実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体層と電子捕獲層とゲート電極とを有する半導体装置の構成および動作原理、および、それを応用する回路について説明する。図1(A)は、半導体層101と電子捕獲層102とゲート電極103を有する半導体装置である。
ここで、電子捕獲層102としては、内部に電子を捕獲する準位(電子捕獲準位)を有する。なお、同じ構成元素で構成されていても、形成方法・形成条件の違いにより、そのような準位が形成されないこともある。
例えば、図1(B)に示されるような、第1の形成方法(あるいは形成条件)で形成された第1の絶縁層102aと、第2の形成方法(あるいは形成条件)で形成された第2の絶縁層102bの積層体でもよいし、図1(C)に示されるような、第1の形成方法(あるいは形成条件)で形成された第1の絶縁層102a、第2の形成方法(あるいは形成条件)で形成された第2の絶縁層102bと第3の形成方法(あるいは形成条件)で形成された第3の絶縁層102cの積層体、あるいは、さらに多層の絶縁層の積層体でもよい。また、図1(D)に示されるように、絶縁体102e中に、電気的に絶縁された導電層102dを有してもよい。絶縁体102eは複数の絶縁膜より形成されてもよい。
ここで、第1乃至第3の絶縁層の構成元素は同じであるとする。なお、第1の形成方法(あるいは形成条件)と第3の形成方法(あるいは形成条件)は同じでもよい。この際、半導体層101に接しない層(例えば、第2の絶縁層)は、電子捕獲準位密度が高い(電子捕獲準位が多い)ことが望ましい。例えば、スパッタリング法で形成された絶縁層はCVD法やALD法で形成された絶縁層に比べて、組成が同じでも、電子捕獲準位密度が高い。
したがって、例えば、スパッタリング法で形成された絶縁層を第2の絶縁層102bとし、CVD法やALD法で形成された絶縁層を第1の絶縁層102aとしてもよく、図1(C)の場合には、第3の絶縁層102cも第1の絶縁層102aと同様としてもよい。ただし、本発明の実施形態の一態様はこれに限定されず、CVD法やALD法で形成された絶縁層を第2の絶縁層102bとし、スパッタリング法で形成された絶縁層を第1の絶縁層102aとしてもよく、図1(C)の場合には、第3の絶縁層102cも第1の絶縁層102aと同様としてもよい。
ここで、CVD法で形成された絶縁層は、通常のゲート絶縁層としての機能を有することができる。したがって、ゲートとドレイン間、または、ゲートとソース間のリーク電流を低減することができる。一方、スパッタリング法で形成された絶縁層は、電子捕獲準位密度が高いため、トランジスタのしきい値電圧をより大きく変化させることが出来る。そのため、このような構成とすることにより、リーク電流が少なく、かつ、しきい値電圧も十分に制御された構成とすることが出来る。よって、異なる形成方法(あるいは形成条件)を用いて、積層構造を構成することが好適である。ただし、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。
また、半導体層101の成膜方法と、半導体層101と接する第1の絶縁層102aとは、連続的に製造しやすくなるため、同じ製造方法を用いてもよい。たとえば、半導体層101をスパッタリング法で形成した場合、第1の絶縁層102aもスパッタリング法で形成し、第2の絶縁層102bは、CVD法やALD法で形成してもよい。図1(C)の場合には、第3の絶縁層102cもスパッタリング法で形成してもよい。同様に、半導体層101をCVD法で形成した場合、第1の絶縁層102aもCVD法で形成し、第2の絶縁層102bは、スパッタリング法で形成してもよい。図1(C)の場合には、第3の絶縁層102cもCVD法で形成してもよい。このような構成とすることにより、リーク電流が少なく、かつ、しきい値電圧も十分に制御された構成とし、さらに、製造しやすくすることが出来る。
また、電子捕獲層102が、内部に複数の微小導電性領域104を有する場合について図2を用いて説明する。
図2(A)は、半導体層101と電子捕獲層102とゲート電極103を有する半導体装置である。ここで、電子捕獲層102は、内部に複数の微小導電性領域104を有する。なお、同じ構成元素で構成されていても、形成方法・形成条件の違いにより、そのような領域が形成されないこともある。特にスパッタリング法による酸化物の堆積のように、大きなエネルギーを有する粒子が堆積する場合には、酸素濃度に濃淡が生じることがある。そのため、微小導電性領域が形成されやすい。一方、CVD法のように、比較的小さなエネルギーを有する粒子が堆積する場合には、均一に形成しやすいため、微小導電性領域が形成されにくい。
ここで、電子捕獲層102としては、例えば、図2(B)に示されるような、第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bの積層体でもよいし、図2(C)に示されるような、第1の絶縁層102a、第2の絶縁層102bと第3の絶縁層102cの積層体、あるいは、さらに多層の絶縁層の積層体でもよい。一例としては、第2の絶縁層102bが微小導電性領域104を有するようにする。また、第2の絶縁層102bと他の絶縁層の界面にも、微小導電性領域104が形成されやすい。
ここで、微小導電性領域104を有さないあるいは十分に少ない絶縁層は、通常のゲート絶縁層としての機能を有することができる。したがって、ゲートとドレイン間、または、ゲートとソース間のリーク電流を低減することができる。一方、微小導電性領域104を有する絶縁層は、電子捕獲準位密度が高いため、トランジスタのしきい値電圧をより大きく変化させることが出来る。そのため、このような構成とすることにより、リーク電流が少なく、かつ、しきい値電圧も十分に制御された構成とすることが出来る。よって、異なる形成方法(あるいは形成条件)を用いて、積層構造を構成することが好適である。ただし、本実施形態は、これに限定されない。
なお、第1乃至第3の絶縁層の構成元素は、異なっていてもよい。その場合、形成方法(あるいは形成条件)も異なっていてもよいし、同じでもよい。これにより、それぞれの層に、異なる機能を持たせて、全体として最適な層を構成することが出来る。たとえば、第1の絶縁層102aは、半導体層101から電子が第2の絶縁層102bに入りやすい材料を用い、第2の絶縁層102bは、電子がトラップされやすい材料を用い、第3の絶縁層102cは、リーク電流の少ない材料を用いてもよい。たとえば、酸化シリコン(酸素とシリコン)、窒化シリコン(窒素とシリコン)、酸化窒化シリコン(または窒化酸化シリコン)(酸素と窒素とシリコン)などを、第1乃至第3の絶縁層の構成元素として用いてもよい。たとえば、第1の絶縁層と第3の絶縁層とにおいて、酸化シリコン(酸素とシリコン)、窒化シリコン(窒素とシリコン)、酸化窒化シリコン(または窒化酸化シリコン)(酸素と窒素とシリコン)などを用いて、第2の絶縁層を挟み込むようにしてもよい。このとき、第2の絶縁層102bとして、微小導電性領域104を有する絶縁層を用いると、電子捕獲準位密度が高いため、トランジスタのしきい値電圧をより大きく変化させることが出来る。
なお、CVD法やALD法で形成する絶縁層は、スパッタリング法で形成した絶縁層よりも、厚くすることが好適である。これにより、絶縁破壊を低減し、耐圧を上げたり、リーク電流を低減することが出来る。ただし、本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。
なお、CVD法としても、様々な方法を用いることが出来る。熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法、LPCVD法などの方法を用いることが出来る。よって、ある絶縁層と別の絶縁層とにおいて、異なるCVD法を用いて、絶縁層を形成してもよい。
なお、微小導電性領域104は、量が多すぎると、絶縁層としての機能を果たさなくなってしまう。したがって、一例としては、絶縁層において、微小導電性領域104は、導電性を有さない領域よりも、少ないことが望ましい。
図1(A)に示す半導体装置の点Aから点Bにかけてのバンド図の例を図3(A)に示す。また、図1(B)に示す半導体装置の点Aから点Bにかけてのバンド図の例を図4(A)に示す。また、図2(A)に示す半導体装置の点Aから点Bにかけてのバンド図の例を図5(A)に示す。図中、Ecは伝導帯下端、Evは価電子帯上端を示す。図3(A)、図4(A)、図5(A)では、ゲート電極103の電位はソース電極あるいはドレイン電極(いずれも図示せず)と同じである。
図3(A)において、電子捕獲層102の内部に電子捕獲準位106が存在する。ゲート電極103の電位を、ソース電極あるいはドレイン電極より高くすると、図3(B)に示すようになる。ここで、ゲート電極103の電位は、ソース電極あるいはドレイン電極より1V以上高くしてもよい。また、この処理の終了した後にゲート電極103に印加される最高電位よりも低くてもよい。代表的には、4V未満とするとよい。
また、図4(A)において、第1の絶縁層102aのバンドギャップは第2の絶縁層102bのバンドギャップよりも大きく、第1の絶縁層102aの電子親和力は第2の絶縁層102bの電子親和力よりも小さいものとするが、これに限られない。
第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bの界面、あるいは、第2の絶縁層102bの内部に電子捕獲準位106が存在する。ゲート電極103の電位を、ソース電極あるいはドレイン電極より高くすると、図4(B)に示すようになる。ここで、ゲート電極103の電位は、ソース電極あるいはドレイン電極より1V以上高くしてもよい。また、この処理の終了した後にゲート電極103に印加される最高電位よりも低くてもよい。代表的には、4V未満とするとよい。
また、図5(A)において、電子捕獲層102の内部には複数の微小導電性領域104が存在する。ただし、微小導電性領域104は、それぞれ、導電率が異なる。導電性は、例えば、キャリア濃度やフェルミ準位によって定義できる。
例えば、図5(A)では、微小導電性領域104aと微小導電性領域104cは、電子捕獲層102の他の領域と比較すれば、電子が多く存在するので、ポテンシャルのくぼみとなる。しかし、Ecがフェルミ準位を下回らないので、半導体的な性質を示す。例えば、電子捕獲層102を酸化ハフニウムで形成した場合、部分的・局所的な酸素欠損のため半導体的となる。一方、微小導電性領域104bは、Ecがフェルミ準位を下回り、金属的な特性を示す。例えば、電子捕獲層102を酸化ハフニウムで形成した場合、微小導電性領域104bでは、酸素が極めて少ない領域に該当し、金属ハフニウムが析出している状態である。
なお、微小導電性領域104が量子効果が顕著となる大きさ(1nm以下)である場合には、離散的なエネルギー準位を形成することもある。
ゲート電極103の電位を、ソース電極あるいはドレイン電極より高くすると、図5(B)に示すようになる。ここで、ゲート電極103の電位は、ソース電極あるいはドレイン電極より1V以上高くしてもよい。また、この処理の終了した後にゲート電極103に印加される最高電位よりも低くてもよい。代表的には、4V未満とするとよい。
半導体層101に存在する電子107は、より電位の高いゲート電極103の方向に移動しようとする。そして、半導体層101からゲート電極103の方向に移動した電子107のいくらかは、電子捕獲準位106や微小導電性領域104に捕獲される。
電子107が、半導体層101と電子捕獲層102の間の障壁を超えて、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲されるには、いくつかの過程が考えられる。第1は、トンネル効果によるものである。トンネル効果は、第1の絶縁層が薄いほど顕著となる。ただし、この場合、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲された電子が、トンネル効果により、再度、半導体層101に戻ってしまうことがある。
なお、ゲート電極103に適切な大きさの電圧を印加することで、電子捕獲層102が比較的厚い場合でも、トンネル効果(Fowler−Nordheimトンネル効果)を発現させることもできる。Fowler−Nordheimトンネル効果の場合には、ゲート電極103と半導体層101の間の電場の自乗でトンネル電流が増加する。
第2は、電子107が、電子捕獲層102中の欠陥準位等のバンドギャップ中の捕獲準位をホッピングしながら、第2の絶縁層102bに到達するものである。これは、Poole−Frenkel伝導といわれる伝導機構であり、絶対温度が高いほど、捕獲準位が浅いほど、電気伝導性が高まる。
第3は、熱的な励起によって、電子107が、電子捕獲層102の障壁を超えるものである。半導体層101に存在する電子の分布はフェルミ・ディラック分布にしたがい、一般的には、エネルギーの高い電子の比率は、高温であるほど多くなる。例えば、フェルミ面から3電子ボルトだけ高いエネルギーを有する電子の300K(27℃)での密度を1としたとき、450K(177℃)では、6×1016、600K(327℃)では、1.5×1025、750K(477℃)では、1.6×1030となる。
電子107が、電子捕獲層102の障壁を超えてゲート電極103に向かって移動する過程は、上記の3つの方法とそれらの組み合わせで生じていると考えられる。特に、第2の方法、第3の方法は、温度が高いと指数関数的に電流が増大する。
また、Fowler−Nordheimトンネル効果も、電子捕獲層102の障壁層の薄い部分(エネルギーの高い部分)の電子の密度が高いほど起こりやすいので、温度が高いことが有利である。
なお、以上の伝導機構による電流は、特にゲート電極103の電位が低い(5V以下)場合には、きわめて微弱であることが多いが、長時間の処理により、必要とする量の電子を電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲せしめることができる。この結果、電子捕獲層102は負に帯電する。
すなわち、より高い温度(半導体装置の使用温度あるいは保管温度よりも高い温度、あるいは、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極103の電位をソースやドレインの電位より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、半導体層101からゲート電極103に向かって、必要とする電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲される。このように電子を捕獲する処理のための温度を、以下、処理温度という。
このとき、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲される電子の量はゲート電極103の電位により制御できる。電子捕獲準位106または微小導電性領域104に相応の量の電子が捕獲されると、その電荷のために、ゲート電極103の電場が遮蔽され、半導体層101に形成されるチャネルが消失する。
電子捕獲準位106または微小導電性領域104により捕獲される電子の総量は、当初は、線形に増加するが、徐々に増加率が低下し、やがて、一定の値に収斂する。収斂する値は、ゲート電極103の電位に依存し、電位が高いほどより多くの電子が捕獲される傾向にあるが、電子捕獲準位106または微小導電性領域104の総数を上回ることはない。
電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲された電子は、電子捕獲層102から流失しないことが求められる。そのためには、第1には、電子捕獲層102の厚さが、トンネル効果が問題とならない程度の厚さであることが好ましい。例えば、物理的な厚さが1nmより大きいことが好ましい。
一方で、第1の絶縁層102aが厚すぎると、電子の移動の妨げとなるので、30nm以下とすることが好ましい。また、半導体装置のチャネル長に比較して、電子捕獲層102が厚すぎると、サブスレショールド値が増加し、オフ特性が悪化するので、チャネル長は、電子捕獲層102の酸化物換算の厚さ(Equivalent Oxide Thickness)の4倍以上、代表的には10倍以上であるとよい。なお、いわゆるHigh−K材料では、酸化物換算の厚さが物理的な厚さよりも小さくなる。
代表的には、電子捕獲層102の物理的な厚さは、10nm以上100nm以下、酸化物換算の厚さは、10nm以上25nm以下とする。なお、図1(B)、図1(C)、図2(B)、図2(C)で示すような構造において、第1の絶縁層102aの厚さは、10nm以上20nm以下、第2の絶縁層102bの、酸化物換算の厚さは、10nm以上25nm以下とする。
なお、図1(C),図2(C)のように、電子捕獲層102を3層の絶縁層で形成し、第3の絶縁層102cの電子親和力を、第2の絶縁層102bの電子親和力よりも小さくし、第3の絶縁層102cのバンドギャップを、第2の絶縁層102bのバンドギャップよりも大きくすると、第2の絶縁層102bの内部、あるいは、他の絶縁層との界面にある微小導電性領域104に捕獲された電子を保持する上で効果的である。
この場合には、第2の絶縁層102bが薄くても、第3の絶縁層102cが物理的に十分に厚ければ、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲された電子を保持できる。第3の絶縁層102cとしては、第1の絶縁層102aと同じまたは同様な材料を用いることができる。また、第2の絶縁層102bと同じ構成元素であるが、電子捕獲準位密度が十分に低いまたは微小導電性領域が十分に少ないものも用いることができる。微小導電性領域の数は、形成方法によっても異なる。第3の絶縁層102cの厚さは1nm以上20nm以下とする。
上記において、第1の絶縁層102a、第2の絶縁層102b、第3の絶縁層102cは、それぞれ、複数の絶縁層より構成されてもよい。また、同じ構成元素からなるが、形成方法の異なる複数の絶縁層から構成されてもよい。
第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bを同じ構成元素からなる絶縁層(例えば、酸化ハフニウム)で構成する場合、第1の絶縁層102aは、CVD法あるいはALD法で形成し、第2の絶縁層102bは、スパッタリング法で形成してもよい。
