm)、注入量(50μL)
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「Shodex」、重量平均分子量(Mw):5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320
得られた重量平均分子量MWとZ平均分子量MZからそれらの比MZ/MWを求める。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した、ポリスチレン(PS)換算平均分子量を意味する(内部標準法)。
発泡成形体から30mg±3mgの試料を採取し、この試料を0.1重量%BHT(ブチルヒドロキシトルエン)入りクロロホルム4mLに溶解させ、非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、得られた濾液を次の条件でクロマトグラフを用いて測定する。予め測定し、作成しておいた標準ポリスチレンの検量線から試料の平均分子量を求める。
測定装置:東ソー HPLC(ポンプ DP−8020、オートサンプラー AS−8020、検出器 UV−8020、RI−8020)
カラム:GPC K−806L(φ8.0×300mm、Shodex社製)2本
ガードカラム:GPC K−LG(φ8.0×50mm、Shodex社製)1本
試験数:2
測定条件:カラム温度(40℃)、移動相(クロロホルム)、移動相流量(1.2mL/min)、ポンプ温度(室温)、検出器温度(室温)、測定時間(25分)、検出波長(UV254nm)、注入量:50μL
検量線用標準ポリスチレン:昭和電工社製、商品名「Shodex」、重量平均分子量(Mw):5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、131,000、54,000、20,000、7,590、3,450、1,320
得られた重量平均分子量MWとZ平均分子量MZからそれらの比MZ/MWを求める。
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」に記載の方法に準拠して落球衝撃強度を測定する。
得られた嵩倍数50倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から40mm×215mm×20mm(厚さ)の試験片(6面とも表皮なし)を切り出す。
次いで、支点間の間隔が150mmになるように試験片の両端をクランプで固定し、重さ321gの剛球を所定の高さから試験片の中央部に落下させて、試験片の破壊の有無を観察する。
試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で剛球の落下高さ(試験高さ)を変えて試験して、落球衝撃値(cm)、すなわち50%破壊高さを次の計算式により算出する。
式中の記号は次のことを意味する。
H50 :50%破壊高さ(cm)
Hi :高さ水準(i)が0のときの試験高さ(cm)であり、試験片が破壊することが予測される高さ
d :試験高さを上下させるときの高さ間隔(cm)
i :Hiのときを0とし,1つずつ増減する高さ水準(i=…−3、−2、−1、0、1、2、3…)
ni :各水準において破壊した(又は破壊しなかった)試験片の数で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
N :破壊した(又は破壊しなかった)試験片の総数(N=Σni)で、いずれか多いほうのデータを使用(同数の場合はどちらを使用してもよい)
±0.5:破壊したデータを使用するときは負の数、破壊しなかったデータを使用するときは正の数を採用
◎(優) :落球衝撃値が13cm以上
○(良) :落球衝撃値が11cm以上13cm未満の範囲
△(可) :落球衝撃値が9cm以上11cm未満の範囲
×(不可):落球衝撃値が9cm未満
JIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部:曲げ試験」に記載の方法に準拠して曲げ強さを測定する。
得られた嵩倍数50倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から25mm×130mm×20mm(厚さ)の試験片を切り出す。
次いで、万能試験機(オリエンテック社製、テンシロン(登録商標)UCT―10T)に先端冶具として加圧くさび5R及び支持台5Rを装着し、支点間距離100mmで試験片をセットし、圧縮速度10mm/分の条件で曲げ試験を行う。この試験において、破断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%を超えた時、直前のサンプリング点を曲げ破断点変位量(mm)として測定する。
◎(優) :曲げ破断点変位量が14mm以上
○(良) :曲げ破断点変位量が12mm以上14mm未満の範囲
△(可) :曲げ破断点変位量が10mm以上12mm未満の範囲
×(不可):曲げ破断点変位量が10mm未満
JIS Z0235:1976「包装用緩衝材料−評価試験方法」に記載の方法に準拠して割れ量を測定する。
得られた嵩倍数50倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から75mm×300mm×50mm(厚さ)の試験片を切り出す。
次いで、緩衝材用落下衝撃試験機(吉田精機社製、CST−320S)の基盤中央上に試験片が衝撃を受けたときに移動しないように試験片を軽く固定し、図3に示すように、試験片の長さ方向のほぼ中央部でかつ幅方向の全面に亘るように重さ13.5kgの錘を高さ60cmから落下させ、このときに発生する試験片の亀裂を観察し、次の計算式により割れ量(%)を算出する。
式中の記号は次のことを意味する。
S:割れ量(%)
H:亀裂寸法(mm)
T:試験片の厚み(mm)
得られた割れ量を次の基準で評価する。割れ量が小さいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいことを示す。
◎(優) :割れ量が45%未満
○(良) :割れ量が45%以上50%未満の範囲
△(可) :割れ量が50%以上55%未満の範囲
×(不可):割れ量が55%以上
予備発泡後、常温で24時間熟成した嵩倍数50倍の発泡粒子を、内寸300mm×400mm×50mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体の外観を評価する。
(成形条件)金型加熱 : 5秒
一方加熱 :10秒
逆一方加熱 : 5秒
両面加熱 :20秒
水冷 :10秒
設定スチーム圧:0.06、0.07、0.08MPa
○(良) :発泡粒子間の間隙が非常に少なく、成形体表面がほぼ平滑で成形体外観が良好である
△(可) :成形体表面の伸び不足或いは表面が溶融した発泡粒子が存在し、成形体表面に間隙が無数にあり、成形体外観が劣る(耐衝撃性には影響しない)
×(不可):耐衝撃性に影響する、或いは耐衝撃性評価が困難なほど成形体表面が伸びていない或いは成形体が収縮している。
JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に記載の方法に準拠して表面抵抗率を測定する。
得られた嵩倍数50倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この同一の発泡成形体から100mm×100mm×原厚み(10mm以下)の試験片10個を切り出す。
次いで、デジタル超高抵抗/微少電流計及びレジスティビティ・チェンバ(株式会社アドバンテスト製、R8340及びR12702A)を用いて、約30Nの荷重で試料片に電極を圧着させ、電圧500Vを1分間印加して充電した後に試料片の抵抗値を測定し、表面抵抗率を次の計算式により算出する。
式中の記号は次のことを意味する。
ρs:表面抵抗率(MΩ)
D :表面の環状電極の内径(cm)
d :表面電極の内円の外径(cm)
Rs:表面抵抗(MΩ)
