JP6341936B2 - 5−アミノレブリン酸の高生産株及びその製造方法と使用 - Google Patents
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Description
このように、本分野では、効率的で、低コストで、低汚染のALAの製造方法の開発が切望されている。
第一には、本発明は、5-アミノレブリン酸生産菌株の構築方法であって、
前記5-アミノレブリン酸生産菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性を増強し、またはオキサロ酢酸合成を促進する外来性の関連酵素を導入し、かつ/あるいは
5-アミノレブリン酸生産菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性を減弱する方法を提供する。
好適な実施形態において、前記5-アミノレブリン酸生産菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性を増強することは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性を増強する方法、および/またはピルビン酸カルボキシラーゼの活性を増強する方法、あるいはこれらの方法の組み合わせによって実現する。
もう一つの好適な実施形態において、前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼである。
好適な実施形態において、前記5-アミノレブリン酸生産菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性を減弱することは、スクシニルCoAシンテターゼもしくはコハク酸デヒドロゲナーゼのコード遺伝子の一部もしくは全部を欠損させる方法、遺伝子を突然変異によって不活性化させる方法、遺伝子のプロモーターもしくは翻訳調節領域を変化させて転写もしくは翻訳を減弱する方法、遺伝子配列を変化させてmRNAもしくは酵素構造の安定性を低下させる方法など、あるいはこれらの方法の組み合わせによって実現することができる。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、さらに、前記5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路を増強し、あるいは5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を導入することを含む。
もう一つの具体的な実施形態において、前記方法は、前記5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸合成酵素の活性を増強し、あるいは外来性の5-アミノレブリン酸合成酵素を導入し、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性を増強し、かつコハク酸デヒドロゲナーゼを欠損させることを含む。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法によって得られる5-アミノレブリン酸生産菌株は、コハク酸を外来的に添加することなく、高レベルで5-アミノレブリン酸を生産することができる。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法によって得られる5-アミノレブリン酸生産菌株は、好気条件において、コハク酸を外来的に添加することなく、高レベルで5-アミノレブリン酸を生産することができる。
もう一つの具体的な実施形態において、前記菌株自身が5-アミノレブリン酸の合成能力を有する。
好適な実施形態において、前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱することは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の遺伝子を欠損させることによって実現する。
一方、本発明は、5-アミノレブリン酸生産菌株の構築方法であって、前記5-アミノレブリン酸生産菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱し、かつ前記5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路を増強し、または5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を導入することを含む方法を提供する。
前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性が減弱した菌株を提供する。
具体的な実施形態において、前記オキサロ酢酸合成を促進する関連酵素はホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸カルボキシラーゼで、前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼである。
もう一つの具体的な実施形態において、前記菌株における5-アミノレブリン酸合成酵素の活性が増強し、または外来性の5-アミノレブリン酸合成酵素を含み、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性が増強し、または外来性のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの活性が増強し、かつコハク酸デヒドロゲナーゼが欠損した。