一般にスパッタリング法で形成される絶縁層はCVD法あるいはALD法で形成される絶縁層よりも電子捕獲準位密度が高いまたは微小導電性領域を多く含み、電子を捕獲する性質が強い。同様な理由から、第2の絶縁層102bと第3の絶縁層102cを同じ構成元素からなる絶縁層で構成する場合、第2の絶縁層102bは、スパッタリング法で形成し、第3の絶縁層102cは、CVD法あるいはALD法で形成してもよい。
また、第2の絶縁層102bを同じ構成元素からなる複数の絶縁層で構成する場合、そのうちの1つは、スパッタリング法で形成し、別の1つは、CVD法あるいはALD法で形成してもよい。
また、半導体装置の使用温度あるいは保管温度を処理温度よりも十分に低くすることが考えられる。電子が、3電子ボルトの障壁を乗り越える確率は、120℃のときは300℃のときの10万分の1未満である。したがって、300℃で処理の際には障壁を乗り越えて容易に電子捕獲準位106に捕獲される電子が、120℃で保管時には、障壁を乗り越えることが困難となり、電子が長期にわたって、電子捕獲準位106に捕獲された状態となる。
また、半導体層101で、ホールの有効質量が極めて大きい、あるいは、実質的に局在化していることも有効である。この場合には、半導体層101から電子捕獲層102へのホールの注入がなく、したがって、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲された電子がホールと結合して消滅することもない。
また、第2の絶縁層102bが、Poole−Frenkel伝導を示す材料であってもよい。Poole−Frenkel伝導は、上述のように、材料中の欠陥準位等を電子がホッピング伝導するものであり、欠陥準位密度の高い、あるいは、欠陥準位の深い材料は十分に電気伝導性が低く、電子捕獲準位106または微小導電性領域104に捕獲された電子を長時間にわたって保持できる。
また、電子捕獲層102に捕獲された電子を放出させるような電圧がかからないように回路設計、材料選定をおこなってもよい。例えば、In−Ga−Zn系酸化物半導体のように、ホールの有効質量が極めて大きい、あるいは、実質的に局在化しているような材料では、ゲート電極103の電位が、ソース電極あるいはドレイン電極の電位より高い場合にはチャネルが形成されるが、低い場合には、絶縁体と同様な特性を示す。この場合には、ゲート電極103と半導体層101の間の電場が極めて小さくなり、Fowler−Nordheimトンネル効果、あるいは、Poole−Frenkel伝導による電子伝導は著しく低下する。
なお、図1(C)のように、電子捕獲層102を、同じ構成元素であるが、形成方法(あるいは形成条件)の異なる3層の絶縁層で形成し第2の絶縁層102bの電子捕獲準位密度を、他よりも十分に高くすることは第2の絶縁層102bの内部、あるいは、他の絶縁層との界面にある電子捕獲準位に捕獲された電子を保持する上で効果的である。
この場合には、第2の絶縁層102bが薄くても、第3の絶縁層102cが物理的に十分に厚ければ、電子捕獲準位106に捕獲された電子を保持できる。第3の絶縁層102cとしては、第1の絶縁層102aと同じまたは同様な材料を用いることができる。また、第2の絶縁層102bと同じ構成元素であるが、電子捕獲準位密度が十分に低いものも用いることができる。電子捕獲準位密度は、形成方法によって異なる。
図3(C)には、図1(C)に示す半導体装置の点Cから点Dにかけてのバンド図の例を示す。なお、形成方法(あるいは形成条件)が異なれば、構成元素が同じであっても、酸素欠損量等が異なることにより、フェルミ準位が異なる場合もあるが、以下の例では同じものとする。
第2の絶縁層102bは電子捕獲準位106の準位密度がより高くなるような形成方法(あるいは形成条件)で形成されるが、そのため、第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bの界面、第2の絶縁層102bと第3の絶縁層102cの界面の電子捕獲準位密度が高くなる。
そして、ゲート電極103の電位および温度を上記に示したものとすると、図3(D)で説明したように、半導体層101から電子捕獲準位106に電子が捕獲され、電子捕獲層102は負に帯電する。
また、図1(D)のように、絶縁体102e中に電気的に絶縁された導電層102dを有する場合も、上記と同様な原理によって、導電層102dに電子が捕獲される。図4(C)では、ゲート電極103の電位はソース電極あるいはドレイン電極と同じである。
ゲート電極103の電位を、ソース電極あるいはドレイン電極より高くすると、図4(D)に示すようになる。半導体層101に存在する電子は、より電位の高いゲート電極103の方向に移動しようとする。そして、半導体層101からゲート電極103の方向に移動した電子のいくらかは、導電層102dに捕獲される。すなわち、図1(D)に示される半導体装置において、導電層102dは、図1(B)の半導体装置における電子捕獲準位106と同等の機能を有する。
なお、導電層102dの仕事関数が大きいと、絶縁体102eとの間のエネルギー障壁が高くなり、捕獲された電子が流出することを抑制できる。
上記において、第1の絶縁層102a、第2の絶縁層102b、第3の絶縁層102cは、それぞれ複数の絶縁層より構成されてもよい。また、同じ構成元素からなるが、形成方法の異なる複数の絶縁層から構成されてもよい。
例えば、第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bを同じ構成元素からなる絶縁層(例えば、酸化ハフニウム)で構成する場合、第1の絶縁層102aは、CVD法あるいはALD法で形成し、第2の絶縁層102bは、スパッタリング法で形成してもよい。
一般にスパッタリング法で形成される絶縁層はCVD法あるいはALD法で形成される絶縁層よりも欠陥を多く含み、電子を捕獲する性質が強い。同様な理由から、第2の絶縁層102bと第3の絶縁層102cを同じ構成元素からなる絶縁層で構成する場合、第2の絶縁層102bは、スパッタリング法で形成し、第3の絶縁層102cは、CVD法あるいはALD法で形成してもよい。
また、第2の絶縁層102bを同じ構成元素からなる複数の絶縁層で構成する場合、そのうちの1つは、スパッタリング法で形成し、別の1つは、CVD法あるいはALD法で形成してもよい。
また、第2の絶縁層102bに微小導電性領域104が存在する場合、第2の絶縁層102bは微小導電性領域104がより多くなるような材料(あるいは形成方法、形成条件)で形成されるが、そのため、第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bの界面、第2の絶縁層102bと第3の絶縁層102cの界面にも多くの微小導電性領域104が形成される。
そして、ゲート電極103の電位および温度を上記に示したものとすると、図5(B)で説明したように、半導体層101から微小導電性領域104に電子が捕獲され、電子捕獲層102は負に帯電する。
このように電子捕獲層102が電子を捕獲すると、図6(A)に示すように半導体装置のしきい値電圧が増加する。特に、半導体層101が、バンドギャップが大きな材料(ワイドバンドギャップ半導体)であると、ゲート電極103の電位をソース電極あるいはドレイン電極の電位と同じとしたときのソースドレイン間の電流(カットオフ電流(Icut))を大幅に低下させることができる。
例えば、バンドギャップ3.2電子ボルトのIn−Ga−Zn系酸化物であれば、Icut密度(チャネル幅1μmあたりの電流値)は1zA/μm(1×10−21A/μm)以下、代表的には、1yA/μm(1×10−24A/μm)以下とできる。
図6(A)は電子捕獲層102での電子の捕獲をおこなう前と、電子の捕獲をおこなった後での、室温でのソース電極ドレイン電極間のチャネル幅1μmあたりの電流(Id)のゲート電極の電位(Vg)依存性を模式的に示したものである。なお、ソース電極の電位を0V、ドレイン電極の電位を+1Vとする。1fAより小さな電流は、直接は測定できないが、その他の方法で測定した値、すなわちサブスレショールド値等をもとに推定できる。なお、このような測定方法に関しては、参考例を参照するとよい。
最初、曲線108で示すように、半導体装置のしきい値電圧はVth1であったが、電子の捕獲をおこなった後では、しきい値電圧が増加し(プラス方向に移動し)、Vth2となる。また、この結果、Vg=0での電流密度は、1aA/μm(1×10−18A/μm)以下、例えば、1zA/μm乃至1yA/μmとなる。
例えば、図6(B)のように、容量素子111に蓄積される電荷をトランジスタ110で制御する回路を考える。ここで、容量素子111の電極間のリーク電流は無視する。容量素子111の容量が1fFであり、容量素子111のトランジスタ110側の電位が+1V、Vdの電位が0Vであるとする。
トランジスタ110のId−Vg特性が図6(A)中の曲線108で示されるもので、チャネル幅が0.1μmであると、Icutは約1fAであり、トランジスタ110のこのときの抵抗は約1×1015Ωである。したがって、トランジスタ110と容量素子111よりなる回路の時定数は約1秒である。すなわち、約1秒で、容量素子111に蓄積されていた電荷の多くが失われてしまうことを意味する。
トランジスタ110のId−Vg特性が図6(A)中の曲線109で示されるもので、チャネル幅が0.1μmであると、Icutは約1yAであり、トランジスタ110のこのときの抵抗は約1×1024Ωである。したがって、トランジスタ110と容量素子111よりなる回路の時定数は約1×109秒(=約31年)である。すなわち、10年経過後でも、容量素子111に蓄積されていた電荷の1/3は残っていることを意味する。
すなわち、トランジスタと容量素子という単純な回路で、かつ、それほど過大な電圧を印加しなくても、10年間の電荷の保持が可能である。このことは各種記憶装置に用いることができる。例えば、図7に示すようなメモリセルに用いることもできる。
図7(A)に示すメモリセルは、トランジスタ121、トランジスタ122、容量素子123からなり、トランジスタ121は、図1(A)、図1(B)または図2(A)に示したように、電子捕獲層102を有するトランジスタである。回路が形成された後で、上記に示したようなしきい値電圧を増加させる処理をおこない、Icutを低下させる。なお、図に示すように、電子捕獲層中に電子を有するために、しきい値電圧が変動したトランジスタは、通常のトランジスタとは異なる記号を用いる。
図7(A)に示すメモリセルはマトリクス状に形成され、例えば、n行m列のメモリセルであれば、読み出しワード線Pn、書き込みワード線Qn、ビット線Rm、ソース線Smが接続する。
しきい値電圧補正は以下のようにおこなえばよい。まず、すべての読み出しワード線、ソース線、ビット線の電位を0Vとする。そして、メモリセルが形成されたウェハーあるいはチップを適切な温度に保持し、すべての書き込みワード線の電位を適切な値(例えば、+3V)として、適切な時間保持する。この結果、しきい値電圧が適切な値になる。
なお、メモリセルは図7(B)に示すような、トランジスタ124、容量素子125からなるものでもよい。例えば、n行m列のメモリセルであれば、ワード線Qn、ビット線Rm、ソース線Snが接続する。しきい値電圧制御の方法は図7(A)のものと同様にできる。また、トランジスタ121及びトランジスタ124に第2のゲート電極を設け、第2のゲート電極は、しきい値電圧制御用配線と接続してすべてのしきい値電圧制御用配線が接続するような回路配置とすることにより、すべてのしきい値電圧制御用配線の電位は同じ値となるようにしてもよい。
例えば、図8に示すような工程が実施できる。まず、図8(A)に示すように、メモリセルが完成した後、初期特性を測定し、良品を選別する。ここで、良品の基準は断線等による回復不可能な動作不良に限定するとよい。まだ、しきい値電圧が適正化されていないため、容量素子の電荷を長時間保持することはできないが、そのことは選別の基準とはならない。
その後、図8(B)に示すように、電子を注入する。すなわち、電子捕獲層に適切な量の電子を捕獲させる。この操作は上述のとおりに行う。このとき、ゲート電極103の電位と、ソース電極あるいはドレイン電極のいずれか低い方の電位との差(ゲート電圧)は、1V以上4V未満であり、かつ、このメモリセルが出荷された後でのゲート電圧と同じか低いものとする。
その後、図8(C)に示すように、再度、測定をおこなう。予定通りにしきい値電圧が増加していることが良品の条件の一つである。この段階では、しきい値電圧に異常のあるチップは不良品として、再度、電子注入をおこなってもよい。良品は、ダイシング、樹脂封止後、パッケージ化して出荷する。
しきい値電圧の増加幅は電子捕獲層102が捕獲する電子密度によって決まる。例えば、図1(B)に示す半導体装置において、第1の絶縁層102aと第2の絶縁層102bの界面においてのみ電子が捕獲される場合、捕獲された電子の面密度をQ、第1の絶縁層の誘電率をCとするとき、しきい値電圧は、Q/Cだけ増加する。
なお、上記のようにゲート電極103の電位によって、捕獲される電子の量が一定の値になることから、ゲート電極103の電位によって、しきい値電圧の増加分を制御することもできる。
例えば、ゲート電極103の電位を、ソース電極とドレイン電極の電位より1.5Vだけ高くし、温度を150℃乃至250℃、代表的には200℃±20℃とする場合を考える。電子捕獲層102に電子が捕獲される前の半導体装置のしきい値電圧(第1のしきい値電圧、Vth1)が1.1Vであったとすると、当初は、半導体層101にチャネルが形成されており、電子捕獲層102に電子が捕獲される。その後、電子捕獲層102に捕獲される電子の量が増加し、チャネルが消失する。この段階で、電子捕獲層102での電子の捕獲は行われなくなる。
この場合には、ゲート電極103の電位が、ソース電極、ドレイン電極より1.5V高い段階でチャネルが消失するので、しきい値電圧が、1.5Vとなる。あるいは、電子捕獲層102に捕獲された電子によって、しきい値電圧が、0.4Vだけ高くなったと言える。このように電子捕獲層102に捕獲された電子によって変化した後のしきい値電圧を第2のしきい値電圧(Vth2)という。
このような特性を用いれば、もともと相当なばらつきのあった複数の半導体装置のしきい値電圧を適切な範囲内に収束させることもできる。例えば、第1のしきい値電圧が1.2V、1.1V、0.9Vである3つの半導体装置があるとする。これらの半導体装置に、上記の条件で処理をおこなえば、それぞれの半導体装置のしきい値電圧が1.5Vを大きく超えるような電子の捕獲は生じないので、3つの半導体装置とも第2のしきい値電圧を1.5V付近とすることができる。この場合、これら3つの半導体装置の電子捕獲層102に捕獲される電子の量(あるいは電子の面密度等)は異なる。
ゲート電極103は各種の材料を用いることができる。例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、TaおよびWなどの導電層を用いることができる。また、当該ゲート電極は、上記材料の積層であってもよい。また、ゲート電極103には、窒素を含んだ導電層を用いてもよい。たとえば、ゲート電極103に窒化チタン層上にタングステン層の積層、窒化タングステン層上にタングステン層の積層、窒化タンタル層上にタングステン層の積層などを用いることができる。
なお、半導体層101に対向するゲート電極103の仕事関数は、半導体装置のしきい値電圧を決定する要因のひとつであり、一般に、仕事関数が小さい材料であると、しきい値電圧が小さくなる。しかしながら、上述のように、電子捕獲層102に捕獲する電子の量によりしきい値電圧を調整できるので、ゲート電極103の材料の選択の幅が広がる。
半導体層101は各種の材料を用いることができる。例えば、シリコンやゲルマニウム、シリコンゲルマニウム以外に、後述する各種酸化物半導体を用いることができる。
電子捕獲層102は各種の材料を用いることができる。例えば、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどを一種以上含む絶縁層を用いることができる。
また、電子捕獲層102が積層構造の場合、第1の絶縁層102aは、例えば、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。
第2の絶縁層102bは、例えば、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどを一種以上含む絶縁層を用いることができる。
第3の絶縁層102cは、例えば、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。
導電層102dは各種の材料を用いることができる。例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Pdなどの導電層を用いることができる。また、当該導電層102dは、上記材料の積層であってもよい。また、導電層102dには、窒素を含んだ導電層を用いてもよい。
特に仕事関数の高い材料として、白金、パラジウム等の白金族金属、窒化インジウム、窒化亜鉛、In−Zn系酸窒化物、In−Ga系酸窒化物、In−Ga−Zn系酸窒化物等の窒化物等を用いるとよい。
絶縁体102eは各種の材料を用いることができる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタルを用いることができる。
このように電子捕獲層102に必要な量の電子を捕獲させた半導体装置は、しきい値電圧が特定の値であること以外は、通常のMOS型半導体装置と同じである。すなわち、電子捕獲層102はゲート絶縁層として機能する。
なお、電子捕獲層102に電子を捕獲せしめる処理は、上記に限らず、例えば、半導体装置のソース電極あるいはドレイン電極に接続する配線メタルの形成後、あるいは、前工程(ウェハー処理)の終了後、あるいは、ウェハーダイシング工程後、パッケージ後等、工場出荷前のいずれかの段階でおこなうとよい。いずれの場合にも、その後に125℃以上の温度に1時間以上さらされないことが好ましい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。なお、以下では、主として、トップゲート構造のトランジスタ(基板とゲート電極の間に半導体層が存在するトランジスタ)について説明するが、ボトムゲート構造のトランジスタ(基板と半導体層の間にゲート電極が存在するトランジスタ)であってもよい。また、第1のゲート電極と第2のゲート電極とを有し、基板と半導体層の間に第1のゲート電極を、第1のゲート電極と第2のゲート電極の間に半導体層を有するトランジスタでもよい。