得られた表面抵抗率(試験片10個の平均値)を次の基準で評価する。
○(帯電防止性あり):表面抵抗率が1×1012Ω以下
×(帯電防止性なし):表面抵抗率が1×1012Ωを超える
(種(核PS)粒子の製造)
内容積100リットルの撹拌機付き重合容器に、水40kg、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0gを供給し撹拌しながらスチレンモノマー40kg並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂種粒子(A)を得た。
前記ポリスチレン系樹脂種粒子(A)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mm(平均粒子径D50=0.66mm)のポリスチレン系樹脂種粒子(B−1)、粒子径0.71〜1.18mm(平均粒子径D50=0.99mm)のポリスチレン系樹脂種粒子(B−2)をそれぞれ得た。
次に、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、前記ポリスチレン系樹脂種粒子(B−1)500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム10.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.6gを溶解させたアクリル酸ブチル200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、75℃で60分保持後、130℃に昇温して2時間保持した。
その後、75℃の温度に下げ、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド5.2g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.75gを溶解させたスチレンモノマー200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にスチレンモノマーを吸収させ、75℃で60分保持した。
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレンモノマー1100gを75℃から115℃まで160分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃に昇温した後、更に140℃に昇温して2時間経過後に冷却し、複合ポリスチレン系樹脂粒子(C)を得た。
次いで、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2200g、複合ポリスチレン系樹脂粒子(C)1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.36gを供給して撹拌しながら100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種a:コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出した。続いて、乾燥させ、13℃の恒温室内に7日間放置して発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
次いで、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子1500gを、ジンクステアレート1.2g、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド1.2g及びポリエチレングリコール(MW=300)0.75gからなる表面処理剤で被覆処理した。処理後、スチームで予熱した常圧予備発泡機に発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.03MPaの設定でスチームを導入して、約2〜3分間で50倍の嵩倍数まで予備発泡させた。
予備発泡後、常温で24時間熟成した嵩倍数50倍の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を、内寸300mm×400mm×50mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
(成形条件)金型加熱 : 5秒
一方加熱 :10秒
逆一方加熱 : 5秒
両面加熱 :20秒
水冷 :10秒
設定スチーム圧:0.06、0.07、0.08MPa
得られた複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を上記の方法により測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
また、図1に複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(a)及び内部気泡膜の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(b)を示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸2−エチルヘキシルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、アクリル酸ブチルの代わりにアクリル酸エチルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
(複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、前記ポリスチレン系樹脂種粒子(B−1)600g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム10.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド1.2gを溶解させたアクリル酸ブチル400gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、75℃で60分保持後、130℃に昇温して2時間保持した。
その後、75℃の温度に下げ、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.7gを溶解させたスチレンモノマー200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、75℃で60分保持した。
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレンモノマー800gを75℃から115℃まで160分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。120℃に昇温した後、更に140℃に昇温して2時間経過後に冷却し、複合ポリスチレン系樹脂粒子(C)を得た。