もう一つの具体的な実施形態において、前記菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性が減弱した。
好適な実施形態において、前記菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の遺伝子が欠損した。
一方、本発明は、5-アミノレブリン酸生産菌株であって、前記菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性が減弱し、かつ前記菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路が増強し、または5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を含む菌株を提供する。
具体的な実施形態において、前記菌株は、コハク酸を外来的に添加することなく、5-アミノレブリン酸を生産することができる。
もう一つの好適な実施形態において、前記菌株における5-アミノレブリン酸の生産量は、7 g/Lよりも高い。
もう一つの好適な実施形態において、前記5-アミノレブリン酸生産菌株は、外来のコハク酸を添加することなく、高レベルで5-アミノレブリン酸を生産する。
もう一つの好適な実施形態において、前記5-アミノレブリン酸生産菌株は、好気条件において、コハク酸を外来的に添加することなく、高レベルで5-アミノレブリン酸を生産する。
1) 本発明の第二または第三に係る菌株を培養し、5-アミノレブリン酸を得ること、および
2) 1)の発酵培養システムから5-アミノレブリン酸を得ること、
を含む方法を提供する。
好適な実施形態において、前記方法によって得られる5-アミノレブリン酸の生産量は、7 g/Lよりも高い。
もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、別途にコハク酸を添加することなく、5-アミノレブリン酸の高生産を実現することができる。
1) スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の阻害剤を含有する培地において5-アミノレブリン酸生産菌株を培養し、5-アミノレブリン酸を得ること、および
2) 1)の培養システムから5-アミノレブリン酸を得ること、
を含む方法を提供する。
好適な実施形態において、前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼである。
好適な実施形態において、前記下流産物は、ALAを前駆体とするヘムまたはビタミンB12である。
発明者は、幅広く深く研究したところ、5-アミノレブリン酸の生産菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性を増強することによって、前記生産菌株における5-アミノレブリン酸の生産量を大幅に向上させることができることを意外にも見出した。また、発明者は、前記生産菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素を減弱することによっても、得られる生産菌株における5-アミノレブリン酸の生産量を向上させることができることを見出した。さらに、発明者は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよびリンゴ酸酵素の活性を減弱することによって、5-アミノレブリン酸の生産量を顕著に向上させることができることを見出した。そして、上記手段のうちの任意の2種類または3種類を合わせると、得られる生産菌株における5-アミノレブリン酸の生産量をさらに向上させることができる。これに基づき、本発明を完成させた。
ここで用いられる用語「外来性」とは、あるシステムに元来存在しない物質が含まれることを指す。例えば、形質転換などの手段である菌株に当該菌株に元来存在しない酵素のコード遺伝子を導入することによって、当該菌株において当該酵素を発現させる場合、当該酵素は当該菌株にとって「外来性」のものである。
本発明は、5-アミノレブリン酸生産菌株であって、前記菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性が増強し、またはオキサロ酢酸合成を促進する外来性の関連酵素を含み、かつ/あるいは前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性が減弱した菌株を提供する。好適な実施形態において、前記オキサロ酢酸合成を促進する関連酵素はホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸カルボキシラーゼを含むが、これらに限定されず、前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼを含むが、これらに限定されない。
もう一つの具体的な実施形態において、本発明の菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性が減弱した。
好適な実施形態において、本発明の菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の遺伝子が欠損した。
そのため、本発明の菌株は、より低いコストで簡単に5-アミノレブリン酸を製造することができる。
また、当業者は、本発明の菌株は、5-アミノレブリン酸の生産だけでなく、5-アミノレブリン酸を前駆体として用いる様々な下流産物の生産にも使用することができることがわかる。具体的な実施形態において、前記下流産物は、ALAを前駆体とするヘムまたはビタミンB12である。