図9(A)乃至図9(C)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図9(A)は上面図であり、図9(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図9(B)、一点鎖線C−Dの断面が図9(C)に相当する。なお、図9(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向、一点鎖線C−D方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
図9(A)乃至図9(C)に示すトランジスタ450は、基板400と、基板400上の凹部および凸部を有する下地絶縁層402と、下地絶縁層402の凸部上の酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404bと、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404b上のソース電極406aおよびドレイン電極406bと、下地絶縁層402の凹部、下地絶縁層402の凸部(または凹部)の側面、酸化物半導体層404aの側面、酸化物半導体層404bの側面および酸化物半導体層404bの上面、ソース電極406aおよびドレイン電極406bと接する酸化物半導体層404cと、酸化物半導体層404c上のゲート絶縁層408と、ゲート絶縁層408上で接し、酸化物半導体層404bの上面および側面に面するゲート電極410と、ソース電極406a、ドレイン電極406b、およびゲート電極410上の酸化物絶縁層412と、を有する。
また、ゲート絶縁層408は、実施の形態1の図1で述べた電子捕獲層として機能する。ここでは、ゲート絶縁層408は、CVD法によって形成された絶縁層(実施の形態1の第1の絶縁層102a)の上にスパッタリング法によって形成された絶縁層(実施の形態1の第2の絶縁層102b)、その上にCVD法によって形成された絶縁層(実施の形態1の第3の絶縁層102c)の積層であるとする。しかし、単一の形成方法(あるいは形成条件)で形成された絶縁層であっても、2つの異なる形成方法(あるいは形成条件)で形成された2層の積層であってもよい。例えば、図10(A)乃至図10(C)に示すトランジスタであってもよい。
なお、同じ構成元素を有する絶縁層の積層であると、一般にはその界面を認識することは困難である。
また、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、および酸化物半導体層404cを総称して多層半導体層404と呼称する。
ゲート絶縁層408に用いる材料を比誘電率が大きいものにすると、ゲート絶縁層408を厚くすることができる。たとえば、比誘電率が16の酸化ハフニウムを用いることにより、比誘電率が3.9の酸化シリコンを用いる場合に比べて約4倍厚くすることが可能である。このため、捕獲された電子の流出を防止する上で好ましい。なお、ゲート絶縁層408の膜厚は、1nm以上100nm以下、代表的には5nm以上20nm以下である。
なお、チャネル長とは、上面図において、半導体層とゲート電極とが重なる領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との距離をいう。すなわち、図9(A)では、チャネル長は、酸化物半導体層404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとの距離となる。チャネル幅とは、半導体層とゲート電極とが重なる領域における、ソースまたはドレインの幅をいう。すなわち、図9(A)では、チャネル幅は、酸化物半導体層404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aまたはドレイン電極406bの幅をいう。
ゲート絶縁層408を電子捕獲層として機能させることで、実施の形態1で述べたようにその内部に存在する電子捕獲準位に電子を捕獲することができる。このとき、電子捕獲準位に捕獲される電子の量はゲート電極410の電位により制御できる。
ゲート電極410の電位によって、捕獲される電子の量が一定の値になるため、しきい値電圧の増加幅を制御することができる。
また、ゲート電極410は、酸化物半導体層404bを電気的に取り囲み、オン電流が高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。なお、s−channel構造では、電流は酸化物半導体層404bの全体(バルク)を流れる。酸化物半導体層404bの内部を電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくいため、高いオン電流を得ることができる。なお、酸化物半導体層404bを厚くすると、オン電流を向上させることができる。
また、トランジスタのチャネル長およびチャネル幅を微細化するとき、レジストマスクを後退させながら電極や半導体層等を加工すると電極や半導体層等の上端部が丸みを帯びる(曲面を有する)場合がある。このような構成になることで、酸化物半導体層404b上に形成されるゲート絶縁層408、ゲート電極410および酸化物絶縁層412の被覆性を向上させることができる。また、ソース電極406aおよびドレイン電極406bの端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。
また、トランジスタを微細化することで、集積度を高め、高密度化することができる。例えば、トランジスタのチャネル長を100nm以下、好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とし、かつ、トランジスタのチャネル幅を100nm以下、好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とする。本発明の一態様に係るトランジスタは、チャネル幅が上記のように縮小していても、s−channel構造を有することでオン電流を高めることができる。
基板400は、単なる支持材料に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ450のゲート電極410、ソース電極406a、およびドレイン電極406bの少なくとも一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
下地絶縁層402は、基板400からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、多層半導体層404に酸素を供給する役割を担うことができる。また、上述のように基板400が他のデバイスが形成された基板である場合、下地絶縁層402は、層間絶縁層としての機能も有する。その場合、下地絶縁層402の表面には凹凸が形成されるため、表面が平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
また、トランジスタ450のチャネルが形成される領域において多層半導体層404は、基板400側から酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cが積層された構造を有している。また、酸化物半導体層404bは、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cで取り囲まれている構造となっている。また、図9(C)に示すようにゲート電極410は、酸化物半導体層404bを電気的に取り囲む構造になっている。
ここで、一例としては、酸化物半導体層404bには、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cは、酸化物半導体層404bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層404bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
このような構造において、ゲート電極410に電界を印加すると、多層半導体層404のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層404bにチャネルが形成される。すなわち、酸化物半導体層404bとゲート絶縁層408との間に酸化物半導体層404cが形成されていることよって、トランジスタのチャネルがゲート絶縁層408と接しない領域に形成される構造となる。
また、酸化物半導体層404aは、酸化物半導体層404bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層404bと下地絶縁層402が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層404bと酸化物半導体層404aの界面に界面準位を形成しにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層404aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、酸化物半導体層404cは、酸化物半導体層404bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層404bとゲート絶縁層408が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層404bと酸化物半導体層404cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層404cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cには、例えば、Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層404bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cは酸化物半導体層404bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
なお、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層404aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体層404bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体層404cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層404bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2の3倍未満であることが好ましい。
酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また、酸化物半導体層404bのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体層404bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体層404bは、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cより厚い方が好ましい。
酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cには、例えば、インジウム、亜鉛およびガリウムを含んだ酸化物半導体を用いることができる。特に、酸化物半導体層404bにインジウムを含ませると、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
なお、酸化物半導体層を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1017/cm3未満であること、好ましくは1×1015/cm3未満であること、さらに好ましくは1×1013/cm3未満であることを指す。
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析において、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする部分を有していることが好ましい。また、水素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする部分を有していることが好ましい。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする部分を有していることが好ましい。
また、酸化物半導体層が結晶を含む場合、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする部分を有していればよい。また、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする部分を有していればよい。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
次に、多層半導体層404のバンド構造を説明する。バンド構造の解析は、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cに相当する層としてエネルギーギャップが3.5eVであるIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体層404bに相当する層としてエネルギーギャップが3.15eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用い、多層半導体層404に相当する積層を作製して行っている。
酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cの膜厚はそれぞれ10nmとし、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定した。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定した。
図11(A)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差と、各層のエネルギーギャップとの差分として算出される真空準位と伝導帯下端のエネルギー差(電子親和力)から模式的に示されるバンド構造の一部である。図11(A)は、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cと接して、酸化シリコン層を設けた場合のバンド図である。ここで、Evacは真空準位のエネルギー、EcI1は、ゲート絶縁層408(例えば、酸化ハフニウム)の伝導帯下端のエネルギー、EcS1は酸化物半導体層404aの伝導帯下端のエネルギー、EcS2は酸化物半導体層404bの伝導帯下端のエネルギー、EcS3は酸化物半導体層404cの伝導帯下端のエネルギー、EcI2は下地絶縁層402(例えば、酸化シリコン)の伝導帯下端のエネルギーである。
図11(A)に示すように、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cを構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cは組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
主成分を共通として積層された多層半導体層404は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された多層半導体層の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
なお、図11(A)では、EcS1とEcS3が同様である場合について示したが、それぞれが異なっていてもよい。例えば、EcS3よりもEcS1が高いエネルギーを有する場合、バンド構造の一部は、図11(B)のように示される。
例えば、EcS1=EcS3である場合は、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cにIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:6:4または1:9:6(原子数比)、酸化物半導体層404bにIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2(原子数比)のIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。また、EcS1>EcS3である場合は、酸化物半導体層404aにIn:Ga:Zn=1:6:4または1:9:6(原子数比)、酸化物半導体層404bにIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2(原子数比)、酸化物半導体層404cにIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4(原子数比)のIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。
図11(A)、図11(B)より、多層半導体層404における酸化物半導体層404bがウェル(井戸)となり、多層半導体層404を用いたトランジスタにおいて、チャネルが酸化物半導体層404bに形成されることがわかる。なお、多層半導体層404は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
