JP6652342B2 - 半導体装置 - Google Patents

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    • H01L29/78645Thin film transistors, i.e. transistors with a channel being at least partly a thin film with multiple gate
    • H01L29/78648Thin film transistors, i.e. transistors with a channel being at least partly a thin film with multiple gate arranged on opposing sides of the channel

Description

本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、酸化物半導体を有する半導体装置、表示装置、または、発光装置に関する。
なお、本明細書などにおいて半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物半導体を用いたトランジスタが特許文献1に開示されている。
また、酸化物半導体を、積層構造とすることで、キャリアの移動度を向上させる技術が特許文献2および特許文献3に開示されている。
ところで、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ状態において極めてリーク電流が小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献4参照。)。
特開2006−165528号公報 特開2011−124360号公報 特開2011−138934号公報 特開2012−257187号公報
本発明の一態様は、オフ電流の低いトランジスタを有する半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、消費電力の小さい半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、書き込み速度の速い半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、読み出し速度の速い半導体装置を提供することを課題とする。または、長期間に渡ってデータを保持することができる半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、目に優しい表示装置を提供することを課題とする。または、本発明の一態様は、透明な半導体を有する半導体装置を提供することを課題とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
(1)本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第3の回路と、を有し、前記第1の回路は、演算処理機能を有し、第2の回路は、記憶回路を有し、記憶回路は、トランジスタを有し、トランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、半導体と、を有し、第1の導電体は、第1の絶縁体を介して半導体と互いに重なる領域を有し、第2の導電体は、第2の絶縁体を介して半導体と互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、トランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、第3の回路は、第2の導電体と電気的に接続し、第2の導電体の電位をトランジスタの動作と同期して可変する機能を有する半導体装置である。
(2)または、本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第3の回路と、を有し、第1の回路は、演算処理機能を有し、第2の回路は、記憶回路を有し、記憶回路は、トランジスタを有し、トランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、半導体と、を有し、第1の導電体は、第1の絶縁体を介して半導体と互いに重なる領域を有し、第2の導電体は、第2の絶縁体を介して半導体と互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、トランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、第3の回路は、トランジスタが導通状態のときに、第2の導電体に正の電圧を印加し、第3の回路は、トランジスタが非導通状態のときに、第2の導電体に0または負の電圧を印加する機能を有する半導体装置である。
(3)または、本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第3の回路と、第4の回路と、を有し、第1の回路は、演算処理機能を有し、第2の回路は、第1の記憶回路を有し、第4の回路は、第2の記憶回路を有し、第1の記憶回路は、第1のトランジスタを有し、第1のトランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第1の半導体と、を有し、第1の導電体は、第1の絶縁体を介して第1の半導体と互いに重なる領域を有し、第2の導電体は、前第2の絶縁体を介して第1の半導体と互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、第1のトランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、第3の回路は、第2の導電体と電気的に接続し、第2の導電体の電位を第1のトランジスタの動作と同期して可変する機能を有し、第4の回路は、第2のトランジスタを有し、第2のトランジスタは、第3の導電体と、第4の導電体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、第2の半導体と、電子捕獲層と、を有し、第3の導電体は、第3の絶縁体を介して第2の半導体と互いに重なる領域を有し、第4の導電体は、第4の絶縁体および電子捕獲層を介して第2の半導体と互いに重なる領域を有し、第3の導電体は、第2のトランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、電子捕獲層と第4の絶縁体との界面は、負の固定電荷を有する半導体装置である。
(4)または、本発明の一態様は、第1の回路と、第2の回路と、第3の回路と、第4の回路と、を有し、第1の回路は、演算処理機能を有し、第2の回路は、第1の記憶回路を有し、第4の回路は、第2の記憶回路を有し、第1の記憶回路は、第1のトランジスタを有し、第1のトランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、第1の半導体と、を有し、第1の導電体は、第1の絶縁体を介して第1の半導体と互いに重なる領域を有し、第2の導電体は、第2の絶縁体を介して第1の半導体と互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、第1のトランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、第3の回路は、第1のトランジスタが導通状態のときに、第2の導電体に正の電圧を印加し、第3の回路は、第1のトランジスタが非導通状態のときに、第2の導電体に0または負の電圧を印加する機能を有し、第4の回路は、第2のトランジスタを有し、第2のトランジスタは、第3の導電体と、第4の導電体と、第3の絶縁体と、第4の絶縁体と、第2の半導体と、電子捕獲層と、を有し、第3の導電体は、第3の絶縁体を介して第2の半導体と互いに重なる領域を有し、第4の導電体は、第4の絶縁体および電子捕獲層を介して第2の半導体と互いに重なる領域を有し、第3の導電体は、第2のトランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、電子捕獲層と第4の絶縁体との界面は、負の固定電荷を有する半導体装置である。
(5)または、本発明の一態様は、電子捕獲層は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートのいずれか一を含むことを特徴とする、(1)乃至(4)のいずれか一に記載の半導体装置である。
(6)または、本発明の一態様は、電子捕獲層は、結晶性を有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一に記載の半導体装置である。
(7)または、本発明の一態様は、電子捕獲層への電子の注入は、加熱させて行うことを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一に記載の半導体装置である。
(8)または、本発明の一態様は、電子捕獲層への電子の注入は、加熱と、第2の電極へ電位を印加させて行うことを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか一に記載の半導体装置である。
オフ電流の低いトランジスタを有する半導体装置などを提供することができる。または、消費電力の小さい半導体装置を提供することができる。または、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、書き込み速度の速い半導体装置を提供することができる。長期間に渡ってデータを保持することができる半導体装置を提供することができる。または、読み出し速度の速い半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。または、目に優しい表示装置を提供することができる。または、透明な半導体を有する半導体装置を提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
本発明に係る、半導体装置を説明するブロック図。 本発明に係る、半導体装置の回路図。 本発明に係る、信号のタイミングチャートと、半導体装置の回路図。 実施の形態の半導体装置の例を示す図。 実施の形態の半導体装置の例を示す図。 実施の形態の半導体装置のバンド図の例を示す図。 実施の形態の半導体装置の特性を模式的に示す図と半導体装置を応用した回路の例を示す図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 積層された半導体のバンドの模式図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 トランジスタの作製方法を説明する図。 トランジスタの作製方法を説明する図。 CAAC−OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC−OSの断面模式図。 CAAC−OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。 CAAC−OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。 CAAC−OSの電子回折パターンを示す図。 In−Ga−Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。 トランジスタを説明する上面図および断面図。 トランジスタを説明する断面図。 本発明の一態様の半導体装置を用いた回路を説明する図及び半導体装置を説明する断面図。 実施の形態に係る、半導体装置の回路図。 実施の形態に係る、RFタグの構成例。 実施の形態に係る、半導体装置のブロック図。 実施の形態に係る、記憶装置を説明する回路図。 実施の形態に係る、表示装置のブロック図及び回路図。 実施の形態に係る、電子機器の例を示す図。 実施の形態に係る、RFタグの使用例。 実施例のC−V特性の図。 実施例のC−V特性の図。 実施例のC−V特性の図。 実施例の断面TEM写真。 実施例のId−Vg特性の図。 実施例のId−Vg特性の図。 実施例のShift及び、ΔShiftの変動を表す図。 実施例のShift及び、ΔShiftの変動を表す図。 実施例のId−Vg特性及びΔShiftの変動を表す図。 実施例の印加前後のShiftの変動とΔShiftの印加電圧依存性を表す図。 実施例のΔShiftの正規確率分布を表す図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流や電圧の増幅や、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsがー0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsがー0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、という場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、という場合がある。
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V,2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、中央演算処理回路と、データ用メモリ回路と、制御回路と、を有する、半導体装置について説明する。
図1(A)に本発明に係る半導体装置300のブロック図を示す。半導体装置300は、中央演算処理回路301と、データ用メモリ回路302と、制御回路303と、を有する。データ用メモリ回路302は、書き込み動作及び保持動作と同期して、データ用メモリトランジスタのバックゲート電位を可変させる制御回路303と電気的に接続されている。
データ用メモリ回路302と電気的に接続された制御回路303の一例を図2に示す。また、制御回路303を動作させるための電気信号のタイミングチャートを図3(A)に示す。タイミングチャートには、電気信号のLowまたはHighなどの動作のタイミングが見やすいように、一定の時間間隔で縦の点線を記して、それぞれのタイミングをT1からT9と記した。また、図2の中の回路の信号線に、Address、PWWLCなどの信号名が記載されているが、図3(A)タイミングチャートに記されている信号名と対応している。
図2のデータ用メモリ回路302から、一つのメモリセル305を抜き出したものを図3(B)にしめす。図3(B)のメモリセル305は、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ351と、例えば別の半導体をチャネル形成領域としたトランジスタ352と、容量素子353と、を有する。トランジスタ351は、バックゲート電極354を有する。図3(A)と図3(B)を用いて、データ用メモリ回路302へのデータ書き込み動作と、データ保持の動作について説明する。
はじめに、WWLをLowとして、トランジスタ351をオフ状態にする。T1とT2の間のタイミングでWLCをHighからLowに変化させることで、メモリセル305へデータを書き込むことができる状態にする。T2のタイミングでWBLをLowからHighにすることで、バックゲート電極354へ電位を印加させる。その結果、トランジスタ351がオン状態の時、トランジスタ351のしきい値電圧は、バックゲート電極354に電位を印加していない状態と比較して低い値をとることができる。次に、T2とT3の間のタイミングでWWLをLowからHighにすることで、トランジスタ351をオン状態にする。この時にデータを書き込めばよい。上述したように、トランジスタ351のしきい値電圧はマイナス方向にシフトしているので、トランジスタ351のオン電流はしきい値電圧がマイナス方向にシフトしていない状態と比較して大きくなる。そのため、容量素子353へ電荷を蓄積させるために要する時間を短くすることができる。つまり、高速にデータを書き込むことができる。次に、T3とT4の間のタイミングでWBLをhighからLowに戻すことで、トランジスタ351のバックゲート電極354への電位は印加していない状態に戻す。その結果、トランジスタ351のしきい値電圧もバックゲート電極354に電位を印加していない状態に戻すことができる。次に、T4のタイミングで、WWLをHighからLowに戻す。また、T1とT2の間のタイミングで、WLCをLowからHighに変化させる。WWLをHighからLow、例えば0Vまたは負の電圧に戻すことで、トランジスタ351がオフ状態になり、トランジスタ351のオフ電流が小さくなるので、容量素子353に注入された電荷を保持することができる。このように図3(A)に示したタイミングチャートに従った、制御回路303の一連の動作によって、データ用メモリ回路へのデータを高速に書き込むことができる。また、そのデータを長期間に渡って保持することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、データ用メモリ回路とプログラム用メモリ回路と、を有する、半導体装置について説明する。
図1(B)に本発明に係る半導体装置310のブロック図を示す。半導体装置310は、中央演算処理回路301と、データ用メモリ回路302と、制御回路303と、プログラム用メモリ回路304と、を有する。データ用メモリ回路302は、書き込み動作及び保持動作と同期して、データ用メモリトランジスタのバックゲート電位を可変させる制御回路303と電気的に接続されている。プログラム用メモリ回路304は、トランジスタを有しており、該トランジスタは、電子捕獲層を有する。データ用メモリ回路302は、制御回路303の近傍に設けられており、高速動作が求められるが、データ保持期間が短い。このため、データ用メモリ回路302は、実施の形態1で説明した構成、即ち書き込み動作と同期して、データ用メモリトランジスタのバックゲート電位を可変させる制御回路303と電気的に接続されていることが好ましい。一方、プログラム用メモリ回路304は、動作速度よりもメモリデータの保持期間が長いことが重要である。このため、実施の形態3で後述するような、電子捕獲層を有するトランジスタを用いてプログラム用メモリ回路304を構成することで、メモリデータの保持期間を長くすることが可能であり好ましい。