好適な実施形態において、前記5-アミノレブリン酸生産菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性を減弱することは、スクシニルCoAシンテターゼもしくはコハク酸デヒドロゲナーゼのコード遺伝子の一部もしくは全部を欠損させる方法、遺伝子を突然変異によって不活性化させるか部分的に不活性化させる方法、遺伝子のプロモーターもしくは翻訳調節領域を変化させて転写もしくは翻訳を減弱する方法、遺伝子配列を変化させてmRNAもしくは酵素構造の安定性を低下させる方法など、あるいはこれらの方法の組み合わせによって実現することができる。
好適な実施形態において、前記方法は、前記5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸合成酵素の活性を増強し、あるいは外来性の5-アミノレブリン酸合成酵素を導入し、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを増強し、かつコハク酸デヒドロゲナーゼを欠損させることを含む。
好適な実施形態において、前記ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱することは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の遺伝子を欠損させることによって実現する。
さらに好適な実施形態において、前記方法は、さらに、得られる菌株における5-アミノレブリン酸の生産量を測定することを含む。
また、本発明の指導および既存技術に基づき、当業者は、本発明では出発菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性を増強し、またはオキサロ酢酸合成を促進する外来性の関連酵素を導入する方法、および/または前記出発菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性を減弱する方法、および/またはホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱する方法によって、前記菌株の5-アミノレブリン酸を生産する能力を向上させることがわかる。そのため、以上の手段またはそのうちの任意の二つまたは三つの組み合わせで菌株を構築または改造することによって5-アミノレブリン酸の生産量を向上させる方法あるいはこの方法によって得られる菌株であれば、本発明の保護範囲に含まれ、本発明の保護範囲は実施例で使用される具体的な方法および得られる菌株に限定されない。
好適な実施形態において、前記方法によって得られる5-アミノレブリン酸の生産量は、7 g/Lよりも高い。もう一つの好適な実施形態において、前記方法は、別途にコハク酸を添加せず、かつ/またはブドウ糖だけを炭素源として使用する。
また、本発明の指導および既存技術に基づき、当業者は、5-アミノレブリン酸の生産菌株の培養システムにスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の阻害剤を添加することによってもこと5-アミノレブリン酸の生産量をこうじょうさせることができることがわかる。具体的な実施形態において、前記スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼである。
1.本発明の菌株は、糖の転化率を向上させ、ALAの合成に必要な基質の一つであるスクシニルCoAの合成を増加することで、ALAの生産量を向上させる。
2.本発明の菌株によってALAを製造する場合、前駆体であるコハク酸を外来的に添加する必要がなく、生産過程では、基質であるコハク酸の添加に対する依存、および高価の培地、例えばLBの使用がなくなり、生産コストを大幅に低下させる。
本発明の実施例で使用されたDNAポリメラーゼは、北京TransGen Biotech社から購入されたFastpfuで、制限酵素およびDNAリガーゼなどは、いずれもFermentas社から購入された。
酵母粉末およびペプトンは、英国Oxoid社から、グリシンおよびIPTGは、Promega社から、5-ALAおよびp-ジメチルアミノベンズアルデヒドなどは、Sigma社から、寒天粉および抗生物質は北京Solarbio社から、ブドウ糖、氷酢酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸、アセチルアセトン、クロロホルムおよびほかの通常の化学試薬はいずれもSinopahrm社から購入された。
プラスミド構築のシークエンシング検証はBGI社によって行われた。
DH5α感受性細胞は、北京TransGen Biotech社から購入された。
LB培地の成分:酵母粉末5 g/L、ペプトン10 g/L、NaCl 10 g/L、固体培地に2%の寒天粉を添加した。
抗生物質の濃度は、アンピシリン100 μg/mL、カナマイシン30 μg/mL。
ブドウ糖の分析方法は、山東科学院によって生産されたSBA-40Dバイオセンサー分析装置を使用して検出した。
大腸菌の遺伝子ノックアウトは代表的なRed組換え方法を使用し、関連文献を参照して行い、具体的な操作は以下の通りである。スクシニルCoAシンテターゼの構造遺伝子であるsucCD遺伝子のノックアウトは、まず、NCBIで公開された大腸菌MG1655のゲノム配列および補助ベクターpKD13の配列によってプライマーsucCD-1およびsucCD-2を設計し、具体的な配列はプライマー配列表を参照し、pKD13を鋳型として増幅し、sucCD遺伝子の上下流にホモロジーアームを持つKan耐性遺伝子断片を得た。PCR増幅のパラメーターは、94℃ 2 min;94℃ 20 s,64℃ 20 s,72℃ 1 min,30サイクル;72℃で5 min伸長である。PCR産物のゲルを回収した後、MG1655/pKD46菌株を電気的形質転換し、感受性細胞の調製および形質転換の過程は、J. Sambrookら編の「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」を参照した。形質転換体はsucCD-3およびsucCD-4のプライマーでPCRを行って検証し、野生型菌株の断片の大きさは2267 bpで、sucCD遺伝子欠損菌株における目標バンドの大きさは1558 bpで、バンドの大きさによってsucCD欠損変異株を選別してZPEcA1とした。