なお、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cと、電子親和力の大きく異なる絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因した捕獲準位が形成され得る。酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cがあることにより、酸化物半導体層404bと当該捕獲準位とを遠ざけることができる。ただし、EcS1またはEcS3と、EcS2とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体層404bの電子が該エネルギー差を越えて捕獲準位に達することがある。電子が捕獲準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、EcS1およびEcS3と、EcS2との間にエネルギー差を設けることが必要となる。それぞれの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好ましく、0.15eV以上がより好ましい。
なお、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
なお、多層半導体層404にIn−Ga−Zn酸化物を用いる場合は、Inのゲート絶縁層への拡散を防ぐために、酸化物半導体層404cは酸化物半導体層404bよりもInが少ない組成とすることが好ましい。
ソース電極406aおよびドレイン電極406bには、酸素と結合し得る導電材料を用いることが好ましい。例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wなどを用いることができる。上記材料において、特に酸素と結合し易いTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。なお、酸素と結合し得る導電材料には、酸素が拡散し得る材料も含まれる。
酸素と結合し得る導電材料と多層半導体層を接触させると、多層半導体層中の酸素が、酸素と結合し得る導電材料側に拡散する現象が起こる。当該現象は、温度が高いほど顕著に起こる。トランジスタの作製工程には、いくつかの加熱工程があることから、上記現象により、多層半導体層のソース電極またはドレイン電極と接触した近傍の領域に酸素欠損が発生し、層中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域はn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソース領域またはドレイン領域として作用させることができる。
なお、チャネル長が極短いトランジスタを形成する場合、上記酸素欠損の発生によってn型化した領域がトランジスタのチャネル長方向に延在することで短絡してしまうことがある。この場合、トランジスタの電気特性には、しきい値電圧のシフトにより、実用的なゲート電圧でオンオフの制御ができない状態(導通状態)が現れる。そのため、チャネル長が極短いトランジスタを形成する場合は、ソース電極およびドレイン電極に酸素と結合し得る導電材料を用いることが必ずしも好ましいとはいえない場合がある。
このような場合にはソース電極406aおよびドレイン電極406bには、上述した材料よりも酸素と結合しにくい導電材料を用いることが好ましい。当該導電材料としては、例えば、窒化タンタル、窒化チタン、またはルテニウムを含む材料などを用いることができる。なお、当該導電材料が酸化物半導体層404bと接触する場合は、ソース電極406aおよびドレイン電極406bを、当該導電材料と前述した酸素と結合し得る導電材料を積層する構成としてもよい。
下地絶縁層402には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、ゲート絶縁層408には、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケートなどを一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、ゲート絶縁層の膜厚は、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下である。
ゲート電極410は、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、TaおよびWなどの導電層を用いることができる。また、当該ゲート電極は、上記材料の積層であってもよい。また、ゲート電極410には、窒素を含んだ導電層を用いてもよい。たとえば、ゲート電極410に窒化チタン層上にタングステン層の積層、窒化タングステン層上にタングステン層の積層、窒化タンタル層上にタングステン層の積層などを用いることができる。
ゲート絶縁層408およびゲート電極410上には酸化物絶縁層412が形成されていてもよい。当該酸化物絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、当該酸化物絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
ここで、酸化物絶縁層412は過剰酸素を有することが好ましい。過剰酸素を含む酸化物絶縁層とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化物絶縁層をいう。好ましくは、昇温脱離ガス分光法分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である層とする。なお、上記昇温脱離ガス分光法分析時における基板温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。当該酸化物絶縁層から放出される酸素はゲート絶縁層408を経由して多層半導体層404のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に酸素欠損が形成された場合においても酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、チャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
しかしながら、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように、酸化物半導体層404bのチャネルが形成される領域を覆うように酸化物半導体層404cが形成されており、チャネルが形成される領域とゲート絶縁層が接しない構成となっている。そのため、チャネルが形成される領域とゲート絶縁層との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
また、酸化物半導体層を真性または実質的に真性とすると、酸化物半導体層に含まれるキャリア数の減少により、電界効果移動度の低下が懸念される。しかしながら、本発明の一態様のトランジスタにおいては、酸化物半導体層に垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、酸化物半導体層の全体的にゲート電界が印加させることとなり、電流は酸化物半導体層のバルクを流れる。これによって、高純度真性化による、電気特性の変動の抑制を達成しつつ、トランジスタの電界効果移動度の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、酸化物半導体層404bを酸化物半導体層404a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果や、酸化物半導体層404bを三層構造の中間層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、酸化物半導体層404bは酸化物半導体層404aと酸化物半導体層404cで取り囲まれた構造となり、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値を小さくすることができる。したがって、Icutを下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
また、図12に示すトランジスタ470を用いることもできる。図12(A)乃至図12(C)は、トランジスタ470の上面図および断面図である。図12(A)は上面図であり、図12(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図12(B)、一点鎖線C−Dの断面が図12(C)に相当する。なお、図12(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタ470は、ソース電極406aおよびドレイン電極406bを形成したとき、下地絶縁層402がエッチングされていない形状となっている。
オーバーエッチングにより、下地絶縁層402をエッチングさせないようにするには、下地絶縁層402のエッチングレートを、ソース電極406aおよびドレイン電極406bとなる導電層のエッチングレートより十分小さくすればよい。
また、本実施の形態では、酸化物半導体層404bを酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cで挟んでいる構成であったがこれに限られず、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cを有さず酸化物半導体層404bのみがゲート電極に電気的に取り囲まれている構成としてもよい。
なお、ここでは電子捕獲層の内部に存在する電子捕獲準位に電子を捕獲する説明をしたがこれに限られず、電子捕獲準位を実施の形態1で説明した微小導電性領域に置き換えることも可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で説明した図9に示すトランジスタ450の作製方法について、図13および図14を用いて説明する。
まず、基板400上に下地絶縁層402を形成する(図13(A)参照)。
基板400には、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを用いてもよい。
下地絶縁層402は、プラズマCVD法またはスパッタリング法等により、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁層、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁層、または上記材料を混合した層を用いて形成することができる。また、上記材料の積層であってもよく、少なくとも多層半導体層404と接する上層は多層半導体層404への酸素の供給源となりえる過剰な酸素を含む材料で形成することが好ましい。
なお、下地絶縁層402にイオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて酸素を添加してもよい。酸素を添加することによって、下地絶縁層402から多層半導体層404への酸素の供給をさらに容易にすることができる。
なお、基板400の表面が絶縁体であり、後に設ける多層半導体層404への不純物拡散の影響が無い場合は、下地絶縁層402を設けない構成とすることができる。
次に、下地絶縁層402上に酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404bをスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成する(図13(B)参照)。このとき、図示するように下地絶縁層402を若干過度にエッチングしてもよい。下地絶縁層402を過度にエッチングすることで、後に形成するゲート電極410で酸化物半導体層404cを覆いやすくすることができる。
なお、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404bを島状に形成する際に、まず、酸化物半導体層404b上にハードマスクとなる層(たとえばタングステン層)およびレジストマスクを設け、ハードマスクとなる層をエッチングしてハードマスクを形成し、その後、レジストマスクを除去し、ハードマスクをマスクとして酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404bをエッチングする。その後、ハードマスクを除去する。この時、エッチングするにつれて徐々にハードマスクが縮小していくため、自然にハードマスクの端部が丸みを帯び、曲面を有する。これに伴い、酸化物半導体層404bの形状も上端部が丸みを帯び、曲面を有する。このような構成になることで、酸化物半導体層404b上に形成される、酸化物半導体層404c、ゲート絶縁層408、ゲート電極410、酸化物絶縁層412の被覆性が向上し、段切れ等の形状不良の発生を防ぐことができる。また、ソース電極406aおよびドレイン電極406bの端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。
また、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404bの積層、および後の工程で形成する酸化物半導体層404cを含めた積層において連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の形成装置(例えばスパッタリング装置)を用いて各層を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Pa乃至1×10−4Pa程度まで)できること、かつ、形成される基板を100℃以上、好ましくは500℃以上に加熱できることが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に炭素成分や水分等を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度真性酸化物半導体を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタリングガスの高純度化も必要である。スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体層に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、および後の工程で形成される酸化物半導体層404cには、実施の形態2で説明した材料を用いることができる。例えば、酸化物半導体層404aにIn:Ga:Zn=1:3:4または1:3:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体層404bにIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体層404cにIn:Ga:Zn=1:3:4または1:3:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。
また、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した層をIGZO層とも呼ぶ。
また、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、MnおよびCoから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
ただし、実施の形態2に詳細を記したように、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cは、酸化物半導体層404bよりも電子親和力が小さくなるように材料を選択する。
なお、酸化物半導体層の形成には、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。特に、形成時に発生するゴミを低減でき、かつ膜厚分布も均一とすることからDCスパッタリング法を用いることが好ましい。
酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cとしてIn−Ga−Zn酸化物を用いる場合、In、Ga、Znの原子数比としては、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:4:3、In:Ga:Zn=1:5:4、In:Ga:Zn=1:6:6、In:Ga:Zn=2:1:3、In:Ga:Zn=1:6:4、In:Ga:Zn=1:9:6、In:Ga:Zn=1:1:4、In:Ga:Zn=1:1:2のいずれかの材料を用い、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cの電子親和力が酸化物半導体層404bよりも小さくなるようにすればよい。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)2+(b−B)2+(c−C)2≦r2を満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
また、酸化物半導体層404bは、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがGaよりも多い組成となる酸化物はInがGaと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層404bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い移動度のトランジスタを実現することができる。
以下では、酸化物半導体層の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体層は、非単結晶酸化物半導体層と単結晶酸化物半導体層とに大別される。非単結晶酸化物半導体層とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)層、多結晶酸化物半導体層、微結晶酸化物半導体層、非晶質酸化物半導体層などをいう。
まずは、CAAC−OS層について説明する。
CAAC−OS層は、複数の結晶部を有する酸化物半導体層の一つであり、ほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。したがって、CAAC−OS層に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。