データ用メモリ回路302へのデータの書き込み動作と保持については、実施の形態1で説明した通りである。プログラム用メモリ回路304のトランジスタは、バックゲート電極に電圧を印加することで電子捕獲層に電子が注入される。電子の持つ電荷により、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトするため、所定のVgsにおけるトランジスタのドレイン電流は小さくなる。例えば、Vgsが0Vにおけるトランジスタのドレイン電流を小さくすることができれば、電源電位を印加しない状態でも、プログラムデータなどを長期間に渡って保持することができる。バックゲート電極への電圧の印加は、常時行われている必要は無く、例えば、半導体装置の動作試験時などに一回行えばよい。尚、バックゲート電極は、バックゲート電極への電圧の印加後にアース電位にしてもよい。たとえば、バックゲート電極を、アース電極と電気的に接続された配線または、電極などと、電気的に接続してもよい。バックゲート電極をアース電位にすることで、トランジスタ特性が安定し、半導体装置の動作が安定する場合がある。また、データ用メモリ回路302が電子捕獲層を有してもよい。電子捕獲層は、制御回路の動作には影響しない。このように、2つの異なる構成のメモリ回路を有することで、高速なデータ書き込みとプログラムデータの長期間に渡っての保持が可能な半導体装置を作製することができる。または消費電力の小さい半導体装置を作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体と電子捕獲層とゲート電極とを有する半導体装置の構成および動作原理、および、それを応用する回路について説明する。図4(A)に示すトランジスタをデータ用メモリ回路302に用い、図4(B)、図4(C)または図5に示すトランジスタをプログラム用メモリ回路304に用いることで、データ用メモリ回路302において高速なデータ書き込みが可能であると共に、プログラム用メモリ回路304において、データの長期保持が可能である。図4(A)は、半導体101と絶縁体102とゲート電極103と絶縁体104とゲート電極105とを有する半導体装置である。絶縁体102、104は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。
図4(B)に示すトランジスタは、絶縁体102として、例えば、絶縁体102aと電子捕獲層102bの積層体を有する。または、図4(C)に示すとトランジスタは、絶縁体102として、絶縁体102a、電子捕獲層102bと絶縁体102cの積層体を有する。または、さらに多層の絶縁体の積層体でもよい。また、図5に示されるように、絶縁体102e中に、電気的に絶縁された導電体102dを有してもよい。絶縁体102eは複数の絶縁体より形成されてもよい。すなわち、図4(A)に示すトランジスタの半導体101とゲート電極103の間の積層構造は、図4(B)、図4(C)、及び図5に示すトランジスタの半導体101とゲート電極103の間の積層構造と異なる。
図4(A)に示す絶縁体102、図4(B)及び図4(C)に示す絶縁体102a、図4(C)に示す絶縁体102c、図5に示す102eには、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、電子捕獲層102bには、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケートなどを一種以上含む絶縁体を用いることができる。なお、絶縁体102a、102c、102eの厚さは、1nm以上30nm以下、電子捕獲層102bの厚さは、1nm以上100nm以下である。
なお、図4(A)に示すトランジスタと図4(B)、図4(C)、及び図5に示すトランジスタとは同時に作製することができる。このとき、各トランジスタにおいて、半導体101、ゲート電極103、絶縁体104、ゲート電極105をそれぞれ同じ工程において形成することができる。一方で、図4(A)に示すトランジスタは、絶縁体102を形成する工程において、電子捕獲層102bをエッチングする工程を有すればいい。この結果、図4(A)に示すような、電子捕獲層102bを有さないトランジスタを作製することができる。
例えば、図4(B)に示す半導体装置の点Aから点Bにかけてのバンド図の例を図6(A)に示す。図中、Ecは伝導帯下端のエネルギー、Evは価電子帯上端のエネルギーを示す。図6(A)では、ゲート電極103の電位はソース電極またはドレイン電極(いずれも図示せず)と同じである。
この例では、絶縁体102aのエネルギーギャップは、電子捕獲層102bのエネルギーギャップよりも大きい。また、絶縁体102aの電子親和力は、電子捕獲層102bの電子親和力よりも小さいものとするが、これに限られない。
絶縁体102aと電子捕獲層102bとの界面、または/および、電子捕獲層102bの内部に電子捕獲準位106が存在する。ゲート電極103の電位を、ソース電極またはドレイン電極より高くすると、図6(B)に示すようになる。ここで、ゲート電極103の電位は、ソース電極またはドレイン電極より1V以上高くしてもよい。また、この処理の終了した後にゲート電極105に印加される最高電位よりも低くてもよい。代表的には、4V未満とするとよい。または50V未満としてもよい。
なお、このとき、ゲート電極105の電位はソース電極またはドレイン電極と同じであるとよい。半導体101に存在する電子107は、より電位の高いゲート電極103の方向に移動しようとする。そして、半導体101からゲート電極103の方向に移動した電子107のいくらかは、電子捕獲準位106に捕獲される。
電子107が、絶縁体102aの障壁を超えて、電子捕獲層102bに達するには、いくつかの過程が考えられる。第1は、トンネル効果によるものである。トンネル効果は、絶縁体102aが薄いほど顕著となる。ただし、この場合、電子捕獲準位106に捕獲された電子が、トンネル効果により、再度、流失してしまうことがある。
なお、ゲート電極103に適切な大きさの電圧を印加することで、絶縁体102aが比較的厚い場合でも、トンネル効果(Fowler−Nordheimトンネル効果)を発現させることもできる。Fowler−Nordheimトンネル効果の場合には、ゲート電極103と半導体101の間の電場の自乗でトンネル電流が増加する。
第2は、電子107が、絶縁体102a中の欠陥準位等のエネルギーギャップ中の捕獲準位をホッピングしながら、電子捕獲層102bに到達するものである。これは、Poole−Frenkel伝導といわれる伝導機構であり、絶対温度が高いほど、捕獲準位が浅いほど、電気伝導性が高まる。
第3は、熱的な励起によって、電子107が、絶縁体102aの障壁を超えるものである。半導体101に存在する電子の分布はフェルミ・ディラック分布にしたがい、一般的には、エネルギーの高い電子の比率は、高温であるほど多くなる。例えば、フェルミ準位から3eVだけ高いエネルギーを有する電子の300K(27℃)での密度を1としたとき、450K(177℃)では、6×1016、600K(327℃)では、1.5×1025、750K(477℃)では、1.6×1030となる。
電子107が、絶縁体102aの障壁を超えてゲート電極103に向かって移動する過程は、上記の3つの過程とそれらの組み合わせで生じていると考えられる。特に、第2の過程および第3の過程は、温度が高いと指数関数的に電流が増大する。
また、第1の過程におけるFowler−Nordheimトンネル効果も、絶縁体102aの障壁層の薄い部分(エネルギーの大きな部分)の電子の濃度が高いほど起こりやすいので、温度が高いほど有利である。
なお、以上の過程で流れる電流は、特にゲート電極103の電位が低い(5V以下)場合には、きわめて微弱であることが多いが、長時間の処理により、必要とする量の電子を電子捕獲準位106に捕獲せしめることができる。この結果、絶縁体102は負に帯電する。
すなわち、より高い温度(半導体装置の使用温度または保管温度よりも高い温度、または、125℃以上450℃以下、代表的には150℃以上300℃以下)の下で、ゲート電極103の電位をソースやドレインの電位より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上、または、5ミリ秒間以上10秒間未満、代表的には3秒間維持することで、半導体101からゲート電極103に向かって、必要とする電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲準位106に捕獲される。このように電子を捕獲する処理のための温度を、以下、処理温度という。
このとき、電子捕獲準位106に捕獲される電子の量はゲート電極103の電位により制御できる。電子捕獲準位106に相応の量の電子が捕獲されると、その電荷のために、ゲート電極103の電場が遮蔽され、半導体101に形成されるチャネルが消失する。
電子捕獲準位106により捕獲される電子の総量は、当初は、線形に増加するが、徐々に増加率が低下し、やがて、一定の値に収斂する。収斂する値は、ゲート電極103の電位に依存し、電位が高いほどより多くの電子が捕獲される傾向にあるが、電子捕獲準位106の総数を上回ることはない。
電子捕獲準位106に捕獲された電子は、絶縁体102から流失しないことが求められる。そのためには、第1には、絶縁体102aおよび電子捕獲層102bの厚さが、トンネル効果が問題とならない程度の厚さであることが好ましい。例えば、絶縁体102aおよび電子捕獲層102bそれぞれの物理的な厚さが1nmより大きいことが好ましい。
代表的には、絶縁体102aの厚さは、10nm以上20nm以下、電子捕獲層102bの、酸化シリコン換算の厚さは、10nm以上25nm以下とする。
また、半導体装置の使用温度または保管温度を十分に低くすることで、電子捕獲準位106に捕獲された電子が流出することを低減することができる。例えば、処理温度を300℃とし、半導体装置を120℃で保管する場合、電子が、3eVの障壁を乗り越える確率は、後者は前者の10万分の1未満である。
また、半導体101で、ホールの有効質量が極めて大きい、または、実質的に局在化していることも有効である。この場合には、半導体101から絶縁体102aおよび電子捕獲層102bへのホールの注入がなく、したがって、電子捕獲準位106に捕獲された電子がホールと結合して消滅することもない。
また、電子捕獲層102bが、Poole−Frenkel伝導を示す材料であってもよい。Poole−Frenkel伝導は、上述のように、材料中の欠陥準位等を電子がホッピング伝導するものであり、欠陥準位の多い、または、欠陥準位の深い材料は十分に電気伝導性が低く、電子捕獲準位106に捕獲させた電子を長期間に渡って保持できる。
また、絶縁体102aまたは/および電子捕獲層102bに捕獲された電子を放出させるような電圧がかからないように回路設計または/および材料選定をおこなってもよい。例えば、In−Ga−Zn系酸化物半導体のように、ホールの有効質量が極めて大きい、または、実質的に局在化しているような材料では、ゲート電極103の電位が、ソース電極またはドレイン電極の電位より高い場合にはチャネルが形成されるが、低い場合には、絶縁体と同様な特性を示す。この場合には、ゲート電極103と半導体101の間の電場が極めて小さくなり、Fowler−Nordheimトンネル効果、または、Poole−Frenkel伝導による電子伝導は著しく低下する。
なお、図4(C)のように、絶縁体102を3層の絶縁体で形成し、絶縁体102cの電子親和力を、電子捕獲層102bの電子親和力よりも小さくし、絶縁体102cのエネルギーギャップを、電子捕獲層102bのエネルギーギャップよりも大きくすると、電子捕獲層102bの内部、または、他の絶縁体との界面にある電子捕獲準位に捕獲された電子を保持する上で効果的である。
この場合には、電子捕獲層102bが薄くても、絶縁体102cが物理的に十分に厚ければ、電子捕獲準位106に捕獲された電子を保持できる。絶縁体102cとしては、絶縁体102aと同じまたは同様な材料を用いることができる。また、電子捕獲層102bと同じ構成元素であるが、電子捕獲準位が十分に少ないものも用いることができる。電子捕獲準位の数(密度)は、形成方法によって異なる。
なお、図5のように、絶縁体102e中に電気的に絶縁された導電体102dを有する場合も、上記と同様な原理によって、導電体102dに電子が捕獲される。図6(C)では、ゲート電極103の電位はソース電極またはドレイン電極と同じである。
ゲート電極103の電位を、ソース電極またはドレイン電極より高くすると、図6(D)に示すようになる。半導体101に存在する電子107は、より電位の高いゲート電極103の方向に移動しようとする。そして、半導体101からゲート電極103の方向に移動した電子のいくらかは、導電体102dに捕獲される。すなわち、図5に示される半導体装置において、導電体102dは、図4(B)の半導体装置における電子捕獲準位106と同等の機能を有する。
なお、導電体102dの仕事関数が大きいと、絶縁体102eとの間のエネルギー障壁が高くなり、電子捕獲準位106に捕獲された電子が流出することを抑制できる。
上記において、絶縁体102a、電子捕獲層102b、絶縁体102cは、それぞれ複数の絶縁体より構成されてもよい。また、同じ構成元素からなるが、形成方法の異なる複数の絶縁体から構成されてもよい。
例えば、絶縁体102aと電子捕獲層102bとを同じ構成元素からなる絶縁体(例えば、酸化ハフニウム)で構成する場合、絶縁体102aは、CVD法または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法で形成し、電子捕獲層102bは、スパッタリング法で形成してもよい。
なお、CVD法としても、様々な方法を用いることができる。熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法、LPCVD法などの方法を用いることができる。よって、ある絶縁体と別の絶縁体とにおいて、異なるCVD法を用いて、絶縁体を形成してもよい。
一般にスパッタリング法で形成される絶縁体はCVD法またはALD法で形成される絶縁体よりも欠陥を多く含み、電子を捕獲する性質が強い。同様な理由から、電子捕獲層102bと絶縁体102cを同じ構成元素からなる絶縁体で構成する場合、電子捕獲層102bは、スパッタリング法で形成し、絶縁体102cは、CVD法またはALD法で形成してもよい。
また、電子捕獲層102bを同じ構成元素からなる複数の絶縁体で構成する場合、そのうちの1つは、スパッタリング法で形成し、別の1つは、CVD法またはALD法で形成してもよい。
このように絶縁体102が電子を捕獲すると、図7(A)に示すように半導体装置のしきい値電圧が高くなる。特に、半導体101が、エネルギーギャップが大きな材料(ワイドエネルギーギャップ半導体)であると、ゲート電極103およびゲート電極105の電位をソース電極またはドレイン電極の電位と同じとしたときのソースとドレインとの間の電流を大幅に低下させることができる。
例えば、エネルギーギャップ3.2eVのIn−Ga−Zn酸化物半導体であれば、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流密度(チャネル幅1μmあたりの電流値)は1zA/μm(1×10−21A/μm)以下、代表的には、1yA/μm(1×10−24A/μm)以下とできる。
図7(A)は絶縁体102での電子の捕獲を行う前と、電子の捕獲を行った後での、室温でのソース電極ドレイン電極間のチャネル幅1μmあたりの電流(Id/μm)のゲート電極105の電位(Vg)依存性を模式的に示したものである。なお、ソース電極とゲート電極103の電位を0V、ドレイン電極の電位を+1Vとする。1fAより小さな電流は、直接は測定できないが、その他の方法で測定した値、SS値(Subthreshold Swing value)等をもとに推定できる。
最初、曲線108で示すように、半導体装置のしきい値電圧はVth1であったが、電子の捕獲をおこなった後では、しきい値電圧が増加し(プラス方向に移動し)、Vth2となる。また、この結果、Vg=0での電流密度は、1aA/μm(1×10−18A/μm)以下、例えば、1zA/μmから1yA/μmとなる。
例えば、図7(B)のように、容量素子111に蓄積される電荷をトランジスタ110で制御する回路を考える。ここで、容量素子111の電極間のリーク電流は無視する。容量素子111の容量が1fFであり、容量素子111のトランジスタ110側の電位が+1V、Vdの電位が0Vであるとする。
トランジスタ110のId−Vd特性が図7(A)中の曲線108で示されるもので、チャネル幅が0.1μmであると、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流密度は約1fAであり、トランジスタ110のこのときの抵抗は約1×1015Ωである。したがって、トランジスタ110と容量素子111よりなる回路の時定数は約1秒である。すなわち、約1秒で、容量素子111に蓄積されていた電荷の多くが失われてしまうことを意味する。
トランジスタ110のId−Vd特性が図7(A)中の曲線109で示されるもので、チャネル幅が0.1μmであると、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流密度は約1yAであり、トランジスタ110のこのときの抵抗は約1×1024Ωである。したがって、トランジスタ110と容量素子111よりなる回路の時定数は約1×10秒(=約31年)である。すなわち、10年経過後でも、容量素子111に蓄積されていた電荷の1/3は残っていることを意味する。
すなわち、トランジスタと容量素子という単純な回路で、かつ、それほど過大な電圧を印加しなくても、10年間の電荷の保持が可能である。このことは各種記憶装置に用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について図面を用いて説明する。なお、以下では、主として、しきい値電圧制御用のゲート電極が基板と半導体の間に存在するトランジスタについて説明するが、しきい値電圧制御用のゲート電極と基板との間に半導体が存在するトランジスタであってもよい。また、第1のゲート電極と第2のゲート電極とを有し、基板と半導体の間に第1のゲート電極を、第1のゲート電極と第2のゲート電極の間に半導体を有するトランジスタでもよい。