NCBIで公開された大腸菌MG1655のゲノム配列によってプライマーppc-Fおよびppc-Rを設計し、大腸菌MG1655のゲノムを鋳型としてPCR増幅し、自身のプロモーターを持つppc遺伝子断片を得た。PCR増幅のパラメーターは、94℃ 2 min;94℃ 20 s,60℃ 20 s,72℃ 1.5 min,30サイクル;72℃で5 min伸長である。ppc遺伝子断片を回収した後、HindIIIで処理し、同時にALA合成酵素を持つプラスミドpZGA24(pZGA24の構築は、参照文献:郭小飛ら、5-アミノレブリン酸デヒドラターゼ欠損の組換え大腸菌による5-アミノレブリン酸の合成,天津科技大学学報,2012, 27(4):1-6を参照)も同酵素で処理し、ベクターおよび断片を回収した後、T4リガーゼで連結し、DH5α感受性細胞を形質転換し、Amp含有LBプレートに塗布し、陽性クローンを選び出してプラスミドを抽出し、かつ酵素切断によって検証し、シークエンシングが正しい組換えプラスミドをpZPA6とした。
BioBrickにおけるプロモーターBBa_J23105の配列およびNCBIで公開された根粒菌CFN42のゲノム配列によってプライマーpyc-1およびpyc-2を設計し、根粒菌CFN42のゲノムを鋳型としてPCR増幅し、構成型プロモーター配列を持つpyc遺伝子断片を得た。PCR増幅のパラメーターは、94℃ 2 min;94℃ 20 s,60℃ 20 s,72℃ 2 min,30サイクル;72℃で5 min伸長である。目標断片を回収した後、ホスファターゼで処理し、同時にpWSK29ベクター用制限酵素PvuIIで処理した後、ホスファターゼを除去し、得られたベクター断片とリン酸化pyc遺伝子断片をT4リガーゼで連結し、DH5α感受性細胞を形質転換し、Amp含有LBプレートに塗布し、陽性クローンを選び出してプラスミドを抽出し、かつ酵素切断によって検証し、シークエンシングが正しい組換えプラスミドをpSLS33とした。
上記で構築された組換えプラスミドpZGA24、pZPA6和pZPA7でそれぞれ野生型大腸菌MG1655およびsucCD欠損変異株ZPEcA1とsdhAB欠損変異株ZPEcA2を形質転換し、Amp耐性LBプレートに塗布し、一晩培養した後、陽性クローンを選び出してプラスミドを抽出し、検証し、それぞれ組換え菌株MG1655/pZGA24、ZPEcA1/pZGA24、ZPEcA2/pZGA24、MG1655/pZPA6、ZPEcA1/pZPA6、ZPEcA2/pZPA6、MG1655/pZPA7、ZPEcA1/pZPA7およびZPEcA2/pZPA7を得た。
組換え菌株の構築:上記プラスミドpZGA24、pZPA6およびpZPA7でそれぞれ大腸菌BW25113(コントロールである菌株BW25113はCGSC (米国イェール大学大腸菌保蔵センター)から)および相応のsucC欠損変異株JW0717(スクシニルCoAシンテターゼβサブユニット(sucC)欠損)のJW0717菌株とsdhA欠損変異株JW0713 (JW0717とJW0713はいずれもKeio Collection大腸菌単一遺伝子欠損菌株ライブラリー,National BioResource Project E. coli, Microbial Genetics Laboratory, National Institute of Genetics 1111 Yata, Mishima, Shizuoka, 411-8540 Japan)を形質転換し、Amp耐性LBプレートに塗布し、一晩培養した後、陽性クローンを選び出してプラスミドを抽出し、検証し、それぞれ組換え菌株BW25113/pZGA24、JW0717/pZGA24、JW0713/pZGA24、BW25113/pZPA6、JW0717/pZPA6、JW0713/pZPA6、BW25113/pZPA7、JW0717/pZPA7およびJW0713/pZPA7を得た。
発明者は、実施例1-5の記載と類似の方法でホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(コード遺伝子pck)およびリンゴ酸酵素(コード遺伝子maeB)の活性が増強した組換え菌株を構築し、かつこれらのALA生産量を検出した。
まず、実施例2と類似の方法によって、表4に示すプライマーで大腸菌MG1655のホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼのコード遺伝子pckをクローンし、かつpZGA24ベクターに連結し、得られた組換えプラスミドをpZPA12とした。
実施例9の結果に基づき、本発明者は、さらにpckまたはmaeB遺伝子の欠損のALA合成に対する影響を研究した。