CAAC−OS層を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS層は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS層を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS層を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS層の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS層を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS層の結晶部は配向性を有していることがわかる。
CAAC−OS層に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS層のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS層の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS層に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体層であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS層の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS層では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。したがって、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS層を形成した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS層の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。したがって、例えば、CAAC−OS層の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS層の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS層中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS層の結晶部が、CAAC−OS層の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAAC−OS層に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS層のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS層中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS層は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS層は、不純物濃度の低い酸化物半導体層である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体層の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体層を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体層から酸素を奪うことで酸化物半導体層の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体層内部に含まれると、酸化物半導体層の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体層に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS層は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体層である。例えば、酸化物半導体層中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体層は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体層を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体層は、キャリア捕獲が少ない。そのため、当該酸化物半導体層を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体層のキャリア捕獲に捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体層を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS層を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体層について説明する。
微結晶酸化物半導体層は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体層に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体層を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)層と呼ぶ。また、nc−OS層は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS層は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS層は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、層全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS層は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体層と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS層に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS層に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS層に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS層に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS層に対しナノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS層は、非晶質酸化物半導体層よりも規則性の高い酸化物半導体層である。そのため、nc−OS層は、非晶質酸化物半導体層よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS層は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS層は、CAAC−OS層と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体層は、例えば、非晶質酸化物半導体層、微結晶酸化物半導体層、CAAC−OS層のうち、二種以上を有する積層であってもよい。
CAAC−OS層は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用い、スパッタリング法によって形成することができる。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状またはペレット状のスパッタリング粒子は帯電しているためプラズマ中で凝集せず、結晶状態を維持したまま基板に到達し、CAAC−OS層を形成することができる。
酸化物半導体層404bの形成後に、第1の加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体層404bの結晶性を高め、さらに下地絶縁層402、酸化物半導体層404aから水素や水などの不純物を除去することができる。なお、酸化物半導体層404bを形成するエッチングの前に第1の加熱工程を行ってもよい。
次に、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404b上にソース電極406aおよびドレイン電極406bとなる第1の導電層を形成する。第1の導電層としては、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。例えば、スパッタリング法などにより100nmのチタン層を形成する。またCVD法によりタングステン層を形成してもよい。
次に、第1の導電層を酸化物半導体層404b上で分断するようにエッチングし、ソース電極406aおよびドレイン電極406bを形成する(図13(C)参照)。
次に、酸化物半導体層404b、ソース電極406aおよびドレイン電極406b上に、酸化物半導体層403cを形成する。
なお、酸化物半導体層403cを形成後に第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件で行うことができる。第2の加熱処理により、酸化物半導体層403cから水素や水などの不純物を除去することができる。また、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404bから、さらに水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、酸化物半導体層403c上にゲート絶縁層408となる絶縁層407を形成する(図14(A)参照)。絶縁層407は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。
次に、絶縁層407上にゲート電極410となる第2の導電層409を形成する(図14(B)参照)。第2の導電層409としては、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Ta、W、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。第2の導電層409は、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。また、第2の導電層409としては、窒素を含んだ導電層を用いてもよく、上記材料を含む導電層と窒素を含んだ導電層の積層を用いてもよい。
次に、ゲート電極410を形成するためのレジストマスクを用いて、第2の導電層409を選択的にエッチングし、ゲート電極410を形成する(図14(C)参照)。なお、図9(C)に示すように、ゲート電極410は、酸化物半導体層404bを電気的に取り囲むように形成される。
次に、上記レジストマスクまたはゲート電極410をマスクとして絶縁層407を選択的にエッチングし、ゲート絶縁層408を形成する。
次に、上記レジストマスクまたはゲート電極410をマスクとして酸化物半導体層403cをエッチングし、酸化物半導体層404cを形成する。
つまり、酸化物半導体層404cの上端部はゲート絶縁層408の下端部と一致し、ゲート絶縁層408の上端部はゲート電極410の下端部と一致する。なお、ゲート電極410をマスクとしてゲート絶縁層408および酸化物半導体層404cを形成しているがこれに限られず、第2の導電層409の形成前にゲート絶縁層408および酸化物半導体層404cを形成してもよい。
次に、ソース電極406a、ドレイン電極406b、ゲート電極410上に酸化物絶縁層412を形成する(図9(B)、図9(C)参照)。酸化物絶縁層412は、下地絶縁層402と同様の材料、方法を用いて形成することができる。酸化物絶縁層412としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、もしくは窒素を含む上記の酸化物を用いるとよい。酸化物絶縁層412は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いてで形成することができ、多層半導体層404に対し酸素を供給できるよう過剰に酸素を含む層とすることが好ましい。
次に、第3の加熱処理を行ってもよい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件で行うことができる。第3の加熱処理により、下地絶縁層402、ゲート絶縁層408、酸化物絶縁層412から過剰酸素が放出されやすくなり、多層半導体層404の酸素欠損を低減することができる。
次に、第4の加熱処理を行う。第4の加熱処理は、125℃以上450℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下の温度で、ゲート電極410の電位をソースやドレインの電位より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、多層半導体層404からゲート電極410に向かって、必要とする電子が移動し、そのうちのいくらかはゲート絶縁層408の内部あるいは界面にある電子捕獲準位に捕獲される。このようにして、捕獲される電子の量を制御して、しきい値電圧の増加幅を制御することができる。
以上の工程で、図9に示すトランジスタ450を作製することができる。
なお、ここでは電子捕獲層の内部に存在する電子捕獲準位に電子を捕獲する説明をしたがこれに限られず、電子捕獲準位を実施の形態1で説明した微小導電性領域に置き換えることも可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、プレナー構造のトランジスタについて説明する。
図15(A)乃至図15(C)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図15(A)は上面図であり、図15(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図15(B)、一点鎖線C−Dの断面が図15(C)に相当する。なお、図15(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向、一点鎖線C−D方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
図15(A)乃至図15(C)に示すトランジスタ550は、基板400上の下地絶縁層402と、下地絶縁層402上の酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404bおよび酸化物半導体層404cと、酸化物半導体層404c上のゲート絶縁層408と、ゲート絶縁層408上のゲート電極410と、ゲート絶縁層408及びゲート電極410上の絶縁層411、酸化物絶縁層412と、絶縁層411及び酸化物絶縁層412に設けられた開口を介して酸化物半導体層404cと電気的に接続するソース電極406a及びドレイン電極406bと、を有する。また、ゲート絶縁層408は、実施の形態1で述べた電子捕獲層として機能する。また、絶縁層411は下地絶縁層402と同様の材料を用いることができる。また、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、および酸化物半導体層404cを総称して多層半導体層404と呼称する。
なお、チャネル長とは、上面図において、半導体層とゲート電極とが重なる領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との距離をいう。すなわち、図15(A)では、チャネル長は、酸化物半導体層404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとの距離となる。チャネル幅とは、半導体層とゲート電極とが重なる領域における、ソースまたはドレインの幅をいう。すなわち、図15(A)では、チャネル幅は、酸化物半導体層404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aまたはドレイン電極406bの幅をいう。
また、本実施の形態では、酸化物半導体層404bを酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cで挟んでいる構成であったがこれに限られず、酸化物半導体層404aおよび酸化物半導体層404cを有さず酸化物半導体層404bのみがある構成としてもよい。あるいは、酸化物半導体層404a、酸化物半導体層404b、酸化物半導体層404cのいずれか1つあるいいは2つだけで構成されてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、CAAC−OS及びnc−OSの成膜モデルについて説明する。
図25(A)は、スパッタリング法によりCAAC−OSが成膜される様子を示した成膜室内の模式図である。
ターゲット230は、バッキングプレート上に接着されている。ターゲット230およびバッキングプレート下には、複数のマグネットが配置される。該複数のマグネットによって、ターゲット230上には磁場が生じている。マグネットの磁場を利用して成膜速度を高めるスパッタリング法は、マグネトロンスパッタリング法と呼ばれる。
ターゲット230は、多結晶構造を有し、いずれかの結晶粒には劈開面が含まれる。なお、劈開面の詳細については後述する。
基板220は、ターゲット230と向かい合うように配置しており、その距離d(ターゲット−基板間距離(T−S間距離)ともいう。)は0.01m以上1m以下、好ましくは0.02m以上0.5m以下とする。成膜室内は、ほとんどが成膜ガス(例えば、酸素、アルゴン、または酸素を50体積%以上の割合で含む混合ガス)で満たされ、0.01Pa以上100Pa以下、好ましくは0.1Pa以上10Pa以下に制御される。ここで、ターゲット230に一定以上の電圧を印加することで、放電が始まり、プラズマが確認される。なお、ターゲット230上の磁場によって、高密度プラズマ領域が形成される。高密度プラズマ領域では、成膜ガスがイオン化することで、イオン201が生じる。イオン201は、例えば、酸素の陽イオン(O+)やアルゴンの陽イオン(Ar+)などである。