図8(A)乃至図8(C)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図8(A)は上面図であり、図8(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図8(B)、一点鎖線C−Dの断面が図8(C)に相当する。なお、図8(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向、一点鎖線C−D方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
図8(A)乃至図8(C)に示すトランジスタ450は、基板400に埋め込まれたゲート電極401と、基板400およびゲート電極401上の絶縁体402aと、絶縁体402a上の電子捕獲層402bと、電子捕獲層402b上の絶縁体402cと、絶縁体402c上の酸化物半導体404aと、酸化物半導体404a上の酸化物半導体404bと、絶縁体402a上、電子捕獲層402bの側面、絶縁体402cの側面、酸化物半導体404aの側面、酸化物半導体404bの側面および酸化物半導体404bの上面と接する領域を有するソース電極406aおよびドレイン電極406bと、絶縁体402aの上面、電子捕獲層402bの側面、絶縁体402cの側面、酸化物半導体404aの側面、酸化物半導体404bの側面、酸化物半導体404bの上面、ソース電極406aおよびドレイン電極406bと接する領域を有する酸化物半導体404cと、酸化物半導体404c上のゲート絶縁体408と、ゲート絶縁体408上で接し、酸化物半導体404bの上面および側面に面するゲート電極410と、ソース電極406a上、ドレイン電極406b上、およびゲート電極410上の酸化物絶縁体412と、を有する。
また、下地絶縁体402は、絶縁体402a、電子捕獲層402bおよび絶縁体402cを有する。また、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、および酸化物半導体404cを総称して多層半導体404と呼称する。
電子捕獲層402bに用いる材料を比誘電率が大きいものにすると、電子捕獲層402bを厚くすることができる。たとえば、比誘電率が16の酸化ハフニウムを用いることにより、比誘電率が3.9の酸化シリコンを用いる場合に比べて約4倍厚くすることが可能である。このため、捕獲された電子の流出を防止する上で好ましい。なお、絶縁体402a、絶縁体402cの厚さは、1nm以上30nm以下、代表的には10nm以上20nm以下であり、電子捕獲層402bの厚さは、1nm以上100nm以下、代表的には5nm以上20nm以下である。
なお、チャネル長とは、上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との距離をいう。すなわち、図8(A)では、チャネル長は、酸化物半導体404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとの距離となる。チャネル幅とは、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが平行に向かい合っている長さをいう。すなわち、図8(A)では、チャネル幅は、酸化物半導体404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとが平行に向かい合っている長さをいう。
下地絶縁体402の一部を電子捕獲層として機能させることで、実施の形態3で述べたように絶縁体402cと電子捕獲層402bの界面、または、電子捕獲層402bの内部に存在する電子捕獲準位に電子を捕獲することができる。すなわち、絶縁体402cと電子捕獲層402bの界面、または、電子捕獲層402bの内部において負の固定電荷を有する。このとき、電子捕獲準位に捕獲される電子の量はゲート電極401の電位により制御できる。
また、ゲート電極410は、酸化物半導体404bを電気的に取り囲み、オン電流が高められる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。なお、s−channel構造では、電流は酸化物半導体404bの全体(バルク)を流れる。酸化物半導体404bの内部を電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくいため、高いオン電流を得ることができる。なお、酸化物半導体404bを厚くすると、オン電流を向上させることができる。
また、トランジスタのチャネル長およびチャネル幅を微細化するとき、レジストマスクを後退させながら電極や半導体等を加工すると電極や半導体等の端部が丸みを帯びる(曲面を有する)場合がある。このような構成になることで、酸化物半導体404b上に形成されるゲート絶縁体408、ゲート電極410および酸化物絶縁体412の被覆性を向上させることができる。また、ソース電極406aおよびドレイン電極406bの端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。
また、トランジスタを微細化することで、半導体装置の集積度を高め、高密度化することができる。例えば、トランジスタのチャネル長を100nm以下、好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とし、かつ、トランジスタのチャネル幅を100nm以下、好ましくは40nm以下、さらに好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下とする。本発明の一態様に係るトランジスタは、チャネル幅が上記のように縮小していても、s−channel構造を有することでオン電流を高めることができる。
基板400は、単なる支持材料に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ450のゲート電極410、ソース電極406a、およびドレイン電極406bの少なくとも一つは、上記の他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
下地絶縁体402は、基板400からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、多層半導体404に酸素を供給する役割を担うことができる。また、上述のように基板400が他のデバイスが形成された基板である場合、下地絶縁体402は、層間絶縁体としての機能も有する。その場合、下地絶縁体402の表面には凹凸が形成されるため、表面が平坦になるようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
また、トランジスタ450のチャネルが形成される領域において多層半導体404は、基板400側から酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cが積層された構造を有している。また、酸化物半導体404bは、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cで取り囲まれている構造となっている。また、図8(C)に示すようにゲート電極410は、酸化物半導体404bを電気的に取り囲む構造になっている。
ここで、一例としては、酸化物半導体404bには、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cは、酸化物半導体404bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体404bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
このような構造において、ゲート電極410に電界を印加すると、多層半導体404のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体404bにチャネルが形成される。すなわち、酸化物半導体404bとゲート絶縁体408との間に酸化物半導体404cが形成されていることよって、トランジスタのチャネルがゲート絶縁体408と接しない領域に形成される構造となる。
また、酸化物半導体404aは、酸化物半導体404bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体404bと下地絶縁体402が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体404bと酸化物半導体404aの界面に界面準位を形成しにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体404aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、酸化物半導体404cは、酸化物半導体404bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体404bとゲート絶縁体408が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体404bと酸化物半導体404cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体404cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cには、例えば、アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、ランタン、セリウムまたはハフニウムを酸化物半導体404bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体に生じることを抑制する機能を有する。すなわち、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cは酸化物半導体404bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
なお、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、スズ、ランタン、セリウムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体404aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体404bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体404cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体404bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2と同じか、またはx2の3倍未満であることが好ましい。
酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cのInおよびMを併せて100atomic%としたとき、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。また、酸化物半導体404bのInおよびMを併せて100atomic%としたとき、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。
酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体404bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体404bは、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cより厚い方が好ましい。
酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cには、例えば、インジウム、亜鉛およびガリウムを含んだ酸化物半導体を用いることができる。特に、酸化物半導体404bにインジウムを含ませると、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体のキャリア密度が、1×1017/cm未満であること、好ましくは1×1015/cm未満であること、さらに好ましくは1×1013/cm未満であることを指す。
また、酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位は捕獲となり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
酸化物半導体を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析において、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする部分を有していることが好ましい。また、水素濃度は、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、2×1020atoms/cm以下、好ましくは5×1019atoms/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm以下とする部分を有していることが好ましい。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下とする部分を有していることが好ましい。
また、酸化物半導体が結晶を含む場合、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体の結晶性を低下させないためには、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、シリコン濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする部分を有していればよい。また、例えば、酸化物半導体のある深さにおいて、または、酸化物半導体のある領域において、炭素濃度を1×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする部分を有していればよい。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅で規格化したオフ電流を数yA/μmから数zA/μmにまで低減することが可能となる。
なお、トランジスタのゲート絶縁体としては、シリコンを含む絶縁体が多く用いられるため、上記理由により多層半導体のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタのようにゲート絶縁体と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁体と多層半導体との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、多層半導体のチャネルとなる領域はゲート絶縁体から離すことが好ましいといえる。
したがって、多層半導体404を酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cの積層構造とすることで、酸化物半導体404bにチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
次に、多層半導体404のバンド図を説明する。バンド図の解析は、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cに相当する層としてエネルギーギャップが3.5eVであるIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体404bに相当する層としてエネルギーギャップが3.15eVであるIn−Ga−Zn酸化物を用い、多層半導体404に相当する積層を作製して行っている。
酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cの厚さはそれぞれ10nmとし、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定した。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定した。
図9(A)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差と、各層のエネルギーギャップとの差分として算出される真空準位と伝導帯下端のエネルギー差(電子親和力)から模式的に示されるバンド図の一部である。図9(A)は、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cと接して、酸化シリコンを設けた場合のバンド図である。ここで、Evacは真空準位のエネルギー、EcI1およびEcI2は酸化シリコンの伝導帯下端のエネルギー、EcS1は酸化物半導体404aの伝導帯下端のエネルギー、EcS2は酸化物半導体404bの伝導帯下端のエネルギー、EcS3は酸化物半導体404cの伝導帯下端のエネルギーである。
図9(A)に示すように、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cにおいて、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cを構成する元素が共通することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cは組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもできる。