ALASおよびPPCの共発現ベクターpZPA6をそれぞれKelio Collection(National BioResource Project E. coli, Microbial Genetics Laboratory, National Institute of Genetics 1111 Yata, Mishima, Shizuoka, 411-8540 Japan)からの単一遺伝子欠損菌株JW3366 (pck遺伝子欠損菌株)およびJW2447 (maeB遺伝子欠損菌株)に導入し、検証によって正しい工学菌株JW3366/pZPA6およびJW2447/pZPA6を得た。実施例5で得られたBW25113/pZPA6をコントロールとし、最初15 g/Lブドウ糖および4 g/Lグリシンを添加した発酵培地に発酵し、上記組換え菌株のALAを生産する能力を検証した。発酵過程において、12 h培養した後、5 g/Lブドウ糖および2 g/Lグリシンを追加した。発酵結果を下記表7に示し、25 h発酵した後、JW3366/pZPA6のALA生産量が4.84 g/Lで、糖転化率が0.51 mol/molで、それぞれコントロール菌株BW25113/pZPA6に比べて29%および20.8%向上した。一方、JW2447/pZPA6のALA生産量がやや低下したが、転化率が7.8%向上した。
NCBIで公開されたロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)ATCC 17001のALA合成酵素のコード遺伝子配列(GenBank: JQ048720.1)によって、プライマーhemA-F (プライマー配列:GGCGAATTCAAGGAGATATAGATATGAATTACGAAGCCTATTTCCGCCGT;SEQ ID NO: 21)およびhemA-R (プライマー配列:TATACCCCGGGTCAGGCCGCCTTGGCGAGAC;SEQ ID NO: 22)を設計した。pZGA24ベクター(pZGA24の構築は、参照文献:郭小飛ら、天津科技大学学報,2012, 27(4):1-6を参照)を鋳型としてPCRで目標遺伝子hemAを増幅した。PCR増幅システムにおいて、PCR増幅のパラメーターは、94℃ 10 min;94℃ 20 s,65℃ 30 s,72℃ 40 s,30サイクル;72℃で5 min伸長である。目標断片をEcoRIおよびSmaIで二重酵素切断した後、DNAリガーゼで得られた断片を同じ酵素切断処理したプラスミドpEC-XK99Eと連結し、かつ連結産物でDH5α感受性細胞を形質転換し、カナマイシン耐性プレートに塗布して一晩培養し、陽性クローンを選び出してコロニーのPCR検証を行い、正しい形質転換体をシークエンシングによって検証し、正しい組換えベクターをpZWA1とした(図4)。
上記組換え菌の単一コロニーをそれぞれ10 mLの25 μg/mLカナマイシンおよび24 g/Lブドウ糖を含有するLB液体培地に接種し、30℃、200 rpmで12 h培養した。初期ODが0.3となるように50 mLの発酵培地を入れた500 mL三角フラスコに移し、30℃、200 rpmで3 h培養した後、最終濃度が100 μMとなるようにIPTGを入れ、32 h誘導培養した後、醗酵液を収集し、ALAの濃度を検出した。なかでは、振とう発酵培地の配合は、Glu 50 g/L、(NH4)2SO4 10 g/L、MnSO4 1 g/L、K2HPO4 1.5 g/L、MgSO4 0.6 g/L、コーンスティープリカー1 g/L、グリシン 4 g/L、MOPS 31.395 g/Lで、pHを7.0とした。カナマイシンの最終濃度は25 μg/mLであった。ALAの検出およびブドウ糖の分析方法は、「材料および方法」の部分の通りである。
本発明者は、5-アミノレブリン酸の合成経路に基づき、ALAを生産する組換え微生物を目的とし、理性的設計で宿主菌の糖代謝経路を改造したところ、オキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性はブドウ糖の転化率およびALAの生産量を顕著に向上させることが示された。具体的に、本発明は、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸カルボキシラーゼを発現してオキサロ酢酸の補充を増強することによって、ALAの生産量およびブドウ糖の転化率を大幅に向上させる。
また、本発明者は、スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素、すなわち、スクシニルCoAシンテターゼおよびコハク酸デヒドロゲナーゼの活性を低下させることによっても、類似の技術効果を果たすことができることを見出した。生物学の常識によれば、多サブユニット酵素は、各サブユニットが密接に協力してこそ完全の生物学機能を果たすため、任意の一つのサブユニットの配列または構造の変化、発現レベルの変化でも酵素全体の活性に影響するかもしれない。
そのため、本発明によって提供される菌株および方法は、ALAの生産量およびブドウ糖の転化率を顕著に向上させ、従来のALAの合成におけるコハク酸の添加に対する依存、および高価で複雑な培地、例えばLB培地の使用がなくなり、生産コストを大幅に低下させ、良い工業化の将来性がある。
Claims (12)
- 5-アミノレブリン酸の高生産菌株の構築方法であって、
5-アミノレブリン酸生産菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性を増強し、またはオキサロ酢酸合成を促進する外来性の関連酵素を導入すること、および、
5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路を増強すること、または5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を導入すること、
を含み、オキサロ酢酸合成を促進する関連酵素がホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸カルボキシラーゼであり、