イオン201は、電界によってターゲット230側に加速され、やがてターゲット230と衝突する。このとき、劈開面から平板状のスパッタ粒子であるペレット200aおよびペレット200bが剥離し、叩き出される。なお、ペレット200aおよびペレット200bは、イオン201の衝突の衝撃によって、構造に歪みが生じる場合がある。
ペレット200aは、三角形、例えば正三角形の平面を有する平板状のスパッタ粒子である。また、ペレット200bは、六角形、例えば正六角形の平面を有する平板状のスパッタ粒子である。なお、ペレット200aおよびペレット200bなどの平板状のスパッタ粒子を総称してペレット200と呼ぶ。ペレット200の平面の形状は、三角形、六角形に限定されない、例えば、三角形が2個以上6個以下合わさった形状となる場合がある。例えば、三角形(正三角形)が2個合わさった四角形(ひし形)となる場合もある。
ペレット200は、成膜ガスの種類などに応じて厚さが決定する。理由は後述するが、ペレット200の厚さは、均一にすることが好ましい。また、スパッタ粒子は厚みのないペレット状である方が、厚みのあるサイコロ状であるよりも好ましい。
ペレット200は、プラズマを通過する際に電荷を受け取ることで、側面が負または正に帯電する場合がある。ペレット200は、側面に酸素原子を有し、当該酸素原子が負に帯電する可能性がある。例えば、ペレット200aが、側面に負に帯電した酸素原子を有する例を図27に示す。このように、側面が同じ極性の電荷を帯びることにより、電荷同士の反発が起こり、平板状の形状を維持することが可能となる。なお、CAAC−OSが、In−Ga−Zn酸化物である場合、インジウム原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。または、インジウム原子、ガリウム原子または亜鉛原子と結合した酸素原子が負に帯電する可能性がある。
図25(A)に示すように、例えば、ペレット200は、プラズマ中を凧のように飛翔し、ひらひらと基板220上まで舞い上がっていく。ペレット200は電荷を帯びているため、ほかのペレット200が既に堆積している領域が近づくと、斥力が生じる。ここで、基板220の上面では、基板220の上面に平行な向きの磁場が生じている。また、基板220およびターゲット230間には、電位差が与えられているため、基板220からターゲット230に向けて電流が流れている。したがって、ペレット200は、基板220の上面において、磁場および電流の作用によって、力(ローレンツ力)を受ける(図28参照。)。このことは、フレミングの左手の法則によって理解できる。なお、ペレット200に与える力を大きくするためには、基板220の上面において、基板220の上面に平行な向きの磁場が10G以上、好ましくは20G以上、さらに好ましくは30G以上、より好ましくは50G以上となる領域を設けるとよい。または、基板220の上面において、基板220の上面に平行な向きの磁場が、基板220の上面に垂直な向きの磁場の1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上となる領域を設けるとよい。
また、基板220は加熱されており、ペレット200と基板220との間で摩擦などの抵抗が小さい状態となっている。その結果、図29(A)に示すように、ペレット200は、基板220の上面を滑空するように移動する。ペレット200の移動は、平板面を基板220に向けた状態で起こる。その後、図29(B)に示すように、既に堆積しているほかのペレット200の側面まで到達すると、側面同士が結合する。このとき、ペレット200の側面にある酸素原子が脱離する。脱離した酸素原子によって、CAAC−OS中の酸素欠損が埋まる場合があるため、欠陥準位密度の低いCAAC−OSとなる。
また、ペレット200が基板220上で加熱されることにより、原子が再配列し、イオン201の衝突で生じた構造の歪みが緩和される。歪みの緩和されたペレット200は、ほぼ単結晶となる。ペレット200がほぼ単結晶となることにより、ペレット200同士が結合した後に加熱されたとしても、ペレット200自体の伸縮はほとんど起こり得ない。したがって、ペレット200間の隙間が広がることで結晶粒界などの欠陥を形成し、クレバス化することがない。また、隙間には、伸縮性のある金属原子などが敷き詰められ、向きのずれたペレット200同士の側面を高速道路のように繋いでいると考えられる。
以上のようなモデルにより、ペレット200が基板220上に堆積していくと考えられる。したがって、エピタキシャル成長とは異なり、被形成面が結晶構造を有さない場合においても、CAAC−OSの成膜が可能であることがわかる。例えば、基板220の上面(被形成面)の構造が非晶質構造であっても、CAAC−OSを成膜することは可能である。
また、CAAC−OSは、平坦面に対してだけでなく、被形成面である基板220の上面に凹凸がある場合でも、その形状に沿ってペレット200が配列することがわかる。例えば、基板220の上面が原子レベルで平坦な場合、ペレット200はab面と平行な平面である平板面を下に向けて並置するため、厚さが均一で平坦、かつ高い結晶性を有する層が形成される。そして、当該層がn段(nは自然数。)積み重なることで、CAAC−OSを得ることができる(図25(B)参照。)。
一方、基板220の上面が凹凸を有する場合でも、CAAC−OSは、ペレット200が凸面に沿って並置した層がn段(nは自然数。)積み重なった構造となる。基板220が凹凸を有するため、CAAC−OSは、ペレット200間に隙間が生じやすい場合がある。ただし、ペレット200間で分子間力が働き、凹凸があってもペレット間の隙間はなるべく小さくなるように配列する。したがって、凹凸があっても高い結晶性を有するCAAC−OSとすることができる(図25(C)参照。)。
したがって、CAAC−OSは、レーザ結晶化が不要であり、大面積のガラス基板などであっても均一な成膜が可能である。
このようなモデルによってCAAC−OSが成膜されるため、スパッタ粒子が厚みのないペレット状である方が好ましい。なお、スパッタ粒子が厚みのあるサイコロ状である場合、基板220上に向ける面が一定とならず、厚さや結晶の配向を均一にできない場合がある。
以上に示した成膜モデルにより、非晶質構造を有する被形成面上であっても、高い結晶性を有するCAAC−OSを得ることができる。
また、CAAC−OSは、ペレット200のほかに酸化亜鉛粒子を有する成膜モデルによっても説明することができる。
酸化亜鉛粒子は、ペレット200よりも質量が小さいため、先に基板220に到達する。基板220の上面において、酸化亜鉛粒子は、水平方向に優先的に結晶成長することで薄い酸化亜鉛層を形成する。該酸化亜鉛層は、c軸配向性を有する。なお、該酸化亜鉛層の結晶のc軸は、基板220の法線ベクトルに平行な方向を向く。該酸化亜鉛層は、CAAC−OSを成長させるためのシード層の役割を果たすため、CAAC−OSの結晶性を高める機能を有する。なお、該酸化亜鉛層は、厚さが0.1nm以上5nm以下、ほとんどが1nm以上3nm以下となる。該酸化亜鉛層は十分薄いため、結晶粒界をほとんど確認することができない。
したがって、結晶性の高いCAAC−OSを成膜するためには、化学量論的組成よりも高い割合で亜鉛を含むターゲットを用いることが好ましい。
同様に、nc−OSは、図26に示す成膜モデルによって理解することができる。なお、図26と図25(A)との違いは、基板220の加熱の有無のみである。
したがって、基板220は加熱されておらず、ペレット200と基板220との間で摩擦などの抵抗が大きい状態となっている。その結果、ペレット200は、基板220の上面を滑空するように移動することができないため、不規則に降り積もっていくことでnc−OSを得ることができる。
以下では、CAAC−OSの成膜モデルにおいて記載のターゲットの劈開面について説明する。
まずは、ターゲットの劈開面について図30を用いて説明する。図30に、InGaZnO4の結晶の構造を示す。なお、図30(A)は、c軸を上向きとし、b軸に平行な方向からInGaZnO4の結晶を観察した場合の構造を示す。また、図30(B)は、c軸に平行な方向からInGaZnO4の結晶を観察した場合の構造を示す。
InGaZnO4の結晶の各結晶面における劈開に必要なエネルギーを、第一原理計算により算出する。なお、計算には、擬ポテンシャルと、平面波基底を用いた密度汎関数プログラム(CASTEP)を用いる。なお、擬ポテンシャルには、ウルトラソフト型の擬ポテンシャルを用いる。また、汎関数には、GGA PBEを用いる。また、カットオフエネルギーは400eVとする。
初期状態における構造のエネルギーは、セルサイズを含めた構造最適化を行った後に導出する。また、各面で劈開後の構造のエネルギーは、セルサイズを固定した状態で、原子配置の構造最適化を行った後に導出する。
図30に示したInGaZnO4の結晶の構造をもとに、第1の面、第2の面、第3の面、第4の面のいずれかで劈開した構造を作製し、セルサイズを固定した構造最適化計算を行う。ここで、第1の面は、Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面である(図30(A)参照。)。第2の面は、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面である(図30(A)参照。)。第3の面は、(110)面に平行な結晶面である(図30(B)参照。)。第4の面は、(100)面(またはbc面)に平行な結晶面である(図30(B)参照。)。
以上のような条件で、各面で劈開後の構造のエネルギーを算出する。次に、劈開後の構造のエネルギーと初期状態における構造のエネルギーとの差を、劈開面の面積で除すことで、各面における劈開しやすさの尺度である劈開エネルギーを算出する。なお、構造のエネルギーは、構造に含まれる原子と電子に対して、電子の運動エネルギーと、原子間、原子−電子間、および電子間の相互作用と、を考慮したエネルギーである。
計算の結果、第1の面の劈開エネルギーは2.60J/m2、第2の面の劈開エネルギーは0.68J/m2、第3の面の劈開エネルギーは2.18J/m2、第4の面の劈開エネルギーは2.12J/m2であることがわかった(下表参照。)。
この計算により、図30に示したInGaZnO4の結晶の構造において、第2の面における劈開エネルギーが最も低くなる。即ち、Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間が最も劈開しやすい面(劈開面)であることがわかる。したがって、本明細書において、劈開面と記載する場合、最も劈開しやすい面である第2の面のことを示す。
Ga−Zn−O層とGa−Zn−O層との間である第2の面に劈開面を有するため、図30(A)に示すInGaZnO4の結晶は、二つの第2の面と等価な面で分離することができる。したがって、ターゲットにイオンなどを衝突させる場合、もっとも劈開エネルギーの低い面で劈開したウェハース状のユニット(我々はこれをペレットと呼ぶ。)が最小単位となって飛び出してくると考えられる。その場合、InGaZnO4のペレットは、Ga−Zn−O層、In−O層およびGa−Zn−O層の3層となる。
また、第1の面(Ga−Zn−O層とIn−O層との間の結晶面であり、(001)面(またはab面)に平行な結晶面)よりも、第3の面((110)面に平行な結晶面)、第4の面((100)面(またはbc面)に平行な結晶面)の劈開エネルギーが低いことから、ペレットの平面形状は三角形状または六角形状が多いことが示唆される。
次に、古典分子動力学計算により、ターゲットとしてホモロガス構造を有するInGaZnO4の結晶を仮定し、当該ターゲットをアルゴン(Ar)または酸素(O)によりスパッタした場合の劈開面について評価する。計算に用いたInGaZnO4の結晶(2688原子)の断面構造を図31(A)に、上面構造を図31(B)に示す。なお、図31(A)に示す固定層は、位置が変動しないよう原子の配置を固定した層である。また、図31(A)に示す温度制御層は、常に一定の温度(300K)とした層である。
古典分子動力学計算には、富士通株式会社製Materials Explorer5.0を用いる。なお、初期温度を300K、セルサイズを一定、時間刻み幅を0.01フェムト秒、ステップ数を1000万回とする。計算では、当該条件のもと、原子に300eVのエネルギーを与え、InGaZnO4の結晶のab面に垂直な方向からセルに原子を入射させる。
図32(A)は、図31に示したInGaZnO4の結晶を有するセルにアルゴンが入射してから99.9ピコ秒(psec)後の原子配列を示す。また、図32(B)は、セルに酸素が入射してから99.9ピコ秒後の原子配列を示す。なお、図32では、図31(A)に示した固定層の一部を省略して示す。
図32(A)より、アルゴンがセルに入射してから99.9ピコ秒までに、図30(A)に示した第2の面に対応する劈開面から亀裂が生じる。したがって、InGaZnO4の結晶に、アルゴンが衝突した場合、最上面を第2の面(0番目)とすると、第2の面(2番目)に大きな亀裂が生じることがわかる。
一方、図32(B)より、酸素がセルに入射してから99.9ピコ秒までに、図30(A)に示した第2の面に対応する劈開面から亀裂が生じることがわかる。ただし、酸素が衝突した場合は、InGaZnO4の結晶の第2の面(1番目)において大きな亀裂が生じることがわかる。
したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnO4の結晶を含むターゲットの上面から原子(イオン)が衝突すると、InGaZnO4の結晶は第2の面に沿って劈開し、平板状の粒子(ペレット)が剥離することがわかる。また、このとき、ペレットの大きさは、アルゴンを衝突させた場合よりも、酸素を衝突させた場合の方が小さくなることがわかる。
なお、上述の計算から、剥離したペレットは損傷領域を含むことが示唆される。ペレットに含まれる損傷領域は、損傷によって生じた欠陥に酸素を反応させることで修復できる場合がある。
そこで、衝突させる原子の違いによって、ペレットの大きさが異なることについて調査する。
図33(A)に、図31に示したInGaZnO4の結晶を有するセルにアルゴンが入射した後、0ピコ秒から0.3ピコ秒までにおける各原子の軌跡を示す。したがって、図33(A)は、図31から図32(A)の間の期間に対応する。
一方、図33(B)より、酸素が第1層(Ga−Zn−O層)のガリウム(Ga)と衝突すると、当該ガリウムが第3層(Ga−Zn−O層)の亜鉛(Zn)と衝突した後、当該亜鉛が第5層(In−O層)まで到達しないことがわかる。なお、ガリウムと衝突した酸素は、外に弾き飛ばされる。したがって、InGaZnO4の結晶を含むターゲットに酸素を衝突させた場合、図31(A)における第2の面(1番目)に亀裂が入ると考えられる。
本計算からも、InGaZnO4の結晶は、原子(イオン)が衝突した場合、劈開面から剥離することが示唆される。
また、亀裂の深さの違いを保存則の観点から検討する。エネルギー保存則および運動量保存則は、式(1)および式(2)のように示すことができる。ここで、Eは衝突前のアルゴンまたは酸素の持つエネルギー(300eV)、mAはアルゴンまたは酸素の質量、vAは衝突前のアルゴンまたは酸素の速度、v’Aは衝突後のアルゴンまたは酸素の速度、mGaはガリウムの質量、vGaは衝突前のガリウムの速度、v’Gaは衝突後のガリウムの速度である。
アルゴンまたは酸素の衝突が弾性衝突であると仮定すると、vA、v’A、vGaおよびv’Gaの関係は式(3)のように表すことができる。
式(1)、式(2)および式(3)より、vGaを0とすると、アルゴンまたは酸素が衝突した後のガリウムの速度v’Gaは、式(4)のように表すことができる。
式(4)において、mAにアルゴンの質量または酸素の質量を代入し、それぞれの原子が衝突した後のガリウムの速度を比較する。アルゴンおよび酸素の衝突前に持つエネルギーが同じである場合、アルゴンが衝突した場合の方が、酸素が衝突した場合よりも1.24倍ガリウムの速度が高いことがわかる。したがって、ガリウムの持つエネルギーもアルゴンが衝突した場合の方が、酸素が衝突した場合よりも速度の二乗分だけ高くなる。
アルゴンを衝突させた場合の方が、酸素を衝突させた場合よりも、衝突後のガリウムの速度(エネルギー)が高くなることがわかる。したがって、アルゴンを衝突させた場合の方が、酸素を衝突させた場合よりも深い位置に亀裂が生じたと考えられる。
以上の計算により、ホモロガス構造を有するInGaZnO4の結晶を含むターゲットをスパッタすると、劈開面から剥離し、ペレットが形成されることがわかる。一方、劈開面を有さないターゲットの他の構造の領域をスパッタしてもペレットは形成されず、ペレットよりも微細な原子レベルの大きさのスパッタ粒子が形成される。該スパッタ粒子は、ペレットと比べて小さいため、スパッタリング装置に接続されている真空ポンプを介して排気されると考えられる。したがって、ホモロガス構造を有するInGaZnO4の結晶を含むターゲットをスパッタした場合、様々な大きさ、形状の粒子が基板まで飛翔し、堆積することで成膜されるモデルは考えにくい。スパッタされたペレットが堆積してCAAC−OSを成膜する図25(A)などに記載のモデルが道理に適っている。
このようにして成膜されたCAAC−OSの密度は、単結晶OSと同程度の密度を有する。例えば、InGaZnO4のホモロガス構造を有する単結晶OSの密度は6.36g/cm3であるのに対し、同程度の原子数比であるCAAC−OSの密度は6.3g/cm3程度となる。
図34に、スパッタリング法で成膜したCAAC−OSであるIn−Ga−Zn酸化物(図34(A)参照。)、およびそのターゲット(図34(B)参照。)の断面における原子配列を示す。原子配列の観察には、高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM:High−Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)を用いる。なお、HAADF−STEMでは、各原子の像強度は原子番号の二乗に比例する。したがって、原子番号の近いZn(原子番号30)とGa(原子番号31)とは、ほとんど区別できない。HAADF−STEMには、日立走査透過電子顕微鏡HD−2700を用いる。