主成分を共通として積層された多層半導体404は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造)が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された多層半導体の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアが捕獲または再結合により消滅してしまう。
なお、図9(A)では、EcS1とEcS3が同様である場合について示したが、それぞれが異なっていてもよい。例えば、EcS3よりもEcS1が高いエネルギーを有する場合、バンド図の一部は、図9(B)のように示される。
例えば、EcS1=EcS3である場合は、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cにIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:6:4または1:9:6(原子数比)、酸化物半導体404bにIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2(原子数比)のIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。また、EcS1>EcS3である場合は、酸化物半導体404aにIn:Ga:Zn=1:6:4または1:9:6(原子数比)、酸化物半導体404bにIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2(原子数比)、酸化物半導体404cにIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4(原子数比)のIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。
図9(A)、図9(B)より、多層半導体404における酸化物半導体404bがウェル(井戸)となり、多層半導体404を用いたトランジスタにおいて、チャネルが酸化物半導体404bに形成されることがわかる。なお、多層半導体404は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸(U Shape Well)とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
なお、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cと、酸化シリコンなどの絶縁体との界面近傍には、不純物や欠陥に起因した捕獲準位が形成され得る。酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cがあることにより、酸化物半導体404bと当該捕獲準位とを遠ざけることができる。ただし、EcS1またはEcS3と、EcS2とのエネルギー差が小さい場合、酸化物半導体404bの電子が酸化物半導体404aまたは酸化物半導体404cを超えて捕獲準位に達することがある。マイナスの電荷となる電子が捕獲準位に捕獲されることで、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
したがって、トランジスタのしきい値電圧の変動を低減するには、EcS1およびEcS3と、EcS2との間にエネルギー差を設けることが必要となる。それぞれの当該エネルギー差は、0.1eV以上が好ましく、0.15eV以上がより好ましい。
なお、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。
なお、多層半導体404にIn−Ga−Zn酸化物を用いる場合は、Inのゲート絶縁体への拡散を防ぐために、酸化物半導体404cは酸化物半導体404bよりもInが少ない組成とすることが好ましい。
ソース電極406aおよびドレイン電極406bには、酸素と結合し得る導電材料を用いることが好ましい。例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどを用いることができる。上記材料において、特に酸素と結合し易いTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。なお、酸素と結合し得る導電材料には、酸素が拡散し得る材料も含まれる。
酸素と結合し得る導電材料と多層半導体を接触させると、多層半導体中の酸素が、酸素と結合し得る導電材料側に拡散する現象が起こる。当該現象は、温度が高いほど顕著に起こる。トランジスタの作製工程には、いくつかの加熱工程があることから、上記現象により、多層半導体のソース電極またはドレイン電極と接触した近傍の領域に酸素欠損が発生し、層中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域はn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソース領域またはドレイン領域として作用させることができる。
なお、チャネル長が極短いトランジスタを形成する場合、上記酸素欠損の発生によってn型化した領域がトランジスタのチャネル長方向に延在することで短絡してしまうことがある。この場合、トランジスタの電気特性には、しきい値電圧のシフトにより、実用的なゲート電圧でオンオフの制御ができない状態(常時導通状態)が現れる。そのため、チャネル長が極短いトランジスタを形成する場合は、ソース電極およびドレイン電極に酸素と結合しやすい導電材料を用いることが必ずしも好ましいとはいえない場合がある。
このような場合にはソース電極406aおよびドレイン電極406bには、上述した材料よりも酸素と結合しにくい導電材料を用いることが好ましい。当該導電材料としては、例えば、窒化タンタル、窒化チタン、またはルテニウムを含む材料などを用いることができる。なお、当該導電材料を酸化物半導体404bと接触させる構成として、当該導電材料と前述した酸素と結合しやすい導電材料を積層してもよい。
絶縁体402aと絶縁体402c、ゲート絶縁体408には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、電子捕獲層402bには、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケートなどを一種以上含む絶縁体を用いることができる。なお、絶縁体402aと絶縁体402cの厚さは、1nm以上30nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下であり、電子捕獲層402bの厚さは、1nm以上20nm以下、好ましくは5nm以上10nm以下である。
ゲート電極401とゲート電極410は、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステンなどの導電体を用いることができる。また、当該ゲート電極は、上記材料の積層であってもよい。また、ゲート電極401とゲート電極410には、窒素を含んだ導電体を用いてもよい。たとえば、ゲート電極401とゲート電極410に窒化チタン上にタングステンの積層、窒化タングステン上にタングステンの積層、窒化タンタル上にタングステンの積層などを用いることができる。
ゲート絶縁体408、およびゲート電極410上には酸化物絶縁体412が形成されていてもよい。当該酸化物絶縁体には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁体を用いることができる。また、当該酸化物絶縁体は上記材料の積層であってもよい。
ここで、酸化物絶縁体412は過剰酸素を有することが好ましい。過剰酸素を含む酸化物絶縁体とは、加熱処理などによって酸素を放出することができる酸化物絶縁体をいう。好ましくは、昇温脱離ガス分光法分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm以上である層とする。上記昇温脱離ガス分光法分析における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。当該酸化物絶縁体から放出される酸素はゲート絶縁体408を経由して多層半導体404のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損が形成された場合においても酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、チャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
しかしながら、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように、酸化物半導体404bのチャネルが形成される領域を覆うように酸化物半導体404cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁体が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁体との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を高くすることができる。
また、酸化物半導体を真性または実質的に真性とすると、酸化物半導体に含まれるキャリア数の減少により、電界効果移動度の低下が懸念される。しかしながら、本発明の一態様のトランジスタにおいては、酸化物半導体に垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、酸化物半導体の全体的にゲート電界が印加させることとなり、電流は酸化物半導体のバルクを流れる。これによって、高純度真性化による、電気特性の変動の抑制を達成しつつ、トランジスタの電界効果移動度の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、酸化物半導体404bを酸化物半導体404a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果や、酸化物半導体404bを三層構造の中間層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、酸化物半導体404bは酸化物半導体404aと酸化物半導体404cで取り囲まれた構造(また、ゲート電極410で電気的に取り囲まれた構造)となり、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、SS値を小さくすることができる。したがって、ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。
また、図10に示すトランジスタ470を用いることもできる。図10(A)乃至図10(C)は、トランジスタ470の上面図および断面図である。図10(A)は上面図であり、図10(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図10(B)、一点鎖線C−Dの断面が図10(C)に相当する。なお、図10(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタ470は、ソース電極406aおよびドレイン電極406bを形成するとき、ソース電極406aおよびドレイン電極406bとなる導電体のオーバーエッチングがなく、下地絶縁体402がエッチングされていない形状となっている。
導電体をオーバーエッチングにより、下地絶縁体402をエッチングさせないようにするには、下地絶縁体402のエッチング速度を、導電体のエッチング速度よりも(十分に)小さくすればよい。
なお、電子捕獲層402bとして形成できる酸化ハフニウム、酸化アルミニウム等は、酸素の拡散を防ぐことができる。このため、図10(B)及び図10(C)に示すように、電子捕獲層402bが絶縁体402a上全面に形成されると、酸素がゲート電極401に移動すること防ぐことができる。なお、酸素は、酸化物絶縁体412をスパッタリング法で形成することで生じさせることができる。この結果、ゲート電極401の酸化を防ぐことが可能であり、ゲート電極401の抵抗の上昇を防ぐことができる。また、酸素を優先的に酸化物半導体404a乃至404cに移動させることが可能であり、酸化物半導体404a乃至404cの酸素欠損を低減することが可能である。
また、本実施の形態では、酸化物半導体404bを酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cで挟んでいる構成であったがこれに限られず、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cを有さず酸化物半導体404bのみがゲート電極に電気的に取り囲まれている構成としてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4で説明した図8に示すトランジスタ450の作製方法について、図11および図12を用いて説明する。
まず、基板400上に線状の溝を複数本形成し、その上にアルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステン、またはこれらを主成分とする合金材料を用いて、導電体を堆積した後、平坦化およびエッチングしてゲート電極401を形成する(図11(A)参照)。導電体は、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。
基板400には、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを用いてもよい。
さらに絶縁体402a、電子捕獲層402b、絶縁体402cよりなる下地絶縁体402を形成する(図11(B)参照)。
なお、下地絶縁体402にイオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて酸素を添加してもよい。酸素を添加することによって、下地絶縁体402から多層半導体404への酸素の供給をさらに容易にすることができる。
次に、下地絶縁体402上に酸化物半導体404a、酸化物半導体404bをスパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成する(図11(C)参照)。このとき、図示するように下地絶縁体402を若干過度にエッチングしてもよい。下地絶縁体402を過度にエッチングすることで、後に形成するゲート電極410で酸化物半導体404cを覆いやすくすることができる。
なお、酸化物半導体404a、酸化物半導体404bを島状に形成する際に、まず、酸化物半導体404b上にハードマスクとなる層(たとえばタングステン)およびレジストマスクを設け、ハードマスクとなる層をエッチングしてハードマスクを形成し、その後、レジストマスクを除去し、ハードマスクをマスクとして酸化物半導体404a、酸化物半導体404bをエッチングする。その後、レジストマスクを除去する。この時、エッチングするにつれて徐々にハードマスクの端部が縮小していくため、自然にハードマスクの端部が丸みを帯び、曲面を有する。これに伴い、酸化物半導体404bの形状も端部が丸みを帯び、曲面を有する。このような構成になることで、酸化物半導体404b上に形成される、酸化物半導体404c、ゲート絶縁体408、ゲート電極410、酸化物絶縁体412の被覆性が向上し、段切れ等の形状不良の発生を防ぐことができる。また、ソース電極406aおよびドレイン電極406bの端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。
また、酸化物半導体404a、酸化物半導体404bの積層、および後の工程で形成する酸化物半導体404cを含めた積層において連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(例えばスパッタリング装置)を用いて各層を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべく、クライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(5×10−7Paから1×10−4Pa程度まで)できること、かつ、成膜される基板を100℃以上、好ましくは500℃以上に加熱できることが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に炭素成分や水分等を含む気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度真性酸化物半導体を得るためには、チャンバー内を高真空排気するのみならずスパッタリングガスの高純度化も必要である。スパッタリングガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、および後の工程で形成される酸化物半導体404cには、実施の形態4で説明した材料を用いることができる。例えば、酸化物半導体404aにIn:Ga:Zn=1:3:4または1:3:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体404bにIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物、酸化物半導体404cにIn:Ga:Zn=1:3:4または1:3:2[原子数比]のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。
また、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cとして用いることのできる酸化物は、少なくともインジウム(In)もしくは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した層をIGZO層とも呼ぶ。