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の製造は実施例1と同様にして、発泡成形体を得、測定、評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、前記ポリスチレン系樹脂種粒子(B−1)の代わりに前記ポリスチレン系樹脂種粒子(B−2)を用い、ベンゾイルパーオキサイド4.0gを3.0gに変更したこと以外は実施例4と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ベンゾイルパーオキサイド5.2gを6.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド0.6g以外にジビニルベンゼン0.2gを溶解させたアクリル酸ブチル200gを5リットル重合容器に供給し、ベンゾイルパーオキサイド5.2gを7.15gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ベンゾイルパーオキサイド5.2gを2.6gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種a:コスモ石油社製、製品名ペンタン)の代わりにn−ブタン/i−ブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種b:コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、重合開始剤としてのジクミルパーオキサイド1.2g以外にジビニルベンゼン1.0gを溶解させたアクリル酸ブチル400gを5リットル重合容器に供給したこと以外は実施例4と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ベンゾイルパーオキサイド5.2gの代わりにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6.5gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ベンゾイルパーオキサイド5.2gを9.1gにしたこと以外は実施例1と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
(ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、前記ポリスチレン系樹脂種粒子(B−1)500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム8.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド6.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.75gを溶解させたスチレンモノマー100gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にスチレンモノマーを吸収させ、75℃で30分保持した。
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレンモノマー1400gを75℃から115℃まで160分で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃に昇温した後、更に130℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(C)を得た。
次いで、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2200g、ポリスチレン系樹脂粒子(C)1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.36gを供給して撹拌しながら100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ブタン/i−ブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種b:コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)126gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出した。続いて、乾燥させ、13℃の恒温室内に7日間放置して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の製造を、実施例1の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の製造に準じて行い、発泡成形体を得、測定、評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
(ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
ブタジエン成分が60重量%であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体をスチレンモノマーに溶解させて14.5重量%溶液とした。この溶液100重量部にエチルベンゼン5重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.05重量部及びt−ドデシルメルカプタン0.05重量部を添加して重合原料液を得た。
次いで、得られた重合原料液を、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に供給して次の条件で重合を行った。重合温度105℃で3時間、温度を上げ130℃で2時間、更に温度を上げ145℃で1時間重合させた後、得られた重合液を加熱真空下の脱揮装置に送り未反応スチレンモノマー及びエチルベンゼンを除去して、重合体を得た。
得られた重合体を押出機に供給、混練し、ダイの細孔からストランドを引き、直ちに水冷した後、直径約1mm、長さ約1.5mmのペレット状に切断した。得られたペレット状のゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子におけるブタジエン成分の含有量は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレンのマスバランスから算出したところ10.5重量%であった。
次いで、別の内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2200g、ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.36gを供給して撹拌しながら125℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種a:コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して5時間保持することで発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。保持後、30℃以下まで冷却した上で、発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子を重合容器内から取り出し、乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置した。
ゴム変性ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の製造を、実施例1の複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体の製造に準じて行い、発泡成形体を得、測定、評価した。それらの結果を表1及び2に示す。
(複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、種粒子として実施例1で得られたポリスチレン系樹脂粒子(B−1)500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム10.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.6gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.6gとポリブタジエン末端アクリレート(大阪有機化学工業社製、製品名:BAC−45)10gを溶解させたアクリル酸ブチル200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にアクリル酸ブチルを吸収させ、75℃で60分保持後、130℃に昇温して2時間保持した。