図34(A)および図34(B)を比較すると、CAAC−OSと、ターゲットは、ともにホモロガス構造を有しており、それぞれの原子の配置が対応していることがわかる。したがって、図25(A)などの成膜モデルに示したように、ターゲットの結晶構造が転写されることでCAAC−OSが成膜されることがわかる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について、図面を参照して説明する。
図16(A)、図16(B)に半導体装置の回路図を、図16(C)、図16(D)に半導体装置の断面図をそれぞれ示す。図16(C)、図16(D)はそれぞれ、左側にトランジスタ450のチャネル長方向の断面図を示し、右側にチャネル幅方向の断面図を示している。また、回路図には、酸化物半導体が適用されたトランジスタであることを明示するために、「OS」の記載を付している。
図16(C)、図16(D)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタを有する。ここでは、第2の半導体材料を用いたトランジスタとして、実施の形態2で例示したトランジスタ450を適用した例について説明する。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等など)とし、第2の半導体材料を実施の形態2で説明した酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が低い。
ここでは、トランジスタ2200がpチャネル型のトランジスタであるものとして説明するが、nチャネル型のトランジスタを用いて異なる回路を構成できることは言うまでもない。また、酸化物半導体を用いた実施の形態2に示すようなトランジスタを用いる他は、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
図16(A)、図16(C)、図16(D)に示す構成は、pチャネル型のトランジスタとnチャネル型のトランジスタを直列に接続し、且つ、それぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOS回路の構成例について示している。
本発明の一態様の酸化物半導体が適用されたトランジスタは、オン電流が高められているため、回路の高速動作が可能となる。
図16(C)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁層2201を介してトランジスタ450が設けられている。また、トランジスタ2200とトランジスタ450の間には複数の配線2202が設けられている。また各種絶縁層に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線や電極が電気的に接続されている。また、トランジスタ450を覆う絶縁層2204と、絶縁層2204上に配線2205と、トランジスタ450の一対の電極と同一の導電層を加工して形成された配線2206と、が設けられている。
このように、2つのトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され、より高密度に複数の回路を配置することができる。
図16(C)では、トランジスタ450のソースまたはドレインの一方と、トランジスタ2200のソースまたはドレインの一方が配線2202やプラグ2203によって電気的に接続されている。また、トランジスタ450のゲートは、配線2205、配線2206、プラグ2203および配線2202などを経由して、トランジスタ2200のゲートと電気的に接続されている。
図16(D)に示す構成では、トランジスタ450のゲート絶縁層にプラグ2203を埋め込むための開口部が設けられ、トランジスタ450のゲートとプラグ2203とが接する構成となっている。このような構成とすることで回路の集積化が容易であるのに加え、図16(C)に示す構成と比較して経由する配線やプラグの数や長さを低減できるため、回路をより高速に動作させることができる。
ここで、図16(C)、図16(D)に示す構成において、トランジスタ450やトランジスタ2200の電極の接続構成を異ならせることにより、様々な回路を構成することができる。例えば、図16(B)に示すように、それぞれのトランジスタのソースとドレインを接続した回路構成とすることにより、いわゆるアナログスイッチとして機能させることができる。
また、先の実施の形態のトランジスタを用いて、対象物の情報を読み取るイメージセンサ機能を有する半導体装置を作製することができる。
図17に、イメージセンサ機能を有する半導体装置の等価回路の一例を示す。
フォトダイオード602は、一方の電極がフォトダイオードリセット信号線658に、他方の電極がトランジスタ640のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ640は、ソースまたはドレインの一方がフォトセンサ基準信号線672に、ソースまたはドレインの他方がトランジスタ656のソースまたはドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ656は、ゲートがゲート信号線659に、ソースまたはドレインの他方がフォトセンサ出力信号線671に電気的に接続されている。
フォトダイオード602には、例えば、p型の導電型を有する半導体層と、高抵抗な(i型の導電型を有する)半導体層と、n型の導電型を有する半導体層を積層するpin型のフォトダイオードを適用することができる。
フォトダイオード602に入射する光を検出することによって、被検出物の情報を読み取ることができる。なお、被検出物の情報を読み取る際に、バックライトなどの光源を用いることができる。
なお、トランジスタ640およびトランジスタ656には、先の実施の形態のいずれかで一例を示した、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタを用いることができる。図17では、トランジスタ640およびトランジスタ656が、酸化物半導体を含むことを明確に判明できるよう、トランジスタの記号に「OS」と付記している。
トランジスタ640およびトランジスタ656は、上記実施の形態で一例を示したトランジスタであり、酸化物半導体層をゲート電極によって電気的に囲い込む構成を有することが好ましい。また、端部が丸みを帯び、曲面を有する酸化物半導体層を用いたトランジスタであると、酸化物半導体層上に形成される層の被覆性を向上させることができる。また、ソース電極およびドレイン電極の端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。よって、トランジスタ640およびトランジスタ656は、電気的特性変動が抑制された電気的に安定なトランジスタである。該トランジスタを含むことで、図17で示すイメージセンサ機能を有する半導体装置として信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を、図面を用いて説明する。
図18に半導体装置の回路図をそれぞれ示す。
図18に示す半導体装置は、第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200と第2の半導体材料を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、トランジスタ3300としては、実施の形態2で説明したトランジスタを用いることができる。
トランジスタ3300は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタである。トランジスタ3300は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図18において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソース電極と電気的に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレイン電極と電気的に接続されている。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲート電極と電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極、およびトランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子3400の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線3005は容量素子3400の電極の他方と電気的に接続されている。
図18に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可能という特徴を活かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオン状態となる電位にして、トランジスタ3300をオン状態とする。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、および容量素子3400に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ3300がオフ状態となる電位にして、トランジスタ3300をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3300のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線3002は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいうものとする。したがって、第5の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線3002の電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線3005に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線3005に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁膜の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
以上のように、微細化および高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置を提供することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したトランジスタを用いることができ、先の実施の形態で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
図19は、実施の形態2で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図である。
図19に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。書き換え可能なROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図19に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図19に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行う。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図19に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、先の実施の形態に示したトランジスタを用いることができる。あるいは、キャッシュメモリに用いてもよい。
図19に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
図20は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である。記憶素子700は、電源遮断で記憶データが揮発する回路701と、電源遮断で記憶データが揮発しない回路702と、スイッチ703と、スイッチ704と、論理素子706と、容量素子707と、選択機能を有する回路720と、を有する。回路702は、容量素子708と、トランジスタ709と、トランジスタ710と、を有する。なお、記憶素子700は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどのその他の素子をさらに有していても良い。
ここで、回路702には、先の実施の形態で説明したトランジスタを用いることができる。記憶素子700への電源電圧の供給が停止した際、回路702のトランジスタ709のゲートには接地電位(GND)が入力される構成とする。例えば、トランジスタ709のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする。先の実施の形態で説明したように、電子捕獲層に電子を捕獲せしめることでしきい値電圧が増大したトランジスタ709は、Icutがきわめて低く、容量素子708に蓄積された電荷が長期間保持される。
スイッチ703は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ713を用いて構成され、スイッチ704は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)のトランジスタ714を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ703の第1の端子はトランジスタ713のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ703の第2の端子はトランジスタ713のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ703はトランジスタ713のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ713のオン状態またはオフ状態)が選択される。スイッチ704の第1の端子はトランジスタ714のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ704の第2の端子はトランジスタ714のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ704はトランジスタ714のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ714のオン状態またはオフ状態)が選択される。
トランジスタ709のソースとドレインの一方は、容量素子708の一対の電極のうちの一方、およびトランジスタ710のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM2とする。トランジスタ710のソースとドレインの一方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ703の第1の端子(トランジスタ713のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)はスイッチ704の第1の端子(トランジスタ714のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ704の第2の端子(トランジスタ714のソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)と、スイッチ704の第1の端子(トランジスタ714のソースとドレインの一方)と、論理素子706の入力端子と、容量素子707の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子707の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子707の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子708の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子708の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。
なお、容量素子707および容量素子708は、トランジスタや配線の寄生容量等を積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ709のゲートには、制御信号WEが入力される。スイッチ703およびスイッチ704は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態となる。
トランジスタ709のソースとドレインの他方には、回路701に保持されたデータに対応する信号が入力される。図20では、回路701から出力された信号が、トランジスタ709のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子706によってその論理値が反転された反転信号となり、回路720を介して回路701に入力される。
なお、図20では、スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子706および回路720を介して回路701に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転させられることなく、回路701に入力されてもよい。例えば、回路701内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に、スイッチ703の第2の端子(トランジスタ713のソースとドレインの他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
図20におけるトランジスタ709は、実施の形態2で説明したトランジスタを用いることができる。