また、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、MnおよびCoから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
ただし、実施の形態4に詳細を記したように、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cは、酸化物半導体404bよりも電子親和力が小さくなるように材料を選択する。
なお、酸化物半導体の成膜には、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。特に、成膜時に発生するゴミを低減でき、かつ膜厚分布も均一とすることからDCスパッタリング法を用いることが好ましい。
酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cとしてIn−Ga−Zn酸化物を用いる場合、In、Ga、Znの原子数比としては、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=3:1:2、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:4:3、In:Ga:Zn=1:5:4、In:Ga:Zn=1:6:6、In:Ga:Zn=2:1:3、In:Ga:Zn=1:6:4、In:Ga:Zn=1:9:6、In:Ga:Zn=1:1:4、In:Ga:Zn=1:1:2のいずれかの材料を用い、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cの電子親和力が酸化物半導体404bよりも小さくなるようにすればよい。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−B)+(c−C)がr以下であることを満たすことをいう。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
また、酸化物半導体404bは、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがGaよりも多い組成となる酸化物はInがGaと同等または少ない組成となる酸化物と比較してキャリア移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体404bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い移動度のトランジスタを実現することができる。
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であって不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a−like OSは、微小な領域において周期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図13(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図13(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図13(B)に示す。図13(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
図13(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図13(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図13(B)および図13(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上3nm以下程度であり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる(図13(D)参照。)。図13(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図13(D)に示す領域5161に相当する。
また、図14(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図14(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図14(B)、図14(C)および図14(D)に示す。図14(B)、図14(C)および図14(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図15(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図15(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図15(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図16(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnOの結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図16(B)に示す。図16(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図16(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図16(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
上述したように、CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10−9/cm以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いた場合、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークは検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)およびCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnOの結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa−b面に対応する。
図17は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図17より、a−like OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図17中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/nmにおいては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図17中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
酸化物半導体404bの形成後に、第1の加熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、第1の加熱処理の雰囲気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体404bの結晶性を高め、さらに下地絶縁体402、酸化物半導体404aから水素や水などの不純物を除去することができる。なお、酸化物半導体404bを形成するエッチングの前に第1の加熱工程を行ってもよい。
次に、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404b上にソース電極406aおよびドレイン電極406bとなる第1の導電体を形成する。第1の導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデンおよびタングステン、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。例えば、スパッタリング法などにより100nmのチタン層を形成する。またCVD法によりタングステン層を形成してもよい。
次に、第1の導電体を酸化物半導体404b上で分断するようにエッチングし、ソース電極406aおよびドレイン電極406bを形成する(図11(D)参照)。
次に、酸化物半導体404b、ソース電極406aおよびドレイン電極406b上に、酸化物半導体403cを成膜する。
なお、酸化物半導体403cを成膜後に第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件で行うことができる。第2の加熱処理により、酸化物半導体403cから水素や水などの不純物を除去することができる。また、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404bから、さらに水素や水などの不純物を除去することができる。
次に、酸化物半導体403c上にゲート絶縁体408となる絶縁体407を形成する(図12(A)参照)。絶縁体407は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法などを用いて形成することができる。
次に、絶縁体407上にゲート電極410となる第2の導電体409を形成する(図12(B)参照)。第2の導電体409としては、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、タンタルおよびタングステン、またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。第2の導電体409は、スパッタリング法やCVD法などにより形成することができる。また、第2の導電体409としては、窒素を含んだ導電体を用いてもよく、上記導電体と窒素を含んだ導電体の積層を用いてもよい。
次に、ゲート電極410を形成するためのレジストマスクを用いて、第2の導電体409を選択的にエッチングし、ゲート電極410を形成する(図12(C)参照)。なお、図8(C)に示すように、ゲート電極410は、酸化物半導体404bを電気的に取り囲むように形成される。
続いて、上記レジストマスクまたはゲート電極410をマスクとして絶縁体407を選択的にエッチングし、ゲート絶縁体408を形成する。
続いて、上記レジストマスクまたはゲート電極410をマスクとして酸化物半導体403cをエッチングし、酸化物半導体404cを形成する。
つまり、酸化物半導体404cの上端部はゲート絶縁体408の下端部と一致し、ゲート絶縁体408の上端部はゲート電極410の下端部と一致する。なお、ゲート電極410をマスクとしてゲート絶縁体408および酸化物半導体404cを形成しているがこれに限られず、第2の導電体409の成膜前にゲート絶縁体408および酸化物半導体404cを形成してもよい。
次に、ソース電極406a、ドレイン電極406b、ゲート電極410上に酸化物絶縁体412を形成する(図8(B)、図8(C)参照)。酸化物絶縁体412は、絶縁体402aと同様の材料、方法を用いて形成することができる。酸化物絶縁体412としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタル、もしくは窒素を含む酸化物絶縁体を用いるとよい。酸化物絶縁体412は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成することができ、多層半導体404に対し酸素を供給できるよう過剰に酸素を含む層とすることが好ましい。
次に、第3の加熱処理を行ってもよい。第3の加熱処理は、第1の加熱処理と同様の条件で行うことができる。第3の加熱処理により、下地絶縁体402、ゲート絶縁体408、酸化物絶縁体412から過剰酸素が放出されやすくなり、多層半導体404の酸素欠損を低減することができる。
次に、第4の加熱処理を行う。第4の加熱処理は、125℃以上450℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下の温度で、ゲート電極401の電位をソースやドレインの電位より高い状態を、1秒以上、代表的には1分以上維持することで、多層半導体404からゲート電極401に向かって、必要とする電子が移動し、そのうちのいくらかは電子捕獲層402bの内部または界面にある電子捕獲準位に捕獲される。このようにして、捕獲される電子の量を制御して、しきい値電圧の増加幅を制御することができる。
以上の工程で、図8に示すトランジスタ450を作製することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4のトランジスタ450と異なる構成のトランジスタについて説明する。
図18(A)乃至図18(C)は、本発明の一態様のトランジスタの上面図および断面図である。図18(A)は上面図であり、図18(A)に示す一点鎖線A−Bの断面が図18(B)、一点鎖線C−Dの断面が図18(C)に相当する。なお、図18(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、一点鎖線A−B方向をチャネル長方向、一点鎖線C−D方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
図18(A)乃至図18(C)に示すトランジスタ550は、基板400上の下地絶縁体402と、下地絶縁体402上の酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404bと、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404b上のソース電極406aおよびドレイン電極406bと、下地絶縁体402、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、ソース電極406aおよびドレイン電極406bと接する酸化物半導体404cと、酸化物半導体404c上のゲート絶縁体408と、ゲート絶縁体408上のゲート電極410と、ソース電極406a、ドレイン電極406b、およびゲート電極410上の酸化物絶縁体412と、を有する。また、下地絶縁体402は、絶縁体402a、電子捕獲層402b、絶縁体402cを有する。また、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、および酸化物半導体404cを総称して多層半導体404と呼称する。
実施の形態4のトランジスタ450と本実施の形態のトランジスタ550の相違点は、チャネル長およびチャネル幅がいずれも、多層半導体404の厚さよりも2倍以上、代表的には10倍以上大きいことである。
なお、チャネル長とは、上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との距離をいう。すなわち、図18(A)では、チャネル長は、酸化物半導体404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとの距離となる。チャネル幅とは、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが平行に向かい合っている長さをいう。すなわち、図18(A)では、チャネル幅は、酸化物半導体404bとゲート電極410とが重なる領域における、ソース電極406aとドレイン電極406bとが平行に向かい合っている長さをいう。
また、図19(A)に示すトランジスタ560を用いることもできる。図19(A)は、トランジスタ560の断面図である。トランジスタ550とトランジスタ560の違いは、ゲート電極401がトランジスタ560は、ソース電極406aとは重なるが、ドレイン電極406bと重ならないことである。このため、ゲート電極401とドレイン電極406bとの寄生容量を低減できる。逆に、ゲート電極401を、ドレイン電極406bとは重なるが、ソース電極406aと重ならないように配置してもよい。
また、図19(B)に示すトランジスタ570を用いることもできる。図19(B)は、トランジスタ570の断面図である。トランジスタ560とトランジスタ570の違いは、ゲート電極401が、トランジスタ570は、ソース電極406a、ドレイン電極406bのいずれとも重ならないことである。このため、ゲート電極401とソース電極406a、ドレイン電極406bとの寄生容量を低減できる。ゲート電圧が0Vの時のドレイン電流を低減するには、チャネルの一部でもしきい値が高ければよいので、このような構成とすることもできる。
また、本実施の形態では、酸化物半導体404bを酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cで挟んでいる構成であったがこれに限られず、酸化物半導体404aおよび酸化物半導体404cを有さず酸化物半導体404bのみがある構成としてもよい。または、酸化物半導体404a、酸化物半導体404b、酸化物半導体404cのいずれか1つまたは2つだけで構成されてもよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について、図面を参照して説明する。
図20(A)、図20(B)に半導体装置の回路図を、図20(C)、図20(D)に半導体装置の断面図をそれぞれ示す。図20(C)、図20(D)はそれぞれ、左側にトランジスタ450のチャネル長方向の断面図を示し、右側にチャネル幅方向の断面図を示している。また回路図には、酸化物半導体が適用されたトランジスタであることを明示するために、「OS」の記載を付している。
図20(C)、図20(D)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタを有する。ここでは、第2の半導体材料を用いたトランジスタとして、実施の形態4で例示したトランジスタ450を適用した例について説明する。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等など)とし、第2の半導体材料を実施の形態4で説明した酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリコンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が低い。