その後、75℃に冷却し、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド7.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.75gを溶解させたスチレン単量体200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にスチレン単量体を吸収させ、75℃で60分保持して重合させて反応液を得た。
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレン単量体1100gを160分で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで、120℃に昇温した後、140℃に昇温して2時間経過後に冷却し、複合ポリスチレン系樹脂粒子(C)を得た。
次いで、別の内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2200g、複合ポリスチレン系樹脂粒子(C)1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.44gを供給して撹拌しながら125℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/i−ペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種a:コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出した。続いて、乾燥させ、13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
実施例1と同様にして、得られた発泡性粒子から予備発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリブタジエン末端アクリレート10gを16gとすること以外は、実施例13と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリブタジエン末端アクリレート10gを20gとすること以外は、実施例13と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリブタジエン末端アクリレート10gを40gとすること以外は、実施例13と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
(発泡性粒子の被覆)
内容積20Lのタンブラーミキサーに、上記発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子1500gを投入した。次いで、ジンクステアレート1.2g、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド1.2g、グリセリンモノステアレート0.75g、並びに帯電防止剤としてポリオキシエチレンヒドロキシアルキルアミン(タナカ化学研究所製、商品名アンチスター80FS)15.0gを順次投入し、15分間撹拌した。次いで、ポリエチレングリコール(MW=300)0.75g、ジイソブチルアジペート0.45gを投入し15分間に亘って攪拌して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に前記表面処理剤を被覆した。
上記以外は、実施例13と同様にして、複合ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子及び発泡成形体を得、測定・評価した。それらの結果を表3及び4に示す。
また、図4〜6に、それぞれ実施例13〜15の発泡粒子断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を、図7に実施例14の発泡成形体断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
b ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の気泡膜面方向の長さ
g ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子
t 気泡膜厚み
1 試験片
2 錘
3 亀裂
H 亀裂寸法
T 試験片の厚み
Claims (7)
- 緩衝材であり、
前記緩衝材が、複数の気泡とそれらを区画する気泡膜を有し、前記気泡膜が連続相を形成するポリスチレン系樹脂と、前記連続相中に分散されて分散相を形成するポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子とを含み、前記ポリスチレン系樹脂が前記ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子で複合化された複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体からなり、
前記分散相が、前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の気泡膜断面の気泡膜厚み方向に複数でかつ層状に存在し、
前記分散相が、前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体の気泡膜断面の気泡膜厚み方向の寸法(ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の厚さ)及び気泡膜面方向の寸法(ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子の長さ)をそれぞれc及びdとしたときに、7以上60以下のアスペクト比(d/c)を有し、
前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、ポリブタジエン末端アクリレート由来の成分をさらに含むことを特徴とする緩衝材。 - 前記ポリスチレン系樹脂が、重量平均分子量(MW)200,000〜350,000及び重量平均分子量(MW)に対するZ平均分子量(MZ)の比(MZ/MW)2〜4を有する請求項1に記載の緩衝材。
- 前記アスペクト比(d/c)が、20以上50以下である請求項1または2に記載の緩衝材。
- 前記ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル又はこれらの混合物の重合体から形成されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の緩衝材。
- 前記ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が、前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して5〜100重量部である請求項1〜4のいずれか1つに記載の緩衝材。
- 前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、11cm以上のJIS K7211による落球衝撃値、12mm以上のJIS K7221−1による曲げ破断点変位量及び50%未満のJIS Z0235による割れ量を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の緩衝材。
- 前記複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体が、帯電防止剤含有成分で表面被覆した複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子を発泡成形されてなる請求項1〜6のいずれか1つに記載の緩衝材。
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