5-アミノレブリン酸の合成経路が、5-アミノレブリン酸合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA還元酵素およびグルタミン酸-1-セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼから選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。 - 5-アミノレブリン酸生産菌株におけるスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性を減弱することをさらに含み、スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素がスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼであることを特徴とする、請求項1に記載の構築方法。
- ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱することをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の構築方法。
- 5-アミノレブリン酸の高生産菌株の構築方法であって、
5-アミノレブリン酸生産菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性を減弱すること;および
5-アミノレブリン酸生産菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路を増強すること、または5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を導入すること、
を含み、
5-アミノレブリン酸の合成経路が、5-アミノレブリン酸合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA還元酵素およびグルタミン酸-1-セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記方法。 - 5-アミノレブリン酸生産菌株であって、前記菌株におけるオキサロ酢酸合成を促進する関連酵素の活性が増強し、またはオキサロ酢酸合成を促進する外来性の関連酵素を含み、および、
菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路が増強し、あるいは菌株において5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を含み、
オキサロ酢酸合成を促進する関連酵素がホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼまたはピルビン酸カルボキシラーゼであり、
5-アミノレブリン酸の合成経路が、5-アミノレブリン酸合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA還元酵素およびグルタミン酸-1-セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記菌株。 - さらにスクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素の活性が減弱し、スクシニルCoAの下流代謝経路の関連酵素はスクシニルCoAシンテターゼまたはコハク酸デヒドロゲナーゼであることを特徴とする、請求項5に記載の菌株。
- 菌株が、大腸菌 (Escherichia coli)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)から選ばれることを特徴とする、請求項5または6に記載の菌株。
- 菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性が減弱したことを特徴とする、請求項5または6に記載の菌株。
- 5-アミノレブリン酸生産菌株であって、前記菌株におけるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼおよび/またはリンゴ酸酵素の活性が減弱し;かつ前記菌株における5-アミノレブリン酸の合成経路が増強すること、または5-アミノレブリン酸の外来性の合成経路を含み、5-アミノレブリン酸の合成経路が、5-アミノレブリン酸合成酵素、グルタミルtRNA合成酵素、グルタミルtRNA還元酵素およびグルタミン酸-1-セミアルデヒドアミノトランスフェラーゼからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、前記菌株。
- 5-アミノレブリン酸を生産する大腸菌株であって、寄託番号CGMCC No.6588で中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに寄託された菌株あるいは寄託番号CGMCC No.6589で中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに寄託された菌株から選ばれることを特徴とする、前記菌株。
- 5-アミノレブリン酸を生産する方法であって、
1) 請求項5〜10のうちのいずれか一項に記載の菌株を培養し、5-アミノレブリン酸を得ること、および
2) 1)の発酵培養システムから5-アミノレブリン酸を得ること、
を含むことを特徴とする、前記方法。 - 5-アミノレブリン酸を生産するための、および/または5-アミノレブリン酸を前駆体として用いることによる下流産物の生産のための、請求項5〜10のうちのいずれか一項に記載の菌株の使用。
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