ここでは、トランジスタ2200がpチャネル型のトランジスタであるものとして説明するが、nチャネル型のトランジスタを用いて異なる回路を構成できることは言うまでもない。また、酸化物半導体を用いた実施の形態4に示すようなトランジスタを用いる他は、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
図20(A)、図20(C)、図20(D)に示す構成は、pチャネル型のトランジスタとnチャネル型のトランジスタを直列に接続し、且つ、それぞれのゲートを接続した、いわゆるCMOS回路の構成例について示している。
本発明の一態様の酸化物半導体が適用されたトランジスタは、オン電流が高められているため、回路の高速動作が可能となる。
図20(C)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁体2201を介してトランジスタ450が設けられている。また、トランジスタ2200とトランジスタ450の間には複数の配線2202が設けられている。また各種絶縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、上層と下層にそれぞれ設けられた配線や電極が電気的に接続されている。また、トランジスタ450を覆う絶縁体2204と、絶縁体2204上に配線2205と、トランジスタの一対の電極と同一の導電体を加工して形成された配線2206と、が設けられている。
このように、2つのトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され、より高密度に複数の回路を配置することができる。
図20(C)では、トランジスタ450のソースまたはドレインの一方と、トランジスタ2200のソースまたはドレインの一方が配線2202やプラグ2203によって電気的に接続されている。また、トランジスタ450のゲートは、配線2205、配線2206、プラグ2203および配線2202などを経由して、トランジスタ2200のゲートと電気的に接続されている。
図20(D)に示す構成では、トランジスタ450のゲート絶縁体にプラグ2203を埋め込むための開口部が設けられ、トランジスタ450のゲートとプラグ2203とが接する構成となっている。このような構成とすることで回路の集積化が容易であるのに加え、図20(C)に示す構成と比較して経由する配線やプラグの数や長さを低減できるため、回路をより高速に動作させることができる。
ここで、図20(C)、図20(D)に示す構成において、トランジスタ450やトランジスタ2200の電極の接続構成を異ならせることにより、様々な回路を構成することができる。例えば図20(B)に示すように、それぞれのトランジスタのソースとドレインを接続した回路構成とすることにより、いわゆるアナログスイッチとして機能させることができる。
また、先の実施の形態のトランジスタを用いて、対象物の情報を読み取るイメージセンサ機能を有する半導体装置を作製することができる。
図21に、イメージセンサ機能を有する半導体装置の等価回路の一例を示す。
フォトダイオード602は、一方の電極がフォトダイオードリセット信号線658に、他方の電極がトランジスタ640の一方のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ640は、ソースまたはドレインの一方がフォトセンサ基準信号線672に、ソースまたはドレインの他方がトランジスタ656のソースまたはドレインの一方に電気的に接続されている。トランジスタ656は、一方のゲートがゲート信号線659に、ソースまたはドレインの他方がフォトセンサ出力信号線671に電気的に接続されている。また、トランジスタ640の他方のゲート(バックゲート)およびトランジスタ656の他方のゲート(バックゲート)は接地線673に接続される。
フォトダイオード602には、例えば、p型の導電型を有する半導体と、高抵抗な(i型の導電型を有する)半導体と、n型の導電型を有する半導体を積層するpin型のフォトダイオードを適用することができる。
フォトダイオード602に入射する光を検出することによって、被検出物の情報を読み取ることができる。なお、被検出物の情報を読み取る際に、バックライトなどの光源を用いることができる。
なお、トランジスタ640およびトランジスタ656には、先の実施の形態のいずれかで一例を示した、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタを用いることができる。図21では、トランジスタ640およびトランジスタ656が、酸化物半導体を含むことを明確に判明できるよう、トランジスタの記号に「OS」と付記している。
トランジスタ640およびトランジスタ656は、上記実施の形態で一例を示したトランジスタであり、酸化物半導体をゲート電極によって電気的に囲い込む構成を有することが好ましい。また、端部が丸みを帯び、曲面を有する酸化物半導体を用いたトランジスタであると、酸化物半導体上に形成される層の被覆性を向上させることができる。また、ソース電極およびドレイン電極の端部に生じる恐れのある電界集中を緩和することができ、トランジスタの劣化を抑制することができる。よって、トランジスタ640およびトランジスタ656は、電気的特性変動が抑制された電気的に安定なトランジスタである。該トランジスタを含むことで、図21で示すイメージセンサ機能を有する半導体装置として信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で例示したトランジスタ、または記憶装置を含むRFタグについて、図22を用いて説明する。
本実施の形態におけるRFタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このような特徴から、RFタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う個体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いるためには極めて高い信頼性が要求される。
RFタグの構成について図22を用いて説明する。図22は、RFタグの構成例を示すブロック図である。
図22に示すようにRFタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタなどともいう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアンテナ804を有する。また、RFタグ800は、整流回路805、定電圧回路806、復調回路807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している。なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタに逆方向電流を十分に抑制することが可能な材料、例えば、酸化物半導体が用いられた構成としてもよい。これにより、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和することを防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけることができる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信する電波方式の3つに大別される。本実施の形態に示すRFタグ800は、そのいずれの方式に用いることも可能である。
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたアンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側または出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しないように制御するための回路である。
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するための回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していてもよい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路809のリセット信号を生成するための回路である。
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに応じて変調をおこなうための回路である。
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は、入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域などを有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を行うための回路である。
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
ここで、先の実施の形態で説明した記憶回路を、記憶回路810に用いることができる。本発明の一態様の記憶回路は、電源が遮断された状態であっても情報を保持できるため、RFタグに好適に用いることができる。さらに本発明の一態様の記憶回路は、データの書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて著しく小さいため、データの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。さらに、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制することができる。
また、本発明の一態様の記憶回路は、不揮発性のメモリとして用いることが可能であるため、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデータを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザーが自由に書き換えできないようにしておくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷することで、作製したRFタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良品にのみ固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続になることがなく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、少なくとも実施の形態で説明したトランジスタを用いることができ、先の実施の形態で説明した記憶装置を含むCPUについて説明する。
図23は、先の実施の形態で説明したトランジスタを少なくとも一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図である。
図23に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithmetic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース1198(Bus I/F)、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース1189(ROM I/F)を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図23に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。例えば、図23に示すCPUまたは演算回路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作するような構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例えば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号を元に、内部クロック信号を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号を上記各種回路に供給する。
図23に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルとして、先の実施の形態に示したトランジスタを用いることができる。
図23に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
図24は、レジスタ1196として用いることのできる記憶回路の回路図の一例である。記憶回路1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と、を有する。なお、記憶回路1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダクタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
ここで、回路1202には、先の実施の形態で説明した記憶装置を用いることができる。記憶回路1200への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートには接地電位(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とする。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とする。
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213のオン状態またはオフ状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1214のオン状態またはオフ状態)が選択される。
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極のうちの一方、及びトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッチ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一方)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードM1とする。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子1208の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGND線)と電気的に接続される。
なお、容量素子1207及び容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等を積極的に利用することによって省略することも可能である。
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力される。スイッチ1203及びスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号RDによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と第2の端子の間は非導通状態となる。
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデータに対応する信号が入力される。図24では、回路1201から出力された信号が、トランジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介して回路1201に入力される。
なお、図24では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206及び回路1220を介して回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
また、図24において、記憶回路1200に用いられるトランジスタのうち、トランジスタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶回路1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタとすることもできる。または、記憶回路1200は、トランジスタ1209以外にも、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのトランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板1190にチャネルが形成されるトランジスタとすることもできる。
図24における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用いることができる。
本発明の一態様のける半導体装置では、記憶回路1200に電源電圧が供給されない間は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子1208によって保持することができる。
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。例えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有するシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのため、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶回路1200に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり保たれる。こうして、記憶回路1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(データ)を保持することが可能である。