また、図20において、記憶素子700に用いられるトランジスタのうち、トランジスタ709以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素子700に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトランジスタとすることもできる。または、記憶素子700は、トランジスタ709以外にも、チャネルが酸化物半導体層で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることもできる。
図20における回路701には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。また、論理素子706としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いることができる。
本発明の一態様における半導体装置では、記憶素子700に電源電圧が供給されない間は、回路701に記憶されていたデータを、回路702に設けられた容量素子708によって保持することができる。
また、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例えば、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため、当該トランジスタをトランジスタ709として用いることによって、記憶素子700に電源電圧が供給されない間も容量素子708に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶素子700は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
また、スイッチ703およびスイッチ704を設けることによって、プリチャージ動作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路701が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路702において、容量素子708によって保持された信号はトランジスタ710のゲートに入力される。そのため、記憶素子700への電源電圧の供給が再開された後、容量素子708によって保持された信号を、トランジスタ710の状態(オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路702から読み出すことができる。それ故、容量素子708に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶素子700を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を抑えることができる。
本実施の形態では、記憶素子700をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子700は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、RF−ID(Radio Frequency Identification)にも応用可能である。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図21に示す。
図21(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体501、筐体502、表示部503、表示部504、マイクロフォン505、スピーカー506、操作キー507、スタイラス508等を有する。なお、図21(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部503と表示部504とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図21(B)は携帯データ端末であり、第1筐体511、第2筐体512、第1表示部513、第2表示部514、接続部515、操作キー516等を有する。第1表示部513は第1筐体511に設けられており、第2表示部514は第2筐体512に設けられている。そして、第1筐体511と第2筐体512とは、接続部515により接続されており、第1筐体511と第2筐体512の間の角度は、接続部515により変更が可能である。第1表示部513における映像を、接続部515における第1筐体511と第2筐体512との間の角度に従って、切り替える構成としても良い。また、第1表示部513および第2表示部514の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図21(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体521、表示部522、キーボード523、ポインティングデバイス524等を有する。
図21(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体531、冷蔵室用扉532、冷凍室用扉533等を有する。
図21(E)はビデオカメラであり、第1筐体541、第2筐体542、表示部543、操作キー544、レンズ545、接続部546等を有する。操作キー544およびレンズ545は第1筐体541に設けられており、表示部543は第2筐体542に設けられている。そして、第1筐体541と第2筐体542とは、接続部546により接続されており、第1筐体541と第2筐体542の間の角度は、接続部546により変更が可能である。表示部543における映像を、接続部546における第1筐体541と第2筐体542との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
図21(F)は普通自動車であり、車体551、車輪552、ダッシュボード553、ライト554等を有する。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、実施例試料として、図9に示すトランジスタ450と同様の構成のトランジスタについて作製し、電気特性の評価を行った。
はじめに、実施例試料の作製方法について示す。
まず、シリコン基板上に下地絶縁層となる膜厚300nmの酸化窒化シリコン(SiON)層を形成した。酸化窒化シリコン層は、CVD法によりアルゴンおよび酸素(アルゴン:酸素=25sccm:25sccm)混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力(電源出力)5.0kWを印加し、基板温度100℃の条件によって成膜した。
酸化窒化シリコン層表面を研磨処理後、膜厚20nmの第1の酸化物半導体層と膜厚15nmの第2の酸化物半導体層を積層して形成した。成膜条件は、第1の酸化物半導体層はIn:Ga:Zn=1:3:2(原子数比)の酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法によりアルゴンおよび酸素(アルゴン:酸素=30sccm:15sccm)混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力0.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃として成膜し、第2の酸化物半導体層はIn:Ga:Zn=1:1:1(原子数比)の酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法によりアルゴンおよび酸素(アルゴン:酸素=30sccm:15sccm)混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力0.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度300℃として成膜した。なお、第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層は、大気曝露せずに連続成膜を行った。
続いて、加熱処理を行った。加熱処理は窒素雰囲気下、450℃で1時間行った後、酸素雰囲気下、450℃で1時間行った。
続いて、第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層を、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法により、三塩化ホウ素および塩素(BCl3:Cl2=60sccm:20sccm)混合雰囲気下、電源電力450W、バイアス電力100W、圧力1.9Paにおいてエッチングして島状の第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層に加工した。
続いて、第1の酸化物半導体層および第2の酸化物半導体層上に、ソース電極およびドレイン電極となるタングステン層を膜厚100nm成膜した。成膜条件は、タングステンターゲットを用いたスパッタリング法によりアルゴン(Ar=80sccm)雰囲気下において、圧力0.8Pa、電源電力(電源出力)1.0kWを印加し、シリコン基板とターゲットとの間の距離を60mm、基板温度230℃の条件によって成膜した。
次に、タングステン膜上にレジストマスクを形成して、エッチングを行った。エッチングは、ICPエッチング法により、四弗化炭素、塩素および酸素(CF4:Cl2:O2=45sccm:45sccm:55sccm)混合雰囲気下、電源電力3000W、バイアス電力110W、圧力0.67Paにて第1のエッチングを行い、その後、酸素(O2=100sccm)雰囲気下、電源電力2000W、バイアス電力0W、圧力3.0Paにて第2のエッチングを行い、さらにその後、四弗化炭素、塩素および酸素(CF4:Cl2:O2=45sccm:45sccm:55sccm)混合雰囲気下、電源電力3000W、バイアス電力110W、圧力0.67Paにて第3のエッチングを行い、ソース電極およびドレイン電極を形成した。
次に、第2の酸化物半導体層、ソース電極およびドレイン電極上に膜厚5nmの第3の酸化物半導体層を成膜した。成膜条件は、In:Ga:Zn=1:3:2(原子数比)の酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法によりアルゴンおよび酸素(アルゴン:酸素=30sccm:15sccm)混合雰囲気下において、圧力0.4Pa、電源電力0.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃とした。
続いて、CVD法によりゲート絶縁層となる15nmの酸化窒化シリコン層を、シランおよび一酸化二窒素(SiH4:N2O=1sccm:800sccm)混合雰囲気下、圧力200Pa、電源電力150kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を28mm、基板温度350℃として成膜し、その上に、スパッタリング法によりゲート絶縁層となる膜厚20nmの酸化ハフニウム層をアルゴンおよび酸素(Ar:O2=25sccm:25sccm)混合雰囲気下、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度200℃として積層して成膜した。
続いて、膜厚30nmの窒化タンタル層および膜厚135nmのタングステン層を、スパッタリング法により成膜した。窒化タンタル層の成膜条件は、スパッタリング法によりアルゴンおよび窒素(アルゴン:窒素=50sccm:10sccm)混合雰囲気下において、圧力0.6Pa、電源電力1kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度25℃とした。タングステン層の成膜条件は、スパッタリング法によりアルゴン(Ar=100sccm)雰囲気下において、圧力2.0Pa、電源電力4kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度230℃とした。
次に、ICPエッチング法により、膜厚30nmの窒化タンタル層および膜厚135nmのタングステン層の積層をエッチングした。エッチング条件は、塩素、四弗化炭素および酸素(Cl2:CF4:O2=45sccm:55sccm:55sccm)混合雰囲気下、電源電力3000W、バイアス電力110W、圧力0.67Paにおいて第1のエッチングを行い、第1のエッチングの後に塩素(Cl2=100sccm)雰囲気下、電源電力2000W、バイアス電力50W、圧力0.67Paにおいて第2のエッチングを行い、ゲート電極を形成した。
次に、ゲート電極をマスクにとして、ゲート絶縁層、第3の酸化物半導体層の積層をエッチングした。エッチング条件は、三塩化ホウ素(BCl3=80sccm)雰囲気下、電源電力450W、バイアス電力100W、圧力1.0Paにおいてエッチングを行った。
次に、ゲート電極上に膜厚20nmの酸化アルミニウム層をスパッタリング法により成膜し、その上に、膜厚150nmの酸化窒化シリコン層をCVD法により成膜した。
以上の工程を経て、トランジスタを作製した。
次に作製したトランジスタにおいて、ストレス試験の条件としてソース電圧(Vs:[V])およびドレイン電圧(Vd:[V])を0Vとし、150℃で1時間、ゲート電圧を3.3V印加とし、ストレス試験の前後でドレイン電流(Id:[A])の測定を行った。実施例トランジスタの測定結果を図22に示す。図22は、ドレイン電圧(Vd:[V])が0.1Vおよび3.0Vのときの測定結果であり、横軸はゲート電圧(Vg:[V])、縦軸はドレイン電流(Id:[A])を示す。なお、「ドレイン電圧(Vd:[V])」とは、ソースを基準としたドレインとソースの電位差であり、「ゲート電圧(Vg:[V])」とは、ソースを基準としたゲートとソースの電位差である。なお、図中の実線は、ドレイン電圧Vdが3.0Vのときの測定結果を表し、図中の点線は、ドレイン電圧Vdが0.1Vのときの測定結果を表す。また、図22(A)および図22(B)ともに上記の同じ条件で行った。
図中には、ストレス試験前後の電気特性を示す。なお、図中の矢印は、矢印の根本の方がストレス試験前の電気特性、矢印の先の方がストレス試験後の電気特性を表している。図22(A)、図22(B)に示すように本実施例で作製したトランジスタのドレイン電圧(Vd:[V])が3.0Vのときのしきい値電圧の変化量ΔVthは、図22(A)では1.76V、図22(B)では1.78Vであり、シフト値(ドレイン電流が立ち上がるときのゲート電圧の値)の変化量Δshiftは、図22(A)では2.01V、図22(B)では2.11Vであった。ストレス試験後にしきい値電圧がプラス側にシフトしたことが確認できた。
また、ストレス試験後、保持試験を行った。保持試験の条件は、図22(A)に示すストレス試験後のトランジスタに150℃で1時間、ゲート電圧を0V印加し、また、図22(B)に示すストレス試験後のトランジスタに150℃で1時間、ゲート電圧を−3.3V印加し、ドレイン電流(Id:[A])の測定を行った。実施例トランジスタの測定結果を図23に示す。図23(A)はゲート電圧が0V、図23(B)はゲート電圧が−3.3Vのときの測定結果を示す。
図中には、保持試験前後の電気特性を示す。なお、図中の矢印は、矢印の根本の方が保持試験前の電気特性、矢印の先の方が保持試験後の電気特性を表している。図23(A)に示すように本実施例で作製したトランジスタのドレイン電圧(Vd:[V])が3.0Vのときのしきい値電圧の変化量ΔVthは、0.07Vであり、シフト値の変化量Δshiftは、0.12Vであった。また、図23(B)に示すように本実施例で作製したトランジスタのドレイン電圧(Vd:[V])が3.0Vのときのしきい値電圧の変化量ΔVthは、0.14Vであり、シフト値の変化量Δshiftは、0.27Vであった。保持試験後にしきい値電圧やシフト値がマイナス側に少ししかシフトしていないことが確認できた。
参考例
本参考例では、トランジスタを作製してオフ電流を求めることで、Icut密度が低いということを説明する。
参考例トランジスタは、実施例で用いたトランジスタの構成のゲート絶縁層およびゲート電極以外は同じである。ゲート絶縁層およびゲート電極のみの作製方法を説明する。
第3の酸化物半導体層形成後、CVD法によりゲート絶縁層となる10nmの酸化窒化シリコン層を、シランおよび一酸化二窒素(SiH4:N2O=1sccm:800sccm)混合雰囲気下、圧力200Pa、電源電力150kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を28mm、基板温度350℃として成膜した。
続いて、膜厚10nmの窒化チタン層および膜厚10nmのタングステン層を、スパッタリング法により成膜した。窒化チタン層の成膜条件は、スパッタリング法により窒素(窒素=50sccm)雰囲気下において、圧力0.2Pa、電源電力12kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を400mm、基板温度25℃とした。タングステン層の成膜条件は、スパッタリング法によりアルゴン(Ar=100sccm)雰囲気下において、圧力2.0Pa、電源電力1kWを印加し、ターゲットと基板の間の距離を60mm、基板温度230℃とした。
次に、ICPエッチング法により、膜厚10nmの窒化チタン層および膜厚10nmのタングステン層の積層をエッチングした。エッチング条件は、塩素、四弗化炭素および酸素(Cl2:CF4:O2=45sccm:55sccm:55sccm)混合雰囲気下、電源電力3000W、バイアス電力110W、圧力0.67Paにおいて第1のエッチングを行い、第1のエッチングの後に塩素および三塩化ホウ素(Cl2:BCl3=50sccm:150sccm)混合雰囲気下、電源電力1000W、バイアス電力50W、圧力0.67Paにおいて第2のエッチングを行い、ゲート電極を形成した。
以上の工程を経て、トランジスタを作製した。トランジスタのチャネル長は50nm、チャネル幅は40nmであった。
次に作製したトランジスタにおいて、オフ電流を求めた。1fAより小さな電流は、直接は測定できないため、作製した参考例トランジスタを並列に25万個並べて接続し、実質的なチャネル幅が10mm(40nm×25万)のトランジスタを作製してIcut密度を求めた。
図24にチャネル幅が10mmのトランジスタのドレインの電位が1V、ソースの電位が0VのときのId−Vg特性を示す。図24に示すようにオフ電流は10−13A未満(つまり、オフ電流密度は、10−17A/μm未満)であることが確認された。