また、スイッチ1203及びスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ動作を行うことを特徴とする記憶回路であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジスタ1210のゲートに入力される。そのため、記憶回路1200への電源電圧の供給が再開された後、容量素子1208によって保持された信号を、トランジスタ1210の状態(オン状態、またはオフ状態)に変換して、回路1202から読み出すことができる。それ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元の信号を正確に読み出すことが可能である。
このような記憶回路1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなどの記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、または複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力を抑えることができる。
本実施の形態では、記憶回路1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶回路1200は、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(Programmable Logic Device)等のLSI、RFタグ(Radio Frequency Tag)にも応用可能である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示パネルの構成例について説明する。
[構成例]
図25(A)は、本発明の一態様の表示パネルの上面図であり、図25(B)は、本発明の一態様の表示パネルの画素に液晶素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。また、図25(C)は、本発明の一態様の表示パネルの画素に有機EL素子を適用する場合に用いることができる画素回路を説明するための回路図である。
画素部に配置するトランジスタは、上記実施の形態に従って形成することができる。また、当該トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、駆動回路のうち、nチャネル型トランジスタで構成することができる駆動回路の一部を画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。このように、画素部や駆動回路に上記実施の形態に示すトランジスタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
アクティブマトリクス型表示装置のブロック図の一例を図25(A)に示す。表示装置の基板700上には、画素部701、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704を有する。画素部701には、複数の信号線が信号線駆動回路704から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路702、及び第2の走査線駆動回路703から延伸して配置されている。なお走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられている。また、表示装置の基板700はFPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続されている。
図25(A)では、第1の走査線駆動回路702、第2の走査線駆動回路703、信号線駆動回路704は、画素部701と同じ基板700上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板700外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板700上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。
〔液晶パネル〕
また、画素の回路構成の一例を図25(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示パネルの画素に適用することができる画素回路を示す。
この画素回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ716のゲート配線712と、トランジスタ717のゲート配線713には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能するソース電極またはドレイン電極714は、トランジスタ716とトランジスタ717で共通に用いられている。トランジスタ716とトランジスタ717は上記実施の形態で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶表示パネルを提供することができる。
また、トランジスタ716には、第1の画素電極が電気的に接続され、トランジスタ717には、第2の画素電極が電気的に接続される。第1の画素電極と第2の画素電極とは、それぞれ分離されている。なお、第1の画素電極及び第2の画素電極の形状としては、特に限定は無い。く、例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ716のゲート電極はゲート配線712と接続され、トランジスタ717のゲート電極はゲート配線713と接続されている。ゲート配線712とゲート配線713に異なるゲート信号を与えてトランジスタ716とトランジスタ717の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
また、容量配線710と、誘電体として機能するゲート絶縁体と、第1の画素電極または第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで保持容量を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子718と第2の液晶素子719を備える。第1の液晶素子718は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子719は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成される。
なお、図25(B)に示す画素回路は、これに限定されない。例えば、図25(B)に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサ、または論理回路などを追加してもよい。
〔有機ELパネル〕
画素の回路構成の他の一例を図25(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示パネルの画素構造を示す。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極の一方から電子が、他方から正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、電子及び正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
図25(C)は、適用可能な画素回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。なお、本発明の一態様の金属酸化物膜は、nチャネル型のトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる。また、当該画素回路は、デジタル時間階調駆動を適用することができる。
適用可能な画素回路の構成及びデジタル時間階調駆動を適用した場合の画素の動作について説明する。
画素720は、スイッチング用トランジスタ721、駆動用トランジスタ722、発光素子724及び容量素子723を有している。スイッチング用トランジスタ721は、ゲート電極が走査線726に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線725に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ722のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ722は、ゲート電極が容量素子723を介して電源線727に接続され、第1電極が電源線727に接続され、第2電極が発光素子724の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子724の第2電極は共通電極728に相当する。共通電極728は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続される。
スイッチング用トランジスタ721及び駆動用トランジスタ722は上記実施の形態で説明するトランジスタを適宜用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表示パネルを提供することができる。
発光素子724の第2電極(共通電極728)の電位は低電源電位に設定する。なお、低電源電位とは、電源線727に供給される高電源電位より低い電位であり、例えばGND、0Vなどを低電源電位として設定することができる。発光素子724の順方向のしきい値電圧以上となるように高電源電位と低電源電位を設定し、その電位差を発光素子724に印加することにより、発光素子724に電流を流して発光させる。なお、発光素子724の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。
なお、容量素子723は駆動用トランジスタ722のゲート容量を代用することにより省略できる。駆動用トランジスタ722のゲート容量については、チャネル形成領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
次に、駆動用トランジスタ722に入力する信号について説明する。電圧入力電圧駆動方式の場合、駆動用トランジスタ722が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を、駆動用トランジスタ722に入力する。なお、駆動用トランジスタ722を線形領域で動作させるために、電源線727の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ722のゲート電極にかける。また、信号線725には、電源線電圧に駆動用トランジスタ722の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ722のゲート電極に発光素子724の順方向電圧に駆動用トランジスタ722の閾値電圧Vthを加えた値以上の電圧をかける。なお、駆動用トランジスタ722が飽和領域で動作するようにビデオ信号を入力し、発光素子724に電流を流す。また、駆動用トランジスタ722を飽和領域で動作させるために、電源線727の電位を、駆動用トランジスタ722のゲート電位より高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子724にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
なお、画素回路の構成は、図25(C)に示す画素構成に限定されない。例えば、図25(C)に示す画素回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサ、トランジスタまたは論理回路などを追加してもよい。
図25で例示した回路に上記実施の形態で例示したトランジスタを適用する場合、低電位側にソース電極(第1の電極)、高電位側にドレイン電極(第2の電極)がそれぞれ電気的に接続される構成とする。さらに、制御回路等により第1のゲート電極の電位を制御し、第2のゲート電極には図示しない配線によりソース電極に与える電位よりも低い電位など、上記で例示した電位を入力可能な構成とすればよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態11)
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯データ端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図26に示す。
図26(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイクロフォン905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908等を有する。なお、図26(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図26(B)は携帯データ端末であり、第1筐体911、第2筐体912、第1表示部913、第2表示部914、接続部915、操作キー916等を有する。第1表示部913は第1筐体911に設けられており、第2表示部914は第2筐体912に設けられている。そして、第1筐体911と第2筐体912とは、接続部915により接続されており、第1筐体911と第2筐体912の間の角度は、接続部915により変更が可能である。第1表示部913における映像を、接続部915における第1筐体911と第2筐体912との間の角度に従って、切り替える構成としてもよい。また、第1表示部913及び第2表示部914の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしてもよい。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図26(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体921、表示部922、キーボード923、ポインティングデバイス924等を有する。
図26(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体931、冷蔵室用扉932、冷凍室用扉933等を有する。
図26(E)はビデオカメラであり、第1筐体941、第2筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944及びレンズ945は第1筐体941に設けられており、表示部943は第2筐体942に設けられている。そして、第1筐体941と第2筐体942とは、接続部946により接続されており、第1筐体941と第2筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能である。表示部943における映像を、接続部946における第1筐体941と第2筐体942との間の角度に従って切り替える構成としてもよい。
図26(F)は自動車であり、車体951、車輪952、ダッシュボード953、ライト954等を有する。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るRFタグの使用例について図27を用いながら説明する。RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図27(A)参照)、記録媒体(DVDやビデオテープ等、図27(B)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図27(C)参照)、乗り物類(自転車等、図27(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取り付ける荷札(図27(E)、図27(F)参照)等に設けて使用することができる。
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであれば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタグ4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証書類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付けることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
以上のように、本発明の一態様に係わるRFタグを本実施の形態に挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減できるため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっても情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途にも好適に用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
実施例1では、電子捕獲層をゲート絶縁体に用いてMIS(Metal Insulator Silicon)構造の試料1、試料2、試料3および試料4を作製し、C−V測定を行った。
n型シリコンウエハー上にプラズマCVD法にて、第1の絶縁体として酸化窒化シリコン膜を厚さ10nm成膜した。次に、電子捕獲層として、ALD(Atomic Layer Deposition)法により、酸化ハフニウム膜を厚さ20nm成膜し、さらに第2の絶縁体として、酸化窒化シリコン膜を厚さ30nm成膜した。これを試料1、試料2および試料3とした。なお、試料1乃至試料3において、第1の絶縁体、電子捕獲層、及び第2の絶縁体がゲート絶縁膜として機能する。
次に、試料4として、n型シリコンウエハー上にプラズマCVD法にて、酸化窒化シリコン膜を45nm単層を成膜した。試料4に成膜した酸化窒化シリコン膜45nmと、試料1、試料2および試料3に成膜した酸化窒化シリコン膜10nmおよび酸化ハフニウム膜20nmおよび酸化窒化シリコン膜30nmの3層積層膜と、は、酸化シリコン膜厚に換算した電気的に等価な膜厚(EOT:Equivalent oxide thickness)である。なお、試料4において、酸化窒化シリコン膜がゲート絶縁膜として機能する。
その後、試料1は、熱処理を行わず、試料2は、酸素雰囲気で490℃の熱処理を行った。試料3および試料4は、酸素雰囲気で550℃の熱処理を行った。
次に導電体をスパッタ法により成膜した。ここでは、窒化タンタル、タングステン、アルミニウムの積層膜とした。導電体をリソグラフィー法を用いて、ゲート電極を形成した。最後にシリコンウエハの裏面にアルミニウム膜を400nm成膜し、裏面電極を形成した。
図28に、NGBT(Negative Gate Bias Temperature)ストレス前後のC−V特性を示す。図28(A)は試料1に、図28(B)は試料2に、図28(C)は試料3に、図28(D)は試料4に対応する。
最初に初期特性を測定し、次にNGBTストレスを与え、その後に初期特性と同じ条件にて測定した。初期測定は、室温にてゲート電圧(Vg)を−10Vから、+10Vへ一回のみのスキャンとし、測定周波数は10kHzで行った。NGBTストレス条件は、温度150℃にて、Vgに−3.3V印加し、ストレス時間は1時間とした。その後、ストレスの印加を止め、再度初期特性の測定と同様の条件にてNGBTストレス後の測定を行った。
試料1は、初期特性の測定ではフラットバンド電圧(Vfb)=0.20Vであり、NGBT後の測定ではVfb=0.30Vであった。試料2は、初期特性の測定ではVfb=1.80Vであり、NGBT後の測定ではVfb=1.90Vであった。試料3は、初期特性の測定ではVfb=2.60Vであり、NGBT後の測定ではVfb=2.70Vであった。試料4は、初期特性の測定ではVfb=−1.00Vであり、NGBT後の測定ではVfb=−1.10Vであった。
この結果から、ゲート絶縁体成膜後に熱処理を行うことで電子捕獲層へ電荷が注入され、Vfbがプラス方向へシフトしたことを確認することができた。また、NGBT試験前後では、ほとんどVfbのシフトが見られず、電子捕獲層へ注入された電荷量の変化はほとんど無かったと考えられる。Vfbのシフト量の熱処理温度依存性が見られ、熱処理温度が高いほど、Vfbのシフト量が大きく、つまり電子捕獲層への電荷注入量が多くなると判断できる。電子捕獲層を有しない試料4は、熱処理を行ってもVfbのシフトは殆ど見られなかった。
次に、同じ試料中の別の測定ポイントを用いて、裏面電極に電圧を印加した後にC−V測定を行った。裏面電極への電圧の印加は、室温にて、+35Vを0.1秒間印加した。
次に、同試料にNGBTストレスを与えた後に、再度C−V測定を行った。NGBTストレス条件は、上記と同様である。
図29に、各試料の裏面電極への電圧の印加前後のC−V特性を示す。図29(A)は試料1に、図29(B)は試料2に、図29(C)は試料3に、図29(D)は試料4に対応する。図30には、NGBTストレス後のC−V特性を示す。図30(A)は試料1に、図30(B)は試料2に、図30(C)は試料3に、図30(D)は試料4に対応する。
試料1はVfb=0.10Vが、裏面電極への電圧の印加後には1.00Vへシフトした。試料2はVfb=1.80Vが、裏面電極への電圧の印加後には2.20Vへシフトした。試料3はVfb=2.50Vが、裏面電極への電圧の印加後には2.80Vへシフトした。試料4はVfb=−1.00Vが、裏面電極への電圧の印加後も−1.00Vと、Vfbのシフトは見られなかった。NGBTストレス後の測定では、どの試料もVfbのシフトはほとんど見られなかった。
この結果から室温にて裏面電極へ電圧の印加を行うことでも、電子捕獲層へ電荷が注入され、Vfbがプラス方向へシフトすることを確認した。ゲート絶縁体成膜後に熱処理を行っていない場合は、元々の電子捕獲層への電荷の注入量が少ないので、Siウエハへ電圧の印加によるVfbのプラスシフト量が最も大きい結果となった。また、NGBTストレス後には、どの試料もVfbのシフトは見られなかったことから、NGBTストレスでは、電子捕獲層の電荷の移動は殆どないものと判断できる。ここでも電子捕獲層を有しない試料4は、Vfbのシフトが見られなかった。
以上の結果より、熱処理または電圧の印加によって、電子捕獲層に電荷が注入されることが確認された。
実施例2では、電子捕獲層の断面TEM(Transmission Electron Microscopy)像の観察を行った。観察した試料は、実施例1と同じ試料である。断面TEM像を図31に示す。図31(A)は試料1に、図31(B)は試料2に、図31(C)は試料3に対応する。
ゲート絶縁体成膜後に熱処理を行った、試料2及び試料3において、電子捕獲層、ここでは酸化ハフニウム膜に結晶性を示す格子縞が観察された。結晶性は、ゲート絶縁体成膜後の熱処理温度に依存しており、熱処理を行わなかった試料1(図31(A)参照)は、観測した範囲内には格子縞が観察されず、熱処理温度490℃を行った試料2(図31(B)参照)は、観測した範囲内の一部に格子縞が観測され、熱処理温度550℃を行った試料3(図31(C)参照)は、観測した範囲内の殆どに格子縞が観測された。
本実施例では、図8に示す、電子捕獲層402bを有するトランジスタ450を実施の形態5で説明した作製方法にて、作製してトランジスタ特性を測定した。また、比較用として電子捕獲層402bを有しないトランジスタも作製した。
まず、トランジスタの初期特性を測定した。ソース−ドレイン間電圧(以下、ドレイン電圧Vdという。)を0.1V、1.8Vとし、ソース−ゲート間電圧(以下、ゲート電圧Vgという。)を−3Vから+3Vまで変化させたときのソース−ドレイン間電流(以下、ドレイン電流Idという。)の変化を測定した。すなわちId−Vg特性を測定した。図32(A)に電子捕獲層402bを有するトランジスタのId−Vg特性を示す。また、図32(B)には、電子捕獲層402bを有しないId−Vg特性を示す。初期特性においては、電子捕獲層402bの有無による差は小さかった。
次に、ソース電極406aと、ドレイン電極406bと、ゲート電極410と、を全てアース電位に固定して、ゲート電極401へ電圧を印加した。ここでは、電子捕獲層402bを有するトランジスタは、室温にて、電圧を+35Vに固定し、電圧の印加時間を10msec、30msec、50msec、70msecと変化させた。電圧印加後に再び、トランジスタのId−Vg特性を測定した。測定条件は、上述した初期特性の条件と同じである。
また、電子捕獲層402bを有しないトランジスタは、室温にて、電圧を+35Vに固定し、電圧の印加時間を100msec、300msec、500msec、700msecと変化させた。電圧印加後に再び、トランジスタのId−Vg特性を測定した。測定条件は、上述した初期特性の条件と同じである。
Vd=1.8VでのId−Vg特性結果を示す。尚、Shiftとは、Id−Vgトランジスタ特性において、ドレイン電流Id=1.0×10−12(A)の時のゲート電圧Vgの値と定義する。また、ΔShiftとは、Shiftの変化量を表す。電子捕獲層402bを有するトランジスタの特性を図33、図34(A)、(B)に示す。上述の方法でゲート電極401へ電圧を印加することにより、Id−Vgカーブはプラス方向にシフトした。さらにShiftは、電圧の印加時間の増加に依存して増加した。一方、電子捕獲層402bを有しないトランジスタは、上述の方法でゲート電極401に電圧を印加してもId−Vgカーブはプラス方向に僅かしかシフトせず、さらに電圧の印加時間を長くしてもシフト量は僅かであった(図35(A)、(B)参照)。
この結果により、電子捕獲層402bを有するトランジスタのゲート電極401に、電圧を短時間、ここでは、10msecから70msec印加することで、電子捕獲層402bに電子が捕獲され、電子捕獲層402bは電子捕獲層として機能していると判断できる。
次に、電子捕獲層402bを有する、別の試料を用いて、上述と同じ方法で、ゲート電極401に、室温にて、+35Vの電圧を100msec印加して、Id−Vgカーブをプラス方向へシフトさせ、その後、+Drain Bias Temperature(+DBT)ストレス試験を行った。+DBTストレス試験は、温度=150℃にて、ドレイン電圧Vd=+0.1Vと、+1.8V、ソース電圧Vs=0Vに設定して、最大12時間(43200sec)のストレスを与えた。途中、ストレス開始から、100sec後、600sec後、1000sec後、1800sec後、3600sec(1hr)後、7200sec(2Hr)後、1000sec後、18000sec(5Hr)後、32400sec(9Hr)後、43200sec(12Hr)後にそれぞれ150℃の温度でId−Vg測定を行った。
結果を図36(A)、(B)に示す。図36(A)は、ストレス開始から、0sec後、600sec後、3600sec(1Hr)後、18000sec(5Hr)後、43200sec(12Hr)後のId−Vg特性の変動を記録した。図36(B)は、上述した全ての時間でVd=+1.8VでのΔShiftをプロットした。この結果、+DBTストレス試験12時間を行っても、Shiftの変動量、すなわちΔShiftは0.1V以下であった。これらの結果から電子捕獲層へ注入された電子は、安定して捕獲されていると考えられる。
これにより、電子捕獲層402bを有するトランジスタは、実施の形態2で記載した、長期のデータ保存が要求される、プログラム用メモリ回路に使用することが可能であることが解った。
本実施例では、実施例3と同様に、図8に示す、電子捕獲層402bを有するトランジスタ450を実施の形態5で説明した方法で作製した。露光装置の1ショット内(20mm × 20mmの領域内)60ポイントのトランジスタ特性を測定し、ばらつきを評価した。
まず、トランジスタの初期特性を測定した。ドレイン電圧Vdを1.8Vとし、ゲート電圧Vgを−3Vから+3Vまで変化させ、Id−Vg特性を測定した。Id−Vg特性からShiftを測定した。Shift、ΔShiftに関しては、実施例3を参酌する。
次に、ソース電極406aと、ドレイン電極406bと、ゲート電極410と、を全てアース電位に固定して、ゲート電極401へ電圧を印加した。室温にて、電圧を+36V、+38V、+40Vと変化させ、電圧の印加時間は200msecに固定した。電圧印加後に再び、トランジスタのId−Vg特性を測定した。測定条件は、上述した初期特性の条件と同じである。
図37(A)に印加電圧+36V、+38V、+40V前後の各Shiftをプロットした。電圧印加前のShiftのばらつきと電圧印加後のShiftのばらつきを比較すると、電圧印加後の方が多少ばらつきが大きくなっていることを確認した。
詳しくは、電圧印加前のShiftの標準偏差(σ:シグマ)は0.127Vであり、3σは0.380V、+36V印加後では、σは0.150Vであり、3σは0.449V、電圧印加前のShiftのσは0.052Vであり、3σは0.157V、+38V印加後では、σは0.073Vであり、3σは0.218V、電圧印加前のShiftのσは0.060Vであり、3σは0.180V、+40V印加後では、σは0.087Vであり、3σは0.260Vとそれぞれ変化した。この結果、ばらつきは十分小さいことがわかった。
図37(B)には、ΔShiftの印加電圧依存性のグラフを示した。Shiftの電圧依存性が見られ、Shiftのばらつきは、印加電圧によらずおおよそ一定であった。
また、図38に、印加電圧+36V、+38V、+40Vを印加後のΔShiftの正規確率プロット図を示す。印加電圧+36V、+38V、+40VともにRange値=Max値−Min値は約0.3Vであった。また、σは約0.07Vであり、3σは約0.20Vであった。
詳しくは、印加電圧+36Vでは、ΔShiftの平均値は、0.796Vで、σは、0.065Vであり、3σは0.196V、印加電圧+38Vでは、ΔShiftの平均値は、1.071Vで、σは、0.055Vであり、3σは0.164V、印加電圧+40Vでは、ΔShiftの平均値は、1.330Vで、σは、0.070Vであり、3σは0.210Vであった。
これにより、電子捕獲層402bを有するトランジスタ450の特性は、電圧印加後の特性においても1ショット内のばらつきは十分に小さく、長期のデータ保存が要求される、プログラム用メモリ回路に使用することが可能であることが解った。
101 半導体
102 絶縁体
102a 絶縁体
102b 電子捕獲層
102c 絶縁体
102d 導電体
102e 絶縁体
103 ゲート電極
104 絶縁体
105 ゲート電極
106 電子捕獲準位
107 電子
108 曲線
109 曲線
110 トランジスタ
111 容量素子
300 半導体装置
301 中央演算処理回路
302 データ用メモリ回路
303 制御回路
304 プログラム用メモリ回路
305 メモリセル
310 半導体装置
351 トランジスタ
352 トランジスタ
353 容量素子
354 バックゲート電極
400 基板
401 ゲート電極
402 下地絶縁体
402a 絶縁体
402b 電子捕獲層
402c 絶縁体
403c 酸化物半導体
404 多層半導体
404a 酸化物半導体
404b 酸化物半導体
404c 酸化物半導体
406a ソース電極
406b ドレイン電極
407 絶縁体
408 ゲート絶縁体
409 導電体
410 ゲート電極
412 酸化物絶縁体
450 トランジスタ
470 トランジスタ
550 トランジスタ
560 トランジスタ
570 トランジスタ
602 フォトダイオード
640 トランジスタ
656 トランジスタ
658 フォトダイオードリセット信号線
659 ゲート信号線
671 フォトセンサ出力信号線
672 フォトセンサ基準信号線
673 接地線
700 基板
701 画素部
702 走査線駆動回路
703 走査線駆動回路
704 信号線駆動回路
710 容量配線
712 ゲート配線
713 ゲート配線
714 ドレイン電極
716 トランジスタ
717 トランジスタ
718 液晶素子
719 液晶素子
720 画素
721 スイッチング用トランジスタ
722 駆動用トランジスタ
723 容量素子
724 発光素子
725 信号線
726 走査線
727 電源線
728 共通電極
800 RFタグ
801 通信器
802 アンテナ
803 無線信号
804 アンテナ
805 整流回路
806 定電圧回路
807 復調回路
808 変調回路
809 論理回路
810 記憶回路
811 ROM
901 筐体
902 筐体
903 表示部
904 表示部
905 マイクロフォン
906 スピーカー
907 操作キー
908 スタイラス
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 接続部
916 操作キー
921 筐体
922 表示部
923 キーボード
924 ポインティングデバイス
931 筐体
932 冷蔵室用扉
933 冷凍室用扉
941 筐体
942 筐体
943 表示部
944 操作キー
945 レンズ
946 接続部
951 車体
952 車輪
953 ダッシュボード
954 ライト
1189 ROMインターフェース
1190 基板
1191 ALU
1192 ALUコントローラ
1193 インストラクションデコーダ
1194 インタラプトコントローラ
1195 タイミングコントローラ
1196 レジスタ
1197 レジスタコントローラ
1198 バスインターフェース
1199 ROM
1200 記憶回路
1201 回路
1202 回路
1203 スイッチ
1204 スイッチ
1206 論理素子
1207 容量素子
1208 容量素子
1209 トランジスタ
1210 トランジスタ
1213 トランジスタ
1214 トランジスタ
1220 回路
2200 トランジスタ
2201 絶縁体
2202 配線
2203 プラグ
2204 絶縁体
2205 配線
2206 配線
4000 RFタグ
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域

Claims (5)

  1. 第1の回路と、第2の回路と、第3の回路と、を有し、
    前記第1の回路は、演算処理機能を有し、
    前記第2の回路は、記憶回路を有し、
    前記記憶回路は、トランジスタを有し、
    前記トランジスタは、
    第1の導電体と、第2の導電体と、第1の絶縁体と、第2の絶縁体と、電子捕獲層と、半導体と、を有し、
    前記第1の導電体は、前記第1の絶縁体を介して前記半導体と互いに重なる領域を有し、
    前記第2の導電体は、前記第2の絶縁体及び前記電子捕獲層を介して前記半導体と互いに重なる領域を有し、
    前記第1の導電体は、前記トランジスタの導通または非導通を選択する機能を有し、
    前記第3の回路は、前記第2の導電体と電気的に接続し、前記第2の導電体の電位を前記トランジスタの動作と同期して可変する機能を有する半導体装置。
  2. 請求項1において、前記電子捕獲層は、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケートのいずれか一種以上含む、半導体装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記電子捕獲層は、結晶性を有する、半導体装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記電子捕獲層への電子の注入は、加熱させて行う、半導体装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記電子捕獲層への電子の注入は、加熱と、前記第2の導電体へ電位を印加させて行う、半導体装置。
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